(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018347
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】LED照明装置及びその制御方法、並びに植物工場
(51)【国際特許分類】
H05B 45/54 20200101AFI20220120BHJP
H05B 47/10 20200101ALI20220120BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20220120BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20220120BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220120BHJP
A01G 9/20 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H05B45/54
H05B47/10
H05B47/165
H05B47/17
A01G7/00 601A
A01G9/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121401
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】506160215
【氏名又は名称】マイクロコーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】内藤 壮介
(72)【発明者】
【氏名】北村 眞一
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
3K273
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B029KB03
3K273AA08
3K273BA26
3K273CA02
3K273CA12
3K273EA06
3K273EA23
3K273EA37
3K273FA03
3K273FA06
3K273FA14
3K273FA32
3K273FA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】植物工場におけるラックに設置され、植物に照射される人工光の光源として利用できる、スイッチング方式の電源と比較して簡易な構成の電源を有するLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED照明装置10は、光源部20と、光源部に対して電力を供給する電源部30と、光源部20に対して印加される電圧及び電流を検出する検出部40と、電源部30を制御する制御部50と、を備える。制御部50は、データを記憶する記憶部60を有する。LED照明装置10は、光源部20に対して印加される電圧を、直列接続される放電モードのバッテリー(使用対象の電池)を変更することで調整できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDを有する光源部と、
複数の電池を有し、前記複数の電池のうちの直列接続される使用対象の電池を使用して前記光源部に対して電力を供給する電源部と、
前記光源部に対して印加される電圧を検出する検出部と、
前記電源部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出される電圧に少なくとも基づいて、前記複数の電池のうちの使用対象の電池を変更する、
LED照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部によって検出される電圧が第1所定値以下となったときに、前記複数の電池のうちの非使用対象の電池を使用対象へと切り替える、
請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記複数の電池は、各々が第1定格電圧を有する1又は複数の第1電池と、各々が前記第1定格電圧よりも小さい第2定格電圧を有する1又は複数の第2電池と、を含み、
前記制御部は、前記1又は複数の第1電池の少なくとも一部を使用対象の電池として前記光源部に対して電力を供給している状態で、前記検出部によって検出される電圧が前記第1所定値以下となったときに、前記1又は複数の第2電池の少なくとも一部を非使用対象から使用対象へと切り替える、
請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記複数の電池は、各々が前記第1定格電圧を有する1又は複数の第3電池をさらに含み、
前記制御部は、前記1又は複数の第1電池の少なくとも一部を使用対象の電池として前記光源部に対して電力を供給している状態で、所定の交換条件を充足する1の第1電池を使用対象から非使用対象へと切り替えると共に1の第3電池を非使用対象から使用対象へと切り替える、
請求項3に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記所定の交換条件は、出力電圧が第2所定値以下となるという条件を含む、
請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記光源部は、前記複数のLEDが直列に接続されている、
請求項1ないし5何れかに記載のLED照明装置。
【請求項7】
請求項1ないし6何れかに記載のLED照明装置を備える植物工場。
【請求項8】
前記LED照明装置の前記制御部は、昼間に対応する第1期間において、前記光源部に対して電力を供給し、夜間に対応する第2期間において、前記光源部に対して電力を供給せずに前記複数の電池の少なくとも一部を充電するように、前記電源部を制御する、
請求項7に記載の植物工場。
【請求項9】
複数のLEDを有する光源部と、複数の電池を有し、前記複数の電池のうちの直列接続される使用対象の電池を使用して前記光源部に対して電力を供給する電源部と、前記光源部に対して印加される電圧を検出する検出部と、前記電源部を制御する制御部と、を備えるLED照明装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記検出部によって検出される電圧を取得するステップと、
前記制御部が、前記検出部によって検出される電圧に少なくとも基づいて、前記複数の電池のうちの使用対象の電池を変更するステップと、を備える、
LED照明装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明装置及びその制御方法、並びにこうしたLED照明装置を備え
る植物工場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LED素子は、安定した明るさを得るために定電流を必要とするため、LED
照明装置における電源としては、典型的には、スイッチング方式の定電流電源が適用さ
れている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スイッチング方式の電源は、スイッチングのための複雑な制御が必要になるため、装置の簡易化及び小型化、並びに低コスト化に不利な方式の電源であると言える。例えば、人工的な環境下においてLED光を照射して植物を育成する植物工場においては、通常の用途と比較して、ある程度の明るさの変動は許容され得る。そこで、こうした植物工場等において利用されるLED照明装置において、簡易な構成の電源を実現することが望ましい。
【0005】
本発明は、簡易な構成の電源を有するLED照明装置を提供することを目的の1つと
する。本発明の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るLED照明装置は、複数のLEDを有する光源部と、複数の電池を有し、前記複数の電池のうちの直列接続される使用対象の電池を使用して前記光源部に対して電力を供給する電源部と、前記光源部に対して印加される電圧を検出する検出部と、前記電源部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部によって検出される電圧に少なくとも基づいて、前記複数の電池のうちの使用対象の電池を変更する。例えば、電源部は、複数の電池の各々について、使用対象/非使用対象を切り替えるためのスイッチを有し、制御部は、これらのスイッチを制御することによって、複数の電池のうちの使用対象の電池を変更する。
【0007】
この構成によれば、光源部に対して印加される電圧を、直列接続される使用対象の電
池を変更することによって調整することができ、こうした電源は、スイッチング方式の
電源と比較して簡易な構成の電源であると言える。この結果、スイッチングに起因する
ノイズ対策等も不要となり、低コスト化が可能となり得る。
【0008】
また、上記装置において、前記制御部は、前記検出部によって検出される電圧が第1所定値以下となったときに、前記複数の電池のうちの非使用対象の電池を使用対象へと切り替える、ようにしてもよい。こうすれば、光源部に対して印加される電圧が所定値以下となったときに、直列接続される電池を追加することによって、電圧を補うことが可能となる。
【0009】
また、上記装置において、前記複数の電池は、各々が第1定格電圧を有する1又は複数の第1電池と、各々が前記第1定格電圧よりも小さい第2定格電圧を有する1又は複数の第2電池と、を含み、前記制御部は、前記1又は複数の第1電池の少なくとも一部を使用対象の電池として前記光源部に対して電力を供給している状態で、前記検出部によって検出される電圧が前記第1所定値以下となったときに、前記1又は複数の第2電池の少なくとも一部を非使用対象から使用対象へと切り替える、ようにしてもよい。第2電池は、電源部から出力される電圧の調整用又は補充用の電池と言うこともできる。こうすれば、定格電圧の比較的大きい第1電池を使用して電力を供給し、その後、光源部に対して印加される電圧の低下に応じて、定格電圧の比較的小さい第2電池を使用して電圧を補うことが可能となる。
【0010】
また、上記装置において、前記複数の電池は、各々が前記第1定格電圧を有する1又は複数の第3電池をさらに含み、前記制御部は、前記1又は複数の第1電池の少なくとも一部を使用対象の電池として前記光源部に対して電力を供給している状態で、所定の交換条件を充足する1の第1電池を使用対象から非使用対象へと切り替えると共に1の第3電池を非使用対象から使用対象へと切り替える、ようにしてもよい。この場合、所定の交換条件は、出力電圧が第2所定値以下となるという条件を含む、ようにしてもよい。第3電池は、第1電池の交換用の電池と言うこともできる。こうすれば、所定の交換条件を充足する第1電池を第3電池に自動的に交換することが可能となる。
【0011】
また、上記装置において、前記光源部は、前記複数のLEDが直列に接続されている
、ようにしてもよい。こうすれば、電源部から印加される電圧が変動した場合の個別の
LEDに対する影響を小さくすることができる。
【0012】
本発明の実施形態に係る植物工場は、上述した本発明の実施形態に係る何れかのLED照明装置を備える。
【0013】
この構成によれば、植物工場において利用されるLED照明装置の電源を簡易な構成とすることができる。
【0014】
また、上記植物工場において、前記LED照明装置の前記制御部は、昼間に対応する第1期間において、前記光源部に対して電力を供給し、夜間に対応する第2期間において、前記光源部に対して電力を供給せずに前記複数の電池の少なくとも一部を充電するように、前記電源部を制御する、ようにしてもよい。こうすれば、LED照明装置の電池の経済的な充電が可能となる。
【0015】
本発明の実施形態に係るLED照明装置の制御方法は、複数のLEDを有する光源部と、複数の電池を有し、前記複数の電池のうちの直列接続される使用対象の電池を使用して前記光源部に対して電力を供給する電源部と、前記光源部に対して印加される電圧を検出する検出部と、前記電源部を制御する制御部と、を備えるLED照明装置の制御方法であって、前記制御部が、前記検出部によって検出される電圧を取得するステップと、前記制御部が、前記検出部によって検出される電圧に少なくとも基づいて、前記複数の電池のうちの使用対象の電池を変更するステップと、を備える。例えば、電源部は、複数の電池の各々について、使用対象/非使用対象を切り替えるためのスイッチを有し、制御部は、これらのスイッチを制御することによって、複数の電池のうちの使用対象の電池を変更する。
【0016】
この構成によれば、光源部に対して印加される電圧を、直列接続される使用対象の電
池を変更することによって調整することができ、こうした電源は、スイッチング方式の
電源と比較して簡易な構成の電源であると言える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の様々な実施形態は、簡易な構成の電源を有するLED照明装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るLED照明装置10の構成図である。
【
図2】電源部30が有する複数の電池を模式的に示す図である。
【
図5】充電モードのバッテリーユニット32を説明するための図。
【
図6】放電モードのバッテリーユニット32を説明するための図。
【
図7】制御部50が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るLED照明装置10の構成図である。LED照明
装置10は、図示するように、光源部20と、光源部に対して電力を供給する電源部3
0と、光源部20に対して印加される電圧及び電流を検出する検出部40と、電源部3
0を制御する制御部50と、を備える。制御部50は、データを記憶する記憶部60を
有する。LED照明装置10は、例えば、植物工場におけるラックに設置され、植物に
照射される人工光の光源として利用される。
【0021】
本実施形態において、電源部30は、直列接続可能に配置された複数の電池を有する
。
図2は、電源部30が有する複数の電池を模式的に示す。電源部30は、図示するよ
うに、複数のベースバッテリーBT1と、1つの交換用バッテリーBT2と、複数の調
整用バッテリーBT3と、を有する。
【0022】
本実施形態において、バッテリーBT1~BT3の各々は、1又は複数のセルが直列
に接続された鉛蓄電池として構成されている。例えば、ベースバッテリーBT1は、定
格電圧2.1Vの6個のセルが直列に接続されて構成されており、この結果、バッテリ
ーBT1の定格電圧は12.6Vである。本実施形態において、電源部30は、20個
のベースバッテリーBT1を有しており、これらの20個のバッテリーBT1の全てが
直列に接続されると、その電圧は252V(12.6V×20個)となる。
【0023】
また、例えば、交換用バッテリーBT2は、ベースバッテリーBT1と同じ定格電圧
を有する。つまり、交換用バッテリーBT2は、定格電圧2.1Vの6個のセルが直列
に接続されて構成されており、この結果、バッテリーBT2の定格電圧は12.6Vで
ある。本実施形態において、電源部30は、1個の交換用バッテリーBT2を有してい
るが、本発明の他の実施形態において、2以上の複数の交換用バッテリーBT2を有す
るように構成してもよい。
【0024】
また、例えば、調整用バッテリーBT3は、ベースバッテリーBT1よりも小さい定
格電圧を有する。例えば、調整用バッテリーBT3は、定格電圧2.1Vの1個のセル
によって構成されており、この結果、バッテリーBT3の定格電圧は2.1Vである。
本実施形態において、電源部30は、10個の調整用バッテリーBT3を有しているが
、本発明の他の実施形態において、1~9個、又は、11個以上の調整用バッテリーB
T3を有するように構成してもよい。
【0025】
図3は、本実施形態のLED照明装置10の回路図を示す。光源部20は、図示する
ように、複数のLED素子22が直列に接続されている。本実施形態において、光源部
20は、84個のLED素子22が直列に接続されており、各LED素子22の順方向
電圧Vfは3Vである。電源部30の上述した20個のベースバッテリーBT1から2
52Vの電圧が光源部20に対して印加されると、個別のLED素子22に対して印加
される電圧は3V(252V÷84個)となり、この値は、順方向電圧Vfに相当する
。光源部20は、例えば、直管型のLEDランプとして構成され得る。
【0026】
電源部30は、
図3に示すように、複数のバッテリーBT1~BT3にそれぞれ対応
する複数のバッテリーユニット32が直列に接続されている。
【0027】
図4は、バッテリーユニット32の回路図を示す。バッテリーユニット32は、バッ
テリーBTの充電の有無を切り替え可能に構成されている。具体的には、図示するよう
に、バッテリーユニット32は、バッテリーBTの充電の有無を切り替えるための充電
切替リレーR1を有し、当該充電切替リレーR1が有するスイッチR1-1、R1-2
がONにされると、バッテリーBTは、充電器BCを介して外部電源に接続され、充電
状態となる(充電モード、
図5を参照)。
【0028】
また、バッテリーユニット32は、バッテリーBTの使用(選択)の有無を切り替え
可能に構成されている。具体的には、
図4に示すように、バッテリーユニット32は、
バッテリーBTの使用の有無を切り替えるための電池選択リレーR2を有し、当該電池
選択リレーR2が有するスイッチR2-1、R2-2がOFFのときには、バッテリー
BTは非使用対象となり、バッテリーユニット32の正極端子T1及び負極端子T2は
、バッテリーBTを介さずに接続される(非放電モード)。そして、当該電池選択リレ
ーR2が有するスイッチR2-1、R2-2がONにされると、バッテリーBTは使用
対象となり、正極端子T1及び負極端子T2の間に接続される(放電モード、
図6を参
照)。
【0029】
また、バッテリーユニット32は、バッテリーBTから出力される電圧及び電流を監
視するための電池監視部に接続されている。
【0030】
図3の回路図に戻り、検出部40は、光源部20に対して印加される電圧及び電流を
検出するように構成されている。また、制御部50は、検出部40によって検出される
電圧及び電流を取得して電源部30を制御するように構成されている。
【0031】
図7は、LED光を照射する際に、制御部50が実行する処理を示すフローチャート
を示す。まず、制御部50は、電源部30が有する複数のバッテリーBT1~BT3の
うち、ベースバッテリーBT1を放電モードに設定し、その他の交換用バッテリーBT
2及び調整用バッテリーBT3を非放電モードに設定する(ステップST100)。具
体的には、20個のベースバッテリーBT1にそれぞれ対応する20個のバッテリーユ
ニット32が放電モード(電池選択リレーR2をON)に設定される一方、1つの交換
用バッテリー及び10個の調整用バッテリーBT3にそれぞれ対応する11個のバッテ
リーユニット32が非放電モード(電池選択リレーR2をOFF)に設定される。この
結果、20個のベースバッテリーBT1が直列に接続され、252Vの電圧が光源部2
0に対して印加される。
【0032】
その後、制御部50は、LED光の照射の終了条件が成立するまでの間、必要に応じ
て、バッテリーBT1~BT3の放電モード/非放電モードを切り替える(ステップS
T110~ST150)。
【0033】
まず、光源部20に対して印加される電圧が閾値V1未満になると(ステップST1
10においてYes)、制御部50は、1つの調整用バッテリーBT3を放電モードに
設定する(ステップST120)。具体的には、任意の非放電モードの調整用バッテリ
ーBT3に対応するバッテリーユニット32が放電モード(電池選択リレーR2をON
)に設定される。光源部20に対する印加電圧は、検出部40によって検出されて制御
部50に対して提供される。このように、1つの調整用バッテリーBT3が放電モード
に設定される(使用対象のバッテリーとして追加される)と、調整用バッテリーBT3
の定格電圧(2.1V)に相当する電圧が、電源部30から出力される電圧に加算される
。なお、調整用バッテリーの追加の要否を判断するための閾値V1は、例えば、20個
のベースバッテリーBT1の定格電圧(252V)と、1個の調整用バッテリーBT3
の定格電圧(2.1V)とに基づいて決定することができ、例えば、前者から後者を減
じた値(252V-2.1V=249.9V)とすることができる。
【0034】
また、出力電圧が閾値V2未満まで低下したベースバッテリーBT1が存在すると(
ステップST130においてYes)、制御部50は、対応するベースバッテリーBT
1を非放電モードに設定すると共に、交換用バッテリーBT2を放電モードに設定する
(ステップST140)。具体的には、出力電圧が低下したベースバッテリーBT1に
対応するバッテリーユニット32が非放電モード(電池選択リレーR2をOFF)に設
定されると共に、交換用バッテリーBT2に対応するバッテリーユニット32が放電モ
ード(電池選択リレーR2をON)に設定される。ベースバッテリーBT1の出力電圧
は、バッテリーユニット32に接続された電池監視部によって検出され制御部50に提
供される。
【0035】
このように、本実施形態のLED照明装置10では、LED光の照射中において、使
用中のバッテリーが消耗して光源部20への印加電圧が低下すると、調整用バッテリー
BT3による電圧の補充が自動的に行われ、また、ベースバッテリーBT1の出力電圧
が交換を要する値まで低下すると、当該ベースバッテリーBT1の交換用バッテリーB
T2への交換が自動的に行われる。
【0036】
図8は、本実施形態のLED照明装置10に相当する装置を用いた実験(光源安定化
テスト)の結果に対応するグラフを示す。
図8のグラフにおいて、横軸は経過時間(分
)に対応し、縦軸は所定の係数に対応する。また、ラインL1は、ベースバッテリーB
T1単体の電圧に対応し、ラインL2は、光源部20への印加電圧に対応し、ラインL
3は、LED素子22単体の電圧に対応し、ラインL4は、相対照度に対応する。図示
するように、時間の経過に従って、光源部20への印加電圧(L2)が低下し、これに
伴って相対照度(L4)も低下するが、経過時間t1において、調整用バッテリーBT
3が追加されて相対照度が回復している。その後、同様に、時間の経過に従って、相対
照度(L4)が低下するが、経過時間t2、t3において、調整用バッテリーBT3が
それぞれ追加されて相対照度が回復している。そして、およそ24時間の間、相対照度
(L4)の変動は一定の範囲に収まっており、ある程度安定化された光源を実現できて
いると言える。
【0037】
図7のフローチャートに戻り、そして、LED光の照射の終了条件が成立すると(ス
テップST150においてYES)、制御部50は、全てのバッテリーBTを非放電モ
ードに設定する(ステップST160)。照射の終了条件は、例えば、予め定められた
時刻になるという条件である。
【0038】
本実施形態では、LED光の照射の終了後、予め定められた時刻になると、全てのバ
ッテリーBTが充電モードとなる。例えば、夜間に対応する所定の時間帯において、全
てのバッテリーBTは充電モードとなる。
【0039】
本実施形態において、調整用バッテリーの追加の要否を判断するための閾値V1を、
予め定められたスケジュール等に従って変化させるようにしてもよい。当該閾値V1を
変化させることによって、光源部20に対して印加される電圧を変更することができ、
この結果、照度を変更することができる。
【0040】
以上説明した本発明の実施形態に係るLED照明装置10は、光源部20に定電流を
流すことは保証せず、光源部20に対して印加される電圧が所定範囲内で変動すること
を許容している。例えば、直列接続される放電モードのバッテリーBT1~BT3(使
用対象の電池)を変更することによって、光源部20に対して印加される電圧を調整す
ることができ、こうした電源部30は、スイッチング方式の電源と比較して簡易な構成
の電源であると言える。
【0041】
本実施形態のLED照明装置10は、植物工場以外の施設及び設備等において利用す
ることができ、例えば、殺菌灯、トンネル灯、街灯等、ある程度の照度の変動が許容さ
れる施設及び設備等のLED照明において利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…LED照明装置、20…光源部、22…LED素子、30…電源部、32…バ
ッテリーユニット、40…検出部、50…制御部、60…記憶部、BT…バッテリー、
BT1…ベースバッテリー、BT2…交換用バッテリー、BT3…調整用バッテリー、
BC…充電器、T1…正極端子、T2…負極端子、R1…充電切替リレー、R2…電池
選択リレー。