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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183482
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】携帯型情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20221206BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20221206BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20221206BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20221206BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
H01Q21/28
H01Q1/52
H01Q1/22 Z
H05K5/02 V
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090826
(22)【出願日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第1の公開:掲載日2021年1月18日 掲載アドレスhttps://www.nec-lavie.jp/products/pm/ 第2の公開:出荷日2021年1月22日 出荷先 NECパーソナルコンピュータ株式会社 米沢事業場 山形県米沢市下花沢二丁目6-80
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】椿 怜
(72)【発明者】
【氏名】龍▲崎▼ 正憲
【テーマコード(参考)】
4E360
5J021
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB16
4E360AB42
4E360EA12
4E360FA13
4E360GA60
4E360GB26
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
5J021AA04
5J021DA04
5J021HA05
5J046AA02
5J046AA12
5J046UA02
5J047AA02
5J047AA12
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】筐体が閉状態である場合における通信精度の低下を抑制できる携帯型情報処理装置を提供する。
【解決手段】携帯型情報処理装置は、第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ機構によって回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体に収容される第1主アンテナおよび第1副アンテナと、前記第2筐体に収容される第2主アンテナおよび第2副アンテナと、を備え、前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているとき、前記第2主アンテナは、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する方向において、前記第1主アンテナおよび前記第1副アンテナのいずれとも重ならない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
前記第1筐体に対してヒンジ機構によって回動可能に連結された第2筐体と、
前記第1筐体に収容される第1主アンテナおよび第1副アンテナと、
前記第2筐体に収容される第2主アンテナおよび第2副アンテナと、を備え、
前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているとき、前記第2主アンテナは、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する方向において、前記第1主アンテナおよび前記第1副アンテナのいずれとも重ならない、携帯型情報処理装置。
【請求項2】
前記第1主アンテナおよび前記第1副アンテナはMIMOをサポートし、
前記第2主アンテナおよび前記第2副アンテナはWLAN通信規格に対応する、請求項1に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項3】
前記第1筐体は、第1のスピーカーと、前記第1のスピーカーを駆動する第1のスピーカードライバと、第2のスピーカーと、前記第2のスピーカーを駆動する第2のスピーカードライバと、をさらに収容し、
前記第2筐体は、第3主アンテナおよび第3副アンテナをさらに収容し、
前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているとき、前記第3主アンテナは、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する方向において、前記第1のスピーカードライバおよび前記第2のスピーカードライバのいずれとも重ならない、請求項1または2に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項4】
前記第3主アンテナおよび前記第3副アンテナはWWAN通信規格に対応する、請求項3に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項5】
前記第1筐体のうち前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているときに前記第2筐体と対向する面である第1対向面は、前記ヒンジ機構が固定された第1連結端部と、前記第1連結端部とは反対側に位置する第1自由端部と、を有し、
前記第2筐体のうち前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているときに前記第1筐体と対向する面である第2対向面は、前記ヒンジ機構が固定された第2連結端部と、前記第2連結端部とは反対側に位置する第2自由端部と、を有し、
前記第1主アンテナ、前記第1副アンテナ、前記第1のスピーカードライバ、および前記第2のスピーカードライバは、前記第1自由端部近傍において前記第1自由端部に沿って配列されており、
前記第2主アンテナ、前記第2副アンテナ、前記第3主アンテナ、および前記第3副アンテナは、前記第2自由端部近傍において前記第2自由端部に沿って配列されている、請求項3または4に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項6】
前記第1のスピーカードライバ、前記第1副アンテナ、前記第1主アンテナ、および前記第2のスピーカードライバは前記第1自由端部近傍においてこの順に配列されており、
前記第2主アンテナ、前記第3副アンテナ、前記第2副アンテナ、および前記第3主アンテナは、前記第2自由端部近傍においてこの順に配列されている、請求項5に記載の携帯型情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マザーボード等を有する第1筐体と、ディスプレイ等を有する第2筐体と、を備えたクラムシェル型のノートPC(携帯型情報処理装置)が知られている。なかでも、第2筐体が第1筐体に対して閉じている(筐体が閉状態である)場合においてもOS(Operating System)の一部が動作し続ける携帯型情報処理装置が知られている。特許文献1にも記載されているような、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイ機能を備えた携帯型情報処理装置がその一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-12505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯型情報処理装置には小型化・薄型化が求められている。それに加えて、携帯型情報処理装置には高速通信や多様な通信方式への対応が求められている。高速かつ多様な通信を実現するために、携帯型情報処理装置にはWLAN、WWAN、MIMOといった複数のアンテナが設けられることがある。このように複数のアンテナを設けたうえで筐体の小型化・薄型化を実現するためには、第1筐体および第2筐体の両方に無線通信用のアンテナを配置する構成が考えられる。
【0005】
ところで、第1筐体および第2筐体の両方に通信用のアンテナを配置した場合、筐体が閉状態となった際に、第1筐体に配置された各アンテナと、第2筐体に配置された各アンテナとが接近する。ここで、モダンスタンバイの機能を有する等、筐体が閉状態であっても通信を行う携帯型情報処理装置においては、第1筐体に配置されたアンテナと第2筐体に配置されたアンテナとが干渉し、通信精度の低下を引き起こしやすくなっていた。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、筐体が閉状態である場合における通信精度の低下を抑制できる携帯型情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る携帯型情報処理装置は、第1筐体と、前記第1筐体に対してヒンジ機構によって回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体に収容される第1主アンテナおよび第1副アンテナと、前記第2筐体に収容される第2主アンテナおよび第2副アンテナと、を備え、前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているとき、前記第2主アンテナは、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する方向において、前記第1主アンテナおよび前記第1副アンテナのいずれとも重ならない。
【0008】
本発明の上記態様によれば、筐体が閉状態である場合において、第2主アンテナと、第1主アンテナおよび第1副アンテナとの干渉が抑制され、携帯型情報処理装置の通信精度の低下を抑制することができる。
【0009】
ここで、前記第1主アンテナおよび前記第1副アンテナはMIMOをサポートし、前記第2主アンテナおよび前記第2副アンテナはWLAN通信規格に対応してもよい。
【0010】
この場合、MIMO用アンテナが搭載されているため、携帯型情報処理装置の通信速度を向上させることができる。また、筐体が閉状態である場合において、アンテナ同士の干渉の影響を強く受けやすいWLAN用のMAINアンテナを当該干渉から保護することができ、通信精度の低下を効果的に抑制することができる。
【0011】
また、前記第1筐体は、第1のスピーカーと、前記第1のスピーカーを駆動する第1のスピーカードライバと、第2のスピーカーと、前記第2のスピーカーを駆動する第2のスピーカードライバと、をさらに収容し、前記第2筐体は、第3主アンテナおよび第3副アンテナをさらに収容し、前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているとき、前記第3主アンテナは、前記第1筐体と前記第2筐体とが対向する方向において、前記第1のスピーカードライバおよび前記第2のスピーカードライバのいずれとも重ならなくてもよい。
【0012】
この場合、筐体が閉状態である場合において、第3主アンテナから送受信される電波が、導電性物質を有するスピーカードライバによって遮蔽されにくくなり、通信精度の低下をより抑制することができる。
【0013】
また、前記第3主アンテナおよび前記第3副アンテナはWWAN通信規格に対応してもよい。
【0014】
この場合、携帯型情報処理装置を、LAN通信等を介することなく直接インターネットに接続させることができる。また、筐体が閉状態である場合において、電波の遮蔽の影響を強く受けやすいWWAN用のMAINアンテナを当該遮蔽から保護することができ、通信精度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0015】
また、前記第1筐体のうち前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているときに前記第2筐体と対向する面である第1対向面は、前記ヒンジ機構が固定された第1連結端部と、前記第1連結端部とは反対側に位置する第1自由端部と、を有し、前記第2筐体のうち前記第2筐体が前記第1筐体に対して閉じているときに前記第1筐体と対向する面である第2対向面は、前記ヒンジ機構が固定された第2連結端部と、前記第2連結端部とは反対側に位置する第2自由端部と、を有し、前記第1主アンテナ、前記第1副アンテナ、前記第1のスピーカードライバ、および前記第2のスピーカードライバは、前記第1自由端部近傍において前記第1自由端部に沿って配列されており、前記第2主アンテナ、前記第2副アンテナ、前記第3主アンテナ、および前記第3副アンテナは、前記第2自由端部近傍において前記第2自由端部に沿って配列されていてもよい。
【0016】
この場合、各アンテナおよび各スピーカードライバを筐体の端部に集約できるため、筐体の薄型化・小型化を実現しやすくなる。
【0017】
また、前記第1のスピーカードライバ、前記第1副アンテナ、前記第1主アンテナ、および前記第2のスピーカードライバは前記第1自由端部近傍においてこの順に配列されており、前記第2主アンテナ、前記第3副アンテナ、前記第2副アンテナ、および前記第3主アンテナは、前記第2自由端部近傍においてこの順に配列されていてもよい。
【0018】
この場合、第2主アンテナおよび第3主アンテナが左右方向における外側に配置されているため、第2主アンテナおよび第3主アンテナのチューニング難度を下げることができる。また、第1のスピーカーおよび第2のスピーカーが左右対称に配置されているため、ユーザーに対して快適な音響体験を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記態様によれば、筐体が閉状態である場合における通信精度の低下を抑制可能な携帯型情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る携帯型情報処理装置の開状態における平面図である。
図2図1の携帯型情報処理装置が閉状態の場合におけるII-II断面に対応する矢視図である。
図3図1の携帯型情報処理装置が閉状態の場合におけるIII-III断面に対応する矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態に係る携帯型情報処理装置について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、携帯型情報処理装置1は、第1筐体10および第2筐体20を備える。第1筐体10および第2筐体20は、ヒンジ機構Hによって互いに連結されている。第2筐体20は、第1筐体10に対して、ヒンジ機構Hが有する回転軸Oの周りに相対回動可能に連結されている。言い換えれば、第2筐体20は、第1筐体10に対して、開閉可能に連結されている。以降、説明を容易とするために、第1筐体10および第2筐体20を総称して、単に筐体Cと呼ぶことがある。また、第2筐体20が第1筐体10に対して閉じられている状態を「(筐体Cの)閉状態」と呼ぶことがある。また、第2筐体20が第1筐体10に対して開いている状態を「(筐体Cの)開状態」と呼ぶことがある。
【0022】
第1筐体10は、第1対向面10cを有する。第1対向面10cは、筐体Cが閉状態である場合に第2筐体20と対向する面である。第1対向面10cのうち、ヒンジ機構Hが固定された一端部を第1連結端部10aといい、第1連結端部10aとは反対側の端部を第1自由端部10bという。同様に、第2筐体20は、第2対向面20cを有する。第2対向面20cは、筐体Cが閉状態である場合に第1筐体10と対向する面である。第2対向面20cのうち、ヒンジ機構Hが固定された一端部を第2連結端部20aといい、第2連結端部20aとは反対側の端部を第2自由端部20bという。なお、ヒンジ機構Hは第1筐体10および第2筐体20と別体に形成されていてもよいし、第1筐体10または第2筐体20と一体に形成されていてもよい。
【0023】
なお、本実施形態の携帯型情報処理装置1はクラムシェル型のノートPCであるが、その他の種類の携帯型情報処理装置1を採用してもよい。例えば携帯型情報処理装置1は、折り畳み可能なスマートフォン、ゲーム機等であってもよい。
【0024】
ここで本実施形態では、ヒンジ機構Hの回転軸Oに平行な方向(回転軸方向)を軸方向(左右方向)Xという。左右方向Xに沿って、一方側(+X側)を右方、他方側(-X側)を左方という。左右方向Xからみて、回転軸Oに交差する方向を径方向といい、回転軸O回りに周回する方向を周方向という。左右方向Xからみて、回転軸Oに接近する向きを径方向内側、回転軸Oから離反する向きを径方向外側という。
また、第1筐体10において、第1連結端部10aと第1自由端部10bとが並ぶ方向を前後方向Yという。前後方向Yに沿って、第1連結端部10a側(+Y側)を後方または奥側、第1自由端部10b側(-Y側)を前方または手前側という。左右方向Xおよび前後方向Yの双方に直交する方向を対向方向Zという。筐体Cが閉状態である場合において、第1筐体10と第2筐体20とは対向方向Zにおいて対向する。
【0025】
本実施形態において、第1筐体10は扁平な箱型である。第1筐体10の第1連結端部10aおよび第1自由端部10bは、左右方向Xに沿って延在している。第1筐体10の第1対向面10cには、パームレスト11およびキーボード12が設けられている。パームレスト11は、キーボード12よりも径方向外側(手前側)に位置する。パームレスト11の材質としては、例えば金属等が挙げられる。なお、携帯型情報処理装置1はパームレスト11およびキーボード12を備えていなくてもよい。
【0026】
パームレスト11の少なくとも一部分には、第1透過部11aが設けられている。本実施形態において、第1透過部11aは2つ設けられており、それぞれ第1自由端部10bの近傍に位置している。第1透過部11aの材質は樹脂等の非導電性物質であることが好ましい。第1透過部11aは、例えば金属製のパームレスト11に対して二色成形(インサート成形、ハイブリッド成形ともいう)を行うことによって形成することができる。第1透過部11aは、後述する第1アンテナ31によって送受信される電波を透過する部位である。なお、図1の例では2つの第1透過部11aが左右方向Xに間隔をあけて設けられているが、例えば第1透過部11aは3つ以上であってもよいし、1つの第1透過部11aが第1自由端部10bの全長にわたって延びるように形成されていてもよい。
【0027】
本実施形態において、第1筐体10の内部には、第1主アンテナ31Aと、第1副アンテナ31Bと、第1のスピーカー40Aと、第2のスピーカー40Bと、不図示のマザーボードおよびバッテリー等と、が収容されている。第1筐体10は、ベース筐体またはシステム筐体とも呼ばれる。第1主アンテナ31Aと、第1副アンテナ31Bと、第1のスピーカー40Aと、第2のスピーカー40Bとは、第1筐体10の第1自由端部10bの近傍において、左右方向Xに沿って配列されている。図1の例では、左方から右方に向けて第1のスピーカー40A、第1主アンテナ31A、第1副アンテナ31B、第2のスピーカー40Bの順に配列されている。
本明細書では、第1主アンテナ31Aおよび第1副アンテナ31Bを総称して、単に第1アンテナ31と呼ぶ場合がある。また、第1のスピーカー40Aおよび第2のスピーカー40Bを総称して、単にスピーカー40と呼ぶ場合がある。
【0028】
第1アンテナ31は、携帯型情報処理装置1の無線通信用のアンテナである。第1アンテナ31のなかでも、第1主アンテナ31AはMAINアンテナであり、第1副アンテナ31BはAUXアンテナである。例えば、第1アンテナ31は4×4のMIMO(Multi-Input Multi-Output)をサポートする。MIMOをサポートするアンテナを搭載することで、携帯型情報処理装置1の通信速度を向上させることができる。
【0029】
本実施形態の第1アンテナ31は、対向方向Zからみて、第1透過部11aの中に含まれるように配置されている。これにより、第1アンテナ31によって送受信される電波がパームレスト11等の導電性物質によって遮蔽されにくくなる。なお、第1アンテナ31は対向方向Zからみて第1透過部11aの中に含まれていなくてもよいし、第1透過部11aはなくてもよい。
【0030】
第1のスピーカー40Aは、第1のスピーカーボックス41Aおよび第1のスピーカードライバ42Aを有する。同様に、第2のスピーカー40Bは、第2のスピーカー40Bおよび第2のスピーカードライバ42Bを有する。本明細書では、第1のスピーカーボックス41Aおよび第2のスピーカーボックス41Bを総称して、単にスピーカーボックス41と呼ぶ場合がある。同様に、第1のスピーカードライバ42Aおよび第2のスピーカードライバ42Bを総称して、単にスピーカードライバ42と呼ぶ場合がある。スピーカードライバ42は電気信号を音(振動)に変換し、スピーカーボックス41に振動を与えることでスピーカー40を駆動する素子である。本実施形態において、スピーカーボックス41の材質は樹脂や木材等の非導電性物質であり、スピーカードライバ42は金属等の導電性物質を含んでいる。
【0031】
本実施形態において、第2筐体20は扁平な箱型である。第2筐体20は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体20の第2連結端部20aおよび第2自由端部20bは、左右方向Xに沿って延在している。第2筐体20の第2対向面20cには、ディスプレイ22と、ディスプレイ22を囲繞するベゼル21と、が設けられている。ベゼル21の材質としては、例えば金属などが挙げられる。ディスプレイ22としては、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、液晶ディスプレイ等を採用できる。なお、携帯型情報処理装置1はディスプレイ22を備えていなくてもよい。
【0032】
ベゼル21の少なくとも一部分には、第2透過部21aが設けられている。本実施形態において、第2透過部21aは2つ設けられており、それぞれ第2自由端部20bの近傍に位置している。第2透過部21aの材質は樹脂等の非導電性物質であることが好ましい。第2透過部21aは、例えば金属製のベゼル21に対して二色成形(インサート成形、ハイブリッド成形ともいう)を行うことによって形成することができる。第2透過部21aは、後述する第2アンテナ32および第3アンテナ33によって送受信される電波を透過する部位である。なお、図1の例では2つの第2透過部21aが左右方向Xに間隔をあけて設けられているが、例えば第2透過部21aは3つ以上であってもよいし、1つの第2透過部21aが第2自由端部20bの全長にわたって延びるように形成されていてもよい。
【0033】
本実施形態において、第2筐体20の内部には、第2主アンテナ32Aと、第2副アンテナ32Bと、第3主アンテナ33Aと、第3副アンテナ33Bと、カメラモジュール23と、が収容されている。第2主アンテナ32Aと、第2副アンテナ32Bと、第3主アンテナ33Aと、第3副アンテナ33Bと、カメラモジュール23とは、第2筐体20の第2自由端部20bの近傍において、左右方向Xに沿って配列されている。図1の例では、左方から右方に向けて第2主アンテナ32A、第3副アンテナ33B、カメラモジュール23、第2副アンテナ32B、第3主アンテナ33Aの順に配列されている。カメラモジュール23は不図示の撮像素子を有している。撮像素子は、光を電気信号(画像データ)に変換する機能を有する。撮像素子としては、例えばRGBカメラや赤外線カメラ等を採用できる。なお、携帯型情報処理装置1はカメラモジュール23を備えていなくてもよい。
本明細書では、第2主アンテナ32Aおよび第2副アンテナ32Bを総称して、単に第2アンテナ32と呼ぶ場合がある。同様に、第3主アンテナ33Aおよび第3副アンテナ33Bを総称して、単に第3アンテナ33と呼ぶ場合がある。
【0034】
第2アンテナ32は、携帯型情報処理装置1の無線通信用のアンテナである。第2アンテナ32のなかでも、第2主アンテナ32AはMAINアンテナであり、第2副アンテナ32BはAUXアンテナである。第2アンテナは、第1アンテナ31とは異なる通信方式をサポートする。例えば、第2アンテナ32がサポートする通信規格は、WLAN(Wireless Local Area Network)である。
【0035】
第3アンテナ33は、携帯型情報処理装置1の無線通信用のアンテナである。第3アンテナ33のなかでも、第3主アンテナ33AはMAINアンテナであり、第3副アンテナ33BはAUXアンテナである。第3アンテナ33は、第1アンテナ31および第2アンテナ32とは異なる通信方式をサポートする。例えば、第3アンテナ33がサポートする通信規格は、WWAN(Wireless Wide Area Network)である。
【0036】
本実施形態の第2アンテナ32および第3アンテナ33は、第2対向面20cと垂直な方向からみて、第2透過部21aの中に含まれるように配置されている。これにより、第2アンテナ32および第3アンテナ33によって送受信される電波がベゼル21等の導電性物質によって遮蔽されにくくなる。なお、第2アンテナ32および第3アンテナ33は対向方向Zからみて第2透過部21aの中に含まれていなくてもよいし、第2透過部21aはなくてもよい。
【0037】
次に、以上のように構成された携帯型情報処理装置1の作用について説明する。
【0038】
一般に、あるアンテナが他のアンテナと近接している場合、当該アンテナと当該他のアンテナとが干渉し、当該アンテナの通信精度の低下が引き起こされることが知られている。また、あるアンテナが他の導電性物質と近接している場合、当該アンテナから送受信される電波が当該導電性物質に遮蔽され、当該アンテナの通信精度の低下が引き起こされることが知られている。本願発明者らが鋭意検討した結果、MIMO用、WLAN用、WWAN用の各アンテナのなかでも、上記の干渉や遮蔽が起こった際に通信精度が最も低下するのはWLAN用のMAINアンテナであり、次いでWWAN用のMAINアンテナであることが判った。
【0039】
そこで本実施形態の携帯型情報処理装置1は、第1~第3アンテナ31~33およびスピーカー40を、例えば図1のように配列した。この配列により、第2主アンテナ32Aの右端が、第1副アンテナ31Bの左端よりも左方に位置する。したがって、筐体Cが閉状態となった際に、対向方向Zからみて、第2主アンテナ32Aは第1副アンテナ31B(および第1主アンテナ31A)と重ならない。これにより、筐体Cが閉状態となった際に、第2主アンテナ32Aと第1アンテナ31とが干渉し、携帯型情報処理装置1の通信精度が低下することが抑制される。特に、第2アンテナ32がWLAN用のアンテナである場合には、より効果的に通信精度低下を抑制できる。
【0040】
図2に示すように、第3主アンテナ33Aは、筐体Cが閉状態である場合において、第2のスピーカードライバ42Bの径方向外側の端部(前端部)が、第3主アンテナ33Aの径方向内側の端部(後端部)よりも径方向内側(後側)に位置するように配置されている。したがって、筐体Cが閉状態となった際に、対向方向Zからみて、第3主アンテナ33Aは第2のスピーカードライバ42B(および第1のスピーカードライバ42A)と重ならない。これにより、筐体Cが閉状態となった際に、第3主アンテナ33Aから送受信される電波が導電性物質を含むスピーカードライバ42によって遮蔽され、携帯型情報処理装置1の通信精度が低下することが抑制される。特に、第3アンテナ33がWWAN用のアンテナである場合には、より効果的に通信精度低下を抑制できる。また、図3に示すように、第2主アンテナ32Aもスピーカードライバ42と重ならない。これにより、携帯型情報処理装置1の通信精度低下がより抑制される。特に、第2アンテナ32がWLAN用のアンテナである場合には、さらに効果的に通信精度低下を抑制できる。
【0041】
また、第1アンテナ31およびスピーカー40が第1自由端部10bの近傍に設けられていることにより、第1アンテナ31およびスピーカー40と不図示のマザーボードやバッテリー等とが構造的に干渉しにくくなる。これにより、第1筐体10の対向方向Zにおける寸法を小さくしやすくなる。さらに、第2、第3アンテナ32、33が第2自由端部20bの近傍に設けられていることにより、例えば第2、第3アンテナ32、33がディスプレイ22の左右方向Xにおける外側に設けられている場合と比べて、ベゼル21の肥大化を抑えることができる。また、第2、第3アンテナ32、33が第2自由端部20bの近傍に設けられていることにより、第2、第3アンテナ32、33と不図示のディスプレイ基板等とが構造的に干渉しにくくなる。これにより、第2筐体20の厚み(第2対向面20cに垂直な方向における寸法)を小さくしやすくなる。つまり、第1~第3アンテナ31~33およびスピーカー40を第1自由端部10bまたは第2自由端部20bの近傍に設けることにより、筐体Cの小型化・薄型化を実現しやすくなる。
【0042】
さらに、図1の例では第2主アンテナ32Aおよび第3主アンテナ33Aが左右方向Xにおける外側に配されている。ところで、一般にアンテナを用いる際には、アンテナと通信機器基板(例えばマザーボード)との間のインピーダンス整合を行うチューニング作業が必要となる。本願発明者らが鋭意検討した結果、WWAN用のMAINアンテナおよびWLAN用のMAINアンテナにおけるチューニング作業が他のアンテナにおけるチューニング作業と比較して難度が高いことが判った。それに対して、特に第2主アンテナ32AをWLAN用のMAINアンテナとし、第3主アンテナ33AをWWAN用のMAINアンテナとした場合には、チューニング作業が比較的困難な当該2つのアンテナが他のアンテナから遠ざかる。これにより、当該2つのアンテナのインピーダンスを安定させ、チューニング難度を低減することができる。また、図1の例では第1のスピーカー40Aおよび第2のスピーカー40Bが左右方向Xにおいて対称的に配置されている。これにより、いわゆるサラウンドなサウンド表現が可能となり、ユーザーに対して快適な音響体験を提供することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の携帯型情報処理装置1は、第1筐体10と、第1筐体10に対してヒンジ機構Hによって回動可能に連結された第2筐体20と、第1筐体10に収容される第1主アンテナ31Aおよび第1副アンテナ31Bと、第2筐体20に収容される第2主アンテナ32Aおよび第2副アンテナ32Bと、を備え、筐体Cが閉状態であるとき、第2主アンテナ32Aは、第1筐体10と第2筐体20とが対向する対向方向Zにおいて、第1主アンテナ31Aおよび第1副アンテナ31Bのいずれとも重ならない。
【0044】
この構成により、筐体Cが閉状態である場合において、第2主アンテナ32Aと第1アンテナ31との干渉が抑制され、携帯型情報処理装置1の通信精度の低下を抑制することができる。
【0045】
また、第1主アンテナ31Aおよび第1副アンテナ31BはMIMOをサポートし、第2主アンテナ32Aおよび第2副アンテナ32BはWLAN通信規格に対応する。この構成により、携帯型情報処理装置1の通信速度を向上させることができる。また、筐体Cが閉状態である場合において、アンテナ同士の干渉の影響を強く受けやすいWLAN用のMAINアンテナを当該干渉から保護することができ、通信精度の低下を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、第1筐体10は、第1のスピーカー40Aと、第1のスピーカー40Aを駆動する第1のスピーカードライバ42Aと、第2のスピーカー40Bと、第2のスピーカー40Bを駆動する第2のスピーカードライバ42Bと、をさらに収容し、第2筐体20は、第3主アンテナ33Aおよび第3副アンテナ33Bをさらに収容し、筐体Cが閉状態であるとき、第3主アンテナ33Aは、第1筐体10と第2筐体20とが対向する対向方向Zにおいて、第1のスピーカードライバ42Aおよび第2のスピーカードライバ42Bのいずれとも重ならない。この構成により、筐体Cが閉状態である場合において、第3主アンテナ33Aから送受信される電波が、導電性物質を有するスピーカードライバ42によって遮蔽されにくくなり、通信精度の低下をより抑制することができる。
【0047】
また、第3主アンテナ33Aおよび第3副アンテナ33BはWWAN通信規格に対応する。この構成により、携帯型情報処理装置1を、LAN通信等を介することなく直接インターネットに接続させることができる。また、筐体Cが閉状態である場合において、電波の遮蔽の影響を強く受けやすいWWAN用アンテナを当該遮蔽から保護することができ、通信精度の低下をより効果的に抑制することができる。
【0048】
また、第1筐体10のうち筐体Cが閉状態であるときに第2筐体20と対向する面である第1対向面10cは、ヒンジ機構Hが固定された第1連結端部10aと、第1連結端部10aとは径方向における反対側に位置する第1自由端部10bと、を有し、第2筐体20のうち筐体Cが閉状態であるときに第1筐体10と対向する面である第2対向面20cは、ヒンジ機構Hが固定された第2連結端部20aと、第2連結端部20aとは径方向における反対側に位置する第2自由端部20bと、を有し、第1主アンテナ31A、第1副アンテナ31B、第1のスピーカードライバ42A、および第2のスピーカードライバ42Bは、第1自由端部10b近傍において第1自由端部10bに沿って配列されており、第2主アンテナ32A、第2副アンテナ32B、第3主アンテナ33A、および第3副アンテナ33Bは、第2自由端部20b近傍において第2自由端部20bに沿って配列されている。この構成により、第1~第3アンテナ31~33およびスピーカードライバ42を筐体Cの端部に集約できるため、筐体Cの薄型化・小型化を実現しやすくなる。
【0049】
また、第1のスピーカードライバ42A、第1副アンテナ31B、第1主アンテナ31A、および第2のスピーカードライバ42Bは、第1自由端部10b近傍においてこの順に配列されており、第2主アンテナ32A、第3副アンテナ33B、第2副アンテナ32B、および第3主アンテナ33Aは、第2自由端部20b近傍においてこの順に配列されている。この構成により、第2主アンテナ32Aおよび第3主アンテナ33Aが左右方向Xにおける外側に配置されているため、第2主アンテナ32Aおよび第3主アンテナ33Aのチューニング難度を下げることができる。また、第1のスピーカードライバ42Aおよび第2のスピーカードライバ42Bが左右対称に配置されているため、ユーザーに対して快適な音響体験を提供することができる。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態では、携帯型情報処理装置1は、第1~第3アンテナ31~33アンテナを備えていたが、他のアンテナをさらに備えていてもよい。また、第1筐体10よび第2筐体20は上記した以外の構成をさらに収容していてもよい。
【0052】
また、第1自由端部10bおよび第2自由端部20bは左右方向Xに沿って延在していなくてもよく、例えば左右方向Xに対して傾いていてもよい。あるいは、第1自由端部10bおよび第2自由端部20bは曲面状に形成されていてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…携帯型情報処理装置 10…第1筐体 10a…第1連結端部 10b…第1自由端部 10c…第1対向面 20…第2筐体 20a…第2連結端部 20b…第2自由端部 20c…第2対向面 31A…第1主アンテナ 31B…第1副アンテナ 32A…第2主アンテナ 32B…第2副アンテナ 33A…第3主アンテナ 33B…第3副アンテナ 40A…第1のスピーカー 40B…第2のスピーカー 42A…第1のスピーカードライバ 42B…第2のスピーカードライバ
図1
図2
図3