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特開2022-183499赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計
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  • 特開-赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計 図1
  • 特開-赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計 図2
  • 特開-赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計 図3
  • 特開-赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計 図4
  • 特開-赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183499
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】赤外光源装置およびフーリエ変換赤外分光光度計
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/45 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01J3/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090850
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上掛 惟史
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CA12
2G020CB05
2G020CC22
2G020CC47
2G020CD03
2G020CD16
2G020CD35
(57)【要約】
【課題】光源温度を目標温度以上に維持しつつ赤外光源装置を小型化する。
【解決手段】赤外光源装置(1)は、加熱されることで赤外光を発するヒータ部(11)と、ヒータ部(11)とは接触しない状態でヒータ部(11)の周囲全周を覆うように配置され、ヒータ部(11)からの赤外光を外部に射出するための穴(21a)が形成されたカバー部材(20)とを備える。カバー部材(20)の素材は、熱反射率が高く、かつヒータ部(11)からの放熱によって変性し難い、純アルミニウム系(純度99%以上のアルミニウム合金)である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されることで赤外光を発するヒータと、
前記ヒータとは接触しない状態で前記ヒータの周囲全周を覆うように配置され、前記ヒータからの赤外光を外部に射出するための穴が形成されたカバー部材とを備え、
前記カバー部材の内壁の素材はアルミニウムまたは金である、赤外光源装置。
【請求項2】
前記カバー部材の素材は、純度99%以上のアルミニウムである、請求項1に記載の赤外光源装置。
【請求項3】
前記ヒータおよび前記カバー部材が嵌合される支持部材をさらに備え、
前記ヒータおよび前記カバー部材が前記支持部材に嵌合された状態において、前記カバー部材は、前記ヒータとは接触しない状態で前記ヒータの周囲全周を覆うように配置される、請求項1または2に記載の赤外光源装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の赤外光源装置を備えるフーリエ変換赤外分光光度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、赤外光源装置およびその赤外光源装置を備えるフーリエ変換赤外分光光度計に関する。
【背景技術】
【0002】
FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計:Fourier Transform Infrared spectroscope)は、赤外光源装置からの赤外光をビームスプリッタで2つに分割して一方を固定鏡、もう一方を移動鏡に照射し、固定鏡で反射された赤外光と移動鏡で反射された赤外光とを再び同一光路に導くことで、干渉光を発生させる。この干渉光は測定対象の試料に照射され、その透過光又は反射光が検出器により検出され、検出器による検出信号がデータ処理装置に送られる。データ処理装置は、検出器による検出信号をフーリエ変換することによりスペクトルを作成し、このスペクトルのピーク波長、ピーク強度等から試料の定性分析や定量分析を行う(たとえば国際公開第2016/166872号参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/166872号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FTIRの赤外光源装置は、一般的に、1000℃程度に加熱されて赤外光を発することで赤外光源として機能するセラミック製のヒータと、そのヒータ(赤外光源)の周囲に覆うように配置された熱伝導率の低い断熱材(多孔質セラミック等)と、断熱材の周囲を覆う金属製カバーとを備えるものが一般的である。このようにヒータを断熱材と金属製カバーとで二層に覆うことで、ヒータの消費電力を抑えつつ、ヒータの温度を目標温度以上に維持することができる。
【0005】
上記のような構造を有する赤外光源装置において、ヒータ(赤外光源)の温度を目標温度以上に維持するためには、断熱材の厚みをある程度の値以上にする必要があるため、赤外光源装置が大型化する要因となり得る。したがって、赤外光源装置を小型化するためには、光源温度を目標温度以上に維持するための部材として断熱材(多孔質セラミック等)以外の選択肢が必要となる。
【0006】
本開示は上記の問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、赤外光源の温度を目標温度以上に維持しつつ赤外光源装置を小型化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による赤外光源装置は、加熱されることで赤外光を発するヒータと、ヒータとは接触しない状態でヒータの周囲全周を覆うように配置され、ヒータからの赤外光を外部に射出するための穴が形成されたカバー部材とを備える。カバー部材の内壁の素材はアルミニウムまたは金である。
【0008】
本開示によるフーリエ変換赤外分光光度計は、上記の赤外光源装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ヒータ(赤外光源)の温度を目標温度以上に維持しつつ赤外光源装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】FTIRの構成の一例を概略的に示す図である。
図2】赤外光源装置1の断面図である。
図3】セラミックヒータの平面図である。
図4】カバー部材の平面図である。
図5図4におけるカバー部材のV-V断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本実施の形態による赤外光源装置1を備えるFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)の構成の一例を概略的に示す図である。
【0013】
このFTIRは、干渉計室400と、放物面鏡432と、試料室470と、楕円面鏡433と、赤外光検出器480とを備える。干渉計室400には、赤外光源装置1、集光鏡431a、コリメータ鏡431b、ビームスプリッタ440、移動鏡450、固定鏡460を含む主干渉計が収容されている。試料室470には、測定対象となる試料Sが収容されている。
【0014】
干渉計室400内の主干渉計において、赤外光源装置1は赤外光を射出する。赤外光源装置1から射出された赤外光は、集光鏡431a、コリメータ鏡431bを経由してビームスプリッタ440で2つに分割される。ビームスプリッタ440で2つに分割される赤外光の一方は固定鏡460、もう一方は移動鏡450で反射され、再び同一光路で合一されて赤外干渉光となる。
【0015】
赤外干渉光は干渉計室400から放物面鏡432に向けて射出され、放物面鏡432により集光された後、試料室470へ入射される。赤外干渉光は、試料Sへ照射されると、試料Sに特有の波長において吸収を受ける。吸収を受けた赤外干渉光は楕円面鏡433を経由して赤外光検出器480で検出され、フーリエ変換されることによりスペクトルが作成される。
【0016】
このようなFTIRでは、移動鏡450の移動速度を一定に保つことで、スペクトルを高い精度で取得することができる。移動鏡450の移動速度の測定には、レーザ光源420、第1及び第2レーザ用反射鏡421、422、ビームスプリッタ440、移動鏡450、固定鏡460から構成されるコントロール干渉計が用いられる。コントロール干渉計では、レーザ光源420から発せられたレーザ光は、第1レーザ光用反射鏡421により赤外光と同じ光路上に導入され、該赤外光と同じ干渉系(ビームスプリッタ440、移動鏡450、固定鏡460)を通過することでレーザ干渉光が生成される。該レーザ干渉光は、第2レーザ光用反射鏡422により赤外干渉光の光路から取り出され、レーザ光検出器490により検出される。検出されたレーザ干渉光に基づいて移動鏡450の移動速度が算出される。
【0017】
図2は、赤外光源装置1の断面図である。赤外光源装置1は、セラミックヒータ10と、円筒状のカバー部材20と、円筒状の支持部材30と、円筒状のケース40とを含む。
【0018】
セラミックヒータ10は、窒化ケイ素SiN等のセラミックを素材とするヒータ部11と、ヒータ部11に電力を供給するための電力線12と、ヒータ部11と電力線12と支持する基部13とを含む。セラミックヒータ10の基部13が支持部材30の根元側の内壁に嵌合されることによって、セラミックヒータ10が支持部材30に固定される。
【0019】
カバー部材20は、先端側の端部が塞がれ、根元側の端部が開口された円筒形状を有する。カバー部材20は、本体部21と、本体部21よりも根元側に配置される嵌合部22とを含む。嵌合部22の厚みは、本体部21の厚みよりも薄く形成されている。カバー部材20の嵌合部22が支持部材30の先端側の内壁に嵌合されることによって、カバー部材20が支持部材30に固定される。
【0020】
セラミックヒータ10およびカバー部材20が支持部材30に嵌合された状態において、カバー部材20は、セラミックヒータ10のヒータ部11とは接触しない状態でヒータ部11の周囲全周を覆うように配置される。
【0021】
ヒータ部11の先端側の領域には、電力線12から供給される電力で発熱する発熱部HAが設けられる。この発熱部HAが1000℃程度に加熱されることによってヒータ部11が赤外光を発する赤外光源として機能する。
【0022】
ケース40は、カバー部材20を覆うように形成される。ケース40の根元側の内壁が支持部材30の外壁に嵌合されることによって、ケース40が支持部材30に固定される。セラミックヒータ10の発熱部HAから発せされる赤外光は、カバー部材20の穴21aを通って、外部に射出される。
【0023】
図3は、セラミックヒータ10の平面図である。図3に示すように、ヒータ部11は、矩形板状に形成されている。図3には、ヒータ部11の主表面11aの法線に沿う方向からセラミックヒータ10を見た状態が示されている。なお、上述の図2には、ヒータ部11の主表面11aに沿う方向から赤外光源装置1を見た状態が示されている。
【0024】
ヒータ部11の長手方向の寸法L1、ヒータ部11の短手方向の寸法L2、およびヒータ部11の厚みは、たとえば、それぞれ50mm程度、5mm程度、および1.5mm程度とすることができる。
【0025】
図4は、カバー部材20の平面図である。図5は、図4におけるカバー部材20のV-V断面図である。上述のように、カバー部材20は、先端側の端部が塞がれ、根元側の端部が開口された円筒形状を有する。
【0026】
カバー部材20の内壁の直径dinは、セラミックヒータ10のヒータ部11の短手方向の寸法L2(たとえば5mm程度)よりも少し大きい値(たとえば8mm程度)に設定されている。
【0027】
カバー部材20の本体部21には、セラミックヒータ10の発熱部HAからの赤外光を外部に射出するための穴21aが形成されている。穴21aの直径はたとえば8mm程度に設定することができる。また、カバー部材20の本体部21の厚みTは、たとえば1.5mm程度に設定することができる。
【0028】
本実施の形態においては、カバー部材20の素材として、熱反射率が高く、かつヒータ部11からの放熱によって変性し難い、純アルミニウム系(純度99%以上のアルミニウム)が採用される。たとえば、JIS(Japanese Industrial Standards)規格でA1000番台のアルミニウム合金、より具体的には、アルミニウム純度99.7%以上のA1070、あるいはアルミニウム純度99.5%以上のA1050が、カバー部材20の素材として採用される。
【0029】
本実施の形態による赤外光源装置1においては、上述のような熱反射率が高い純アルミニウム系を素材とするカバー部材20が、ヒータ部11の周囲全周を覆うように配置される。これにより、ヒータ部11の熱を断熱材を用いて閉じ込めるのではなく、ヒータ部11から放出される熱輻射をヒータ部11に効率良く反射してヒータ部11を加熱することができる。そのため、ヒータ部11の周囲を多孔質セラミック等の断熱材で覆う場合(従来構造相当)に比べて、ヒータ部11の温度を目標温度(たとえば1000℃程度)以上に維持しつつ、カバー部材20の厚みを薄くして赤外光源装置1を小型化することができる。また、純アルミニウム系は多孔質セラミック等の断熱材に比べて安価であるため、赤外光源装置1を低コスト化することもできる。
【0030】
さらに、本実施の形態においては、カバー部材20の素材として、熱反射率が高いことに加えて、熱によって変性し難い(酸化皮膜が形成され難い)純アルミニウム系が採用されている。これにより、カバー部材20の熱反射率が経時劣化することを極力抑えることができる。
【0031】
本願の発明者等は、セラミックヒータ10の消費電力を一定にし、様々な素材のカバーでヒータを覆って、ヒータがどの程度の赤外光を放射しているのか(すなわちヒータ自体がどの程度高温となっているのか)を赤外検出器で確認する実験を行なった。
【0032】
カバーの素材をセラミック(アルミナ)にした場合、アルミナのもともとの放射率が高いのでヒータの温度は低くなった。
【0033】
カバーの素材をステンレス(SUS)にした場合、実験開始当初はステンレスの反射率が高い(すなわち放射率が低い)ためヒータの温度が高くなる。しかしながら、時間の経過とともに徐々にカバー表面に酸化被膜が形成されてカバー表面が黒色に変化し、この影響でステンレスの反射率が低下してヒータの温度が徐々に低くなった。
【0034】
カバーの素材をステンレス(SUS)にしてカバーの内壁に金めっきを施した場合も、同様に、実験開始当初は金めっきの反射率が非常に高くヒータの温度が高くなるが、経時変化でカバー表面が黒色に変化してヒータ温度が低くなった。
【0035】
カバーの素材をステンレス(SUS)にしてカバーの内壁にクロムめっきを施した場合、クロムの反射率が金やアルミと比べて低いため、ヒータ温度は低くなった。
【0036】
カバーの素材をA6061(アルミニウム純度99%未満のアルミニウム合金)とした場合、実験開始当初は反射率が高いためヒータの温度が高くなるが、アルミニウムに添加された合金成分の酸化被膜によりヒータの温度が徐々に低くなった。
【0037】
カバーの素材をA1050(アルミニウム純度99.5%以上のアルミニウム合金)とした場合、反射率が高くヒータの温度が高い値に維持され、かつ酸化被膜の影響もほぼ無く経時的な温度低下も見られなかった。これらの実験結果から、本実施の形態のようにカバー部材20の素材を純アルミニウム系(純度99%以上のアルミニウム)とすることで、最も良好な結果が得られることが理解できる。
【0038】
さらに、本実施の形態による赤外光源装置1においては、セラミックヒータ10およびカバー部材20を支持部材30に嵌合させる構造にすることによって、カバー部材20がヒータ部11に接触することを容易かつ適切に抑制することができる。すなわち、仮にカバー部材20にヒータ部11を挿入する際にカバー部材20に対してヒータ部11が傾いていたとしても、最終的には支持部材30に嵌合されることで、カバー部材20をヒータ部11とは接触しない状態で固定することができる。これにより、ヒータ部11がアルミニウムの融点660℃よりも高い1000℃以上になる場合であっても、カバー部材20の温度をアルミニウムの融点660℃よりも低い状態に維持することができる。その結果、カバー部材20がヒータ部11からの熱によって融解して変形してしまうことを適切に抑制することができる。
【0039】
なお、細かな加工が難しい多孔質セラミック等の断熱材をヒータ部11に接触しない状態で固定するためには固定用の金属カバーを断熱材の周囲に別途設ける等の措置が必要になる場合がある。これに対し、本実施の形態による赤外光源装置1においては、カバー部材20の素材を細かな加工が容易なアルミニウムにしているため、固定用の金属カバーを別途設ける必要はなく、赤外光源装置1の構造を簡素化することができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態においては、ヒータ部11(赤外光源)の温度を目標温度以上に維持しつつよる赤外光源装置1を小型化および低コスト化することができる。
【0041】
[変形例]
上述の実施の形態においてはカバー部材20の素材を純アルミニウム系とする場合について説明した。しかしながら、カバー部材20の素材は必ずしも純アルミニウム系に限定されない。たとえば、カバー部材20の素材を金としてもよい。
【0042】
また、カバー部材20の内壁の素材が純アルミニウム系または金であれば、必ずしもカバー部材20の素材そのものは純アルミニウム系または金でなくてもよい。たとえば、カバー部材20の素材を純アルミニウムおよび金以外の素材とした上で、カバー部材20の内壁に純アルミニウム系または金を蒸着させるようにしてもよい。
【0043】
また、カバー部材20の素材を純度99%未満のアルミニウム合金としてもよい。ただし、上述したように酸化皮膜による劣化を抑制するためには、アルミニウム合金の純度を極力99%に近い値にすることが好ましい。
【0044】
[態様]
上述した実施の形態およびその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0045】
(第1項) 一態様に係る赤外光源装置は、加熱されることで赤外光を発するヒータと、ヒータとは接触しない状態でヒータの周囲全周を覆うように配置され、ヒータからの赤外光を外部に射出するための穴が形成されたカバー部材とを備える。カバー部材の内壁の素材はアルミニウムまたは金である。
【0046】
第1項に記載の赤外光源装置によれば、熱反射率の高いアルミニウムまたは金を素材とする内壁を有するカバー部材が、ヒータの周囲全周を覆うように配置される。これにより、ヒータからの熱輻射をカバー部材の内壁で効率よくヒータに反射してヒータを加熱することができる。これにより、断熱材を用いる場合に比べて、ヒータを高温に維持しつつ、カバー部材の厚みを薄くできる。その結果、ヒータ温度を目標温度以上に維持しつつ赤外光源装置を小型化することができる。
【0047】
(第2項) 第1項に記載の赤外光源装置においては、カバー部材の素材は、純度99%以上のアルミニウムである。
【0048】
第2項に記載の赤外光源装置によれば、カバー部材の素材を純度99%以上のアルミニウムとすることで、ヒータからの熱輻射を効率よくヒータに反射してヒータを加熱することができる。さらに、カバー部材の素材をたとえばセラミック(アルミナ)、ステンレス(SUS)、純度99%未満のアルミニウムとする場合に比べて、カバー部材の表面に酸化被膜を形成し難くすることができるため、カバー部材の熱反射率の経時的な劣化を抑制し易くすることができる。
【0049】
(第3項) 第1項または第2項に記載の赤外光源装置においては、ヒータおよびカバー部材が嵌合される支持部材をさらに備える。ヒータおよびカバー部材が支持部材に嵌合された状態において、カバー部材は、ヒータとは接触しない状態でヒータの周囲全周を覆うように配置される。
【0050】
第3項に記載の赤外光源装置によれば、ヒータおよびカバー部材を支持部材に嵌合させる構造にすることによって、カバー部材がヒータに接触することを容易かつ適切に抑制することができる。
【0051】
(第4項) 一態様に係るフーリエ変換赤外分光光度計は、第1~3項のいずれかに記載の赤外光源装置を備える。
【0052】
このフーリエ変換赤外分光光度計によれば、ヒータ温度を目標温度以上に維持しつつ小型化された赤外光源装置を備えるフーリエ変換赤外分光光度計を実現することができる。
【0053】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 赤外光源装置、10 セラミックヒータ、11 ヒータ部、11a 主表面、12 電力線、13 基部、20 カバー部材、21 本体部、21a 穴、22 嵌合部、30 支持部材、40 ケース、400 干渉計室、420 レーザ光源、421 第1レーザ光用反射鏡、422 第2レーザ光用反射鏡、431a 集光鏡、431b コリメータ鏡、432 物面鏡、433 楕円面鏡、440 ビームスプリッタ、450 移動鏡、460 固定鏡、470 試料室、480 赤外光検出器、490 レーザ光検出器、HA 発熱部。
図1
図2
図3
図4
図5