(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183516
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ライトユニット及び傾斜車両
(51)【国際特許分類】
B62J 6/026 20200101AFI20221206BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20221206BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20221206BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20221206BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20221206BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20221206BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20221206BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20221206BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20221206BHJP
F21W 102/19 20180101ALN20221206BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221206BHJP
F21Y 103/33 20160101ALN20221206BHJP
【FI】
B62J6/026
F21S43/14
F21S43/241
F21S43/243
F21S43/249
F21S43/20
F21W103:55
F21W103:10
F21W102:30
F21W102:19
F21Y115:10
F21Y103:33
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090875
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】相根 一成
(72)【発明者】
【氏名】井上 武宏
(57)【要約】
【課題】大型化及びLEDの数の増加を抑制しつつ、傾斜車両の視認性を高めるライトユニットを提供する。
【解決手段】ライトユニット1は、LED125と、インナーレンズ126と、アウターカバー124と、を備える。インナーレンズ126は、受光面1261と、発光面1262と、テーパ部1263と、を含む。テーパ部1263は、受光面1261と発光面1262とを繋ぐ。インナーレンズ126は、テーパ部1263の幅Wが受光面1261から発光面1262に向かって連続的に細くなることにより、発光面1262の幅W2が受光面1261の幅W1よりも小さくなり、且つ、インナーレンズ126の最大幅W1が、インナーレンズ126における最大幅W1の位置から受光面1261までの光軸LAに沿った方向の長さL1よりも大きくなるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜車両の車体の前部に取り付けられるライトユニットであって、
前記傾斜車両の前方に向かって光軸が伸びるように光を照射するLEDと、
前記LEDの前方に配置され、前記光を内部で反射させながら集めるインナーレンズと、
少なくとも一部が、前記インナーレンズの前方に配置され、かつ、前記傾斜車両の外装を構成し、前記インナーレンズから前方に照射される光を、リフレクタを介さずに受け、前方に透過させるように構成されたアウターカバーと、を備え、
前記インナーレンズは、
前記光軸と交差し、前記LEDに向かって凸を成して湾曲する受光面と、
前記光軸と交差し、前記受光面の前方に配置される発光面と、
前記受光面と前記発光面とを繋ぐテーパ部と、を含み、
前記インナーレンズは、
前記テーパ部の幅が前記受光面から前記発光面に向かって連続的に細くなることにより、前記発光面の幅が前記受光面の幅よりも小さくなり、且つ、前記インナーレンズの最大幅が、前記インナーレンズにおける前記最大幅の位置から前記受光面までの前記光軸に沿った方向の長さよりも大きくなるように構成される、ライトユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のライトユニットであって、
前記インナーレンズの最大幅は、前記受光面から前記発光面までの前記光軸に沿った方向の長さよりも短い、ライトユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のライトユニットであって、
前記発光面は、段差を有する、ライトユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のライトユニットであって、
前記傾斜車両の正面視で、前記発光面は、環形状を有し、前記発光面の内側に向かうにつれて低くなる段差を有する、ライトユニット。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のライトユニットであって、
前記傾斜車両の正面視で、環状に配列された複数の前記LEDを備え、
前記インナーレンズは、
前記複数のLEDの前方に配置され、前記傾斜車両の前方に向かって先細りした円筒形状を有する、ライトユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のライトユニットであって、
前記受光面は、前記複数のLEDの配列方向に沿って延伸する、ライトユニット。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のライトユニットであって、
前記テーパ部は、前記受光面から入射した前記光の入射角が、前記光が前記テーパ部の周面において全反射する臨界角より大きくなるように、前記傾斜車両の前方に対して勾配を有する、ライトユニット。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のライトユニットであって、
前記傾斜車両は、鞍乗型車両である、ライトユニット。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のライトユニットを備える、傾斜車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトユニット及び当該ライトユニットを備えた傾斜車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車に代表される傾斜車両は、傾斜車両の前方を照らすヘッドライトユニットを備えている。また、傾斜車両は、ヘッドライトと目的が異なるライトユニットを備えていることがある。
【0003】
例えば、特許文献1は、デイタイムランニングライトとして用いることができるライトユニットを開示する。デイタイムランニングライトは、主として第三者が車両を視認しやすいようにする機能を有する。このライトユニットは、LEDと、LEDの前方に配置された導光体と、を備える。導光体は、板状である。導光体は、LEDからの光を受ける後面と、受けた光を照射する前面とを含む。導光体は、特許文献1の
図3に示されるように、後面から前方に向かって所定の位置まで上下方向に徐々に太くなるように構成される。導光体は、所定の位置から前面まで上下方向に徐々に細くなるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大型化及びLEDの数の増加を抑制しつつ、傾斜車両の視認性を高めるライトユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
導光体は、LEDから照射された光を集めるために設けられる。集光を効率的にするには、導光体を通る光が、導光体と外部との境界面において全反射されることが望ましい。特許文献1の導光体において、境界面は、後面から所定の位置まで上下方向に徐々に広がる。そのため、入射角が大きくなりやすく、LEDから照射された光が境界面で全反射しやすい。一方、この導光体において、境界面は、所定の位置から前面まで上下方向に徐々に狭まる。このように一旦広がった境界面が途中で狭まる構造を有する導光体では、境界面の角度が急激に変わる。そのため、例えば、広がる境界面で反射した光が、狭まる境界面に入射する際、入射角が小さくなりやすく、全反射しにくい。すなわち、導光体を通る光が、外部に漏れやすく、効率的に集められにくい。
【0007】
集光効率が低いと、ライトユニットが照射する光の光度が低くなり、第三者に対して車両の視認性をより向上させることが難しくなる。この対策として、LEDの数を増やすことが考えられる。しかしながら、LEDの数が増加すると、LEDを取り付ける基板及びLEDを制御する基板が大きくなり、ライトユニットが大型化する。
【0008】
本発明者らは、上述の課題を解決するための検討を行い、次の知見を得た。本発明者らは、特許文献1の導光体において、導光体の前面から後面までの距離を長くすることを考えた。前面から後面までの距離が長くなれば、導光体が上下方向に太い部分及び細い部分を含んでいたとしても、入射角が大きくなりやすく、集光効率の低下が抑制される。しかしながら、この場合、導光体が大きくなり、ライトユニットが大型化する。そこで、本発明者らは、導光体の一部を太くしなければ、集光効率の低下が抑制され、かつ、ライトユニットの大型化も抑制されると考えた。本発明は、このような知見に基づいて完成された。
【0009】
(1)本発明のライトユニットは、傾斜車両の車体の前部に取り付けられる。ライトユニットは、LEDと、インナーレンズと、アウターカバーと、を備える。LEDは、傾斜車両の前方に向かって光軸が伸びるように光を照射する。インナーレンズは、LEDの前方に配置され、光を内部で反射させながら集める。アウターカバーは、少なくとも一部が、インナーレンズの前方に配置され、かつ、傾斜車両の外装を構成し、インナーレンズから前方に照射される光を、リフレクタを介さずに受け、前方に透過させるように構成される。インナーレンズは、受光面と、発光面と、テーパ部と、を含む。受光面は、光軸と交差し、LEDに向かって凸を成して湾曲する。発光面は、光軸と交差し、受光面の前方に配置される。テーパ部は、受光面と発光面とを繋ぐ。インナーレンズは、テーパ部の幅が受光面から発光面に向かって連続的に細くなることにより、発光面の幅が受光面の幅よりも小さくなり、且つ、インナーレンズの最大幅が、インナーレンズにおける最大幅の位置から受光面までの光軸に沿った方向の長さよりも大きくなるように構成される。
【0010】
上記(1)のライトユニットでは、インナーレンズが、傾斜車両の前方に向かって先細りするテーパ部を含む。すなわち、テーパ部の幅は、広がることがない。この場合、インナーレンズに入射した光がテーパ部と外部との境界面で繰り返し反射する際、入射角が大きくなりやすい。そのため、当該光は、境界面に当たる毎に全反射しやすく、インナーレンズの外部に漏れにくい。言い換えれば、このような構成のインナーレンズは、LEDから受けた光を効率的に集めることができる。したがって、入射角を大きくするためにインナーレンズを大きくする必要がなく、少ないLEDの数でも所定の光量の光を照射することができる。よって、ライトユニットの大型化及びLEDの数の増加を抑制しつつ、傾斜車両の視認性を高めることができる。
【0011】
(2)上記(1)のライトユニットにおいて、インナーレンズの最大幅は、受光面から発光面までの光軸に沿った方向の長さよりも短くてもよい。
【0012】
上記(2)のライトユニットでは、インナーレンズが、受光面から発光面に向かう方向に長い。そのため、テーパ部の幅が徐々に狭くなり、テーパ部の境界面に当たる光の入射角がより大きくなりやすい。したがって、インナーレンズが、LEDから受けた光をより効率的に集めることができる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)のライトユニットにおいて、発光面は、段差を有していてもよい。
【0014】
LEDから照射された光は、インナーレンズの受光面から入射し、テーパ部を通り、発光面から照射される。上記(3)のライトユニットによれば、インナーレンズの発光面から照射される光が拡散されやすい。したがって、傾斜車両の視認性がより高まる。
【0015】
(4)上記(1)~(3)のいずれかのライトユニットにおいて、傾斜車両の正面視で、発光面は、環形状を有し、発光面の内側に向かうにつれて低くなる段差を有していてもよい。
【0016】
上記(4)のライトユニットによれば、インナーレンズの発光面から照射される光が拡散しやすい。さらに、第三者が傾斜車両を見たとき、発光する環形状を見ることになる。したがって、傾斜車両の視認性がより高まる。
【0017】
(5)上記(1)~(4)のいずれかのライトユニットは、傾斜車両の正面視で、環状に配列された複数のLEDを備えていてもよい。この場合、インナーレンズは、複数のLEDの前方に配置され、傾斜車両の前方に向かって先細りした円筒形状を有する。
【0018】
上記(5)のライトユニットによれば、LEDが複数設けられるため、ライトユニットの光量を多くすることができる。したがって、傾斜車両の視認性がより高まる。
【0019】
(6)上記(5)のライトユニットにおいて、受光面は、複数のLEDの配列方向に沿って延伸していてもよい。
【0020】
上記(6)のライトユニットによれば、インナーレンズは、全てのLEDが照射する光を受けることができる。したがって、ライトユニットが複数のLEDを備える場合であっても、インナーレンズはLEDから受けた光をより効率的に集めることができる。
【0021】
(7)上記(1)~(6)のいずれかのライトユニットにおいて、テーパ部は、受光面から入射した光の入射角が、光がテーパ部の周面において全反射する臨界角より大きくなるように、傾斜車両の前方に対して勾配を有していてもよい。
【0022】
上記(7)のライトユニットでは、インナーレンズに入射した光が、テーパ部の周面(外部との境界面)で全反射する。したがって、インナーレンズはLEDから受けた光をより効率的に集めることができる。
【0023】
(8)上記(1)~(7)のいずれかのライトユニットにおいて、傾斜車両は、鞍乗型車両であってもよい。
【0024】
(9)本発明の傾斜車両は、上記(1)~(8)のいずれかのライトユニットを備える。
【0025】
「傾斜車両」は、輸送機器である。傾斜車両は、有人の乗物、又は無人の輸送機関である。傾斜車両は、例えば鞍乗型車両である。鞍乗型車両とは、運転者がサドルに跨って着座する形式の車両をいう。傾斜車両は、例えば自動二輪車、自動三輪車である。自動二輪車としては、特に限定されず、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。また、傾斜車両は、鞍乗型車両に限定されず、車室を有する3輪車、4輪車両等であってもよい。車室を有する傾斜車両は、例えば、運転者が跨らずに座るためのシートを備えていてもよい。
【0026】
傾斜車両は、車体が傾斜した状態で旋回可能に構成される。傾斜車両は、旋回時に傾斜車両に加わる遠心力に対向するために、カーブの内方に傾いた姿勢で旋回するように構成される。傾斜車両は、例えば2つの前輪を操舵輪として備えていてもよい。傾斜車両は、例えば1つ又は2つの後輪を駆動輪として備えていてもよい。傾斜車両は、例えば、バーハンドルを有する。傾斜車両は、例えば、ライダーの体重移動を伴う姿勢制御により旋回されるように構成される。傾斜車両では、小型化に対する強い要請がある。そのため、傾斜車両に搭載されるライトユニットについても、大型化が抑制されることが好ましい。
【0027】
「ライトユニット」は、例えば、傾斜車両のヘッドライトユニットとして機能する。ライトユニットの少なくとも一部は、傾斜車両の外部に露出する。ここでいう傾斜車両の外部に露出する部分は、例えば、傾斜車両の前から視認可能な部分である。ライトユニットは、例えば、傾斜車両のステアリングよりも前方に配置される。1台の傾斜車両に設けられるライトユニットの個数は、特に限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。ライトユニットは、複数のモジュールで構成される組立品である。
【0028】
ライトユニットは、例えば、車両視認ライトを照射する。車両視認ライトは、傾斜車両の前方、左方及び右方の少なくともいずれかを照らし、第三者に対して傾斜車両の視認性を向上させる機能を有する。車両視認ライトとしては、例えばデイタイムランニングライト、ポジションライトが挙げられる。車両視認ライトは、デイタイムランニングライト及びポジションライトのいずれかとして機能してもよい。車両視認ライトは、デイタイムランニングライト及びポジションライトの双方として機能してもよい。この場合、デイタイムランニングライトとポジションライトとを切り替えるスイッチが傾斜車両に設けられる。デイタイムランニングライト及びポジションライトは、車両視認ライトの一例である。
【0029】
ただし、ライトユニットは、例えば、補助ヘッドライトを照射してもよい。補助ヘッドライトは、傾斜車両の前方を照らし、ヘッドライトを補助する機能を有する。補助ヘッドライトとしては、例えばフォグライト、コーナリングライトが挙げられる。フォグライトは、視界不良時等においてヘッドライトの補助的な役割を担う。コーナリングライトは、傾斜車両の旋回時に点灯し、旋回方向を照らす。
【0030】
「LED」は、例えば、照射面を傾斜車両の前方に向けて配置される。LEDは、例えば、光軸が傾斜車両の前後方向に沿うように配置される。LEDの個数は、1つであってもよく、複数であってもよい。LEDは、例えば白色光を照射する。LEDは、用途に応じて、黄色光等の白色光以外の光を照射してもよい。LEDの色温度は、例えば、白色光の場合では5,000~6,000K(ケルビン)であり、黄色光の場合では2,700~3,000Kである。LEDの光度は、例えば、デイタイムランニングライト、フォグライト及びコーナリングライトの場合では1,200cd(カンデラ)以下であり、ポジションライトの場合では40cd以下である。
【0031】
LEDの「光軸」は、LEDの照射面の中心から当該照射面に垂直な方向に伸びる仮想軸である。光軸は、例えば、傾斜車両の前後方向と一致又は実質的に一致する。LEDが照射面に平行な平面に光を照射したとき、LEDの光度は光軸上で最大となる。なお、「実質的に一致する」とは、設計上の公差及び/又は製造上の誤差が許容され得ることをいう。ライトユニットが複数のLEDを有する場合、各LEDの光軸の向きは、必ずしも、同じである必要はない。ライトユニットが複数のLEDを有する場合、インナーレンズは、複数の光軸通過部分を有する。この場合、インナーレンズは、少なくとも1つの光軸通過部分において、特許請求の範囲に規定された、インナーレンズに係る要件を満たしてもよく、全ての光軸通過部分において、当該要件を満たしてもよい。LEDの光軸は、リフレクタで反射することなく直進し、受光面、発光面、アウターレンズと、この順に交差する。
【0032】
「インナーレンズ」は、LEDから受けた光を任意の方向に照射する導光体として機能する。インナーレンズは、例えば、錐台形状を有する。インナーレンズは、円錐台形状を有していてもよいし、角錐台形状を有していてもよい。インナーレンズは、例えば、錐台の高さ方向と傾斜車両の前後方向とが一致又は実質的に一致するように配置される。インナーレンズは、中央に前後方向に伸びる貫通孔を有していてもよい。すなわち、インナーレンズは、前方に向かって先細りした筒形状を有していてもよい。例えば、インナーレンズは、前方に向かって先細りした角筒形状又は円筒形状を有していてもよい。また、インナーレンズは、先細りした筒形状の一部を切り取った形状を有していてもよい。例えば、インナーレンズは、正面視で、円弧形状を有していてもよい。インナーレンズの個数は、1つであってもよく、複数であってもよい。インナーレンズは、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の有機ガラス製である。
【0033】
インナーレンズにおいて「幅」は、例えば、LEDの光軸を含む何れか1つの平面で切断した断面視で、光軸に垂直な方向の長さを指す。インナーレンズは、例えば、LEDの光軸を含む何れか1つの平面で切断した断面視で、特許請求の範囲に規定された、インナーレンズに係る要件を満たす。例えば、インナーレンズが傾斜車両の正面視で筒形状を有する場合、インナーレンズの幅は、インナーレンズの半径方向の長さを指す。
【0034】
「受光面」は、インナーレンズの後面を構成する。受光面は、LEDが照射する光を直接的に受ける面である。受光面は、LEDから反射又は屈折されずに到達する光を受ける。受光面は、LEDに向かって突出する曲面である。受光面は、例えば、非球面形状を有する。受光面は、球面形状を有していてもよい。この場合、受光面の少なくとも一部は、球体の表面の一部を切り取った形状を有し、半球面より小さい面積を有する。受光面は、LEDの光軸を含む何れか1つの平面で切断した断面視で、光軸に垂直な方向との成す角が45度以下の接線を有する。受光面は、例えば、LEDの光軸を含む何れか1つの平面で切断した断面視において、インナーレンズの最大幅の位置に最大幅を直径として仮想的に描かれる仮想円の中に含まれる。受光面の幅は、例えば、インナーレンズの後ろからインナーレンズを見た時のインナーレンズの最大幅に相当する。光軸上における受光面とLEDとの距離は、例えば、インナーレンズの最大幅よりも短い。光軸上におけるインナーレンズの最大幅の位置とLEDとの距離は、例えば、光軸上におけるインナーレンズの最大幅の位置と発光面との距離よりも短い。なお、インナーレンズの最大幅に対応する一端点と他端点とが、光軸の前後方向において互いに異なる位置に位置する場合、インナーレンズの最大幅の位置は、前記一端点と前記他端点のうち、よりLEDに近い端点を通る位置であるとして定義されてよい。インナーレンズの最大幅の位置として複数の位置が特定可能である場合、LEDに最も近い位置が、インナーレンズの最大幅の位置として定義されてよい。
【0035】
「発光面」は、インナーレンズの前面を構成する。発光面は、ライトユニットを前から見て、視認可能である。発光面は、受光面が受けた光を前方、上方、下方、左方及び右方の少なくとも1つの方向に照射する。発光面は、平坦な面であってもよいし、段差を有していてもよい。発光面の段差の数は、1段でもよいし、複数段でもよい。発光面の幅は、例えば、インナーレンズの前からインナーレンズを見た時に、インナーレンズ内部からインナーレンズ外部へ光が透過する面の幅に相当する。発光面は、光軸又は傾斜車両の前後方向における複数箇所に存在する場合がある。発光面が段差を有する場合、各段に相当する部分は、当該前後方向において互いに異なる位置に存在する。このような場合、当該前後方向における発光面の位置は、例えば、最前方の位置であるとして定義される。
【0036】
「テーパ部」は、インナーレンズにおける受光面と発光面との間の部分を構成する。テーパ部は、受光面が受けた光を集め、発光面まで導く。テーパ部は、受光面から発光面に向かって細くなる。テーパ部は、光軸を含む何れか1つの平面で切断した断面視で、受光面から発光面に向かって太くならなければよく、一定の太さの部分を含んでいてもよい。インナーレンズが前方に向かって先細りした筒形状を有する場合、テーパ部は、外周面と内周面とを含む。外周面及び内周面は、受光面からテーパ部に入射した光を全反射又は実質的に全反射させ、前方に集める。外周面及び内周面は、それぞれ、例えば、前方向に対して0度以上、10度以下の勾配を有する。勾配の上限は、8度以下であるのが好ましい。より好ましくは、勾配の上限は、4度以下である。外周面及び内周面の勾配は、それぞれ、一定であってもよいし、変化してもよい。外周面の勾配は、内周面と同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、インナーレンズが中実の錐台形状を有する場合、テーパ部は、上述の外周面のみを有する。
【0037】
「アウターカバー」は、例えば、少なくともインナーレンズの発光面を覆う。アウターカバーは、インナーレンズの発光面及びテーパ部を覆ってもよい。アウターカバーは、インナーレンズから照射された光を直接受ける。アウターカバーは、インナーレンズから照射され、反射及び屈折せずに到達する光を受ける。アウターカバーは、レンズ又はリフレクタのいずれの機能も有さない。アウターカバーは、例えば、透明色を有する。
【0038】
この発明の上述の目的及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0039】
本明細書にて使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は1つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム(items)のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0040】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0041】
本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0042】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ライトユニットの大型化及びLEDの数の増加を抑制しつつ、傾斜車両の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1(a)は本実施形態の傾斜車両の側面図であり、
図1(b)は本実施形態のライトユニットに含まれる1つのモジュールの分解斜視図であり、
図1(c)はインナーレンズの斜視図であり、
図1(d)はインナーレンズを光軸を含む面で切断した断面図である。
【
図2】
図2(a)は本実施形態のライトユニットの斜視図であり、
図2(b)は本実施形態のライトユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のライトユニットを上下方向及び前後方向を含む面で切断した断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のライトユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1(a)~(d)を参照して、本実施形態の傾斜車両及びライトユニットについて概略的に説明する。
【0046】
図1(a)は、本実施形態の傾斜車両の側面図である。傾斜車両100は、例えば自動二輪車である。自動二輪車は、鞍乗型車両の一例である。傾斜車両100は、ライトユニット1と、車体2とを備える。
【0047】
ライトユニット1は、例えば概略砲弾形状を有する。ライトユニット1は、例えば、ヘッドライトユニットとして機能する。ライトユニット1は、複数のモジュールを組み合わせて構成される。ライトユニット1は、各モジュールを取り外すことなく、一まとめのユニットの状態で傾斜車両100に着脱可能である。ライトユニット1は、傾斜車両100の前部に取り付けられる。ライトユニット1は、例えば、車体2にブラケットを介して取り付けられる。ライトユニット1の少なくとも一部は、傾斜車両100の外部に露出する。
【0048】
図1(b)は、本実施形態のライトユニットに含まれる1つのモジュールの分解斜視図である。ライトユニット1は、複数のLED125と、インナーレンズ126と、アウターカバー124と、を備える。複数のLED125は、環状に配列される。複数のLED125は、配列方向に等間隔に配列される。インナーレンズ126は、複数のLED125の前方に配置され、傾斜車両100の前方Fに向かって先細りした円筒形状を有する。アウターカバー124の少なくとも一部は、インナーレンズ126の前方に配置され、かつ、傾斜車両100の外装を構成する。アウターカバー124の少なくとも一部は、アウターカバー124の前面を構成する。アウターカバー124の少なくとも一部は、インナーレンズ126から前方Fに照射される光を、リフレクタを介さずに受け、前方Fに透過させるように構成される。
【0049】
図1(c)は、インナーレンズの斜視図である。インナーレンズ126は、先細りした円筒形状を有する。インナーレンズ126は、受光面1261と、発光面1262と、テーパ部1263と、を含む。インナーレンズ126は、受光面1261を後方Bに向けて配置される。
【0050】
図1(d)は、インナーレンズを光軸を含む面で切断した断面図である。受光面1261は、光軸LAと交差し、LED125に向かって凸を成して湾曲する。受光面1261は、複数のLED125の配列方向に沿って延伸する。
【0051】
発光面1262は、光軸LAと交差し、受光面1261の前方Fに配置される。発光面1262は、傾斜車両100の正面視で、環形状を有する。発光面1262は、発光面1262の内側に向かうにつれて低くなる段差を有する。
【0052】
テーパ部1263は、受光面1261と発光面1262とを繋ぐ。テーパ部1263は、受光面1261から入射した光の入射角αが、テーパ部1263の外周面及び内周面において光が全反射する臨界角より大きくなるように、傾斜車両100の前方Fに対して勾配を有する。なお、臨界角は、インナーレンズ126の材質等に依存する。
【0053】
インナーレンズ126は、テーパ部1263の幅Wが受光面1261から発光面1262に向かって連続的に細くなることにより、発光面1262の幅W2が受光面1261の幅W1よりも小さくなり、且つ、インナーレンズ126の最大幅(受光面の幅W1)が、インナーレンズ126における最大幅の位置から受光面1261までの光軸LAに沿った方向の長さL1よりも大きくなるように構成される。インナーレンズ126の最大幅(受光面の幅W1)は、受光面1261から発光面1262までの光軸LAに沿った方向の長さL2よりも短い。なお、本実施形態では、光軸LAは、傾斜車両100の前後方向と平行である。
【0054】
図1(b)に示すモジュールは、例えば、他のモジュールと組み合わせられ、
図2(a)に示されるように一まとめのライトユニットを構成する。
【0055】
図2(b)は、本実施形態のライトユニットの分解斜視図である。ライトユニット1は、ヘッドライトモジュール11と、サブライトモジュール12と、カバーモジュール13と、サポート部材14と、電力供給モジュール15と、を備える。
【0056】
ヘッドライトモジュール11は、傾斜車両100の前方を照らし、ライダーに対して前方の視認性を向上させる機能を有する。ヘッドライトモジュール11は、概略箱形状を有する。ヘッドライトモジュール11は、ヘッドライト用のLEDを含む。ヘッドライト用のLEDは、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、ヘッドライトモジュール11は、防水構造を有する。なお、防水構造は、対象物をその機能を失わないように水等の液体から保護する仕組みを指す。他方、後述の非防水構造は、上述の防水構造以外の仕組みを指す。
【0057】
サブライトモジュール12は、
図1(b)に示すモジュールの一例である。サブライトモジュール12は、正面視で概略環形状を有する。サブライトモジュール12は、上述のLEDを含む。以下、サブライトモジュール12に含まれるLEDをサブライト用のLEDと称する。サブライト用のLEDは、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、サブライトモジュール12は、防水構造を有する。
【0058】
カバーモジュール13は、概略円筒箱形状を有する。カバーモジュール13は、ヘッドライトモジュール11の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の少なくとも一部を覆う。この状態で、ヘッドライトモジュール11の前面の少なくとも一部とサブライトモジュール12の前面の少なくとも一部とは、傾斜車両100の前から視認可能である。カバーモジュール13は、非防水構造を有する。
【0059】
サポート部材14は、車体2に取り付けられる取付部141を有する。サポート部材14は、取付部141が車体2に取り付けられるように取付部141の少なくとも一部をカバーモジュール13の外部へ露出させるように構成される。サポート部材14は、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、カバーモジュール13及び電力供給モジュール15の全てを別個に支持する。
【0060】
電力供給モジュール15は、概略箱形状を有する。電力供給モジュール15は、ヘッドライトモジュール11に電力を供給する。ただし、電力供給モジュール15は、ヘッドライトモジュール11及びサブライトモジュール12の双方に電力を供給してもよいし、いずれか一方にのみ電力を供給してもよい。電力供給モジュール15は、バッテリ等の電源装置に接続され、ヘッドライトモジュール11に供給する電圧、電流等を調整する。電力供給モジュール15の電装品は、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、電力供給モジュール15は、防水構造を有する。
【0061】
以下、
図3を参照して、本実施形態のライトユニットの各モジュールについてより詳細に説明する。
図3は、本実施形態のライトユニットを上下方向UD及び前後方向FBを含む面で切断した断面図である。なお、上下方向UD、前後方向FB、左右方向LRは、ライトユニット1が搭載された直立状態の傾斜車両100を基準として定義される。
【0062】
ヘッドライトモジュール11は、ハウジング113と、アウターレンズ114と、ヘッドライト用のLED115と、インナーレンズ116とを含む。
【0063】
ハウジング113は、前面に開口部1131が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、ハウジング113は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。
【0064】
アウターレンズ114は、ハウジング113の前方Fに配置される。アウターレンズ114は、概略ドーム形状を有する。アウターレンズ114は、例えば平凸レンズである。アウターレンズ114は、凸面を前方Fに向けて配置される。アウターレンズ114は、例えばねじ、接着剤等によってハウジング113に取り付けられる。アウターレンズ114は、ハウジング113とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、ヘッドライト用のLED115及びインナーレンズ116が収容される。
【0065】
ヘッドライト用のLED115は、図示しない基板に取り付けられる。ヘッドライト用のLED115は、照射面を前方Fに向けて配置される。ヘッドライト用のLED115は、例えば白色光を前方Fに向けて照射する。ヘッドライト用のLED115の色温度は、例えば5,000~6,000Kである。ヘッドライト用のLED115の光度は、例えば15,000cd以上である。
【0066】
インナーレンズ116は、ヘッドライト用のLED115とアウターレンズ114との間に配置される。インナーレンズ116は、例えば平凸レンズである。インナーレンズ116は、凸面を前方Fに向けて配置される。インナーレンズ116は、アウターレンズ114とともにヘッドライト用のLED115から照射された光を集め、所望の照射領域を形成する。
【0067】
サブライトモジュール12は、ヘッドライトモジュール11を取り囲むように配置される。サブライトモジュール12は、中央に空洞部120を有する。空洞部120には、ヘッドライトモジュール11が配置される。より詳細には、サブライトモジュール12は、例えばヘッドライトモジュール11のアウターレンズ114を取り囲む。サブライトモジュール12とヘッドライトモジュール11との間には、隙間SPが設けられる。隙間SPは、正面視で、ヘッドライトモジュール11の周囲全体にわたって設けられる。
【0068】
本実施形態では、サブライトモジュール12は、デイタイムランニングライト及びポジションライトとして機能する。サブライトモジュール12がデイタイムランニングライト及びポジションライトのいずれとして機能するかは、図示しない切替スイッチによって制御される。切替スイッチは、例えば傾斜車両100のステアリングに設けられる。
【0069】
サブライトモジュール12は、ハウジング123と、アウターカバー124と、サブライト用のLED125と、インナーレンズ126と、制御基板127と、LED基板128とを含む。
【0070】
ハウジング123は、前面に開口部が設けられた概略環形状を有する。ハウジング123の環部分は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。
【0071】
アウターカバー124は、ハウジング123の前方Fに配置される。アウターカバー124は、後面に開口部が設けられた概略円筒形状を有する。アウターカバー124は、全体として、透明色を有する。アウターカバー124は、例えばねじ、接着剤等によってハウジング123に取り付けられる。アウターカバー124は、ハウジング123とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、制御基板127、サブライト用のLED125、インナーレンズ126及びLED基板128が収容される。
【0072】
制御基板127は、ハウジング123に取り付けられる。制御基板127は、図示しないバッテリ等の電源装置及びLED基板128と電気的に接続される。制御基板127は、サブライト用のLED125に電力を供給する。制御基板127は、図示しない切替スイッチからの信号に対応して、サブライト用のLED125の光度を調整する。制御基板127の前方Fには、LED基板128及びサブライト用のLED125が配置される。
【0073】
サブライト用のLED125は、LED基板128に取り付けられる。サブライト用のLED125は、照射面を前方Fに向けて配置される。サブライト用のLED125は、例えば白色光を前方Fに向けて照射する。サブライト用のLED125の色温度は、例えば5,000Kである。サブライト用のLED125の光度は、例えば、デイタイムランニングライトの場合では1,000cdであり、ポジションライトの場合では30cdである。サブライト用のLED125の光度は、ヘッドライト用のLED115の光度よりも小さい。
【0074】
インナーレンズ126は、サブライト用のLED125とアウターカバー124との間に配置される。インナーレンズ126の詳細については、
図1(c)及び(d)を参照した説明部分と同様であるので、省略する。
【0075】
カバーモジュール13は、フロントカバー131と、バックカバー132とを含む。
【0076】
フロントカバー131は、後面に開口部1311が設けられた概略円筒箱形状を有する。フロントカバー131は、ヘッドライトモジュール11の左右面、上下面及び前面を覆い、後面を覆わない。フロントカバー131は、サブライトモジュール12の周面及び前面を覆い、後面を覆わない。
【0077】
図4は、本実施形態のライトユニットの正面図である。フロントカバー131は、前面に複数の開口部1312を含む。ライトユニット1を前から見て、複数の開口部1312にはヘッドライトモジュール11のアウターレンズ114及びサブライトモジュール12のアウターカバー124が配置される。したがって、ヘッドライトモジュール11の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の少なくとも一部は、傾斜車両100の前から視認可能である。
【0078】
図3を参照して、バックカバー132は、フロントカバー131の後方Bに配置される。バックカバー132は、前面に開口部1321が設けられた概略円筒箱形状を有する。バックカバー132は、フロントカバー131とともにヘッドライトモジュール11の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の少なくとも一部を覆う。より詳細には、バックカバー132及びフロントカバー131は、ヘッドライトモジュール11の前面以外の部分及びサブライトモジュール12の前面以外の部分を覆う。
【0079】
電力供給モジュール15は、ヘッドライトモジュール11の後方Bに配置される。電力供給モジュール15は、フロントケース151と、バックケース152と、制御基板153とを含む。
【0080】
フロントケース151は、後面に開口部1511が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、フロントケース151は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。
【0081】
バックケース152は、フロントケース151の後方Bに配置される。バックケース152は、前面に開口部1521が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、バックケース152は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。バックケース152は、例えばねじ、接着剤等によってフロントケース151に取り付けられる。
【0082】
バックケース152は、フロントケース151とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、制御基板153が収容される。
【0083】
上述したヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール15及びカバーモジュール13はそれぞれ、サポート部材14に取り付けられる。
【0084】
サポート部材14は、サブライトモジュール12の後方B、かつ、バックカバー132の前方Fに配置される。サポート部材14は、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール15及びカバーモジュール13を直接的に支持する。サポート部材14は、円筒部142と、円盤部143とを含む。
【0085】
円筒部142は、概略円筒形状を有する。円筒部142の内部には、ヘッドライトモジュール11の少なくとも一部が配置される。
【0086】
円盤部143は、中央部に孔が設けられた概略円盤形状を有する。円盤部143の内周面は、円筒部142の外周面に繋がる。すなわち、サポート部材14は、円盤部143の孔に円筒部142がはめ込まれた形状を有する。ただし、円盤部143は、円筒部142と一体である。
【0087】
本実施形態のライトユニット1では、インナーレンズ126が、傾斜車両100の前方に向かって先細りするテーパ部1263を含む。そのため、インナーレンズ126に入射した光がテーパ部1263と外部との境界面に当たる際、入射角αが大きくなりやすい。これにより、当該光は、境界面で繰り返し全反射しやすく、インナーレンズ126の外部に漏れにくい。言い換えれば、このような構成のインナーレンズ126は、LED125から受けた光を効率的に集めることができる。したがって、入射角を大きくするためにインナーレンズ126を大きくする必要がなく、少ないLEDの数でも所定の光量の光を照射することができる。よって、ライトユニット1の大型化及びLEDの数の増加を抑制しつつ、傾斜車両100の視認性を高めることができる。
【0088】
上述の実施形態では、ライトユニット1が、ヘッドライトモジュール11、カバーモジュール13、サポート部材14及び電力供給モジュール15を備える場合について説明した。しかしながら、ライトユニット1は、これらのモジュールを備えていなくてもよい。例えば、ヘッドライトモジュール11は、ライトユニット1とは別々の場所に設けられてもよい。電力供給モジュール15は、車体2に取り付けられてもよい。
【0089】
上述の実施形態では、インナーレンズ126の発光面1262が、段差を有する場合について説明した。しかしながら、発光面1262は、段差を有さず、平坦な面であってもよい。
【0090】
上述の実施形態では、サブライトモジュール12が、複数のLED125を含む場合について説明した。しかしながら、サブライトモジュール12は、1つのLED125を含んでいてもよい。
【0091】
本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた実施形態及び変形例は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の思想を限定するものではない。上記の実施形態及び変形例は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。当該趣旨は、本明細書に開示された実施形態に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、実施形態及び変形例に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を包含する。特許請求の範囲における限定事項は当該特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態及び変形例に限定されるべきではない。そのような実施形態及び変形例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」、「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
【符号の説明】
【0092】
100 :傾斜車両
1 :ライトユニット
11 :ヘッドライトモジュール
113 :ハウジング
1131 :開口部
114 :アウターレンズ
115 :LED
116 :インナーレンズ
12 :サブライトモジュール
120 :空洞部
123 :ハウジング
124 :アウターカバー
125 :LED
126 :インナーレンズ
1261 :受光面
1262 :発光面
1263 :テーパ部
127 :制御基板
128 :LED基板
13 :カバーモジュール
131 :フロントカバー
1311,1312 :開口部
132 :バックカバー
1321 :開口部
14 :サポート部材
141 :取付部
142 :円筒部
143 :円盤部
15 :電力供給モジュール
151 :フロントケース
1511 :開口部
152 :バックケース
1521 :開口部
153 :制御基板
2 :車体
LA :光軸
SP :隙間
W :テーパ部の幅
W1 :受光面の幅(インナーレンズの最大幅)
W2 :発光面の幅
α :入射角