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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183525
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】移動式トイレ
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20221206BHJP
   E03D 7/00 20060101ALI20221206BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20221206BHJP
   B60R 15/04 20060101ALI20221206BHJP
   A47K 11/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E03D11/00 A
E03D7/00
B60P3/00 W
B60R15/04
A47K11/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090884
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】楠目 真之
(72)【発明者】
【氏名】福本 克久
(72)【発明者】
【氏名】竹内 立行
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】荒濱 満治
(72)【発明者】
【氏名】板野 美咲
【テーマコード(参考)】
2D036
2D039
3D024
【Fターム(参考)】
2D036AA02
2D036BA32
2D036BA37
2D036CA01
2D039CB01
2D039CB02
2D039CC09
2D039CD00
2D039CD01
2D039DB00
3D024DA02
(57)【要約】
【課題】使い勝手のよい移動式トイレを提供する。
【解決手段】移動式トイレ1は、トレーラ50と、トレーラ50の荷箱3内に配置した衛生器具21,22,26,29と、衛生器具21,22,26,29から排出される汚水を貯留する排水タンク13と、上流端が衛生器具21,22,26,29に接続され、汚水を排水タンク13へ搬送する排水路Dと、排水路Dから分岐して設けられ、下水道に汚水を搬送する分岐路Brと、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、
前記車両内に配置した衛生器具と、
前記衛生器具から排出される汚水を貯留する排水タンクと、
上流端が前記衛生器具に接続され、前記汚水を前記排水タンクへ搬送する排水路と、
前記排水路から分岐して設けられ、下水道に前記汚水を搬送する分岐路と、
を備えている移動式トイレ。
【請求項2】
前記分岐路及び前記排水路の少なくとも一方は、振動を低減する振動低減部を有している請求項1に記載の移動式トイレ。
【請求項3】
前記衛生器具、及び前記排水路は2個以上設けられ、
前記衛生器具の各々に、前記排水路が接続され、前記2個以上の排水路の各々から分岐した前記分岐路が合流する合流部を備え、
各前記分岐路は、前記合流部よりも上方に配置されている請求項1及び請求項2のいずれかに記載の移動式トイレ。
【請求項4】
前記分岐路は、長さを変更自在である請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の移動式トイレ。
【請求項5】
水源に接続される給水路を備え、
前記給水路は、前記衛生器具、及び前記衛生器具に貯留水を給水する給水タンクの少なくともいずれか一方に接続されている請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の移動式トイレ。
【請求項6】
前記給水路から前記衛生器具に供給水が直接的に給水されている状態において、前記分岐路に前記汚水を流す請求項5に記載の移動式トイレ。
【請求項7】
前記給水路は、第1給水路と、前記第1給水路から分岐して設けられた第2給水路と、を備えている請求項5及び請求項6のいずれか一項に記載の移動式トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は移動式トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の水洗トイレユニットを開示している。このものは、コンテナ式のトイレユニットであって、汚水タンクがコンテナと一体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3212244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは汚水タンクから下水道への流路に汚水を排出する構成を有している。このため、特許文献1のものは、下水道に汚水を排出して使用する場合であっても、汚水タンクに汚水を貯留して使用する場合であっても汚水タンクに汚水を流入させることになる。このため、下水道に汚水を排出して使用した後、汚水タンク内を洗浄する手間が生じてしまう。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、使い勝手のよい移動式トイレを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の移動式トイレは、車両と、前記車両内に配置した衛生器具と、前記衛生器具から排出される汚水を貯留する排水タンクと、
上流端が前記衛生器具に接続され、前記汚水を前記排水タンクへ搬送する排水路と、前記排水路から分岐して設けられ、下水道に前記汚水を搬送する分岐路と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の移動式トイレを左方から見た縦断面図である。
図2】実施形態1の移動式トイレを示す平面図である。
図3】実施形態1の移動式トイレを前方から見た縦断面図である。
図4】実施形態1の移動式トイレを左方から見た側面図である。
図5】実施形態1のトイレ室を示す斜視図である。
図6】実施形態1の移動式トイレの給水路、排水路、及び分岐路の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
本開示の移動式トイレ1を具体化した実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向は、図1及び図4に示すX軸の正方向を上方向とし、X軸の負方向を下方向とする。左右方向については、図2及び図3に示すZ軸の正方向を左方向とし、Z軸の負方向を右方向とする。前後方向は、図1図2及び図4に示すY軸の正方向を前方向とし、Y軸の負方向を後方向とする。具体的には、移動式トイレ1を設置する設置面に対して直交する方向を上下方向と定義し、車輪53の中心軸が伸びる方向を左右方向と定義し、設備室10、トイレ室20、及び前室30が並ぶ方向を前後方向と定義する。
【0009】
移動式トイレ1は、図1から図4に示すように、車両であるトレーラ50を備えている。トレーラ50はシャーシ51に取り付けられた前後方向に長い略直方体形状の荷箱3を有している。トレーラ50は、図示しないトラクタ等によってけん引される。シャーシ51は、前後方向に延びて形成されている。シャーシ51は、前端部に連結部52を備えている。連結部52は、トラクタに連結可能となっている。シャーシ51の前後中央部には左右2個ずつの車輪53が回転自在に取り付けられている。トレーラ50は、前後方向に移動自在である。
【0010】
移動式トイレ1は、図1及び図2に示すように、荷箱3内に設けられた設備室10、トイレ室20、及び前室30を備えている。移動式トイレ1はスロープ部40を備えている。設備室10、トイレ室20、及び前室30は、前後方向に並んで設けられている。設備室10は、荷箱3の前部に配置されている。トイレ室20は、設備室10の後に隣接して配置されている。前室30は、トイレ室20の後に隣接し、荷箱3の後部に配置されている。移動式トイレ1は、設備室10内の空気を排気する換気扇F1と、トイレ室20及び前室30の空気を排気する換気扇F2と、を備えている。
【0011】
設備室10は、図1及び図3に示すように、ボックス11、給水タンク12、排水タンク13、及び給水ポンプ14を収納している。ボックス11は、上下二段に仕切られている。ボックス11は、設備室10の左右中央部に固定されている(図3参照。)。ボックス11は、左右壁、上壁及び後壁が平板で形成されて閉じており、前側が開口している。設備室10は、ボックス11の開口を開閉する扉10Aを有している(図1参照。)。
【0012】
設備室10の側面の壁部には、設備室10に出入り可能な開口が形成されている。具体的には、右側の壁部、及び左側の壁部の各々には、設備室10に出入り可能な開口が形成されている。右側の壁部には、右側の壁部の開口を開閉する右側扉10Bが設けられ、左側の壁部には、左側の壁部の開口を開閉する左側扉10Cが設けられている(図2参照。)。設備室10内の右側の領域10Dには、右側扉10Bを開放して右側の壁部の開口を介して出入りする。設備室10内の右側の領域10Dは、主として便器22の設置やメンテナンス等をする作業スペースとして利用する。設備室10内の左側の領域10Eには、左側扉10Cを開放して左側の壁部の開口を介して出入りする。設備室10内の左側の領域10Eは、主として汚物流し21の設置やメンテナンス等をする作業スペースとして利用する。本開示において、一方の領域10Dは、便器22の設置やメンテナンス等をする作業スペースであり、他方の領域10Eは、汚物流し21の設置やメンテナンス等をする作業スペースである。
【0013】
給水タンク12は、ボックス11の上側の棚11Aに収納されている。給水タンク12は、トレーラ50の荷箱3内に配置された(すなわち、トレーラ50内に配置された)衛生器具である汚物流し21、便器22、手洗器26、及び洗面器29(以下、各衛生器具21,22,26,29ともいう)に給水する貯留水を貯留する。給水タンク12と各衛生器具21,22,26,29とは、上流側給水路14E、及び下流側給水路14Aによって連通している。給水タンク12は、各衛生器具21,22,26,29に対して、上流側給水路14E、及び下流側給水路14Aを介して貯留した貯留水を給水する。
【0014】
給水タンク12には、給水路Wである第1給水路14Bが接続されている。第1給水路14Bには、切替弁SVが介在して設けられている。第1給水路14Bの切替弁SVよりも下流側は、2つに分岐しており、一方が給水タンク12に接続され、他方が後述する給水ポンプ14の下流側に接続する下流側給水路14Aに接続されている。第1給水路14Bの上流端は、荷箱3の前壁3Aに貫通して設けられた接続部C1に荷箱3の内側から接続されている。接続部C1には、給水路Wである外側給水路Sが荷箱3の外側から接続される。給水路Wは、第1給水路14B及び外側給水路Sを備えている。外側給水路Sは、供給水の水源である上水道に接続し得る。上水道に接続された外側給水路Sを接続部C1に接続して、切替弁SVの状態を切替弁SVよりも上流側の第1給水路14Bと切替弁SVよりも下流側の一方の第1給水路14B(以下、単に一方の第1給水路14Bともいう)とを連通した状態に切り替えると、給水タンク12には、供給水が供給される。供給水は、上水道から供給されたものに限らない。例えば、井戸、プール、海、河川、池、沼、湖、ダム等から供給された水も供給水と定義する。給水タンク12に供給された供給水は、給水タンク12に貯留された貯留水と定義する。
【0015】
上水道に接続された外側給水路Sを接続部C1に接続して、切替弁SVの状態を切替弁SVよりも上流側の第1給水路14Bと切替弁SVよりも下流側の他方の第1給水路14B(以下、単に他方の第1給水路14Bともいう)とを連通した状態に切り替えると、下流側給水路14Aに供給水が供給される。下流側給水路14Aに供給された供給水は、各衛生器具21,22,26,29に供給される。給水路Wは、衛生器具21,22,26,29、及び衛生器具21,22,26,29に供給水を供給する給水タンク12に接続されている。
【0016】
切替弁SVには、さらに、給水路Wである第2給水路14Cの上流端が接続されている。つまり、第2給水路14Cは、第1給水路14Bから分岐して設けられている。切替弁SVは、切替弁SVよりも上流側の第1給水路14Bを一方の第1給水路14B、他方の第1給水路14B、及び第2給水路14Cのいずれかに切り替えて連通させる。つまり、切替弁SVは、供給水が流れる流路を切り替えることができる。
【0017】
第2給水路14Cには、例えば、可撓性を有したホースが用いられる。第2給水路14Cの下流端は、どこにも接続されていない。第2給水路14Cは、自在に引き回すことができ、荷箱3の内外の所望の場所に供給水を吐出することができる。切替弁SVの状態を切替弁SVよりも上流側の第1給水路14Bと第2給水路14Cとを連通した状態に切り替えると、第2給水路14Cから供給水を吐出することができる。
【0018】
排水タンク13は、ボックス11の下側の棚11Bに収納されている。排水タンク13は、衛生器具21,22,26,29から排出された汚水を貯留する。衛生器具22,26,29と排水タンク13とは、排水路Dである第1排水路13A、及び排水路13Bによって連通している(図2及び図6参照。)。第1排水路13Aは、衛生器具22,26,29から排出された汚水を排水タンク13に搬送する。第1排水路13Aの上流端は、後述する第2搬送装置20Jを介して衛生器具22に接続されている。
【0019】
第1排水路13Aの上流部は、図6に示すように、上向きに立ち上がっている。第1排水路13Aの上流部よりも下流側は、横向きに伸びている。第1排水路13Aの上流部よりも下流側には、開閉弁V2が介在して設けられている。第1排水路13Aの下流端は、排水タンク13に接続されている。
【0020】
第1排水路13Aの開閉弁V2よりも上流側には、分岐路Brである第1分岐路13Dの上流端が接続されている。第1分岐路13Dは、衛生器具22,26,29から排出された汚水を下水道に連通するマンホールHを介して下水道に搬送する。第1分岐路13Dは、第1排水路13Aから分岐して設けられている。第1分岐路13Dには、可撓性を有したホースが用いられる。例えば、第1分岐路13Dの外周面には、外周面に沿った形態の金具が取り付けられている。第1分岐路13Dは、この金具をねじによって設備室10の内壁面に固定することによって設備室10の内壁面に固定されている。金具及びねじは図示しない。
【0021】
第1分岐路13Dの上流部には、上向きに立ち上がる第1立上がり部13Fが設けられている。第1立上がり部13Fには、開閉弁V3が介在して設けられている。第1立上がり部13Fよりも下流側には、横向きに伸びる第1横向き部13Gが設けられている。第1横向き部13Gには、バキュームブレーカVB1が介在して設けられている。第1横向き部13Gよりも下流側には、下向きに伸びる第1立下り部13Hが設けられている。バキュームブレーカVB1は、第1分岐路13Dに生じる負圧を解消することができる。
【0022】
衛生器具21と排水タンク13とは、排水路Dである第2排水路13Cによって連通している。第2排水路13Cは、衛生器具21から排出された汚水を排水タンク13に搬送する。第2排水路13Cの上流端は、後述する第1搬送装置20Hを介して衛生器具21に接続されている。第2排水路13Cの上流部は、上向きに立ち上がっている。第2排水路13Cの上流部よりも下流側は、横向きに伸びている。第2排水路13Cの上流部よりも下流側には、開閉弁V4が介在して設けられている。第2排水路13Cの下流端は、排水タンク13に接続されている。衛生器具22及び衛生器具21の各々には、第1排水路13A及び第2排水路13Cの上流端が接続されている。
【0023】
第2排水路13Cの開閉弁V4よりも上流側には、分岐路Brである第2分岐路13Eの上流端が接続されている。第2分岐路13Eは、衛生器具21から排出された汚水を下水道に連通するマンホールHを介して下水道に搬送する。第2分岐路13Eは、第2排水路13Cから分岐して設けられている。第2分岐路13Eには、可撓性を有したホースが用いられる。例えば、第2分岐路13Eの外周面には、外周面に沿った形態の金具が取り付けられている。第2分岐路13Eは、この金具をねじによって設備室10の内壁面に固定することによって設備室10の内壁面に固定されている。金具及びねじは図示しない。
【0024】
第2分岐路13Eの上流部には、上向きに立ち上がる第2立上がり部13Jが設けられている。第2立上がり部13Jには、開閉弁V5が介在して設けられている。第2立上がり部13Jよりも下流側には、横向きに伸びる第2横向き部13Kが設けられている。第2横向き部13Kには、バキュームブレーカVB2が介在して設けられている。第2横向き部13Kよりも下流側には、下向きに伸びる第2立下り部13Lが設けられている。バキュームブレーカVB2は、第2分岐路13Eに生じる負圧を解消することができる。第1排水路13A,排水路13B,第2排水路13Cは、衛生器具21,22,26,29から排出される汚水を排水タンク13へ搬送する。
【0025】
第1立下り部13Hの下流端、及び第2立下り部13Lの下流端は、合流部Gにおいて互いが接続されている。排水路Dは、第1排水路13A及び第2排水路13Cの2個備えている。2個の排水路Dである第1排水路13A及び第2排水路13Cの各々から分岐した第1分岐路13D及び第2分岐路13Eは、合流部Gにおいて合流している。第1分岐路13D及び第2分岐路13Eは、合流部Gよりも上方に配置されている。これによって、第1立下り部13Hを流下する汚水が第2立下り部13Lに流れ込んだり、第2立下り部13Lを流下する汚水が第1立下り部13Hに流れ込んだりすることを防止することができる。
【0026】
合流部Gには、分岐路Brである第1下流側分岐路13Mの上流端が接続されている。第1下流側分岐路13Mの下流端は、荷箱3の前壁3Aに貫通して設けられた接続部C2に荷箱3の内側から接続されている。接続部C2には、分岐路Brである第2下流側分岐路13Nの上流端が荷箱3の外側から接続される。第2下流側分岐路13Nには、可撓性を有したホースが用いられる。第2下流側分岐路13Nの下流端は、移動式トイレ1を設置する位置の近傍に設けられた下水道に連通するマンホールH内に配置される。つまり、分岐路Brは、第2下流側分岐路13Nを第1下流側分岐路13Mに対して着脱することによって長さを変更自在である。
【0027】
第1分岐路13D、及び第2分岐路13Eは、可撓性を有しているので、自身が振動を吸収することができる。これによって、第1分岐路13D、及び第2分岐路13Eは、設備室10の内壁面にねじによって固定される金具に振動が伝わり難くすることができ、この金具が振動することによって生じるねじの緩みを低減する振動低減部として機能し得る性質を有している。さらに、第1分岐路13D、及び第2分岐路13Eは、自身が振動を吸収することによって、自身が接続される継手等の配管接続部からの脱落を防止することができる。配管接続部は図示しない。つまり、分岐路Brは、振動低減部を有している。
【0028】
排水タンク13は、衛生器具22,26,29から排出された汚水が第1排水路13A、排水路13Bを経由して流入し、流入した汚水を貯留する。排水タンク13は、衛生器具21から排出された汚水が第2排水路13Cを経由して流入し、流入した汚水を貯留する。給水タンク12及び排水タンク13は同じ容量を有している。排水タンク13は、設備室10の扉10Aを開けて、ボックス11の前側の開口から荷箱3の外側へ引き出すことができる(図2参照。)。第1排水路13A及び第2排水路13Cは可撓性を有するホースによって形成されており、排水タンク13はこのホースを接続したまま荷箱3の外側へ引き出すことができる。第1排水路13A及び第2排水路13Cは可撓性を有しているので、自身が振動を吸収することができる。これによって、第1排水路13A及び第2排水路13Cは、自身が振動を吸収することによって、自身が接続される継手等の配管接続部からの脱落を防止することができる。配管接続部は図示しない。つまり、排水路Dは、振動低減部を有している。
【0029】
給水タンク12は、図1及び図3に示すように、排水タンク13の上方に配置されている。これによって、仮に排水タンク13から汚水が漏出した場合であっても、汚水が給水タンク12にかかったり、給水タンク12に流入したりすることを防止できる。給水タンク12及び排水タンク13は、上下に並べてボックス11に収納されて配置されている。これによって、給水タンク12内の貯留水の貯留量が変化し、排水タンク13内の汚水の貯留量が変化しても、トレーラ50の左右方向の重量バランスは、変化することがない。給水タンク12、及び排水タンク13は、上下二段に仕切られたボックス11に収納されることによって、トレーラ50の移動方向に対して直交する左右方向の中央部に配置される。これによって、設備室10内において、メンテナンス作業をするスペースとしての領域10D,10Eを確保している。
【0030】
給水タンク12、及び排水タンク13の左右両側には、図2に示すように、作業するスペースとしての領域10D,10Eが設けられている。各領域10D,10Eは、給水タンク12、及び排水タンク13の左右両側であって、衛生器具(汚物流し21及び便器22)よりも後方の空間に位置している。ここでいう、衛生器具よりも後方とは、衛生器具を挟んで、この衛生器具を使用する使用者と反対側の位置である。
【0031】
排水タンク13は、給水タンク12から各衛生器具21,22,26,29を経由して流入する貯留水の他に、し尿やロールペーパー等が流入する。このため、給水タンク12には、排水タンク13の容量よりも少ない量の貯留水を貯留しておく。これによって、給水タンク12に貯留した全ての貯留水が、し尿やロールペーパー等とともに排水タンク13に流入しても、排水タンク13から汚水が溢れることを防止できる。
【0032】
給水タンク12内、及び排水タンク13内の各々には、図示しない水位センサが設けられている。給水タンク12内の水位センサは、給水タンク12に貯留された貯留水の水位が所定の水位以下になると、水位が所定の水位よりも低いことを示す水位低下信号を外部に出力する構成とされている。排水タンク13内の水位センサは、排水タンク13に貯留された汚水の水位が所定の水位以上になると、水位が所定の水位よりも高いことを示す水位増加信号を外部に出力する構成とされている。水位低下信号や水位増加信号に基づいて、給水タンク12における水位の低下や、排水タンク13における水位の増加を外部に報知する図示しない報知部が設けられている。報知部は、給水タンク12に供給水を補給するタイミングや、排水タンク13に貯留した汚水を抜き取るタイミングを外部に報知する。
【0033】
給水ポンプ14は、設備室10において、ボックス11よりも右側に配置されている(図3参照。)。給水ポンプ14には、下流側給水路14Aの上流端が接続されている。下流側給水路14Aは、給水ポンプ14よりも下流側において、各衛生器具21,22,26,29に連通するように分岐している(図2参照。)。給水ポンプ14は、上流側給水路14Eを介して、給水タンク12と接続している。上流側給水路14Eには、開閉弁V1が介在して設けられている。給水ポンプ14の動作は、図示しない制御部によって制御される。制御部は、例えば、下流側給水路14Aにおける圧力が所定の圧力以下になると給水ポンプ14の動作を開始させる。制御部は、例えば、下流側給水路14Aにおける圧力が所定の圧力よりも大きくなると給水ポンプ14の動作を停止させる。開閉弁V1は、手動で開弁及び閉弁する構成とされている。例えば、開閉弁V1は、移動式トイレ1を設置する際に、給水タンク12に貯留された貯留水を各衛生器具21,22,26,29に供給して移動式トイレ1を使用する場合に予め手動で開弁させ、移動式トイレ1を撤収する際に手動で閉弁する。水源から各衛生器具21,22,26,29に供給水を直接的に供給して移動式トイレ1を使用する場合には、開閉弁V1は閉弁した状態が維持される。
【0034】
トイレ室20は、図5に示すように、第1キャビネット20A、第2キャビネット20B、汚物流し21、便器22、背もたれ23、跳ね上げ手すり24、トイレットペーパーホルダー25、手洗器26、及び洗面器29等を有している。第1キャビネット20Aは、箱状をなし、トイレ室20の右側に立ち上がる第1壁部20Cに背面が接触して設置されている。第2キャビネット20Bは、第1キャビネット20Aよりも一回り大きい箱状をなし、トイレ室20と設備室10とを仕切る第2壁部20Dに背面が接触して設置されている。
【0035】
汚物流し21は、第2キャビネット20Bの正面の左側に取り付けられている。ここでいう第2キャビネット20Bの正面とは、第2キャビネット20Bにおいて後に向いた面である。便器22は、第2キャビネット20Bの正面の右側に取り付けられている。背もたれ23は、第2キャビネット20Bの正面であって、便器22の上方に取り付けられている。跳ね上げ手すり24及びトイレットペーパーホルダー25は、第2キャビネット20Bの正面であって、汚物流し21と便器22との間に取り付けられている。第2キャビネット20Bは、背面が第2壁部20Dに接触したミラーキャビネット20Kを上面に載置している。ミラーキャビネット20Kは汚物流し21が取り付けられた上方に位置している。左右方向において、汚物流し21及び便器22は、給水タンク12及び排水タンク13の左右両側に並べて配置している(図2参照。)。
【0036】
第2キャビネット20Bは、図2に示すように、第1搬送装置20H及び第2搬送装置20Jを収納している。第1搬送装置20Hは、入水ポートを汚物流し21の排水用接続部に連通している。第1搬送装置20Hは、排水ポートを第2排水路13Cに連通している。第1搬送装置20Hは、汚物流し21から流入した汚水をポンプ機能によって第2排水路13Cに排水する。
【0037】
第2搬送装置20Jは、入水ポートを便器22の排水用接続部と、手洗器26及び洗面器29からの汚水が流入する排水路13Bと、に連通している。第2搬送装置20Jは、排水ポートを第1排水路13Aに連通している。第2搬送装置20Jは、便器22、手洗器26及び洗面器29から流入した汚水をポンプ機能によって第1排水路13Aに排水する。第1搬送装置20H、及び第2搬送装置20Jの動作は、制御部によって制御される。制御部は、第1搬送装置20H、及び第2搬送装置20Jに流入した汚水が所定量になると、第1搬送装置20H、及び第2搬送装置20Jのポンプ機能を駆動させる。第1搬送装置20H、及び第2搬送装置20Jは、第1排水路13A、第2排水路13C、第1分岐路13D、及び第2分岐路13E等の配置される位置によらず、そのポンプ機能によって汚水を第1排水路13A、及び第2排水路13Cに向けて確実に排出することができる。
【0038】
手洗器26は、図5に示すように、第1キャビネット20Aの便器22の近く(すなわち、トイレ室20の前側)に設けられている。手洗器26の下方に位置する第1キャビネット20Aの正面には、トイレットペーパーホルダー27及び固定手すり28が取り付けられている。ここでいう第1キャビネット20Aの正面とは、第1キャビネット20Aにおいて左に向いた面である。洗面器29は、第1キャビネット20Aの便器22から離れた位置(すなわち、トイレ室20の後側)に設けられている。
【0039】
各衛生器具21,22,26,29は、図示しない操作部を使用者が操作することによって給水タンク12から貯留水が給水される。例えば、操作部は、汚物流し21や便器22においては、押しボタンや操作ハンドルの形態であり、手洗器26や洗面器29においては、使用者の手などの物体を検知するセンサの形態である。各操作部が操作されると、各衛生器具21,22,26,29は、自身に設けられた図示しない開閉弁が開弁し、下流側給水路14Aを介して貯留水を流入させ得る構成とされている。
【0040】
[衛生器具に給水タンクから貯留水を給水し、汚水を排水タンクに搬送する場合について]
衛生器具21,22,26,29に給水タンク12から貯留水を給水し、汚水を排水タンク13に搬送して移動式トイレ1を使用する場合について図6等を参照しつつ説明する。この場合、第1給水路14Bの切替弁SV、第1分岐路13Dの開閉弁V3、及び第2分岐路13Eの開閉弁V5を予め閉弁する。これとともに、上流側給水路14Eの開閉弁V1、第1排水路13Aの開閉弁V2、及び第2排水路13Cの開閉弁V4を予め開弁する。
【0041】
便器22を洗浄する場合、便器22の操作部が操作されると、便器22に設けられた開閉弁が開弁する。すると、下流側給水路14A内の圧力が下がる。制御部は、下流側給水路14A内の圧力が所定の圧力以下になったことを検知すると、給水ポンプ14の動作を開始させる。給水ポンプ14が動作すると、給水タンク12から上流側給水路14E、及び下流側給水路14Aを介して便器22に貯留水が流入する。便器22に流入した貯留水は、便器22を洗浄した後、第2搬送装置20Jに汚水として流入する。第2搬送装置20Jに流入した汚水が所定量になると、制御部は、第2搬送装置20Jのポンプ機能を駆動し、第1排水路13Aを介して排水タンク13に汚水を搬送する。第2搬送装置20Jの内部の汚水が排出されると、制御部は、第2搬送装置20Jのポンプ機能を停止させる。操作部の操作後、所定の時間が経過すると、便器22の開閉弁が閉弁するとともに、制御部によって、給水ポンプ14の動作が停止される。このようにして、便器22の洗浄が終了する。
【0042】
汚物流し21を洗浄する場合、給水ポンプ14及び第1搬送装置20Hは、便器22を洗浄する場合と同様に駆動し、洗浄が行われる。例えば、汚物流し21に設けられた操作ハンドルを操作して汚物流し21に設けられた開閉弁を開弁する。制御部は、下流側給水路14A内の圧力が所定の圧力以下になったことを検知すると、給水ポンプ14の動作を開始させる。操作ハンドルを操作して汚物流し21に設けられた開閉弁を閉弁する。制御部は、下流側給水路14A内の圧力が所定の圧力よりも大きくなったことを検知すると、給水ポンプ14の動作を停止させる。このようにして、汚物流し21の吐水部から貯留水が吐水される。汚物流し21に流入した貯留水は、汚物流し21を洗浄した後、第1搬送装置20Hに汚水として流入する。第1搬送装置20Hに流入した汚水が所定量になると、制御部は、第1搬送装置20Hのポンプ機能を駆動し、第2排水路13Cを介して排水タンク13に汚水を搬送させる。第1搬送装置20Hの内部の汚水が排出されると、制御部は、第1搬送装置20Hのポンプ機能を停止させる。操作ハンドルの操作後、所定の時間が経過すると、汚物流し21の開閉弁が閉弁するとともに、制御部によって、給水ポンプ14の動作が停止される。このようにして、汚物流し21の洗浄が終了する。
【0043】
手洗器26及び洗面器29を使用する場合、使用者の手などをセンサが検知している間、手洗器26及び洗面器29に設けられた開閉弁が開弁し、使用者の手などをセンサが検知しなくなると、手洗器26及び洗面器29に設けられた開閉弁は閉弁する。センサが使用者の手などを検知している間、開閉弁が開弁した状態が維持される。制御部は、下流側給水路14A内の圧力が所定の圧力以下であることを検知している間、給水ポンプ14の動作を継続させる。このようにして、手洗器26及び洗面器29に設けられた吐水部から貯留水が吐水される。手洗器26及び洗面器29から流出した汚水は、第2搬送装置20Jによって、第1排水路13Aを介して排水タンク13に搬送され、排水タンク13に貯留される。制御部は、上述したように、第2搬送装置20Jに流入した汚水が所定量になると、第2搬送装置20Jのポンプ機能を駆動し、第2搬送装置20Jの内部の汚水が排出されると第2搬送装置20Jのポンプ機能を停止させる。
【0044】
[衛生器具に供給水を直接供給し、汚水をマンホールに排出する場合について]
衛生器具21,22,26,29に給水タンク12を介さずに供給水を直接供給し、汚水を下水道に連通するマンホールHに排出して移動式トイレ1を使用する場合について図6等を参照しつつ説明する。この場合、第1給水路14Bの切替弁SVを切替弁SVよりも上流側の第1給水路14Bと他方の第1給水路14Bとを連通させた状態に予め切り替え、第1分岐路13Dの開閉弁V3、及び第2分岐路13Eの開閉弁V5を予め開弁する。これとともに、上流側給水路14Eの開閉弁V1、第1排水路13Aの開閉弁V2、及び第2排水路13Cの開閉弁V4を予め閉弁する。これとともに、接続部C2に第2下流側分岐路13Nの上流端を接続し、第2下流側分岐路13Nの下流端を移動式トイレ1の設置場所の近傍に設けられた下水道に連通するマンホールH内に配置する。さらに、接続部C1に上水道に接続された外側給水路Sの下流端を接続する。
【0045】
便器22を洗浄する場合、便器22の操作部が操作されると、便器22に設けられた開閉弁が開弁する。すると、外側給水路S、切替弁SV、他方の第1給水路14B、及び下流側給水路14Aを介して便器22に供給水が流入する。便器22に流入した供給水は、便器22を洗浄した後、第2搬送装置20Jに汚水として流入する。制御部は、第2搬送装置20Jに流入した汚水が所定量になると、第2搬送装置20Jのポンプ機能を駆動する。すると、汚水は、第1排水路13Aの上流部、第1分岐路13D、合流部G、第1下流側分岐路13M、第2下流側分岐路13Nを介して下水道に連通するマンホールHに排出される。第2搬送装置20Jの内部の汚水が排出されると、制御部は、第2搬送装置20Jのポンプ機能を停止させる。操作部の操作後、所定の時間が経過すると、便器22の開閉弁が閉弁する。このようにして、便器22の洗浄が終了する。
【0046】
汚物流し21を洗浄する場合、第1搬送装置20Hは、便器22を洗浄する場合と同様に駆動し、洗浄が行われる。汚物流し21に設けられた操作ハンドルを操作して汚物流し21に設けられた開閉弁を開弁すると、外側給水路S、切替弁SV、他方の第1給水路14B、及び下流側給水路14Aを介して汚物流し21に供給水が供給される。操作ハンドルを操作してこの開閉弁を閉弁すると、汚物流し21への供給水の供給が停止する。このようにして、汚物流し21の吐水部から供給水が吐水される。汚物流し21に流入した供給水は、汚物流し21を洗浄した後、第1搬送装置20Hに汚水として流入する。制御部は、第1搬送装置20Hに流入した汚水が所定量になると、第1搬送装置20Hのポンプ機能を駆動する。すると、汚水は、第2排水路13Cの上流部、第2分岐路13E、合流部G、第1下流側分岐路13M、第2下流側分岐路13Nを介して下水道に連通するマンホールHに排出される。第1搬送装置20Hの内部の汚水が排出されると、制御部は、第1搬送装置20Hのポンプ機能を停止させる。操作部の操作後、所定の時間が経過すると、汚物流し21の開閉弁が閉弁する。このようにして、汚物流し21の洗浄が終了する。
【0047】
手洗器26及び洗面器29のいずれかを使用する場合、使用者の手などをセンサが検知している間、手洗器26及び洗面器29に設けられた開閉弁が開弁し、供給水が外側給水路S、切替弁SV、他方の第1給水路14B、及び下流側給水路14Aを介して手洗器26及び洗面器29のいずれかに供給される。使用者の手などをセンサが検知しなくなると、手洗器26及び洗面器29の各々に設けられた開閉弁は閉弁し、供給水の供給が停止する。手洗器26及び洗面器29から流出した汚水は、第2搬送装置20Jによって、第1排水路13Aの上流部、第1分岐路13D、合流部G、第1下流側分岐路13M、第2下流側分岐路13Nを介して下水道に連通するマンホールHに排出される。
【0048】
つまり、移動式トイレ1は、外側給水路S、切替弁SV、他方の第1給水路14B、及び下流側給水路14Aから各衛生器具22,26,29に供給水が直接的に給水されている状態において、第1排水路13Aの上流部、第1分岐路13D、合流部G、第1下流側分岐路13M、第2下流側分岐路13Nに汚水を流す。移動式トイレ1は、外側給水路S、切替弁SV、他方の第1給水路14B、及び下流側給水路14Aから衛生器具21に供給水が直接的に給水されている状態において、第2排水路13Cの上流部、第2分岐路13E、合流部G、第1下流側分岐路13M、第2下流側分岐路13Nに汚水を流す。
【0049】
[移動式トイレを撤収する場合]
移動式トイレ1を撤収する場合、接続部C2から第2下流側分岐路13Nを取り外す。これとともに、右側扉10Bを開放して、第2給水路14Cの下流部を荷箱3の外側へ引き出す。そして、切替弁SVを切替弁SVよりも上流側の第1給水路14Bと第2給水路14Cとを連通させた状態に切り替える。すると、第2給水路14Cは、荷箱3の外部に供給水を吐出する。第2下流側分岐路13N、マンホールH、接続部C2等は、第2給水路14Cから吐出した供給水を利用して、洗浄することができる。洗浄を終了する際には、切替弁SVを閉弁して、第2給水路14Cからの供給水の吐出を停止する。その後、洗浄した第2下流側分岐路13N及び第2給水路14Cの下流部を設備室10に収納する。これとともに、接続部C1、及び上水道から外側給水路Sを取り外し、外側給水路Sを設備室10に収納する。開閉弁V1を開弁していた場合には、開閉弁V1を閉弁する。
【0050】
トイレ室20と前室30とは、図2に示すように、第3壁部20Eによって仕切られている。第3壁部20Eには、トイレ室20と前室30とを出入するためにトイレ室20と前室30との間に第1出入口20F(出入口)が開口して設けられている。第1出入口20Fには、第1出入口20Fを開閉する第1扉20G(扉)が設けられている。第1扉20Gは、第3壁部20Eに沿う方向A(すなわち、左右方向)にスライドすることによって第1出入口20Fを開閉する。第1扉20Gは、引き戸である。
【0051】
前室30は、折畳みベッド31及び鏡32を有している。折畳みベッド31は、前室30の右側に立ち上がる第4壁部30Aに沿うように設置されている。折畳みベッド31のベッド本体31Aは、使用しない非使用状態の際、第4壁部30Aに沿った状態にされ、使用する使用状態の際には、前室30の床面に平行な状態にされる。ベッド本体31Aが前室30の床面に平行な状態は図示しない。鏡32は、前室30の後側に立ち上がる第5壁部30Bに取り付けられている。第5壁部30Bは、前室30内の空間を挟み、第3壁部20Eの反対側に立ち上がっている。第5壁部30B、及び第3壁部20Eは、互いに概ね平行である。鏡32は、第1出入口20Fの正面に配置されている。
【0052】
前室30の左側には、第6壁部30Cが立ち上がっている。第6壁部30Cは、前後方向に拡がっている。第6壁部30Cは、移動式トイレ1の外部と前室30とを出入するための第2出入口30Dが開口して形成されている。つまり、前室30は、第2出入口30Dを備えている。第2出入口30Dは第2扉30Eが設けられている。第2扉30Eは、一方向に長く形成された複数の板Pの長辺同士を突き合せるようにして並べた状態で隣合う長辺同士を、ヒンジによって連結した形態である。第2扉30Eは、第6壁部30Cに沿う方向B(すなわち、前後方向)にスライドすることによって、第2出入口30Dを開閉する。
【0053】
スロープ部40は、図2及び図4に示すように、踊り場41及びスロープ部本体42を有している。スロープ部40は、第2出入口30Dを形成した側におけるトレーラ50の側面に沿って配置されている(図4参照。)。スロープ部40の下面は、シャーシ51の下端と概ね同じ高さに位置している(図4参照。)。これによって、各車輪53の下端が、シャーシ51の下端に揃った位置、及びシャーシ51の下端よりも上の位置のいずれかになると、シャーシ51の下端と、スロープ部40の下面とが地面に接触し、移動式トイレ1は設置状態になる。踊り場41は、上方から見た平面視において、四角形状をなし、前室30の左側に隣合うように配置されている(図2参照。)。スロープ部40の踊り場41の上面は、前室30の床面と概ね同じ高さであり、第2出入口30Dに連続している(図4参照。)。
【0054】
スロープ部本体42の上面は、踊り場41の前端に連続している。スロープ部本体42は、踊り場41(第2出入口30D)に向けて上り勾配である。スロープ部本体42の前端は、連結部52よりも前方に位置している。踊り場41及びスロープ部本体42の上面には、手すり43が設けられている。手すり43は、踊り場41の後端部及び左端部、及びスロープ部本体42の左端部に沿って配置されている。
【0055】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0056】
移動式トイレ1は、トレーラ50と、トレーラ50内に配置した衛生器具21,22,26,29と、衛生器具21,22,26,29から排出される汚水を貯留する排水タンク13と、上流端が衛生器具21,22に接続され、汚水を排水タンク13へ搬送する排水路Dと、排水路Dから分岐して設けられ、下水道に汚水を搬送する分岐路Brと、を備えている。この構成によれば、排水タンク13へ汚水を搬送する排水路Dに分岐路Brが設けられているので、下水道に汚水を搬送する場合、汚水が排水タンク13を経由しないで済む。このため、この移動式トイレ1を撤収後において排水タンク13を洗浄する手間がかからない。
【0057】
移動式トイレ1の分岐路Br及び排水路Dは、振動を低減する振動低減部を有している。この構成によれば、トレーラ50が移動する際に生じる振動によって、トレーラ50の荷箱3内に固定された分岐路Brや排水路Dが脱落することを防止できる。
【0058】
移動式トイレ1の衛生器具21,22,26,29、及び排水路Dは、2個以上設けられ、衛生器具21,22の各々に排水路Dが接続され、2個の第1排水路13A及び第2排水路13Cの各々から分岐した第1分岐路13D及び第2分岐路13Eが合流する合流部Gを備え、第1分岐路13D及び第2分岐路13Eは、合流部Gよりも上方に配置されている。この構成によれば、一の衛生器具から排出された汚水が他の衛生器具に向けて搬送されることを防止できる。
【0059】
移動式トイレ1の分岐路Brは、長さを変更自在である。この構成によれば、下水道に汚水を搬送する際には、第2下流側分岐路13Nを接続することによって分岐路Brの長さを長くし、使用後には第2下流側分岐路13Nを取り外すことによって分岐路Brの長さを短くして収納し易くすることができる。つまり、移動式トイレ1の使用状況に応じて、分岐路Brの長さを変更することができるので、使い勝手がよい。
【0060】
移動式トイレ1は、上水道に接続される給水路Wを備え、給水路Wは、衛生器具21,22,26,29、及び衛生器具21,22,26,29に貯留水を給水する給水タンク12に接続されている。この構成によれば、供給水を給水路Wから直接衛生器具21,22,26,29に供給したり、給水タンク12に貯留水として貯留したりすることができる。
【0061】
移動式トイレ1は、給水路Wから衛生器具21,22,26,29に供給水が直接的に給水されている状態において、分岐路Brに汚水を流す。この構成によれば、給水路Wから衛生器具21,22,26,29に供給水を給水するため、排水タンク13を溢れさせることなく移動式トイレ1を使用することができる。
【0062】
移動式トイレ1の給水路Wは、第1給水路14Bと、第1給水路14Bから分岐して設けられた第2給水路14Cと、を備えている。この構成によれば、衛生器具21,22,26,29への供給水の供給以外の用途において供給水を利用し易くすることができる。
【0063】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1とは異なり、排水タンクの容量に比べて小さい容量のタンクを給水タンクとして用いてもよい。
(2)実施形態1とは異なり、給水タンクと排水タンクとを前後及び左右のいずれかに並べて配置してもよい。
(3)車輪の個数や配置は、実施形態1に限らない。実施形態1とは異なり、自走式の車両に本開示の移動式トイレを設けてもよい。
(4)実施形態1とは異なり、一種類の衛生器具を一つ以上備える構成でもよく、一種類以上の衛生器具を備える構成でもよい。
(5)実施形態1とは異なり、第2下流側分岐路を複数接続して用いてもよい。これによって、より遠くに設けられたマンホールに汚水を排出することができる。さらに、長さが異なる第2下流側分岐路を複数用意してもよい。
(6)実施形態1とは異なり、給水ポンプに第1給水路を直接接続する構成としてもよい。
(7)実施形態1とは異なり、衛生器具に供給水を直接供給して汚水を排水タンクに搬送する構成としてもよい。この場合、排水タンク内の水位センサから水位増加信号が出力された場合、報知部が外部に排水タンク内の水位が増加したことを報知し得るようにする。これによって、排水タンクから汚水が溢れることを防止することができる。さらに、衛生器具に供給水を直接供給して汚水を排水タンクに搬送するような使い方を禁止してもよい。この場合、例えば、切替弁及び各開閉弁の状態を制御部が監視し得る構成とし、制御部において、切替弁よりも上流側の第1給水路と、他方の第1給水路とが連通した状態であり、且つ分岐路の開閉弁が閉弁していると判別すると、移動式トイレの状態が使用禁止の状態であることを報知部が外部に報知する構成が考えられる。
(8)実施形態1とは異なり、例えば、第1分岐路、及び第2分岐路の外周面に帯状をなした防振ゴム等を巻き付けて、防振ゴムを介して第1分岐路、及び第2分岐路を荷箱内の壁部に固定してもよい。この場合、防振ゴムは、振動を吸収することによって第1分岐路、及び第2分岐路が振動することを低減する振動低減部として機能する。さらに、第1分岐路、及び第2分岐路の一部に可撓性を有したホースを用いる構成としてもよい。さらに、第1分岐路、及び第2分岐路を荷箱内の壁部に金具及びねじを用いて固定する構成とする場合、ゆるみ止め加工をねじに施してもよい。ゆるみ止め加工を施したねじは、振動を吸収しない。ゆるみ止め加工を施したねじを用いることによって壁部に連結した第1分岐路、及び第2分岐路が脱落するような事態を防止することができる。さらに、給水路同士、排水路同士、及び分岐路同士等をゴム等の可撓性を有する材質で構成した免振継手等を介して接続してもよい。
(9)実施形態1とは異なり、接続部に外部給水路や第2下流側分岐路を接続しない場合、接続部を隠蔽する構成を前壁と面一に設け易くなり、見栄えをよくすることができる。
(10)実施形態1とは異なり、第1排水路と第1分岐路とを切替弁を介して接続してもよく、第2排水路と第2分岐路とを切替弁を介して接続してもよい。さらに、第1給水路に設けられた切替弁に代えて、一方の第1給水路、他方の第1給水路、及び第2給水路の各々に開閉弁を設けてもよい。
(11)実施形態1とは異なり、排水路の上流端が接続された衛生器具は1つでもよく、3つ以上でもよい。衛生器具の数に応じて、排水路の数も、1つでも、3つ以上でもよい。
(12)実施形態1とは異なり、供給水の水源として井戸、プール、海、河川、池、沼、湖、ダム等を利用してもよい。
(13)実施形態1とは異なり、給水路を衛生器具及び給水タンクのいずれか一方のみに接続してもよい。
(14)実施形態1とは異なり、分岐路及び排水路のいずれか一方のみが可撓性を有した構成としてもよい。つまり、分岐路及び排水路のいずれか一方のみが振動低減部を有した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…移動式トイレ、13…排水タンク、13A…第1排水路(排水路)(振動低減部)、13C…第2排水路(排水路)(振動低減部)、13D…第1分岐路(分岐路)(振動低減部)、13E…第2分岐路(分岐路)(振動低減部)、14B…第1給水路(給水路)、14C…第2給水路(給水路)、21,22,26,29…衛生器具、50…トレーラ(車両)、Br…分岐路、D…排水路、G…合流部、S…外側給水路(給水路)W…給水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6