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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183557
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20221206BHJP
   A43B 17/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A43B13/14 Z
A43B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090933
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】住田 栄佑
(72)【発明者】
【氏名】田島 善直
(72)【発明者】
【氏名】上田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA36
4F050BA49
4F050EA21
4F050GA06
4F050GA30
4F050JA01
4F050JA30
(57)【要約】
【課題】検出装置の耐久性を向上させる。
【解決手段】検出装置は、足裏に配置される基部と、基部における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられる複数のつま先センサ31a~31cと、配線36とを備える。つま先センサ31a~31cは、荷重を検出する本体部32と、配線36に接続される接続端子33とを備える。複数のつま先センサ31a~31cは、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cを含む。つま先センサ31b,31cは、接続端子33と配線36との接続部Aが屈曲領域Rの外に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、
足裏に配置される柔軟性を有する基部と、
前記基部における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられるつま先用の複数の検出素子と、
前記基部に追従して変形可能な配線とを備え、
前記検出素子は、前記身体情報を検出する本体部と、前記本体部から突出するとともに前記配線に接続される接続端子とを備え、
複数の前記検出素子は、前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子を含み、
最もつま先側に位置する前記検出素子を第1検出素子とし、最も踵側に位置する前記検出素子を第2検出素子とし、前記第1検出素子の前記本体部のつま先側の端部よりも踵側の領域、かつ前記第2検出素子の前記本体部の踵側の端部よりもつま先側の領域を屈曲領域としたとき、
前記検出素子の少なくとも一つは、前記接続端子と前記配線との接続部が前記屈曲領域の外に位置していることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子のうち、
つま先側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部のつま先側に設けられるとともに、前記接続部が前記屈曲領域よりもつま先側に位置し、
踵側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部の踵側に設けられるとともに、前記接続部が前記屈曲領域の外に位置している請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出素子の前記接続端子と前記配線との前記接続部は全て、前記屈曲領域の外に位置している請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、
足裏に配置される柔軟性を有する基部と、
前記基部における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられるつま先用の複数の検出素子と、
前記基部に追従して変形可能な配線とを備え、
前記検出素子は、前記身体情報を検出する本体部と、前記本体部から突出するとともに前記配線に接続される接続端子とを備え、
複数の前記検出素子は、前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子を含み、
前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子のうち、
つま先側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部のつま先側に設けられ、
踵側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部の踵側に設けられていることを特徴とする検出装置。
【請求項5】
前記検出素子は、エラストマー製の静電容量式圧力センサである請求項1~4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記基部は、上筐体と下筐体とを備え、
前記検出素子及び前記配線は、前記上筐体と前記下筐体との間に挟まれている請求項1~5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
インソールとして適用される請求項1~6のいずれか一項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、履物の底部又はインソールに配置した検出装置を用いて、足裏から得られるユーザの身体情報を検出する技術が提案されている。検出装置により検出された身体情報は、例えば、ユーザの歩行状態、健康状態、運動時のパフォーマンスなどの解析に利用される。例えば、特許文献1には、インソールボディと、インソールボディの内部に配置された検出素子としての圧力センサ又は慣性センサとを備えるインソールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-032176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
履物を装着した状態のユーザが歩行、跳躍、着地などの足裏の動きを伴う動作を行った場合、履物の底部及びインソールは、足裏の動きに追従して屈曲するように変形する。そのため、履物の底部又はインソールに配置された検出装置には、ユーザの動作に基づく基部の変形に対する耐久性が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する検出装置は、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、足裏に配置される柔軟性を有する基部と、前記基部における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられるつま先用の複数の検出素子と、前記基部に追従して変形可能な配線とを備え、前記検出素子は、前記身体情報を検出する本体部と、前記本体部から突出するとともに前記配線に接続される接続端子とを備え、複数の前記検出素子は、前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子を含み、最もつま先側に位置する前記検出素子を第1検出素子とし、最も踵側に位置する前記検出素子を第2検出素子とし、前記第1検出素子の前記本体部のつま先側の端部よりも踵側の領域、かつ前記第2検出素子の前記本体部の踵側の端部よりもつま先側の領域を屈曲領域としたとき、前記検出素子の少なくとも一つは、前記接続端子と前記配線との接続部が前記屈曲領域の外に位置している。
【0006】
履物を装着した状態のユーザが歩行、跳躍、着地などの足裏の動きを伴う動作を行った場合に、履物の底部及びインソールは、足裏の母指球から小指球を結ぶ曲線が位置する部分にて前後方向に大きく屈曲する。上記構成によれば、基部における大きく屈曲する範囲である、足裏の母指球から小指球を結ぶ曲線が位置する範囲の外側に接続部を位置させること、又は上記曲線から接続部を遠ざけることができる。接続端子と配線との接続部は、配線において強度が低くなりやすい部位である。この接続部を、基部における屈曲し難い部分に位置させることにより、配線の断線又は配線と接続端子との接触不良の発生を抑制できる。したがって、ユーザの動作に基づく基部の変形に対する検出装置の耐久性が向上する。
【0007】
上記検出装置において、前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子のうち、つま先側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部のつま先側に設けられるとともに、前記接続部が前記屈曲領域よりもつま先側に位置し、踵側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部の踵側に設けられるとともに、前記接続部が前記屈曲領域の外に位置していることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、前後方向の異なる位置に配置される検出素子として、形状が同じである共通の検出素子を用いた場合にも、接続部を屈曲領域の外側に容易に位置させることができる。共通の検出素子を用いることにより、検出装置の製造コストを低減できる。
【0009】
上記検出装置において、前記検出素子の前記接続端子と前記配線の前記接続部は全て、前記屈曲領域の外に位置していることが好ましい。
この場合、検出装置の耐久性を向上させる効果がより顕著に得られる。
【0010】
上記課題を解決する検出装置は、足裏から得られる身体情報を検出する検出装置であって、足裏に配置される柔軟性を有する基部と、前記基部における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられるつま先用の複数の検出素子と、前記基部に追従して変形可能な配線とを備え、前記検出素子は、前記身体情報を検出する本体部と、前記本体部から突出するとともに前記配線に接続される接続端子とを備え、複数の前記検出素子は、前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子を含み、前後方向の異なる位置に配置される前記検出素子のうち、つま先側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部のつま先側に設けられ、踵側に位置する少なくとも一つの前記検出素子は、前記接続端子が前記本体部の踵側に設けられている。
【0011】
上記構成によれば、前後方向の異なる位置に配置される検出素子のうち、踵側に位置する検出素子の本体部の踵側の端部と、つま先側に位置する検出素子の本体部のつま先側の端部との間に基部における屈曲しやすい部分が位置するように、検出素子の前後方向の位置を設定する。これにより、前後方向の異なる位置に配置される検出素子の各接続部を、基部における屈曲し難い部分に容易に位置させることができる。したがって、ユーザの動作に基づく基部の変形に対する検出装置の耐久性が向上する。
【0012】
上記検出装置において、検出素子は、エラストマー製の静電容量式圧力センサであることが好ましい。
エラストマー製の静電容量式圧力センサは、可撓性及び伸縮性を有している。そのため、上記構成によれば、ユーザの動作に基づく基部の変形に対する本体部の耐久性が高くなる。したがって、ユーザの動作に基づく基部の変形に対する検出装置の耐久性が更に向上する。
【0013】
上記検出装置において、前記基部は、上筐体と下筐体とを備え、前記検出素子及び前記配線は、前記上筐体と前記下筐体との間に挟まれていることが好ましい。
上記構成によれば、基部の外部から検出素子及び配線に伝わる衝撃を緩和することができる。したがって、検出装置の耐久性が向上する。
【0014】
上記検出装置は、例えば、インソールとして適用される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出装置の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】検出装置の分解斜視図。
図2】上筐体の図示を省略した検出装置の上面図。
図3図2の3-3線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、荷重を検出するインソールに具体化した本発明の検出装置10の一実施形態を説明する。
図1に示すように、検出装置10は、履物のインソールとして用いられる基部20と、基部20に取り付けられる検出ユニット30とを備えている。なお、柔軟性を有するとは、歩行、跳躍、着地などの際の足裏の動きに伴って前後方向に湾曲させることができる程度に柔らかいことを意味する。
【0018】
<基部>
基部20は、基部20の上部を構成する上筐体21と、基部20の下部を構成する下筐体22とを備えている。検出ユニット30は、上筐体21と下筐体22との間に挟持される態様にて基部20の内部に取り付けられている。
【0019】
上筐体21は、その下面側が平面状に形成されるとともに、その上面が足裏の形状に沿った立体形状に形成されている。上筐体21の構成材料としては、例えば、EVA(エチレンビニルアセテート,エチレン酢酸ビニル)やPU(ポリウレタン)が挙げられる。上筐体21の構成材料及び上筐体21の厚さの一方又は両方を調整することにより、インソールのクッション性及び反発性を調整できる。また、上筐体21の上面には、上筐体21を被覆する表皮23が貼り付けられている。
【0020】
下筐体22は、平板状に形成される部位であり、その上面には、検出ユニット30の構成要素を収容するセンサ収容部24及びモジュール収容部25が設けられている。下筐体22は、センサ収容部24及びモジュール収容部25に対応する形状の貫通孔26を有する有孔板22aの下に、孔を有さない底板22bを重ねて一体化することにより形成されている。下筐体22の構成材料としては、例えば、EVA(エチレンビニルアセテート,エチレン酢酸ビニル)やPU(ポリウレタン)が挙げられる。
【0021】
また、基部20は、上筐体21の下面と、下筐体22の上面とを接着する接着層27を備えている。接着層27は特に限定されるものではなく、両面テープなどのシート材を用いた接着層であってもよいし、接着剤を用いた接着層であってもよい。
【0022】
<検出ユニット>
図1に示すように、検出ユニット30は、三つのつま先センサ31a~31cと、一つの踵センサ31dとを備えている。つま先センサ31a~31cは、足裏における母指球から小指球に連なる肉が厚くなっている範囲にかかる荷重を検出するためのつま先用の検出素子である。踵センサ31dは、足裏の踵にかかる荷重を検出するための踵用の検出素子である。
【0023】
図2に示すように、つま先センサ31aは、第1指の付け根(母指球)にかかる荷重を検出するためのセンサであり、基部20における第1指の付け根の荷重がかかる部分に配置されている。つま先センサ31bは、第2指の付け根にかかる荷重を検出するためのセンサであり、基部20における第2指の付け根の荷重がかかる部分に配置されている。つま先センサ31cは、第5指の付け根(小指球)にかかる荷重を検出するためのセンサであり、基部20における第5指の付け根の荷重がかかる部分に配置されている。したがって、つま先センサ31a~31cは、つま先側から踵側に向かって、つま先センサ31b、つま先センサ31a、つま先センサ31cの順で、前後方向の位置が異なっている。
【0024】
踵センサ31dは、基部20における踵の荷重がかかる部分に配置される。
図1及び図2に示すように、基部20の下筐体22に設けられるセンサ収容部24は、つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dが配置される位置にそれぞれ設けられている。つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dは、センサ収容部24内に収容されている。
【0025】
つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dを構成する圧力センサとしては、圧電素子等を用いた公知の感圧センサを用いることができる。特に、足裏に配置されるという使用状況に鑑みると、伸縮性及び耐久性の観点から、誘電エラストマーを利用したエラストマー製の静電容量式圧力センサを用いることが好ましい。上記誘電エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。
【0026】
本実施形態では、つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dとして、形状が同じである共通の圧力センサを用いている。以下では、つま先センサ31bの構成を説明し、つま先センサ31a,31c及び踵センサ31dの構成の説明を省略する。
【0027】
図3に示すように、エラストマー製の静電容量式圧力センサであるつま先センサ31bは、荷重を検出する本体部32を備えている。本体部32は、誘電エラストマーからなるシート状の誘電層と、誘電層の厚さ方向の両側に配置された電極層としての正極電極及び負極電極とが複数積層されたシート状の多層構造体(図示略)である。センサ収容部24の底面には、本体部32と外形が等しい平板状のスペーサ32aが接着層27と同様の接着層32bにより接着されている。スペーサ32aは、本体部32の高さ位置を調整するための部材であり、本体部32は、スペーサ32aの上に載置されている。
【0028】
つま先センサ31bは、本体部32の電極層に電気的に接続される接続端子33を備えている。接続端子33は、本体部32の周縁から面方向に突出するシート状の導電部位であり、センサ収容部24内で後述する配線36と電気的に接続されるように配置されている。
【0029】
図1及び図2に示すように、検出ユニット30は更に、電子モジュール35及び配線36を備えている。電子モジュール35を構成する機能的要素としては、例えば、バッテリ等の電源、つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dの各圧力センサからの信号を処理する信号処理回路、各圧力センサからの信号やその信号を処理して得られる情報等の各種情報を記憶する記憶部、外部と通信を行う通信部が挙げられる。
【0030】
図1に示すように、電子モジュール35は、モジュール収容部25内に収容されるとともに、接着層27と同様の接着層35aにより上筐体21の下面に接着されている。電子モジュール35及びモジュール収容部25は、足底弓蓋、所謂、土踏まずの位置に配置されている。したがって、電子モジュール35は、つま先センサ31a~31cよりも踵側に位置している。
【0031】
配線36は、つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dの各接続端子33と電子モジュール35とを電気的に接続する。配線36は、基部20に追従して変形可能な柔軟性を有している。柔軟性を有する配線36としては、例えば、フレキシブルプリント配線板、リード線が挙げられる。以下では、配線36として、フレキシブルプリント配線板を用いた場合について説明する。
【0032】
図2及び図3に示すように、配線36におけるつま先センサ31a~31c及び踵センサ31dに接続される端部は、センサ収容部24内に収容されるとともに、センサ収容部24の底面に沿うように配置されている。配線36における他の部分は、上筐体21の下面と下筐体22の上面との間に挟まれる態様にて、上筐体21と下筐体22との間に配置されている。なお、図3においては、表皮23及び接着層27の図示を省略している。
【0033】
図3に示すように、配線36は、絶縁材料により構成される基部層36aと、基部層36aの片側の表面に設けられる導電層36bと、基部層36a及び導電層36bを被覆するシールド層36cとを備えている。
【0034】
センサ収容部24内に収容されている配線36の端部と接続端子33の先端部分とにより、配線36と接続端子33とを接続する接続部Aが形成されている。接続部Aを構成する配線36の端部は、部分的にシールド層36cが除去されて基部層36a及び導電層36bが露出している。接続部Aにおいて、配線36の端部は、基部層36aの導電層36bが設けられている面が接続端子33の上面に対向するように接続端子33に重ねられるとともに、導電接着層37を介して接続端子33の上面に接着されている。導電接着層37としては、異方性導電膜などの導電性接着材料を用いることができる。
【0035】
<つま先センサの接続部の配置>
図2に示すように、本実施形態では、つま先センサ31b,31cの接続端子33と配線36との接続部Aが、屈曲領域Rの外側に位置するように、つま先センサ31b,31cの配置及び配線36の配置を調整している。
【0036】
屈曲領域Rは、つま先センサ31bの本体部32のつま先側の端部Raよりも踵側の領域、かつつま先センサ31cの本体部32の踵側の端部Rbよりもつま先側の領域である。端部Raは、つま先センサ31a~31cのうち、最もつま先側に位置するつま先センサの本体部32のつま先側の端部である。端部Rbは、つま先センサ31a~31cのうち、最も踵側に位置するつま先センサの本体部32の踵側の端部である。本実施形態においては、つま先センサ31bが第1検出素子に該当し、つま先センサ31cが第2検出素子に該当する。
【0037】
つま先センサ31cは、接続端子33が本体部32の踵側に位置する向きで配置されている。そして、つま先センサ31cの接続端子33と配線36との接続部Aは、屈曲領域Rの踵側の境界線L2よりも踵側に配置されている。これにより、つま先センサ31cの接続端子33と配線36との接続部Aは、屈曲領域Rの外側に位置している。
【0038】
つま先センサ31bは、接続端子33が本体部32のつま先側に位置する向きで配置されている。つまり、つま先センサ31bは、つま先センサ31cに対して前後反対向きに配置されている。そして、つま先センサ31bの接続端子33と配線36との接続部Aは、屈曲領域Rのつま先側の境界線L1よりもつま先側に配置されている。このように、本実施形態では、つま先センサ31b,31cの前後方向の位置に基づいて、つま先センサ31b,31cの向きを異ならせることにより、つま先センサ31b,31cの各接続端子33と配線36との接続部Aを屈曲領域Rの外側に位置させている。
【0039】
次に、本実施形態の作用について説明する。
履物を装着した状態のユーザが歩行、跳躍、着地などの足裏の動きを伴う動作を行った場合、履物の底部及びインソールは、足裏の動きに追従して屈曲するように変形する。特に、履物の底部及びインソールは、足裏の母指球から小指球を結ぶ曲線が位置する部分にて前後方向に大きく屈曲する。
【0040】
本実施形態では、つま先センサ31b,31cの接続端子33と配線36との接続部Aを、屈曲領域Rの外側に位置させている。これにより、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cに関して、基部20における足裏の動きに追従して大きく屈曲する範囲である、足裏の母指球から小指球を結ぶ曲線が位置する範囲の外側に接続部Aを位置させること、又は上記曲線から接続部Aを遠ざけることができる。
【0041】
接続端子33と配線36との接続部Aは、配線36において強度が低くなりやすい部位である。この接続部Aを、基部20における屈曲し難い部分に位置させることにより、配線36の断線又は配線36と接続端子33との接触不良の発生が抑制される。
【0042】
また、本実施形態では、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cのうち、つま先側に位置するつま先センサ31bを、接続端子33が本体部32のつま先側に位置する向きで配置している。そして、踵側に位置するつま先センサ31cを、接続端子33が本体部32の踵側に位置する向きで配置している。
【0043】
この場合、つま先センサ31bの本体部32のつま先側の端部Raと、つま先センサ31cの本体部32の踵側の端部Rbとの間に、基部20における屈曲しやすい部分が位置するように、つま先センサ31b,31cの前後方向の位置を設定する。これにより、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cの各接続部Aを、基部20における屈曲し難い部分に容易に位置させることができる。
【0044】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)検出装置10は、足裏に配置される基部20と、基部20における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられる複数のつま先センサ31a~31cと、配線36とを備える。つま先センサ31a~31cは、荷重を検出する本体部32と、配線36に接続される接続端子33とを備える。複数のつま先センサ31a~31cは、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cを含む。つま先センサ31b,31cは、接続端子33と配線36との接続部Aが屈曲領域Rの外に位置している。
【0045】
上記構成によれば、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cの各接続部Aが、基部20におけるユーザの動作に追従して屈曲し難い部分に位置する。これにより、接続部Aにおける配線36の断線又は配線36と接続端子33との接触不良の発生が抑制される。したがって、ユーザの動作に基づく基部20の変形に対する検出装置10の耐久性が向上する。
【0046】
(2)つま先センサ31cは、接続端子33が本体部32の踵側に位置する向きで配置されるとともに、接続部Aが屈曲領域Rよりも踵側、つまり屈曲領域Rの外に位置している。つま先センサ31bは、接続端子33が本体部32のつま先側に位置する向きで配置されるとともに、接続部Aが屈曲領域Rよりもつま先側、つまり屈曲領域Rの外に位置している。
【0047】
上記構成によれば、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cとして、形状が同じである共通の圧力センサを用いた場合にも、各接続部Aを屈曲領域Rの外側に容易に位置させることができる。共通の圧力センサを用いることにより、検出装置10の製造コストを低減できる。
【0048】
(3)検出装置10は、足裏に配置される柔軟性を有する基部20と、基部20における、足裏の各指の付け根が位置する範囲に取り付けられる複数のつま先センサ31a~31cと、配線36とを備える。つま先センサ31a~31cは、荷重を検出する本体部32と、配線36に接続される接続端子33とを備える。複数のつま先センサ31a~31cは、前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサを含む。前後方向の異なる位置に配置されるつま先センサ31b,31cのうち、つま先側に位置するつま先センサ31bは、接続端子33が本体部32のつま先側に位置する向きで配置されている。踵側に位置するつま先センサ31cは、接続端子33が本体部32の踵側に位置する向きで配置されている。
【0049】
上記構成によれば、つま先センサ31b,31cの各接続部Aを、基部20におけるユーザの動作に追従して屈曲し難い部分に容易に位置させることができる。各接続部Aを基部20における屈曲し難い部分に位置させることにより、配線36の断線又は配線36と接続端子33との接触不良の発生が抑制される。したがって、ユーザの動作に基づく基部20の変形に対する検出装置10の耐久性が向上する。
【0050】
(4)つま先センサ31a~31cは、エラストマー製の静電容量式圧力センサである。
エラストマー製の静電容量式圧力センサは、可撓性及び伸縮性を有しているため、ユーザの動作に基づく基部20の変形に対する本体部32の耐久性が高くなる。したがって、ユーザの動作に基づく基部20の変形に対する検出装置10の耐久性が更に向上する。
【0051】
(5)基部20は、上筐体21と下筐体22とを備えている。つま先センサ31a~31c及び配線36は、上筐体21と下筐体22との間に挟まれている。
上記構成によれば、基部20の外部からつま先センサ31a~31c及び配線36に伝わる衝撃を緩和することができる。したがって、検出装置10の耐久性が向上する。
【0052】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、つま先センサ31a~31c及び踵センサ31dを、形状が同じである共通の圧力センサとしていたが、一部又は全部を非共通の圧力センサとしてもよい。
【0053】
・つま先センサ31bの接続端子33と配線36との接続部Aを屈曲領域Rの外側に位置させる構成は、本体部32のつま先側に接続端子33を設ける構成に限定されない。例えば、つま先センサ31bの接続端子33を本体部32の踵側に設けるとともに、その先端部が屈曲領域Rよりも踵側に位置するように長く伸ばした形状とする。そして、接続端子33における屈曲領域Rよりも踵側に位置する部分に配線36との接続部Aを設ける。この場合にも、屈曲領域Rの外側に接続部Aを位置させることができる。
【0054】
・つま先センサ31aの接続端子33と配線36との接続部Aを屈曲領域Rの外側に位置させるか否かは任意である。ただし、検出装置10の耐久性を向上させる効果がより顕著に得られる点から、全ての接続部Aを屈曲領域Rの外側に位置させることが好ましい。
【0055】
・検出装置10に設けられるつま先センサの数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、つま先センサの数は、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。ただし、つま先センサの少なくとも一つは、接続端子33と配線36との接続部Aを屈曲領域Rの外側に位置させる。この場合、いずれのつま先センサの接続端子33の接続部Aを屈曲領域Rの外側に位置させるかは任意に選択できる。
【0056】
・検出装置10に設けられる踵センサの数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。
・検出装置10に設けられる電子モジュール35の数及び配置は、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、電子モジュール35を複数の部材に分割して設けてもよいし、電子モジュール35を基部20の外側に設けてもよい。
【0057】
・つま先センサを、足裏から得られる身体情報を検出する他の検出素子に変更してもよい。他の検出素子としては、例えば、温度センサ、臭いセンサ、慣性センサが挙げられる。踵センサについても同様である。
【0058】
・検出装置10を履物に適用してもよい。この場合、履物の底壁部分を基部20として用いる。
【符号の説明】
【0059】
A…接続部
R…屈曲領域
10…検出装置
20…基部
21…上筐体
22…下筐体
31a~31c…つま先センサ(検出素子)
32…本体部
33…接続端子
36…配線
図1
図2
図3