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  • 特開-汎用コンバインの脱穀装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183560
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】汎用コンバインの脱穀装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/18 20060101AFI20221206BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A01F12/18 Z
A01D41/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090938
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】黒木 慎
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晋太郎
【テーマコード(参考)】
2B074
2B094
【Fターム(参考)】
2B074DC04
2B074GH05
2B094AA03
2B094AA11
2B094AJ01
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、汎用脱穀装置の扱胴と扱胴カバーとの関係において、扱胴回転が前から見て時計回りに回転するが、回転方向上流側では扱胴の扱歯先端と扱胴カバーとの隙間を下流側より広くして持ち上げ時の作物の流れをスムースにし、下流側は狭くすることで、扱歯に対する充分な扱き作用を付与し、脱穀負荷低減を図ることを目的とする。
【解決手段】刈取作物全稈を扱室(15)内に投入して脱穀する汎用脱穀装置の扱胴(16)と扱胴カバー(19)との関係において、正面視時計回りに回転する扱胴の回転方向上流側では、扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を広くし、回転方向下流側では扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を上流側より狭くなるように設定してあることを特徴とする汎用コンバインの脱穀装置。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取作物全稈を扱室(15)内に投入して脱穀する汎用脱穀装置の扱胴(16)と扱胴カバー(19)との関係において、正面視時計回りに回転する扱胴の回転方向上流側では、扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を広くし、回転方向下流側では扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を上流側より狭くなるように設定してあることを特徴とする汎用コンバインの脱穀装置。
【請求項2】
前記扱胴(16)の回転方向上流側での扱胴カバー(19)との隙間、下流側での扱胴カバー(19)との隙間、上流側から下流側に移行する上側の送塵側流域での扱胴カバー(19)との隙間の関係は、上流側での隙間と、上流側から下流側に移行する上側の送塵側流域での隙間とは同じであり、下流側での隙間はそれより狭い、請求項1記載の汎用コンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汎用コンバインにおける脱穀部の扱室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自脱型コンバインにあっては、扱室内扱胴と扱胴カバーとの関係において、扱歯先端と受網との隙間と同じように、扱歯先端と扱胴カバーとの隙間も同様に均等に構成されている。
【0003】
これは、従来より一般的な周知技術として知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汎用コンバインにあっては、自脱型コンバインとは異なり、刈取作物全稈をもろに扱室内へ投入するため、藁屑の発生も多く、脱穀負荷も大きい。
【0005】
にもかかわらず汎用脱穀装置においても、自脱型脱穀装置に習って扱歯先端と扱胴カバーの隙間は均等に構成されていた。
【0006】
本発明は、かかる点に改良を加えたものであり、要するに、汎用脱穀装置の扱胴と扱胴カバーとの関係において、扱胴が前から見て時計回りに回転するが、回転方向上流側では扱胴の扱歯先端と扱胴カバーとの隙間を下流側より広くして持ち上げ時の作物の流れをスムースにし、下流側は狭くすることで、扱歯に対する充分な扱き作用を付与し、脱穀負荷低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1記載の本発明は、刈取作物全稈を扱室(15)内に投入して脱穀する汎用脱穀装置の扱胴(16)と扱胴カバー(19)との関係において、正面視時計回りに回転する扱胴の回転方向上流側では、扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を広くし、回転方向下流側では扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を上流側より狭くなるように設定してあることを特徴とする汎用コンバインの脱穀装置である。
【0009】
請求項2の本発明は、前記扱胴(16)の回転方向上流側での扱胴カバー(19)との隙間、下流側での扱胴カバー(19)との隙間、上流側から下流側に移行する上側の送塵側流域での扱胴カバー(19)との隙間の関係は、上流側での隙間と、上流側から下流側に移行する上側の送塵側流域での隙間とは同じであり、下流側での隙間はそれより狭い、請求項1記載の汎用コンバインの脱穀装置である。
【発明の効果】
【0010】
以上要するに、請求項1記載の本発明によれば、扱胴と扱胴カバーとの関係において、扱胴の回転方向上流側では扱胴と扱胴カバーとの隙間を下流側より広くして持ち上げ時の作物の流れをスムースにし、下流側は狭くすることで、扱歯に対する扱き作用が充分に付与され、脱粒性を高め、負荷低減を図ることができる。
【0011】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加えて、多収量の作物が入ってきても上流側と送塵側流域部では隙間が広いため、スムースに流れ、下流側では狭いため、扱胴で扱かれて脱粒され、負荷低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態にかかる脱穀装置を備えた汎用コンバインの正面図
図2】同脱穀装置の要部の縦断正面図
図3】同脱穀装置の要部の縦断正面
図4】同脱穀装置の要部の縦断側面図
図5】同脱穀装置の要部の縦断側面図
図6】同脱穀装置の要部の縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0014】
図1は、全稈投入するタイプの汎用コンバインの正面図を示すもので、つまり、圃場に立毛する稲麦や菜種等の穀稈(作物茎稈)を自走しながら刈り取って扱室内に投入して脱穀処理するものである。
【0015】
左右一対の走行クローラ2を備えた車体1の前側には、分草具3により分草された作物茎稈を後方に掻き込む掻込タイン4を備えた掻込リール5と、掻込後の茎稈を切断するバリカン式の横向き刈刃装置6と刈取後の穀稈をテーブル7上に掻き込む掻込オーガ8等からなる刈取前処理部9を備えている。
【0016】
刈取前処理部9の左側から後方にわたって装備されたフィーダハウス10内には、刈取前処理部9からの作物茎稈を受け継いで後方上方に揚上搬送して汎用脱穀装置(脱穀部)11内に投入供給するフィードコンベアが装備されている。
【0017】
フィーダハウス10の右側には、運転席12や操作ボックス13等からなる運転操作部が装備され、運転操作部の後方には収穫物を一時的に貯留するグレンタンク14が設置されている。
【0018】
図2に示すように、汎用脱穀装置(脱穀部)11において、扱室15に内装する扱胴16は、正面視時計回りに回転するようになっている。
【0019】
扱室15の下壁には受網18が張設され、扱胴16と上側の扱胴カバー19との関係においては、扱胴回転方向上流側の扱歯17先端と扱胴カバー18との隙間(A)が広く、扱胴回転方向下流側では扱歯先端と扱胴カバーとの隙間(B)が狭くなるように(A)>(B)の関係に設定されている。すなわち、正面視時計回りに回転する扱胴の回転方向上流側では、扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を広くし、回転方向下流側では扱胴(16)と扱胴カバー(19)との隙間を上流側より狭くなっている。
【0020】
従って、扱胴の回転方向上流側では扱胴の扱歯先端と扱胴カバーとの隙間を下流側より広くすることで、持ち上げ時の作物の流れをスムースにし、下流側は上流側より狭くすることで、扱歯に対する充分な扱き作用が付与され、脱粒性が高まり、負荷を低減することができる。
【0021】
また、図3例では、扱胴回転方向上流側の扱歯先端との隙間(A)、下流側での扱歯先端との隙間(B)、上流側から下流側に移行する送塵ガイド部20を持つ上側の送塵側流域での扱歯先端との隙間(C)は、(A)=(C)>(B)となる関係に設定されている。
【0022】
これによると、多収量の作物が入ってきても上流側と送塵側流域部では隙間が広いため、スムースに流れ、下流側では狭いため、扱胴での扱き作用を受けて脱粒され、負荷低減を図ることができる。
【0023】
なお、図例では隙間(A)と隙間(C)は略均等にしているが、若干隙間(C)を狭くして実施する場合もあり、若干狭くしても同様の作用効果が期待できる。
【0024】
図4に示すように、隙間(A)>(B)の関係に設定した箇所は、扱胴全長(L)をすべて(A)>(B)とすることで、多収量の作物が入ってきても上流側が広いため、スムースに流れ、下流側は狭いため、扱胴で扱かれて脱穀される。
【0025】
また、図5例のように、隙間(A)>(B)とした箇所は、扱胴の前後方向で取込用インペラ部21までとし、取込用インペラ部21から後方L1は、(A)=(B)=(C)とすることで、上流側での隙間が広いため、作物が扱室内に入ってきやすく、その後は送塵ガイド部20で脱穀しながらスムースに流れ、負荷低減に対処できる。
【0026】
図6例では、隙間(A)>(B)の関係に設定した箇所においては、扱胴の前後方向で前側半分L2までとし、後側半分は(A)=(B)=(C)とした構成としている。
【0027】
なお、扱胴16と扱胴カバー19と受網18との関係においては、扱胴と扱胴カバーとの隙間(A)>(B)とした箇所は、前後方向で扱胴前から受網全長Rすべてとしたり(図4参照)、また、隙間(A)>(B)とした箇所において、扱胴の前後方向で、扱胴前から受網前側前半分(R1)のみとし、これより後方の隙間は、(A)=(B)=(C)とした構成としている(図5参照)。
【0028】
更に、また、隙間隙間(A)>(B)とした箇所は、扱胴の前後方向で扱胴前側から受網前側までR2の構成とし、その受網の後側は(A)=(B)=(C)とした構成としている(図6参照)。
【符号の説明】
【0029】
11 汎用脱穀装置(脱穀部)
15 扱室
16 扱胴
17 扱歯
18 受網
19 扱胴カバー
【0030】
(A) 扱胴の扱歯と扱胴カバーとの隙間
【0031】
(B) 扱胴の扱歯と扱胴カバーとの隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6