(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183565
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】定義データ生成装置及び管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221206BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221206BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06T7/00 610
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090946
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 力
【テーマコード(参考)】
3C100
5L096
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA57
3C100BB15
3C100BB17
3C100BB34
5L096BA03
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA69
5L096HA09
5L096JA03
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】作業効率を向上させると共にバラつきの小さい定義データを生成する定義データ生成装置及び定義データ生成装置を用いた管理システムを提供すること。
【解決手段】定義データ生成装置10の制御部13は、時刻情報Tに基づいて映像における所定状態を切り替える映像切替部131と、切り替えられた映像にて所定状態にある特定対象を識別するタグ情報TJを取得するタグ情報取得部132と、特定対象の映像中の位置を識別するポジション情報PJを取得し、特定対象が存在するエリア情報AJを設定するエリア設定部133と、タグ情報TJとエリア情報AJとを互いに関連付けることにより、特定対象の状況を定義する判定用定義データTDを生成する定義データ生成部134とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象を時間的に連続して撮影した映像を表す映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像中の前記撮影対象の複数の所定状態に関する時刻情報を取得する時刻情報取得部と、
前記映像データ取得部によって取得された前記映像データ及び前記時刻情報取得部によって取得された前記時刻情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記時刻情報に基づいて前記映像データによる前記映像における前記所定状態を切り替える映像切替部と、
切り替えられた前記映像にて前記所定状態にある前記撮影対象のうちの特定対象を識別するタグ情報を取得するタグ情報取得部と、
前記特定対象の前記映像中の位置を識別するポジション情報を取得し、前記ポジション情報に基づいて前記特定対象が存在する領域を表すエリア情報を設定するエリア設定部と、
前記タグ情報取得部によって取得された前記タグ情報と前記エリア設定部によって設定された前記エリア情報とを互いに関連付けることにより、前記特定対象の状況を定義する定義データを生成する定義データ生成部と、
を備えた、定義データ生成装置。
【請求項2】
前記時刻情報取得部は、
前記所定状態が継続する時間を定めた前記時刻情報を取得する、請求項1に記載の定義データ生成装置。
【請求項3】
前記タグ情報取得部は、前記映像を画像解析することによって前記タグ情報を取得し、
前記エリア設定部は、前記映像を画像解析することによって前記ポジション情報を取得する、請求項1又は2に記載の定義データ生成装置。
【請求項4】
前記タグ情報取得部は、前記映像中にて指定された前記タグ情報を取得し、
前記エリア設定部は、前記映像中にて指定された前記ポジション情報を取得する、請求項1又は2に記載の定義データ生成装置。
【請求項5】
前記タグ情報取得部によって取得された前記タグ情報、及び、前記エリア設定部によって設定された前記エリア情報を調整する調整部を備え、
前記定義データ生成部は、前記調整部によって調整された前記タグ情報及び前記エリア情報を互いに関連付けて前記定義データを生成する、請求項1-4の何れか一項に記載の定義データ生成装置。
【請求項6】
前記調整部は、
前記タグ情報取得部によって取得された前記タグ情報の削除、又は、前記タグ情報取得部によって取得された前記タグ情報に対して新たな前記タグ情報の追加を行うことにより、前記タグ情報を調整する、請求項5に記載の定義データ生成装置。
【請求項7】
前記タグ情報取得部は、
前記映像データを説明変数とすると共に前記時刻情報を目的変数とする機械学習を行うことにより生成されて、前記所定状態を画像解析するための学習済みモデルを用いて、前記タグ情報を取得する、請求項1-6の何れか一つに記載の定義データ生成装置。
【請求項8】
前記所定状態は、作業者が工作機械を用いた作業状態を含む、請求項1-7の何れか一項に記載の定義データ生成装置。
【請求項9】
請求項1-8に記載の前記定義データ生成装置によって生成された前記定義データを記憶する定義データ記憶装置と、
前記撮影対象を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置によって撮影された映像における前記特定対象について前記定義データを用いて解析し、前記特定対象が前記定義データによる定義に一致した場合に前記所定状態に関する前記時刻情報を出力する時刻出力装置と、
を備えた、管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定義データ生成装置及び同装置を用いた管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示された映像監視システムが知られている。この従来の映像監視システムは、製品を生産する生産ラインの機器を制御する制御機器から取得した制御情報に基づいて、生産ラインを撮影する撮影装置による画像から、製品を生産する作業の工程の画像を自動的に抽出して表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、作業の開始又は終了等を定義する定義データを生成する場合において、人が、撮影された映像を再生しながら画像や映像における人物や部材、工具等を目視によって認識し、認識した人物や部材、工具等の位置を指定することによって状況(パターン)を定義する定義データを生成することが行われている。この場合、人が行う作業において、例えば、対象となる人物や部材、工具等を映像から探し出す際には多大な工数を要するため、更なる効率化が求められている。又、人が定義データを生成する場合、映像に基づいて定義データを生成する際の知識量や作業経験の違い等により、生成される定義データ自体にバラつきが生じる虞もある。
【0005】
本発明は、作業効率を向上させると共にバラつきの小さい定義データを生成する定義データ生成装置及び定義データ生成装置を用いた管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
定義データ生成装置は、撮影対象を時間的に連続して撮影した映像を表す映像データを取得する映像データ取得部と、映像中の撮影対象の複数の所定状態に関する時刻情報を取得する時刻情報取得部と、映像データ取得部によって取得された映像データ及び時刻情報取得部によって取得された時刻情報を取得する制御部と、を備え、制御部は、時刻情報に基づいて映像データによる映像における所定状態を切り替える映像切替部と、切り替えられた映像にて所定状態にある撮影対象のうちの特定対象を識別するタグ情報を取得するタグ情報取得部と、特定対象の映像中の位置を識別するポジション情報を取得し、ポジション情報に基づいて特定対象が存在する領域を表すエリア情報を設定するエリア設定部と、タグ情報取得部によって取得されたタグ情報とエリア設定部によって設定されたエリア情報とを互いに関連付けることにより、特定対象の状況を定義する定義データを生成する定義データ生成部と、を備える。
【0007】
これによれば、映像切替部は、時刻情報を用いることにより、撮影対象を時間的に連続して撮影した映像における所定状態(場面)を容易に切り替えることができる。これにより、定義データの作成者が映像中の所望の映像を容易に確認することができる。従って、特定対象を映像から探し出す際の工数を大幅に低減することができ、定義データの生成の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】作成ツールによって作成される表示画面を説明するための図である。
【
図5】標準作業組み合わせ表(時刻情報)を説明するための図である。
【
図6】タグ情報TJ及びポジション情報PJを説明するための図である。
【
図7】判定用定義データを形成するエリア情報を説明するための図である。
【
図8】判定用定義データを説明するための図である。
【
図11】作業実績(時刻情報)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1.定義データ生成装置10の構成)
定義データ生成装置10の構成について、
図1を参照して説明する。定義データ生成装置10は、撮影対象を時間的に連続して撮影した映像を表す映像データと、映像中の撮影対象の複数の所定状態に関する時刻情報とを用いて、撮影対象のうちの特定対象の状況(パターン)を定義する定義データを生成するものである。本例の定義データ生成装置10は、例えば、製品を生産する際の作業の工程ごとにおける特定対象としての作業者の作業開始及び作業終了を自動的に状況判定(パターン判定)するための定義データ(以下、「判定用定義データ」と称呼する。)を生成する場合を例示する。
【0010】
定義データ生成装置10は、CPU、ROM、RAM、各種インターフェースを備えた演算装置及び記憶装置を有するコンピュータ装置である。本例の定義データ生成装置10は、
図1に示すように、映像データ取得部11、時刻情報取得部12、及び、制御部13を主に備える。
【0011】
映像データ取得部11は、作業に関与する人物(作業者)、部材(製品)、工具等を撮影対象として時間的に連続して撮影する撮影装置1から映像データMを取得する。ここで、映像データMには、時間的に連続した時刻データが含まれている。尚、以下の説明においては、指定された作業者が予め設定された作業手順及び作業要領に従うモデル作業を行った際の作業状態(即ち、所定状態)を撮影した映像を表す映像データMを、「リファレンス映像データRM」として区別する。そして、本例の映像データ取得部11は、取得した映像データM(リファレンス映像データRM)を制御部13に出力する。
【0012】
時刻情報取得部12は、撮影装置1(又は、映像取得部11)から取得したリファレンス映像データRMに対応して、モデル作業における各工程を行った際の作業開始時刻及び作業終了時刻を表す各々の時刻情報Tを取得する。そして、時刻情報取得部12は、取得した時刻情報Tを制御部13に出力する。
【0013】
ここで、本例においては、時刻情報取得部12は、
図1に示すように、撮影装置1によって撮影されたリファレンス映像データRMを用いて作業手順及び作業要領を定めた作業手順Sを作成する作成ツール2(コンピュータ装置によって実行されるアプリケーション)から時刻情報Tを取得する場合を例示する。
【0014】
作成ツール2は、例えば、判定用定義データの作成者による操作に従い、
図2に示すように、リファレンス映像データRMを取得し、取得したリファレンス映像データRMに基づいて人物、部材、工具等を識別するためのタグ情報TJを設定すると共に、タグ情報TJによって識別された人物、部材、工具等の位置を識別するポジション情報PJを設定した表示画面を作成する。尚、タグ情報TJ及びポジション情報PJの設定については、作成ツール2がソフトウェアによる画像解析によって自動的に設定しても良いし、作成者が手動によって設定しても良い。
【0015】
又、作成ツール2は、表示画面において、例えば、作成者によって、製品を生産する工程ごとの作業手順及び作業上の留意点等を含む作業要領を入力することができる。そして、作成ツール2は、
図3に示すように、作成者によって表示画面上に表示されるメニューから「作業手順書出力」が選択されることにより、
図4に示す作業手順S(作業手順情報)を生成する。
【0016】
更に、作成ツール2は、リファレンス映像データRM及び生成した作業手順Sに基づいて、
図5に示すように、作業時間を定めた標準作業時刻情報である標準作業組み合わせ表Lを出力する。標準作業組み合わせ表Lは、作業手順Sに基づき、工程ごとに作業開始から作業終了までの経過時間や作業者が工程間を移動する移動時間、即ち、製品を生産する際の標準的な時刻情報Tを定めたものである。そして、作成ツール2は、工程ごとの作業開始、作業終了、移動を時間軸上に表した
図5に示す標準作業組み合わせ表L即ち時刻情報Tを作成して時刻情報取得部12に出力する。
【0017】
尚、本例においては、作成者が作成ツール2を用いることによって、作業手順S及び標準作業組み合わせ表L即ち時刻情報Tを自動的に作成する場合を例示する。しかしながら、作成者が、例えば、別途、撮影装置1によって撮影されたリファレンス映像データRMを確認しながら、必要に応じて手動により作業手順S及び標準作業組み合わせ表L(時刻情報T)を作成することも可能である。そして、時刻情報取得部12は、作成ツール2によって作成された標準作業組み合わせ表L即ち時刻情報Tを制御部13に出力する。
【0018】
制御部13は、映像データ取得部11からリファレンス映像データRMを取得すると共に、時刻情報取得部12から時刻情報T(標準作業組み合わせ表L)を取得し、判定用定義データを生成する。このため、制御部13は、
図1に示すように、映像切替部131、タグ情報取得部132、エリア設定部133、判定用定義データ生成部134、及び、調整部135を主に備える。
【0019】
映像切替部131は、
図6-8に示すように、例えば、作成者による操作に応じて、表示画面上に表示されるリファレンス映像データRMにおいて、取得した時刻情報Tに含まれる各々の工程の作業開始時刻に対応するように、リファレンス映像データRMを表示する。即ち、映像切替部131は、各々の工程の作業開始時刻に対応するように、リファレンス映像データRMに含まれる時刻データを用いてリファレンス映像データRMの頭出しを行うことができる。この場合、作成者は、例えば、図示省略の入力装置を用いて、「工程1」や「工程2」等を入力することにより、リファレンス映像データRMにおける「工程1」の作業開始時の映像や「工程2」の作業開始時の映像の場面を表示させることができる。
【0020】
尚、例えば、「工程1」の作業終了時刻に対応するリファレンス映像データRMについては、頭出しした「工程2」の作業開始時刻からリファレンス映像データRMを巻き戻すことによって容易に「工程1」の作業終了時の映像を表示することができる。即ち、作業終了時刻に対応する映像は、後工程の作業開始時の映像を頭出しすることによって容易に表示することができる。
【0021】
タグ情報取得部132は、
図6にて太線の四角により示すように、映像切替部131によって切り替えられたリファレンス映像データRMに表示されている人物、部材、工具等を特定対象として識別するタグ情報TJを取得する。ここで、タグ情報取得部132は、周知の画像解析技術を用いて人物、部材、工具等を識別してタグ情報TJを自動的に取得したり、或いは、作成者がリファレンス映像データRMを視認しながら個々のタグ情報TJを設定(指定)したりして取得することが可能である。
【0022】
エリア設定部133は、タグ情報TJによって識別された人物、部材、工具等について、リファレンス映像データRMによる映像中の位置を識別するポジション情報PJを取得する。そして、エリア設定部133は、
図7にて太い枠線により示すように、取得したポジション情報PJに基づいて(即ち、ポジション情報PJを含むように)、タグ情報TJによって識別された人物、部材、工具等が存在する領域を座標を用いて表すエリア情報AJを設定する。ここで、エリア設定部133は、周知の画像解析技術を用いてエリア情報AJをソフトウェア上で自動的に設定したり、或いは、作成者がリファレンス映像データRMを視認しながら個々のエリア情報AJを設定したりして決定することが可能である。尚、エリア情報AJについては、
図7に示すような四角に代えて、種々の形状を用いて設定可能であることは言うまでもない。
【0023】
判定用定義データ生成部134は、
図8に示すように、各々の工程において、タグ情報取得部132によって取得されたタグ情報TJとエリア設定部133によって決定されたエリア情報AJ(座標)とを互いに関連付けることにより、特定対象である人物(作業者)、部材(製品)、工具等のパターンをリスト化して判定用定義データTDを生成する。そして、判定用定義データ生成部134は、生成した判定用定義データTDを候補として表示画面上に表示する。
【0024】
これにより、作成者は、候補として表示された判定用定義データTDについて、判定に必要となるタグ情報TJが含まれており、且つ、設定されたエリア情報AJが正しければ、
図8に示すように、表示されたダイアログの「適用」を選択することによって表示された判定用定義データTDを正式な定義データとして登録する。
【0025】
この場合、作成者は、例えば、「工程2」の作業開始時の判定用定義データTD、詳しくは、タグ情報TJ及びエリア情報AJについて確認する際には、
図6及び
図7に示すように、映像切替部131に対して「工程2」のリファレンス映像データRMを頭出しさせることができる。これにより、作成者は、「工程2」の作業開始時の判定に必要なタグ情報TJ及びエリア情報AJが候補として表示された判定用定義データTDとなっているか否かを素早く且つ簡便に確認することができる。
【0026】
一方、判定用定義データ生成部134によって候補として表示された判定用定義データTDについて、タグ情報TJの過不足又はエリア情報AJの調整が必要な場合には、作成者は、調整部135を用いて判定用定義データTDの調整(修正)を行う。例えば、作成者は、
図8に示すように、候補として表示された判定用定義データTDに合わせて表示画面に表示されたダイアログの「追加」を選択する。
【0027】
これにより、調整部135は、
図6及び
図7に示すように、映像切替部131に対して作成者が調整したい(確認したい)映像、例えば、「工程2」の作業開始時の映像等を表示させる。これにより、調整部135は、
図6に示すようにタグ情報取得部132に対して表示されたリファレンス映像データRMにおけるタグ情報TJを表示させると共に、
図7に示すようにエリア設定部133に対してタグ情報TJに対応するエリア情報AJを表示させる。そして、作成者は、図示省略の入力装置を用いて、例えば、不要なタグ情報TJを消去したり、必要なタグ情報TJを追加したりする。つまり、調整部135は、タグ情報取得部132によって取得されたタグ情報TJの要否の選別を可能とする。又、作成者は、図示省略の入力装置を用いて、例えば、
図7に示す枠線によって囲まれたエリア情報AJについて、必要な領域となるように枠線に囲まれた範囲(大きさ)を修正即ち映像中のエリア情報AJを設定する座標を修正する。
【0028】
このように、タグ情報TJ及びエリア情報AJが修正されると、判定用定義データ生成部134は、修正された判定用定義データTDを改めて表示し、調整部135は、
図8に示すように、表示画面に改めてダイアログを表示する。これにより、作成者が「適用」を選択すると、修正(調整)された判定用定義データTDが正式に登録される。尚、判定用定義データ生成部134によって候補として生成される判定用定義データTDの精度が高い場合には、適宜、調整部135を省略することも可能である。
【0029】
以上の説明からも理解できるように、定義データ生成装置10によれば、撮影装置1から取得した映像データM(リファレンス映像データRM)の時刻データと時刻情報Tとにより、作成者が映像中の所望の映像を容易に確認することができる。これにより、タグ情報TJの付された特定対象を映像から探し出す際の工数を大幅に低減することができ、判定用定義データ(定義データ)の生成の作業効率を向上させることができる。
【0030】
(2.管理システム20の構成)
本例の管理システム20は、例えば、製品を生産する工場に設置されており、上述した定義データ生成装置10によって生成された判定用定義データTD(定義データ)を用いて、各作業者の作業実績即ち作業に関連する時刻情報を管理する。このため、管理システム20は、
図9に示すように、撮影装置21と、管理装置22とを備える。
【0031】
撮影装置21は、
図10に示すように、作業に関与する人物(作業者)、部材(製品)、工具等を撮影対象として時間的に連続し、映像データMを時間経過と共に連続的に出力する。即ち、撮影装置21は、映像データMと共に時間データを管理装置22に出力する。
【0032】
管理装置22は、CPU、ROM、RAM、各種インターフェース及び記憶装置を備えたコンピュータ装置である。管理装置22は、定義データ記憶装置としての定義データ記憶部221と、時刻出力装置としての映像データ取得部222、作業実績生成部223及び出力部224とを備える。定義データ記憶部221は、上述したように、定義データ生成装置10によって事前に生成された判定用定義データTDを取得して記憶する。映像データ取得部222は、撮影装置22によって撮影されて時間データを有する映像データMを時間経過と共に連続的に取得する。
【0033】
作業実績生成部223は、定義データ記憶部221に記憶された判定用定義データTDと、映像データ取得部222によって連続的に取得された映像データMとを用いて、
図10に示すように、特定対象である人物(作業者)、部材(製品)、工具についてタグ情報TJ及びポジション情報PJを設定する。尚、タグ情報TJ及びポジション情報PJの設定について、作業実績生成部223は、例えば、周知の画像解析技術を用いてエリア情報AJをソフトウェア上で自動的に設定することができる。
【0034】
そして、作業実績生成部223は、タグ情報TJ及びポジション情報PJが設定された映像データMと判定用定義データDとを用いて、
図11に示すように、作業者による工程ごとの作業開始及び作業終了、並びに、工程間の移動(例えば、徒歩等)等の時刻情報Tを含む作業実績WPを生成する。即ち、作業実績生成部223は、所定状態である作業者の作業状態に関する時刻情報Tを作業実績WPとして生成する。出力部224は、作業実績生成部223によって生成された作業実績WPを、例えば、管理者が所持する端末装置に出力する。これにより、管理者は、作業者の作業実績WP即ち時刻情報Tを把握することができる。
【0035】
以上の説明からも理解できるように、管理システム20によれば、定義データ生成装置10によって生成された判定用定義データ(定義データ)を用いて、撮影装置21によって撮影された映像(映像データM)における特定対象の状況を判定し、判定に基づいて時刻情報T(作業実績WP)を出力することができる。これにより、人為的な定義のバラつきをより小さくすることができ、時刻情報T(作業実績WP)の信頼性を高めることができる。又、自動的に時刻情報T(作業実績WP)を出力することができるため、手動によって時刻情報T(作業実績WP)を作成する場合に比べて、より簡単に時刻情報T(作業実績WP)を記録することができる。
【0036】
(3.別例)
上述した本例においては、定義データ生成装置10のタグ情報取得部132及びエリア設定部133が周知の画像解析技術を用いて、タグ情報TJ及びポジション情報PJを設定するようにした。これに代えて、タグ情報取得部132及びエリア設定部133が、例えば、映像データM(リファレンス映像データRM)を説明変数とすると共に時刻情報T(標準作業組み合わせ表L)を目的変数とする機械学習を行うことにより生成されて、所定状態を画像解析するための学習済みモデルを用いて、タグ情報TJ及びポジション情報PJを設定するようにすることも可能である。
【0037】
このように、機械学習による学習済みモデルを用いることにより、生産する製品に関係する特定対象の認識精度、即ち、タグ情報TJ及びポジション情報PJの設定精度を向上させることができる。その結果、作成者が調整部135を用いて判定用定義データTDの修正頻度を少なくすることが可能となり、判定用定義データ(定義データ)の生成における作業効率を向上させることに寄与することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…撮影装置、2…作成ツール、10…定義データ生成装置、11…映像データ取得部、12…時刻情報取得部、13…制御部、131…映像切替部、132…タグ情報取得部、133…エリア設定部、134…定義データ生成部、135…調整部、20…管理装置、21…撮影装置、22…管理装置、221…定義データ記憶部(定義データ記憶装置)、222…映像データ取得部(時刻出力装置)、223…作業実績生成部(時刻出力装置)、224…出力部(時刻出力装置)、M…映像データ、RM…リファレンス映像データ、TJ…タグ情報、PJ…ポジション情報、T…時刻情報、TD…判定用定義データ(定義データ)、WP…作業実績、S…作業手順、L…標準作業組み合わせ表