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特開2022-183568ロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183568
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システム
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/00 20060101AFI20221206BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20221206BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20221206BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20221206BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A61G13/00 Z
A61M5/142 530
A61M5/145 500
A61B34/30
B25J9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090954
(22)【出願日】2021-05-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 友莉子
(72)【発明者】
【氏名】大手山 亮
(72)【発明者】
【氏名】渡野邉 哲也
【テーマコード(参考)】
3C707
4C066
4C341
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS10
3C707JU12
3C707KS17
3C707KT01
3C707KT05
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF01
4C066HH02
4C066HH07
4C066HH12
4C066QQ84
4C341JJ01
4C341MS16
(57)【要約】
【課題】ロボットを利用して複数の種類の複数の医療機器を遠隔操作可能なロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システムを提供する。
【解決手段】架台3と、該架台3に固定される医療機器5と、前記架台3に固定され、前記医療機器5を操作可能とするロボット7と、遠隔入力機器と通信し、前記ロボット7を制御する制御装置11と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、
該架台に固定される医療機器と、
前記架台に固定され、前記医療機器を操作可能とするロボットと、
遠隔入力機器と通信し、前記ロボットを制御する制御装置と、
を備えるロボット付き医療機器操作台。
【請求項2】
前記ロボットは、複数の関節を有するロボットアームを備え、該ロボットアームの先端には、駆動源により往復動可能とされるスティックが取り付けられる、請求項1に記載のロボット付き医療機器操作台。
【請求項3】
前記架台は、医療機器支持部と支柱を備え、前記医療機器は、前記医療機器支持部に支持され、該医療機器支持部は、上下方向に延びる前記支柱に回転自在に取り付けられる、請求項1または2に記載のロボット付き医療機器操作台。
【請求項4】
前記架台は、脚部を備え、該脚部には前記架台を移動可能とするロック機構を有するキャスターが取り付けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット付き医療機器操作台。
【請求項5】
前記制御装置は、前記医療機器の前記ロボットによる操作履歴を記録する記録部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のロボット付き医療機器操作台。
【請求項6】
前記医療機器が、ボタンやダイヤル等の入力デバイスを備えた、シリンジポンプである、請求項1から5のいずれか1項に記載のロボット付き点滴台。
【請求項7】
請求項1から5に記載の前記ロボット付き医療機器操作台または請求項6に記載の前記ロボット付き点滴台と、
前記ロボット付き医療機器操作台または前記ロボット付き点滴台の前記制御装置とネットワークを介して相互に通信するサーバと、を備え、
前記制御装置が前記サーバと、前記医療機器の操作指示、操作履歴を含む情報を相互に通信する、医療機器操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場においては、ロボットを導入し医療環境の作業性を向上することが考察されてきている。例えば、特許文献1には、ロボットアームを備えた手術台が開示されている。この文献には、ユーザが操作装置を使用してロボットアームを操作し、患者載置用のテーブルを、患者に対する医療処置にしたがって移動させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-158009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットの利用としては、特許文献1に記載の利用方法のほか、ユーザが遠隔操作によって、医療機器を操作することが要求されてきている。例えば、伝染性の疾病等により患者が隔離された状況下において、迅速に医療機器を操作しなければいけない場合が生じる。この場合には、医療機器の操作者が防護服装着などの複雑な手続を経て隔離エリアに入場することなく、外部から医療機器を操作できるようにすることが要求されている。ここで使用される医療機器には、操作のためのボタン、スイッチ、ダイヤル等、の入力デバイス、およびその操作位置が機器ごとに種々雑多であり、これらの機器を機器ごとの遠隔システムの開発をすることなく操作できることが求められている。
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ロボットを利用して複数の種類の複数の医療機器を遠隔操作可能なロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のロボット付き医療機器操作台は、架台と、該架台に固定される医療機器と、前記架台に固定され、前記医療機器を操作可能とするロボットと、遠隔入力機器と通信し、前記ロボットを制御する制御装置と、を備える。
この発明によれば、制御装置が遠隔入力機器と通信してロボットにより医療機器を操作できるので、医療機器が隔離された場所にあっても操作者が直接医療機器に触れることなく医療機器を操作できる。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記ロボットは、複数の関節を有するロボットアームを備え、該ロボットアームの先端には、駆動源により往復動可能とされるスティックが取り付けられる。
この一態様では、ロボットは複数の関節を有するロボットアームを備え、その先端に往復動可能なスティックが取り付けられているので、医療機器の様々な入力デバイスに対してその操作が可能である。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記架台は、医療機器支持部と支柱を備え、前記医療機器は、前記医療機器支持部に支持され、該医療機器支持部は、上下方向に延びる前記支柱に回転自在に取り付けられる。
この一態様では、医療機器が支柱に回転自在に取り付けられるので、医療機器の調整や交換が容易となる。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記架台は、脚部を備え、該脚部には前記架台を移動可能とするロック機構を有するキャスターが取り付けられる。
この一態様では、脚部にロック機構を有するキャスターが取り付けられるので、医療機器操作台を任意の場所に移動、固定可能となる。
【0010】
本発明の一態様よれば、前記制御装置は、前記医療機器の前記ロボットによる操作履歴を記録する記録部を備える。
この一態様では、制御装置が、操作履歴を記録する記録部を備えるので、患者に対する処置記録を自動的に保存することができる。
【0011】
本発明の一側面では、前述の医療機器が、ボタンやダイヤル等の入力デバイスを備えた、シリンジポンプである、ロボット付き点滴台が提供される。
この発明によれば、遠隔操作できる医療機器としてより有効に利用できるものが採用される。
【0012】
また、本発明の別の側面では、上述のロボット付き医療機器操作台またはロボット付き点滴台と、前記ロボット付き医療機器操作台または前記ロボット付き点滴台の前記制御装置とネットワークを介して相互に通信するサーバと、を備え、前記制御装置が前記サーバと、前記医療機器の操作指示、操作履歴を含む情報を相互に通信する、医療機器操作システムが提供される。
本発明によれば、ロボット付き医療機器操作台またはロボット付き点滴台がネットワークを介してサーバと相互に通信するので、複数の医療機器操作台、点滴台の医療機器を操作し、操作履歴を管理することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロボットを利用して複数の種類の複数の医療機器を遠隔操作可能なロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の正面図である。
図3】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の要部の拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台に装着される医療機器の平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の遠隔操作を説明する為の模式図である。
図7】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の平面図である。
図8】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の遠隔操作を説明する為の模式図である。
図9】本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の遠隔操作を説明する為の模式図である。
図10】本発明の実施形態に係る医療機器操作システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明によるロボット付き医療機器操作台、ロボット付き点滴台、及び医療機器操作システムを実施するための形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明の実施形態に係るロボット付き医療機器操作台の斜視図を図1に示す。図2は、ロボット付き医療機器操作台の正面図である。図3は、ロボット付き医療機器操作台の平面図である。
【0016】
図1図3に示すように、ロボット付き医療機器操作台1は、架台3と、この架台3に固定される医療機器5と、架台3に固定され、医療機器5を操作可能とするロボット7と、遠隔入力機器と通信し、ロボット7を制御する制御装置11と、を備えている。架台3は、4本の脚部3a、天板3b、中板3c、底板3dを備えている。天板3b、中板3c、底板3dは、上部からこの順に配置され、4本の脚部3aに物品が載置可能となるように固定される。本実施形態では、ロボット付き医療機器操作台1は、医療機器5としてシリンジポンプ27を複数備えたロボット付き点滴台10として利用される。
【0017】
天板3b上には、3本の支柱3fが固定され、2本の支柱3fの頂部を連結する筋交い3gと、この筋交い3gと結合し、残る1本の支柱3fの頂部と連結する筋交い3hが設けられている。これらの3本の支柱3fには、複数の医療機器5が、固定されている。天板3b上には、さらに2本の支柱3kが固定されており、その支柱3kには、カメラ4aが支持具4cによって、その撮像方向を調整可能となるように取り付けられている。
【0018】
ロボット7は、天板3b上に台座3eを介して固定されている。ロボット7は、台座3e上に複数の関節を有するロボットアーム13を備えている。図4は、ロボット7の要部の拡大図であり、ロボットアーム13の先端には、駆動源14により往復動可能とされるスティック15とカメラ4bが取り付けられている。ここで駆動源14としては、電動のアクチュエータや気体によりピストンを駆動するエアシリンダ等が用いられる。本実施形態では、エアシリンダ14が用いられ、吸排気部14a、14bの気体の吸排気に連動してスティック15が往復動する。このスティック15は、停電時などの緊急時は、エアシリンダのエアが排出されて、スティック15の基準位置(突出しない位置)に戻るように構成されている。
【0019】
遠隔入力機器と通信し、ロボット7を制御する制御装置11は、底板3d上に載置され、遠隔入力機器、ロボット7と通信可能に接続されている。制御装置11は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置上に実装される。制御装置11は、上記情報処理装置内のCPUやGPUによって実行されるソフトウェア、プログラムであってよい。制御装置11は、後述する医療機器5のロボット7による操作履歴を記録する記録部23を備えている。記録部23は、パーソナルコンピュータ内に実装されるハードディスクや、フラッシュデスク等に構築されてよい。また、制御装置11としては、パーソナルコンピュータに限定することなく、PLC(Programable Logic Controller)やIPC(産業用コンピュータ)等、遠隔入力機器と通信し、ロボット7を制御できるものであれば、いかなる制御機器を選択してもよい。
【0020】
図5は、本実施形態で架台3に固定される医療機器5の平面図である。本実施形態では、医療機器5としてシリンジポンプ27が用いられている。シリンジポンプ27は、薬液の充填されたシリンジ27aがチューブ(図示せず)を介して患者に薬液を注入できるように装着されている。シリンジポンプの薬液の注入量や注入速度の設定、および注入のトリガは、入力デバイス25によって行われ、それらの設定や動作確認のための2つのディスプレイ27bが設けられている。本実施形態では、ロボット付き医療機器操作台1は、これらのシリンジポンプ27を複数備えたロボット付き点滴台10として利用される。
【0021】
図6は、本実施形態に係るロボット付き医療機器操作台1の遠隔操作を説明する為の模式図である。紙面左側は、遠隔入力機器側Eであり、紙面右側には、被遠隔操作機器側Fが示されている。本実施形態における遠隔入力機器9としては、ディスプレイ71、キーボード72、コントローラ73が用いられる。これらの遠隔入力機器は、患者Cと共に隔離された領域Fにあるロボット付き医療機器操作台1の制御装置11と有線74、あるいはBluetoothや2.5GHzワイヤレス等の無線74で接続されている。コントローラ73としては、ゲームコントローラを用いてよい。
【0022】
以下、上述のように構成されたロボット付き医療機器操作台1の動作について説明する。
<ロボットの事前プログラム>
本実施形態における医療機器5は図5に示すシリンジポンプ27であるが、これらの医療機器5は、通常は、人間の手によって操作される医療機器5を用いることができ、その操作方法は個別の医療機器5の操作方法に従う。すなわち、医療機器5は、設定、駆動等のための入力デバイス25を備えており、それらの入力デバイスが通常の動作では人間の手によって操作される。
【0023】
本実施形態では、これらの人間の手による操作を予めロボット7にプログラム(学習)させる。すなわち図5におけるシリンジポンプ27の設定、駆動をボタン25a、ダイヤル25b等に対して人間の手が行うように、ロボットアーム13の先端のスティック15で行うようにプログラムし、それぞれの設定、駆動動作を例えば、キーボード72やコントローラ73のそれぞれのキーに割り当てる。または、ディスプレイ71のタッチパネル上に割り当てられる。図3に示すように、シリンジポンプ27は、支柱3fに複数固定されており、これらの位置関係を含めてロボット7がそれぞれのシリンジポンプ27の設定、駆動動作をプログラムされる。すなわち図上破線の矢印で示されるように、それぞれのシリンジポンプ27に対して、天板3b上の空間を自在に移動して、それぞれの入力デバイス25を操作するように予めプログラムされる。
【0024】
<ロボットの動作>
図6に示すように、上述のようにプログラムされたロボット7を使用して、遠隔入力機器9を操作して、ロボット付き医療機器操作台1を操作する。各シリンジポンプ27の設定は、上述したようにキーボード72、コントローラ73、またはディスプレイ71の割り当てられたキーを押下することにより行われる。キーの押下は、制御装置11に有線74、あるいはBluetoothや2.5GHzワイヤレス等の無線74を介して送信され、制御装置11内の処理によってロボット7に伝達され、ロボット7は上述のように予め定められたプログラムに従って駆動され、シリンジポンプ27の持続投与量、急速投与量等の設定を行う。すなわち、スティック15が、設定のためのボタン25aやダイヤル25bの手前の間隙をあけた位置に移動し静止する。例えば、スティック15の先端は、該当する入力デバイス25から5mm手前で静止する。
【0025】
ロボットアーム13の先端には、カメラ4bが取り付けられており、このカメラ4bの撮像データは、ディスプレイ71に表示されており、スティック15の先端が正しい位置に移動されて静止しているかどうかは、そのディスプレイ71の画像で確認することができる。スティック15の位置が正しい位置であることを確認した後、遠隔入力機器9の操作者は、例えばコントローラ73の定められたキーを押下する。この押下をきっかけとして、スティック15が駆動源14であるエアシリンダにより突出してシリンジポンプ27のボタン25aを押し、あるいは、ダイヤル25bを回転させ、シリンジポンプ27の持続投与量、急速投与量等の設定が行われる。
【0026】
上述のシリンジポンプ27の設定がされた状態でシリンジポンプ27の駆動、すなわち患者Cへの薬液の投与をするときは、シリンジポンプ27の駆動のためにキーボード72、コントローラ73、またはディスプレイ71の割り当てられたキーを押下する。キーの押下は、制御装置11に伝達され、制御装置11は、ロボット7を駆動し、ロボットアーム13のスティック15の先端を、シリンジポンプ27の駆動(患者Cへの薬液の投与)のトリガとなるボタン25aの手前の間隙をあけた位置に移動し静止する。例えば、スティック15の先端は、該当するボタン25aから5mm手前で静止する。
【0027】
ロボットアーム13の先端には、カメラ4bが取り付けられており、このカメラ4bの撮像データは、ディスプレイ71に表示されており、スティック15の先端が正しい位置に移動されて静止しているかどうかは、そのディスプレイ71の画像で確認することができる。スティック15の位置が正しい位置であることを確認した後、遠隔入力機器9の操作者は、例えばコントローラ73の定められたキーを押下する。この押下をきっかけとして、スティック15が駆動源14であるエアシリンダにより突出してシリンジポンプ27のボタン25aを押し、薬液が患者Cに投与される。
【0028】
上述の動作の間、図1図3に示すように、支柱3kに取り付けられたカメラ4aは、ロボット7の動作を撮像しており、その様子は、逐次ディスプレイ71で観察することができる。異常な動作や状況を検知した場合は、予め定められた手順(キー)により、ロボットの非常停止等の手段を講ずる。前述したようにロボットアーム13の先端にもカメラ4bが取り付けられており、遠隔入力機器9の操作者は状況に応じてコントローラ73のジョイスティック等を操作しロボットアーム13に取り付けられたカメラ4bの撮像位置を移動することができる。カメラ4bの撮像位置を移動することにより、例えば図3の破線矢印で示すごとく、医療機器5のそれぞれの状態を観察する。
【0029】
以上述べたように、本実施形態におけるロボット付き医療機器操作台1は、隔離エリア内に設置することができ、操作者は、隔離エリア外から遠隔入力機器9を使用して、ロボット7を制御し、複数の種類の複数の医療機器5を操作することができる。したがって、医療機器5を操作するために、操作者が防護服を着用して隔離エリアに入場する必要がなく、防護服の着脱等の手間をかけることなく迅速に患者Cへの対応が可能となる。防護服の使用によるコストも低減される。また、複数のロボット付き医療機器操作台1に連結する複数の遠隔入力機器9を例えば1室に設置し、一人の操作者が複数のロボット付き医療機器操作台1を操作することが可能となるので、少ない人員で多数の患者に対応することができる。
【0030】
医療機器5がシリンジポンプ27であった場合の患者Cへの薬液の投与は、投与のトリガとなるボタン25aの手前の位置で、ロボット7のスティック15が、一旦静止し、シリンジポンプ27の次の動作を確認できる。ロボットアーム13の先端には、カメラ4bが取り付けられているので、その画像を観測することにより、確実な確認を行うことができる。したがって、患者Cへの確実な薬液の投与が実施される。制御装置11は、医療機器5のロボット7による操作履歴を記録する記録部23を備えている。したがって、患者Cに対する複数種類の複数の医療機器5の操作の履歴を自動的に記録することができる。
【0031】
尚、本実施形態では、医療機器5としてシリンジポンプ27を例示したがこれに限定されず、輸液ポンプ、人工呼吸器など、ロボット7によってその入力機器を操作できるものであればいかなる医療機器でも利用可能である。ロボットアーム13の先端には、カメラ4bが取り付けられて、ロボットアーム13の移動に伴ってその撮像範囲を変更し、ロボット付き医療機器操作台1のまわりの状況を観測することができる。これに加え、マイクとスピーカを取り付け、このマイクとスピーカを介して患者Cとコミュニケーションするようにしてもよい。それぞれの医療機器5の操作は、あらかじめロボット7によってプログラムされるので、医療機器5をロボット7の可動範囲内に設置可能であるならば、いかなる医療機器5も、本実施形態のロボット付き医療機器操作台1の操作対象として利用することが可能である。
【0032】
本実施形態では、医療機器5は、3本の支柱3fに固定されたが、この支柱3fの数は、3本に限定するものではなく、架台3に固定するよう要請される医療機器5の形状や個数によって任意の本数を設けることができる。例えば、2本であってもよいし、4本以上設けてもよい。カメラ4aが取り付けられる支柱3kの本数もこれと同様に、必要なカメラ4aの設置状況に応じて任意の本数を設けてよい。支柱3f、3kの高さについてもその実施の状況に応じて適宜適切なサイズのものが選択される。
また、本実施形態におけるロボット付き医療機器操作台1では、架台3の脚部3aにロック機構を有するキャスター3mが取り付けられて自在に移動可能としたが、無人搬送車の上に架台3を設置し、自動運転で移動可能とするようにしてよい。
本実施形態では、ロボット付き医療機器操作台1の動作をモニターする手段として、ディスプレイ71が用いられたが、これに限定することなく任意の画像観測手段が用いられてよい。例えば、ディスプレイ71に代えてヘッドマウントディスプレイ等を用いてもよい。
【0033】
(第2実施形態)
図7は、本実施形態におけるロボット付き医療機器操作台20の平面図である。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、架台3が、医療機器支持部17と支柱19を備え、医療機器5は、医療機器支持部17に支持され、この医療機器支持部17は、上下方向に延びる支柱19に回転自在に取り付けられている点である。本実施形態では、医療機器5が、回転自在に支柱19に取り付けられた医療機器支持部17に支持されるので、医療機器5を整備や交換をするときに、医療機器支持部17を図7に白抜きの矢印で示すごとく医療機器5を架台3の外側の操作しやすい位置に移動させることができる。したがって、医療機器5の整備、調整や交換が容易にできる。その他の構成は、第1実施形態と同じであって、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0034】
(第3実施形態)
図8は、本実施形態におけるロボット付き医療機器操作台1、10、20の遠隔操作を説明する為の模式図である。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、遠隔入力機器9として、パーソナルコンピュータ8を用いる点である。パーソナルコンピュータ8は、ディスプレイ81を備え、キーボード72とコントローラ73が有線で接続される。制御装置11は、パーソナルコンピュータ8と有線LANやWiFi82によって接続されている。本実施形態では、LANやWiFi等、病院等で一般的に普及しているネットワーク設備を利用して制御装置11と通信するので、第1実施形態のように遠隔入力機器9の個別の有線ワイヤーを特別に延長することなく、あるいは、Bluetoothや2.5GHzワイヤレス等の無線距離の制約を受けることなく、制御装置11と接続できる。LAN、WiFiネットワークが構築されている施設内であれば、ロボット付き医療機器操作台1、10、20と遠隔入力機器9の部屋の位置は特に制約を受けず、任意の部屋から医療機器5を操作することができる。その他の構成は、第1実施形態と同じであって、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0035】
(第4実施形態)
図9は、本実施形態におけるロボット付き医療機器操作台1、10、20の遠隔操作を説明する為の模式図である。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、遠隔入力機器9として、パーソナルコンピュータ8を用いる点である。パーソナルコンピュータ8は、ディスプレイ81を備え、キーボード72とコントローラ73が有線で接続される。制御装置11は、パーソナルコンピュータ8とクラウドネットワーク29によって接続されている。本実施形態では、クラウドネットワーク29を利用して制御装置11と通信するので、第1実施形態のように遠隔入力機器9の個別の有線ワイヤーを特別に延長することなく、制御装置11と接続できる。クラウドネットワーク29と接続できる環境であれば、遠隔入力機器9の設置される地域は特に制約を受けず、理論上は、世界中の任意の地域から医療機器5を操作することができる。その他の構成は、第1実施形態と同じであって、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0036】
(第5実施形態)
図10は、本実施形態における医療機器操作システム100のブロック図である。医療機器操作システム100は、前述のロボット付き医療機器操作台1、10、20と、これらのロボット付き医療機器操作台1、10、20とネットワーク29を介して相互に通信するサーバ31と、を備えている。ネットワーク29としては、例えばクラウドネットワーク29を利用してよい。この医療機器操作システム100においては、複数のロボット付き医療機器操作台1、10、20の制御装置11がサーバ33と、前述の医療機器5の操作指示、操作履歴を含む情報を相互に通信する。したがって、複数の医療機器操作台1、10、20の操作や操作履歴を集中的に管理することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1,20 ロボット付き医療機器操作台
10 ロボット付き点滴台
100 医療機器操作システム
3 架台
3a 脚部
3f、3k、19 支柱
3m キャスター
5 医療機器
7 ロボット
9 遠隔入力機器
11 制御装置
13 ロボットアーム
14 駆動源(エアシリンダ)
15 スティック
17 医療機器支持部
23 記録部
25 入力デバイス
25a ボタン
25b ダイヤル
27 シリンジポンプ
29 ネットワーク(クラウドネットワーク)
31 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10