(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183581
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090982
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 昌幹
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503FA01
(57)【要約】
【課題】充電装置の内部から効率的に排熱するための技術を提供する。
【解決手段】充電装置は、充電対象に電力を供給する基板と、前記基板を収容する筐体と、を備え、前記基板には、発熱部品が実装されており、前記筐体の外壁うち、第1の箇所に第1の開口が形成されており、前記筐体の前記外壁うち、前記第1の箇所よりも上方に位置する第2の箇所に第2の開口が形成されており、前記発熱部品は、前記筐体の内側の空間のうち、前記第1の開口と前記第2の開口をつなぐ流路内に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電対象に電力を供給する基板と、
前記基板を収容する筐体と、
を備え、
前記基板には、発熱部品が実装されており、
前記筐体の外壁うち、第1の箇所に第1の開口が形成されており、
前記筐体の前記外壁うち、前記第1の箇所よりも上方に位置する第2の箇所に第2の開口が形成されており、
前記発熱部品は、前記筐体の内側の空間のうち、前記第1の開口と前記第2の開口をつなぐ流路内に配置されている、充電装置。
【請求項2】
前記第1の箇所は、前記筐体の底面に含まれており、
前記発熱部品は、前記第1の箇所の直上に配置されている、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記筐体は、下側の第1の筐体と、上側の第2の筐体と、を含み、
前記第1の筐体の上側の外周縁が、前記第2の筐体の下側の開口の内側に嵌まり、
前記第1の開口は、前記第1の筐体に形成されており、
前記第2の開口は、前記第1の筐体の前記外周縁と前記第2の筐体の前記開口の内面との隙間の一部である、請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記筐体は、2個以上の設置部を含み、
前記2個以上の設置部のそれぞれには、前記充電対象が設置され、
前記2個以上の設置部のそれぞれの内側に、前記発熱部品が配置されており、
前記2個以上の設置部のそれぞれの外壁に、前記第1の開口と前記第2の開口が形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、充電対象に電力を供給するための充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板を収容する筐体を備える充電装置が開示されている。基板上には、発熱体が実装されている。筐体の内側には、空間が形成されており、当該空間が、発熱体と筐体上に設置されるバッテリの間に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、発熱体から放射される熱は、空間内の空気により断熱されて、バッテリに直接に伝わらない。
【0005】
上記の技術では、発熱体からの断熱が考慮されているものの排熱が考慮されていない。
【0006】
近年、バッテリの充電容量の増加に伴い、発熱体から放射される熱の量が増加しつつある。このため、充電装置において発熱を考慮することが求められている。
【0007】
本明細書では、充電装置の内部から効率的に排熱するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する充電装置は、充電対象に電力を供給する基板と、前記基板を収容する筐体と、を備え、前記基板には、発熱部品が実装されており、前記筐体の外壁うち、第1の箇所に第1の開口が形成されており、前記筐体の前記外壁うち、前記第1の箇所よりも上方に位置する第2の箇所に第2の開口が形成されており、前記発熱部品は、前記筐体の内側の空間のうち、前記第1の開口と前記第2の開口をつなぐ流路内に配置されている。
【0009】
このような構成によれば、発熱部品から放射される熱は、上昇気流により流路内を通り、第1の開口よりも上方に位置する第2の開口へと流れる。これにより、充電装置の内部から効率的に排熱することができる。
【0010】
前記第1の箇所は、前記筐体の底面に含まれており、前記発熱部品は、前記第1の箇所の直上に配置されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、底面から流入した冷気を発熱部品に直接に接触させることができる。
【0012】
前記筐体は、下側の第1の筐体と、上側の第2の筐体と、を含み、前記第1の筐体の上側の外周縁が、前記第2の筐体の下側の開口の内側に嵌まり、前記第1の開口は、前記第1の筐体に形成されており、前記第2の開口は、前記第1の筐体の前記外周縁と前記第2の筐体の前記開口の内面との隙間の一部であってもよい。
【0013】
このような構成によれば、第2の筐体の下側の開口の内面が、第2の開口の庇の役割を果たす。これにより、第2の筐体の外側に付着した流体(例えば水)が、庇によって遮られ、第2の開口から筐体の内部に侵入することを防ぐことができる。効率的な排熱と防水の確保とを両立することができる。
【0014】
前記筐体は、2個以上の設置部を含み、前記2個以上の設置部のそれぞれには、前記充電対象が設置され、前記2個以上の設置部のそれぞれの内側に、前記発熱部品が配置されており、前記2個以上の設置部のそれぞれの外壁に、前記第1の開口と前記第2の開口が形成されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、2個以上の充電対象に対応する2個以上の発熱部品のそれぞれに流路を個別に設定することができる。2個以上の発熱部品について1個の流路を設定する比較例と比べて、排熱の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図2のIII-III線における断面図の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(充電装置10の構成:
図1~
図3)
図1~
図3を参照して、第1実施例の充電装置10について説明する。充電装置10は、携帯端末(図示省略)のバッテリ(図示省略)を充電するための装置である。携帯端末は、情報コード(例えばバーコード)に記録されているデータ、電子タグ(例えばRFID)に記憶されているデータ等を読み取るための装置である。なお、変形例では、携帯端末は、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC等であってもよい。
【0018】
各図には、xyz座標系が定義されている。x方向、y方向、z方向は、それぞれ、充電装置10の左右方向、前後方向、高さ方向を示す。充電装置10は、底面(符号12aが付された箇所)を下側にして、所定の台(例えば机)の上に載置される。
【0019】
充電装置10は、筐体12を備え、筐体12には、4個の載置部14が形成されている。なお、
図1では、4個の載置部14のうちの1個に符号を付し、残りの載置部の符号は、省略されている。なお、変形例では、載置部14の個数は、4個に限らず、例えば、1個、5個等であってもよい。
【0020】
載置部14は、第1の載置部16と、第2の載置部18と、を含む。第1の載置部16は、第1のバッテリ(図示省略)が載置される部位である。第2の載置部18は、第1のバッテリよりも小さい第2のバッテリ(図示省略)が載置される部位である。なお、変形例では、載置部14は、第1の載置部16と第2の載置部18のうちの一方のみを含んでいてもよい。
【0021】
第1の載置部16の上面は、y軸負方向の側が低くなるように傾斜している。第1の載置部16には、第1のバッテリの端子(図示省略)に接続される端子16aが露出している。第1のバッテリの端子が端子16aに接続されることにより、第1のバッテリが充電される。
【0022】
第2の載置部18の上面も、y軸負方向の側が低くなるように傾斜している。第2の載置部18には、第2のバッテリの端子(図示省略)に接続される端子18aが露出している。第2のバッテリの端子が端子18aに接続されることにより、第2のバッテリが充電される。
【0023】
筐体12は、下側の第1の筐体12aと、上側の第2の筐体12bと、を含む。
図3の断面図に示すように、第1の筐体12aの上側の外周縁12pが、第2の筐体12bの下側の開口12qの内側に嵌まる。外周縁12pと開口12qの内面との隙間の一部には、第2の開口32が形成されている。また、外周縁12pと開口12qの内面との隙間のうち、第2の開口32を除く隙間の幅は、第2の開口32の幅よりも小さい。第2の開口32の幅は、虫等よりも小さく設計されている。第2の開口32の幅は、例えば、1.4mmである。虫等が第2の開口32から筐体12に侵入することが抑制される。また、このような構成によれば、外周縁12pと開口12qの内面との隙間を、第2の開口32に流用することができる。
【0024】
また、
図2に示すように、下側の第1の筐体12aの底面には、第1の開口30が形成されている。
図2に示すように、第1の開口30と第2の開口32は、x軸方向(即ち左右方向)に並んでいる。また、
図2、
図3に示すように、第1の開口30の内側は、格子状に区切られている。格子と格子との隙間の幅は、例えば、1.0mmである。虫等が第1の開口30から筐体12に侵入することが抑制される。
【0025】
図3に示すように、第2の筐体12bの内側には、基板40を支持する内壁12cが形成されている。内壁12cの下面には、基板40が固定される。基板40は、充電対象のバッテリ(図示省略)に電力を供給する。基板40には、バッテリに供給される電力を制御するためのIC42が実装されている。
図3に示すように、IC42は、第1の開口30の直上に配置されている。
【0026】
図3に示すように、第2の開口32は、第1の筐体12aの外周縁12pと第2の筐体12bの開口12qとの隙間に形成されており、第1の開口30は、第1の筐体12aの底面に形成されている。即ち、第2の開口32は、第1の開口30よりも上方に位置している。筐体12の内側には、第1の開口30と第2の開口32とをつなぐ流路60が形成されている。IC42は、当該流路60内に配置されている。
【0027】
開口30、32の機能について説明する。IC42は、発熱する。このため、
図3の矢印に示すように、IC42から放射される熱は、上昇気流により流路60を通り、第1の開口30よりも上方に位置する第2の開口32へと流れる。これにより、充電装置10の内部から効率的に排熱することができる。
【0028】
また、この上昇気流により、筐体12の外側の冷気が、第1の開口30から筐体12の内側に流入する。当該冷気は、第1の開口30の直上に配置されているIC42に直接に接触する。IC42の冷却を促すことができる。
【0029】
また、第1の筐体12aの外周縁12pが第2の筐体12bの開口12qに嵌まる構成(
図3参照)によれば、開口12qの内面が、第2の開口32の庇の役割を果たす。これにより、第2の筐体12bの外側に付着した流体(例えば水)が、庇によって遮られ、第2の開口32から筐体12の内部に侵入することを防ぐことができる。効率的な排熱と防水の確保とを両立することができる。
【0030】
また、本実施例では、IC42が、4個の載置部14のそれぞれの内側に設置されている。即ち、充電装置10は、4個のIC42を備える。そして、
図2に示すように、4個の載置部14のそれぞれの底面及び側面に、第1の開口30と第2の開口32が形成されている。このような構成によれば、4個の充電対象に対応する4個のIC42のそれぞれに、
図3に示すような流路60を個別に設定することができる。4個のIC42について1個の流路を設定する比較例と比べて、排熱の効率を向上させることができる。
【0031】
(対応関係)
基板40、IC42が、それぞれ、「基板」、「発熱部品」の一例である。筐体12、第1の筐体12a、第2の筐体12bが、それぞれ、「筐体」、「第1の筐体」、「第2の筐体」の一例である。第1の開口30、第2の開口32、流路60が、それぞれ、「第1の開口」、「第2の開口」、「流路」の一例である。4個の載置部14が、「2個以上の設置部」の一例である。
【0032】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0033】
(変形例1)「充電対象」は、バッテリに限らず、例えば、携帯端末そのものであってもよい。
【0034】
(変形例2)第1の開口30は、下側の第1の筐体12aの底面に限らず、例えば、下側の第1の筐体12aのx軸方向又はy軸方向の側面、上側の第2の筐体12bの側面等に形成されてもよい。
【0035】
(変形例3)第2の開口32は、第1の筐体12aと第2の筐体12bとの隙間に限らず、例えば、第1の筐体12aのx軸方向又はy軸方向の側面、第2の筐体12bのx軸方向又はy軸方向の側面、及び、第2の筐体12bのz軸方向における上面等に形成されていてもよい。
【0036】
(変形例4)IC42は、第1の開口30の直上に限らず、流路60内に配置されていればよい。一般的に言えば、「前記発熱部品は、前記筐体の内側の空間のうち、前記第1の開口と前記第2の開口をつなぐ流路内に配置されてい」ればよい。
【0037】
(変形例5)上記の実施例では、第1の筐体12aの上側の外周縁12pが、第2の筐体12bの下側の開口12qの内側に嵌まる。これに代えて、例えば、第2の筐体12bの下側の外周縁が、第1の筐体12aの上側の開口の内側に嵌まってもよい。
【0038】
(変形例6)「発熱部品」は、IC42に限らず、例えば、コンデンサ等の他の電子部品であってもよい。
【0039】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
10 :充電装置
12 :筐体
12a :第1の筐体
12b :第2の筐体
12c :内壁
12p :外周縁
12q :開口
14 :載置部
16 :第1の載置部
16a :端子
18 :第2の載置部
18a :端子
30 :第1の開口
32 :第2の開口
40 :基板
60 :流路