(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183583
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】食品生地片の移載方法及び移載装置
(51)【国際特許分類】
A21C 9/08 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A21C9/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090985
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000115924
【氏名又は名称】レオン自動機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】木野内 崇敬
(72)【発明者】
【氏名】大類 彰浩
【テーマコード(参考)】
4B031
【Fターム(参考)】
4B031CA12
4B031CJ09
4B031CL08
4B031CL11
(57)【要約】
【課題】食品生地片の移載方法及び移載装置の提供。
【解決手段】生地片Dの移載装置1であって、生地片Dを搬送する搬送装置2と、生地片Dを保持する保持部材(4Z、4Y)と、保持部材(4Z、4Y)を搬送装置2の第1の位置P1から第2の位置P2に移動する移動装置5と、移動装置5の動作を制御する制御装置9を含み、制御装置9は、第1の位置P1で生地片Dを上方に引き寄せるよう保持部材(4Z、4Y)に負圧を発生させ、第2の位置P2で生地片Dを搬送装置2に移載するよう保持部材(4Z、4Y)の負圧の発生を停止させる構成であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地片の移載装置であって、
前記生地片を搬送する搬送装置と、
前記生地片を保持する保持部材と、
前記保持部材を前記搬送装置の第1の位置から第2の位置に移動する移動装置と、
前記移動装置の動作を制御する制御装置を含み、
前記制御装置は、前記第1の位置で前記生地片を上方に引き寄せるよう前記保持部材に負圧を発生させ、前記第2の位置で前記生地片を前記搬送装置に移載するよう前記保持部材の負圧の発生を停止させる構成であることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の移載装置であって、
前記移動装置は前記保持部材を搬送方向に移動する搬送方向移動装置を含み、
前記制御装置は前記搬送方向移動装置の移動範囲及び移動速度を調整可能であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2に記載の移載装置であって、
前記移動装置は前記保持部材を搬送方向と直角の幅方向に移動する幅方向移動装置を含み、
前記制御装置は前記幅方向移動装置の移動範囲及び移動速度を調整可能であることを特徴とする。
【請求項4】
請求項2に記載の移載装置であって、
前記移動装置は前記保持部材を垂直方向に移動する垂直方向移動装置を含み、
前記制御装置は前記垂直方向移動装置の移動範囲及び移動速度を調整可能であることを特徴とする。
【請求項5】
請求項2に記載の移載装置であって、
前記移動装置は前記保持部材を回転する回転装置を含み、
前記制御装置は前記回転装置の回転範囲及び回転速度を調整可能であることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1に記載の移載装置であって、
前記保持部材は、保持ユニットに備えられ、前記保持ユニットは前記移動装置に着脱自在に備えられることを特徴とする。
【請求項7】
請求項1に記載の移載装置であって、
前記保持部材は、前記生地片に対向する平坦な対向面を含み、
前記対向面の保持中心点から開口距離だけ離れた位置に圧縮空気の噴射路の噴出口を複数設け、
前記噴射路は前記対向面に対する傾斜角度を鋭角に形成され、
複数の前記噴出口から噴出した圧縮空気が前記対向面に沿って流れて前記生地片を前記対向面に非接触で保持することを特徴とする。
【請求項8】
請求項7に記載の移載装置であって、
前記保持部材の前記対向面に前記生地片と接触する凸部を前記保持中心点と前記各噴出口の長径の中心を結ぶ直線上以外の範囲に設け、前記生地片を前記対向面に非接触に保持した状態で前記凸部を前記生地片に接触することを特徴とする。
【請求項9】
請求項8に記載の移載装置であって、
前記凸部は、前記対向面の前記保持中心点から径方向に延びる形状であることを特徴とする。
【請求項10】
請求項1に記載の移載装置であって、
前記保持部材は、真空チャックであることを特徴とする。
【請求項11】
生地片の移載方法であって、
(a)前記生地片を搬送装置で搬送する工程、
(b)前記搬送装置の第1の位置で保持部材が負圧を発生し前記生地片を上方に引き寄せ保持する工程、
(c)前記保持部材が前記搬送装置の前記第1の位置から第2の位置まで移動する工程、
(d)前記保持部材が負圧の発生を停止し前記生地片の保持を解放し前記生地片を前記搬送装置に移載する工程、を含み、
前記保持する工程(b)及び移動する工程(c)において、前記生地片の少なくとも一部が前記搬送装置の搬送面から離れた状態で前記保持部材が前記生地片を保持することを特徴とする移載方法。
【請求項12】
請求項11に記載の移載方法であって、
前記工程(b)において前記保持部材で前記生地片を保持した後、(b2)前記保持部材を前記搬送面から離反する方向に上昇する工程を含むことを特徴とする移載方法。
【請求項13】
請求項12に記載の移載方法であって、
前記工程(b2)において前記保持部材が前記搬送面から離れた距離を維持して前記工程(c)の移動を行うことを特徴とする移載方法。
【請求項14】
請求項11に記載の移載方法であって、
前記保持部材は、前記生地片に対向する平坦な対向面を含み、
前記対向面に形成される噴出口から噴出した圧縮空気が前記対向面に沿って径方向外方に流れることで、前記生地片を前記対向面に非接触で保持することを特徴とする。
【請求項15】
請求項14に記載の移載方法であって、
前記保持部材の前記対向面に凸部を設け、前記生地片を前記対向面に非接触に保持した状態で前記凸部を前記生地片に接触して保持することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品生地片の移載方法及び移載装置に関するものであり、さらに詳細には、食品生地片の外観を損なわずに、所定の間隔に移載する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品生地片を移載する方法及び装置は、これまでに様々な提案がされている。
特許文献1に開示された装置は、搬送コンベア上に所定形状に切断されて搬送されてくる生地片を、所定の間隔で所定の向きに整列配置する整列配置装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、爪を生地片に刺して生地片を把持し整列配置する為、生地片に爪痕が残り、製品の外観を損ねるという問題がある。また、生地片が搬送面に粘着することなく搬送面上を滑らかに移動する為に、搬送面上に大量の粉を散布する必要があり、稼働コストが掛かり、さらには、粉塵による作業環境の悪化という問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、搬送装置で搬送される生地片を、外観を損ねることなく、所定の間隔で所定の向きに移載する方法及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、生地片の移載装置であって、前記生地片を搬送する搬送装置と、前記生地片を保持する保持部材と、前記保持部材を前記搬送装置の第1の位置から第2の位置に移動する移動装置と、前記移動装置の動作を制御する制御装置を含み、前記制御装置は、前記第1の位置で前記生地片を上方に引き寄せるよう前記保持部材に負圧を発生させ、前記第2の位置で前記生地片を前記搬送装置に移載するよう前記保持部材の負圧の発生を停止させる構成であることを特徴とする。
【0007】
また、前記移動装置は前記保持部材を搬送方向に移動する搬送方向移動装置を含み、前記制御装置は前記搬送方向移動装置の移動範囲及び移動速度を調整可能であることを特徴とする。
【0008】
また、前記移動装置は前記保持部材を搬送方向と直角の幅方向に移動する幅方向移動装置を含み、前記制御装置は前記幅方向移動装置の移動範囲及び移動速度を調整可能であることを特徴とする。
【0009】
また、前記移動装置は前記保持部材を垂直方向に移動する垂直方向移動装置を含み、前記制御装置は前記垂直方向移動装置の移動範囲及び移動速度を調整可能であることを特徴とする。
【0010】
また、前記移動装置は前記保持部材を回転する回転装置を含み、前記制御装置は前記回転装置の回転範囲及び回転速度を調整可能であることを特徴とする。
【0011】
また、前記保持部材は、保持ユニットに備えられ、前記保持ユニットは前記移動装置に着脱自在に備えられることを特徴とする。
【0012】
また、前記保持部材は、前記生地片に対向する平坦な対向面を含み、前記対向面の保持中心点から開口距離だけ離れた位置に圧縮空気の噴射路の噴出口を複数設け、前記噴射路は前記対向面に対する傾斜角度を鋭角に形成され、複数の前記噴出口から噴出した圧縮空気が前記対向面に沿って流れて前記生地片を前記対向面に非接触で保持することを特徴とする。
【0013】
また、前記保持部材の前記対向面に前記生地片と接触する凸部を前記保持中心点と前記各噴出口の長径の中心を結ぶ直線上以外の範囲に設け、前記生地片を前記対向面に非接触に保持した状態で前記凸部を前記生地片に接触することを特徴とする。
【0014】
また、前記凸部は、前記対向面の前記保持中心点から径方向に延びる形状であることを特徴とする。
【0015】
また、前記保持部材は、真空チャックであることを特徴とする。
【0016】
また、生地片の移載方法であって、(a)前記生地片を搬送装置で搬送する工程、(b)前記搬送装置の第1の位置で保持部材が負圧を発生し前記生地片を上方に引き寄せ保持する工程、(c)前記保持部材が前記搬送装置の前記第1の位置から第2の位置まで移動する工程、(d)前記保持部材が負圧の発生を停止し前記生地片の保持を解放し前記生地片を前記搬送装置に移載する工程、を含み、前記保持する工程(b)及び移動する工程(c)において、前記生地片の少なくとも一部が前記搬送装置の搬送面から離れた状態で前記保持部材が前記生地片を保持することを特徴とする。
【0017】
また、前記工程(b)において前記保持部材で前記生地片を保持した後、(b2)前記保持部材を前記搬送面から離反する方向に上昇する工程を含むことを特徴とする。
【0018】
また、前記工程(b2)において前記保持部材が前記搬送面から離れた距離を維持して前記工程(c)の移動を行うことを特徴とする。
【0019】
また、前記保持部材は、前記生地片に対向する平坦な対向面を含み、前記対向面に形成される噴出口から噴出した圧縮空気が前記対向面に沿って径方向外方に流れることで、前記生地片を前記対向面に非接触で保持することを特徴とする。
【0020】
また、前記保持部材の前記対向面に凸部を設け、前記生地片を前記対向面に非接触に保持した状態で前記凸部を前記生地片に接触して保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、搬送装置で搬送される生地片を、外観を損ねることなく、所定の間隔で所定の向きに移載することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の概略的な平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の概略的な正面断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の概略的な側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の保持ユニット及び回転装置の側面部分断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の保持ユニットの正面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の動作概略を示した平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る移載装置の動作概略を示した正面図である。
【
図8】本発明の保持部材の吸着作用の概略図であり、図(a)は生地片を保持していない状態で、図(b)は生地片を保持している状態である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る移載装置の概略的な平面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る移載装置の概略的な平面図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係る移載装置の保持ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態に係る移載装置1について、
図1乃至
図5にて説明する。以下の説明において、既に公知の構成についての詳細な説明は省略する。
【0024】
図1乃至
図4に示すように、移載装置1は、搬送装置2、フレーム3、生地片Dを保持する保持部材4Z及び4Yを備える保持ユニット4、保持ユニット4を移動する移動装置5、シャッタ装置6、圧縮空気供給装置7、及び制御装置9を含む。
移載装置1は、搬送装置2で整列した状態で搬送方向Rに搬送される生地片Dを、所定の間隔で所定の向きに移載する装置である。ここでは、生地片Dは略三角形に切断されたクロワッサン生地であり、3列で搬送されるものとして説明する。
【0025】
搬送装置2は、上面に搬送面2Eを形成する無端状のコンベヤベルト2Cを含む第1搬送装置2Aと、その搬送方向下流側に配置され上面に搬送面2Fを形成する無端状のコンベヤベルト2Dを含む第2搬送装置2Bを含む。搬送面2Eと搬送面2Fはほぼ同じ高さに配置される。第2搬送装置2Bの搬送速度V2は、第1搬送装置2Aの搬送速度V1より速く設定される。搬送速度V2を搬送速度V1より速く設定することで、整列した状態の生地片Dの搬送方向の間隔を空けて移載することができる。また、搬送速度V2と搬送速度V1の速度を調整することで、移載後の生地片Dの搬送方向の間隔を調整することができる。
【0026】
ここで、
図1及び
図2に示すように、第1搬送装置2Aの搬送面2E上で生地片Dを保持し移載を開始する位置を搬送装置2の第1の位置P1と称し、第2搬送装置2Bの搬送面2F上で生地片Dの保持を解放し移載を完了する位置を搬送装置2の第2の位置P2と称する。移載装置1は生地片Dを第1の位置P1から第2の位置P2に移載する装置として説明する。
【0027】
フレーム3は、第1搬送装置2Aの下流端と第2搬送装置2Bの上流端に渡って搬送装置2の上方に配置される。搬送装置2の搬送方向右側に箱型の右フレーム3Aが配置され、搬送方向左側に箱型の左フレーム3Bが配置され、右フレーム3Aと左フレーム3Bは、複数のスパン3Cで連結される。搬送方向上流側のスパン3Cには、2つのセンサー3Dが搬送方向Rと直角な幅方向に並んで配置される。
【0028】
図4及び
図5に示すように、保持ユニット4は、大径の保持部材4Z、小径の保持部材4Y、及びベース4Xを含み、後述する回転装置17の回転テーブル17Cに、接続ベース17Bを介して吊設されている。
ベース4Xは角柱状であり、長手方向の両端部の下面には保持部材4Zと保持部材4Yが配管継手4Sを介して螺合され、上面には保持部材4Zと保持部材4Yの取り付け位置の間にカプラのプラグ4Wが螺合される。2つの保持部材4Z、4Y及びプラグ4Wは、ベース4Xの内部に穿設される通気孔4Rで導通している。ベース4Xの上面(プラグ4Wの取付面)には、プラグ4Wの取り付け位置を挟んで大小2つの差込み穴4Vが穿設されている。平面視において、保持部材4Z、保持部材4Y、プラグ4W及び2つの差込み穴4Vは、ベース4Xの長手方向に沿った直線上に配置される。
【0029】
保持部材4Z及び4Yは、圧縮空気の噴出によって負圧を発生することで生地片Dを保持するチャックであり、ベルヌーイチャックが例示される。保持部材4Zは保持部材4Yと径などの大きさが異なるが、同様な機能を有する構成について同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
図4及び
図5に示すように、保持部材4Z及び4Yは、円筒形の本体4Aの下面に生地片Dと対向する平坦な対向面4Bが形成される。本体4Aの上面には、対向面4Bの保持中心点4Fに対応する箇所に給気ポート4Cが穿設され、給気ポート4Cには配管継手4Sが螺合されている。
対向面4Bには、給気ポート4Cと連通する噴射路4Dの噴出口4Eが形成される。噴出口4Eは、保持中心点4Fからそれぞれ開口距離4Gだけ離した位置に設けられる。噴射路4Dは対向面4Bに対する傾斜角度を鋭角に形成されている為、噴出口4Eは半径方向に長径となった長円形状になる。噴出口4Eは8つ形成され、保持中心点4Fを中心に、等間隔で配置されることが望ましいが、これに限られるものではない。噴出口4Eの個数や開口距離4Gは適宜に選択することができる。
【0031】
対向面4Bには凸部4Hが形成される。凸部4Hは断面形状が四角形状で、保持中心点4Fと噴出口4Eの長径の中心を結ぶ直線上以外の範囲に形成されることが望ましい。
本実施形態では、凸部4Hは、保持中心点4Fから半径方向の4方向に直線的に延びる形状であり、保持中心点4Fで交わるので、対向面4Bを平面視すると十字形状に形成される。従って対向面4Bは凸部4Hによって扇形状に仕切られている。そして隣り合う凸部4Hの間の扇形状の対向面4Bに2つの噴出口4Eが形成される。
このように噴出口4Eと凸部4Hを配置することで、噴出口4Eから噴出した圧縮空気を効率よく径方向外方に流すことができる。
【0032】
凸部4Hは保持中心点4Fから4方向に延びる十字形状であると説明したが、これに限られるものではなく、例えば保持中心点4Fから8方向に延びる形状とすることも可能であるし、保持中心点4Fから曲線状に形成されてもよい。また、対向面4Bに複数の円形の凸部が点在するよう形成されたものでもよく、適宜に形状を選択することができる。また、凸部の断面形状を三角形や半円形状等にすることもできる。また、凸部の高さも適宜に選択することができる。
【0033】
図1乃至
図4に示すように、移動装置5は、搬送方向移動装置11、幅方向移動装置13、垂直方向移動装置15、及び回転装置17を含む。
【0034】
搬送方向移動装置11は、保持ユニット4を搬送方向Rに沿って移動する装置であり、ガイドレール11A、及び電動アクチュエータ11Bを含む。ガイドレール11Aは、右フレーム3Aと左フレーム3Bの内部の底面に、それぞれ搬送方向Rに沿って平行に配置され、ガイドレール11Aに沿って移動自在なブロック11Cを備える。ブロック11Cの上面には、L字形のベース11Dを備える。電動アクチュエータ11Bは右フレーム3Aの内部にガイドレール11Aに沿って配置され、右フレーム3A内部のベース11Dに連結されるスライダ11Eを備える。
【0035】
幅方向移動装置13は、保持ユニット4を搬送方向Rと直角の幅方向に移動する装置であり、電動アクチュエータ13Aを含む。電動アクチュエータ13Aは、後述する垂直方向移動装置15のベース15Bの下面に幅方向に沿って配置され、2つのスライダ13B、13Cを備える。
【0036】
垂直方向移動装置15は、保持ユニット4を垂直方向に移動する装置であり、ガイドレール15A、ベース15B、及び電動アクチュエータ15Cを含む。ガイドレール15Aは、2つのベース11Dの垂直面に垂直方向に沿って配置され、ガイドレール15Aに沿って移動自在なブロック15Eを備える。右フレーム3A内と左フレーム3B内にそれぞれ配置されるガイドレール15Aのブロック15Eには、ベース15Bが渡設される。電動アクチュエータ15Cは、右フレーム3A内のベース15Bに連結されるスライダ15Dを備える。
【0037】
回転装置17は、保持ユニット4を水平方向に回転する装置であり、電動アクチュエータ17A及び接続ベース17Bを含み、幅方向に3つ配置される。中央の電動アクチュエータ17Aは、ベース15Bにブラケットを介して固定され、回転中心4Tが平面視において搬送装置2のコンベヤベルト2C、2Dの幅方向の中心線2Gと重なる位置に配置される。左右の電動アクチュエータ17Aは、それぞれスライダ13B、13Cに固定される。
【0038】
図4に示すように、電動アクチュエータ17Aの回転テーブル17Cには、保持ユニット4を接続する接続ベース17Bが固定され、回転テーブル17Cと保持ユニット4は接続ベース17Bを介して、一体的に回転する。接続ベース17Bには、ベース4Xの差し込み穴4Vに対応する位置に2つのピン17Dが立設している。ピン17Dには押圧部材17Eが軸方向に摺動自在に外嵌される。押圧部材17Eは、内蔵するバネ17Fの復元力によってピン17Dの先端方向に向かって押されている。押圧部材17Eは周面に軸方向に長孔17Hが穿設され、ピン17Dの周面に立設されたストッパ17Kを長孔17Hに嵌挿することで、回転方向及び軸方向の移動を規制している。2つのピン17Dの先端部は、大小2つの差込み穴4Vに合わせて、直径が大小になっている。
接続ベース17Bの回転中心4Tに対応する位置には貫通孔が穿設される。貫通孔の下面側にはカプラのソケット17Gが螺合され、上面側にはパイプ17Lが螺合される。パイプ17Lは、電動アクチュエータ17Aの中空の駆動軸を貫通して配置される。
保持ユニット4のプラグ4Wとソケット17Gは一対のカプラである。
【0039】
2つのピン17Dとベース4Xの大小の差込み穴4Vの位置を合わせて、ソケット17Gにプラグ4Wを嵌入すると、各ピン17Dの先端が対応する差込み穴4Vに嵌入され、バネ17Fの付勢力により押圧部材17Eがベース4Xを押圧した状態で保持ユニット4が移動装置5にガタつくことなく固定される。
上述のように、カプラ(プラグ4Wとソケット17G)などの結合機構を用いることで、保持ユニット4が移動装置5、より詳細には回転装置17に対して容易に着脱、交換することができ、サイズの異なる製品の切替えや清掃の際に作業者への負担が軽減される。
【0040】
シャッタ装置6は、移載された3列の生地片Dの搬送方向の位置を揃える装置であり、シャフト6A、シャッタ6B、及び電動アクチュエータ6Cを備える。シャフト6Aは、右フレーム3Aと左フレーム3Bに備えた軸受に軸支される。シャッタ6Bは板状で、シャフト6Aの外周に半径方向に沿って等間隔に3つ固定されている。シャフト6Aは電動アクチュエータ6Cに連結され、間欠回転する。本実施例では回転式のシャッタ装置を例示したが、揺動式や往復動式のシャッタ装置でもよい。
【0041】
圧縮空気供給装置7は、開閉弁7A、可変絞り弁7B、減圧弁7C、及び圧縮空気供給源7Dを含む。開閉弁7Aは、後述する制御装置9の指令により弁を開閉し、圧縮空気の供給と停止を切り替える。
【0042】
制御装置9は、移動装置5、シャッタ装置6、及び圧縮空気供給装置7の動作を制御する装置であり、入力部9A、演算部9B、及び制御部9Cを含む。
入力部9Aは操作パネル9Dを含み、操作パネル9Dで各装置の動作パターンの選択や、設定値を入力する。入力部9Aで入力された各設定値やセンサー3Dからの信号に基づいて演算部9Bで演算を行い、制御部9Cが電動アクチュエータ11B、13A、15C、17A、6C、及び開閉弁7Aを動作させて各装置を制御する。
制御装置9は、入力部9Aにて設定値を入力することで、搬送方向移動装置11、幅方向移動装置13、垂直方向移動装置15、回転装置17の移動開始位置や移動終了位置を含む移動範囲及び移動速度を調整することができる。そのため、製品切替え時の設定変更や、生地の性状による移動装置5の調整が操作パネル9Dで容易に行うことができる。また、制御装置9は、シャッタ装置6の動作タイミング及び回転速度や、圧縮空気供給装置7の圧縮空気供給タイミング及び供給時間を調整することができる。
【0043】
次に、移載装置1の動作について、
図6乃至
図8にて説明する。
図6及び
図7に示すように、第1搬送装置2Aの上流の食品生地成形装置(図示なし)で帯状の食品生地が成形され、略三角形に切断され整列した状態で生地片Dが3列で搬送される。第1搬送装置2Aは、生地片Dの底辺DBが搬送方向Rに対して右、左、右、左・・・というように交互に向きを180度変えて整列した状態で搬送する。
【0044】
図1及び
図6に示すように、移載装置1の移動装置5は初期位置に待機している。より詳細には、搬送方向移動装置11はスライダ11Eが搬送方向上流端に位置し、幅方向移動装置13は2つのスライダ13B、13Cが搬送される3列の生地片Dに対応した間隔に位置し、垂直方向移動装置15はスライダ15Dが上昇端に位置し、回転装置17は保持部材4Z及び4Yが幅方向に沿って配置される角度に位置する。
移動装置5の初期位置における保持ユニット4は、平面視において搬送装置2の第1の位置P1に位置している。
ここでは、保持部材4Zは搬送方向左側で、保持部材4Yは搬送方向右側に配置された状態からの動作について説明する。そして、生地片Dの底辺DB側を大径の保持部材4Zで保持し、頂点側を小径の保持部材4Yで保持するものとして説明する。
【0045】
幅方向に並んだ2つのセンサー3Dは生地片Dの搬送方向先端である斜辺DCを感知する。制御装置9は、左右のセンサー3Dの感知タイミングの差に基づいて生地片Dの向き(つまり底辺DBの向き)を判断し、移動装置5の動作を決定する。
生地片Dの底辺DBが左側に向いている場合(
図6参照)、上述の第1の位置P1での保持部材4Z及び4Yの配置と生地片Dの向きが適合しているので、制御装置9は、各装置に後述のような指令を出して生地片Dの移載動作を行う。
【0046】
制御装置9は、センサー3Dから生地片Dの搬送方向先端(斜辺DC)の感知信号を受取り、所定の時間経過後の動作開始時間に、圧縮空気供給装置7の開閉弁7Aと垂直方向移動装置15の電動アクチュエータ15Cに動作指令を行い、圧縮空気の供給を開始し、スライダ15Dを初期位置から所定の下降端へ下降させる。
スライダ15Dの下降に伴って、ベース15B、幅方向移動装置13、回転装置17、及び保持ユニット4が一体的に下降する。このとき、保持ユニット4の回転中心位置4Tが、生地片Dの中心線DAと一致する位置に下降するように、動作開始時間と垂直方向移動装置15の移動速度を調整する。
下降端に下降した保持部材4Z及び4Yの対向面4B及び凸部4Hは、生地片Dと所定の間隔を空けて対峙する。
【0047】
図8に示すように、圧縮空気供給装置7から圧縮空気が供給されると、噴出口4Eから噴出した圧縮空気により対向面4Bに沿って気体層4Kが形成される。噴射路4Dは対向面4Bに対して鋭角に傾斜しているので、噴出口4Eから噴出した圧縮空気は対向面4Bに沿って径方向外方に流れ、気体層4Kに向けて対向面4Bの前方から外気が吸引される(
図8(a)参照)。
この状態で、保持部材4Z及び4Yが所定の位置に下降し、生地片Dに向けて対向面4Bを所定の距離まで接近させると、生地片Dは対向面4Bに向かって引き寄せられる。そして、生地片Dは対向面4Bに形成される噴出口4Eから噴出した圧縮空気が対向面4Bに沿って流れることで対向面4Bに気体層4Kを介して非接触で保持される。このとき、生地片Dは凸部4Hに接触する(
図8(b)参照)。
つまり、保持部材4Z及び4Yは、生地片Dを対向面4Bに非接触の状態で、かつ、凸部4Hに接触した状態で保持する。生地片Dは凸部4Hとの接触摩擦により、保持部材4Z及び4Yが移動するときに、保持部材4Z及び4Yに対する位置ずれが抑制される。
【0048】
対向面4Bは凸部4Hによって扇形状に仕切られているため、噴出口4Eから噴出した圧縮空気は、凸部4Hに案内されて径方向の外方向に向かって流れやすくなる。また、生地片Dが対向面4Bに非接触に保持されるため、圧縮空気の流れが遮られることなく、外気の吸引が継続され、生地片Dを安定して引き寄せることができる。また、噴出口4E及びその周辺に生地や粉が付着することもない。
【0049】
図6及び
図7に示すように、制御装置9は、生地片Dの保持後、垂直方向移動装置15を動作させて、保持ユニット4を上昇させる。その後、保持ユニット4と搬送面2E(搬送面2F)の距離を維持した状態で、搬送方向移動装置11と幅方向移動装置13を動作させて、生地片Dを保持した保持ユニット4を第1の位置P1から、所定の第2の位置P2に移動する。第2の位置P2は、第2搬送装置2Bのベルトコンベヤ2Dの搬送面2F上にあり、予め入力部9Aに入力され、設定されている。
【0050】
制御装置9は、保持ユニット4を第1の位置P1から第2の位置P2へ移動する間に、回転装置17を動作して、保持ユニット4を90度回転させる。
回転装置17の回転方向は、第2の位置P2で保持部材4Zが搬送方向下流側になるように、つまり生地片Dの底辺DBが搬送方向下流側に向くように制御される。ここでは、底辺DBが搬送方向左側を向いているので、制御装置9は回転装置17を平面視において右方向に90度回転させる。
【0051】
保持ユニット4の第1の位置P1から第2の位置P2までの移動軌跡は任意に設定可能であるが、
図6のように、3つの保持ユニット4が搬送方向Rへ移動しながら左右の保持ユニット4が幅方向に移動し、各保持ユニット4が所定の間隔に拡がった後、さらに搬送方向に移動する軌跡が例示できる。各保持ユニット4は、互いの保持する生地片Dが干渉しない程度に幅方向に離間した後に回転することが望ましい。
【0052】
保持ユニット4が所定の第2の位置P2に移動したら、制御装置9は、開閉弁7Aに圧縮空気の供給停止を指令する。保持ユニット4は外気の吸引を停止し、生地片Dの保持を解放する。落下した生地片Dは、第2搬送装置2Bで搬送され、シャッタ装置6で搬送方向の位置が補正され幅方向に揃う。さらに、生地片Dは搬送方向Rに搬送され、図示しない巻き上げ装置で巻き上げ成形される。
その後、制御装置9は搬送方向移動装置11及び幅方向移動装置13を動作させ、保持ユニット4を第1の位置P1へ移動させる。この移動の間に、回転装置17を右方向に90度回転させ、保持部材4Zを搬送方向右側に、保持部材4Yを搬送方向左側に配置する。この配置は、
図6に示す移載前の配置に対し180度回転した状態である。
【0053】
制御装置9は、移動装置5に動作指令して初期位置に移動させた後、保持ユニット4を次の生地片Dを移載すべく初期位置で待機させる。制御装置9は、センサー3Dから次の生地片Dの搬送方向先端(斜辺DC)の感知信号を受け取り、移載装置1による移載動作を開始する。次の生地片Dの底辺DBは搬送方向Rに対して右側を向いている。保持ユニット4は、第1の位置P1で下降して次の生地片Dを引き寄せて保持し、搬送方向に移動しながら平面視において左に90度回転し、第2の位置P2で次の生地片Dの保持を解放する。このように、搬送される生地片Dの向きに応じて待機時の保持部材4Z及び4Yの配置、及び回転装置17の回転方向を左右交互に切り換えながら移載動作を繰り返して、生地片Dの移載を行う。
【0054】
図7に示すように、保持部材4Z及び4Yは、圧縮空気の供給によって生地片Dを保持し、生地片Dの下面を搬送面2Eから離反させる。しかしながら、生地片Dが柔らかい場合には、保持部材4Z及び4Yの周辺に位置する生地片Dの一部のみが搬送面2Eから離反し、その他の部分は垂れ下がって搬送面2Eに接することがある。
このような場合であっても、生地片Dの少なくとも一部が第1搬送装置2Aの搬送面2Eから離れた状態に生地片Dを保持することで、生地片Dを第2搬送装置2Bの上方に移載するときに、搬送装置2に対し生地片Dの粘着が軽減され、第1搬送装置2Aのコンベヤベルト2Cに散布する粉の量を低減することができる。
【0055】
制御装置9は、搬送方向移動装置11、幅方向移動装置13、垂直方向移動装置15、回転装置17の移動範囲及び移動速度を、生地片Dの寸法や性状等の条件に応じて容易に調整することが可能であり、これらの調整をすることで、移載中の加減速等による生地片Dの変形や、保持ユニット4に対する生地片Dの位置ずれを抑制できるので、生地片Dの外観を損ねずに、かつ確実に生地片Dの移載を行うことができる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施形態に係る移載装置31について
図9にて説明する。上記にて説明した構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態では、生地片Dが3列で搬送される形態であったが、本実施形態では、生地片Dが1列で搬送される形態である。また、生地片Dは冷却された硬い生地であり、変形しにくいものとして説明する。
移載装置31は、フレーム3、生地片Dを保持する保持部材4Z及び4Yを備える保持ユニット4、保持ユニット4を移動する移動装置35、圧縮空気供給装置7、及び制御装置9を含む。移動装置35は、搬送方向移動装置11、垂直方向移動装置15、及び回転装置17を含む。第1の実施形態に対して、幅方向移動装置13が省略され、保持ユニット4が3つから1つに変更されている。
【0057】
次に、移載装置31の動作について説明する。
第1搬送装置2Aは、略三角形の生地片Dが1列で整列した状態で搬送する。保持ユニット4が初期位置で待機し、その後、第1の位置P1で生地片Dを引き寄せて保持するまでの工程は第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
制御装置9は、生地片Dの保持後、保持ユニット4を上昇させることなく、搬送面2E(搬送面2F)からの距離を維持した状態で、搬送方向移動装置11を動作させて、保持ユニット4を第1の位置P1から所定の第2の位置P2に移動させる。また、移動中に回転装置17を動作させて、生地片Dの底辺DBが搬送方向下流側に向くように保持ユニット4を右へ90度回転させる。
制御装置9は、保持ユニット4が第2の位置P2で生地片Dの保持を解放した後、垂直方向移動装置15を動作させて保持ユニット4を上昇させ、搬送方向移動装置11を動作させて、初期位置へ移動させながら、回転装置17を動作させて、保持ユニット4をさらに右へ90度回転させる。生地片Dが変形し難い場合には、下降端に位置する保持ユニット4が生地片Dを引き寄せることで、生地片Dの下面が搬送装置2の搬送面から離反することができる。
制御装置9は、次の生地片Dを移載すべく、移載装置31の各部の動作を制御する。
【0058】
第2の実施形態にかかる移載装置31では、生地片Dを保持後、保持ユニット4を上昇せずに移載する動作について説明したが、第1の実施形態の移載装置1のように生地片Dを保持後、保持ユニット4を上昇してから移載する動作とすることも可能である。また、移載装置1で第2の実施形態のように生地片Dを保持後、保持ユニット4を上昇せずに移載する動作とすることも可能である。これらの動作の切替えは、操作パネル9Dで行うことができる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施形態に係る移載装置41について
図10にて説明する。上記にて説明した構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
第1の実施形態では、移載中に生地片Dを回転する形態であったが、本実施形態では、3列で搬送される生地片Dを回転することなく搬送方向Rと幅方向に拡開する形態である。ここでは、生地片Dは四角形に切断したパン生地として説明する。
移載装置41は、フレーム3、生地片Dを保持する保持部材44Zを2つ備える保持ユニット44、保持ユニット44を移動する移動装置45、シャッタ装置6、圧縮空気供給装置7、及び制御装置9を含む。移動装置45は、搬送方向移動装置11、幅方向移動装置13、及び垂直方向移動装置15を含む。第1の実施形態と比べて、回転装置17の電動アクチュエータ17Aが省略されている以外は、同じ構成である。
本実施形態では、3つの接続ベース17Bがそれぞれ幅方向移動装置13のスライダ13B、13C、及び垂直方向移動装置15のベース15Bに固定され、第1の実施形態と同様に保持ユニット44が取り付けられる形態として説明するが、電動アクチュエータ17Aを省略せずに、回転動作を停止させた形態とすることも可能である。
【0060】
図11に示すように、保持部材44Zは、円筒形の本体4Aの下面に生地片Dと対向する平坦な対向面4Bが形成される。対向面4Bには、保持中心点4Fから開口距離44Gだけ離した位置に6つの噴出口44Eが設けられ、保持中心点4Fから開口距離44Lだけ離した位置に3つの噴出口44Mが設けられる。対向面4Bには凸部4Hが形成される。本実施形態では、凸部4Hは、保持中心点4Fから半径方向の3方向に直線的に延びる形状であり、保持中心点4Fで交わるように形成される。従って対向面4Bは凸部4Hによって扇形状に仕切られている。そして隣り合う凸部4Hの間の扇形状の対向面4Bに2つの噴出口44Eと1つの噴出口44Mが形成される。その他の構成については、第1の実施形態の保持部材4Zと同様の構成であるため、説明は省略する。
【0061】
次に、移載装置41の動作について説明する。
第1搬送装置2Aは整列した状態の生地片Dを搬送し、センサー3Dは生地片Dの搬送先端である側辺DDを感知する。制御装置9が、センサー3Dから生地片Dの搬送方向先端(側辺DD)の感知信号を受取り、移動装置45を動作して保持ユニット44を初期位置から下降端まで下降し、生地片Dを引き寄せて保持する。制御装置9は、生地片Dの保持後、垂直方向移動装置15を動作させて、保持ユニット44を上昇させる。その後保持ユニット44と搬送面2E(搬送面2F)の距離を維持した状態で、搬送方向移動装置11と幅方向移動装置13を動作させて、生地片Dを保持した保持ユニット44を第1の位置P1から、所定の第2の位置P2に移動する。制御装置9は、保持ユニット44が第2の位置P2で生地片Dの保持を解放した後、搬送方向移動装置11と幅方向移動装置13を動作させて、初期位置へ移動させる。移載装置41は次の生地片Dに対し同じ動作を行う。本実施形態では、生地片が3列で搬送される形態について説明したが、その他の列数でもよく、1列でもよい。1列の場合、幅方向移動装置13を省略することができる。
【0062】
本発明の実施形態に係る成形装置の説明は概ね上記のとおりであるが、これに限らず特許請求の範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
1つの保持ユニットに対する、保持部材の個数は2つに限らず、3つ以上でもよいし、生地片が小さい場合は1つでもよい。さらに、保持部材の配置は、移載する生地片の形状に応じて適宜に設定することができる。
保持部材はベルヌーイチャックを例示したが、これに限らず真空チャックでもよい。
【0063】
上記説明では、保持部材が初期位置から下降するときに垂直に下降する動作を例示したが、搬送装置の搬送速度に合わせて保持部材を搬送方向に移動しながら下降して生地片を保持し移載する動作とすることも可能である。さらに、搬送方向の移動速度を、生地片を保持するときは第1搬送装置の搬送速度と同速にして、生地片の保持を解放するときは第2搬送装置の搬送速度と同速にするように移動速度を設定することも可能である。
保持部材の移動装置は、移載する生地片に応じて、垂直方向移動装置や回転装置を省略し、第1の位置P1と第2の位置P2の間の保持部材の移動を搬送方向と幅方向の往復動のみとした移載装置とすることも可能である。さらに、生地片Dが1列で搬送される場合、移動装置は搬送方向移動装置のみとすることも可能である。
また、回転装置の回転角度は90度に限らず、適宜に変更可能である。
移動装置は、搬送方向、幅方向、及び垂直方向の3方向に移動するアクチュエータを備えるように説明したが、これに限られるものではなく、ロボットアーム等の移動装置を用いることも可能である。この場合、ロボットアームが、搬送方向移動装置、幅方向移動装置、及び垂直方向移動装置として構成されることになる。
【符号の説明】
【0064】
1、31、41 移載装置
2 搬送装置
4 保持ユニット
4Y、4Z、44Z 保持部材
5、35、45 移動装置
7 圧縮気体供給装置
9 制御装置
11 搬送方向移動装置
13 幅方向移動装置
15 垂直方向移動装置
17 回転装置
D 食品生地片
P1 第1の位置
P2 第2の位置