(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183589
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】荷重測定システム、荷重変換器
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01L1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090995
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 充貴
【テーマコード(参考)】
2F049
【Fターム(参考)】
2F049BA13
2F049CA11
(57)【要約】
【課題】ノイズの影響を低減して荷重を精確に検出する荷重変換器及び荷重測定システムを提供することを課題としている。
【解決手段】起歪部2bと、感歪抵抗体部Gと、配線部と、導電層部と、を有する荷重変換器であって、起歪部2bは荷重の導入によって弾性変形する導電材料で構成され、感歪抵抗体部Gは絶縁体を介して起歪部2bに設けられて起歪部2bに生ずる歪みを検出し、配線部は感歪抵抗体部Gを含んで構成されるホイートストンブリッジ回路を結線し、導電層部は、少なくともホイートストンブリッジ回路からの出力信号の配線部と起歪部2bとの間にそれぞれ誘電体を介して設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重変換器と、前記荷重変換器が出力する信号に基づいて荷重を算出する算出器と、前記荷重変換器と前記算出器とを繋ぐシールドケーブルと、を備えた荷重測定システムであって、
前記荷重変換器は、起歪部と、感歪抵抗体部と、配線部と、導電層部と、を有し、
前記起歪部は前記荷重の導入によって弾性変形する導電材料で構成され、
前記感歪抵抗体部は絶縁体を介して前記起歪部に添着されて前記起歪部に生ずる歪みを検出し、
前記配線部は前記感歪抵抗体部を含むホイートストンブリッジ回路を結線して前記シールドケーブルの信号線に接続され、
前記導電層部は、少なくとも前記ホイートストンブリッジ回路からの出力信号の前記配線部と前記起歪部との間にそれぞれ誘電体を介して設けられ、
前記算出器は前記荷重変換器が出力する信号を増幅する増幅部を有し、
前記シールドケーブルのシールド部は、前記算出器のグランドと前記導電層部とを電気的に接続することを特徴とする荷重測定システム。
【請求項2】
前記導電層部はさらに、前記起歪部と電気的に接続されかつ容易に変形しない導電材料の荷重受け部と、前記配線部と、の間にそれぞれ誘電体を介して設けられることを特徴とする請求項1に記載の荷重測定システム。
【請求項3】
起歪部と、感歪抵抗体部と、配線部と、導電層部と、を有する荷重変換器であって、
前記起歪部は荷重の導入によって弾性変形する導電材料で構成され、
前記感歪抵抗体部は絶縁体を介して前記起歪部に設けられて前記起歪部に生ずる歪みを検出し、
前記配線部は前記感歪抵抗体部を含んで構成されるホイートストンブリッジ回路を結線し、
前記導電層部は、少なくとも前記ホイートストンブリッジ回路からの出力信号の前記配線部と前記起歪部との間にそれぞれ誘電体を介して設けられることを特徴とする荷重変換器。
【請求項4】
前記導電層部はさらに、前記起歪部と電気的に接続されかつ容易に変形しない導電材料の荷重受け部と、前記配線部と、の間にそれぞれ誘電体を介して設けられることを特徴とする請求項3に記載の荷重変換器。
【請求項5】
前記配線部は前記出力信号により荷重を算出する算出器とシールドケーブルによって接続され、前記算出器のグランドと前記導電層部とが前記シールドケーブルのシールド部にて結線されることを特徴とする請求項3又は4に記載の荷重変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を電気信号に変換する荷重変換器とこれを含む荷重測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
感歪抵抗体は、金属等に生ずる微小な歪みを検出して電気信号に変換するために、荷重変換器に使用されている。荷重変換器は、起歪部と起歪部に添着された感歪抵抗体とを含んでいる。起歪部は導電性の金属であって、外力が加わった場合に歪みを発生させる部品である。感歪抵抗体は、誘電材料の例えばポリイミド樹脂の基材とこの基材の上に形成された金属の抵抗体からなる折り返しパターンと、この折り返しパターンから引き出された配線接続用の端子部を有している。そして端子部には配線用のリード線がハンダ付けされて、ホイートストンブリッジ回路を形成している。
【0003】
この構成において、感歪抵抗体が起歪部に添着されている状態では、感歪抵抗体の基材と添着に用いる接着剤は絶縁体(誘電体)であるため、パターン部と起歪部との間に寄生容量が発生する。そして起歪部とホイートストンブリッジ回路の出力+SIGと-SIG間の静電容量に差があると+SIGと-SIG間に電位差が生じ、これが増幅部で増幅されてノイズとして現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-090394号公報
【特許文献2】特開2021-60267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このノイズ対策の一例として特許文献1の感歪抵抗体式の変換器では、複数の感歪抵抗体及びリード線と起歪部の表面との間に導電性を有するシールド層を設けて増幅部に接続したものが開示されている。しかしながら特許文献1では、シールド層と起歪部の間、シールド層と感歪抵抗体のベース間には絶縁体(誘電体)及び接着剤が存在し、精確な起歪部の歪みを検出することが難しいことなど、改善の余地があった。また特許文献2の荷重変換器では、静電容量を調整する電極を設けているが、調整時間が必要であること、部品点数が増えると共に組み立て時間も増えるなどから改善の余地があった。
【0006】
このような問題に鑑みて、本発明は、ノイズの影響を低減して荷重を精確に検出する荷重測定システム及び荷重変換器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る荷重測定システムは、上記の目的を達成するために、
荷重変換器と、荷重変換器が出力する信号に基づいて荷重を算出する算出器と、荷重変換器と算出器とを繋ぐシールドケーブルと、を備えた荷重測定システムであって、
荷重変換器は、起歪部と、感歪抵抗体部と、配線部と、導電層部と、を有し、
起歪部は荷重の導入によって弾性変形する導電材料で構成され、
感歪抵抗体部は絶縁体を介して起歪部に添着されて起歪部に生ずる歪みを検出し、
配線部は感歪抵抗体部を含むホイートストンブリッジ回路を結線してシールドケーブルの信号線に接続され、
導電層部は、少なくともホイートストンブリッジ回路からの出力信号の配線部と起歪部との間にそれぞれ誘電体を介して設けられ、
算出器は荷重変換器が出力する信号を増幅する増幅部を有し、
シールドケーブルのシールド部は、算出器のグランドと導電層部とを電気的に接続して構成されている。
【0008】
本発明の一態様に係る荷重測定システムは、上記の目的を達成するために、
導電層部はさらに、起歪部と電気的に接続されかつ容易に変形しない導電材料の荷重受け部と、配線部と、の間にそれぞれ誘電体を介して設けられて構成されている。
【0009】
本発明の一態様に係る荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
起歪部と、感歪抵抗体部と、配線部と、導電層部と、を有する荷重変換器であって、
起歪部は荷重の導入によって弾性変形する導電材料で構成され、
感歪抵抗体部は絶縁体を介して起歪部に設けられて起歪部に生ずる歪みを検出し、
配線部は感歪抵抗体部を含んで構成されるホイートストンブリッジ回路を結線し、
導電層部は、少なくともホイートストンブリッジ回路からの出力信号の配線部と起歪部との間にそれぞれ誘電体を介して設けられて構成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
導電層部はさらに、起歪部と電気的に接続されかつ容易に変形しない導電材料の荷重受け部と、配線部と、の間にそれぞれ誘電体を介して設けられて構成されている。
【0011】
本発明の一態様に係る荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
配線部は出力信号により荷重を算出する算出器とシールドケーブルによって接続され、算出器のグランドと導電層部とがシールドケーブルのシールド部にて結線されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の荷重変換器及び荷重測定システムによれば、起歪部に静電容量を調整する電極を設けることで、ノイズの影響を低減して荷重を精確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1及び第2の、実施形態に係る荷重変換器の斜視図(a)、断面模式図(b)である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の一部の部品を省略した底面図である。
【
図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷重変換器のゲージ部の平面図(a)、断面模式図(b)、断面模式図(c)である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の荷重変換器の配線基板の断面模式図(a)、配線基板とゲージ部との結線を展開して表した展開模式図(b)である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の一部の部品を省略した底面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の荷重変換器の配線基板の断面図(a)、配線基板とゲージ部との結線を展開して表した模式展開図(b)である。
【
図7】本発明の第2の実施形態の荷重測定システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る荷重変換器について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1(a)は本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷重変換器1の斜視構成図である。
図1(b)は一部の部品を省略して、荷重変換器1の内部を示す断面模式図である。荷重変換器1は、荷重導入部2c、起歪部2a、荷重受け部2d、ゲージ部7、配線基板5、コネクタ3、蓋体4等を含んでいる。
【0016】
荷重導入部2cは荷重Pに直接的に接する箇所であって剛性が高く容易に変形せず、荷重を起歪部2aへ導入する。起歪部2aは荷重導入部2cに比べて比較的薄肉で、荷重導入部2cによって導入された荷重Pによって弾性変形する部分である。荷重受け部2dは、荷重導入部2cによって導入された荷重Pを中間部の起歪部2aを経由して受けて支え、容易に変形しない剛性の高い部分である。荷重受け部2dは、中空円柱形状であって固定構造物等に取り付けられるように底面にネジ穴2fを有している(
図2参照)。筐体2の荷重導入部2c、起歪部2a及び荷重受け部2dは一体構造の導電材料の金属、例えばステンレス等で構成されていて、全体の形状としては有底の略中空円柱状である。
【0017】
荷重変換器1内にはホイートストンブリッジ回路を構成する要素であるゲージ部7と、絶縁被覆されたリード線J(配線部)と、配線基板5(配線部を含む)と、が収納されている。ゲージ部7は、起歪部面2bに添着され、荷重の導入により起歪部2aに生ずる歪みに応じてその抵抗値が変化する。配線基板5は、可撓性を有するプリント配線板であって、ホイートストンブリッジ回路の配線の一部を有している。そして配線基板5は荷重受け部2dの内側壁面2eに例えば絶縁性接着剤などで固定されている。配線基板5は、比較的大きな荷重Pが荷重導入部2cへ高速で繰り返し印加されるような場合において、従来一般的に用いられていた配線用の円形のリジッド基板が蓋体4と平行に配置されるような構成と比較して、固定される面積が大きく、振動による基板へのダメージを受け難いように配置されている。
【0018】
リード線Jは絶縁被覆された配線用部材であって、ゲージ部7と配線基板5とを接続している。コネクタ3は、配線基板5と繋がっている。コネクタ3は、後述の算出器14と荷重変換器1とをシールドケーブル6で繋がるように設置されている。蓋体4は、薄肉の可撓性を有する金属板である。蓋体4は、接着若しくは溶接で荷重受け部2dに固定されていて、起歪部2aの弾性変形に影響を及ぼさないように薄肉で設けられている。ゲージ部7や配線基板5は、この蓋体4によって外部環境から保護されている。
【0019】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1のリード線Jなどの一部の部品を省略した底面図である。ゲージ部7及びゲージ部8は、それぞれに感歪抵抗体が2つずつ設けられ、長手方向が起歪部面2bの半径方向に沿うように、それぞれが円周方向に90度の間隔で配置されている。ゲージ部7及びゲージ部8は、起歪部面2bに誘電性接着剤(例えばエポキシ系やフェノール系)によって添着されている。本実施形態では、感歪抵抗体部G1は、一つの絶縁体である基材上に形成された折り返しパターンの感歪抵抗体部G1a及び感歪抵抗体部G1bとで構成されている。基材となる絶縁(誘電)材料は例えばポリイミドフィルム等であって、感歪抵抗体部G1a、G1bは銅・ニッケル系合金やニッケル・クロム系合金等である。感歪抵抗体部G2~G4も感歪抵抗体部G1と同様の部材で構成されている。各感歪抵抗体部G1~G4の最大感度方向はいずれも起歪部面2bの半径方向である。各感歪抵抗体部Gにはリード線Jをハンダ付けするための接続用の接続部Tgが設けられている(
図3参照)。
【0020】
そして配線基板5が内側壁面2eに誘電性接着剤(エポキシ系やフェノール系)によって添着されている。配線基板5の接続端子T1~T5には、コネクタ3の端子からの配線が半田付けによって電気的に接続されている。さらにコネクタ3の端子は、シールドケーブル6のリード線とシールド部とに繋がっている。
【0021】
図3(a)は本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷重変換器のゲージ部7の平面図である。
図3(b)は
図3(a)においてAAで切断した断面模式図、
図3(c)は
図3(a)においてBBで切断した断面模式図である。
図3(a)においてゲージ部7は、感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bと、導電層Sp1/Sp2を有している。感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bはいずれも図におけるX方向に最大感度を有するグリッド形状であって、このグリッド部から引き出された接続部Tgを有する。一方導電層Sp1/Sp2は、平面視で感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bの周囲を取り囲むように配置された略コの字の導体パターンである。導電層Sp1/Sp2は、感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bと同じ金属であっても良いし、銅などの金属であっても良い。
【0022】
図3(b)に示すように、ゲージ部7は層構造を有している。基材7a上に感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bが積層され、さらに保護層7cが積層されている。保護層7cは、感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bを水分などから保護するもので、例えばポリイミドのフィルムなどである。そして保護層7cは、接続部Tgが露出するように一部が開口している。一方導電層Sp1/Sp2も
図3(c)に示すように、基材7aと保護層7cに挟まれて設けられ、接続部Tgが露出するように保護層7cの一部に開口部を設けている。なお保護層7cは、フィルムに接続部Tgに相当する穴を開けておいてこれを積層することでゲージ部7は形成できる。
【0023】
なお本実施形態では導電層Sp1/Sp2は、ゲージ部7の一部としているが、これに限らず変形として別体で設けても良い。すなわち導電層Sp1/Sp2を誘電層上に有したコの字型の部材を、感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bの周囲の起歪部面2bに添着しても良い。
【0024】
また感歪抵抗体部G1a/G1b、G2a/G2bや導電層Sp1/Sp2の形成は、起歪部面2bにSiO2等の絶縁層を形成し、さらに金属箔を積層し、次いでレーザ照射によって選択的に金属箔を除去してパターニングを行うなど方法によるものなどの変形であってもよい。
【0025】
図4(a)は本発明の第1の実施形態の荷重変換器の配線基板の断面模式図であって、
図4(b)は配線基板5とゲージ部7、8との結線状態を展開して表した展開模式図である。
図4(a)は
図4(b)においてCCで切断した断面模式図である。
【0026】
配線基板5は、例えば可撓性を有するフレキシブル基板である。配線基板5は、基材5a、導電層部5b、誘電層5c、導電層5d、誘電層5eを含んでいる。基材5aは、例えば長方形の形状のポリイミドフィルムである。導電層部5bは、例えば銅箔であって、基材5a上に接着剤を介して積層され、基材5aの全面と略同じ面積である。誘電層5cもポリイミドフィルムであって、導電層部5bの一部の露出させたい箇所に開口部を設けている。導電層5dも例えば銅箔であって、誘電層5c上に接着剤を介して積層され、パターンP1~P8と接続端子T1~T5が設けられている。そしてパターンP1~P8と接続端子T1~T4は全面に貼られた箔をエッチングなどで選択的に残存させた部分である。誘電層5eもポリイミドフィルムであって、導電層5dの一部の露出させたい箇所に開口部を設けている。配線基板5は、通常の2層のフレキシブル基板の製法によって作られるが、これに限るものではない。例えば、誘電層である基材5aに導電層部5bを全面に張った第1の基板を作成しておく。一方別途、導電層部5bを開口させる部分のみを予め切り抜いた片面銅張基板に所定のパターニングを施した後、誘電層5eを積層して誘電層5eの所定の部分を除去した第2の基板を作成する。そして、第1の基板に第2の基板を張り合わせることで配線基板5は作成できる。なお接続端子T1~T5のように銅箔が露出している部分は、防錆処理剤の塗布若しくは半田コーティング等を施すことで、リード線Jとの接合を容易に行うことができる。
【0027】
図4(b)に示すように、配線基板5と各ゲージ部7、8はリード線Jで接続されている。第1の実施形態では、ゲージ部7とゲージ部8がそれぞれ2つずつ配線基板5と接続される。ゲージ部8は、感歪抵抗体の周囲の導電層Spが存在しないタイプである。
【0028】
図4(b)の左側から順に説明する。ゲージ部7の感歪抵抗体部G2aの接続部Tgは、一方がリード線J2a1によってパターンP5に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J2a2によってパターンP1に設けられたランドと接続されている。このランドとは、パターンP1~P8の一部において誘電層5eが開口していてパターンPの銅箔が露出している部分である。このランドも、防錆処理剤の塗布若しくは半田コーティング等を施すことで、リード線Jとの接合を容易に行うことができる。ゲージ部7の感歪抵抗体部G2bの接続部Tgは、一方がリード線J2b1によってパターンP5に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J2b2によってパターンP2に設けられたランドと接続されている。なおリード線J2a1、リード線J2a2、リード線J2b1、リード線J2b2の被覆部はいずれも導電層Sp2の上部を経由し、保護層7c及び誘電層5e上面にシリコン系の接着剤などを介して固定されている。そして導電層Sp2の接続部Tgは、リード線JBによって導電層部5bと接続され、リード線JBの被覆部は起歪部面2bにシリコン系の接着剤などを介して固定されている。
【0029】
ゲージ部7の感歪抵抗体部G1aの接続部Tgは、一方がリード線J1a1によってパターンP7に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J1a2によってパターンP3に設けられたランドと接続されている。またゲージ部7の感歪抵抗体部G1bの接続部Tgは、一方がリード線J1b1によってパターンP7に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J1b2によってパターンP4に設けられたランドと接続されている。なおリード線J1a1、リード線J1a2、リード線J1b1、リード線J1b2の被覆部はいずれも導電層Sp1の上部を経由し、保護層7c及び誘電層5e上面にシリコン系の接着剤などを介して固定されている。そして導電層Sp1の接続部Tgは、リード線JAによって導電層部5bと接続され、リード線JAの被覆部は起歪部面2bにシリコン系の接着剤などを介して固定されている。
【0030】
ゲージ部8の感歪抵抗体部G4aの接続部Tgは、一方がリード線J4a1によってパターンP8に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J4a2によってパターンP1に設けられたランドと接続されている。またゲージ部8の感歪抵抗体部G4bの接続部Tgは、一方がリード線J4b1によってパターンP6に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J4b2によってパターンP2に設けられたランドと接続されている。なおリード線J4a1、リード線J4a2、リード線J4b1、リード線J4b2の被覆部はいずれも、起歪部面2b及び誘電層5e上にシリコン系の接着剤などを介して固定されている。
【0031】
ゲージ部8の感歪抵抗体部G3aの接続部Tgは、一方がリード線J3a1によってパターンP6に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J3a2によってパターンP3に設けられたランドと接続されている。またゲージ部8の感歪抵抗体部G3bの接続部Tgは、一方がリード線J3b1によってパターンP8に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J3b2によってパターンP4に設けられたランドと接続されている。なおリード線J1a1、リード線J1a2、リード線J1b1、リード線J1b2の被覆部はいずれも、起歪部面2b及び誘電層5e上にシリコン系の接着剤などを介して固定されている。
【0032】
図4(b)において、接続端子T1~T5は、
図1及び
図2で示すコネクタ3を経由してシールドケーブル6と電気的に接続される。シールドケーブル6の電源供給用の電線は接続端子T1、T2と、シールドケーブル6の荷重変換器からのアナログ出力用の信号線は接続端子T3、T4と、シールドケーブル6のシールド部6aは接続端子T5とそれぞれ接続されている。
【0033】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器1のリード線Jなどの一部の部品を省略した底面図である。第2の実施形態では、ゲージ部7が4つの同じパターンで配置されている。各ゲージ部7には感歪抵抗体がそれぞれ2つ設けられ、長手方向が起歪部面2bの半径方向に沿うように、それぞれが円周方向に90度の間隔で配置されている。ゲージ部7は、起歪部面2bに誘電性接着剤(例えばエポキシ系やフェノール系)によって添着されている。その他の部分は第1の実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0034】
図6(a)は本発明の第2の実施形態の荷重変換器の配線基板の断面模式図であって、
図6(b)は配線基板とゲージ部との結線を展開して表した展開図模式(b)である。
図6(a)は
図6(b)においてDDで切断した断面模式図である。以下第1の実施形態との相違点のみ説明する。本発明の第2の実施形態では、ゲージ部7が4つの同じパターンで配置されている。ゲージ部7の感歪抵抗体部G1a、G1b、G2a、G2bに接続される箇所については第1の実施形態と同じである。
【0035】
ゲージ部7の感歪抵抗体部G4a、G4bの周囲には導電層Sp4、ゲージ部7の感歪抵抗体部G3a、G3bの周囲には導電層Sp3の周囲には導電層Sp3がそれぞれ配置されている。
【0036】
ゲージ部7の感歪抵抗体部G4aの接続部Tgは、一方がリード線J4a1によってパターンP8に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J4a2によってパターンP1に設けられたランドと接続されている。またゲージ部7の感歪抵抗体部G4bの接続部Tgは、一方がリード線J4b1によってパターンP6に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J4b2によってパターンP2に設けられたランドと接続されている。なおリード線J4a1、リード線J4a2、リード線J4b1、リード線J4b2の被覆部はいずれも導電層Sp4の上部を経由し、保護層7c及び誘電層5e上面にシリコン系の接着剤などを介して固定されている。そして導電層Sp4の接続部Tgは、リード線JDによって導電層部5bと接続され、リード線JDの被覆部は起歪部面2bにシリコン系の接着剤などを介して固定されている。
【0037】
ゲージ部7の感歪抵抗体部G3aの接続部Tgは、一方がリード線J3a1によってパターンP6に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J3a2によってパターンP3に設けられたランドと接続されている。またゲージ部7の感歪抵抗体部G3bの接続部Tgは、一方がリード線J3b1によってパターンP8に設けられたランドと接続され、もう一方がリード線J3b2によってパターンP4に設けられたランドと接続されている。なおリード線J3a1、リード線J3a2、リード線J3b1、リード線J3b2の被覆部はいずれも導電層Sp3の上部を経由し、保護層7c及び誘電層5e上面にシリコン系の接着剤などを介して固定されている。そして導電層Sp3の接続部Tgは、リード線JCによって導電層部5bと接続され、リード線JCの被覆部は起歪部面2bにシリコン系の接着剤などを介して固定されている。
【0038】
図7は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器1と、シールドケーブル6と、算出器14とを含んで模式的に示した回路図である。荷重変換器1は、感歪抵抗体を含んだホイートストンブリッジ回路を有している。算出器14は電源10と、増幅部11と、A/D(アナログ/デジタル変換)変換部12を含んでいる。電源10はホイートストンブリッジ回路の接続端子T1及びT2に電圧を印加する。増幅部11は、ホイートストンブリッジ回路の接続端子T3及びT4からの出力信号+SIG、出力-SIGを増幅して出力する。増幅部11は例えば差動式増幅部である。増幅部11から出力されたアナログ信号はA/D変換部12にてデジタル信号に変換されて、その後図示しない演算表示装置等によって荷重値が算出表示される。これらの電源及びアナログ信号は、シールドケーブル6のシールド部6aに囲まれた電線によって伝送される。
【0039】
接続端子T1と接続端子T4との間のホイートストンブリッジ回路の辺S1には、感歪抵抗体部G2a、感歪抵抗体部G4aが配置されている。辺S1と接続端子T1を挟んで隣り合う辺S4には感歪抵抗体部G1b、感歪抵抗体部G3bが配置されている。辺S2には、感歪抵抗体部G2b、感歪抵抗体部G4bが配置されている。辺S2と接続端子T2を挟んで隣り合う辺S3には、感歪抵抗体部G1a、感歪抵抗体部G3aが配置されている。アナログ信号の出力+SIG、出力-SIGは、配線基板5のパターンP1~P8や絶縁被覆されたリード線Jなどを伝わって進む。筐体2の起歪部面2bと内側壁面2eはノイズ源13と繋がっている。
【0040】
起歪部面2bと導電層Sp1との間には誘電層である基材7aがあるため、寄生容量Cg1が存在する。なお
図7に示された各キャパシタはすべて寄生容量を示すものである。起歪部面2bと各導電層Sp2~Sp4間についても同様に基材7aによって、それぞれ寄生容量Cg2~Cg4が存在する。一方、内側壁面2eと配線基板5の導電層部5bとの間には誘電層である基材5aがあるため、寄生容量Cfが存在する。そして配線基板5の導電層部5bと各導電層Sp1~Sp4とは、リード線JA~JDでそれぞれ導通結線されている。また配線基板5の導電層部5bに設けた接続端子T5に、シールドケーブル6のシールド部6aの末端は接続されており、このシールド部6aは増幅部11側のグランドに繋がっている。
【0041】
次いで各感歪抵抗体の周囲における寄生容量について説明する。感歪抵抗体部G1aの接続部Tgから引き出されたリード線J1a1と導電層Sp1との間、及びリード線J1a1と導電層部5bとの間には寄生容量C1a1が存在し、感歪抵抗体部G1aの接続部Tgから引き出されたリード線J1a2と導電層Sp1との間、及びリード線J1a2と導電層部5bとの間には寄生容量C1a2が存在する。同様に、感歪抵抗体部G1bの接続部Tgから引き出されたリード線J1b1と導電層Sp1との間、及びリード線J1b1と導電層部5bとの間には寄生容量C1b1が存在し、感歪抵抗体部G1bの接続部Tgから引き出されたリード線J1b2と導電層Sp1との間、及びリード線J1b2と導電層部5bとの間には寄生容量C1b2が存在する。感歪抵抗体部G2a、感歪抵抗体部G2bについても同様である。
【0042】
さらに配線基板5の各配線のパターンにおける寄生容量について説明する。配線基板5のパターンP1と導電層部5bとの間には、寄生容量Cp1が存在する。同様に各パターンP2~P8と導電層部5bとの間には、それぞれ寄生容量Cp2~Cp8が存在する。
【0043】
ここでノイズ源13は筐体2を伝わって導電層部5bへ侵入するが、導電層部5bと各導電層Spは結線されているため同電位であり、導電層部5bは算出器14のグランドに繋がっているため、ホイートストンブリッジ回路の出力信号+SIG、-SIGのラインにはノイズの電流が流れないので、ノイズの影響が生じない。
【0044】
さらに感歪抵抗体部G3a、G3b、G4a、G4bにおいて、これらの配線の導電層Sp3、Sp4と導電層部5bをそれぞれ結線し、リード線J3a1、J3a2、J3b1、J3b2、J4a1、J4a2、J4b1、J4b2をそれぞれ導電層Sp3、Sp4上面に配置することで、一層のノイズ侵入を防ぐことができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、各感歪抵抗体は1つの絶縁体を介して直接起歪部に添着して、少なくとも歪みを検出した出力信号の配線材を導電層の上面に配置し、この導電層と増幅部のグランドをシールドケーブルのシールド部で接続することでノイズの影響を防止して荷重を精確に検出することができる。
【0046】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の活用例として、ロードセル等への適用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 :荷重変換器
2 :筐体
2a :起歪部
2b :起歪部面
2c :荷重導入部
2d :荷重受け部
2e :内側壁面
2f :ネジ穴
3 :コネクタ
4 :蓋体
5 :配線基板
5b :導電層部
6 :シールドケーブル
6a :シールド部
7 :ゲージ部
7a :基材(絶縁体)
8 :ゲージ部
10 :電源
11 :増幅部
12 :A/D変換部
13 :ノイズ源
14 :算出器
G1a~G4a :感歪抵抗体部
G1b~G4b :感歪抵抗体部
J :リード線(配線部)
P1~P8 :パターン(配線部)
Sp1~Sp4 :導電層部
Tg :接続部
T1~T5 :接続端子