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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183600
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】温調空気供給装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20221206BHJP
   G01N 17/00 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
F24F5/00 Z
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091010
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】石本 紘史
(72)【発明者】
【氏名】松隈 修
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆之
【テーマコード(参考)】
2G050
3L054
【Fターム(参考)】
2G050BA04
2G050BA10
2G050CA02
2G050EA01
2G050EA05
2G050EC01
2G050EC03
3L054BE02
(57)【要約】
【課題】温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くする。
【解決手段】温調空気供給装置10は、空気の温度調整を行う空調部12と、空調部12によって温度調整された空気が導入される配管30と、配管30の先端に設けられて空気を吹き出す構成であり空気の吹き出し音を低減する消音器35と、を備える。消音器35は、空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる形状の膨張室36を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の温度調整を行う空調部と、
前記空調部によって温度調整された前記空気が導入される配管と、
前記配管の先端に設けられて前記空気を吹き出す構成であり、前記空気の吹き出し音を低減する消音器と、を備え、
前記消音器は、前記空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる形状の膨張室を有する、温調空気供給装置。
【請求項2】
前記膨張室は、直列的に並ぶ少なくとも二つの個別室を有し、
前記少なくとも二つの個別室はそれぞれ、前記空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる構成である、請求項1に記載の温調空気供給装置。
【請求項3】
前記少なくとも二つの個別室を仕切る仕切壁は、オリフィス板によって構成されている、請求項2に記載の温調空気供給装置。
【請求項4】
前記消音器は、
前記膨張室から外側に突出する形状で且つ前記膨張室から出た空気を整流して吹き出す整流部と、
前記少なくとも二つの個別室間に配置され、前記整流部と同軸上になるよう配置された接続筒部と、
を有する、請求項2又は3に記載の温調空気供給装置。
【請求項5】
前記消音器は、前記膨張室から外側に突出する形状で且つ前記膨張室から出た空気を整流して吹き出す整流部を有する、請求項1から3の何れか1項に記載の温調空気供給装置。
【請求項6】
前記消音器は、前記膨張室に対して前記整流部と反対側の位置で前記整流部と同軸上になるように配置された流入側筒部を有する、請求項4又は5に記載の温調空気供給装置。
【請求項7】
前記消音器は、前記膨張室を断熱する断熱材を有する、請求項1から6の何れか1項に記載の温調空気供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調空気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、空気の温度を調整する空調部と、空調部で温度調整がされた空気を流通させる配管と、配管に接続されるとともに所定の検査領域を形成するフードと、を備えた温調空気供給装置が知られている。特許文献1に開示された温調空気供給装置では、空調部によって温度が調整された空気が配管を通して検査領域に吹き出されるため、検査領域の温度又は検査領域に配置された供試体の温度が所定の温度に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-530588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された温調空気供給装置は、フードによって形成された検査領域に空気を吹き出す構造であるため、フード内に吹き出すときの吹き出し音はあまり気にならない。ただし、吹き出し風量を上げる必要がある場合には、吹き出し音が気になるかもしれない。また、フードを設けずに所定の検査領域に温調空気を吹き出す構成を採用した場合には、吹き出し音がより気になるかもしれない。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る温調空気供給装置は、空気の温度調整を行う空調部と、前記空調部によって温度調整された前記空気が導入される配管と、前記配管の先端に設けられて前記空気を吹き出す構成であり、前記空気の吹き出し音を低減する消音器と、を備える。前記消音器は、前記空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる形状の膨張室を有する。
【0007】
本発明に係る温調空気供給装置では、空調部によって温度調整された空気が配管を流れ、この空気は消音器を通して吹き出される。消音器において空気は膨張室に流入するが、膨張室は、空気が流れる断面を一旦急拡大したのち急縮小させる構成であるため、反射音が膨張室内に閉じ込められ、減音効果が得られる。したがって、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音が気になり難くなる。しかも、断面を単に拡大させて空気を吹き出す構成と異なり、一旦拡大した断面を縮小させて空気を流出させる構成であるため、供試体に向けて集中的に空気を吹き出させ易くできる。したがって、供試体の温度又は供試体の周囲の温度を調整し易くできる。
【0008】
前記膨張室は、直列的に並ぶ少なくとも二つの個別室を有してもよい。この場合、前記少なくとも二つの個別室はそれぞれ、前記空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる構成であってもよい。
【0009】
この態様では、少なくとも二つの個別室においてそれぞれ空気が減圧されるとともに減音効果が得られる。したがって、より高圧の空気が消音器に流入する構成の温調空気供給装置により好適なものとなる。
【0010】
前記少なくとも二つの個別室を仕切る仕切壁は、オリフィス板によって構成されていてもよい。この態様では、簡単な構成で減音効果が得られる。
【0011】
前記消音器は、前記膨張室から外側に突出する形状で且つ前記膨張室から出た空気を整流して吹き出す整流部と、前記少なくとも二つの個別室間に配置され、前記整流部と同軸上になるよう配置された接続筒部と、を有してもよい。
【0012】
この態様では、消音器に、空気を整流して吹き出す整流部が設けられているため、膨張室から流出した空気が整流部の突出方向に沿って流れる状態で、空気を消音器から吹き出させることができる。したがって、空気の直進性を高めることができ、温度調整された空気を供試体に向けて流れやすくできる。しかも少なくとも二つの個別室間には、整流部と同軸上に接続筒部が設けられているので、温度調整された空気の直進性をより高めることができる。
【0013】
前記消音器は、前記膨張室から外側に突出する形状で且つ前記膨張室から出た空気を整流して吹き出す整流部を有してもよい。
【0014】
この態様では、消音器に、空気を整流して吹き出す整流部が設けられているため、膨張室から流出した空気が整流部の突出方向に沿って流れる状態で、空気を消音器から吹き出させることができる。したがって、空気の直進性を高めることができ、温度調整された空気を供試体に向けて流れやすくできる。
【0015】
前記消音器は、前記膨張室に対して前記整流部と反対側の位置で前記整流部と同軸上になるように配置された流入側筒部を有してもよい。この態様では、整流部と同軸上の位置に流入側筒部が設けられているため、温度調整された空気の直進性をより高めることができる。
【0016】
前記消音器は、前記膨張室を断熱する断熱材を有してもよい。この態様では、膨張室に流入した空気が外気によって加熱又は冷却されることを抑制できるため、空調部によって温度調整された空気の温度が、吹き出される前に変化することを抑制できる。また、断熱材の存在により、吸音効果を得ることもできる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音を気になり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る温調空気供給装置の全体構成を示す図である。
図2】温調空気供給装置に設けられた消音器の概略的な断面図である。
図3】変形例に係る消音器の概略的な断面図である。
図4】その他の変形例に係る消音器の概略的な断面図である。
図5】その他の変形例に係る消音器の概略的な断面図である。
図6】その他の変形例に係る消音器の概略的な断面図である。
図7】その他の変形例に係る消音器の概略的な断面図である。
図8】その他の変形例に係る消音器の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
本実施形態に係る温調空気供給装置10は、供試体の温度又は供試体の周囲の温度を所定の温度に調整するために用いられ、供試体に向けて温度が調整された空気を吹き出すように構成されている。供試体は、例えば、万能試験機(引張試験機)、衝撃試験機、摩擦摩耗試験機等にセットされて材料試験の試験対象となるものであってもよい。その他、供試体は、電子モジュール等であって出力電流値、出力電圧値等の計測対象となるものであってもよい。
【0021】
図1に示すように、温調空気供給装置10は、供試体に供給される空気を温度調整する空調部12を有する。空調部12は装置本体14に設けられている。装置本体14は、空調部12に加え、空調部12に空気を導く導入管16と、空調部12によって温度調整された空気が流れる導出管18と、空調部12等を制御する制御盤20と、を備えている。
【0022】
導入管16には、外部の供給源(図示省略)が接続され、供給源から導入管16に空気が供給されるように構成されている。この供給源から供給される空気は、供試体に向けて吹き出すことができるように加圧された空気である。
【0023】
空調部12は、空気を冷却する冷却部25と、空気を加熱する加熱部26と、を含む。冷却部25として、例えば、蒸気圧縮式冷凍サイクルが構成された冷凍機の蒸発器が用いられる。導入管16に導入された空気は、冷却部25において、所定の温度に冷却される。加熱部26として、例えばヒータが用いられる。加熱部26は、空気の流れ方向における冷却部25の下流側に配置され、冷却部25を通過した空気を加熱する。
【0024】
導出管18には、流量調整弁28が設けられている。冷却部25及び加熱部26によって温度調整された空気は、流量調整弁28によって流量が調整された上で、導出管18を通して装置本体14から導出される。
【0025】
導出管18には、導出管18から導出された空気を流す配管30が接続されている。配管30は、柔軟な素材で構成されていて、柔軟に曲げることができる。配管30は、断熱されているため、配管30内の空気の温度が変化しにくい。
【0026】
配管30には、温度検出器32が設けられている。温度検出器32は、配管30の先端部近傍に配置され、配管30内を流れる空気の温度を検出する。温度検出器32は、検出温度を示す信号を出力する。この信号は、装置本体14の制御盤20に送られる。
【0027】
制御盤20は、温度検出器32によって検出された温度が所定の温度になるように、冷却部25及び加熱部26を制御する。また、制御盤20は、所定の空気流量になるように流量調整弁28を制御する。なお、流量調整弁28は、制御盤20によって制御されるのではなく、手動式の弁によって構成されてもよい。
【0028】
配管30の先端には、配管30から放出される空気の吹き出し音を低減する消音器35が設けられている。消音器35は、図2に示すように、空気を減圧させるための膨張室36と、膨張室36を覆う外装体37と、を備えている。
【0029】
膨張室36は、空気の流れ方向において直列的に並んだ二つの個別室41,42を有する。各個別室41,42は、空気の入口43aが形成された入口側壁43と、空気の出口44aが形成された出口側壁44と、入口側壁43の外周縁及び出口側壁44の外周縁を接続する外周壁45と、を有する。外周壁45の内径は、入口43a及び出口44aの直径よりも大きい。つまり、各個別室41,42は、空気が流れる断面を入口43aから急拡大させるとともに、この拡大した断面を出口44aで急縮小させる形状となっている。各個別室41,42は、薄い金属板で構成されている。この金属板は厚みが1mm以下のステンレス板であってもよい。
【0030】
ここで、上流側に位置する個別室を第1個別室41と称し、その下流側に位置する個別室を第2個別室42と称する。
【0031】
第1個別室41の入口43aは、膨張室36への入口でもある。第1個別室41の入口側壁43には、入口43aを囲むように入口筒部47が接続されている。すなわち、入口43aの周縁に沿うように入口筒部47の端部が配置されている。
【0032】
入口筒部47には、流入側筒部48が接続されている。流入側筒部48は、入口側壁43に直交する方向に延びており、この流入側筒部48には、配管30が接続される。流入側筒部48は、膨張室36に対して後述の整流部52と反対側の位置に配置され、かつ、整流部52と同軸上になるように配置されている。
【0033】
なお、入口筒部47が省略され、流入側筒部48が入口側壁43に直接接続されてもよい。この場合、流入側筒部48は、入口43aを囲んだ状態で入口側壁43に直交する方向に延びる姿勢で入口側壁43に接続される。すなわち、入口43aの周縁に沿うように流入側筒部48の端部が配置される。
【0034】
入口筒部47は、薄い金属板で構成されている。この金属板は厚みが1mm以下のステンレス板であってもよい。
【0035】
第1個別室41と第2個別室42は、接続筒部50によって互いに接続されている。接続筒部50は、第1個別室41と第2個別室42との間に配置され、一端側の開口は第1個別室41の出口44aに連通し、他端側の開口は第2個別室42の入口43aに連通している。すなわち、第1個別室41の出口44aに沿うように接続筒部50の一端が配置され、第2個別室42の入口43aに沿うように接続筒部50の他端が配置されている。そして、第1個別室41内の空間と第2個別室42内の空間とは、接続筒部50を通して連通している。接続筒部50は、後述の整流部52と同軸上になるよう配置されている。
【0036】
接続筒部50は、薄い金属板で構成されている。この金属板は厚みが1mm以下のステンレス板であってもよい。
【0037】
第2個別室42には、第2個別室42(膨張室36)から出た空気を整流して吹き出す整流部52が接続されている。すなわち、整流部52は膨張室36に接続されている。整流部52は、一方向に真っ直ぐ延びる筒状に形成されている。整流部52は、出口44aの周縁に沿うように、第2個別室42の出口側壁44に接続され、かつ、膨張室36から外側に突出している。整流部52は、接続筒部50及び入口筒部47と同じ内径であり、かつ流入側筒部48、接続筒部50及び入口筒部47と同軸上に配置されている。第2個別室42の出口44aは膨張室36の出口でもある。なお、流入側筒部48も整流部52と同じ内径を有していてもよい。
【0038】
整流部52は、薄い金属板で構成されている。この金属板は厚みが1mm以下のステンレス板であってもよい。
【0039】
外装体37は、薄い金属板で構成されており、第1個別室41及び第2個別室42を覆っている。この金属板は厚みが1mm以下のステンレス板であってもよい。外装体37は、第1個別室41及び第2個別室42の外周壁45から離間した位置にあり且つ筒状の筒状壁37aと、筒状壁37aの一端に繋がる第1端壁37bと、筒状壁37aの他端に繋がる第2端壁37cと、を有する。第1端壁37bは流入側筒部48に繋がり、第2端壁37cは整流部52及び第2個別室42の出口側壁44に繋がっている。なお、筒状壁37aは個別室41,42の外周壁45に接触していてもよい。また、第1端壁37bは第1個別室41の入口側壁43に繋がっていてもよい。また、外装体37は省略可能である。
【0040】
このように、消音器35は、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す。消音器35は、空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる形状の膨張室36と、前記膨張室36から外側に突出する形状で且つ前記膨張室36から出た空気を整流して吹き出す整流部52と、前記膨張室36に対して前記整流部52と反対側の位置で前記整流部52と同軸上になるように配置された流入側筒部48と、を有する。また、膨張室36は、直列的に並ぶ少なくとも二つの個別室41,42を有し、前記少なくとも二つの個別室41,42はそれぞれ、前記空気が流れる断面を拡大させるとともに拡大した断面を縮小させる構成である。そして、前記少なくとも二つの個別室41,42間に配置され、前記整流部52と同軸上になるよう配置された接続筒部50が設けられている。したがって、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音が気になり難い。
【0041】
本温調空気供給装置10では、装置本体14の導入管16に導入された空気(圧縮空気)は、冷却部25において冷却され、その後加熱部26によって加熱される。冷却部25及び加熱部26は、温度検出器32の検出温度に基づいて制御盤20によって能力制御されているため、空気の温度は、加熱部26を通過して導出管18に流入する際に所定の温度に調整されている。なお、必ずしも冷却部25による冷却と加熱部26による加熱の双方が行われるとは限らない。冷却部25による冷却のみが行われる場合や、加熱部26による加熱のみが行われる場合もある。
【0042】
所定の温度に調整された空気は、配管30を流れた後、消音器35に導入される。消音器35において空気は、流入側筒部48及び入口筒部47を通過する。流入側筒部48及び入口筒部47は真っ直ぐに延びる形状であるため、空気は直線的に流れ、その後、入口43aを通して第1個別室41に流入する。第1個別室41では、入口43aから断面が急拡大するため、流入した空気は膨張し、減圧される。そして、第1個別室41では、出口44aに向かって断面が急縮小していることから、反射音が第1個別室41内で相殺されて減音される。この状態で第2個別室42に空気が導入され、第2個別室42においても同様に減音される。したがって、膨張室36から空気が吹き出されるときの吹き出し音が低減される。この減圧された空気(ただし、大気圧以上の圧力を有する)は、整流部52に流入し、直線的に流れて、整流部52から供試体に向けて吹き出される。つまり、整流部52は、膨張室36から出た空気を直進させる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、空調部12によって温度調整された空気が配管30を流れ、この空気は消音器35を通して吹き出される。消音器35において空気は膨張室36に流入するが、膨張室36は、空気が流れる断面を一旦急拡大したのち急縮小させる構成であるため、反射音が膨張室36内に閉じ込められ、減音効果が得られる。したがって、温度調整された空気を供試体に向けて吹き出す際の空気の吹き出し音が気になり難くなる。しかも、断面を単に拡大させて空気を吹き出す構成と異なり、一旦拡大した断面を縮小させて空気を流出させる構成であるため、供試体に向けて集中的に空気を吹き出させ易くできる。したがって、供試体の温度又は供試体の周囲の温度を調整し易くできる。
【0044】
また本実施形態では、膨張室36が二つの個別室41,42を有する構成であるため、二つの個別室41,42のそれぞれにおいて空気が減圧されるとともに減音効果が得られる。したがって、より高圧の空気が消音器35に流入する構成の温調空気供給装置10により好適なものとなる。また、二つの個別室41,42においてそれぞれ空気が減圧されるため、空気の圧力がより低減されて、吹き出される際に空気が拡散し難くなる。また、各個別室41,42は空洞であるため、空気の流動抵抗が過大にならない。したがって、必要な流速を確保できる。
【0045】
また本実施形態では、消音器35に、空気を整流して吹き出す整流部52が設けられているため、膨張室36から流出した空気が整流部52の突出方向に沿って流れる状態で、空気を消音器35から吹き出させることができる。したがって、空気の直進性を高めることができ、温度調整された空気を供試体に向けて流れやすくできる。しかも個別室41,42間に接続筒部50が整流部52と同軸上に設けられているので、温度調整された空気の直進性をより高めることができる。
【0046】
また本実施形態では、整流部52と同軸上の位置に流入側筒部48が設けられているため、温度調整された空気の直進性をより高めることができる。
【0047】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、整流部52が外装体37から外側に突出した形状であるが、これに代え、図3に示すように、整流部52は外装体37から外側に突出しない形状であってもよい。すなわち、外装体37の第2端壁37cは、整流部52の先端面を開口させる状態で整流部52の先端に接続されていてもよい。つまり、整流部52の先端面の開口が消音器35の外端面に開口している。
【0048】
また、接続筒部50によって、空気の直進性が確保されるような場合には、図4に示すように、整流部52を省略してもよい。
【0049】
また前記実施形態では、膨張室36が二つの個別室41,42を有する構成が示されているが、膨張室36が三つ以上の個別室を有する構成であってもよい。また、図5に示すように、膨張室36が一つの部屋で構成されていてもよい。すなわち、膨張室36は、一つの入口側壁43と、一つの出口側壁44と、1つの外周壁45とを有する構成であってもよい。図5では、外装体37が省略されているが、外装体37が設けられていてもよい。またこの構成においても、整流部52が省略されていてもよい。
【0050】
また、図6に示すように、消音器35は、膨張室36を断熱する断熱材54を有していてもよい。断熱材54は、膨張室36と外装体37とによって形成される空間に配置される。断熱材54は、シリコンスポンジ等によって構成することができる。この形態では、膨張室36に流入した温調空気が外気によって加熱又は冷却されることを抑制できる。このため、空調部12によって温度調整された空気の温度が、消音器35から吹き出される前に変化することを抑制できる。また、断熱材54の存在により、吸音効果を得ることもできる。
【0051】
また、前記実施形態では、膨張室36の二つの個別室41,42間に接続筒部50が設けられているが、接続筒部50を省略することも可能である。また、膨張室36に、直列的に配置された三つ以上の個別室が含まれる場合には、各個別室間にそれぞれ接続筒部50が設けられてもよいが、一部の各個別室間にのみ接続筒部50が設けられてもよい。すなわち、複数の個別室間の少なくとも一つに接続筒部50が設けられてもよい。より具体的には、三つ以上の個別室を有する構成の場合に、少なくとも二つの個別室間に接続筒部50が配置されてもよい。この場合、少なくとも膨張室36の出口側の二つの個別室間に接続筒部50が設けられることが望ましい。また、接続筒部50が全く設けられない構成としてもよい。
【0052】
接続筒部50が設けられない構成として、例えば、図7に示すように、膨張室36において、膨張室36内を互いに隣接する個別室56に仕切る仕切壁60が設けられていてもよい。仕切壁60はオリフィス板によって構成される。すなわち、膨張室36には、流入側筒部48の延びる方向に間隔をおいて、複数の仕切壁60が配置され、この仕切壁60間の空間が個別室56として形成される。仕切壁60にはそれぞれ開口が形成され、各開口は、隣り合う個別室56の一方の入口43aとして機能するとともに隣り合う個別室56の他方の出口44aとしても機能する。膨張室36の入口、仕切壁60の開口、及び膨張室36の出口は、何れも同径であり、同軸上に位置している。この場合の各個別室56も、空気が流れる断面を入口43aから急拡大させるとともに、この拡大した断面を出口44aまで急縮小させる形状となる。オリフィス板による構成では、簡単な構成で減音効果が得られる。なお、個別室56の数は限定されるものではない。また各オリフィスが同径でなくても良い。例えば下流に向かって漸次オリフィス径が大きくなるように、各仕切壁60を配置しても良い。また図7では、外装体37が設けられていないが、この形態においても外装体37が設けられていてもよい。
【0053】
膨張室36がオリフィス板からなる仕切壁60によって複数の個別室56に仕切られる構成においても、図8に示すように断熱材54が設けられていてもよい。断熱材54は露出してもよいが、外装体37によって断熱材54を覆ってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 :温調空気供給装置
12 :空調部
30 :配管
35 :消音器
36 :膨張室
41 :第1個別室
42 :第2個別室
48 :流入側筒部
50 :接続筒部
52 :整流部
54 :断熱材
56 :個別室
60 :仕切壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8