(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183604
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】精製システム
(51)【国際特許分類】
B03C 1/00 20060101AFI20221206BHJP
B01D 15/02 20060101ALI20221206BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B03C1/00 A
B01D15/02
B01J19/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091014
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】奥野 颯太
(72)【発明者】
【氏名】村松 晃
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 英郷
【テーマコード(参考)】
4D017
4G075
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017BA07
4D017CB01
4D017DA05
4D017DB02
4D017EB10
4G075AA13
4G075BB03
4G075BB04
4G075BB10
4G075BD16
4G075CA42
4G075DA02
4G075EB21
4G075ED13
4G075FC17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】セットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれた状態での精製動作の実行の未然防止を可能にする精製システムを提供する。
【解決手段】精製システムは、磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラム100と、精製カラムがセットされるカラム設置部6を有し、磁力源を用いてカラム設置部にセットされた精製カラム内の磁性粒子を精製カラム内で移動させることによって目的物質の精製動作を行なう精製装置1と、を備え、精製装置は、カラム設置部の前方で開閉し、開いたときにカラム設置部を露出させる開閉ドア10を有し、開閉ドアは、精製動作が実行される際に閉じられるものであり、カラム設置部にセットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれている場合にのみ開閉ドアが完全に閉じられる前に精製カラムと接触する接触部14を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラムと、
前記精製カラムがセットされるカラム設置部を有し、磁力源を用いて前記カラム設置部にセットされた前記精製カラム内の磁性粒子を前記精製カラム内で移動させることによって前記目的物質の精製動作を行なう精製装置と、を備え、
前記精製装置は、前記カラム設置部の前方で開閉し、開いたときに前記カラム設置部を露出させる開閉ドアを有し、
前記開閉ドアは、前記精製動作が実行される際に閉じられるものであり、前記カラム設置部にセットされた前記精製カラムの位置が規定された位置からずれている場合にのみ前記開閉ドアが完全に閉じられる前に前記精製カラムと接触する接触部を備えている、精製システム。
【請求項2】
前記接触部は、前記開閉ドアが完全に閉じられる前に前記精製カラムと接触して前記開閉ドアが完全に閉じられることを阻害するものである、請求項1に記載の精製システム。
【請求項3】
前記接触部は弾力性を有する素材により形成されている、請求項2に記載の精製システム。
【請求項4】
前記接触部は、前記規定された位置から特定方向へずれた位置にセットされた前記精製カラムと接触する部分に、前記開閉ドアが閉じられる動作に応じて前記特定方向とは反対方向への押圧力を前記精製カラムに作用させる傾斜面を有し、
前記開閉ドアが閉じられる際に前記精製カラムが前記規定された位置へ導かれるように構成されている、請求項1に記載の精製システム。
【請求項5】
磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラムと、
前記精製カラムがセットされるカラム設置部を有し、磁力源を用いて前記カラム設置部にセットされた前記精製カラム内の磁性粒子を前記精製カラム内で移動させることによって前記目的物質の精製動作を行なう精製装置と、を備え、
前記精製装置は、前記カラム設置部にセットされた前記精製カラムの位置が規定された位置からずれているか否かを検知するためのカラムセンサを備えている、精製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力源を用いて精製カラムの内部で目的物質を結合させた磁性粒子を動かすことにより目的物質の精製を行なうための精製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内部において洗浄液の層がゲル層を挟んで積層されている中空管形状のデバイス(以下、精製カラムと称する)を使用して、核酸などの目的物質の精製を行なうことが提案されている(特許文献1参照)。目的物質の精製は、目的物質を結合させた精製カラム内の磁性粒子に対して精製カラムの外側から磁力を作用させ、それによって磁性粒子を精製カラム内で動かすことで行われる。
【0003】
精製カラム内での目的物質の精製を自動的に実行する精製装置も提案されている(特許文献2参照)。精製装置は、筐体の前面部に精製カラムをセットするようになっており、筐体の内部には、精製カラム内に導入された磁性粒子に対して磁力を作用させるための磁力源と、その磁力源を前面部にセットされた精製カラムに沿って動作させるための駆動部とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2015/177933A1
【特許文献2】特開2020-168600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
精製カラムは、一端側に、目的物質を含む検体と磁性粒子との混合液が内部に充填されるリザーバ部が設けられ、他端側に、精製された目的物質を磁性粒子から遊離させて抽出するための抽出液層が設けられ、リザーバと抽出液層との間には、洗浄液層とゲル層とが交互に設けられている。精製を行なう際はまず、磁力源をリザーバに近づけて目的物質を結合させた磁性粒子に磁力を作用させ、磁性粒子を各洗浄液層へ順に導入するように磁力源を精製カラムに沿って移動させ、各洗浄液層で洗浄を行なう。各洗浄液層での洗浄を終えた目的物質は、最終的に抽出液層へ導いて磁性粒子から遊離させ、吸入器具等を用いて精製カラムから取り出す。
【0006】
上記の精製を正確に実行するためには、精製カラムの各洗浄液層の位置に磁力源を正確に移動させる必要がある。精製カラムにおける各洗浄液層やゲル層の位置は、多少の個体差はあるものの一定であるため、精製装置は精製動作として磁力源に既定の動作を行わせるようになっている。そのため、精製装置の規定された位置に精製カラムが正しくセットされる必要がある。
【0007】
精製装置に精製カラムをセットする構造として、精製カラムを精製装置に設けられた窪みに嵌め込むだけといった容易な構造が採用されていることが多い。しかし、このような構造は、精製装置に対する精製カラムの着脱が容易である一方で、規定の位置からずれた位置に精製カラムがセットされやすい。精製カラムが規定された位置からずれてセットされたまま精製装置が精製動作を開始すると、精製カラム内の目的物質に対して本来実行されるべき精製動作が適切に行われない恐れがある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、セットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれた状態での精製動作の実行の未然防止を可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る精製装置の第1形態では、磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラムと、前記精製カラムがセットされるカラム設置部を有し、磁力源を用いて前記カラム設置部にセットされた前記精製カラム内の磁性粒子を前記精製カラム内で移動させることによって前記目的物質の精製動作を行なう精製装置と、を備え、前記精製装置は、前記カラム設置部の前方で開閉し、開いたときに前記カラム設置部を露出させる開閉ドアを有し、前記開閉ドアは、前記精製動作が実行される際に閉じられるものであり、前記カラム設置部にセットされた前記精製カラムの位置が規定された位置からずれている場合にのみ前記開閉ドアが完全に閉じられる前に前記精製カラムと接触する接触部を備えている。
【0010】
本発明に係る精製装置の第2形態では、磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラムと、前記精製カラムがセットされるカラム設置部を有し、磁力源を用いて前記カラム設置部にセットされた前記精製カラム内の磁性粒子を前記精製カラム内で移動させることによって前記目的物質の精製動作を行なう精製装置と、前記カラム設置部にセットされた前記精製カラムの位置が規定された位置からずれているか否かを検知するためのカラムセンサと、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る精製システムの第1形態によれば、カラム設置部にセットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれている場合にのみ開閉ドアが完全に閉じられる前に前記精製カラムと接触する接触部が精製装置の開閉ドアに設けられているので、精製カラムが規定された位置からずれた位置にセットされた状態で開閉ドアが完全に閉じられることがない。これにより、セットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれた状態での精製動作の実行の未然防止が可能になる。
【0012】
本発明に係る精製装置の第2形態によれば、精製装置が、カラム設置部にセットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれているか否かを検知するためのカラムセンサを備えているので、精製カラムが正常にセットされていないことを検知することができ、セットされた精製カラムの位置が規定された位置からずれた状態での精製動作の実行の未然防止が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】精製システムの一実施例を示す斜視図である。
【
図2】同実施例の精製カラムの一例を示す図である。
【
図3】カラム設置部の構造を説明するための図であり、(A)は精製カラムを設置していないカラム設置部の状態、(B)はカラム設置部に精製カラムをセット状態をそれぞれ示している。
【
図4】精製カラムが正常にセットされているときの精製カラムと接触部材との位置関係を示す図である。
【
図5】カラム設置部にセットされた精製カラムが規定の高さからずれているときの精製カラムと接触部材との位置関係を示す図である。
【
図7】開閉ドアを完全に閉じるときに発揮される変形例の接触部材の機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、精製システムの実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
まず、精製システムを構成する精製カラム100について説明する。
【0016】
図2に示されているように、精製カラム100は、直線状かつ中空管状の部材であって、一端(図において上端)側のリザーバ部102、及びリザーバ部102よりも他端側の本体部104を備えている。リザーバ部102は本体部104よりも幅広に形成されている。本体部104内には、リザーバ部102側から順に、ゲル層、洗浄液層、ゲル層、洗浄液層、ゲル層、及び抽出液層が設けられている。精製カラム100の一端に目的物質と磁性粒子を含む試料液をリザーバ部102へ導入するための開口が設けられ、その開口がキャップ106によって封止される。本体部104内のゲル層は、各液層を互いに分離するためのゲルからなる層であり、洗浄液層は目的物質から夾雑物質を取り除くための洗浄液からなる層である。抽出液層は、各洗浄液層を経て精製された目的物質を磁性粒子から遊離させて溶解させるための液である。
【0017】
図1に示されているように、精製システムは、精製装置1と上述の精製カラム100を備えている。精製装置1は、精製カラム100内の目的物質を結合させた磁性粒子に対して精製カラム100の外部から磁力を作用させて磁性粒子を操作することにより、磁性粒子と結合した目的物質の精製を行なう装置である。
【0018】
精製装置1の筐体2の前面4には、精製カラム100をセットするためのカラム設置部6、及び操作パネル8が設けられている。この実施例では、2つのカラム設置部6が設けられており、2つの精製カラム100での目的物質の精製を同時に実行することができる。なお、カラム設置部6の数は1つでもよいし、3つ以上であってもよい。また、この実施例では、筐体2の前面にカラム設置部6が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、筐体2の側面、背面、上面などの面にカラム設置部6を設けることもできる。
【0019】
図示は省略されているが、精製装置1の筐体2の内部には、カラム設置部6にセットされた精製カラム100内の磁性粒子に対して磁力を作用させるための磁力源のほか、その磁力源を精製カラム100に沿って移動させるための駆動部、及び駆動部の動作を制御する制御回路が設けられている。
【0020】
精製装置1の筐体2の前面4におけるカラム設置部6が設けられている部分に、カラム設置部6の前方で開閉する開閉ドア10が取り付けられている。開閉ドア10は、開いた状態でカラム設置部6を露出させ、閉じた状態でカラム設置部6の前方を覆うように設けられている。開閉ドア10の内側の面(閉じたときに筐体2の前面と対向する面)に接触部材14が設けられている。接触部材14は、開閉ドア10が閉じられたときに各カラム設置部6の最上部に位置するように設けられている。接触部14の機能については後述する。
【0021】
精製装置1の筐体2の前面下部にセンサー穴18が設けられ、開閉ドア10が閉じられたときにセンサー穴18に挿し込まれる検知板16が開閉ドア10の内側の面の下部に設けられている。精製装置1は、開閉ドア10が閉じられたときにセンサー穴18に検知板16が挿し込まれることによって開閉ドア10が閉じられたことを検知するように構成されている。このように、開閉ドア10の開閉状態を検知するセンサーが設けられていることで、開閉ドア10が開いている状態で目的物質が精製する動作を実行させないように構成することが可能である。
【0022】
カラム設置部6は、精製カラム100の形状に合わせて設けられた窪み20を備えている。カラム設置部6に精製カラム100をセットする際は、
図3(A)に示されているように、精製カラム100を窪み20に嵌め込む。この状態から、ユーザが手動で又は重力によって精製カラム100を下降させると、
図3(B)に示されているように、精製カラム100が規定の高さまで下降したところで窪み20の内側に設けられている段差に精製カラム100のリザーバ部102の下端部分が接触して停止する。このとき、精製カラム100のリザーバ部102の前面側の下部が、窪み20の前方に設けられている引っ掛かり部22と係合し、カラム設置部6の前方への精製カラム100の脱落が防止される。この状態がカラム設置部6に精製カラム100が正常にセットされた状態である。
【0023】
精製装置1は、カラム設置部6に精製カラム100が正常にセットされることを前提として筐体2の内部の磁力源を動作させるように構成されており、カラム設置部6における精製カラム100の位置が正常な位置からずれている場合には、目的物質の精製が正常に実行されない恐れがある。カラム設置部6における精製カラム100の位置が正常な位置からずれる場合として、精製カラム100をカラム設置部6の窪みに嵌め込んだ後、精製カラム100に残ったバリなどが窪みの内側の壁面に引っ掛かり、それによって精製カラム100が規定の高さよりも高い位置で止まってしまう場合が考えられる。
【0024】
この実施例では、カラム設置部6にセットされた精製カラム100の高さが規定の高さよりも高い場合にのみ、開閉ドア10の接触部14が精製カラム100のキャップ106に接触することによって開閉ドア10が閉じられないようになっている。具体的には、
図4に示されているように、カラム設置部6において精製カラム100が規定の高さに正常にセットされている場合は、開閉ドア10が閉じられる際に接触部14が精製カラム100と接触しない。一方で、
図5に示されているように、カラム設置部6において精製カラム100が規定の高さよりも上方へずれてセットされている場合には、開閉ドア10が完全に閉じられる前に接触部14が精製カラム100と接触し、それによって開閉ドア10が完全に閉じられることが阻害される。これにより、ユーザは精製カラム100が正常にセットされていないことを容易に認識することができ、精製カラム100がセットされている位置がずれている状態で精製装置1に目的物質の精製動作を開始させることを未然に防ぐことができる。なお、接触部14は、セットされた精製カラム100の高さが規定の高さからずれている場合であってもそのずれ量が一定量(例えば、2mm)以下である場合には許容する(開閉ドア10を完全に閉じることができる)ように設けられていてもよい。
【0025】
接触部14の材質は特に限定されないが、精製カラム100が正常にセットされていない状態でユーザが開閉ドア10を閉じようとして接触部14が精製カラム100に接触したときに精製カラム100に与える衝撃を和らげるために、接触部14をゴム材料や樹脂材料など弾力性を有する材質で構成することができる。
【0026】
なお、上記実施例では、接触部14は、精製カラム100が規定の高さよりも上方へずれてセットされているときに、開閉ドア10が完全に閉じられる前に精製カラム100と接触して開閉ドア10が完全に閉じられることを阻害する機能を備えているが、このような機能の代わりに別の機能を備えることもできる。
【0027】
接触部14の変形例である
図6の実施例では、接触部14のうち、精製カラム100が規定の高さよりも上方へずれてセットされているときに開閉ドア10が閉じられる前に精製カラム100と接触する部分に、傾斜面14aが設けられている。接触部14の傾斜面14aは、
図7に示されるように、開閉ドア10が閉じられる動きを利用して精製カラム100に対して下方へ押圧する力を作用させ、開閉ドア10が完全に閉じられたときに精製カラム100を規定の高さまで押し下げるように設けられている。このように、開閉ドア10が閉じられるときの動作を利用して精製カラム100を正常な位置へ導く機能を接触部14にもたせることで、精製カラム100のセットされている位置が正常な位置からずれているにもかかわらず開閉ドア10が完全に閉じられた状態になることがなくなる。これにより、精製カラム100の位置がずれた状態で精製動作が開始されることを防止できる。
【0028】
なお、開閉ドア10に接触部14を設けることに代えて、カラム設置部6にセットされた精製カラム10の位置が規定の位置からずれているか否かを検知するためのカラムセンサを設けてもよい。そのようなカラムセンサは、例えば、カラム設置部6にセットされた精製カラム10の高さが規定の高さよりも上方にずれているときにのみ精製カラム100の存在を検出するように設けることができる。
【0029】
以上において説明した実施例は、本発明に係る精製システムの実施形態を例示したに過ぎない。本発明に係る精製システムの実施形態は以下のとおりである。
【0030】
本発明に係る精製システムの第1実施形態では、磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラムと、前記精製カラムがセットされるカラム設置部を有し、磁力源を用いて前記カラム設置部にセットされた前記精製カラム内の磁性粒子を前記精製カラム内で移動させることによって前記目的物質の精製動作を行なう精製装置と、を備え、前記精製装置は、前記カラム設置部の前方で開閉し、開いたときに前記カラム設置部を露出させる開閉ドアを有し、前記開閉ドアは、前記精製動作が実行される際に閉じられるものであり、前記カラム設置部にセットされた前記精製カラムの位置が規定された位置からずれている場合にのみ前記開閉ドアが完全に閉じられる前に前記精製カラムと接触する接触部を備えている。
【0031】
上記第1実施形態の第1態様では、前記接触部は、前記開閉ドアが完全に閉じられる前に前記精製カラムと接触して前記開閉ドアが完全に閉じられることを阻害するものである。このような態様により、精製カラムが正常な位置にセットされていないときには開閉ドアを完全に閉じることができなくなるので、ユーザは精製カラムが正常な位置にセットされていないことを容易に認識することができる。
【0032】
上記第1態様において、前記接触部は弾力性を有する素材により形成することができる。これにより、接触部が精製カラムに接触したときに精製カラムに与える衝撃を和らげることができる。
【0033】
上記第1実施形態の第2態様では、前記接触部は、前記規定された位置から特定方向へずれた位置にセットされた前記精製カラムと接触する部分に、前記開閉ドアが閉じられる動作に応じて前記特定方向とは反対方向への押圧力を前記精製カラムに作用させる傾斜面を有し、前記開閉ドアが閉じられる際に前記精製カラムが前記規定された位置へ導かれるように構成されている。このような態様により、開閉ドアが完全に閉じられている状態で精製カラムが正常な位置からずれていることがなくなるので、精製カラムが正常にセットされていないままで精製動作が開始されることを防止することができる。
【0034】
本発明に係る精製システムの第2実施形態では、磁性粒子と結合した目的物質を精製するための洗浄液の層とゲルの層とが内部において長手方向に積層されている精製カラムと、前記精製カラムがセットされるカラム設置部を有し、磁力源を用いて前記カラム設置部にセットされた前記精製カラム内の磁性粒子を前記精製カラム内で移動させることによって前記目的物質の精製動作を行なう精製装置と、を備え、前記精製装置は、前記カラム設置部にセットされた前記精製カラムの位置が規定された位置からずれているか否かを検知するためのカラムセンサを備えている。
【符号の説明】
【0035】
1 精製装置
2 筐体
4 前面
6 カラム設置部
8 操作パネル
10 開閉ドア
14 接触部
14a 傾斜面
16 検知板
18 センサー穴
20 窪み
22 引っかかり部
100 精製カラム
102 リザーバ部
104 本体部
106 キャップ