(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183628
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】放射線遮蔽組成物
(51)【国際特許分類】
G21F 1/06 20060101AFI20221206BHJP
G21F 1/10 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G21F1/06
G21F1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091054
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】513239210
【氏名又は名称】小川商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521236807
【氏名又は名称】eco断熱株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520352193
【氏名又は名称】ライトウエイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤森 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕二
(72)【発明者】
【氏名】河原 国博
(72)【発明者】
【氏名】辻 正和
(57)【要約】
【課題】本発明は、新たに、放射線遮蔽組成物を提供する事を目的とする。
【解決手段】シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズ、及び、ポリウレア、又はポリウレタンを含む、放射線遮蔽組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線遮蔽組成物であって、
シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズ、及び
ポリウレア、又はポリウレタン
を含む、放射線遮蔽組成物。
【請求項2】
前記シラスは、シラスバルーンである、請求項1に記載の放射線遮蔽組成物。
【請求項3】
前記ポリウレアは、ピュアポリウレアである、請求項1、又は2に記載の放射線遮蔽組成物。
【請求項4】
前記ポリウレタンは、発泡ポリウレタンである、請求項1、又は2に記載の放射線遮蔽組成物。
【請求項5】
放射線遮蔽材であって、
シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズ、及び、
ポリウレア、又はポリウレタン
を含む層を含む、放射線遮蔽材。
【請求項6】
放射線遮蔽組成物の製造方法であって、
(1)シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズを、ポリウレア、又はポリウレタンに混合する工程、及び
(2)前記混合物を硬化する工程、
を含む、放射線遮蔽組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線遮蔽組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射性物質遮蔽性能が検証されている。
【0003】
特許文献1は、樹脂組成物と無機粒子とを含むように成形された放射線遮蔽材において、前記無機粒子が二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含んでおり、前記樹脂組成物100重量部に対して前記無機粒子が5~40重量部未満である、放射線遮蔽材を開示している。
【0004】
特許文献2は、出入口を有するシェルター本体と、前記出入口を開閉する扉と、を備え、前記シェルター本体および前記扉の各外表層部、各内表層部の少なくとも一方に放射線遮蔽材が設けられ、前記シェルター本体および前記扉の前記各外表層部がポリウレア樹脂製膜体の層を有している、シェルターを開示している。
【0005】
特許文献3は、放射性物質に汚染された汚染土壌の処理を行う汚染土壌の処理方法において、汚染土壌をこれに洗浄水を加えて撹拌して洗浄し、該撹拌した混合物から浮揚物を分離して取出し、浮揚物が取出された混合物中の土粒子を分級して所定粒径以上の土粒子を取出し、所定粒径以上の土粒子が取出された混合物から沈殿分離により上澄み水を取出し、上澄み水が取出され残余洗浄水を含む混合物に、シラスバルーンの粉末及び煉瓦原料の粉末を混合して焼成し焼成固形物を得る、汚染土壌の処理方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-032232
【特許文献2】特開2019-105025
【特許文献3】特開2019-138674
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新たに、放射線遮蔽組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、シラスを、ポリウレア、又はポリウレタンに混合する事に依り、良好に放射性物質を遮蔽する事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、次の放射線遮蔽組成物、放射線遮蔽材等に関する。
【0010】
項1.
放射線遮蔽組成物であって、
シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズ、及び
ポリウレア、又はポリウレタン
を含む、放射線遮蔽組成物。
【0011】
項2.
前記シラスは、シラスバルーンである、前記項1に記載の放射線遮蔽組成物。
【0012】
項3.
前記ポリウレアは、ピュアポリウレアである、前記項1、又は2に記載の放射線遮蔽組成物。
【0013】
項4.
前記ポリウレタンは、発泡ポリウレタンである、前記項1、又は2に記載の放射線遮蔽組成物。
【0014】
項5.
放射線遮蔽材であって、
シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズ、及び、
ポリウレア、又はポリウレタン
を含む層を含む、放射線遮蔽材。
【0015】
項6.
放射線遮蔽組成物の製造方法であって、
(1)シラス、シラスバルーン、又はセラミックビーズを、ポリウレア、又はポリウレタンに混合する工程、及び
(2)前記混合物を硬化する工程、
を含む、放射線遮蔽組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、新たに、放射線遮蔽組成物を提供する事が出来る。
【0017】
本発明の放射線遮蔽組成物は、良好に放射性物質を遮蔽する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の放射線遮蔽材(放射線遮蔽組成物)として、シラス混入ポリウレア、及びシラス混入発泡ウレタンを製造する時に、好ましく使用する撹拌機の例を表す。
【
図2】
図2は、本発明の放射線遮蔽材(放射線遮蔽組成物)として、シラス混入ポリウレタンのコンテナ内への注入充填を表す。ポリウレタンの施工は、主に、基本コンテナ内への注入充填であり、吹付ガンを用いる時の、ポリウレタンの吹き付け充填も行う。
【
図3】
図3は、本発明の放射線遮蔽材(放射線遮蔽組成物)を用いる遮蔽の方法において、用意する放射性廃棄物を閉じ込める為の鉄コンテナを表す。
【
図4】
図4は、本発明の放射線遮蔽材(放射線遮蔽組成物)を用いる遮蔽の方法において、コンテナの外側に、シラスを固めたボードを、開口以外の5面に貼り付け覆う態様を表す。
【
図5】
図5は、本発明の放射線遮蔽材(放射線遮蔽組成物)を用いる遮蔽の方法において、コンテナの外側に貼り付けたシラスボードの上に、ポリウレアを吹き付ける態様を表す。
【
図6】
図6は、本発明の放射線遮蔽材(放射線遮蔽組成物)を用いる遮蔽の方法において、コンテナの壁、及び天井面に、穴を、数カ所開ける態様を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
(1)放射線遮蔽組成物
本発明は、放射線遮蔽組成物である。
【0021】
本発明の放射線遮蔽組成物は、シラス、及びポリウレア、又はポリウレタンを含む。
【0022】
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、優れた放射線遮蔽性ピュアポリウレア、及び放射線遮蔽性発泡ポリウレタンを提供する事が可能である。
【0023】
(1-1)本発明の放射線遮蔽組成物の有用性
放射線遮蔽材入りのピュアポリウレアの吹付
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレア(ピュアポリウレア)を用いる時、シームレスに吹付が可能と成り、複雑な形状に対しても、良好に吹付作業が可能と成る。
【0024】
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレア(ピュアポリウレア)を用いる時、超速硬塗膜、具体的には、9秒程度で硬化する膜を形成する事が可能と成り、作業時間を圧倒的に短縮する事が可能と成り、より短時間で、放射線を遮蔽する事が可能と成る。
【0025】
放射線遮蔽材入りの発泡ポリウレタンの吹付
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレタン(発泡ポリウレタン)を用いる時、コンテナ等に詰め込まれた放射性物質を、コンテナの外部から発泡ウレタンを注入充填する事に依り、より効率良く、放射線を遮蔽する事が可能と成る。
【0026】
(1-2)シラス
本発明の放射線遮蔽組成物は、シラスを含む。
【0027】
シラスは、白色砂質堆積物の俗称である。シラスは、南九州に広く分布する白色・粗鬆(そしょう)なパサパサした火山噴出物(軽石流堆積物の非熔結部、降下軽石等)、及びそれに由来する二次堆積物の総称である。シラスは、白砂、又は白州を意味する俗語に由来し、鹿児島湾周辺で広大な台地を造るとされている。
【0028】
シラスの粒度組成は、一般的傾向として、砂分(50μm~2.0mm)に属する粒分が最も多く70質量%~80質量%を占め、シルト分(62.5μm~3.9μm)、粘土分は少ない。
【0029】
シラスの鉱物組成は、70質量%~80質量%がガラス質であり、残りは長石、輝石、石英、磁鉄鉱等の結晶質から成る。シラスは、火山灰(2mm以下)火山礫(れき)、軽石等が混ざったものであり、鉱物組成は、火山ガラス(75質量%~80質量%)、斜長石(10質量%~15質量%)で、少量の紫蘇輝石(しそきせき)、石英、磁鉄鉱、普通輝石、岩片を含む。
【0030】
シラスの化学組成は、二酸化ケイ素(SiO2)65質量%~73質量%、酸化アルミニウム(Al2O3)12質量%~18質量%、酸化鉄(Fe2O3,FeO)1質量%~3質量%、酸化カルシウム(CaO)2質量%~4質量%、酸化ナトリウム(Na2O)3質量%~4質量%、酸化カリウム(K2O)2質量%~3質量%の範囲である。MgOは、1質量%以下であり、TiO2は、1%以下である。シラスの強烈減量は、2質量%~5質量%である。
【0031】
シラスは、全体的に白っぽく、透明なガラス破片状や軽石状(多孔質)の粒子を多く含む。
【0032】
シラスは、その堆積形態から大きく3種類に分類される。
【0033】
入戸火砕流堆積物(普通シラス)
シラスの中で最も埋蔵量の多いのが、シラス台地を形成する入戸火砕流(いとかさいりゅう)の堆積物である。
【0034】
この堆積物は、一般に、灰白色で半固結状を呈し、多孔質であり、2mm以上の礫(主に軽石)を含み、幅広い粒径から構成されており、大部分は砂分から成る。堆積物中の鉱物組成は、火山ガラス、斜長石を主成分とし、輝石、石英、磁鉄鉱などを副成分としている。
【0035】
その化学組成は、ケイ酸分が約70質量%と最も多く、次いでアルミナ分約14質量%、アルカリ酸化物約8質量%と続く。
【0036】
【0037】
降下軽石
降下軽石は、火山噴火の際、軽石を多く含む火山砕屑物が地表に落下して生じた堆積物の事である。この降下軽石は、入戸火砕流堆積物の下に堆積し、比較的固い軽石からなる。
【0038】
降下軽石は、篩分けする事で日本工業規格の適合品に成る。
【0039】
淘汰されたシラス
淘汰されたシラス(吉田シラス、加久藤シラス)は、細砂から微砂の粒度分布を有する自然水の作用で産出する。淘汰されたシラスは、淘汰作用に因り、微細な火山ガラス粒子のみが精製されて集積したシラスである。淘汰されたシラスは、粒子が揃っており、不純物が少ない。
【0040】
淘汰されたシラスは、火山ガラス成分を90質量%以上含む事、強熱減量が約4質量%以上である事を特徴とする。
【0041】
淘汰されたシラスは、シラスバルーンの原料に利用される。
【0042】
シラスバルーン
本発明の放射線遮蔽組成物が含むシラスは、一般に、バルーン化(焼成発泡)させていないシラスである。
【0043】
本発明の放射線遮蔽組成物が含むシラスは、好ましくは、バルーン化(焼成発泡)させたシラスバルーンである。
【0044】
シラスバルーンは、シラスを熱処理して発泡、膨張させた微細な中空ガラス球状体である。
【0045】
シラスバルーンの大きさは、粒径20μm~1.4mm程度である。
【0046】
シラスバルーンは、低嵩(かさ)比重、不燃性、高融点、低熱伝導率、無色、無害、有毒ガスの発生が無い、低価格という特徴を持つ。
【0047】
【0048】
【0049】
(1-3)セラミックビーズ
本発明の放射線遮蔽組成物は、セラミックビーズを含む。
【0050】
セラミックビーズは、無機酸化物を高温にて焼成した固体材料であり、ZrO2(ジルコニア)、SiO2(シリカ)、Al2O3(アルミナ)等を主成分とする。セラミックビーズは、好ましくは、例えば、ZrO2(ジルコニア)、SiO2(シリカ)、Al2O3(アルミナ)の内、いずれかを50質量%以上含有する。セラミックビーズは、好ましくは、例えば、無機酸化物の原料を2,000℃の高温で溶解し、噴霧急冷する事に依り、中空のビーズ状とする事が出来る。セラミックビーズは、好ましくは、多孔質状のセラミックを用いる。
【0051】
(1-4)ポリウレア、及びポリウレタン
本発明の放射線遮蔽組成物は、ポリウレア、又はポリウレタンを含む。
【0052】
ポリウレア
ポリウレアは、ウレア結合(-NH-CO-NH-)を有する重合体(樹脂)である。ポリウレアは、イソシアネート基(-NCO)を有する化合物(ポリイソシアネート)とアミノ基(-NH2)を有する化合物(ポリアミン)との化学反応(硬化)に依り形成される。
【0053】
-R1-NCO + NH2-R2- → -R1-NH-CO-NH-R2-
ポリウレアは、ポリウレタンに比べ結合力が強く、加水分解しない為、耐水・耐食・耐薬品性に優れている。
【0054】
【0055】
ピュアポリウレア
本発明の放射線遮蔽組成物が含むポリウレアは、好ましくは、ピュアポリウレアである。
【0056】
ポリウレアは、イソシアネートとポリアミンとの結合体である。ポリウレア中のポリアミン比率が85%以上のポリウレアを、ピュアポリウレアと呼ぶ。
【0057】
ピュアポリウレアは、高強度で、耐摩耗性にも優れ、常に水の中にあっても加水分解しない成分である。ピュアポリウレアは、無溶剤で揮発性有機化合物(VOC)を一切含まず、環境にも優しい、コーティング剤である。ピュアポリウレアを用いる事に依り、これまでの防水剤等では施工が出来なかった過酷な使用環境の現場での対応が可能と成る。
【0058】
ポリウレタン
ポリウレタンは、ウレタン結合(-NH-CO-O-)を有する重合体(樹脂)である。ポリウレタン、イソシアネート基(-NCO)を有する化合物(ポリイソシアネート)と水酸基(-OH)を有する化合物(ポリオール)との重付加に依り形成される。
【0059】
-R1-NCO + OH-R2- → -R1-NH-CO-O-R2-
通常、グリコールを主とするポリオールと、主として2官能のイソシアネートである、ジイソシアネートを反応させて合成する。
【0060】
ウレタンフォーム(発泡ポリウレタン)を製造する為には、発泡剤を加えて重合させる。
【0061】
発泡ポリウレタン
本発明の放射線遮蔽組成物が含むポリウレタンは、好ましくは、発泡ポリウレタンである。発泡ポリウレタンは、ポリウレタン系樹脂の樹脂製発泡材で構成された材料である。
【0062】
発泡ポリウレタンは、特に制限されない。発泡剤は、好ましくは、二酸化炭素、フロン類等であり、より好ましくは、環境対応のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)フロンガスを使用する。
【0063】
発泡倍率は、好ましくは、8倍~40倍程度であり、より好ましくは、30倍程度である。
【0064】
発泡ポリウレタンは、主剤として、好ましくは、ポリオール、ポリプレングリコール等を主成分とする樹脂を用いる。主剤に対し、好ましくは、イソシアネート等の架橋剤を、混合比、例えば、略1:1で、混合して発泡させ、必要に応じて、充填材、添加剤等を加えて、吹付施工する。
【0065】
【0066】
【0067】
(2)放射線遮蔽材
本発明は、放射線遮蔽材である。
【0068】
本発明の放射線遮蔽材は、シラス、及び、ポリウレア、又はポリウレタンを含む層を含む。
【0069】
本発明の放射線遮蔽材を用いると、優れた放射線遮蔽性を発揮するピュアポリウレアの放射線遮蔽材、及び優れた放射線遮蔽性を発揮する発泡ポリウレタンの放射線遮蔽材を提供する事が可能である。
【0070】
放射線遮蔽材の例
シラスボード+ポリウレア吹付
ポリウレアの吹付量は、好ましくは、厚み2mm~10mm程度であり、より好ましくは、厚み5mm程度である。
【0071】
シラスボード+発泡ウレタン注入充填
発泡ウレタンの注入充填量は、好ましくは、コンテナのサイズ、格納物のサイズに応じて、適宜、充填注入の量を調整し、充填厚みを調整する。
【0072】
シラス混入ポリウレア吹付
シラス混入ポリウレア全体中のシラスの混入率は、放射線遮蔽効果テストに合わせて、シラスを、好ましくは、重量比で最低5%~最大40%程度とする。
【0073】
シラス混入発泡ウレタン吹付
シラス混入発泡ウレタン全体中のシラスの混入率は、放射線遮蔽効果テストに合わせて、シラスを、好ましくは、重量比で、最低5%~最大40%程度とする。
【0074】
(3)放射線遮蔽組成物の製造方法
本発明は、放射線遮蔽組成物の製造方法である。
【0075】
本発明の放射線遮蔽組成物の製造方法は、
(1)シラスを、ポリウレア、又はポリウレタンに混合する工程、及び
(2)前記混合物を硬化する工程、
を含む。
【0076】
前記シラスを、ポリウレア、又はポリウレタン等は、前記放射線遮蔽組成物の項目で説明した内容を適用する。
【0077】
放射線遮蔽組成物の例(図1)
シラス混入ポリウレア
ポリアミンの入ったドラム缶に、シラスを、事前に混入し、攪拌機で十分攪拌する。吹き付け作業中も、シラスが浮揚したり、沈降したりする事を防止する目的で、攪拌しながら、吹き付けを行う。
【0078】
シラス混入発泡ウレタン
ポリオールの入ったドラム缶に、シラスを、事前に混入し、攪拌機で十分攪拌する。吹き付け作業中も、シラスが浮揚したり、沈降したりする事を防止する目的で、攪拌しながら、吹き付けを行う。
【0079】
(4)放射線遮蔽材入りのピュアポリウレアの吹付(施工例)
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレア(好ましくは、ピュアポリウレア)を用いる時、シームレスに吹付が可能と成り、複雑な形状に対しても、良好に吹付作業が可能と成る。
【0080】
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレア(好ましくは、ピュアポリウレア)を用いる時、超速硬塗膜、具体的には、9秒程度で硬化する膜を形成する事が可能と成り、作業時間を圧倒的に短縮する事が可能と成り、より短時間で、放射線を遮蔽する事が可能と成る。
【0081】
本発明の、シラス(好ましくは、シラスバルーン)とポリウレア(好ましくは、ピュアポリウレア)とを含む放射線遮蔽組成物を用いる事に依り、良好に放射性物質を遮蔽する事が出来る。
【0082】
ポリウレア吹付の仕様とメリット
ポリウレアのシラス下地との接着性を要する場面においては、シラス下地に、ウレタン系、又はエポキシ系のプライマーを施工する。
【0083】
ポリウレアを、先ず、全体に、好ましくは、1mm~1.5mm程度の薄層を吹き付けし、その後、既定の厚みに成るまで、吹き付け積層する。ポリウレアは、紫外線に対する耐候性を有する事から、好ましくは、トップコートは必要としない。
【0084】
コンテナを、6面体で、吹き付けする事に依り、コンテナを完全に密閉する事が出来す。コンテナから放射性物質が外気と触れる事が無くなる。ポリウレアは、防水性、及び耐候性を有する事から、屋外での保管が可能である。
【0085】
従前、大きな放射性汚染物質を含んだ大きな機械を切断する時は、作業員の安全面の点で、放射能被ばく等の危険が伴っている。
【0086】
しかし、シラス混入ポリウレアを、直接、大きな機械に吹付する事に依り、コンテナに入らない大きな物でも、それらを切断せずに、より安全に放射線遮蔽の作業が可能である。また、吹き付け工法を採用する事に依り、複雑な形状でもシームレスに被覆が可能であり、風雨に晒されても放射性物質が外部に流れ出る事を防ぐ事が出来る。
【0087】
コンテナ式施工のメリットは、放射性汚染物質をコンテナに格納するに当たり、事前に、シラス混入ポリウレアを5面に施工する事から、格納後は開口部を施工する事だけで、より安全に、短時間で放射線遮蔽施工が可能である。また、コンテナでの施工は、トラックでの移動も容易に出来、例えば、道路幅制限のある道においても、移動が可能である。
【0088】
ポリウレア吹付は、超速硬化ポリウレアスプレーを採用する事で、20フィート~40フィートのコンテナであれば、数時間で施工が完了します。
【0089】
(5)放射線遮蔽材入りの発泡ポリウレタンの吹付(施工例)
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレタン(好ましくは、発泡ポリウレタン)を用いる時、コンテナ等に詰め込まれた放射性物質を、コンテナの外部からポリウレタン(好ましくは、発泡ポリウレタン)を注入充填する事に依り、より効率良く、放射線を遮蔽する事が可能と成る。
【0090】
本発明の、シラス(好ましくは、シラスバルーン)とポリウレタン(好ましくは、発泡ポリウレタン)とを含む放射線遮蔽組成物を用いる事に依り、良好に放射性物質を遮蔽する事が出来る。
【0091】
ポリウレタンのコンテナ内への注入充填:図2の左図
ポリウレタン(シラス混入ポリウレタン)の施工は、主に、基本コンテナ内への注入充填である。
【0092】
ポリウレア吹付が完了したコンテナに、好ましくは、1m2~2m2程度毎に、直径50cm程度の大きさの注入口を1箇所開け、隙間が無くなるまで、発泡ウレタンを注入充填する。
【0093】
数カ所の注入口から、発泡ウレタンを同時注入する事に依り、極めて短時間に、且つ安全に、発泡ウレタンの注入する事が出来す。
【0094】
ホース長さは、例えば、90mであり、作業員は、注入口にガンを取り付けるだけの時間で、注入作業が出来る。発泡ウレタンを同時注入する事に依り、極めて短時間に、且つ安全に、発泡ウレタンの注入する事が出来す。労働者の放射線障害防止に貢献出来る。
【0095】
吹付ガンを用いる、ポリウレタンの吹き付け充填:図2の右図
吹付ガンの先端に、1m~1.5m程度のロングノズルを付け、コンテナ内の格納物がしっかりと固定出来るまで吹き付け充填を行う。
【0096】
発泡ウレタンは、吹付後、10秒~60秒程度で硬化する。20フィート~40フィートのコンテナへの注入充填の場合、数時間で施工が出来る。
【0097】
発泡ウレタンは、露出使用出来ず、好ましくは、紫外線劣化を防止する点で、ポリウレアでのコーティング保護を行う。
【実施例0098】
以下に、本発明を、実施例及び比較例を示して、具体的に説明する。
【0099】
但し、本発明は、実施例に限定されない。
【0100】
実施例:遮蔽の方法(施工方法)の具体例
本発明の放射性廃棄物の放射線遮蔽の方法を、本発明の放射線遮蔽材料、その工法の工程を示し、説明する。
【0101】
工程1:図3
図3は、鉄コンテナ1~4を表す。放射性廃棄物を閉じ込める為の鉄コンテナを用意する。
【0102】
工程2:図4
図4は、シラスボードの貼り付け態様と、シラスを固めたボードを表す。コンテナの外側に、シラスを固めたボードを、開口以外の5面に貼り付け覆う。例えば、ボードの大きさは、910mm×910mm程度とし、ボードの厚みは、25mm~500mm程度とし、ボード版間ジョイントは、シラスをパテ状にしたもので埋めていき、フラットに仕上げる。
【0103】
工程3:図5
図5は、ポリウレア吹き付け状況を表す。コンテナの外側に貼り付けたシラスボードの上に、ポリウレアを吹き付ける。この時点で、開口部には、まだポリウレアを吹き付けない。開口以外の5面が、シラスボードとポリウレアとで完全に覆われた状態と成る。つまり、5面が、放射線遮蔽されている状態と成る。
【0104】
工程4:
開口部から、放射性汚染物をコンテナの中に格納する。
【0105】
工程5:
開口を閉じた扉の外部に、シラスボードを貼り付ける。
【0106】
工程6:
開口部にポリウレアを吹き付ける。この時点で、6面体をシラスとポリウレアとで完全に被覆われ、放射線を遮蔽出来ている状態と成る。
【0107】
工程7:図6
更に、コンテナの壁、及び天井面に直径50mm程の穴を数カ所開ける。
図6は、コンテナの壁、及び天井面に穴が数カ所開けられた状況を表す。その下部の穴から、シラス混入発泡ウレタンを、コンテナ内に、隙間が無くなるまで、注入する。これに依り、更なる放射線遮蔽効果を付与出来る。また、コンテナ移動時における振動、及び衝撃においても、コンテナ内部の荷崩れを防ぐ事が出来る。最後に、開けた穴を、シラスボードで蓋をして、ポリウレアを塗布する。
【0108】
施工完了後、赤外線カメラで、放射性汚染物質が転倒しない様、発泡ウレタンが充填出来ているか確認する。
【0109】
放射性廃棄物がコンテナに入りきらない大きさや形状の場合:
シラス混入発泡ウレタンを吹き付けする。
【0110】
その上からシラス混入ポリウレアを、直接、放射性廃棄物に吹き付けする。
【0111】
放射線遮蔽材入りのピュアポリウレアの吹付
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレアを用いる時、シームレスに吹付が可能と成り、複雑な形状に対しても、良好に吹付作業が可能と成る。
【0112】
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、ポリウレアを用いる時、超速硬塗膜、具体的には、9秒程度で硬化する膜を形成する事が可能と成り、作業時間を圧倒的に短縮する事が可能と成り、より短時間で、放射線を遮蔽する事が可能と成る。
【0113】
放射線遮蔽材入りの発泡ポリウレタンの吹付
本発明の放射線遮蔽組成物を用いると、例えば、発泡ポリウレタンを用いる時、コンテナ等に詰め込まれた放射性物質を、コンテナの外部から発泡ウレタンを注入充填する事に依り、より効率良く、放射線を遮蔽する事が可能と成る。