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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183642
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電話システム及び電話接続方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091077
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】521236841
【氏名又は名称】合同会社甲南キッチン
(71)【出願人】
【識別番号】507009696
【氏名又は名称】株式会社パピルスカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145207
【弁理士】
【氏名又は名称】酒本 裕明
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】砂田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】横山 太一
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201CA02
5K201CA10
5K201CB06
5K201CD09
5K201DA07
5K201EA05
5K201EA08
5K201EB07
5K201EC03
5K201EC06
5K201ED02
5K201ED05
5K201EF05
5K201EF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】日本国内において携帯電話通信を行うためのSIMカードが装着されていない携帯端末装置から、宿泊施設内の電話機に電話接続できる電話システム及び電話接続方法を提供する。
【解決手段】電話システム100は、宿泊施設200内に配置され、インターネット206と通信する無線LANルータ104と、宿泊施設外に配置され、インターネットに接続された中継サーバ106と、中継サーバ及びIP電話機110、112及び114の間の通信を仲介するIP-PBX108と、客室202毎に対応するQRコード120とを含む。QRコードは、中継サーバのインターネットアドレスを含む。QRコードを読取った携帯端末装置210は、WebRTC通信を中継サーバに要求する。中継サーバは、携帯端末装置及びIP電話機の間で、WebRTC通信の音声データとSIP通信の音声データとを相互変換する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿泊施設内に配置され、インターネットとの通信を仲介する無線LANルータと、
前記宿泊施設外に配置され、前記インターネットに接続された中継サーバと、
前記中継サーバ及び前記宿泊施設内に配置されたIP電話機の間の通信を仲介するPBXと、
前記宿泊施設内の客室毎に一意に対応する二次元コードとを含み、
前記二次元コードは、前記中継サーバのインターネットアドレスを含み、
前記無線LANルータは、前記二次元コードを読取った携帯端末装置からの前記インターネットアドレス宛のWebRTC通信の要求を、前記インターネットに送信し、
前記中継サーバは、
前記要求を受けて、前記携帯端末装置及び前記IP電話機の間の電話通信接続を確立し、
前記WebRTC通信により前記携帯端末装置から送信される音声データを、SIP通信の音声データに変換して前記PBXに送信し、
前記PBXを介して、前記SIP通信により前記IP電話機から送信される音声データを、前記WebRTC通信による音声データに変換し、前記無線LANルータを介して前記携帯端末装置に送信する、電話システム。
【請求項2】
前記二次元コードを表示する映像表示装置をさらに含む、請求項1に記載の電話システム。
【請求項3】
前記二次元コードは、認証情報と、当該二次元コードに対応する前記客室を特定する客室特定情報とをさらに含み、
前記認証情報及び前記客室特定情報は、前記要求として前記中継サーバに送信され、
前記中継サーバは、前記認証情報及び前記客室特定情報を用いて、前記携帯端末装置と前記IP電話機との電話通信接続を確立するか否かを判定する、請求項1又は請求項2に記載の電話システム。
【請求項4】
前記中継サーバは、前記携帯端末装置から受信した前記客室特定情報を、前記PBXを介して前記IP電話機に送信し、
前記IP電話機は、受信した前記客室特定情報を表示する、請求項3に記載の電話システム。
【請求項5】
宿泊施設内に配置され、インターネットとの通信を仲介する無線LANルータと、
前記宿泊施設外に配置され、前記インターネットに接続された中継サーバと、
前記中継サーバ及び前記宿泊施設内に配置されたIP電話機の間の通信を仲介するPBXとを含む電話システムにおける電話接続方法であって、
前記二次元コードは、前記中継サーバのインターネットアドレスを含み、
前記二次元コードを読取った携帯端末装置からの前記インターネットアドレス宛のWebRTC通信の要求を、前記無線LANルータを介して前記インターネットに送信する第1ステップと、
前記要求を受けて、前記中継サーバにより、前記携帯端末装置及び前記IP電話機の間の電話通信接続を確立する第2ステップと、
前記電話通信接続が確立された状態において、前記中継サーバにより、前記WebRTC通信により前記携帯端末装置から送信される音声データを、SIP通信の音声データに変換して前記PBXに送信する第3ステップと、
前記電話通信接続が確立された状態において、前記PBXを介して前記SIP通信により前記IP電話機から送信される音声データを、前記WebRTC通信による音声データに変換して、前記無線LANルータを介して、前記携帯端末装置に送信する第4ステップとを含む、電話接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを介する電話システム及び電話接続方法に関し、特に、ホテル等の宿泊施設の宿泊客が所有する携帯端末装置を用いて、宿泊施設内に設置された電話機に電話するための電話システム及び電話接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等のカメラ機能を有する携帯端末装置においては、インターネットのWebページにアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を、キー入力する代わりに、QRコード(登録商標)を撮像して取得することができる。例えば、下記特許文献1には、電話番号、メールアドレス、インターネットアドレス(URL)等を含むQRコードを栞に印刷しておき、QRコードを携帯電話で読取り、インターネットを介して、該当する接続先に自動接続する通信方式が開示されている。また、下記特許文献2には、携帯電話からインターネットを介して企業内ネットワークにアクセスする方法が開示されている。この接続方法においては、カードに印刷したQRコードを携帯電話で撮像し、暗号化された情報(携帯電話の電話番号、接続設定情報)を復号して、電話番号が一致した場合に、接続設定情報に基づき、インターネットを介して企業内ネットワークのサーバにアクセスできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-228083号公報
【特許文献2】特開2008-131450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海外から日本への観光客を主な対象とするホテル(インバウンド向けのホテル)が多く開設されている。また、世界的にスマートフォン等の携帯端末装置が普及していることから、ホテルの客室に配置される有線電話機をなくしたいとの要望がある。ホテルに限らず、広く宿泊施設において、客室に配置される有線電話機をなくすことができれば好ましい。そのために、宿泊客が所有している携帯端末装置を、従来客室に設置された電話機の代わりに用いて、宿泊施設の受付け(フロント等)に電話することが考えられる。しかし、携帯電話通信サービスは国毎に規制されており、使用される周波数帯域が必ずしも同じではなく、外国からの宿泊客の携帯端末装置をそのまま用いて、日本国内において携帯電話通信を行うことができない問題がある。
【0005】
日本国内において携帯電話通信を行うには、日本国内で使用されている周波数帯域での通信が可能な携帯端末装置であっても、日本国内で通話可能なSIMカード(Subscriber Identity Module Card)を装着すること、又は、ローミングサービスを受ける契約をすることが必要になる。そのようなことは、海外からの短期間の旅行客にとって、費用及び手間がかかる問題がある。なお、日本国内において携帯電話通信が可能な携帯端末装置であっても、日本国内で通話可能なSIMカードが装着されていない状態であれば、携帯電話通信には利用できない。特許文献1及び2に開示された通信方式によっては、上記の問題を解決できない。
【0006】
したがって、本発明は、日本国内において携帯電話通信を行うためのSIMカードが装着されていない携帯端末装置から、宿泊施設内の電話機に電話接続できる電話システム及び電話接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の第1の局面に係る電話システムは、宿泊施設内に配置され、インターネットとの通信を仲介する無線LANルータと、宿泊施設外に配置され、インターネットに接続された中継サーバと、中継サーバ及び宿泊施設内に配置されたIP電話機の間の通信を仲介するPBXと、宿泊施設内の客室毎に一意に対応する二次元コードとを含み、二次元コードは、中継サーバのインターネットアドレスを含み、無線LANルータは、二次元コードを読取った携帯端末装置からのインターネットアドレス宛のWebRTC通信の要求を、インターネットに送信し、中継サーバは、要求を受けて、携帯端末装置及びIP電話機の間の電話通信接続を確立し、WebRTC通信により携帯端末装置から送信される音声データを、SIP通信の音声データに変換してPBXに送信し、PBXを介して、SIP通信によりIP電話機から送信される音声データを、WebRTC通信による音声データに変換し、無線LANルータを介して携帯端末装置に送信する。これにより、日本国内で携帯電話通信を行うためのSIMカードを装着していない携帯端末装置により、宿泊施設内の施設(フロント、レストラン及びフィットネスクラブ等)に配置されたIP電話機に電話できる。
【0008】
(2)好ましくは、電話システムは、二次元コードを表示する映像表示装置をさらに含む。これにより、二次元コードの管理が容易になる。客室名称又は客室番号等の変更があった場合に、二次元コードの変更が容易になる。また、安全のために二次元コードを定期的に変更できる。
【0009】
(3)より好ましくは、二次元コードは、認証情報と、当該二次元コードに対応する客室を特定する客室特定情報とをさらに含み、認証情報及び客室特定情報は、要求として中継サーバに送信され、中継サーバは、認証情報及び客室特定情報を用いて、携帯端末装置とIP電話機との電話通信接続を確立するか否かを判定する。これにより、宿泊客の携帯端末装置と宿泊施設内の施設に配置されたIP電話機との電話をより安全に行うことができる。
【0010】
(4)さらに好ましくは、中継サーバは、携帯端末装置から受信した客室特定情報を、PBXを介してIP電話機に送信し、IP電話機は、受信した客室特定情報を表示する。これにより、例えば、IP電話機の表示部に客室番号及び客室名称等を表示でき、電話を掛けてきた宿泊客を確認する手間を省くことができる。
【0011】
(5)本発明の第2の局面に係る電話接続方法は、宿泊施設内に配置され、インターネットとの通信を仲介する無線LANルータと、宿泊施設外に配置され、インターネットに接続された中継サーバと、中継サーバ及び宿泊施設内に配置されたIP電話機の間の通信を仲介するPBXとを含む電話システムにおける電話接続方法であって、二次元コードは、中継サーバのインターネットアドレスを含み、二次元コードを読取った携帯端末装置からのインターネットアドレス宛のWebRTC通信の要求を、無線LANルータを介してインターネットに送信する第1ステップと、要求を受けて、中継サーバにより、携帯端末装置及びIP電話機の間の電話通信接続を確立する第2ステップと、電話通信接続が確立された状態において、中継サーバにより、WebRTC通信により携帯端末装置から送信される音声データを、SIP通信の音声データに変換してPBXに送信する第3ステップと、電話通信接続が確立された状態において、PBXを介してSIP通信によりIP電話機から送信される音声データを、WebRTC通信による音声データに変換して、無線LANルータを介して、携帯端末装置に送信する第4ステップとを含む。これにより、日本国内で携帯電話通信を行うためのSIMカードを装着していない携帯端末装置により、宿泊施設内の施設(フロント、レストラン及びフィットネスクラブ等)に配置されたIP電話機に電話できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、日本国内での携帯電話通信を行うためのSIMカードが装着されていない携帯端末装置から、宿泊施設内の電話機に電話接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る電話システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示した構成において、携帯端末装置からフロントの電話機に電話を掛ける場合に携帯端末装置が行う処理を示すフローチャートである。
図3図3は、携帯端末装置がQRコードを読取ることにより、携帯端末装置に表示される画面の一例を示す図である。
図4図4は、図3に示したボタンが操作されることにより、携帯端末装置に表示される画面の一例を示す図である。
図5図5は、図1に示した構成において、中継サーバが行う処理を示すフローチャートである。
図6図6は、変形例に係る電話システムの構成を示すブロック図である。
図7図7は、携帯端末装置に表示される、図4とは別の画面を示す図である。
図8図8は、携帯端末装置に表示される、図4及び図7とは別の画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
[システム構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る電話システム100は、映像表示装置102、無線LANルータ104、中継サーバ106及びIP-PBX108を含む。無線LANルータ104及びIP-PBX108は、ホテル等の宿泊施設200内に配置されている。映像表示装置102は、宿泊施設200の客室202に配置されている。宿泊施設200のフロント204には、1台以上の電話機が配置されている。一例として、IP電話機110、112及び114を示す。中継サーバ106は、宿泊施設200外に配置されている。図1において、宿泊施設200の宿泊客(客室202に宿泊中)が所有している携帯端末装置210を示している。携帯端末装置210は、液晶等の表示パネル及びタッチパネルから構成されたタッチパネルディスプレイ212を有するスマートフォンである。
【0016】
映像表示装置102は、例えばテレビ受像機であり、リモコン(図示せず)等の操作により、例えばVOD(Video On Demand)により映像を表示する機能を有する。映像表示装置102は、リモコン等の操作を受けて、例えば宿泊施設200の案内画面を表示し、後述する電話接続サービスを提供するためのQRコード画像120を表示する。
【0017】
無線LANルータ104は、Wi-Fi等の無線通信サービスを提供し、携帯端末装置210がインターネット206にアクセスすることを可能にする。IP-PBX108は、宿泊施設200内に配置された電話機に対して交換機としての役割を担う。IP-PBX108は、IP電話機110及び112に対しては、有線LANを介してVoIP(Voice over Internet Protocol)により音声通信サービスを提供する。IP-PBX108は、IP電話機114に対しては、無線LANを介してVoIPによる音声通信サービスを提供する。IP電話機110、112及び114は、VoIPに対応したIP電話機であり、電話番号に対応するIPアドレスが割り当てられる。なお、IP-PBX108には、フロント204以外に配置されたIP電話機が接続されていてもよい。
【0018】
無線LANルータ104及びIP-PBX108の各々は中継サーバ106に接続されている。図1においては、無線LANルータ104及びIP-PBX108の各々が中継サーバ106に直接接続されているように示しているが、実際には、無線LANルータ104及びIP-PBX108の各々はインターネット206を介して中継サーバ106に接続されている。
【0019】
中継サーバ106は、無線LANルータ104を介して携帯端末装置210と、WebRTC(Web Real-Time Communication)方式により通信できる(以下、WebRTC通信という)。中継サーバ106は、IP-PBX108とはSIP(Session Initiation Protocol)方式により通信を行う(以下、SIP通信という)。中継サーバ106は、通信プロトコルを変換するゲートウェイとしての機能を有し、WebRTC方式及びSIP方式を相互変換する。即ち、中継サーバ106は、無線LANルータ104を介して受信したWebRTC方式のデータ(音声データ)を、SIP方式のデータ(音声データ)に変換してIP-PBX108に送信する。また、中継サーバ106は、IP-PBX108から受信したSIP方式のデータ(音声データ)を、WebRTC方式のデータ(音声データ)に変換して、無線LANルータ104を介して携帯端末装置210に送信する。これにより、後述するように、携帯端末装置210と、フロント204に配置されたIP電話機110、112及びフロント204との電話通信が可能となる。
【0020】
中継サーバ106は、汎用的なサーバコンピュータ、又は、コンピュータと同様の構成を有する専用装置として実現され得る。汎用的なサーバコンピュータである場合には、中継サーバ106の機能は、CPU等がコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を実行することにより実現され得る。専用装置である場合には、中継サーバ106の機能は、ASIC等の半導体装置を含む電子回路により、又は、電子回路及びプログラムにより実現され得る。
【0021】
[携帯端末装置の動作]
図2を参照して、宿泊施設200の宿泊客が、携帯端末装置210を用いてフロント204に配置された電話機に電話するときに、携帯端末装置210が宿泊客の操作を受けて実行する動作に関して説明する。図2に示した処理は、宿泊客が携帯端末装置210を操作して、カメラ機能を用いてQRコードを読取り可能なアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションという)を起動することにより開始する。起動されるアプリケーションは、QRコードからURLを読取った場合に自動的にWebブラウザを起動できるアプリケーションであればよい。図2に示した各処理は、携帯端末装置210のCPUが、携帯端末装置210の内部メモリから所定のプログラムを読出して実行することにより実現される。
【0022】
ステップ300において、携帯端末装置210は、QRコードの読取りが完了したか否かを判定する。携帯端末装置210は、カメラ機能によりQRコード画像120を撮像し、得られた画像(図1のQRコード画像122)を解析して、QRコードのデータセル領域(白黒のドットパターン領域)が表すデータ(以下、QRコードの格納データともいう)を取得する。QRコードの読取りが完了すれば、制御はステップ302に移行し、そうでなければ、制御はステップ324に移行する。
【0023】
映像表示装置102に表示されたQRコード画像120の格納データには、中継サーバ106へのアクセス情報が含まれている。アクセス情報は、中継サーバ106のインターネットアドレス(以下、単にアドレスともいう)、宿泊施設200を特定する情報(以下、宿泊施設コードという)、宿泊施設200内の客室を特定する情報(以下、客室特定情報という)、及び認証情報(以下、認証コードという)を含む。客室特定情報は、客室番号又は客室名称等である。具体的には、QRコードを読取ることにより、携帯端末装置210は、https://<SERVER.DOMAIN>/<HOTEL_CODE>/<ROOM_CODE>/<AUTH_CODE>のURL(テキストデータ)を取得する。<SERVER.DOMAIN>、<HOTEL_CODE>、<ROOM_CODE>及び<AUTH_CODE>はそれぞれ、中継サーバ106のアドレス、宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードを表す。
【0024】
ステップ302において、携帯端末装置210はタッチパネルディスプレイ212に、ステップ300で取得した情報の一部と、許可確認メッセージとを含む操作領域(以下、ボタンともいう)を表示する。例えば、図3に示すように、携帯端末装置210のタッチパネルディスプレイ212に、QRコード画像122に加えて、QRコード画像120から読取られたテキストデータに対応する文字(XXX)を含むメッセージ画像124が表示されている。XXXは、中継サーバ106のアドレス又はその一部であり、メッセージ画像124は、XXXへのアクセス許可を確認するメッセージを示している。
【0025】
ステップ304において、携帯端末装置210は、QRコードから取得したアドレスにアクセスする許可を受けたか否かを判定する。具体的には、アクセスの許可は、ステップ302により携帯端末装置210に表示されたメッセージ画像124が操作(タッチ)されたことにより成される。許可されたと判定された場合、制御はステップ306に移行する。そうでなければ、ステップ304が繰返される。
【0026】
ステップ306において、携帯端末装置210は、Webブラウザを起動し、ステップ300で取得したURLを用いて中継サーバ106に通話要求を送信する。具体的には、携帯端末装置210は、Webブラウザにより、中継サーバ106のアドレスに、宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードを送信する。後述するように、中継サーバ106は、携帯端末装置210から受信した宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードを、中継サーバ106内部の記憶装置(半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)等)に記憶し、認証コードを用いて認証を行い、認証結果を携帯端末装置210に送信する。Webブラウザは、例えば、アップル インコーポレイテッド製のSafari(登録商標)、グーグル エルエルシー製のChrome(登録商標)、又は、モジラ ファウンデーション製のFirefox(登録商標)等である。
【0027】
ステップ308において、携帯端末装置210は、中継サーバ106による認証をパスしたか否かを判定する。後述するように、ステップ306により中継サーバ106に送信された認証コードが、中継サーバ106による認証をパスした場合、中継サーバ106から所定のHTMLデータが送信され、認証に失敗した場合、中継サーバ106からエラー情報(例えば、エラーメッセージを含むHTMLデータ)が送信される。したがって、携帯端末装置210は、所定のHTMLデータを受信した場合、認証をパスしたと判定し、制御はステップ310に移行する。そうでなければ(エラー情報を受信した場合)、制御はステップ322に移行する。ステップ300において、携帯端末装置210が正しくQRコードを読取ることができていれば、中継サーバ106による認証はパスできる。
【0028】
ステップ310において、携帯端末装置210は、起動しているWebブラウザにより、ステップ308により中継サーバ106から受信した所定のHTMLデータにしたがって生成した画面をタッチパネルディスプレイ212に表示する。携帯端末装置210のタッチパネルディスプレイ212には、例えば、図4に示すように、通話の開始指示ボタンとしてメッセージ画像126が表示される。
【0029】
ステップ312において、携帯端末装置210は、通話指示を受けたか否かを判定する。具体的には、携帯端末装置210は、開始指示ボタン(メッセージ画像126)が操作(タッチ)されたか否かを判定する。通話指示を受けたと判定された場合、制御はステップ314に移行する。そうでなければ、ステップ312が繰返される。
【0030】
ステップ314において、携帯端末装置210は、Webブラウザにより、中継サーバ106に開始指示を送信する。即ち、携帯端末装置210は、上記したように中継サーバ106にWebRTC通信を指示する。これを受けて、後述するように中継サーバ106は、携帯端末装置210とIP電話機110、112及び114のいずれかとの、1対1の電話通信接続を確立する。
【0031】
ステップ316において、携帯端末装置210は、宿泊客の音声データを、無線LANルータ104を介してWebRTC通信により中継サーバ106に送信し、中継サーバ106から受信した音声データ(フロントの電話機からの音声データ)をスピーカにより再生する。ステップ308により中継サーバ106から受信した所定のHTMLデータには、WebRTC通信で中継サーバ106と音声データを送受信するように指示する情報(コーディングデータ)が含まれている。したがって、通話の音声データは、Webブラウザにより、WebRTC通信のパケットデータとして中継サーバ106に送信される。Webブラウザは、携帯端末装置210の集音機能を制御し、マイクロフォンから取得した音声データから、WebRTC通信のパケットデータを生成して、無線LANルータ104を介して中継サーバ106に送信する。Webブラウザは、音再生機能を制御し、無線LANルータ104を介して中継サーバ106から取得した音声データ(WebRTC通信のパケットデータ)を、スピーカにより再生する。これにより、宿泊施設200の宿泊客は、携帯端末装置210とフロント204の電話機とを介して、宿泊施設の従業員と通話できる。なお、通話中においては、携帯端末装置210のタッチパネルディスプレイ212に、通話を終了するためのボタン(通話終了ボタン)が表示される。通話終了ボタンを表示するためのHTMLデータは、ステップ314により、中継サーバ106に通話開始を指示したことを受けて、中継サーバ106が携帯端末装置210に送信する。
【0032】
ステップ318において、携帯端末装置210は、通話終了の指示を受けたか否かを判定する。通話終了の指示は、上記した通話終了ボタンが操作されることにより成される。通話終了の指示を受けたと判定された場合、ステップ320に移行する。そうでなければ、制御はステップ316に戻り、通話状態が維持される。
【0033】
ステップ318において、携帯端末装置210は、Webブラウザにより、通話の終了指示を中継サーバ106に送信し、本プログラムを終了する。
【0034】
ステップ308の判定結果がNOであった場合(認証をパスせず、携帯端末装置210がエラー情報を受信した場合)、ステップ322において、携帯端末装置210は、受信したエラー情報に基づくメッセージを表示する。その後、制御はステップ324に移行する。
【0035】
ステップ324において、携帯端末装置210は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、宿泊客が本プログラムを終了する操作を行うことにより成される。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、QRコードの読取りが再び実行される。
【0036】
[中継サーバの動作]
図5を参照して、宿泊施設200の宿泊客が、携帯端末装置210を用いてフロント204に配置された電話機に電話するときに、中継サーバ106が実行する動作に関して説明する。図5に示した処理は、管理者による中継サーバ106に対する操作を受けて開始する。中継サーバ106が実行する処理は、例えば、中継サーバ106のCPUが、中継サーバ106内部の記憶装置から所定のプログラムを読出して実行することにより実現される。なお、中継サーバ106の記憶装置には、フロント204に配置された電話機の電話番号(IPアドレス)が予め記憶されているとする。
【0037】
ステップ400において、中継サーバ106は、通話要求を受信したか否かを判定する。通話要求は、図2に示したステップ306により、携帯端末装置210が宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードを送信することにより成される。中継サーバ106は、宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードを受信した場合、通話要求を受信したと判定し、制御はステップ402に移行する。そうでなければ、制御はステップ414に移行する。
【0038】
ステップ402において、中継サーバ106は、ステップ400により受信した宿泊施設コード、客室特定情報、認証コード、及び、それらの送信元アドレス(携帯端末装置210のIPアドレス及びポート番号)を中継サーバ106内部の記憶装置に記憶する。さらに、中継サーバ106は、認証コードを用いて認証処理(認証コードの有効性の判定)を行い、認証結果を携帯端末装置210に送信する。なお、認証処理において、宿泊施設コード及び客室特定情報の有効性を判定してもよい。
【0039】
ステップ404において、中継サーバ106は、認証をパスしたか否かを判定する。認証をパスしたと判定された場合、制御はステップ406に移行する。そうでなければ、制御はステップ416に移行する。
【0040】
ステップ406において、中継サーバ106は、上記した所定のHTMLデータを携帯端末装置210に送信する。中継サーバ106は、送信先である携帯端末装置210のアドレスとして、ステップ402により中継サーバ106内部の記憶装置に記憶されたものを用いる。
【0041】
ステップ408において、中継サーバ106は、通話の開始指示を受信したか否かを判定する。開始指示は、ステップ314において携帯端末装置210から送信される。開始指示を受信したと判定された場合、制御はステップ410に移行する。そうでなければ、ステップ408が繰返される。
【0042】
ステップ410において、中継サーバ106は、記憶装置からフロント204に配置された電話機の電話番号(IPアドレス)を読出し、読出した電話番号との接続をIP-PBX108に要求する(シグナリング処理)。これにより、IP電話機110、112及び114のいずれかと接続して、携帯端末装置210とフロント204の電話機との電話通信接続が確立される。電話通信接続は、例えば、P2P(Peer to Peer)接続である。電話通信接続が確立すると、中継サーバ106は、携帯端末装置210及びIP-PBX108との間で、音声データを中継する。
【0043】
具体的には、中継サーバ106は、携帯端末装置210から無線LANルータ104を介して受信したWebRTC通信のパケットデータ(音声データ)を、SIP通信のパケットデータに変換してIP-PBX108に送信し、IP-PBX108から受信したSIP通信のパケットデータ(音声データ)を、WebRTC通信のパケットデータに変換して携帯端末装置210に送信する。これにより、上記したように、宿泊施設200の宿泊客は、携帯端末装置210とフロント204の電話機とを介して、宿泊施設の従業員と通話できる。なお、携帯端末装置210とIP-PBX108(フロントの電話機)とのP2P接続を確立するときに、中継サーバ106が携帯端末装置210から受信した客室特定情報をIP-PBX108に送信すれば、電話機は、その表示部に客室特定情報(客室番号、客室名称等)を表示できる。
【0044】
ステップ412において、中継サーバ106は、通話の終了指示を受信したか否かを判定する。通話の終了指示は、図2のステップ318において携帯端末装置210から送信される。通話の終了指示を受信したと判定された場合、制御はステップ414に移行する。そうでなければ、制御はステップ410に戻り、音声データの中継状態が維持される。
【0045】
ステップ414において、中継サーバ106は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、管理者が本プログラムを終了する操作を行うことにより成される。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻り、別の通話要求を待受ける。
【0046】
ステップ404の判定結果がNOであった場合(認証をパスしなかった場合)、ステップ416において、中継サーバ106は、エラー情報(例えば、エラーメッセージを含むHTMLデータ)を携帯端末装置210に送信する。その後、制御はステップ414に移行する。
【0047】
以上により、宿泊客は、携帯端末装置210に新たなアプリケーションをインストールすることなく、携帯端末装置210にインストール済みのWebブラウザにより、フロント204に配置された電話機を介して従業員と通話できる。外国での使用を目的とした携帯端末装置であっても、Wi-Fi通信機能を有していれば、宿泊施設内のフロントに設置された電話機と通話が可能になる。したがって、海外からの旅行客の利便性を向上できる。また、従来のように客室毎に有線電話を設ける必要がなくなる。
【0048】
上記したように、フロントに配置されたIP電話機110、112及び114に客室名称、客室番号等を表示する(ステップ410参照)。これにより、フロントの従業員は、電話を掛けてきた宿泊客を容易に特定でき、確認する手間を省いて速やかに通話を行い、宿泊客に適切なサービスを提供できる。
【0049】
フロントと通話するためのQRコードは、紙等に印刷されていてもよい。宿泊客が携帯端末装置210を用いて、印刷されたQRコードを読取ることにより、上記したように、携帯端末装置210から、フロント204に配置された電話機に電話を掛けることができる。なお、QRコードを紙等に印刷する場合、その印刷物が紛失される可能性があるが、映像表示装置102にQRコードを表示する場合には、そのようなことを回避できるのでより好ましい。
【0050】
(変形例)
上記では、宿泊施設200内にIP-PBX108を設ける場合を説明したが、これに限定されない。PBXは、宿泊施設200外に配置されてもよい。図6を参照して、変形例に係る電話システム140は、図1に示した電話システム100において、IP-PBX108に代えてクラウドPBX142を含む。
【0051】
クラウドPBX142は、宿泊施設200外に設けられている点がIP-PBX108と異なるが、IP-PBX108と同様の機能を有する。即ち、クラウドPBX142は、宿泊施設200内のフロント204に配置された電話機に対して交換機として働き、宿泊施設200内のフロント204に配置された電話機と、LAN(有線又は無線LAN)を介してVoIPにより通信する。クラウドPBX142はIP-PBX108と同様に、中継サーバ106とSIP通信により音声データを通信する。電話システム140において、これら以外の構成は、電話システム100(図1)と同じであるので、重複説明を繰返さない。
【0052】
電話システム140においても、携帯端末装置210が図2に示した処理を実行し、中継サーバ106が図4に示した処理を実行する。これにより、宿泊客は、携帯端末装置210に新たなアプリケーションをインストールすることなく、携帯端末装置210にインストール済みのWebブラウザを起動し、フロント204に配置された電話機を介して従業員と通話できる。
【0053】
上記では、中継サーバ106が認証処理を行う場合を説明したが、これに限定されない。中継サーバ106とは別のサーバ(認証サーバ)により、認証処理が実行されてもよい。その場合、中継サーバ106は、認証サーバに認証コードを転送し、認証結果を認証サーバから取得すればよい。また、認証処理は任意であり、認証処理を行わなくてもよい。
【0054】
上記では、QRコードに宿泊施設コードを格納しておき、携帯端末装置210から宿泊施設コードを中継サーバ106に送信する場合を説明したが、これに限定されない。中継サーバ106が1つの宿泊施設を電話接続サービスの対象とする場合には、携帯端末装置210から宿泊施設コードを送信しなくてもよい。一方、上記したようにQRコードに宿泊施設コードを格納しておき、携帯端末装置210から宿泊施設コードを中継サーバ106に送信する場合には、中継サーバ106は、受信した宿泊施設コードを用いて、サービス対象とする宿泊施設のIP-BOX及び電話機を特定できる。したがって、中継サーバ106は、複数の宿泊施設を対象として、上記のように電話接続サービスを提供できる。
【0055】
上記では、宿泊施設200の宿泊客がフロント204に電話する場合を説明したが、これに限定されない。宿泊施設内に配置されたIP-PBX108に接続された電話機であれば、携帯端末装置210から電話することができる。例えば、ルームサービスを受付ける電話機、宿泊施設内のレストランに配置された電話機、宿泊施設内のフィットネス施設に配置された電話機に、携帯端末装置210から電話してもよい。その場合、例えば、それぞれに対応するQRコードを映像表示装置102に表示すればよい。宿泊客は、携帯端末装置210を用いて所望のQRコードを読込むことにより、上記と同様にして、目的の電話機に電話を掛けることができる。QRコードには、中継サーバ106のアドレス、宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードに加えて、電話先を特定する情報(IPアドレス等)を格納しておけばよい。
【0056】
例えば、ルームサービスを受付ける電話機に電話するためのQRコードには、電話先を特定する情報として、ルームサービスを受付ける電話機を特定する情報を格納しておく。携帯端末装置210のWebブラウザが、図2のステップ306において、宿泊施設コード、客室特定情報及び認証コードに加えて、電話先を特定する情報を中継サーバ106に送信すれば、中継サーバ106は、図5のステップ406において、電話先を特定する情報に対応するHTMLデータを送信できる。例えば、電話先を特定する情報により、宿泊施設内のレストランに設置された電話機が特定される場合、図7に示すようなメッセージ画像150を含む画面を携帯端末装置210に表示するためのHTMLデータが送信される。中継サーバ106は、電話先を特定する情報により、携帯端末装置210とP2P接続を確立すべき電話機を特定できる。
【0057】
1つのQRコードで対応することもできる。その場合には、携帯端末装置210のWebブラウザが、図2のステップ306において通話要求を送信したことを受けて、中継サーバ106が、図5のステップ406において、図8に示すようなメッセージ画像152~158を含む画面を携帯端末装置210に表示するためのHTMLデータを送信すればよい。ボタンを表すメッセージ画像152~158のいずれかが操作された場合、携帯端末装置210は、図2のステップ314において、通話の開始指示を中継サーバ106に指示するときに、電話先を特定する情報を中継サーバ106に送信すればよい。これにより、中継サーバ106は携帯端末装置210とP2P接続を確立すべき電話機を特定できる。
【0058】
上記では、QRコードを用いる場合を説明したが、これに限定されない。一次元コードよりも多くの情報を格納できる二次元コードであればよい。
【0059】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0060】
100、140 電話システム
102 映像表示装置
104 無線LANルータ
106 中継サーバ
108 IP-PBX
110、112、114 IP電話機
120、122 QRコード画像
124、126、150、152、154、156、158 メッセージ画像
142 クラウドPBX
200 宿泊施設
202 客室
204 フロント
206 インターネット
210 携帯端末装置
212 タッチパネルディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8