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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183644
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20221206BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20221206BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 C
H05K1/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091079
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100144510
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 真由
(72)【発明者】
【氏名】西村 充
(72)【発明者】
【氏名】高木 桂二
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 康行
(72)【発明者】
【氏名】井川 幸一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 翔太
【テーマコード(参考)】
4E351
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA03
4E351AA07
4E351AA09
4E351AA11
4E351BB32
4E351BB33
4E351BB36
4E351BB38
4E351CC03
4E351CC07
4E351DD05
4E351DD06
4E351DD11
4E351DD19
4E351DD20
4E351DD21
4E351DD23
4E351GG20
(57)【要約】
【課題】接合信頼性が高い配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板は、絶縁基板と、絶縁基板上に配置され、複数の導体層が積層された導体層積層部と、を備え、導体層積層部は、導体層積層部の最表層に配置される第1導体層と、第1導体層と絶縁基板との間に配置され、硬度が第1導体層以下である第2導体層と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に配置され、複数の導体層が積層された導体層積層部と、
を備え、
前記導体層積層部は、
前記導体層積層部の最表層に配置される第1導体層と、
前記第1導体層と前記絶縁基板との間に配置され、硬度が前記第1導体層以下である第2導体層と、
を有することを特徴とする、
配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記第2導体層は、
前記第1導体層より層の厚みが厚いことを特徴とする、
配線基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の配線基板であって、
前記第1導体層は、
金(Au)を主成分とすることを特徴とする、
配線基板。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線基板であって、
前記第2導体層は、
銀(Ag)を主成分とすることを特徴とする、
配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁基板の上に、形成材料が異なる複数の導電層が積層された配線基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、セラミックス基板の表面にチタン(Ti)層が形成され、その上に銅(Cu)層、金(Au)層の順に積層された配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-109858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の配線基板において、中間層として用いられている銅は、金と比較すると硬い(硬度が高い)。そのため、例えば、金バンプにより、電子部品を金層上に接合する場合に、中間層の銅層の影響により最表層の金層が変形しにくくなるため、金-金接合界面にボイド(空孔)が発生して、接合信頼性が低下する恐れがある。なお、この課題は、金-金接合に限定されず、すず、銅、ニッケル、それらの合金等の金属バンプを用いて電子部品を導体層上に接合する場合等、種々の金属間の接合に共通する課題である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、接合信頼性が高い配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、配線基板が提供される。この配線基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に配置され、複数の導体層が積層された導体層積層部と、を備え、前記導体層積層部は、前記導体層積層部の最表層に配置される第1導体層と、前記第1導体層と前記絶縁基板との間に配置され、硬度が前記第1導体層以下である第2導体層と、を有する。
【0008】
この構成によれば、最表層に配置される第1導体層以下の硬度の第2導体層が、第1導体層と絶縁基板との間に配置されるため、第1導体層と絶縁基板との間に第1導体層より硬度が高い導体層が配置される場合と比較して、導体層積層部が変形しやすくなる。そのため、第1導体層上に金属バンプ等を用いて電子部品を接合する場合に、導体層積層部が変形することによりボイドを低減することができ、接合信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、この構成によれば、接合信頼性が高い配線基板を提供することができる。
【0009】
(2)上記形態の配線基板であって、前記第2導体層は、前記第1導体層より層の厚みが厚くてもよい。このようにすると、第2導体層の硬度が第1導体層の硬度以下であり、第2導体層の厚みが第1導体層より厚いため、第2導体層の厚みが第1導体層の厚み以下の場合と比較して、導体層積層部の柔軟性の低下を抑制することができ、接合信頼性の低下を抑制することができる。
【0010】
(3)上記形態の配線基板であって、前記第1導体層は、金(Au)を主成分としてもよい。このようにすると、金を主成分とするバンプを用いて電子部品を導体積層部の第1導体層上に接合する場合に、金-金接合界面のボイドの発生を抑制し、接合信頼性の低下を抑制することができる。また、金は低抵抗であるため、配線基板と電子部品との接合箇所の低抵抗化を図ることができる。
【0011】
(4)上記形態の配線基板であって、前記第2導体層は、銀(Ag)を主成分としてもよい。銀は高い柔軟性を有するため、導体層積層部の柔軟性の低下を抑制することができ、接合信頼性の低下を抑制することができる。また、銀は低抵抗であるため、配線基板と電子部品との接合箇所の低抵抗化を図ることができる。また、金を主成分とする第1導体層と、銀を主成分とする第2導体層とが積層された導体層とすることにより、例えば、導体層を、金を主成分とする層のみで構成する場合と比較して、柔軟性および抵抗を同等に維持しつつ、コスト低減を図ることができる。
【0012】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、配線基板を含む製品、配線基板を含む製品の製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の配線基板の断面構成を概略的示す説明図である。
図2】導体層の硬度の測定方法の説明図である。
図3】配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
図4】第1実施形態の配線基板の断面構成を概略的示す説明図である。
図5】配線基板の製造方法の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の配線基板10の断面構成を概略的示す説明図である。配線基板10は、絶縁基板2と、導体層積層部4と、を備える。
【0015】
絶縁基板2は、絶縁性の平板である。本実施形態では、窒化アルミニウム(AlN)セラミックス基板を用いている。窒化アルミニウムは、高放熱性、高強度であるため、パワー半導体モジュール等発熱量が大きい部品に好適に用いることができる。絶縁基板2を形成する材料は、本実施形態に限定されず、例えば、アルミナ(Al23)、アルミナジルコニア(Al23/ZrO2)、窒化珪素(Si34)、炭化珪素(SiC)等のセラミックスを用いてもよいし、ガラス、ガラスエポキシ、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂などの樹脂、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスコンポジット、低温同時焼成セラミックス(LTCC)、これらの絶縁部材を表面に形成した金属部材等によって形成してもよい。
【0016】
導体層積層部4は、金属を主成分とし、導電性を有する層であり、配線層(電極を含む)を構成する。導体層積層部4は、導体層積層部4の最表層に配置される第1導体層41と、第1導体層41と絶縁基板2との間に配置され、硬度が第1導体層以下である第2導体層42と、第1導体層41と絶縁基板2との間に配置され、硬度が第1導体層41より高い第3導体層43と、を有する。導体層積層部4は、金属以外に樹脂等を含んでもよい。
【0017】
本実施形態の配線基板10は、第3導体層43として、第1層431と、第2層432と、第3層433と、を備える。配線基板10において、各導体層は、絶縁基板2上に、第1層431、第2導体層42、第2層432、第3層433、第1導体層41の順に積層されている。
【0018】
本実施形態では、第1導体層41は金(Au)を主成分とする。第1導体層41は主成分が金であるため、柔軟性があり、表面は滑らかである。第1導体層41は、金、金合金(例えば、Au-Sn(金錫)合金、Au-Co(金コバルト)合金等)を用いて形成することができる。
【0019】
本実施形態では、第2導体層42は銀(Ag)を主成分とする。第2導体層42の硬度は第1導体層41以下であり、第2導体層42は第1導体層41と同等の柔軟性がある。また第2導体層42は銀を主成分とするため、第1導体層41より低抵抗である。第2導体層42は、銀、銀合金(例えば、Ag-Ge-Pd合金、Ag-Ge-Sc合金等)を用いて形成することができる。
【0020】
本実施形態では、第1層431および第2層432は、チタン(Ti)を主成分とする。第1層431および第2層432は、チタン、窒化チタン(TiN)、チタン合金(例えば、Ti-Zr(チタンジルコニウム)合金、Ti-Hf(チタンハフニウム)合金等)を用いて形成することができる。第3層433は白金(Pt)を主成分とする。第3層433は、白金、白金合金(例えば、Pt-Hf(白金ハフニウム)合金等)を用いて形成することができる。
【0021】
第1層431、第2層432、および第3層433は、それぞれ、硬度が第1導体層41より高く、柔軟性が低い。また、第1層431、第2層432、および第3層433は、それぞれ、第2導体層42より層の厚みが薄い。
【0022】
第1層431は、チタン(Ti)主成分とし、絶縁基板2と導体積層部4との接合強度を確保するために配置される。第2層432はチタン(Ti)を主成分とし、チタンは高融点であるため、第2層432は、いわゆるバリアメタル層として機能する。第3層433は白金(Pt)を主成分とする。銀(Ag)を主成分とする第2導体層42と密着性がよい第2層432、金(Au)を主成分とする第1導体層41および第2層432と密着性がよい第3層433を介することにより、第1導体層41は第2導体層42と良好に接合されている。
【0023】
導体層積層部4を構成する各層の主成分は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)により、導体層積層部4の断面を分析することにより特定することができる。EPMにおいて、特性X線の分光器としてエネルギー分散形X線分光器(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の配線基板10によれば、導体層積層部4において最表面に配置されている第1導体層41の硬度以下の硬度の第2導体層42が、第1導体層41と絶縁基板2との間に配置されるため、第1導体層41と絶縁基板2との間に第1導体層41より硬度が高い導体層のみが配置される場合と比較して、導体層積層部4の柔軟性を向上させることができ、導体層積層部4が変形しやすくなる。そのため、第1導体層41上に金バンプを用いて電子部品を接合する場合に、導体層積層部4が変形することにより、金バンプと導体層積層部4との接合界面のボイドを低減することができ、接合信頼性の低下を抑制することができる。すなわち、本実施形態の配線基板10は、高い接合信頼性を提供することができる。
【0025】
また、導体層積層部4は、第1導体層41より硬度が高い第3導体層43を含むものの、その層厚さは、第2導体層42より薄い。そのため、第2導体層42の層厚さが第3導体層43の層厚さ以下の場合と比較して、より導体層積層部4の柔軟性を向上させることができる。
【0026】
配線基板において、例えば、金を主成分とする導体層(配線層)を形成する場合、低抵抗化のために層厚さを厚くすることが考えられる。しかしながら、金は高価であるため、配線基板のコストが高くなる。これに対し、本実施形態の配線基板10によれば、導体層として導体層積層部4を用いており、最表層は金を主成分とする第1導体層41であるものの、その他の複数の層は、金と比較すると安価な材料を主成分とするため、コスト低減を図ることができる。また、上述の通り、配線基板10の導体層積層部4において、最表層は金を主成分とする第1導体層41であるため導体層積層部4の表面が柔らかく、滑らかであり、かつ第2導体層42を有するためるため導体層積層部4は変形しやすいため、金属バンプ等の接合部材との接合性を良好にすることができる。すなわち、本実施形態の配線基板10によれば、金を主成分とする導体層を備える配線基板と比較して、同等の接合信頼性を維持しつつ、コスト低減を図ることができる。
【0027】
本実施形態の配線基板10は、絶縁基板2として窒化アルミニウム(AlN)セラミックス基板を用いており、高放熱性、高強度である。さらに、導体層積層部4は、上述の通り、低抵抗であり、接合信頼性が高い。そのため、配線基板10は、発光素子搭載用配線基板、パワー半導体素子搭載用配線基板として、好適に用いることができる。
【0028】
・硬度の測定方法:
図2は、導体層の硬度の測定方法の説明図である。導体層の硬度は、ナノインデンテーション法によって測定し、膜厚の1/10の押し込み深さにおける圧入荷重で評価する。ナノインデンテーション法を用いることにより、薄膜の硬度を測定することができる。また、膜厚の1/10の押し込み深さで評価することにより、下地の影響を小さくすることができる。図2(A)では第1導体層41の硬度の測定を示し、図2(B)では第2導体層42の硬度の測定を示す。測定step1(図2(A))では第1導体層41の硬度を測定する。その後、第1導体層41、第3層433、第2層432を剥離し、測定step2(図2(B))では第2導体層42の硬度を測定する。同様に、第1層431、第2層432、および第3層433の硬度も測定することができる。これにより、第1導体層41、第2導体層42、および第3導体層43の硬度の大小関係を知ることができる。
【0029】
・配線基板10の製造方法:
図3は、配線基板10の製造方法の一例を示す工程図である。図3において、配線基板10の断面(図1に示す断面に相当する)を、概略的に図示している。
【0030】
工程P102において、絶縁基板2が準備され、例えば、1000℃以上で空焼きされる。
【0031】
工程P104において、スパッタリングにより、チタン(Ti)を主成分とする第1薄膜11pが絶縁基板2上に形成される。
【0032】
工程P106において、第1薄膜11p上に、フォトリソグラフィ、印刷等の公知の方法により、レジストRが形成される。その後、スパッタリングにより、チタン(Ti)を主成分とする第2薄膜12、第2導体層42、第2層432、第3層433、および第1導体層41が、その順に第1薄膜11p上に形成される。
【0033】
工程P108において、レジストRが除去された後、第1薄膜11pの一部がエッチングにより除去され、第1薄膜11が形成される。図示するように、第1薄膜11と第2薄膜12とにより第1層431が構成される。以上の工程により、本実施形態の配線基板10が製造される。
【0034】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の配線基板10Aの断面構成を概略的に示す説明図である。本実施形態の配線基板10Aは、第1実施形態の配線基板10の導体層積層部4に替えて導体層積層部4Aを備える。以下の説明において、第1実施形態の配線基板10と同一の構成には同一の符号を付し、先行する説明を参照する。
【0035】
導体層積層部4Aは、第1導体層41と、第2導体層42と、第3導体層43を備える点は、第1実施形態と同様であるものの、第3導体層43の主成分と、第1導体層41および第3導体層43の形状が、第1実施形態の導体層積層部4と異なる。
【0036】
導体層積層部4Aは、第3導体層43として、第1層431と、第4層434と、第5層435と、を備える。配線基板10において、各導体層は、絶縁基板2上に、第1層431、第2導体層42、第4層434、第5層435、第1導体層41の順に積層されている。
【0037】
第4層434は、ニッケル(Ni)を主成分とする。第4層434は、ニッケル、ニッケル合金(例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)合金等)を用いて形成することができる。第5層435はパラジウム(Pd)を主成分とする。第5層435は、パラジウム、パラジウム合金を用いて形成することができる。
【0038】
第1層431、第4層434、および第5層435は、それぞれ、硬度が第1導体層41より高く、柔軟性が低い。また、第1層431、第4層434、および第5層435は、それぞれ、第2導体層42より層の厚みが薄い。
【0039】
第4層434はニッケル(Ni)主成分とし、耐腐食性が高いため、銀(Ag)を主成分とする第2導体層42の表面を被覆することにより、第2導体層42の腐食を抑制することができる。第5層435はパラジウム(Pd)を主成分とし、ニッケルを主成分とする第4層434および金を主成分とする第1導体層41と密着性がよいため、第1導体層41は第4層434と良好に接合されている。さらに、耐腐食性が高い金を主成分とする第1導体層41によって、導体層積層部4Aの表面(上面および側面)が構成されているため、導体層積層部4Aの耐腐食性を向上させることができる。
【0040】
本実施形態の配線基板10Aによれば、第1実施形態の配線基板10と同様に、接合信頼性の高い配線基板を提供することができる。さらに、導体層の耐腐食性が高い配線基板を提供することができる。
【0041】
図5は、配線基板10Aの製造方法の一例を示す工程図である。図5において、配線基板10Aの断面(図4に示す断面に相当する)を、概略的に図示している。
【0042】
工程P202において、絶縁基板2が準備され、例えば、1000℃以上で空焼きされる。
【0043】
工程P204において、スパッタリングにより、チタン(Ti)を主成分とする第3薄膜431pと、銀(Ag)を主成分とする第4薄膜42pが絶縁基板2上に形成される。
【0044】
工程P206において、第4薄膜42p上に、フォトリソグラフィ、印刷等の公知の方法により、レジストRが形成される。
【0045】
工程P208において、エッチングにより第3薄膜431pと第4薄膜42pの一部が除去されて第1層431と第2導体層42が形成される。その後、レジストRが除去される。
【0046】
工程P210において、無電解めっきにより第4層434、第5層435、および第1導体層41が形成される。以上の工程により、本実施形態の配線基板10Aが製造される。
【0047】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0048】
・上記実施形態において、導体層積層部が第1導体層、第2導体層、および第3導体層を備える例を示したが、第3導体層を備えない構成にしてもよい。このようにしても、柔軟性が高い導体層を提供することができる。
【0049】
・上記実施形態において、第2導体層の厚みが第3導体層の厚みより厚い例を示したが、第2導体層の厚みが第3導体層の厚み以下でもよい。このようにしても、第1導体層と絶縁基板との間に第2導体層を配置することにより、第2導体層を備えない場合と比較して、導体積層部の柔軟性を向上させることができ、接合信頼性を向上させることができる。
【0050】
・第1導体層41、第2導体層、および第3導体層の主成分は、上記実施形態に限定されない。例えば、第1導体層41および第2導体層42は、錫、インジウム等の柔軟性が高い金属を主成分としてもよい。このようにしても、柔軟性が高い導体層積層部を形成することができる。
【0051】
・上記実施形態において、第2導体層として1つの層を有し、第3導体層として3つの層を有する例を示したが、導体積層部を構成する層の数は、上記実施形態に限定されない。例えば、第2導体層として2つ以上の層を有してもよいし、第3導体層として2つ以下の層を有してもよい。
【0052】
・第2導体層と第3導体層の配置は、上記実施形態に限定されない。例えば、第3導体層が第1導体層と第2導体層との間にのみ配置されてもよいし、第3導体層が第2導体層と絶縁基板との間にのみ配置されてもよい。
【0053】
・配線基板の製造方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、第2実施形態の配線基板の製造方法のステップP204において、スパッタリングによってチタンを主成分とする層と銀を主成分とする層とを形成した後に、さらに無電解めっきにより銀を主成分とする層を形成してもよい。このようにすると、成膜に要する時間を短縮することができる。
【0054】
・上記実施形態の配線基板を用いて、例えば、LED素子が実装された照明装置を形態としてもよい。また、例えば、電力の供給、制御を行うパワー半導体や、マイコン(CPU:中央演算装置)やメモリなどのLSI(Large-Scale Integration:大規模集積回路)等が実装された装置の形態としてもよい。
【0055】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0056】
2…絶縁基板
4、4A…導体層積層部
10、10A…配線基板
11、11p…第1薄膜
12…第2薄膜
41…第1導体層
42…第2導体層
42p…第4薄膜
43…第3導体層
431…第1層
431p…第3薄膜
432…第2層
433…第3層
434…第4層
435…第5層
R…レジスト
図1
図2
図3
図4
図5