(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183653
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】折畳み容器
(51)【国際特許分類】
B65D 6/18 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B65D6/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091089
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】山内 寿敏
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA02
3E061AB09
3E061CA02
3E061DA08
(57)【要約】
【課題】閉鎖カバーの脱落を抑止することができる折畳み容器を提供する。
【解決手段】折畳み容器1は、底壁部3の各側辺部から上方に突出する土台部4、5を具備する底壁構成部2と、土台部4、5に連結された側壁部6、7とを備える。土台部4、5は、上方及び底壁構成部2の内方側に開口し、側壁部6、7のヒンジ部13、23を回動可能に支持する軸受部8、9を備える。ヒンジ部13、23には、軸受部8、9の内周開口部30を塞ぐ閉鎖カバー42、51が取付けられる。内周開口部30の下縁部から上方に突出する隙間閉塞用突条部61が設けられ、閉鎖カバー42、51には、側壁部6、7が起立姿勢にある場合に、隙間閉塞用突条部61の少なくとも一部を収容可能な凹部62が設けられる。折畳み容器1の組立状態では、閉鎖カバー42、51のうち凹部62に対応する残存部63と、隙間閉塞用突条部61とが底壁部3の内外方向において近接する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状をなす底壁部、及び、前記底壁部の各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を具備する底壁構成部と、
前記底壁構成部の前記各土台部に対して、前記各土台部の上方に立設される起立姿勢と、前記底壁部の上方に寝かされる寝かせ姿勢との間を回動変位可能に連結された側壁部とを備える折畳み容器において、
前記各側壁部は、前記側壁部の下辺部から下方に突出するヒンジ本体と、前記側壁部の横幅方向における前記ヒンジ本体の側面の下部から側方に突出する軸部とを具備するヒンジ部を備え、
前記各土台部は、上方、及び、前記底壁構成部の内方側に開口し、前記ヒンジ本体を挿入可能な挿入部と、前記軸部を挿入可能に構成され、前記軸部の前記底壁構成部の内方側への変位を規制するとともに、前記軸部の回動変位を許容する軸支部とを具備する軸受部を備え、
前記ヒンジ部には、前記折畳み容器を全ての前記側壁部が前記起立姿勢とされた組立状態とした場合に、対応する前記軸受部のうち前記底壁構成部の内方側の開口部である内周開口部の周縁部と、前記ヒンジ本体との間の隙間を塞ぐ閉鎖カバーが取付けられ、
前記内周開口部の下縁部から上方に突出する隙間閉塞用突条部が設けられ、
前記閉鎖カバーには、前記側壁部が前記起立姿勢にある場合に、前記隙間閉塞用突条部の少なくとも一部を収容可能な凹部が設けられ、
前記折畳み容器の前記組立状態では、前記閉鎖カバーのうち前記凹部に対応する部位の前記底壁構成部の内方側を向く面と、前記隙間閉塞用突条部とが前記底壁部の内外方向において当接、又は、近接して配置されることを特徴とする折畳み容器。
【請求項2】
前記折畳み容器の前記組立状態では、前記ヒンジ部の下端部と、前記底壁構成部とが上下方向において離間し、前記ヒンジ部の下端部の下方には、前記ヒンジ部の下端部の変位を許容する許容空間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み容器。
【請求項3】
前記閉鎖カバーは、前記凹部が設けられることで形成され、前記閉鎖カバーの下辺部、及び、前記凹部の前記底壁構成部の内方側の面を構成する残存部を備え、
前記残存部は、前記ヒンジ部に当接又は近接するとともに、前記折畳み容器の前記組立状態では、前記底壁部の内外方向において前記隙間閉塞用突条部と、前記ヒンジ部とによって挟まれるようにして配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳み容器。
【請求項4】
前記ヒンジ部の下端部は、前記残存部の下端部と同じ高さ、又は、前記残存部の下端部よりも下方に位置していることを特徴とする請求項3に記載の折畳み容器。
【請求項5】
前記隙間閉塞用突条部は、前記底壁構成部の外方側に向けて下方傾斜する突条傾斜部を備え、
前記凹部は、前記側壁部が前記起立姿勢にある場合に、前記底壁構成部の外方側に向けて下方傾斜する閉鎖カバー傾斜部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の折畳み容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される折畳み容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の運搬等に使用される容器として、略矩形状をなす底壁部、及び、該底壁部の各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を具備する底壁構成部と、各土台部に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部とを備え、上方に開口する箱型に組立可能、かつ、各側壁部を底壁部の上方に倒して折畳み可能な折畳み容器が知られている。また、各側壁部は、側壁部の下辺部から下方に突出するヒンジ本体と、ヒンジ本体の側面の下部から側方に突出する軸部とを具備するヒンジ部を備えている。これに対し、各土台部は、前記ヒンジ部を回動可能に支持する軸受部を備え、軸受部は、上方、及び、底壁構成部の内方側(土台部の内周側)に開口し、ヒンジ本体を挿入可能な挿入部と、軸部を挿入可能に構成され、軸部の底壁構成部の内方側への変位を規制するとともに、軸部の回動変位を許容する軸支部とを具備している。
【0003】
さらに、折畳み容器を組立状態とした場合に、軸受部のうち底壁構成部の内方側の開口部(以下、「内周開口部」とも称する)の周縁部と、ヒンジ部のヒンジ本体との間に隙間が生じる場合がある。これに対し、前記隙間を塞ぐべく、閉鎖カバーをヒンジ部に取付けるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、閉鎖カバーは軸受部の内周開口部を隙間なく閉鎖する形状とされている。このため、組立状態とされた折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が作用した場合(例えば、収容物を収容した状態の折畳み容器同士を積重ねた場合)において、閉鎖カバーの下辺部と、内周開口部の下縁部とが上下に圧接し、閉鎖カバーが外れてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、閉鎖カバーの脱落を抑止することができる折畳み容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.平面視略矩形状をなす底壁部、及び、前記底壁部の各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を具備する底壁構成部と、
前記底壁構成部の前記各土台部に対して、前記各土台部の上方に立設される起立姿勢と、前記底壁部の上方に寝かされる寝かせ姿勢との間を回動変位可能に連結された側壁部とを備える折畳み容器において、
前記各側壁部は、前記側壁部の下辺部から下方に突出するヒンジ本体と、前記側壁部の横幅方向における前記ヒンジ本体の側面の下部から側方に突出する軸部とを具備するヒンジ部を備え、
前記各土台部は、上方、及び、前記底壁構成部の内方側に開口し、前記ヒンジ本体を挿入可能な挿入部と、前記軸部を挿入可能に構成され、前記軸部の前記底壁構成部の内方側への変位を規制するとともに、前記軸部の回動変位を許容する軸支部とを具備する軸受部を備え、
前記ヒンジ部には、前記折畳み容器を全ての前記側壁部が前記起立姿勢とされた組立状態とした場合に、対応する前記軸受部のうち前記底壁構成部の内方側の開口部である内周開口部の周縁部と、前記ヒンジ本体との間の隙間を塞ぐ閉鎖カバーが取付けられ、
前記内周開口部の下縁部から上方に突出する隙間閉塞用突条部が設けられ、
前記閉鎖カバーには、前記側壁部が前記起立姿勢にある場合に、前記隙間閉塞用突条部の少なくとも一部を収容可能な凹部が設けられ、
前記折畳み容器の前記組立状態では、前記閉鎖カバーのうち前記凹部に対応する部位の前記底壁構成部の内方側を向く面と、前記隙間閉塞用突条部とが前記底壁部の内外方向において当接、又は、近接して配置されることを特徴とする折畳み容器。
【0009】
手段1によれば、折畳み容器の組立状態では、閉鎖カバーのうち凹部に対応する部位の底壁構成部の内方側(土台部の内周側)を向く面と、隙間閉塞用突条部とが底壁部の内外方向(対応する側壁部の厚み方向)において当接、又は、近接することから、閉鎖カバーの下辺部が底壁構成部の内方側(底壁部の平面視中央側)に変位してしまうことが規制される。これにより、組立状態とされた折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が作用した場合(例えば、収容物を収容した状態の折畳み容器同士を積重ねた場合)において、閉鎖カバーの下辺部(又は、凹部の上縁部)が、内周開口部の下縁部(又は、隙間閉塞用突条部)に圧接した(閉鎖カバーが上下に圧縮された)としても、閉鎖カバーの下辺部が底壁構成部の内方側に変位する格好で閉鎖カバーがヒンジ部から外れてしまうといった事態を防止することができる。従って、閉鎖カバーの取付状態を安定して維持することができ、例えば、閉鎖カバーが外れてしまうことで、内周開口部の周縁部と、ヒンジ部のヒンジ本体との間の隙間が露出し、当該隙間に折畳み容器の収容物が引っ掛かる、収容物に閉鎖カバーが紛れ込む等の事態を防止することができる。
【0010】
また、閉鎖カバーのうち閉鎖カバーの下部に設けられる凹部を構成する部位と、内周開口部の下縁部から上方に突出する隙間閉塞用突条部とが、底壁部の内外方向において互いに重なるように配置されることから、折畳み容器の収容物が、内周開口部の周縁部と、ヒンジ部のヒンジ本体との間の隙間にまで進入することをより確実に防止することができる。さらに、閉鎖カバーに凹部が設けられ、側壁部を起立姿勢とした場合に、閉鎖カバーの凹部に対して隙間閉塞用突条部の少なくとも一部を収容可能としていることから、閉鎖カバーを内周開口部の内周側に位置させ、内周開口部の周縁部と、ヒンジ部のヒンジ本体との間の隙間を確実に閉塞することができる。
【0011】
手段2.前記折畳み容器の前記組立状態では、前記ヒンジ部の下端部と、前記底壁構成部とが上下方向において離間し、前記ヒンジ部の下端部の下方には、前記ヒンジ部の下端部の変位を許容する許容空間が設けられていることを特徴とする手段1に記載の折畳み容器。
【0012】
手段2によれば、組立状態にある折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に、ヒンジ部の下端部が底壁構成部に圧接し、ヒンジ部が変形や損傷等を起こしてしまう、ひいては、ヒンジ部に取付けられている閉鎖カバーが外れてしまうといった事態を防止することができる。また、ヒンジ部の下部が許容空間に進入する場合に、閉鎖カバーの下部についても許容空間側に変位する(逃がす)ような構成の場合、凹部の上縁部と、隙間閉塞用突条部とが強く圧接されることを抑止することができる。特に、上記手段1に記載のように、閉鎖カバーの一部が隙間閉塞用突条部よりも底壁構成部の外方側(ヒンジ部側)に位置していることから、凹部の上縁部と、隙間閉塞用突条部とが圧接された際に、閉鎖カバーがヒンジ部から離間するようにして底壁構成部の内方側に変位してしまうといった事態が回避され、閉鎖カバーの脱落を防止することができる。さらに、ヒンジ部及び閉鎖カバーの下部が許容空間に進入した状態は、閉鎖カバーと、隙間閉塞用突条部とが、底壁部の内外方向において互いに重なる領域が増えた状態となることから、閉鎖カバーの下辺部の底壁構成部の内方側への変位がより確実に規制され、閉鎖カバーがヒンジ部からより外れ難い状態とすることができる。従って、組立状態にある折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に閉鎖カバーが外れてしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0013】
手段3.前記閉鎖カバーは、前記凹部が設けられることで形成され、前記閉鎖カバーの下辺部、及び、前記凹部の前記底壁構成部の内方側の面を構成する残存部を備え、
前記残存部は、前記ヒンジ部に(面で)当接又は近接するとともに、前記折畳み容器の前記組立状態では、前記底壁部の内外方向において前記隙間閉塞用突条部と、前記ヒンジ部とによって挟まれるようにして配置されることを特徴とする手段1又は2に記載の折畳み容器。
【0014】
手段3によれば、残存部がヒンジ部に当接又は近接することで、残存部の底壁構成部の外方側への変形等を抑止することができ、残存部の変形及び損傷等を防止することができる。また、折畳み容器の組立状態では、残存部は、底壁部の内外方向において隙間閉塞用突条部と、ヒンジ部とによって挟まれるようにして配置される。つまり、底壁部の内外方向において残存部と、隙間閉塞用突条部とが圧接したとしても、残存部はヒンジ部によって補強された格好となっており、残存部の変形等が抑止される。従って、例えば、残存部が変形等してしまい、隙間閉塞用突条部により閉鎖カバーの下辺部の底壁構成部の内方側への変位が規制される状態が解除されてしまうといった事態を回避することができる。
【0015】
手段4.前記ヒンジ部の下端部は、前記残存部の下端部と同じ高さ、又は、前記残存部の下端部よりも下方に位置していることを特徴とする手段3に記載の折畳み容器。
【0016】
手段4によれば、組立状態にある折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に、閉鎖カバーの下辺部(残存部の下端部)がヒンジ部の下端部とともに底壁構成部に当接する(ヒンジ部と協働して当接に際しての衝撃を吸収する)、或いは、ヒンジ部の下端部が底壁構成部に当接する一方で残存部の下端部は底壁構成部に当接しない構成とすることができる。従って、閉鎖カバーの下辺部(残存部の下端部)が底壁構成部に圧接して閉鎖カバーが脱落、損傷等するといった事態を防止することができる。
【0017】
手段5.前記隙間閉塞用突条部は、前記底壁構成部の外方側に向けて下方傾斜する突条傾斜部を備え、
前記凹部は、前記側壁部が前記起立姿勢にある場合に、前記底壁構成部の外方側に向けて下方傾斜する閉鎖カバー傾斜部を備えていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の折畳み容器。
【0018】
手段5によれば、組立状態にある折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に、閉鎖カバーの凹部(上縁部)と、隙間閉塞用突条部とが圧接された際に、閉鎖カバーが底壁構成部の外方側に案内されるように構成することができる。従って、閉鎖カバーがヒンジ部からより外れ難い状態とすることができ、組立状態にある折畳み容器の側壁部に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に閉鎖カバーが外れるといった事態をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】折畳み状態にある折畳み容器の斜視図である。
【
図3】折畳み容器の一部断面を含む拡大分解斜視図である。
【
図4】長辺側側壁部及び長辺側閉鎖カバーの内面側の一部断面を含む斜視図である。
【
図5】長辺側側壁部及び長辺側閉鎖カバーの外面側の一部断面を含む斜視図である。
【
図6】短辺側側壁部及び短辺側閉鎖カバーの内面側の一部断面を含む斜視図である。
【
図7】短辺側側壁部及び短辺側閉鎖カバーの外面側の一部断面を含む斜視図である。
【
図8】組立状態にある折畳み容器の長辺側ヒンジ部等を示す拡大断面図である。
【
図9】折畳み状態にある折畳み容器の長辺側ヒンジ部等を示す拡大断面図である。
【
図10】組立状態にある折畳み容器の短辺側ヒンジ部等を示す拡大断面図である。
【
図11】折畳み状態にある折畳み容器の短辺側ヒンジ部等を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2等に示すように、折畳み容器1は、平面視略矩形状をなす底壁部3と、底壁部3の各長辺部に沿って底壁部3からそれぞれ上方に突出する長辺側土台部4と、底壁部3の各短辺部に沿って底壁部3からそれぞれ上方に突出する短辺側土台部5とを具備する底壁構成部2を備えている。さらに、折畳み容器1は、各長辺側土台部4に対してそれぞれ回動可能に連結された長辺側側壁部6と、各短辺側土台部5に対してそれぞれ回動可能に連結された短辺側側壁部7とを備えている。本実施形態の底壁構成部2、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0021】
長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7は、それぞれ長辺側土台部4、及び、短辺側土台部5の上方に立設される起立姿勢(
図1参照)と、底壁部3の中央部側に寝かされる寝かせ姿勢(
図2参照)との間を回動変位可能に構成されている。また、
図2に示すように、長辺側土台部4の底壁部3からの突出長は、短辺側土台部5の底壁部3からの突出長よりも長くなっており、長辺側側壁部6を回動可能に支持するための長辺側軸受部8の形成位置も、短辺側側壁部7を回動可能に支持するための短辺側軸受部9の形成位置よりも上方に位置している。さらに、
図1に示すように、長辺側側壁部6の横幅は、底壁構成部2の長手幅とほぼ同じに構成され、短辺側側壁部7の横幅は、一対の長辺側土台部4間の距離とほぼ同じに構成されている。このため、本実施形態では、全ての長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7が起立姿勢とされた組立状態にある折畳み容器1を、全ての長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7が寝かせ姿勢とされた折畳み状態とする場合には、一対の短辺側側壁部7を底壁部3の上方に重ねるようにして先に寝かせ姿勢へと変位させてから、長辺側側壁部6を短辺側側壁部7の上方に重ねるようにして寝かせ姿勢へと変位させる構成となっている。
【0022】
図1、
図3~
図5等に示すように、長辺側側壁部6は、当該長辺側側壁部6の内面を構成する略矩形板状のベース壁部11と、ベース壁部11の下辺部から外方に突出する下フランジ部12とを備えている。さらに、長辺側側壁部6には、長辺側土台部4の長辺側軸受部8に対して回動可能に連結される長辺側ヒンジ部13が設けられている。長辺側ヒンジ部13は、長辺側側壁部6の下フランジ部12から下方に突出するヒンジ本体14と、長辺側側壁部6の横幅方向におけるヒンジ本体14の両側面の下端部から側方に突出する一対の軸部15とを備えている。
【0023】
その一方で、
図3等に示すように、長辺側土台部4に設けられた長辺側軸受部8は、上方、及び、底壁構成部2の内方側(土台部4、5の内周側。底壁部3の平面視中央側)に開口し、ヒンジ本体14を挿入可能な挿入部16と、軸部15を挿入可能に構成され、軸部15の底壁構成部2の内方側への変位を規制するとともに、軸部15の回動変位を許容する軸支部17とを備えている。
【0024】
また、
図3、
図6、
図7に示すように、短辺側側壁部7についても、当該短辺側側壁部7の内面を構成する略矩形板状のベース壁部21と、ベース壁部21の下辺部から外方に突出する下フランジ部22とを備えている。さらに、短辺側側壁部7は、短辺側土台部5の短辺側軸受部9に対して回動可能に連結される短辺側ヒンジ部23を備え、短辺側ヒンジ部23は、短辺側側壁部7の下フランジ部22から下方に突出するヒンジ本体24、及び、ヒンジ本体24の両側面から突出する軸部25を具備している。さらに、
図3に示すように、短辺側軸受部9は、短辺側ヒンジ部23のヒンジ本体24が挿入される挿入部26、短辺側ヒンジ部23の軸部25が回動変位可能に支持される軸支部27を備えている。以下、長辺側軸受部8、及び、短辺側軸受部9の挿入部16、及び、挿入部26のうち底壁構成部2の内方側の開口部を「内周開口部30」と称する。
【0025】
また、
図1に示すように、長辺側側壁部6には、ベース壁部11の内面の側辺部から折畳み容器1の内方側に突出する係止壁部31が設けられている。係止壁部31には、長辺側側壁部6の横幅方向に貫通する挿入孔部32が設けられている。さらに、長辺側側壁部6には、係止壁部31のうち長辺側側壁部6の横幅方向中央部側の面に連結され、折畳み容器1の内方側に開口する略四角筒状のロック係止部(図示略)が設けられている。
【0026】
これに対し、短辺側側壁部7の外面の両側部には、短辺側側壁部7の外面側の厚みを省略することで構成され、折畳み容器1の組立状態において長辺側側壁部6の係止壁部31と略当接する被係止壁部33と、被係止壁部33の外面から外方に突出し、折畳み容器1が組立状態とされた場合に、係止壁部31の挿入孔部32に挿入される挿入突部34とが設けられている。当該構成により、短辺側側壁部7、及び、長辺側側壁部6の折畳み容器1の外方側への傾倒変位が防止されるとともに、長辺側側壁部6と、短辺側側壁部7との間の上下方向における相対変位が規制されるようになっている。
【0027】
さらに、短辺側側壁部7の外面側には、短辺側側壁部7の内側への傾倒変位を防止する、ひいては、折畳み容器1の組立状態を維持するためのロック機構35が設けられている。ロック機構35は、折畳み容器1の組立状態において、長辺側側壁部6のロック係止部に挿入されて係止状態とされる突出位置と、ロック係止部から抜け出して係止状態が解消される退避位置とに変位可能に構成される左右一対のスライド片36と、左右一対のスライド片36を一度に退避位置へと変位させる操作を可能とする操作部37とを備えている。
【0028】
図2に示すように、本実施形態では、各長辺側側壁部6に対して長辺側ヒンジ部13が7つ設けられている。そのうち、
図1に示すように、長辺側側壁部6の横幅方向中央部に設けられる(成形精度が比較的高くなる)長辺側ヒンジ部13については、長辺側側壁部6が起立姿勢にある場合に、ヒンジ本体14の折畳み容器1の内方側の部位が、対応する長辺側軸受部8の内周開口部30の内周側に位置して、当該内周開口部30を閉塞する形状とされている。その一方で、
図5、
図8等に示すように、残りの長辺側ヒンジ部13(以下、「長辺側一般ヒンジ部41」とも称する)に関しては、ヒンジ本体14の内面(下フランジ部12との連結部位を除く大部分)が、長辺側側壁部6(ベース壁部11)の内面よりも外方側に位置するとともに、ヒンジ本体14の横幅が、長辺側軸受部8の内周開口部30の横幅よりも若干小さく構成されている。
【0029】
図1、
図3、
図4等に示すように、本実施形態の長辺側一般ヒンジ部41には、その内面側に対して長辺側閉鎖カバー42が取付けられている。
図8、
図10に示すように、折畳み容器1を組立状態とした場合には、長辺側一般ヒンジ部41のヒンジ本体14と、対応する長辺側軸受部8の内周開口部30の周縁部との間の隙間が長辺側閉鎖カバー42により塞がれるように構成されている。
図3~
図5、
図10に示すように、長辺側閉鎖カバー42は、対応する長辺側軸受部8の内周開口部30とほぼ同じ形状をなす閉鎖板部43と、閉鎖板部43を長辺側一般ヒンジ部41に取付けるための取付部44とを備えている。
図8に示すように、折畳み容器1の組立状態において、閉鎖板部43は、長辺側軸受部8の内周開口部30の内周側に配置される。
【0030】
また、
図4、
図5、
図8に示すように、取付部44は、閉鎖板部43の外面側から突出する一対の取付片45と、一対の取付片45の先端部から互いに離間する側に突出する爪部46とを備えている。さらに、
図8等に示すように、長辺側ヒンジ部13の外面(長辺側ヒンジ部13を構成するリブの外側端縁)は、長辺側側壁部6の外面(長辺側側壁部6を構成するリブの外側端縁)と面一ではなく、長辺側側壁部6の外面よりも折畳み容器1の内方側に位置している。長辺側閉鎖カバー42の長辺側ヒンジ部13への取付状態において、爪部46は、長辺側ヒンジ部13の外面よりも長辺側ヒンジ部13の内側に収まるように構成されている。
【0031】
加えて、
図1に示すように、短辺側側壁部7には5つの短辺側ヒンジ部23が設けられ、
図3、
図6、
図7に示すように、短辺側ヒンジ部23のうち、短辺側側壁部7の横幅方向中央部に設けられた短辺側ヒンジ部23以外の短辺側ヒンジ部23の内面側に対し、短辺側閉鎖カバー51が取付けられている。
図8、
図10に示すように、折畳み容器1を組立状態とした場合には、短辺側ヒンジ部23のヒンジ本体24と、対応する短辺側軸受部9の内周開口部30の周縁部との間の隙間が短辺側閉鎖カバー51により塞がれるように構成されている(短辺側側壁部7の横幅方向中央部に設けられた短辺側ヒンジ部23は、短辺側ヒンジ部23自体で前記隙間を閉塞する)。
【0032】
短辺側閉鎖カバー51についても、基本的に長辺側閉鎖カバー42と同様の構成を具備しており、対応する短辺側軸受部9の内周開口部30とほぼ同じ形状をなす閉鎖板部52と、閉鎖板部52を短辺側ヒンジ部23に取付けるための取付部53とを備えている。また、
図10等に示すように、短辺側ヒンジ部23の外面(短辺側ヒンジ部23を構成するリブの外側端縁)は、短辺側側壁部7の外面(短辺側側壁部7を構成するリブの外側端縁)と面一ではなく、短辺側側壁部7の外面よりも折畳み容器1の内方側に位置している。尚、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0033】
さて、
図3、
図8、
図10等に示すように、底壁構成部2の長辺側軸受部8、及び、短辺側軸受部9には、内周開口部30の下縁部から上方に突出する隙間閉塞用突条部61が設けられている。隙間閉塞用突条部61は、内周開口部30の側縁部間を連結するようにして、内周開口部30の横幅方向全域にわたって設けられている。
【0034】
これに対し、
図4~
図8、
図10等に示すように、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51には、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7が起立姿勢にある場合に、下方、及び、底壁構成部2の内方側に開口し、隙間閉塞用突条部61の少なくとも一部を収容可能な凹部62が設けられている。長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51は、当該凹部62が設けられることにより、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51の下辺部、及び、凹部62の底壁構成部2の内方側の面を構成する残存部63を備えることとなる。折畳み容器1の組立状態では、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51のうち凹部62に対応する部位(残存部63)の底壁構成部2の内方側を向く面と、隙間閉塞用突条部61とが底壁部3の内外方向(対応する側壁部6、7の厚み方向)において近接して配置されるように構成されている。
【0035】
また、
図8、
図10に示すように、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51が長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23に取付けられた状態では、残存部63は、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23(ヒンジ本体14、及び、ヒンジ本体24)に面で当接する(又は近接する)ようになっている。さらに、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51の各残存部63は、折畳み容器1の組立状態では、底壁部3の内外方向において、長辺側軸受部8、及び、短辺側軸受部9の各隙間閉塞用突条部61と、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23とによって挟まれるように配置される。
【0036】
加えて、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7が起立姿勢にある場合に、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の下端部は、残存部63の下端部と同じ高さとされている。さらに、折畳み容器1の組立状態では、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の下端部と、底壁構成部2とが上下方向において離間し、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の下端部の下方には、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の下端部の変位を許容する許容空間64が設けられている。
【0037】
加えて、隙間閉塞用突条部61は、底壁構成部2の外方側(土台部4、5の内周側。底壁部3の平面視で遠心方向側)に向けて下方傾斜する突条傾斜部65を備えている。さらに、凹部62は、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7が起立姿勢にある場合に、底壁構成部2の外方側に向けて下方傾斜する閉鎖カバー傾斜部66を備えている。本実施形態では、残存部63の底壁構成部2の内方側の面によって閉鎖カバー傾斜部66が構成されている。加えて、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7が起立姿勢にある場合に、閉鎖カバー傾斜部66と、突条傾斜部65とは、折畳み容器1の組立状態において互いに略平行して延在するとともに、上下方向、及び、底壁部3の内外方向のどちらの方向においても互いに対向するようになっている。尚、隙間閉塞用突条部61のうち底壁構成部2の内方側の面は、比較的鉛直方向に近い角度で延在するように構成されている。また、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51の残存部63のうち底壁構成部2の外方側の面は、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の内面と平行して略鉛直方向に延在している。
【0038】
また、折畳み容器1の組立状態では、上下方向(鉛直方向)において、閉鎖カバー傾斜部66と突条傾斜部65との間の距離が、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)と底壁構成部2との間の距離よりも短く構成されている。そして、長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)に対して下方に向かう力が加えられた場合に、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)が底壁構成部2に対して下方に相対変位し、残存部63(閉鎖カバー傾斜部66)と、隙間閉塞用突条部61(突条傾斜部65)とが当接する場合もある。このとき、閉鎖カバー傾斜部66、及び、突条傾斜部65の傾斜形状により、残存部63が底壁構成部2の外方側かつ下方に向けて許容空間64側に案内されることとなり、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部についても底壁構成部2に近付くようにして許容空間64側に変位するようになっている。
【0039】
図10に示すように、短辺側閉鎖カバー51の閉鎖板部52の内面側には、上下方向の中間位置が折畳み容器1の外方側に凹となる凹形状部67が設けられている。
図11に示すように、短辺側側壁部7が寝かせ姿勢とされた場合に、短辺側軸受部9の隙間閉塞用突条部61の上部を含む少なくとも一部が凹形状部67に収容されるような格好となる。これにより、折畳み容器1の折畳み状態において、短辺側閉鎖カバー51と、隙間閉塞用突条部61との干渉を回避させつつ、短辺側側壁部7(ベース壁部21)の内面と、底壁部3の上面とを面で当接させることができ、隙間閉塞用突条部61の損傷等を抑止しつつ、折畳み状態における折畳み容器1の高さを低くすることが可能となっている。尚、
図4等に示すように、長辺側閉鎖カバー42の閉鎖板部43の内面側にも、当該閉鎖板部43の中央部を含む範囲に凹形状部が設けられており、これにより、長辺側閉鎖カバー42の閉鎖板部43が折畳み容器1の内方側に膨出することを抑止しつつ、長辺側閉鎖カバー42の強度等の向上が図られている。
【0040】
さらに、短辺側ヒンジ部23の外面が、短辺側側壁部7の外面よりも折畳み容器1の内方側に位置する構成(
図10参照)によって、
図11に示すように、折畳み容器1が折畳み状態とされた場合に、短辺側ヒンジ部23の上方には、長辺側側壁部6との間に空間が形成されることとなる。つまり、折畳み容器1が折畳み状態とされた場合に、短辺側閉鎖カバー51と、隙間閉塞用突条部61とがたとえ接触したとしても、短辺側閉鎖カバー51が上方に変位する余地があることから、短辺側閉鎖カバー51と、隙間閉塞用突条部61との圧接、ひいては、隙間閉塞用突条部61の損傷等が抑制されるようになっている。
【0041】
また、
図8等に示すように、本実施形態の長辺側側壁部6は、ベース壁部11の下部が、下方に向けて折畳み容器1の外方側に若干傾斜するように構成されている。このため、長辺側ヒンジ部13についても、ベース壁部11の内面の上部よりも折畳み容器1の外方側に位置することとなり、
図9に示すように、折畳み容器1の折畳み状態において、長辺側側壁部6の内面が短辺側側壁部7の外面に当接して支持されると、長辺側閉鎖カバー42と、長辺側軸受部8の隙間閉塞用突条部61とが上下に離間するようになっている。当該構成により、長辺側閉鎖カバー42と、長辺側軸受部8の隙間閉塞用突条部61との干渉が回避され、当該隙間閉塞用突条部61の損傷等が抑止されるようになっている。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、折畳み容器1の組立状態では、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)のうち凹部62に対応する部位(残存部63)の底壁構成部2の内方側を向く面と、隙間閉塞用突条部61とが底壁部3の内外方向において近接するように構成されている。このため、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下辺部が底壁構成部2の内方側に変位してしまうことが規制されることとなる。これにより、組立状態とされた折畳み容器1の長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)に対して下向きの比較的大きな力が作用した場合(例えば、収容物を収容した状態の折畳み容器1同士を積重ねた場合)において、凹部62の上縁部(本例では、閉鎖カバー傾斜部66)が、隙間閉塞用突条部61に圧接した(閉鎖カバー42、51が上下に圧縮された)としても、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下辺部が底壁構成部2の内方側に変位する格好で長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)から外れてしまうといった事態を防止することができる。従って、閉鎖カバー42、51の取付状態を安定して維持することができ、例えば、閉鎖カバー42、51が外れてしまうことで、内周開口部30の周縁部と、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)のヒンジ本体14(ヒンジ本体24)との間の隙間が露出し、当該隙間に折畳み容器1の収容物が引っ掛かる、収容物に閉鎖カバー42、51が紛れ込む等の事態を防止することができる。
【0043】
また、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の残存部63と、内周開口部30の下縁部から上方に突出する隙間閉塞用突条部61とが、底壁部3の内外方向において互いに重なるように配置されることから、折畳み容器1の収容物が、内周開口部30の周縁部と、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)のヒンジ本体14との間の隙間にまで進入することをより確実に防止することができる。さらに、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)に凹部62が設けられ、長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)を起立姿勢とした場合に、長辺側閉鎖カバー42の凹部62に対して隙間閉塞用突条部61の少なくとも一部を収容可能としていることから、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)を内周開口部30の内周側に位置させ、内周開口部30の周縁部と、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)のヒンジ本体14との間の隙間を確実に閉塞することができる。
【0044】
折畳み容器1の組立状態では、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部と、底壁構成部2とが上下方向において離間し、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部の下方には、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部の変位を許容する許容空間64が設けられている。このため、組立状態にある折畳み容器1の長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部が底壁構成部2に圧接し、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)が変形や損傷等を起こしてしまう、ひいては、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)に取付けられている長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が外れてしまうといった事態を防止することができる。また、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下部が許容空間64に進入する場合に、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下部についても許容空間64側に変位する(逃がす)構成とされているため、凹部62の上縁部と、隙間閉塞用突条部61とが強く圧接されることを抑止することができる。特に、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の残存部63が隙間閉塞用突条部61よりも底壁構成部2の外方側(長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)側)に位置していることから、凹部62の上縁部と、隙間閉塞用突条部61とが圧接された際に、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)から離間するようにして底壁構成部2の内方側に変位してしまうといった事態が回避され、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の脱落を防止することができる。さらに、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)、及び、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下部が、許容空間64に進入した状態は、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)と、隙間閉塞用突条部61とが、底壁部3の内外方向において互いに重なる領域が増えた状態となることから、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下辺部の底壁構成部2の内方側への変位がより確実に規制され、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)からより外れ難い状態とすることができる。従って、組立状態にある折畳み容器1の側壁部6、7に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に閉鎖カバー42、51が外れてしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0045】
さらに、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の残存部63は、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)に面で当接(又は近接)する。このため、残存部63の底壁構成部2の外方側への変形等が規制され、残存部63の損傷等を防止することができる。また、折畳み容器1の組立状態では、残存部63は、底壁部3の内外方向において隙間閉塞用突条部61と、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)とによって挟まれるようにして配置される。つまり、底壁部3の内外方向において残存部63と、隙間閉塞用突条部61とが圧接したとしても、残存部63は長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)によって補強された格好となっており、残存部63の変形等が抑止される。従って、例えば、残存部63が変形等してしまい、隙間閉塞用突条部61により長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下辺部の底壁構成部2の内方側への変位が規制される状態が解除されてしまうといった事態を回避することができる。
【0046】
加えて、長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)が起立姿勢にある場合に、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部は、残存部63の下端部と同じ高さに位置している。このため、組立状態にある折畳み容器1の長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下辺部(残存63部の下端部)が長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部とともに底壁構成部2に当接する(長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)と協働して当接に際しての衝撃を吸収する)構成とすることができる。従って、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の下辺部(残存部63の下端部)が底壁構成部2に圧接して長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が脱落、損傷等するといった事態を防止することができる。
【0047】
また、隙間閉塞用突条部61は、底壁構成部2の外方側に向けて下方傾斜する突条傾斜部65を備え、凹部62は、長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)が起立姿勢にある場合に、底壁構成部2の外方側に向けて下方傾斜する閉鎖カバー傾斜部66(本例では、残存部63の底壁構成部2の内方側の面により構成される)を備えている。このため、組立状態にある折畳み容器1の長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)の凹部62(上縁部)と、隙間閉塞用突条部61とが圧接された際に、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が底壁構成部2の外方側に案内されるように構成することができる。従って、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)が長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)からより外れ難い状態とする(閉鎖カバー42、51の脱落防止機能をより強めた状態とする)ことができ、組立状態にある折畳み容器1の側壁部6、7に対して下向きの比較的大きな力が加えられた場合に閉鎖カバー42、51が外れるといった事態をより確実に防止することができる。
【0048】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0049】
(a)上記実施形態において、長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の数、配置、及び、横幅等については特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。さらに、長辺側閉鎖カバー42、及び、短辺側閉鎖カバー51が取付けられる長辺側ヒンジ部13、及び、短辺側ヒンジ部23の数についても特に限定されるものではなく、必要に応じて、適宜変更可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、寝かせ姿勢とされた一対の短辺側側壁部7の高さ位置が揃っているが、例えば、寝かせ姿勢とされた短辺側側壁部7同士が上下に重なり合うように構成してもよい。さらに、寝かせ姿勢とされた一対の長辺側側壁部6の高さ位置が揃っているが、例えば、寝かせ姿勢とされた長辺側側壁部6同士が上下に重なり合うように構成してもよい。加えて、折畳み状態において短辺側側壁部が長辺側側壁部の上方に重なるような折畳み容器に具体化することも可能である。
【0051】
(b)上記実施形態では、折畳み容器1の組立状態では、長辺側閉鎖カバー42(短辺側閉鎖カバー51)のうち凹部62に対応する部位(残存部63)の底壁構成部2の内方側を向く面と、隙間閉塞用突条部61とが底壁部3の内外方向において近接するように構成されているが、略当接するような設計としてもよい。さらに、折畳み容器1の組立状態において、対応する凹部62に隙間閉塞用突条部61の全体が収容される構成としてもよい。また、上記実施形態では、折畳み容器1の組立状態において、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部と底壁構成部2との間に設けられる許容空間64の上下幅は、残存部63(閉鎖カバー傾斜部66)と隙間閉塞用突条部61との間の上下の間隔よりも大きく構成されているが、同じとすることも可能である。さらに、上記実施形態では、長辺側ヒンジ部13(短辺側ヒンジ部23)の下端部は、長辺側側壁部6(短辺側側壁部7)が起立姿勢にある場合に、残存部63の下端部と同じ高さとされているが、残存部63の下端部よりも下方に位置するように構成してもよい。
【0052】
(c)上記実施形態では、隙間閉塞用突条部61において底壁構成部2の外方側に向けて下方傾斜する突条傾斜部65が形成され、凹部62において底壁構成部2の外方側に向けて下方傾斜する閉鎖カバー傾斜部66が形成されているが、どちらか一方だけが形成される構成としてもよい。尚、突条傾斜部65と、閉鎖カバー傾斜部66とが圧接した際の損傷等を抑制する、かつ、突条傾斜部65と、閉鎖カバー傾斜部66との間の隙間を極力少なくするべく、突条傾斜部65及び閉鎖カバー傾斜部66の両方を設けることが望ましく、さらには、突条傾斜部65及び閉鎖カバー傾斜部66が互いに平行するようにして延在することが望ましい。
【0053】
(d)上記実施形態の折畳み容器1、及び、閉鎖カバー42、51はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…折畳み容器、2…底壁構成部、3…底壁部、4…長辺側土台部、5…短辺側土台部、6…長辺側側壁部、7…短辺側側壁部、8…長辺側軸受部、9…短辺側軸受部、13…長辺側ヒンジ部、14…ヒンジ本体、15…軸部、16…挿入部、17…軸支部、23…短辺側ヒンジ部、30…内周開口部、42…長辺側閉鎖カバー、51…短辺側閉鎖カバー、61…隙間閉塞用突条部、62…凹部、63…残存部、64…許容空間、65…突条傾斜部、66…閉鎖カバー傾斜部。