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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183684
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20221206BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L21/30 572A
H01L21/30 572B
H01L21/304 645D
H01L21/304 648G
H01L21/304 648L
H01L21/304 648A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091125
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】高山 祐一
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 啓之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 絋太
(72)【発明者】
【氏名】大多和 晃司
【テーマコード(参考)】
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
5F146MA02
5F146MA10
5F146MA13
5F146MA17
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157BG03
5F157BG12
5F157BG82
5F157BH18
5F157BH19
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF18
5F157CF60
5F157CF74
5F157DB46
(57)【要約】
【課題】オゾンガスの置換を短時間でできるとともに、パーティクルによる汚染も防止できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】制御部は、制御弁55を開放し、制御弁69を閉止した状態でチャンバ32内にオゾンガスを供給して基板Wを処理した後、制御弁55を閉止し、制御弁69を開放して、チャンバ32内に窒素ガスを供給する際に、吸引配管73による吸引を行わせる。そのため、オゾンガスが残留しているフィルタ59と、マスフローコントローラ57と、制御弁55とは、吸引配管73を介して吸引される。したがって、流通配管53では、第2の分岐点63からチャンバ32側への気体の流れが生じない。その結果、チャンバ32側に窒素ガスにオゾンガスが混入することが防止できので、オゾンガスの置換を短時間できるとともに、パーティクルによる汚染も防止できる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に被着された被膜を除去する処理を行う基板処理装置において、
基板を収容して密閉された処理空間を形成するチャンバと、
前記チャンバ内において基板を保持する保持機構と、
前記基板を処理するため処理濃度のオゾンガスを供給するオゾンガス供給源と、
前記チャンバと前記オゾンガス供給源とを連通接続している第1の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記第1の配管におけるオゾンガスの流通を制御する第1の制御弁と、
前記第1の配管において前記第1の制御弁よりも前記チャンバ側に設けられた第1のフィルタと、
前記第1の配管の前記第1のフィルタよりも前記チャンバ側に接続する第1の分岐点に一端側が連通接続され、他端側から不活性ガスが供給される第2の配管と、
前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管における不活性ガスの流通を制御する第2の制御弁と、
前記第1の配管の前記第1のフィルタと前記第1の制御弁の間に接続する第2の分岐点に一端側が連通接続され、他端側から吸引される吸引配管と、
前記第1の制御弁を開放し、前記第2の制御弁を閉止した状態で前記チャンバ内にオゾンガスを供給して基板を処理した後、前記第1の制御弁を閉止し、前記第2の制御弁を開放して、前記チャンバ内に不活性ガスを供給する際に、前記吸引配管による吸引を行わせる制御部と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記吸引配管による吸引は、前記第2の配管から前記チャンバに供給される不活性ガスの供給が妨げられない吸引力で行われることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記吸引配管は、圧縮気体の供給により吸引力を生じさせる真空エジェクタを他端側に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のずれかに記載の基板処理装置において、
前記吸引配管は、前記第2の分岐点における吸引力の制御を行い、前記制御部により操作される吸引制御弁を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第2の配管は、前記第1の分岐点と前記第2の制御弁との間に第2のフィルタを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置において、
基板を収容して、処理液による処理を行う処理液チャンバと、
基板を搬送する搬送機構と、
をさらに備え、
前記チャンバにおけるオゾンガスで処理された基板を前記搬送機構で前記処理液チャンバに搬送し、前記基板を前記処理液チャンバにおいて処理液で処理することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示器や有機EL(Electroluminescence)表示装置用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板(以下、単に基板と称する)に対して、所定の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板にパターンを形成するには、例えば、フォトレジスト被膜を基板に被着してパターニングした後、パターンが形成されたフォトレジスト被膜をマスクにしてエッチング処理が行われる。その後、マスクは不要となるので、フォトレジスト被膜は除去される。フォトレジスト被膜の除去には、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合溶液であるSPM(Sulfuric Hydrogen Peroxide Mixture)が利用される。このSPMは、強酸化力を有し、フォトレジスト被膜は基板の表面から剥離され除去される。しかしながら、例えば、フォトレジスト被膜にイオン注入がされていると、フォトレジスト被膜の表面が硬化している。そのため、SPMだけを供給することによる処理では、SPMの消費量が増大する。また、SPMだけでは、フォトレジスト被膜を良好に除去できないことがある。
【0003】
そこで、SPMの供給前に、オゾンガス(O3ガス)をフォトレジスト被膜に供給し、その酸化力によって処理することが行われている。これにより、イオン注入により硬化したフォトレジスト被膜の表面の酸化(灰化)が可能となり、その後のSPMでの処理時におけるフォトレジスト被膜の剥離が容易となる。これにより、SPMの消費量を抑制できる。
【0004】
このようにオゾンガスを供給して基板を処理する装置として、SPM、窒素ガス、純水、オゾンガスを切り換えて基板の処理面に供給する供給機構を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような装置では、オゾンガスによる処理後に、SPMでの処理を行うためにチャンバから基板を搬出する前に、窒素ガスでチャンバ内のオゾンガスを置換する。そのため、供給機構として、次のように構成されたものがある。
【0006】
第1の配管と、第2の配管と、第1のフィルタと、第1の制御弁と、第2の制御弁と、第2のフィルタとを備えた「第1の構成」のものがある。第1の配管は、チャンバに一端側が連通接続され、他端側がオゾンガス供給源に連通接続されている。第2の配管は、第1の配管の一部位である分岐点に一端側が連通接続され、他端側が窒素ガス供給源に連通接続されている。第1のフィルタは、分岐点よりチャンバ側にあたる第1の配管に設けられている。第1の制御弁は、分岐点よりオゾン供給源側に設けられ、第1の配管におけるオゾンガスの流通を制御する。第2の制御弁は、第2の配管において分岐点側に設けられ、窒素ガスの流通を制御する。第2のフィルタは、第2の配管における第2の制御弁より窒素ガス供給源側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-66400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の第1の構成によると、第1のフィルタの上流側に分岐点が設けられている。したがって、オゾンガスも窒素ガスの第1のフィルタを通過する。そのため、オゾンガスの処理後に第2の配管から窒素ガスを供給して置換を行う際に、チャンバに供給される窒素ガスには、第1のフィルタに残留しているオゾンガスが混入する。そのため、オゾンガスの濃度が低下しづらく、窒素ガスによる置換に時間を要するという問題がある。
【0009】
そこで、次のような「第2の構成」を採用することが考えられる。
【0010】
第2の配管は、第1の配管のチャンバ側における一部位である分岐点に一端側が連通接続され、他端側が窒素ガス供給源に連通接続されている。第1の制御弁と、第1のフィルタとは、その順に分岐点からオゾン供給源側に向かって設けられている。第2のフィルタと、第2の制御弁とは、その順に分岐点から窒素ガス供給源側に向かって設けられている。
【0011】
このような第2の構成によると、分岐点からチャンバまでに第1のフィルタが存在しない。そのため、第1の構成に生じる不都合は生じない。しかしながら、第1のフィルタのチャンバ側に第1の制御弁が設けられているので、第1の制御弁で生じたパーティクルが、分岐点からチャンバ側へ流通する窒素ガスの流れに吸引され、チャンバ内の基板を汚染する恐れがある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、オゾンガスの置換を短時間でできるとともに、パーティクルによる汚染も防止できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に被着された被膜を除去する処理を行う基板処理装置において、基板を収容して密閉された処理空間を形成するチャンバと、前記チャンバ内において基板を保持する保持機構と、前記基板を処理するため処理濃度のオゾンガスを供給するオゾンガス供給源と、前記チャンバと前記オゾンガス供給源とを連通接続している第1の配管と、前記第1の配管に設けられ、前記第1の配管におけるオゾンガスの流通を制御する第1の制御弁と、前記第1の配管において前記第1の制御弁よりも前記チャンバ側に設けられた第1のフィルタと、前記第1の配管の前記第1のフィルタよりも前記チャンバ側に接続する第1の分岐点に一端側が連通接続され、他端側から不活性ガスが供給される第2の配管と、前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管における不活性ガスの流通を制御する第2の制御弁と、前記第1の配管の前記第1のフィルタと前記第1の制御弁の間に接続する第2の分岐点に一端側が連通接続され、他端側から吸引される吸引配管と、前記第1の制御弁を開放し、前記第2の制御弁を閉止した状態で前記チャンバ内にオゾンガスを供給して基板を処理した後、前記第1の制御弁を閉止し、前記第2の制御弁を開放して、前記チャンバ内に不活性ガスを供給する際に、前記吸引配管による吸引を行わせる制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御部は、第1の制御弁を開放し、第2の制御弁を閉止した状態でチャンバ内にオゾンガスを供給して基板を処理した後、第1の制御弁を閉止し、第2の制御弁を開放して、チャンバ内に不活性ガスを供給する際に、吸引配管による吸引を行わせる。そのため、オゾンガスが残留している第1のフィルタと、パーティクルが生じ易い第2の制御弁とは、吸引配管を介して吸引される。したがって、第1の配管では、第2の分岐点からチャンバ側への気体の流れが生じない。その結果、チャンバ側に不活性ガスにオゾンガスが混入することが防止できので、オゾンガスの置換を短時間できるとともに、パーティクルによる汚染も防止できる。
【0015】
また、本発明において、前記吸引配管による吸引は、前記第2の配管から前記チャンバに供給される不活性ガスの供給が妨げられない吸引力で行われることが好ましい(請求項2)。
【0016】
チャンバに不活性ガスを供給する際には、第1の配管は第1の分岐点で吸引配管による吸引が行われる。このとき、第2の配管から第1の分岐点を介してチャンバに供給される不活性ガスの供給を妨げない吸引力で吸引配管からの吸引を行う。したがって、チャンバ内におけるオゾンガスの不活性ガスによる置換を確実に行うことができる。
【0017】
また、本発明において、前記吸引配管は、圧縮気体の供給により吸引力を生じさせる真空エジェクタを他端側に備えていることが好ましい(請求項3)。
【0018】
真空エジェクタは、真空ポンプに比較して小型で安価である。したがって、装置の小型化に貢献でき、コストの上昇も抑制できる。
【0019】
また、本発明において、前記吸引配管は、前記第2の分岐点における吸引力の制御を行い、前記制御部により操作される吸引制御弁を備えていることが好ましい(請求項4)。
【0020】
吸引制御弁を操作することで、第2の分岐点における第2の配管への吸引の影響を確実に遮断できる。
【0021】
また、本発明において、前記第2の配管は、前記第1の分岐点と前記第2の制御弁との間に第2のフィルタを備えていることが好ましい(請求項5)。
【0022】
不活性ガスを供給する際に、第2の制御弁で生じたパーティクルによる悪影響を防止できる。
【0023】
また、本発明において、基板を収容して、処理液による処理を行う処理液チャンバと、基板を搬送する搬送機構と、をさらに備え、前記チャンバにおけるオゾンガスで処理された基板を前記搬送機構で前記処理液チャンバに搬送し、前記基板を前記処理液チャンバにおいて処理液で処理することが好ましい(請求項6)。
【0024】
チャンバでオゾンガスによる処理を終えた基板を搬送機構で処理液チャンバに搬送し、基板に対して処理液による処理を行う。これにより、基板に対して気体と液体による処理を連続的に行うことができる。したがって、オゾンガスによる前処理を行ってから処理液による処理を行う処理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御部は、第1の制御弁を開放し、第2の制御弁を閉止した状態でチャンバ内にオゾンガスを供給して基板を処理した後、第1の制御弁を閉止し、第2の制御弁を開放して、チャンバ内に不活性ガスを供給する際に、吸引配管による吸引を行わせる。そのため、オゾンガスが残留している第1のフィルタと、パーティクルが生じ易い第2の制御弁とは、吸引配管を介して吸引される。したがって、第1の配管では、第2の分岐点からチャンバ側への気体の流れが生じない。その結果、チャンバ側に不活性ガスにオゾンガスが混入することが防止できので、オゾンガスの置換を短時間できるとともに、パーティクルによる汚染も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図1における101-101矢視断面図である。
図3図1における103-103矢視断面図である。
図4】基板処理装置を模式的に示した平面図である。
図5】オゾンガス供給ユニットにおけるオゾンガス濃度の変化を示すグラフである。
図6】オゾンガスベークユニット及び気体の供給系と排気系とを示した図である。
図7】オゾンガスによる非処理時の説明に供する図である。
図8】オゾンガスによる処理時の説明に供する図である。
図9】動作の一例を示すフローチャートである。
図10】オゾンガスを供給している状態を説明する模式図である。
図11】窒素ガスを供給している状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0028】
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1における101-101矢視断面図である。図3は、図1における103-103矢視断面図である。図4は、基板処理装置を模式的に示した平面図である。
【0029】
実施例に係る基板処理装置1は、例えば、フォトレジスト被膜が形成された基板Wに対して、フォトレジスト被膜の除去処理を行う装置である。特には、フォトレジスト被膜が硬化している場合に有用である。この基板処理装置1は、具体的には、オゾンガス処理と、オンガス処理後のSPM処理とをその順に基板Wに対して実施するのに好適である。
【0030】
基板処理装置1は、インデクサブロック3と、処理ブロック5と、搬送ブロック7と、処理液供給ブロック9と、オゾンガス供給ユニット11と、オゾンガス分解ユニット13とを備えている。
【0031】
インデクサブロック3は、処理対象である基板Wを搬送ブロック7との間で受け渡す。搬送ブロック7は、インデクサブロック3と処理ブロック5との間や、処理ブロック5の間において基板Wの搬送を行う。処理ブロック5は、複数個の処理ユニット15を備えている。処理液供給ブロック9は、処理ブロック5において使用される各種の処理液を処理ブロック5に対して供給する。オゾンガス供給ユニット11は、処理ブロック5で利用されるオゾンガスを供給する。オゾンガス分解ユニット13は、処理ブロック5から排出されたオゾンガスを取り込み、無害化して排出する。オゾンガス分解ユニット13から排出された気体は、例えば、クリーンルームが備える排気口に排出される。この排気口は、例えば、工場の排気設備に連通接続されている。
【0032】
基板処理装置1は、図1に示すように、インデクサブロック3と、処理ブロック5及び搬送ブロック7と、処理液供給ブロック9とがこの順番で並ぶように配置されている。
【0033】
以下の説明においては、インデクサブロック3と、処理ブロック5及び搬送ブロック7と、処理液供給ブロック9とが並ぶ方向を「前後方向X」(水平方向)とする。特に、処理ブロック5及び搬送ブロック7からインデクサブロック3へ向かう方向を「前方XF」とし、前方XF方向の反対方向を「後方XB」とする。前後方向Xと水平方向で直交する方向を「幅方向Y」とする。さらに、インデクサブロック3の正面から見た場合に、幅方向Yの一方向を適宜に「右方YR」とし、右方YRの反対の他方向を「左方YL」とする。また、垂直な方向を「上下方向Z」(高さ方向、垂直方向)とする。なお、単に「側方」や「横方向」などと記載するときは、前後方向X及び幅方向Yのいずれにも限定されない。
【0034】
インデクサブロック3は、キャリア載置部17と、インデクサロボットIRとを備えている。本実施例における基板処理装置1は、例えば、4個のキャリア載置部17を備えている。具体的には、幅方向Yに一列に並ぶように4個のキャリア載置部17を備えている。各キャリア載置部17は、キャリアCが載置される。キャリアCは、複数枚(例えば、25枚)の基板Wを積層して収納するものであり、各キャリア載置部17は、例えば、図示しないOHT(Overhead Hoist Transport:天井走行無人搬送車とも呼ばれる)との間でキャリアCの受け渡しを行う。OHTは、クリーンルームの天井を利用してキャリアCを搬送する。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)が挙げられる。
【0035】
インデクサブロック3は、キャリア載置部17の後方XBにインデクサロボットIRが配置されている。インデクサロボットIRは、キャリアCとの間で基板Wを受け渡すとともに、パス部19との間で基板Wを受け渡す。パス部19は、前後方向Xにおいて、インデクサブロック3と搬送ブロック7との間に配置されている。インデクサロボットIRは、1台だけがインデクサブロック3に配置されている。このインデクサロボットIRは、基部が幅方向Yにおいて移動しないように、位置が固定して取り付けられている。インデクサロボットIRは、例えば、上下方向Zに昇降可能な多関節アームを備えている。インデクサロボットIRは、4個のキャリアCと、パス部19対してアクセス可能に構成されている。
【0036】
パス部19は、支持台の上に複数本の支持ピン(例えば、3本)を備えている。パス部19は、基板Wを水平姿勢で当接して支持する。パス部19は、インデクサロボットIRにより、未処理の基板Wが載置され、処理済みの基板Wが取り出される。パス部19は、搬送ブロック7のセンターロボットCRにより、未処理の基板Wが取り出され、処理済みの基板Wが載置される。パス部19は、上下方向Zに多段に構成されている。よって、パス部19は、同時に複数枚の基板Wを載置される。
【0037】
搬送ブロック7は、例えば、1台のセンターロボットCRを備えている。センターロボットCRは、前後方向Xに移動可能であり、かつ上下方向Zに昇降可能に構成されている。また、センターロボットCRは、上下方向Zを軸に水平面内で旋回可能に構成されている。センターロボットCRは、センターロボットCRの位置を基準として、幅方向Yにおける右方YR及び左方YLに配置されている処理ブロック5との間で基板Wを受け渡すことができるように構成されている。センターロボットCRは、パス部19を介してインデクサロボットIRとの間で基板Wを受け渡すことができる。
【0038】
処理ブロック5は、搬送ブロック7を挟んで幅方向Yの右方YR及び左方YLにそれぞれ配置されている。ここでは、平面視にて、処理ブロック5のうち、前方XFかつ左方YLの上下方向Zに配置されているものをタワーTW1と称する。同様に、後方XBかつ左方YLの上下方向Zに配置されているものをタワーTW2と称する。さらに、前方XFかつ右方YRの上下方向Zに配置されているものをタワーTW3と称する。また、後方XBかつ右方YRの上下方向Zに配置されているものをタワーTW4と称する。
【0039】
処理ブロック5のタワーTW1,TW3は、例えば、上下方向Zに4個の処理ユニット15を積層配置して構成されている。タワーTW1,TW3は、処理ユニット15として、例えば、オゾンガスベークユニット21(図2では、O BAKEと併記する)を備えている。オゾンガスベークユニット21は、基板Wを所定の温度で加熱しつつ、オゾンガスを供給して基板Wに対して処理を行う。その構造の詳細については、後述する。オゾンガスベークユニット21は、オゾンガスによる処理を終えた後、基板Wを冷却する。冷却された基板Wは、センターロボットCRによりタワーTW2,TW4の処理ユニット15に搬送される。
【0040】
処理ブロック5のタワーTW2,TW4は、例えば、上下方向Zに3個の処理ユニット15を積層配置して構成されている。タワーTW2,TW4は、処理ユニット15として例えば、SPMユニット23(図3では、HT SPMと併記する)を備えている。SPMユニット23は、所定温度に加熱したSPMを基板Wに対して供給して処理を行う。このSPMは、硫酸と過酸化水素水の混合溶液であるSPM(Sulfuric Hydrogen Peroxide Mixture)である。オゾンガスベークユニット21により処理された基板Wは、センターロボットCRによりSPMユニット23に搬送される。SPMユニット23で処理された基板Wは、純水によりSPMを除去された後、センターロボットCRによりパス部19に搬送される。
【0041】
なお、SPMユニット23が本発明における「処理液チャンバ」に相当し、センターロボットCRが本発明における「搬送機構」に相当する。
【0042】
図4に示すように、基板処理装置1には、2台のオゾンガス供給ユニット11と、2台のオゾンガス分解ユニット13とが付設されている。オゾンガス供給ユニット11は、オゾンガスベークユニット21で処理に用いる処理濃度のオゾンを生成しつつ供給する。このオゾンガス供給ユニット11は、例えば、オゾンガスを生成していない停止状態から、目標濃度を処理濃度として装置を始動した場合、オゾンガス供給ユニットから供給されるオゾンガスの濃度は、例えば、図5に示すような変化となる。なお、図5は、オゾンガス供給ユニットにおけるオゾンガス濃度の変化を示すグラフである。
【0043】
このようにオゾンガス供給ユニット11は、装置を起動してから2分近く経過しないと、処理濃度に達しない特性があることがわかる。上述したタワーユニットTW1の4個のオゾンガスベークユニット21に対して一つのオゾンガス供給ユニット11から処理濃度のオゾンガスが供給される。また、タワーユニットTW3の4個のオゾンガスベークユニット21に対してもう一つのオゾンガス供給ユニット11から処理濃度のオゾンガスが供給される。
【0044】
オゾンガス分解ユニット13は、オゾンガスベークユニット21から排出されてきたオゾンガスを含む気体を取り込み、オゾンガスを無害化処理する。無害化処理された気体は、例えば、クリーンルームが備えている排気口に排気される。2台のオゾンガス分解ユニット13のうちの1台のオゾンガス分解ユニット13は、例えば、タワーTW1の4個のオゾンガスベークユニット21からの排気を処理する。残りの1台のオゾンガス分解ユニット13は、例えば、タワーTW3の4個のオゾンガスベークユニット21からの排気を処理する。
【0045】
なお、オゾンガス供給ユニット11が本発明における「オゾンガス供給源」に相当する。
【0046】
ここで図6を参照する。なお、図6は、オゾンガスベークユニット及び気体の供給系と排気系とを示した図である。以下の説明においては、タワーユニットTW1のオゾンガスベークユニット21を例にとって説明するが、タワーユニットTW3のオゾンガスベークユニット21も同様の構成である。
【0047】
タワーユニットTW1を構成している各オゾンガスベークユニット21は、下部リッド25と、上部リッド27と、熱処理プレート29と、昇降機構31とを備えたチャンバ32を備えている。昇降機構31は、上部リッド27と連結する接続部と、接続部を移動するモータとを備える。下部リッド25は、上下方向Zにおける下方に配置されている。下部リッド25は、上方に開口部を有する筐体である。上部リッド27は、下方に開口部を有する筐体である。下部リッド25は、熱処理プレート29を備えている。熱処理プレート29は、基板Wを当接して支持する。熱処理プレート29は、基板Wを所定温度に加熱する。上部リッド27は、下部リッド25に対して下降して当接する。上部リッド27の開口部と下部リッド25の開口部は、略同一形状となっており、上部リッド27と下部リッド25は昇降機構31により接離可能であり、上部リッド27と下部リッド25が接合することにより上部リッド27と下部リッド25は内部に閉鎖空間を形成する。熱処理プレート29を含む当該閉鎖空間が、基板Wが処理される処理空間となる。上部リッド27は、昇降機構31によって下部リッド25に対して昇降される。昇降機構31は、基板Wに対して処理を行う処理時には、下部リッド25に上部リッド27を下降させる。一方、昇降機構31は、処理空間との間で基板Wを受け渡し、処理を行っていない非処理時には、下部リッド25の上方に上部リッド27を上昇させる。
【0048】
タワーユニットTW1は、一つの排気主管33を備えている。排気主管33は、タワーユニットTW1における最下層から最上層にわたって配置されている。排気主管33の下部は、オゾンガス分解ユニット13に連通接続されている。タワーユニットTW1は、一つの供給配管35を備えている。この供給配管35も、タワーユニットTW1における最下層から最上層にわたって配置されている。供給配管35は、一端側がオゾンガス供給ユニット11に連通接続されている。この供給配管35には、オゾンガス供給ユニット11から処理濃度のオゾンガスが供給される。
【0049】
なお、熱処理プレート29が本発明における「保持機構」に相当する。
【0050】
ここで、図7を参照する。なお、図7は、オゾンガスによる非処理時の説明に供する図である。
【0051】
オゾンガス供給ユニット11は、生成配管41と、マスフローコントローラ43と、オゾンガス生成器45と、フィルタ47と、自動圧力調整器49と、制御弁51とを備えている。
【0052】
生成配管41は、その一端側が、例えば、クリーンルームが備えるユーティリティの一つである酸素供給源(不図示)に連通接続されている。生成配管41は、その他端側が供給配管35に連通接続されている。生成配管41には、酸素供給源側から供給配管35側に向かって、マスフローコントローラ43と、オゾンガス生成器45と、フィルタ47と、自動圧力調整器49と、制御弁51とがその順に取り付けられている。
【0053】
マスフローコントローラ43は、生成配管41に供給される酸素の流量を所定流量に制御する。オゾンガス生成器45は、例えば、4個のオゾンガス生成モジュールを並列に配置されて構成されている。各オゾンガス生成モジュールは、酸素からオゾンガスを生成させる。オゾンガス生成器45で生成されたオゾンガスは、フィルタ47によってパーティクル等が除去される。フィルタ47を通過したオゾンガスは、自動圧力調整器49により所定の第1の圧力P1(例えば、200kPa)に調整される。制御弁51は、第1の圧力P1に調整されたオゾンガスについて、供給配管35への流通を制御する。
【0054】
上述したオゾンガス供給ユニット11は、例えば、最大で100リットル/分の流量でオゾンガスを供給できる。上述した自動圧力調整器49は、調整圧力が第1の圧力P1に設定されているので、生成配管41の最下流部(供給配管35との連通接続部)における圧力が第1の圧力P1(実施例では、例えば、200kPa)となるように調整される。また、供給配管35におけるオゾンガスの流量は、オゾンガス供給ユニット11の性能に応じて最大で第1の流量F1(例えば、100リットル/分)となる。
【0055】
図6に戻る。オゾンガス供給ユニット11の生成配管41の他端側に連通接続された供給配管35は、各オゾンガスベークユニット21に分岐されている。オゾンガスベークユニット21には、供給配管35から各チャンバ32に分岐して設けられた流通配管53が連通接続されている。具体的には、流通配管53は、一端側が供給配管35に連通接続され、他端側が各チャンバ32に連通接続されている。詳細には、流通配管53の他端側は、上部リッド25に取り付けられ、チャンバ32内に形成される処理空間に連通接続されている。
【0056】
流通配管53は、制御弁55と、マスフローコントローラ57と、フィルタ59とを供給配管35からチャンバ32に向かってその順に設けられている。制御弁55は、供給配管35からチャンバ32へのオゾンガスの流通を制御する。マスフローコントローラ57は、流通配管53を流通してチャンバ32へ供給されるオゾンガスの流量を調整する。フィルタ59は、流通配管53を流通しているオゾンガスに含まれるパーティクル等を除去する。
【0057】
例えば、マスフローコントローラ57は、オゾンガスの流量が最大で20リットル/分であって、処理流量として10リットル/分に設定される。
【0058】
流通配管53には、第1の分岐点61と、第2の分岐点63が設けられている。第1の分岐点61は、流通配管53のうち、チャンバ32とフィルタ59との間に設けられている。換言すると、第1の分岐点61は、流通配管53のうち、フィルタ59よりもチャンバ32側に設けられている。第2の分岐点63は、流通配管53のうち、フィルタ59と、マスフローコントローラ57及び制御弁55との間に設けられている。
【0059】
第1の分岐点61には、不活性ガス供給配管65の一端側が連通接続されている。不活性ガス供給配管65の他端側は、例えば、クリーンルームのユーティリティの一つである窒素ガス供給源に連通接続されている。不活性ガス供給配管65は、窒素ガス供給源側から第1の分岐点61に向かって、マスフローコントローラ67と、制御弁69と、フィルタ71とをその順に取り付けられている。マスフローコントローラ67は、不活性ガス供給配管65に供給される窒素ガスの流量を調整する。制御弁69は、不活性ガス供給配管65における窒素ガスの流通を制御する。フィルタ71は、不活性ガス供給配管65を流通する窒素ガスに含まれるパーティクル等を除去する。なお、不活性ガス供給配管65は、流通配管53からオゾンガスが流入しないように、例えば、制御弁69とマスフローコントローラ67との間に逆止弁を備えていることが好ましい。
【0060】
なお、流通配管53が本発明における「第1の配管」に相当し、制御弁55が本発明における「第1の制御弁」に相当し、フィルタ59が本発明における「第1のフィルタ」に相当する。また、不活性ガス供給配管65が本発明における「第2の配管」に相当し、制御弁69が本発明における「第2の制御弁」に相当し、フィルタ71が本発明における「第2のフィルタ」に相当する。
【0061】
第2の分岐点63には、吸引配管73の一端側が連通接続されている。吸引配管73の他端側は、真空エジェクタ75の吸い込み口に連通接続されている。真空エジェクタ75の排出口は、排気主管33に連通接続されている。真空エジェクタ75は、供給口に圧縮空気が供給されると、吸い込み口から排出口に向かう気体の流れが形成される。吸引配管73は、吸引される気体の流通を制御する制御弁74を備えている。
【0062】
なお、制御弁74が本発明における「吸引制御弁」に相当する。
【0063】
上記の吸引配管73からの吸引は、例えば、次のように行われる。
【0064】
流通配管53からオゾンガスがチャンバ32に供給された後、オゾンガスを窒素ガスで置換する処理が行われる。その際には、不活性ガス供給配管65から窒素ガスが第1の分岐点61に供給される。その際に、吸引配管73による吸引を行わせる。これにより、フィルタ59やマスフローコントローラ57内に残留したオゾンガスが窒素ガスの流れにより、チャンバ32に引き込まれないようにできる。したがって、窒素ガスによるオゾンガスの置換に要する時間を短縮できる。また、機械的動作を含むマスフローコントローラ57及び制御弁55で発生する恐れがあるパーティクルが、窒素ガスの流れに引き込まれてチャンバ32に流入することを防止できる。
【0065】
真空エジェクタ75は、真空ポンプなどに比較して小型で安価である。したがって、基板処理装置1の小型化に貢献でき、コストの上昇も抑制できる。
【0066】
チャンバ32には、排気管77の一端側が連通接続されている。排気管77の他端側には、真空エジェクタ79の吸い込み口が連通接続されている。真空エジェクタ79の排出口は、排気主管33に連通接続されている。真空エジェクタ79に圧縮空気を供給して、真空エジェクタ79の吸い込み口から排出口に向かう排気流を形成するための供給口には、第1の供給管81の一端側が連通接続されている。第1の供給管81の他端側には、例えば、クリーンルームのユーティリティの一つである圧縮空気源が連通接続されている。
【0067】
第1の駆動管81は、圧縮空気源から真空エジェクタ79側に向かって流量調整弁83と開閉弁85とがその順に設けられている。流量調整弁83は、第1の流量Faで圧縮空気が第1の駆動管81を流通するように圧縮空気の流量を調整する。開閉弁85は、第1の駆動管81における、第1の流量Faに設定された圧縮空気の流通を制御する。第1の駆動管81における流量調整弁83より上流の部位と、第1の駆動管81における開閉弁85と真空エジェクタ79との間の部位とには、第2の駆動管87の両端部が連通接続されている。第2の駆動管87は、圧縮空気源側から真空エジェクタ79側に向かって流量調整弁89と、開閉弁91とがその順に設けられている。流量調整弁89は、第2の流量Fbで圧縮空気が第2の駆動管87を流通するように圧縮空気の流量を調整する。開閉弁91は、第2の駆動管87における、第2の流量Fbに設定された圧縮空気の流通を制御する。第2の流量Fbは、第1の流量Faよりも小さくなるように、流量調整弁83,89が設定されている。
【0068】
排気管77は、開閉弁93を備えている。排気管77は、開閉弁93とチャンバ32との間に、パージ管94の一端側が連通接続されている。パージ管94の他端側は、排気主管33に連通接続されている。パージ管94は、開閉弁95を備えている。開閉弁95は、パージ管94における気体の流通を制御する。
【0069】
上述した排気管77による排気は、次のように行われる。
【0070】
開閉弁85,89,93,95のうち、開閉弁93,85だけが開放されると、第1の流量Faにより真空エジェクタ79が動作される。これにより、排気管77を介して、チャンバ32内の気体が強く吸い出されて強排気される。開閉弁91,93だけが開放されると、第2の流量Fb(<第1の流量Fa)によって真空エジェクタ79が動作される。これにより、排気管77を介して、チャンバ32内の気体が弱く吸い出されて弱排気される。不活性ガス供給配管65から窒素ガスがチャンバ32に供給されている場合に、開閉弁95だけが開放されると、排気管77及びパージ管94を介してチャンバ32内の気体が窒素ガスだけによって押し出される。
【0071】
供給配管35は、補助配管97を備えている。補助配管97は、一端側が供給配管35に連通接続されている。補助配管97は、他端側が排気主管33に連通接続されている。補助配管97は、供給配管35から排気主管33に向かって、自動圧力調整器99と、制御弁101とを備えている。自動圧力調整器99は、供給配管35から分岐した補助配管97におけるオゾンガスの圧力が所定の第2の圧力P2(例えば、100kPa)に調整される。ここで、供給配管35におけるオゾンガスの流量は、第1の流量F1であり、供給配管35において補助配管97よりも各チャンバ32側に流れるオゾンガスを第2の流量F2とする。この場合、第1の流量F1と第2の流量F2との差分の流量をΔFとすると、補助配管97は、差分の流量ΔFが流通する。
【0072】
各オゾンガスベークユニット21は、チャンバ32の外部であって、各オゾンガスベークユニット21内の気体を排出する外部排気管103を備えている。外部排気管103は、チャンバ32や、上述した各種の配管や弁などの周囲の気体を、例えば、クリーンルームが備えている排気口に排気する。
【0073】
図4に示すように、基板処理装置1は、制御部111を備えている。制御部111は、CPUやメモリを備えている。制御部111は、オペレータが制御コンソール(不図示)を操作することにより、その操作に基づいて各部の動作を統括的に制御する。具体的には、制御部111は、インデクサブロック3におけるインデクサロボットIRの搬送制御、搬送ブロック7におけるセンターロボットCRの搬送制御、処理ブロック5における各処理ユニット15の処理制御、処理液供給ブロック9における各種処理液の送出制御、オゾンガス供給ユニット11及びオゾンガス分解ユニット13の動作制御を行う。
【0074】
制御部111は、オゾンガスの流量に関して、例えば、次のように各部の操作を行う。なお、オゾンガス供給ユニット11は、既に動作して、処理濃度のオゾンガスを供給できる状態にあり、制御弁51が開放されているとする。上述した制御部111は、以下に説明する流量の差分ΔFが所定値内に収まるように、各マスフローコントローラ57及び開閉弁55による流量に連動して、マスフローコントローラ99及び制御弁101によるオゾンガスの流量を調整する。
【0075】
図7に示すように、チャンバ32においてオゾンガスによる処理を行わない非処理時には、各制御弁55を閉止させるとともに、制御弁101を開放させる。これにより、供給配管35から各チャンバ32へはオゾンガスが供給されない。オゾンガス供給ユニット11から供給配管35に供給されているオゾンガスは、補助配管97を介して排気主管33に排出されている。この状態では、オゾンガス供給ユニット11の生成配管41におけるオゾンガスの圧力が第1の圧力P1(=200kPa)であり、補助配管97におけるオゾンガスの圧力が第2の圧力P2(=100kPa)である。また、流量については、例えば、生成配管41における第1の流量F1が100リットル/分であり、供給配管35における第2の流量F2が0リットル/分である。よって、第1の流量F1と第2の流量F2との差分である流量の差分ΔFが100リットル/分となる。
【0076】
ここで、図8を参照する。なお、図8は、オゾンガスによる処理時の説明に供する図である。
【0077】
チャンバ32においてオゾンガスによる処理を行う処理時、具体的には、4個のチャンバ32のうち、少なくとも1個のチャンバ32にオゾンガスを供給して、そのチャンバ32においてオゾンガスによる処理を行う処理時には、処理を行うチャンバ32の制御弁55を開放させる。このとき、制御弁101は開放されているものの、流量が調整されている。
【0078】
例えば、4個の全てチャンバ32でオゾンガスによる処理を行う場合には、各チャンバ32における処理の所要量に応じて、最大で20リットル/分の流量でオゾンガスが供給される。したがって、第2の流量F2は、最大で80リットル/分となる。第1の流量F1は、100リットル/分であるので、流量の差分ΔFは、最小で20リットル/分となる。このように、流量の差分ΔFが所定値内となるように、マスフローコントローラ99及び制御弁101を制御する。したがって、第1の流量F1を第2の流量F2が超えないように、オゾンガス供給ユニット11側に所定値分の余力を残すことができるので、各チャンバ32へのオゾンガスの供給を安定して行うことができる。また、逆に、マスフローコントローラ99と制御弁101により流量の差分ΔFを調整することにより、第2の流量F2を加減することができる。その結果、4個のチャンバ32の全てに対して一括してオゾンガスの流量を可変することもできる。これにより、各チャンバ32におけるマスフローコントローラ57を操作するよりも、流量の制御を簡易化できる。
【0079】
次に、図9を参照して、上述した基板処理装置1における処理について説明する。図9は、動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明においては、オゾンガス処理及びSPM処理に係る部分についてのみ詳細に説明し、その他の動作については簡略化あるいは省略する。また、発明の理解を容易にするために、1枚の基板Wの流れについてのみ説明する。
【0080】
ステップS1
オペレータは、基板処理装置1を起動する。さらに、これに連動してオゾンガス供給ユニット11及びオゾンガス分解ユニット13も起動する。これにより、制御部111の制御の下、処理濃度となるオゾンガスの生成をオゾンガス供給ユニット11が開始する。図5に示したように、処理濃度のオゾンガスを生成するには約2分程度を要する。
【0081】
ステップS2
制御部111は、オゾンガス供給ユニット11により処理濃度のオゾンガスが生成されるまでの所定時間が経過したか否を監視し、所定時間が経過した時点で次のステップS3に移行する。なお、オゾンガスの濃度が処理濃度に達する前であっても、図7に示すオゾンガスによる非処理時と同じように、生成されたオゾンガスは全て補助配管97を介して排気主管33を介して排気される。
【0082】
ステップS3
オペレータは、制御コンソール(不図示)から処理の開始を指示する。
【0083】
ステップS4
キャリアCに収容されている処理対象の基板Wがインデクサブロック3を介してパス部19に搬送され、センターロボットCRによりオゾンガスベークユニット21に搬入される。なお、次のステップS5にて基板Wがチャンバ32に搬入される処理前においては、制御部111は、制御弁69及びマスフローコントローラ67を操作して、チャンバ32に窒素ガスを供給する。さらに、制御部111は、流量調整弁89と開閉弁91により、真空エジェクタ79を動作させる。これにより、チャンバ32内が弱排気され、処理空間が不活性ガスで清浄な状態に保たれる。
【0084】
ステップS5
制御部111は、基板Wがチャンバ32に収容されると、昇降機構31により上部リッド27を下部リッド25に移動させる。これにより、チャンバ32が密閉される。このとき、制御部111は、流量調整弁89と開閉弁91を操作して第2の駆動管81による真空エジェクタ79の動作を停止させる。さらに、制御部111は、流量調整弁83及び開閉弁85により、真空エジェクタ79を動作させる。なお、不活性ガス供給配管65から供給される窒素ガスの流量よりも、真空エジェクタ79の吸い込み口の流量の方が大きい。これにより、チャンバ32内が強排気されるので、処理空間が負圧となる。そのため、上部リッド27が下部リッド25に対して強く密着され、チャンバ32が周囲に対して完全に密閉される。
【0085】
その後、制御部111は、熱処理プレート29に載置された基板Wの温度が所定温度(例えば、100~300℃)に上昇するまで待機する。基板Wの温度が所定温度に達すると、制御部111は、オゾンガスによる処理を開始する。
【0086】
具体的には、制御部111は、チャンバ32に処理濃度のオゾンガスが所要の流量で供給されるように、マスフローコントローラ57及び制御弁55を操作する。さらに、これにより、基板Wが載置されている処理空間に処理濃度のオゾンガスが供給される。オゾンガスが供給されている状態は、図10に矢付破線で示すようなものとなる。
【0087】
このとき、制御部111は、流量調整弁83及び開閉弁85を操作して強排気を停止する。さらに、制御部111は、流量調整弁89及び開閉弁91を操作して弱排気に切り換える。これにより、処理濃度のオゾンガスが処理空間に滞留するので、オゾンガスによる処理を十分に行わせることができる。所定のオゾンガスの処理時間が経過すると、制御部111は、マスフローコントローラ57及び制御弁55を操作して、チャンバ32へのオゾンガスの供給を停止する。
【0088】
次いで、制御部111は、チャンバ32内のオゾンガスを窒素ガスで置換する。具体的には、制御部111は、制御弁69及びマスフローコントローラ67を操作して、図6における不活性ガス供給配管65から窒素ガスをチャンバ32に供給する。窒素ガスが供給されている状態は、図11に矢付破線で示すようなものとなる。
【0089】
また、制御部111は、真空エジェクタ75を作動させるとともに、制御弁74を開放させ、吸引配管73による第2の分岐点63の吸引を行わせる。第2の分岐点63が吸引されている状態は、図11に矢付二点鎖線で示すようなものとなる。さらに、制御部111は、流量調整弁89及び開閉弁91を操作して弱排気を停止する。これとともに、制御部111は、流量調整弁83及び開閉弁85を操作して強排気にする。チャンバ32内を強排気としているので、効率的に処理空間のオゾンガスが窒素ガスで置換される。したがって、置換に要する時間を短縮できる。このとき、図11に矢付二点鎖線で示すように、第2の分岐点63の吸引を同時に行っているので、フィルタ59に残留しているオゾンが処理空間に混入することを防止できる。したがって、窒素ガスによる置換効率を向上できる。さらに、第2の分岐点63がフィルタ59とマスフローメータ57及び制御弁55との間に設けてあるので、マスフローメータ57及び制御弁55で発生しやすいパーティクルが処理空間に流入することを防止できる。したがって、基板Wを清浄に処理できる。
【0090】
なお、吸引配管73の吸引は、第1の分岐点61を介してチャンバ32に供給される窒素ガスの供給を妨げない吸引力で行われる。したがって、チャンバ32内におけるオゾンガスの窒素ガスによる置換を確実に行うことができる。
【0091】
窒素ガスによる置換が完了すると、制御部111は、流量調整弁83及び開閉弁85を操作して強排気を停止させる。制御部111は、開閉弁95を開放させる。これにより、不活性ガスがパージ管94を介して、その供給圧力だけで排出される。このときチャンバ32が陽圧になるので、昇降機構31による上部リッド25の上昇動作が円滑に行われる。制御部111は、上部リッド25が上昇された後、開閉弁95を閉止させるとともに、流量調整弁89及び開閉弁91を操作して弱排気とする。これにより処理空間を不活性ガスで清浄に保つ。制御部111は、図示しない冷却ユニットに基板Wを移動させて、基板Wを常温に戻す。
【0092】
ステップS6
制御部111は、センターロボットCRを操作して、オゾンガスベークユニット21から基板Wを取り出し、SPMユニット23に基板Wを搬送する。
【0093】
ステップS7
制御部111は、基板Wを加熱させた状態としつつ、基板Wの表面にSPMを供給する。これにより、SPMにより基板Wの表面のフォトレジスト被膜が除去される。このとき、オゾンガスによる前処理でフォトレジスト被膜の表面をある程度灰化しているので、フォトレジスト被膜の表面が硬化していても、少ない量のSPMによりフォトレジスト被膜を容易に除去できる。制御部111は、SPMによる基板Wの処理が完了した後、純水による洗浄処理及び乾燥処理を行う。
【0094】
ステップS8
制御部111は、センターロボットCRを操作して、基板Wをパス部19に搬送し、インデクサロボットIRを操作して基板WをキャリアCに戻す搬出を行う。このような一連の動作により、基板Wに対するフォトレジスト被膜の除去処理が行われる。
【0095】
本実施例によると、制御部111は、制御弁55を開放し、制御弁69を閉止した状態でチャンバ32内にオゾンガスを供給して基板Wを処理した後、制御弁55を閉止し、制御弁69を開放して、チャンバ32内に窒素ガスを供給する際に、吸引配管73による吸引を行わせる。そのため、オゾンガスが残留しているフィルタ59と、マスフローコントローラ57と、制御弁55とは、吸引配管73を介して吸引される。したがって、流通配管53では、第2の分岐点63からチャンバ32側への気体の流れが生じない。その結果、チャンバ32側に窒素ガスにオゾンガスが混入することが防止できので、オゾンガスの置換を短時間できるとともに、パーティクルによる汚染も防止できる。
【0096】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0097】
(1)上述した実施例では、4個のチャンバ32を備え、4本の流通配管53を備えた基板処理装置1を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、複数個のチャンバ32と複数本の流通配管53とを必須の構成とするものではない。つまり、本発明は、一つのチャンバ32と一つの流通配管53とを備えた基板処理装置1であって適用できる。
【0098】
(2)上述した実施例では、不活性ガスとして窒素ガスを採用している。しかしながら、本発明は、不活性ガスとして窒素ガスに限定されるものではなく、例えば、アルゴンガスであっても適用できる。
【0099】
(3)上述した実施例では、吸引配管73を真空エジェクタ75で吸引する構成を採用している。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、吸引配管73を真空ポンプなどの吸引手段で吸引するようにしてもよい。
【0100】
(4)上述した実施例では、基板処理装置1がオゾンガス分解ユニット13を備えているが、本発明は、オゾンガス分解ユニット13を必須とするものではない。
【0101】
(5)上述した実施例では、基板処理装置1がSPMユニット23を備えているが、本発明はSPMユニット23を必須とするものではない。例えば、オゾンガスベークユニット21で処理した基板Wを他の装置が備えているSPMユニット23で処理するようにしてもよい。
【0102】
(6)上述した実施例では、基板処理装置1がインデクサブロック3,搬送ブロック7、キャリア載置部17、パス部19などを備え、複数枚の基板Wを連続的に搬送して効率的に処理を行う構成をとっているが、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、本発明は、搬送系などを備えず、処理濃度のオゾンガスによる処理を行う構成を備えている基板処理装置であっても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本発明は、基板に対して、オゾンガスによる所定の処理を行う基板処理装置に適している。
【符号の説明】
【0104】
1 … 基板処理装置
W … 基板
3 … インデクサブロック
5 … 処理ブロック
7 … 搬送ブロック
9 … 処理液供給ブロック
11 … オゾンガス供給ユニット
13 … オゾンガス分解ユニット
15 … 処理ユニット
19 … パス部
TW1~TW4 … タワー
21 … オゾンガスベークユニット
23 … SPMユニット
25 … 下部リッド
27 … 上部リッド
29 … 熱処理プレート
31 … 昇降機構
32 … チャンバ
33 … 排気主管
35 … 供給配管
41 … 生成配管
43,57,67 … マスフローコントローラ
49,99 … 自動圧力調整器
51,55,69,74,101 … 制御弁
53 … 流通配管
59,71 … フィルタ
75、79 … 真空エジェクタ
61 … 第1の分岐点
63 … 第2の分岐点
65 … 不活性ガス供給配管
73 … 吸引配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11