IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本製鋼所の特許一覧

<>
  • 特開-射出成形機 図1
  • 特開-射出成形機 図2
  • 特開-射出成形機 図3
  • 特開-射出成形機 図4
  • 特開-射出成形機 図5
  • 特開-射出成形機 図6
  • 特開-射出成形機 図7
  • 特開-射出成形機 図8
  • 特開-射出成形機 図9
  • 特開-射出成形機 図10
  • 特開-射出成形機 図11
  • 特開-射出成形機 図12
  • 特開-射出成形機 図13
  • 特開-射出成形機 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183691
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20221206BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20221206BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20221206BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20221206BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/76
B22D17/26 Z
B22D17/22 K
B22D17/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091132
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】福田 佳吾
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AR16
4F206JA07
4F206JD03
4F206JL02
4F206JM02
4F206JM04
4F206JN11
4F206JN32
4F206JT02
4F206JT05
4F206JT33
4F206JT35
(57)【要約】
【課題】射出成形機のノイズ耐性を向上させる。
【解決手段】射出成形機100は、ベッド3と、成形品の射出成形を行うためにモータによって駆動される、ベッド3に固定された可動側部材5と、を有する。給電装置4は、3相交流電圧を直流電圧に変換する。サーボモータM1~M3は、可動側部材5に設けられ、可動側部材5を駆動する。サーボアンプA1~A3は、可動側部材5に設けられ、直流電源線を介して直流電圧が供給されることでサーボモータM1~M3を駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側部材と、成形品の射出成形を行うためにモータによって駆動される、前記固定側部材に固定された可動側部材と、を備える射出成形機であって、
3相交流電圧を直流電圧に変換する給電装置と、
前記可動側部材に設けられ、前記可動側部材を駆動する1つ以上のモータと、
前記可動側部材に設けられ、直流電源線を介して前記直流電圧が供給されることで前記1つ以上のモータのいずれかを駆動する少なくとも1つのサーボアンプと、を備える、
射出成形機。
【請求項2】
前記可動側部材に前記モータが2つ以上設けられる場合、前記サーボアンプは2つ以上の前記モータの一部又は全部に対応して前記可動側部材に設けられる、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記サーボアンプの一部又は全部に対応して前記可動側部材に設けられた、前記直流電源線に接続される蓄電器をさらに有する、
請求項1又は2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記直流電源線は、2本の電源線を含み、
前記蓄電器は、前記2本の電源線の間に接続されたコンデンサにより構成される、
請求項3に記載の射出成形機。
【請求項5】
1つの前記モータ及び前記1つのモータに対応して設けられた1つのサーボアンプとは、一体的なモータユニットとして構成される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項6】
1つの前記モータ、前記1つのモータに対応して設けられた1つのサーボアンプ及び前記1つのサーボアンプに対応して設けられた1つの前記蓄電器とは、一体的なモータユニットとして構成される、
請求項3又は4に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記可動側部材は、
金型を型締めする型締装置と、
前記成形品の材料を前記金型に射出する射出装置と、を備える、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記型締装置には、前記金型の開閉のために前記型締装置を駆動する前記モータである型締用モータと、前記金型から成形品を突き出す部材を駆動する前記モータである突き出し用モータと、が設けられ、
前記射出装置には、前記成形品の材料を前記金型に射出する材料を可塑化する部材を駆動する前記モータである可塑化用モータが設けられる、
請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記射出装置には、前記可塑化された前記成形品の材料を前記金型に射出する部材を駆動する前記モータである射出用モータがさらに設けられる、
請求項8に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記固定側部材は、物理的に分離された第1の固定側部材及び第2の固定側部材からなり、
前記可動側部材は、前記第1の固定側部材に固定された第1の可動側部材と、前記第2の固定側部材に固定された第2の可動側部材と、からなる、
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記第1の可動側部材は前記射出装置であり、前記第2の可動側部材は前記型締装置である、
請求項10に記載の射出成形機。
【請求項12】
前記給電装置は、前記第1の固定側部材及び前記第2の固定側部材のいずれか一方に設けられる、
請求項10又は11に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記給電装置は、前記第1の可動側部材に前記直流電圧を供給する、前記第1の固定側部材に設けられた第1の給電装置と、前記第2の可動側部材に前記直流電圧を供給する、前記第2の固定側部材に設けられた第2の給電装置と、からなる、
請求項10又は11に記載の射出成形機。
【請求項14】
前記給電装置は、前記第1の可動側部材に前記直流電圧を供給する、前記第1の可動側部材に設けられた第1の給電装置と、前記第2の可動側部材に前記直流電圧を供給する、前記第2の可動側部材に設けられたと第2の給電装置と、からなる、
請求項10又は11に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機には、一般に、基台(ベッド)上に、射出装置及び型締装置が設けられる。射出装置では、加熱シリンダ内にスクリュが挿入され、加熱シリンダ内でスクリュが回転方向及び軸方向に駆動されることで、材料の計量及び可塑化、材料の射出が行われる。電動射出成形機においては、スクリュは可塑化モータによって回転され、かつ、射出モータによって軸方向に駆動される。型締装置は、金型を開閉する機構が型締モータによって駆動され、金型から成形品を外すための突き出し機構が突き出しモータによって駆動される(特許文献1)。
【0003】
射出成形機には、工場電源から3相交流電圧が供給され、射出成形機に設けられたコンバータ(すなわち、交流直流変換器)にて直流電圧に変換される。直流電圧は、モータを駆動するサーボアンプに供給され、各モータには、接続されたサーボアンプから電流が供給される(特許文献2)。
【0004】
これらのコンバータ及びサーボアンプは、射出装置及び型締装置などの可動部が載置された基台の内部に搭載される(特許文献3)。サーボアンプと可動部に設けられたモータとの間は、電源線及び通信線などからなるケーブルによって接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-202800号公報
【特許文献2】特開2017-217836号公報
【特許文献3】特開2019-147344号公報
【特許文献4】特開2007-216285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の射出成形機では、サーボアンプとモータとの間は、比較的長い3相交流電源線で接続される。そのため、モータを駆動するときに3相交流電源線からノイズが放射されることが考え得る。また、3相交流電源線が比較的長くなることで、他のノイズ源から放射されたノイズが3相交流電源線に乗ってしまい、モータの駆動状態に影響するおそれもある。そのため、サーボアンプとモータとの間を接続する配線には、ノイズ対策が必要となる。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態においては、射出成形機は、固定側部材と、前記固定側部材に固定された可動側部材と、を有するものであって、給電装置と、前記可動側部材に設けられ、前記可動側部材を駆動する1つ以上のモータと、前記可動側部材に設けられ、前記直流電圧が供給されることで前記1つ以上のモータのいずれかを駆動する少なくとも1つのサーボアンプと、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、射出成形機のノイズ耐性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図である。
図2】実施の形態1にかかる射出装置の要部の拡大図である。
図3】実施の形態1にかかる型締装置のトグル機構の構成を模式的に示す図である。
図4】実施の形態1にかかる突き出し機構の構成を模式的に示す図である。
図5】実施の形態1にかかる射出成形機の電源系統を示す図である。
図6】一般的な射出成形機の電源系統を示す図である。
図7】実施の形態2にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図である。
図8】実施の形態2にかかる突き出し機構の構成を模式的に示す図である。
図9】実施の形態2にかかる射出成形機の電源系統を示す図である。
図10】実施の形態3にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図である。
図11】実施の形態3にかかる射出装置7の概略構成を示す図である。
図12】実施の形態4にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図である。
図13】給電装置が2つのベッドに分離して配置される射出成形機の構成を模式的に示す図である。
図14】2つの給電装置が可動側部材に配置された射出成形機の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に、実施の形態1にかかる射出成形機100の構成を模式的に示す側面図を示す。射出成形機100は、ベッド3と、ベッド3上に搭載された射出装置1及び型締装置2を有する。ベッド3には、射出装置1及び型締装置2を駆動するためのモータに電力を供給するための給電装置4が内蔵されている。
【0013】
ベッド3は、例えば床面に載置され、射出装置1及び型締装置2を固定するための固定側部材として構成される。射出装置1及び型締装置2は、成形品の射出成形を行うために、後述するようにベッド3、すなわち固定側部材に固定され、かつ、モータによって駆動される可動側部材5を構成している。
【0014】
射出装置1は、ベッド3上に設けられた基台15に取り付けられており、ホッパ13から加熱筒11に投入された樹脂ペレットを可塑化し、可塑化した樹脂を金型に注入する装置として構成される。加熱筒11内に投入された樹脂ペレットは、加熱筒11に挿入されたスクリュ12が回転しながら軸方向(+X方向、射出方向の反対方向)に後退することで可塑化(溶融)される。その後、スクリュ12が回転しながら軸方向(-X方向、射出方向)に前進することで、可塑化された材料が金型60内に射出される。スクリュ12は、射出用のサーボモータM1によって軸方向に駆動され、可塑化用のサーボモータM2によって回転方向に駆動される。
【0015】
射出用のサーボモータM1は、射出用のサーボアンプA1と共に、射出用モータユニットMU11として射出装置1に搭載される。サーボモータM1は、軸方向(X方向)が回転軸となるように基台15に固定される。この例では、サーボモータM1は、回転軸が射出方向とは反対方向(+X方向)に突き出すように、基台15に固定されている。サーボアンプA1は、サーボモータM1に対して射出方向(-X方向)の隣接する位置に取り付けられる。サーボアンプA1は、給電装置4から供給される直流電圧をインバータによって所定の周波数及び電圧の3相交流電圧に変換して、サーボモータM1に供給する。
【0016】
可塑化用のサーボモータM2は、可塑化用のサーボアンプA2と共に、可塑化用モータユニットMU12として射出装置1に搭載される。サーボモータM2は、軸方向(X方向)が回転軸となるように基台15に固定される。この例では、サーボモータM2は、回転軸が射出方向(-X方向)に突き出すように、基台15に固定されている。サーボアンプA2は、サーボモータM2に対して射出方向と反対方向(+X方向)の隣接する位置に取り付けられる。サーボアンプA2は、給電装置4から供給される直流電圧をインバータによって所定の周波数及び電圧の3相交流電圧に変換して、サーボモータM2に供給する。
【0017】
スクリュ12を軸方向(X方向)へ駆動させる機構について説明する。図2に、実施の形態1にかかる射出装置1の要部の拡大図を示す。スクリュ12の尾部(+X方向の端部)は、回転可能かつ軸方向(X方向)の移動が規制されるように、Y-Z平面を主面とする中間プレート51に軸受けされている。中間プレート51の上部にはボールナット52が固定されており、ボールナット52にはボールネジ53が螺合している。ボールネジ53の+X方向の端部にはプーリ55が固着され、サーボモータM1の回転軸にはプーリ54が固着されている。プーリ54とプーリ55との間にはベルトB1が張られており、ベルトB1によってプーリ54の回転力がプーリ55に伝達され、これによりボールネジ53を回転させることができる。
【0018】
以上の構成により、ボールネジ53が回転してボールナット52が固定された中間プレート51が軸方向(X方向)に駆動されることで、連動してスクリュが軸方向(X方向)に駆動される。中間プレート51が射出方向(-X方向)に駆動することで、ノズル14から溶融した材料を金型に射出することができる。中間プレート51が射出方向とは反対方向(+X方向)に駆動されることで、例えば、加熱筒11内に材料を導入することができる。
【0019】
次いで、スクリュ12を回転方向へ駆動させる機構について説明する。加熱筒11から中間プレート51へ向けて露出したスクリュ12の軸はプーリ57に挿通され、プーリ57はスクリュ12に固着されている。サーボモータM2の回転軸にはプーリ56が固着されている。プーリ56とプーリ57との間にはベルトB2が張られており、ベルトB2によってプーリ56の回転力がプーリ57に伝達され、これによりスクリュ12を回転させることができる。
【0020】
基台15は、図示しないサーボモータによって、軸方向に駆動可能に構成される。これにより、射出装置1を、X軸に沿った方向、すなわち型締装置2に近づく方向及び遠ざかる方向に移動させることができる。このサーボモータと、サーボモータの駆動力を基台15に伝達する機構については、図面の簡略化のため、図示を省略している。
【0021】
型締装置2は、成形品の金型60を型締めする装置であり、型締めに用いられるサーボモータM3と、成形品を金型から突き出すためのサーボモータM4と、が設けられる。型締装置2は、型締用のサーボモータM3を駆動することで、例えば軸方向(X方向)に2つに分離している金型をX方向に締め付けて固定する。また、金型に樹脂を射出して成形された成形品は、突き出し用のサーボモータM4を駆動することで、軸方向に駆動可能な突き出しピンを成形品に突き当てることで、例えば+X方向に成形品を突き出す。以下、型締装置2の構成及び動作について具体的に説明する。
【0022】
型締装置2は、トグル式型締装置として構成されている。図3に、実施の形態1にかかる型締装置2のトグル機構41の構成を模式的に示す。型締装置2では、Y-Z平面を主面とする板状部材である固定盤20、可動盤30及び型締ハウジング40とが軸方向(X方向)に離隔して配列されている。固定盤20は固定側金型61を保持するように構成され、可動盤30は可動側金型62を保持するように構成される。
【0023】
固定盤20と型締ハウジング40との間には、可動盤30を貫通する複数本のタイバー21が設けられている。この例では、4本のタイバー21が固定盤20と型締ハウジング40とを連結している。固定盤20の4つのコーナー近傍には、軸方向(X方向)に固定盤20を貫通する貫通孔が設けられており、これらの4つの貫通孔に4本のタイバー21の固定盤20の側の端部が挿通されて固定されている。型締ハウジング40の4つのコーナー近傍には、軸方向(X方向)に型締ハウジング40を貫通する貫通孔が設けられており、これらの4つの貫通孔に4本のタイバー21の型締ハウジング40の側の端部が挿通されて固定されている。可動盤30の4つのコーナー近傍には、軸方向(X方向)に可動盤30を貫通する貫通孔が設けられており、これらの4つの貫通孔に4本のタイバー21が挿通されている。但し、4本のタイバー21は可動盤30には固定されておらず、可動盤30は4本のタイバー21に対して軸方向(X方向)に摺動可能である。
【0024】
可動盤30と型締ハウジング40との間は、トグル機構41によって連結されている。トグル機構41は、一般的なトグル機構として構成することができ、この例では以下で説明する構成を有する。トグル機構41は、クロスヘッド42、ボールナット43、ボールネジ44、一対の第1リンク45、一対の第2リンク46及び一対の第3リンク47を有するものとして構成される。
【0025】
トグル機構41を駆動するクロスヘッド42はボールナット43に固定され、ボールナット43にはボールネジ44が螺合している。ボールネジ44は、回転可能かつ軸方向(X方向)の移動が規制されるように、型締ハウジング40に軸受けされている。
【0026】
第1リンク45は、Z-X平面を主面とする平板部材からなる棒状部材として構成される。第2のリンク46は、Z-X平面を主面とする平板部材からなる、概ねL字の形状を有する部材として構成される。第1リンク45は、Z-X平面を主面とする平板部材からなる比較的短い棒状部材として構成される。第1リンク45の一端は可動盤30にピン結合される。第2リンク46は、L字形状の屈曲部が成す鋭角が可動盤30に方向を向くように配置されており、第1リンク45の他端は第2リンク46のL字形状の屈曲部にピン結合される。第2リンク46の一端は型締ハウジング40にピン結合され、多端は第3リンク47の一端とピン結合される。第3リンク47の他端は、クロスヘッド42とピン結合される。なお、図3から明らかなように、ここでいうピン結合とは、第1リンク45~第3リンク47の主面(Z-X)方向の法線方向(Y方向)を軸とするピンによって2つの部材を回転可能に結合することを言う。
【0027】
型締用のサーボモータM3は、型締用のサーボアンプA3と共に、型締モータユニットMU13として型締装置2に搭載される。サーボモータM3は、型締ハウジング40の上に搭載される。この例では、サーボモータM3は、回転軸が射出方向(-X方向)に突き出すように、型締ハウジング40に固定されている。サーボアンプA3は、サーボモータM3に対して射出方向と反対方向(+X方向)の隣接する位置に取り付けられる。サーボアンプA3は、給電装置4から供給される直流電圧をインバータによって所定の周波数及び電圧の3相交流電圧に変換して、サーボモータM3に供給する。
【0028】
サーボモータM3の回転軸にはプーリ48が固着され、ボールネジ44にはプーリ49が固着されている。プーリ48とプーリ49との間にはベルトB3が張られており、ベルトB3によってプーリ48の回転力がプーリ49に伝達され、これによりボールネジ44を回転させることができる。
【0029】
以上の構成により、型締装置2では、ボールネジ44が回転してボールナット43が軸方向(X方向)に駆動されることで、連動してクロスヘッド42が軸方向(X方向)に駆動され、その結果、トグル機構41が駆動される。クロスヘッド42が型締ハウジング40に近づく方向(-X方向)に駆動される場合には、トグル機構41は、可動盤30と型締ハウジング40とを近づけるように駆動される。これにより、固定盤20に保持された固定側金型61と可動盤30に保持された可動側金型62との間を開くことができる。クロスヘッド42が型締ハウジング40から遠ざかる方向(+X方向)に駆動される場合には、トグル機構41は、可動盤30と型締ハウジング40とを遠ざけるように駆動される。これにより、固定盤20に保持された固定側金型61と可動盤30に保持された可動側金型62との間を閉じることができる。
【0030】
可動盤30には、金型から成形品を取り外すための突き出し機構が設けられている。図4に、実施の形態1にかかる突き出し機構31の構成を模式的に示す。突き出し機構31は、突き出しプレート32、ボールネジ33及び突き出しピン34を有する。
【0031】
ボールネジ33は、可動盤30から型締ハウジング40を向く方向(-X方向)に突き出しており、一端が回転可能かつ軸方向(X方向)の移動が規制されるように可動盤30に軸受けされている。ボールネジ33の突き出したネジ部分は、Y-Z平面を主面とする板状部材である突き出しプレート32の中央部に螺合している。突き出しプレート32からは、可動盤30を向く方向(+X方向)へ向けて、複数の突き出しピン34が延在している。可動盤30及び可動側金型62には複数の突き出しピンが挿通可能な貫通孔が設けられる。
【0032】
突き出し用のサーボモータM4は、突き出し用のサーボアンプA4と共に、突き出しモータユニットMU14として型締装置2に搭載される。サーボモータM4は、回転軸が射出方向(-X方向)に突き出すように、可動盤30に固定されている。サーボアンプA4は、サーボモータM4に対して上方(+Y方向)の隣接する位置に取り付けられる。サーボアンプA4は、給電装置4から供給される直流電圧をインバータによって所定の周波数及び電圧の3相交流電圧に変換して、サーボモータM4に供給する。
【0033】
サーボモータM4の回転軸にはプーリ35が固着され、ボールネジ33の他端にはプーリ36が固着されている。プーリ35とプーリ36との間にはベルトB4が張られており、ベルトB4によってプーリ35の回転力がプーリ36に伝達され、これによりボールネジ33を回転させることができる。
【0034】
以上の構成により、突き出し機構31では、ボールネジ33が回転して突き出しプレート32が軸方向(X方向)に駆動されることで、連動して複数の突き出しピン34が軸方向(X方向)に駆動される。突き出しプレート32が可動盤30に近づく方向(+X方向)に駆動される場合には、突き出しピン34が可動盤30及び可動側金型62に設けられた貫通孔に挿入される方向(+X方向)に駆動される。これにより、突き出しピン34が駆動されて可動側金型62の成形品側の表面から突き出すことで、成形品を可動側金型62から取り外すことができる。突き出しプレート32が可動盤30から遠ざかる方向(-X方向)に駆動される場合には、突き出しピン34が可動盤30及び可動側金型62に設けられた貫通孔から引き抜かれる方向(-X方向)に駆動される。これにより、突き出しピン34を貫通孔内に収容することができる。
【0035】
次いで、射出成形機100の電源系統について説明する。上述したように、射出成形機100では、樹脂を溶融して計量する計量工程や樹脂を射出する射出工程などが実行される。計量工程においてスクリュ12を回転方向に駆動するサーボモータM2は、長時間電力を消費するが瞬間的な電力の大きさは比較的小さい。これに対し、射出工程においてスクリュ12を軸方向に駆動するサーボモータM1は、駆動時間は短時間であるが大電力を消費する。つまり、射出成形機100が消費する電力は、工程により大きく変動する。従って、射出成形機100のモータに電力を供給する給電装置4は、消費される最大電力に対応可能な容量を有するものとして構成される。
【0036】
図5に、実施の形態1にかかる射出成形機100の電源系統を示す。射出成形機100には、3相交流電源SUPから3相交流電圧が供給される。3相交流電圧は給電装置4によって直流電圧に変換される。給電装置4にはコンバータ4Aが設けられ、供給される3相交流電圧を直流電圧に変換する。直流電圧を供給するための2本の電源線からなる直流電源線SLには、直流電圧によって充電可能に構成された蓄電器4Cが設けられる。この例では、蓄電器4Cは、直流電源線SLの2本の電源線の間に接続されたコンデンサとして構成されている。これにより、3相交流電圧の変動やコンバータ4Aの変換動作などの影響による直流電圧の変動を防止することが可能となる。なお、モータなどの負荷変動による直流電圧の変動も蓄電器4Cによって防止できることは言うまでもない。
【0037】
給電装置4から出力された直流電圧は、直流電源線SLによって、射出装置1に搭載されたサーボアンプA1及びA2と、型締装置2に搭載されたサーボアンプA3及びA4とに供給される。なお、給電装置4と、サーボアンプA1~A4との間は、射出成形機100の動作を制御する信号をやり取りするための通信線CLによって接続されている。
【0038】
直流電源線SLを通じて供給された直流電圧は、サーボアンプA1~A4によって3相交流電圧に変換及び増幅されて、3相交流電源線SL1~SL4を介して、それぞれサーボモータM1~M4へ出力される。なお、サーボアンプA1~A4とサーボモータM1~M4との間は、通信線CLを通じて伝送する信号を伝送するため、通信線CL1~CL4で接続される。
【0039】
続いて、射出成形機100の構成の利点の理解を容易にするため、一般的な射出成形機900の電源系統について説明する。図6に、一般的な射出成形機900の電源系統を示す。
【0040】
射出成形機900は、射出成形機100と比較して、給電装置の構成が異なっている。射出成形機900の給電装置901は、給電装置4にサーボアンプA1~A4が含まれる。すなわち、射出成形機100では、射出装置1及び型締装置2にサーボモータとサーボアンプが設けられていたのに対し、射出成形機900では、射出装置1及び型締装置2にサーボモータが設けられ、サーボアンプは給電装置に設けられている。
【0041】
具体的には、給電装置901では、コンバータ4Aから出力された直流電圧は、直流電源線SLを介して、サーボアンプA1~A4に供給される。また、コンバータ4AとサーボアンプA1~A4との間は、通信線CLによって接続されている。
【0042】
サーボアンプA1~A4に供給された直流電圧は3相交流電圧に変換及び増幅されて、3相交流電源線SL1~SL4を介して、射出装置1のサーボモータM1及びM2と、型締装置2のサーボモータM3及びM4と、へ出力される。
【0043】
射出成形機900では、給電装置901と可動側部材、すなわち射出装置1及び型締装置2との間は、3相交流電源線SL1~SL4及び通信線CL1~CL4とで接続されることとなる。その結果、射出成形機100と比べて電源線及び通信線の数が増えてしまう。これにより、3相交流電源線SL1~SL4から放射されるノイズが多くなり、ノイズの影響を低減するためにシールド等の機構を設けることとなる。
【0044】
これに対し、実施の形態1にかかる射出成形機100によれば、サーボアンプは、給電装置ではなく、サーボモータに近接して設けられている。よって、サーボアンプがベッド内の給電装置又は給電装置に近接した位置に設けられている一般的な射出成形機に比べて、サーボアンプとサーボモータを接続する3相交流電源線の長さを大幅に短縮することができる。これにより、サーボアンプとサーボモータを接続する3相交流電源線から放射ノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0045】
また、本構成では、サーボアンプと給電装置との間の比較的長い経路では直流電源が供給することで、サーボアンプとサーボモータを接続する3相交流電源線を短縮している。これにより、サーボアンプとサーボモータとの間のインピーダンスも低減できるので、この間の電圧低下を好適に防止することができる。かつ、サーボアンプとサーボモータとの間の損失を低減できるので、この間における電力損失を低減することができる。
【0046】
さらに、サーボアンプとサーボモータを接続する通信線の長さをも大幅に短縮することができるので、通信線の耐ノイズ性を大幅に向上させることができる。
【0047】
また、一般的な射出成形機ではベッド内に設けられていたサーボアンプを射出装置及び型締装置の側に設けることで、給電装置の小型化を実現することができる。これにより、ベッド内のスペースを確保できるとともに、ベッド内の機器レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0048】
サーボアンプは、一般にパワー半導体が搭載され、これらの素子による発熱の影響を考慮しなければならない。一般的な射出成形機のようにベッド内にサーボアンプを設ける場合には、例えば発熱素子にヒートシンクなどを取り付け、送風ファンによって冷却するなどの機構を設けなければならない。これに対し、本構成では、比較的発熱が大きなサーボアンプをベッドの外に設置できるので、このような冷却機構を設けなくてもよい点で、ベッド及び冷却機構の小型化の観点から有利である。
【0049】
本構成においては、サーボアンプは射出装置1又は型締装置2に分散して配置され、熱は射出装置1及び型締装置2の筐体を介し放熱される。そのため、サーボアンプあたりの放熱設計を簡素化することができる。具体的には、筐体に放熱フィンを設けたり、送風ファンを設けることで、サーボアンプを冷却することができる。また、元々サーボモータ等の冷却機構が設けられている場合には、サーボアンプも共に冷却することで、新たな冷却機構を設けずともサーボアンプを冷却することも可能である。
【0050】
本構成においては、射出装置1及び型締装置2からなる可動側部材5に設けられた各モータユニットと給電装置を接続する配線、すなわち直流電源線SL及び通信線CLの少なくとも3本の配線が露出配線となり、可動側部材5の動きに応じてこれらの配線には力が加わることとなる。これにより、直流電源線SL及び通信線CLには断線が生じるおそれがある。しかし、一般的な射出成形機では、可動側部材5に設けられた各モータと給電装置との間は、通信線CL及び3相交流電源線の少なくとも4本の配線で接続される。したがって、本構成によれば、一般的な射出成形機と比べて可動側部材5と給電装置との間の配線の本数を大幅に削減、例えば1/4に削減できるので、断線発生のリスクを効果的に低減することができる。
【0051】
また、サーボアンプとサーボモータとは同じ可動側部材5に搭載されることとなるため、可動側部材5が動いたとしても3相交流電源線に力が加わることはないので、直流電源線SLに比べて本数が多い3相交流電源線SL1~SL4の断線を好適に防止できる。
【0052】
本構成では、配線Wに断線が生じた場合には、4つのモータユニットの全ての動作に影響が出るため、故障箇所原因が各モータユニットであるか、配線Wの断線であるかを容易に見分けることも可能である。
【0053】
実施の形態2
実施の形態2にかかる射出成形機200について説明する。射出成形機100においては、各モータユニットはサーボモータ及びサーボアンプを有するものとして説明した。これに対し、射出成形機200では、サーボアンプの前段に蓄電器を追加したものとして構成される。
【0054】
図7に、実施の形態2にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図を示す。射出成形機200は、射出成形機100とは構成が異なる射出用モータユニットMU21、可塑化用モータユニットMU22、型締モータユニットMU23、突き出しモータユニットMU24及び給電装置4を有する。すなわち、射出成形機200は、射出成形機100の射出用モータユニットMU11、可塑化用モータユニットMU12、型締モータユニットMU13、突き出しモータユニットMU14及び給電装置4を、それぞれ射出用モータユニットMU21、可塑化用モータユニットMU22、型締モータユニットMU23及び突き出しモータユニットMU24に置換した構成を有する。なお、射出成形機200のその他の構成は、射出成形機100と同様である。
【0055】
射出用モータユニットMU21は、射出用モータユニットMU11と比べて、サーボアンプA1へ直流電圧を供給する2本の直流電源線の間に接続された、サーボモータM1の負荷変動による直流電圧の変動を防止するための蓄電器S1が追加されている。
【0056】
可塑化用モータユニットMU22は、可塑化用モータユニットMU12と比べて、サーボアンプA2へ直流電圧を供給する2本の直流電源線の間に接続された、サーボモータM2の負荷変動による直流電圧の変動を防止するための蓄電器S2が追加されている。
【0057】
型締モータユニットMU23は、型締モータユニットMU13と比べて、サーボアンプA3へ直流電圧を供給する2本の直流電源線の間に、サーボモータM3の負荷変動による直流電圧の変動を防止するための蓄電器S3が追加されている。
【0058】
図8に、実施の形態2にかかる突き出し機構31の構成を模式的に示す。突き出しモータユニットMU24は、突き出しモータユニットMU14と比べて、サーボアンプA4へ直流電圧を供給する2本の直流電源線の間に、サーボモータM4の負荷変動による直流電圧の変動を防止するための蓄電器S4が追加されている。
【0059】
この例では、蓄電器S1~S4は、サーボアンプA1~A4に接続される2本の直流電源線の間に接続されたコンデンサとして構成される。
【0060】
以上説明したように、本構成では、各サーボアンプに直流電圧を供給する2本の直流電源線の間に蓄電器を接続することで、直流電圧の変動を防止することができる。よって、モータの駆動をより高精度に制御することがかのうとなる。
【0061】
なお、各サーボアンプに設けられた蓄電器は、サーボモータの負荷変動だけでなく、3相交流電圧の変動やコンバータ4Aの変換動作などの影響による直流電圧の変動をも防止できることについては、言うまでもない。
【0062】
実施の形態3
実施の形態3にかかる射出成形機300について説明する。上述の実施の形態では、射出機構をモータによって駆動する、いわゆる電動式射出成形機について説明した。しかし、射出成形機には、射出機構を油圧によって駆動する射出成形機も考え得る(例えば、特許文献4)。
【0063】
図10に、実施の形態3にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図を示す。射出成形機300は、射出成形機100の射出装置1を射出装置7に置換した構成を有する。射出装置7は、射出機構、すなわちスクリュ12の軸方向の駆動を、モータではなく、油圧によって行うものとして構成される。よって、射出成形機300は、射出成形機100からサーボモータM1及びサーボアンプA2を除去し、かつ、油圧機構8を追加した構成を有する。この例では、油圧機構8はベッド3に内蔵されるものとしているが、油圧機構の位置はこれに限られない。
【0064】
図11に、実施の形態3にかかる射出装置7の概略構成を示す。射出装置7は、加熱筒71と、加熱筒71内に軸方向及び回転方向に駆動自在に設けられるスクリュ72とを有する。加熱筒71内にはホッパ73から成形材料が投入され、投入された材料が、スクリュ72の回転に伴って発生する摩擦熱やせん断熱及び加熱筒71の外周に設けられているヒータ74から加えられる熱によって溶融する。そして、溶融した材料は、スクリュ72の回転により混練されて、加熱筒71の前方に送られる。加熱筒71の先端にはノズル75が取り付けられている。材料を射出するときには、加熱筒71の先端部に蓄えられた溶融状態の成形材料が、ノズル75を通して、型閉じされた金型60のキャビティ60A内に注入される。
【0065】
スクリュ72は、サーボモータM2によって回転駆動されるとともに、射出用油圧シリンダ79の内部に設けられた射出ピストン80によって軸方向に駆動される。
【0066】
射出用油圧シリンダ79内は、射出ピストン80によって2つの室に仕切られており、前部(-X側)には前部室81Bが設けられ、後部(+X側)には後部室81Aが設けられている。後部室81Aには、油圧ポンプ82により、アキュムレータ83へ蓄圧された圧油が流量制御弁84を介して供給される。前部室81Bには、射出ピストン80の所望の保圧切換位置で射出ピストン80によって完全に又は大部分が塞がれる第1の油排出口85Aと、射出ピストン80の最前進位置においても射出ピストン80によって塞がれることのない第2の油排出口85Bとが設けられている。第1の油排出口85Aは射出用油圧シリンダ79の側面部に形成され、第2の油排出口85Bは射出用油圧シリンダ79の端面部に形成されている。
【0067】
第1の油排出口85Aは、流量制御弁86を介して油タンク87に繋がっており、射出工程において前部室81Bに蓄えられている作動油を油タンク87に排出するのに十分な大きさの開口面積を有している。また、第2の油排出口85Bは、流量制御弁88を介して油タンク87に繋がっており、保圧工程において前部室81Bにある作動油を油タンク87に排出する。ただし、第2の油排出口85Bは保圧工程の流量及び計量工程の射出ピストン80の後退(+X方向)に必要な流量の作動油を流せればよいので、第1の油排出口85Aに比べて開口面積が小さくてもよい。
【0068】
射出成形は、主として、計量工程、射出工程及び保圧工程からなる。計量工程では、固体状の成形材料をホッパ73から加熱筒71内に投入し、サーボモータM2によってスクリュ72を回転駆動させると同時に射出用油圧シリンダ79で軸方向後方(+X方向)に駆動させることにより、加熱筒71内において材料を溶融させながらその前方(-X方向)に送って計量する。射出工程では、計量値が所定の大きさに達したときに射出用油圧シリンダ79に圧油を供給することによりスクリュ72を軸方向前方(-X方向)に駆動して、計量された溶融状態の材料をノズル75から金型60のキャビティ60A内に射出する。保圧工程は、射出終了後に、材料の冷却に伴って生じる材料の収縮を補うために、加熱筒71内に残っている材料を通して金型60内の材料に圧力を加える工程である。これらの工程により、その材料をキャビティ60Aが有する所望の形状に成形することができる。
【0069】
以上説明したように、油圧式射出成形機である射出成形機300は、射出用のモータ及びサーボアンプを有しないため、これ以外のモータを駆動するサーボアンプA2~A4の一部又は全部が可動側部材に設けられることとなる。
【0070】
射出成形機300のその他の構成は、射出成形機100と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0071】
以上、本構成によれば、油圧式の射出成形機300においても、実施の形態1にかかる射出成形機100と同様に、少なくともサーボアンプの一部又は全部を可動側部材に設けることによる同様の効果を奏しうることが理解できる。
【0072】
実施の形態4
実施の形態4にかかる射出成形機について説明する。上述の実施の形態では、射出装置は一体として構成された1つの装置であるものとして説明した。しかし、射出装置は、射出装置側の部分と、型締装置側の部分と、に物理的に分離して構成されることが考え得る。この場合、用途に合わせて選択した射出装置側の部分と型締装置側の部分とを組み合わせて射出成形機を構成することができるので、射出成形機の構成の柔軟性を向上させることが期待できる。
【0073】
図12に、実施の形態4にかかる射出成形機の構成を模式的に示す側面図を示す。射出成形機400は、射出成形機100のベッド3を、射出装置1の側のベッド3Aと、型締装置2の側のベッド3Bと、に物理的に分離した構成を有する。射出装置1(第1の可動側部材とも称する)は、ベッド3A(第1の固定側部材とも称する)に固定される。型締装置2(第2の可動側部材とも称する)は、ベッド3B(第2の固定側部材とも称する)に固定される。
【0074】
図12の例では、給電装置4は、ベッド3Aに設けられる。なお、給電装置4の配置は例示に過ぎず、ベッド3Bに設けられてもよい。
【0075】
以上、本構成によれば、上述したように、射出装置側の部分401と型締装置側の部分402とを組み合わせて射出成形機400を構成する。これにより、射出成形機の構成の柔軟性を向上させることができる。
【0076】
なお、図12の例では、ベッド3A及びベッド3Bのいずれかに給電装置4が設けられていたが、給電装置の配置はこれに限られない。例えば、給電装置は、ベッド3A及びベッド3Bに分離して配置されてもよい。
【0077】
図13に、給電装置がベッド3A及びベッド3Bに分離して配置される射出成形機410の構成を模式的に示す。射出成形機410では、給電装置4は、配線W1を介して射出装置1に直流電圧を供給する給電装置91がベッド3Aに設けられ、配線W2を介して型締装置2に直流電圧を供給する給電装置92がベッド3Bに設けられる。射出成形機410のその他の構成については、射出成形機400と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0078】
本構成によれば、給電装置をベッド3A及びベッド3B、すなわち射出装置1の側と型締装置2の側とに分離して配置することで、射出装置1の側及び型締装置2の側のそれぞれの要求に応じた給電装置を設けることができる。これにより、射出装置1の側及び型締装置2の側のいずれかを交換する場合でも、交換される側の給電装置のみを変更すればよく、全ての給電装置を変更せずともよい点で有利である。
【0079】
また、給電装置91及び92は、ベッド内ではなく、ベッド上の可動側部材に配置されても。図14に、2つの給電装置が可動側部材に配置された射出成形機420の構成を模式的に示す。射出成形機420では、給電装置91が射出装置1に設けられ、給電装置92が型締装置2に設けられる。射出成形機420のその他の構成については、射出成形機410と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0080】
本構成によれば、給電装置91を射出装置1に、給電装置92を型締装置2に分離して配置することで、射出成形機410射出装置1の側及び型締装置2の側のそれぞれの要求に応じた給電装置を設けることができる。これにより、射出装置1の側及び型締装置2の側のいずれかを交換する場合でも、交換される側の給電装置のみを変更すればよく、全ての給電装置を変更せずともよい点で有利である。
【0081】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、 上述の実施の形態では、給電装置のコンバータには変換回路及び蓄電器が設けられるものとして説明したが、これは例示に過ぎない。コンバータは、変換回路及び蓄電器の他に、出力電流及び出力電流を制御可能なチョッパ回路などの他の回路やコンポーネントを適宜設けてもよい。
【0082】
上述の実施の形態では、サーボモータM1、サーボモータM2、サーボモータM3及びサーボモータM4は、それぞれベルトB1~B4を介して駆動力を伝達するものとしているが、これは例示に過ぎず、歯車機構等の各種の駆動力伝達手段を用いてもよい。
【0083】
実施の形態3にかかる射出成形機においても、実施の形態2にかかる射出装置と同様に、サーボアンプに直流電源を供給する2本の直流電源線の間に蓄電器を接続してもよい。
【0084】
実施の形態4にかかる射出成形機は、実施の形態1にかかる射出成形機を射出装置の側の部分と型締装置の側の部分とに分離する例について説明したが、実施の形態2及び3にかかる射出成形機を射出装置の側の部分と型締装置の側の部分とに分離する構成としてもよいことは、言うまでも無い。
【0085】
上述の実施の形態では、可動側部材に設けられたサーボモータのそれぞれに対応するサーボアンプが可動側部材に設けられているが、これは例示に過ぎない。必要に応じて、一部のサーボモータに対応するサーボアンプを可動側部材に設け、他の一部のサーボモータに対応するサーボアンプを固定側部材に設けてもよい。
【0086】
上述の実施の形態では、可動側部材に設けられたサーボアンプのそれぞれに対応する蓄電器が可動側部材に設けられているが、これは例示に過ぎない。必要に応じて、一部のサーボアンプに対応する蓄電器を可動側部材に設け、他の一部のサーボアンプに対応する蓄電器を固定側部材に設けてもよい。
【0087】
上述のモータユニットは、サーボモータとサーボアンプとが一体として構成された物理的に不可分のユニットとして構成されてもよい。また、上述のモータユニットは、サーボモータ、サーボアンプ及び蓄電器が一体として構成された物理的に不可分のユニットとして構成されてもよい。
【0088】
上述の実施の形態では、サーボモータとサーボアンプとがモータユニットを構成するものして説明したが、サーボモータとサーボアンプとは、必要に応じて分散して配置されてもよい。また、上述の実施の形態では、サーボモータ、サーボアンプ及び蓄電器がモータユニットを構成するものして説明したが、サーボモータ、サーボアンプ及び蓄電器の一部又は全部は、必要に応じて分散して配置されてもよい。
【0089】
上述の実施の形態では、射出される材料として樹脂を用いる例について説明したが、これは例示に過ぎず、例えば金属などの他の材料を射出する射出成形機に上述の実施の形態にかかる構成を適用してもよいことは、言うまでも無い。
【符号の説明】
【0090】
A1~A4 サーボアンプ
B1~B4 ベルト
M1~M4 サーボモータ
MU11、MU21 射出用モータユニット
MU12、MU22 可塑化用モータユニット
MU13、MU23 型締モータユニット
MU14、MU24 突き出しモータユニット
S1~S4 蓄電器
SUP 3相交流電源
1、7 射出装置
2 型締装置
3、3A、3B ベッド
4 給電装置
5 可動側部材
8 油圧機構
4A コンバータ
4B 変換回路
4C 蓄電器
11、71 加熱筒
12、72 スクリュ
13、73 ホッパ
14、75 ノズル
15 基台
20 固定盤
21 タイバー
30 可動盤
31 突き出し機構
32 突き出しプレート
33 ボールネジ
34 突き出しピン
35、36 プーリ
40 型締ハウジング
41 トグル機構
42 クロスヘッド
43 ボールナット
44 ボールネジ
45 第1リンク
46 第2リンク
47 第3リンク
48、49 プーリ
51 中間プレート
52 ボールナット
53 ボールネジ
54~57 プーリ
60 金型
60A キャビティ
61 固定側金型
62 可動側金型
74 ヒータ
79 射出用油圧シリンダ
80 射出ピストン
81A 後部室
81B 前部室
82 油圧ポンプ
83 アキュムレータ
84 流量制御弁
85A 第1の油排出口
85B 第2の油排出口
86、88 流量制御弁
87 油タンク
91 給電装置
92 給電装置
100、200、300、400、410、420、900 射出成形機
401 射出装置の側の部分
402 型締装置の側の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14