IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特開2022-183695静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法
<>
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図1
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図2
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図3
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図4
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図5
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図6
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図7
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図8
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図9
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図10
  • 特開-静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183695
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/04 20060101AFI20221206BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20221206BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F01D9/04
F01D9/02 104
F01D9/02 102
F01D25/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091137
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】大友 宏之
(72)【発明者】
【氏名】辻 良史
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA07
3G202GA08
3G202GB00
3G202GB01
3G202JJ02
3G202JJ09
3G202JJ16
(57)【要約】
【課題】熱応力の低減を図ることができる静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法を提供する。
【解決手段】静翼セグメントは、第1静翼と、第2静翼と、第1静翼と第2静翼とを結合する結合具と、を備える。第1静翼の第1シュラウドは、第1ガスパス面と、第1シュラウドの第1端部で反流路側に突出した第1突出部を有する。第2静翼の第2シュラウドは、第2ガスパス面と、第2シュラウドの第1端部で反流路側に突出した第2突出部と、第2シュラウドの第2端部で反流路側に突出し、結合具によって第1突出部と結合された第3突出部と、を有する。第1静翼と第2静翼とが並ぶ側方向で第1突出部と並ぶ領域において、第1シュラウドの第2端部の表面のなかで第1ガスパス面から最も離れた表面と第1ガスパス面との間の距離は、第2突出部の表面のなかで第2ガスパス面から最も離れた表面と第2ガスパス面との間の距離と比べて短い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1静翼と、
前記第1静翼と並ぶ第2静翼と、
前記第1静翼と前記第2静翼とを結合する結合具と、
を備え、
前記第2静翼は、前記第1静翼に対して、前記第1静翼と前記第2静翼とが並ぶ側方向における第1側と第2側とのうち前記第1側に位置し、
前記第1静翼及び前記第2静翼の各々は、
燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、
前記翼体の翼高さ方向における端に設けられたシュラウドと、
を有し、
前記第1静翼のシュラウドである第1シュラウドは、
前記燃焼ガス流路に面する第1ガスパス面と、
当該第1シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、前記燃焼ガス流路とは反対側である反流路側に突出した第1突出部と、
を有し、
前記第2静翼のシュラウドである第2シュラウドは、
前記燃焼ガス流路に面する第2ガスパス面と、
当該第2シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、前記反流路側に突出した第2突出部と、
当該第2シュラウドの前記第2側の端部である第2端部に位置し、前記反流路側に突出し、前記結合具によって前記第1突出部と結合された第3突出部と、
を有し、
前記第1突出部と前記側方向で並ぶ領域において、前記第1シュラウドの前記第2側の端部である第2端部の表面のなかで前記第1ガスパス面から最も離れた表面と前記第1ガスパス面との間の距離は、前記第2突出部の表面のなかで前記第2ガスパス面から最も離れた表面と前記第2ガスパス面との間の距離と比べて短い、
静翼セグメント。
【請求項2】
前記第1シュラウドは、前記第1ガスパス面を持つ第1シュラウド本体と、前記第1シュラウド本体の周縁に沿って設けられ、前記反流路側に突出して、冷却空気が流入するキャビディを形成した第1周壁を有し、
前記第2シュラウドは、前記第2ガスパス面を持つ第2シュラウド本体と、前記第2シュラウド本体の周縁に沿って設けられ、前記反流路側に突出して、冷却空気が流入するキャビディを形成した第2周壁を有し、
前記第1周壁及び前記第2周壁の各々は、
前記燃焼ガス流路内で燃焼ガスが流れてくる側である上流側を向く前壁と、
前記燃焼ガス流路内で前記燃焼ガスが流れて行く側である下流側を向く後壁と、
前記前壁と前記後壁とを、前記翼体に対する前記第1側でつなぐ第1側壁と、
前記前壁と前記後壁とを、前記翼体に対する前記第2側でつなぐ第2側壁と、
を有し、
前記第1突出部は、前記第1周壁の前記第1側壁から前記反流路側に突出し、
前記第2突出部は、前記第2周壁の前記第1側壁から前記反流路側に突出し、
前記第3突出部は、前記第2周壁の前記第2側壁から前記反流路側に突出している、
請求項1に記載の静翼セグメント。
【請求項3】
前記第1突出部と前記第2突出部とは、同じ外形を有する、
請求項1又は請求項2に記載の静翼セグメント。
【請求項4】
前記第1突出部は、前記結合具が通される孔を有し、
前記第1突出部と前記側方向で並ぶ領域において、前記第1シュラウドの前記第2端部の表面のなかで前記第1ガスパス面から最も離れた前記表面は、前記孔の内周面のなかで前記第1ガスパス面に最も近い表面と比べて、前記第1ガスパス面に近い、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の静翼セグメント。
【請求項5】
前記第1シュラウド及び前記第2シュラウドは、前記翼高さ方向で前記静翼セグメントの外周側に位置した外側シュラウドであり、前記第1突出部、前記第2突出部、及び前記第3突出部は、前記外周側に突出している、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の静翼セグメント。
【請求項6】
前記第1シュラウド及び前記第2シュラウドは、前記翼高さ方向で前記静翼セグメントの内周側に位置した内側シュラウドであり、前記第1突出部、前記第2突出部、及び前記第3突出部は、前記内周側に突出している、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の静翼セグメント。
【請求項7】
前記第1シュラウドは、
前記第1シュラウドの前記第1端部に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第1冷却通路と、
前記第1シュラウドの前記第2端部に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第2冷却通路と、
を有し、
前記第2シュラウドは、
前記第2シュラウドの前記第1端部に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第3冷却通路と、
前記第2シュラウドの前記第2端部に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第4冷却通路と、
を有し、
前記第2冷却通路を流れる冷却空気の流量は、前記第1冷却通路を流れる冷却空気の流量より多く、
前記第3冷却通路を流れる冷却空気の流量は、前記第4冷却通路を流れる冷却空気の流量より多い、
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の静翼セグメント。
【請求項8】
前記第1シュラウドは、
前記第1冷却通路を流れた冷却空気が当該第1シュラウドの外部に排気される第1排気口と、
前記第2冷却通路を流れた冷却空気が当該第1シュラウドの外部に排気される第2排気口と、
を有し、
前記第2シュラウドは、
前記第3冷却通路を流れた冷却空気が当該第2シュラウドの外部に排気される第3排気口と、
前記第4冷却通路を流れた冷却空気が当該第2シュラウドの外部に排気される第4排気口と、
を有し、
前記第2排気口の開口面積は、前記第1排気口の開口面積より大きく、
前記第3排気口の開口面積は、前記第4排気口の開口面積より大きい、
請求項7に記載の静翼セグメント。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の静翼セグメントと、
軸線を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの外周側を覆うケーシングと、
燃料の燃焼により燃焼ガスを生成し、前記ケーシング内に前記燃焼ガスを送る燃焼器と、
を備え、
前記静翼セグメントは、前記ケーシングの内周側に設けられている、
ガスタービン。
【請求項10】
第1静翼と第2静翼とが結合具で結合され、前記第2静翼が前記第1静翼に対して前記第1静翼と前記第2静翼とが並ぶ側方向における第1側と第2側とのうち前記第1側に位置した、静翼セグメントの製造方法であって、
それぞれ、燃焼ガス流路に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の翼高さ方向における端に設けられたシュラウドとを有し、前記シュラウドが、前記燃焼ガス流路に面するガスパス面と、当該シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置して前記燃焼ガス流路とは反対側である反流路側に突出した突出部と、当該シュラウドの前記第2側の端部である第2端部に位置して前記反流路側に突出した突出部とを含む、第1静翼部品及び第2静翼部品を準備し、
前記第1静翼部品の前記第2端部の前記突出部の少なくとも一部を除去して、前記第1静翼部品から前記第1静翼を形成し、
前記第2静翼部品の前記第1端部の前記突出部を残して、前記第2静翼部品から前記第2静翼を形成し、
前記第1静翼の前記第1端部の前記突出部と前記第2静翼の前記第2端部の前記突出部とを結合具で結合する、
静翼セグメントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンにおいて周方向に並ぶ2つの静翼が一体化された静翼セグメントが知られている。例えば特許文献1,2には、周方向に並ぶ第1静翼(腹側翼)と第2静翼(背側翼)とを一体化するため、第1静翼の背側端部に設けられたフランジと第2静翼の腹側端部に設けられたフランジとがボルトで結合された静翼セグメントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-125102号公報
【特許文献2】特開2001-254605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、静翼セグメントでは、ガスタービンの使用環境又は運転条件によっては大きな熱応力が作用する場合がある。その場合、ガスタービンの寿命が短くなる場合がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、熱応力の低減を図ることができる静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の静翼セグメントは、第1静翼と、前記第1静翼と並ぶ第2静翼と、前記第1静翼と前記第2静翼とを結合する結合具と、を備える。前記第2静翼は、前記第1静翼に対して、前記第1静翼と前記第2静翼とが並ぶ側方向における第1側と第2側とのうち前記第1側に位置する。前記第1静翼及び前記第2静翼の各々は、燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の翼高さ方向における端に設けられたシュラウドと、を有する。前記第1静翼のシュラウドである第1シュラウドは、前記燃焼ガス流路に面する第1ガスパス面と、当該第1シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、前記燃焼ガス流路とは反対側である反流路側に突出した第1突出部と、を有する。前記第2静翼のシュラウドである第2シュラウドは、前記燃焼ガス流路に面する第2ガスパス面と、当該第2シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、前記反流路側に突出した第2突出部と、当該第2シュラウドの前記第2側の端部である第2端部に位置し、前記反流路側に突出し、前記結合具によって前記第1突出部と結合された第3突出部と、を有する。前記第1突出部と前記側方向で並ぶ領域において、前記第1シュラウドの前記第2側の端部である第2端部の表面のなかで前記第1ガスパス面から最も離れた表面と前記第1ガスパス面との間の距離は、前記第2突出部の表面のなかで前記第2ガスパス面から最も離れた表面と前記第2ガスパス面との間の距離と比べて短い。
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のタービンは、静翼セグメントと、軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの外周側を覆うケーシングと、燃料の燃焼により燃焼ガスを生成し、前記ケーシング内に前記燃焼ガスを送る燃焼器と、を備える。前記静翼セグメントは、前記ケーシングの内周側に設けられている。前記静翼セグメントは、第1静翼と、前記第1静翼と並ぶ第2静翼と、前記第1静翼と前記第2静翼とを結合する結合具と、を備える。前記第2静翼は、前記第1静翼に対して、前記第1静翼と前記第2静翼とが並ぶ側方向における第1側と第2側とのうち前記第1側に位置する。前記第1静翼及び前記第2静翼の各々は、燃焼ガス流路内に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の翼高さ方向における端に設けられたシュラウドと、を有する。前記第1静翼のシュラウドである第1シュラウドは、前記燃焼ガス流路に面する第1ガスパス面と、当該第1シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、前記燃焼ガス流路とは反対側である反流路側に突出した第1突出部と、を有する。前記第2静翼のシュラウドである第2シュラウドは、前記燃焼ガス流路に面する第2ガスパス面と、当該第2シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、前記反流路側に突出した第2突出部と、当該第2シュラウドの前記第2側の端部である第2端部に位置し、前記反流路側に突出し、前記結合具によって前記第1突出部と結合された第3突出部と、を有する。前記第1突出部と前記側方向で並ぶ領域において、前記第1シュラウドの前記第2側の端部である第2端部の表面のなかで前記第1ガスパス面から最も離れた表面と前記第1ガスパス面との間の距離は、前記第2突出部の表面のなかで前記第2ガスパス面から最も離れた表面と前記第2ガスパス面との間の距離と比べて短い。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の静翼セグメントの製造方法は、第1静翼と第2静翼とが結合具で結合され、前記第2静翼が前記第1静翼に対して前記第1静翼と前記第2静翼とが並ぶ側方向における第1側と第2側とのうち前記第1側に位置した、静翼セグメントの製造方法であって、それぞれ、燃焼ガス流路に配置されて翼形を成す翼体と、前記翼体の翼高さ方向における端に設けられたシュラウドとを有し、前記シュラウドが、前記燃焼ガス流路に面するガスパス面と、当該シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置して前記燃焼ガス流路とは反対側である反流路側に突出した突出部と、当該シュラウドの前記第2側の端部である第2端部に位置して前記反流路側に突出した突出部とを含む、第1静翼部品及び第2静翼部品を準備し、前記第1静翼部品の前記第2端部の前記突出部の少なくとも一部を除去して、前記第1静翼部品から前記第1静翼を形成し、前記第2静翼部品の前記第1端部の前記突出部を残して、前記第2静翼部品から前記第2静翼を形成し、前記第1静翼の前記第1端部の前記突出部と前記第2静翼の前記第2端部の前記突出部とを結合具で結合する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法によれば、熱応力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係るガスタービンの全体を模式的に示す断面図である。
図2】本開示の実施形態に係るガスタービンの一部を拡大して示す断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る静翼セグメントを示す斜視図である。
図4】本開示の実施形態に係る第1静翼を拡大して示す斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係る静翼セグメントの一部を模式的に示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態に係る静翼セグメントを模式的に示す断面図である。
図7図3中に示された外側シュラウドのF7-F7線に沿う断面図である。
図8】本開示の実施形態に係る静翼セグメントを斜め後方から見た場合を示す斜視図である。
図9】本開示の実施形態に係る静翼セグメントの製造方法の手順を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施形態に係る静翼セグメントの製造方法を説明するための断面図である。
図11】本開示の実施形態の変形例に係る静翼セグメントを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る静翼セグメント、ガスタービン、及び静翼セグメントの製造方法について、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0012】
<実施形態>
(ガスタービンの構成)
図1は、実施形態のガスタービン10の全体を模式的に示す断面図である。ガスタービン10は、空気Aを圧縮する圧縮機20と、圧縮機20で圧縮された空気A中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスGを生成する燃焼器30と、燃焼ガスGにより駆動するタービン40と、を備えている。
【0013】
圧縮機20は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ21と、圧縮機ロータ21の外周側を覆う圧縮機車室25と、複数の静翼段26と、を有する。タービン40は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ41と、タービンロータ41の外周側を覆うタービン車室45と、複数の静翼段46と、を有する。タービン車室45は、「ケーシング」の一例である。
【0014】
圧縮機ロータ21とタービンロータ41とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ11を成す。ガスタービンロータ11には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。圧縮機車室25とタービン車室45とは、互いに接続されてガスタービン車室15を成す。以下の説明では、軸線Arが延びる方向を軸線方向Da、軸線Arを中心とした周方向を周方向Dc、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drと定義する。軸線方向Daでタービン40を基準にして圧縮機20側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadと定義する。以下では、軸線方向Daの軸線上流側Dauを前側、軸線方向Daの軸線下流側Dadを後側と称する場合がある。また、周方向Dcを側方向Dcと称する場合がある。また、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droと定義する。
【0015】
圧縮機ロータ21は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びたロータ軸22と、ロータ軸22に取り付けられている複数の動翼段23と、を有する。複数の動翼段23は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼段23は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼23aで構成されている。複数の動翼段23の各軸線下流側Dadには、静翼段26が配置されている。各静翼段26は、圧縮機車室25の内側に設けられている。各静翼段26は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼26aで構成されている。
【0016】
タービンロータ41は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びたロータ軸42と、ロータ軸42に取り付けられている複数の動翼段43と、を有する。複数の動翼段43は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼段43は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼43aで構成されている。複数の動翼段43の各軸線上流側Dauには、静翼段46が配置されている。各静翼段46は、タービン車室45の内側に設けられている。各静翼段46は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数のガスタービン静翼46aで構成されている。以下の説明では、ガスタービン静翼を単に静翼と呼ぶ。
【0017】
図2は、実施形態のガスタービン10の一部を拡大して示す断面図である。タービン車室45は、当該タービン車室45の外殻を構成する筒状の外側車室45aと、外側車室45aの内側に固定されている内側車室45bと、内側車室45bの内側に固定されている複数の分割環45cと、を有する。複数の分割環45cは、いずれも、複数の静翼段46において隣り合う2つの静翼段46の間の位置に設けられている。各分割環45cの径方向内側Driには、動翼段43が配置されている。
【0018】
径方向Drにおけるロータ軸42とタービン車室45との間であって、静翼46a及び動翼43aが配置されている空間は、燃焼器30からの燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路49を成す。燃焼ガス流路49は、軸線Arを中心とした環状を成し、軸線方向Daに長い。タービン車室45の内側車室45bには、径方向外側Droから径方向内側Driに貫通する冷却空気通路45pが形成されている。冷却空気通路45pを通った冷却空気は、静翼46a内及び分割環45c内に導入されて、静翼46a及び分割環45cの冷却に利用される。なお、ガスタービン車室15内の空気が冷却空気通路45pを介して静翼段46に冷却空気として供給される場合について説明したが、静翼46aへ冷却空気を供給する経路は、上記に限られない。
【0019】
(ガスタービンの動作)
図1に戻り、ガスタービン10の動作について説明する。圧縮機20は、空気Aを圧縮して圧縮空気を生成する。圧縮機20により生成された圧縮空気は、燃焼器30内に流入する。燃焼器30には、燃料Fが供給される。燃焼器30内では、圧縮空気中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスGが生成される。燃焼器30により生成された燃焼ガスGは、燃焼器30からタービン40内の燃焼ガス流路49に送られる。燃焼ガスGは、燃焼ガス流路49を軸線下流側Dadへ流れる過程で、タービンロータ41を回転させる。このタービンロータ41の回転で、ガスタービンロータ11に接続されている発電機GENのロータが回転する。その結果、発電機GENは発電する。
【0020】
(静翼セグメントの構成)
図3は、実施形態の静翼セグメント46Sを示す斜視図である。本実施形態のタービン40の静翼段46は、側方向Dcに並んで配置された複数の静翼セグメント46S(図3中では1つの静翼セグメント46Sのみ図示)を備えている。以下に説明する静翼セグメント46Sは、例えば軸線上流側Dauから見て2段目の静翼段46に適用可能であるが、他の段の静翼段46に適用されてもよい。静翼セグメント46Sは、周方向Dcに並ぶ2つの静翼46aである第1静翼46aA及び第2静翼46aBと、これら第1静翼46aAと第2静翼46aBとを結合する結合具Btと、を少なくとも備えている。静翼セグメント46Sは、周方向Dcで隣り合う2つの静翼46aを結合具Btにより結合させた組品である。静翼セグメント46Sは、「静翼組品」と称されてもよい。
【0021】
本実施形態では、第2静翼46aBは、第1静翼46aAに対して、第1静翼46aAと第2静翼46aBとが並ぶ周方向Dcにおける負圧側と正圧側とのうち負圧側に位置する。すなわち、第2静翼46aBは、第1静翼46aAに対して、後述する翼体51の背側に位置する。「背側」とは、翼体51が凸状となる側を意味する。一方で、「腹側」とは、「背側」の反対側を意味し、翼体51が凹状となる側を意味する。
【0022】
本実施形態では、第1静翼46aA及び第2静翼46aBは、後述するフランジに関する構成を除き、互いに同じ形状を有する。このため以下では、第1静翼46aAの構成を代表して詳しく説明する。第2静翼46aBに関する説明は、第1静翼46aAに関する以下の説明において、「第1静翼46aA」を「第2静翼46aB」と読み替えればよい。
【0023】
図4は、第1静翼46aAを拡大して示す斜視図である。第1静翼46aAは、翼体51と、外側シュラウド60と、内側シュラウド70と、を少なくとも有している。翼体51は、翼形を成し径方向Drに延びている。つまり、翼体51の翼高さ方向は、径方向Drである。翼体51は、燃焼ガスGが通る燃焼ガス流路49(図2参照)内に配置される。外側シュラウド60は、翼体51の径方向外側Droの端に設けられている。すなわち、外側シュラウド60は、翼体51の翼高さ方向で静翼セグメント46Sの外周側(径方向外側Dro)に位置し、環状の燃焼ガス流路49の外周側位置を規定する。一方で、内側シュラウド70は、翼体51の径方向内側Driの端に設けられている。すなわち、内側シュラウド70は、翼体51の翼高さ方向で静翼セグメント46Sの内周側(径方向内側Dri)に位置し、環状の燃焼ガス流路49の内周側位置を規定する。
【0024】
(翼体の構成)
翼体51のうち軸線上流側Dauの端部は、前縁部52を成す。一方で、翼体51のうち軸線下流側Dadの端部は、後縁部53を成す。翼体51の表面で、周方向Dcを向く面のうち、凸状の面が背側面55n(=負圧面)を成し、凹状の面が腹側面55p(=正圧面)を成す。以下の説明では、周方向Dcで腹側面55pに対して背側面55nが存在する側を周方向背側Dcn、周方向Dcで背側面55nに対して腹側面55pが存在する側を周方向腹側Dcpと定義する。
【0025】
翼体51には、径方向Drに延びる複数の翼空気通路56が形成されている。各翼空気通路56は、いずれも、外側シュラウド60から、翼体51の内部を経て、内側シュラウド70にまで連なって形成されている。複数の翼空気通路56のうち隣接する翼空気通路56の一部は、径方向外側Droの部分又は径方向内側Driの部分で互いに連通している。複数の翼空気通路56のうちいずれかは、外側シュラウド60における凹部66(後述)の底に開口している。複数の翼空気通路56のうちいずれかは、内側シュラウド70における凹部76(後述)の底に開口している。翼空気通路56は、翼体51の前縁部52又は後縁部53に設けられた複数の開口51hと連通している。翼空気通路56を流れる冷却空気の一部は、翼体51を冷却した後、複数の開口51hから燃焼ガス流路49に流入する。
【0026】
(外側シュラウドの構成)
外側シュラウド60は、外側シュラウド本体61と、外側周壁65と、衝突板67と、背側フランジ68nAと、を有する。背側フランジ68nAについては後述する。
【0027】
外側シュラウド本体61は、軸線方向Da及び周方向Dcに広がる板状に形成されている。外側シュラウド本体61は、前端面62fと、後端面62bと、背側端面62nと、腹側端面62pと、ガスパス面63と、外側内面64と、を有している。前端面62fは、軸線上流側Dauを向く端面である。後端面62bは、前端面62fと背合わせの関係を成し、軸線下流側Dadを向く端面である。背側端面62nは、前端面62fと後端面62bとを翼体51の背側面55nに近い側でつなぎ、周方向背側Dcnを向く端面である。腹側端面62pは、前端面62fと後端面62bとを翼体51の腹側面55pに近い側でつなぎ、周方向腹側Dcpを向く端面である。本実施形態では、前端面62fと後端面62bとが略平行であり、背側端面62nと腹側端面62pとが略平行である。これにより、外側シュラウド本体61は、径方向Drから見て平行四辺形状である。ガスパス面63は、燃焼ガスGに接する面(燃焼ガス通路49に面する面)であり、径方向内側Driを向いている。外側内面64は、ガスパス面63と反対側を向く面である。
【0028】
外側周壁65は、外側シュラウド本体61の外周縁に沿って外側シュラウド本体61から径方向外側Dro(すなわち燃焼ガス流路49とは反対側である反流路側)に突出している。本実施形態では、外側周壁65は、外側シュラウド本体61の外周縁の全周に亘り形成されている。外側周壁65は、前壁65fと、後壁65bと、背側壁65nと、腹側壁65pとを、有する。前壁65fは、外側シュラウド本体61の前端面62fに沿って周方向Dcに延びており、軸線上流側Dauを向いている。後壁65bは、外側シュラウド本体61の後端面62bに沿って周方向Dcに延びており、軸線下流側Dadを向いている。背側壁65nは、外側シュラウド本体61の背側端面62nに沿って延びており、周方向背側Dcnを向いている。背側壁65nは、前壁65fと後壁65bとを、翼体51の背側面55nに近い側で繋いでいる。腹側壁65pは、外側シュラウド本体61の腹側端面62pに沿って延びており、周方向腹側Dcpを向いている。腹側壁65pは、前壁65fと後壁65bとを、翼体51の腹側面55pに近い側で繋いでいる。前壁65f及び後壁65bは、いずれも背側壁65n及び腹側壁65pよりも径方向外側Droに大きく突出して、フック部を成している。このフック部を成す前壁65f及び後壁65bにより、静翼46aは、タービン車室45(図2参照)の内周側に取り付けられる。
【0029】
外側周壁65は、外側シュラウド本体61の剛性を高めており、これにより外側シュラウド本体61をより薄板に形成することができる。また本実施形態では、外側シュラウド60には、外側シュラウド本体61と外側周壁65とにより、径方向内側Driに向かって凹む凹部66が形成されている。凹部66にはあ、衝突板67が設けられている。
【0030】
衝突板67は、外側シュラウド60の凹部66を、径方向外側Droの領域と径方向内側Driの領域であるキャビティCAとに仕切っている。キャビティCAは、外側シュラウド本体61の径方向外側Droを向く面である外側内面64と、衝突板67の径方向内側Driを向く面と、外側周壁65(前壁65f、後壁65b、背側壁65n、腹側壁65p)の内壁面65aとで囲まれた領域内に形成される。衝突板67には、径方向Drに貫通する複数の空気孔67hが形成されている。静翼46aの径方向外側Droに存在する冷却空気Acの一部は、衝突板67の空気孔67hを経て、キャビティCA内に流入する。キャビティCA内に流入した空気の一部は、外側シュラウド60を冷却した後、後述する冷却通路を通じて燃焼ガス流路49に排気される。
【0031】
(内側シュラウドの構成)
内側シュラウド70は、内側シュラウド本体71と、内側周壁75と、背側フランジ78nA(図6参照)と、腹側フランジ78pAと、を有する。背側フランジ78nA及び腹側フランジ78pAについては、後述する。
【0032】
内側シュラウド本体71は、軸線方向Da及び周方向Dcに広がる板状に形成されている。内側シュラウド本体71は、前端面72fと、後端面72bと、背側端面72nと、腹側端面72pと、ガスパス面73と、内側内面74(図6参照)と、を有している。内側シュラウド本体71の前端面72f、後端面72b、背側端面72n、及び腹側端面72pは、外側シュラウド本体61の前端面62f、後端面62b、背側端面62n、及び腹側端面62pとそれぞれ同様であるため、詳しい説明は省略する。ガスパス面73は、燃焼ガスGに接する面(燃焼ガス通路49に面する面)であり、径方向外側Droを向いている。内側内面74は、ガスパス面73と反対側を向く面である。
【0033】
内側周壁75は、内側シュラウド本体71の外周縁に沿って内側シュラウド本体71から径方向内側Dri(すなわち燃焼ガス流路49とは反対側である反流路側)に突出している。本実施形態では、内側周壁75は、内側シュラウド本体71の外周縁の全周に亘り形成されている。内側周壁75は、前壁75fと、後壁75bと、背側壁75n(図6参照)と、腹側壁75pとを、有する。前壁75fは、内側シュラウド本体71の前端面72fに沿って周方向Dcに延びており、軸線上流側Dauを向いている。後壁75bは、内側シュラウド本体71の後端面72bに沿って周方向Dcに延びており、軸線下流側Dadを向いている。背側壁75nは、内側シュラウド本体71の背側端面72nに沿って延びており、周方向背側Dcnを向いている。背側壁75nは、前壁75fと後壁75bとを、翼体51の背側面55nに近い側で繋いでいる。腹側壁75pは、内側シュラウド本体71の腹側端面72pに沿って延びており、周方向腹側Dcpを向いている。腹側壁75pは、前壁75fと後壁75bとを、翼体51の腹側面55pに近い側で繋いでいる。内側シュラウド70には、内側シュラウド本体71と内側周壁75とにより、径方向外側Droに向かって凹む凹部76が形成されている(図6参照)。内側周壁75は、内側シュラウド本体71の剛性を高めており、これにより内側シュラウド本体71をより薄板に形成することができる。
【0034】
以上、第1静翼46aAの外側シュラウド60及び内側シュラウド70について説明した。第1静翼46aAの外側シュラウド60は、「第1シュラウド」の一例である。第1静翼46aAの外側シュラウド本体61は、「第1シュラウド本体」の一例である。第1静翼46aAのガスパス面63は、「第1ガスパス面」の一例である。第1静翼46aAの外側周壁65は、「第1周壁」の一例である。以下では説明の便宜上、第1静翼46aAの外側シュラウド60を「外側シュラウド60A」と称し、第1静翼46aAの内側シュラウド70を「内側シュラウド70A」と称する。また、第1静翼46aAのガスパス面63を「ガスパス面63A」と称し、第1静翼46aAのガスパス面73を「ガスパス面73A」と称する。
【0035】
上述したように、第2静翼46aBは、フランジに関する構成を除き、第1静翼46aAと同じ形状を有する。すなわち、第2静翼46aBは、第1静翼46aAと同様に、翼体51と、外側シュラウド60と、内側シュラウド70とを有する。第2静翼46aBの外側シュラウド60は、「第2シュラウド」の一例である。第2静翼46aBの外側シュラウド本体61は、「第2シュラウド本体」の一例である。第2静翼46aBのガスパス面63は、「第2ガスパス面」の一例である。第2静翼46aBの外側周壁65は、「第2周壁」の一例である。以下では説明の便宜上、第2静翼46aBの外側シュラウド60を「外側シュラウド60B」と称し、第2静翼46aBの内側シュラウド70を「内側シュラウド70B」と称する。また、第2静翼46aBのガスパス面63を「ガスパス面63B」と称し、第2静翼46aBのガスパス面73を「ガスパス面73B」と称する。
【0036】
(フランジの構成)
次に図3に戻り、フランジに関する構成について説明する。
まず、第1静翼46aAの外側シュラウド60Aについて説明する。本実施形態では、外側シュラウド60Aは、背側フランジ68nAを有する。本明細書で「フランジ」とは、例えば板状に突出した突出部を広く意味する。
【0037】
背側フランジ68nAは、外側シュラウド60Aの背側端部EnAに位置し、径方向外側Droに突出している。「背側端部EnA」とは、外側シュラウド60Aにおいて周方向背側Dcn(すなわち負圧側)に位置する端部(第2静翼46aBに面する端部)である。本実施形態では、背側フランジ68nAは、外側周壁65の背側壁65nに設けられ、背側壁65nから径方向外側Droに向かって突出している。背側フランジ68nAは、軸線方向Daにおいて、背側壁65nの一部に設けられている。例えば、背側フランジ68nAは、軸線方向Daにおいて、背側壁65nの中間部に配置されている。背側フランジ68nAには、後述する結合具Btが通される1つ以上(例えば複数)の挿通孔68nhが設けられている。挿通孔68nhは、「結合具が通される孔」の一例である。背側フランジ68nAは、「第1背側突出部」の一例である。
【0038】
本実施形態では、外側シュラウド60Aの腹側端部EpAには、フランジは設けられていない。「腹側端部EpA」とは、外側シュラウド60Aにおいて周方向腹側Dcp(すなわち正圧側)に位置する端部(第2静翼46aBとは反対側に向いた端部)である。
【0039】
次に、第2静翼46aBの外側シュラウド60Bについて説明する。本実施形態では、外側シュラウド60Bは、背側フランジ68nBと、腹側フランジ68pBと、を有する。
【0040】
背側フランジ68nBは、外側シュラウド60Bの背側端部EnBに位置し、径方向外側Droに突出している。「背側端部EnB」とは、外側シュラウド60Bにおいて周方向背側Dcn(すなわち負圧側)に位置する端部(第1静翼46aAとは反対側に向いた端部)である。本実施形態では、背側フランジ68nBは、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと同じ外形を有する。ここで「同じ外形」とは、結合具Btが通される挿通孔の有無が異なる場合も含み得る。この定義は以下で同じである。本実施形態では、背側フランジ68nBは、外側周壁65の背側壁65nに設けられ、背側壁65nから径方向外側Droに向かって突出している。背側フランジ68nBは、軸線方向Daにおいて、背側壁65nの一部に設けられている。例えば、背側フランジ68nBは、軸線方向Daにおいて、背側壁65nの中間部に配置されている。背側フランジ68nBには、結合具Btが通される挿通孔は設けられていない。背側フランジ68nBは、「第2背側突出部」の一例である。
【0041】
一方で、腹側フランジ68pBは、外側シュラウド60Bの腹側端部EpBに位置し、径方向外側Droに突出している。「腹側端部EpB」とは、外側シュラウド60Bにおいて周方向腹側Dcp(すなわち正圧側)に位置する端部(第1静翼46aAに面する端部)である。本実施形態では、腹側フランジ68pBは、外側周壁65の腹側壁65pに設けられ、腹側壁65pから径方向外側Droに向かって突出している。本実施形態では、腹側フランジ68pBは、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと同じ外形を有する。腹側フランジ68pBは、軸線方向Daにおいて、腹側壁65pの一部に設けられている。例えば、腹側フランジ68pBは、軸線方向Daにおいて、腹側壁65pの中間部に配置されている。腹側フランジ68pBは、側方向Dcにおいて、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと向かい合う。腹側フランジ68pBは、後述する結合具Btが通される1つ以上(例えば複数)の挿通孔68phが設けられている。腹側フランジ68pBは、「腹側突出部」の一例である。
【0042】
結合具Btは、1つの静翼セグメント46Sを構成する第1静翼46aAと第2静翼46aBとを結合する。本実施形態で例示する結合具Btは、ボルトB及びナットNからなる。結合具Btは、第1静翼46aAの背側フランジ68nAの挿通孔68nh及び第2静翼46aBの腹側フランジ68pBの挿通孔68phに通されて、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと第2静翼46aBの腹側フランジ68pBとを結合する。一方で、周方向Dcで隣り合う複数の静翼セグメント46Sは、結合具Btで結合されていない。
【0043】
以上説明したフランジに関する構成は、次のように述べることができる。
図5は、実施形態の静翼セグメント46Sの一部である第1静翼46aAの外側シュラウド60A及び第2静翼46aBの外側シュラウド60Bを模式的に示す斜視図である。図6は、実施形態の静翼セグメント46Sを模式的に示す断面図である。
【0044】
本実施形態では、静翼セグメント46Sの外側シュラウド60Aは、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと側方向Dcで並ぶ領域SR(図5参照、以下「特定領域SR」と称する)を有する。説明の便宜上、図5では特定領域SRにドット柄のハッチングを施している。この特定領域SRにおいて、第1静翼46aAの外側シュラウド60Aの腹側端部EpAの表面のなかでガスパス面63Aから最も離れた表面S1は、第1静翼46aAの背側フランジ68nAの表面のなかでガスパス面63Aから最も離れた表面S2と比べて、ガスパス面63Aに近い。言い換えると、図6に示すように、表面S1とガスパス面63Aとの間の距離L1は、表面S2とガスパス面63Aとの間の距離L2よりも短い。本実施形態では、表面S1は、腹側壁65pの上面(径方向外側Droを向く面)の一部である。
【0045】
本実施形態では、表面S1は、背側フランジ68nAに設けられた挿通孔68nhの内周面のなかでガスパス面63Aから最も離れた表面S3と比べて、ガスパス面63Aに近い。すなわち、表面S1とガスパス面63Aとの間の距離L1は、表面S3とガスパス面63Aとの間の距離L3よりも短い。さらに言えば、表面S1は、背側フランジ68nAに設けられた挿通孔68nhの内周面のなかでガスパス面63Aに最も近い表面S4と比べて、ガスパス面63Aに近い。すなわち、表面S1とガスパス面63Aとの間の距離L1は、表面S4とガスパス面63Aとの間の距離L4よりも短い。
【0046】
別の観点で見ると、第2静翼46aBの背側フランジ68nBは、当該背側フランジ68nBの表面のなかでガスパス面63Bから最も離れた表面S5を有する。そして、表面S1とガスパス面63Aとの間の距離L1は、表面S5とガスパス面63Bとの間の距離L5よりも短い。
【0047】
次に、2つの内側シュラウド70A,70Bに関するフランジについて説明する。
本実施形態では、内側シュラウド70Aは、背側フランジ78nAと、腹側フランジ78pAと、を有する。背側フランジ78nA及び腹側フランジ78pAは、内側シュラウド70Aの背側端部EnA及び腹側端部EpAにそれぞれ設けられ、径方向内側Driに突出している。本実施形態では、背側フランジ78nAは、内側周壁75の背側壁75nに設けられ、背側壁75nから径方向内側Driに向かって突出している。腹側フランジ78pAは、内側周壁75の腹側壁75pに設けられ、腹側壁75pから径方向内側Driに向かって突出している。背側フランジ78nA及び腹側フランジ78pAは、例えば第1静翼46aAの背側フランジ68nAと同じ外形を有する。背側フランジ78nAは、結合具Btが通される1つ以上(例えば複数)の挿通孔78nhが設けられている。一方で、腹側フランジ78pAには、挿通孔は設けられていない。
【0048】
本実施形態では、内側シュラウド70Bは、背側フランジ78nBと、腹側フランジ78pBと、を有する。背側フランジ78nB及び腹側フランジ78pBは、内側シュラウド70Bの背側端部EnB及び腹側端部EpBにそれぞれ設けられ、径方向内側Driに突出している。本実施形態では、背側フランジ78nBは、内側周壁75の背側壁75nに設けられ、背側壁75nから径方向内側Driに向かって突出している。腹側フランジ78pBは、内側周壁75の腹側壁75pに設けられ、腹側壁75pから径方向内側Driに向かって突出している。背側フランジ78nB及び腹側フランジ78pBは、背側フランジ78nA及び腹側フランジ78pAと同じ外形を有する。腹側フランジ78pBは、結合具Btが通される1つ以上(例えば複数)の挿通孔78phが設けられている。腹側フランジ78pBは、結合具Btによって背側フランジ78nAと結合される。一方で、背側フランジ78nBには、挿通孔は設けられていない。
【0049】
(冷却通路の構成)
次に、外側シュラウド60A,60Bに設けられた冷却通路の構成について説明する。
図7は、図3中に示された外側シュラウド60A,60BのF7-F7線に沿う断面図である。外側シュラウド60Aは、第1冷却通路81と、第2冷却通路82とを有する。第1冷却通路81及び第2冷却通路82は、外側シュラウド60AのキャビディCAに供給された冷却空気の一部が流入し、流入した冷却空気を外側シュラウド60Aの外部に排気する通路である。冷却空気が第1冷却通路81及び第2冷却通路82を流れることで外側シュラウド60Aの冷却が促進される。
【0050】
本実施形態では、第1冷却通路81は、第1部分81a、第2部分81b、第3部分81c、及び第4部分81dを有する。第1部分81aは、前壁65fに設けられ、軸線上流側DauからキャビディCAに開口している。第1部分81aの一部は、周方向Dcに延びている。第2部分81bは、第1部分81aに接続されている。第2部分81bは、背側壁65nに設けられ、外側シュラウド60Aの背側端部EnAに沿って延びている。第3部分81cは、第2部分81bに接続されている。第3部分81cは、後壁65bに設けられ、周方向Dcに延びている。第4部分81dは、第3部分81cに接続されている。第4部分81dは、後壁65bに設けられた第1排気口91に接続され、第1排気口91を通じて外側シュラウド60Aの外部に連通している。
【0051】
一方で、第2冷却通路82は、第1部分82a、第2部分82b、第3部分82c、及び第4部分82dを有する。第1部分82aは、前壁65fに設けられ、軸線上流側DauからキャビディCAに開口している。第1部分82aの一部は、周方向Dcに延びている。第2部分82bは、第1部分82aに接続されている。第2部分82bは、腹側壁65pに設けられ、外側シュラウド60Aの腹側端部EpAに沿って延びている。本実施形態では、第2冷却通路82の第2部分82bの周方向Dcの幅W2は、第1冷却通路81の第2部分81bの周方向Dcの幅W1と同じである。第3部分82cは、第2部分82bに接続されている。第3部分82cは、後壁65bに設けられ、周方向Dcに延びている。第4部分82dは、第3部分82cに接続されている。第4部分82dは、後壁65bに設けられた第2排気口92に接続され、第2排気口92を通じて外側シュラウド60Aの外部に連通している。
【0052】
同様に、外側シュラウド60Bは、第3冷却通路83と、第4冷却通路84とを有する。第3冷却通路83及び第4冷却通路84は、外側シュラウド60BのキャビディCAに供給された冷却空気の一部が流入し、流入した冷却空気を外側シュラウド60Bの外部に排気する通路である。冷却空気が第3冷却通路83及び第4冷却通路84を流れることで外側シュラウド60Bの冷却が促進される。
【0053】
本実施形態では、第3冷却通路83は、第1部分83a、第2部分83b、第3部分83c、及び第4部分83dを有する。第1部分83aは、前壁65fに設けられ、軸線上流側DauからキャビディCAに開口している。第1部分83aの一部は、周方向Dcに延びている。第2部分83bは、第1部分83aに接続されている。第2部分83bは、背側壁65nに設けられ、外側シュラウド60Bの背側端部EnBに沿って延びている。第3部分83cは、第2部分83bに接続されている。第3部分83cは、後壁65bに設けられ、周方向Dcに延びている。第4部分83dは、第3部分83cに接続されている。第4部分83dは、後壁65bに設けられた第3排気口93に接続され、第3排気口93を通じて外側シュラウド60Bの外部に連通している。
【0054】
一方で、第4冷却通路84は、第1部分84a、第2部分84b、第3部分84c、及び第4部分84dを有する。第1部分84aは、前壁65fに設けられ、軸線上流側DauからキャビディCAに開口している。第1部分84aの一部は、周方向Dcに延びている。第2部分84bは、第1部分84aに接続されている。第2部分84bは、腹側壁65pに設けられ、外側シュラウド60Bの腹側端部EpBに沿って延びている。本実施形態で、第4冷却通路84の第2部分84bの周方向Dcの幅W4は、第3冷却通路83の第2部分83bの周方向Dcの幅W3と同じである。第3部分84cは、第2部分84bに接続されている。第3部分84cは、後壁65bに設けられ、周方向Dcに延びている。第4部分84dは、第3部分84cに接続されている。第4部分84dは、後壁65bに設けられた第4排気口94に接続され、第2排気口92を通じて外側シュラウド60Bの外部に連通している。
【0055】
図8は、実施形態の静翼セグメント46Sを斜め後方から見た場合を示す斜視図である。外側シュラウド60Aの後端面(軸線下流側Dadを向いた端面)は、第1排気口91と、第2排気口92と、を有する。第1排気口91は、第1冷却通路81に接続されており、第1冷却通路81を流れた冷却空気を外側シュラウド60Aの外部に排気させる。第2排気口92は、第2冷却通路82に接続されており、第2冷却通路82を流れた冷却空気を外側シュラウド60Aの外部に排気させる。
【0056】
本実施形態では、第2排気口92の開口面積は、第1排気口91の開口面積よりも大きい。例えば、第2排気口92の開口面積は、第1排気口91の開口面積の2倍以上である。このため本実施形態では、第2冷却通路82に関する通風抵抗が第1冷却通路81に関する通風抵抗よりも小さい。その結果、第2冷却通路82を流れる冷却空気の流量は、第1冷却通路81を流れる冷却空気の流量よりも多い。
【0057】
同様に、外側シュラウド60Bの後端面は、第3排気口93と、第4排気口94と、を有する。第3排気口93は、第3冷却通路83に接続されており、第3冷却通路83を流れた冷却空気を外側シュラウド60Bの外部に排気させる。第4排気口94は、第4冷却通路84に接続されており、第4冷却通路84を流れた冷却空気を外側シュラウド60Bの外部に排気させる。
【0058】
本実施形態では、第3排気口93の開口面積は、第4排気口94の開口面積よりも大きい。例えば、第3排気口93の開口面積は、第4排気口94の開口面積の2倍以上である。このため本実施形態では、第3冷却通路83に関する通風抵抗が第4冷却通路84に関する通風抵抗よりも小さい。その結果、第3冷却通路83を流れる冷却空気の流量は、第4冷却通路84を流れる冷却空気の流量よりも多い。
【0059】
(静翼セグメントの製造方法)
次に、静翼セグメント46Sの製造方法について説明する。
図9は、実施形態の静翼セグメント46Sの製造方法の手順を示すフローチャートである。図10は、静翼セグメント46Sの製造方法を説明するための断面図である。本実施形態の製造方法は、ガスタービン10の新設時に静翼セグメント46Sが製造される場合に限定されず、既設のガスタービンの保守時又は改造時に既設の静翼セグメントから静翼セグメント46Sが製造される場合(既設の静翼セグメントが静翼セグメント46Sに改造される場合)にも適用可能である。
【0060】
本実施形態の製造方法は、例えば、部品準備工程(S11)、第1静翼形成工程(S12)、第2静翼形成工程(S13)、及び結合工程(S14)を含む。第1静翼形成工程(S12)と第2静翼形成工程(S13)とはどちらが先に行われてもよい。
【0061】
部品準備工程(S11)では、第1静翼46aAの元となる第1静翼部品46MA(図10参照)と、第2静翼46aBの元となる第2静翼部品46MB(図10参照)とが準備される。第1静翼部品46MA及び第2静翼部品46MBは、例えば全く同じ形状を有する。第1静翼部品46MA及び第2静翼部品46MBの各々は、翼体51と、外側シュラウド60Mと、内側シュラウド70Mと、を有する。外側シュラウド60Mは、当該外側シュラウド60Mの背側端部Enに設けられた背側フランジ68Mnと、当該外側シュラウド60Mの腹側端部Epに設けられた腹側フランジ68Mpとを有する。背側フランジ68Mn及び腹側フランジ68Mpは、径方向外側Dcoに突出している。一方で、内側シュラウド70Mは、当該内側シュラウド70Mの背側端部Enに設けられた背側フランジ78Mnと、当該内側シュラウド70Mの腹側端部Epに設けられた腹側フランジ78Mpとを有する。背側フランジ78Mn及び腹側フランジ78Mpは、径方向外側Dciに突出している。
【0062】
ガスタービン10の新設時においては、第1静翼部品46MA及び第2静翼部品46MBは、例えば、同一の鋳型(共通の鋳型)を用いて成形される。一方で、既設のガスタービンの保守時又は改造時においては、第1静翼部品46MA及び第2静翼部品46MBは、既設のガスタービンで用いられていた静翼セグメントを構成する一組の静翼が該当する。
【0063】
第1静翼形成工程(S12)では、第1静翼部品46MAから第1静翼46aAが形成される。具体的には、第1静翼部品46MAの背側フランジ68Mn、背側フランジ78Mn、及び腹側フランジ78Mpを残しつつ、腹側フランジ68Mpが除去される。例えば、腹側フランジ68Mpは、放電加工などによって切断されることで除去される。次に、第1静翼部品46MAに対して必要な加工及び所定の仕上げ加工(コーディング加工など)が行われる。これにより、背側フランジ68Mn、背側フランジ78Mn、及び腹側フランジ78Mpが、それぞれ、背側フランジ68nA、背側フランジ78nA、及び腹側フランジ78pAとなり、第1静翼部品46MAから第1静翼46aAが形成される。
【0064】
第2静翼形成工程(S13)では、第2静翼部品46MBから第2静翼46aBが形成される。具体的には、第2静翼部品46MBの背側フランジ68Mn、腹側フランジ68Mp、背側フランジ78Mn、及び腹側フランジ78Mpを残しつつ、第2静翼部品46MBに対して必要な加工及び所定の仕上げ加工(コーディング加工など)が行われる。これにより、背側フランジ68Mn、腹側フランジ68Mp、背側フランジ78Mn、及び腹側フランジ78Mpが、それぞれ、背側フランジ68nB、腹側フランジ68pB、背側フランジ78nB、及び腹側フランジ78pBとなり、第2静翼部品46MBから第2静翼46aBが形成される。
【0065】
結合工程(S14)では、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと、第2静翼46aBの腹側フランジ68pBとが結合具Btによって結合される。これにより、静翼セグメント46Sが完成する。
【0066】
(作用効果)
比較例として、第1静翼及び第2静翼の両方において、背側端部及び腹側端部のそれぞれにフランジが設けられた構成について考える。このような構成では、例えば第1静翼及び第2静翼を製造する鋳型を共通化することができる一方で、ガスタービンの使用環境又は運転条件によっては大きな熱応力が作用する場合があることが、本発明者らの研究により見出された。例えば、シュラウドの翼体の腹側の位置に大きなフランジ(腹側フランジ)が存在すると、腹側フランジの熱膨張によって延びる方向に作用する力と、翼体の腹側の凹部形状によって拘束される力とが翼体と腹側フランジとの間の領域に作用し、その結果、翼体と腹側フランジとの間の領域に大きな熱応力が作用する場合があることが見出された。なお、第1静翼及び第2静翼の両方において、完成品または製造時に背側端部及び腹側端部のそれぞれにフランジを設ける理由は、鋳型の共通化以外の理由であってもよい。
【0067】
そこで本実施形態では、第1静翼46aAの背側フランジ68nAと周方向Dcで並ぶ領域(特定領域SR)において、第1静翼46aAのシュラウド60Aの腹側端部EpAの表面のなかで第1静翼46aAのガスパス面63Aから最も離れた表面S1とガスパス面63Aとの間の距離L1は、第2静翼46aBの背側フランジ68nBの表面のなかで第2静翼46aBのガスパス面63Bから最も離れた表面S2とガスパス面63Bとの間の距離L5と比べて短い。このような構成によれば、腹側フランジの熱膨張によって延びる方向に作用する力が翼体と腹側フランジとの間の領域に作用することを低減することができ、静翼セグメント46Sに作用する熱応力を低減することができる。その結果、低サイクル疲労に対する静翼セグメント46Sの耐性を向上させることができ、静翼セグメント46Sの寿命を長くすることができる。なお、第2静翼46aBが背側フランジ68nBを有する場合、例えば、第1静翼46Aaと第2静翼46aBとを同じ鋳型で成形した後の加工負担を低減することができ、鋳型の共通化による製造性の向上を図ることができる。ただし、第2静翼46aBが背側フランジ68nBを有する理由は、鋳型の共通化に限らず、設計の容易化や剛性の向上など別の理由であってもよい。
【0068】
(変形例)
次に、実施形態の変形例について説明する。なお、本変形例で以下に説明する以外の構成は、上述した実施形態の構成と同じである。
【0069】
図11は、実施形態の変形例の静翼セグメント46S´を模式的に示す断面図である。本変形例では、内側シュラウド70Aの背側端部EnAに背側フランジ78nAが設けられるが、内側シュラウド70Aの腹側端部EpAには腹側フランジは設けられていない。
【0070】
すなわち本変形例では、第1静翼46aA´の内側シュラウド70Aでは、第1静翼46aA´の背側フランジ78nAと側方向Dcで並ぶ領域において、内側シュラウド70Aの腹側端部EpAの表面のなかで第1静翼46aA´のガスパス面73Aから最も離れた表面S1とガスパス面73Aとの間の距離L1は、第2静翼46aBの背側フランジ78nBの表面のなかで第2静翼46aBのガスパス面73Bから最も離れた表面S5との間の距離L5と比べて短い。本変形例では、表面S1は、腹側壁75pの下面(径方向内側Driを向く面)の一部である。
【0071】
本変形例では、表面S1は、背側フランジ78nAに設けられた挿通孔78nhの内周面のなかでガスパス面73Aから最も離れた表面S3と比べて、ガスパス面73Aに近い。すなわち、表面S1とガスパス面73Aとの間の距離L1は、表面S3とガスパス面73Aとの間の距離L3よりも短い。さらに言えば、表面S1は、背側フランジ78nAに設けられた挿通孔78nhの内周面のなかでガスパス面73Aに最も近い表面S4と比べて、ガスパス面73Aに近い。すなわち、表面S1とガスパス面73Aとの間の距離L1は、表面S4とガスパス面73Aとの間の距離L4よりも短い。
【0072】
別の観点で言えば、第2静翼46aBの背側フランジ78nBは、当該背側フランジ78nBの表面のなかで第2静翼46aBのガスパス面73Bから最も離れた表面S5を有する。そして、表面S1とガスパス面73Aとの間の距離L1は、表面S5とガスパス面73Bとの間の距離L5よりも短い。
【0073】
本変形例では、外側シュラウド60Aの背側端部EnAには背側フランジ68nAが設けられ、外側シュラウド60Aの腹側端部EpAには腹側フランジ68pAが設けられている。腹側フランジ68pAは、背側フランジ68nAと同じ外形を有する。
【0074】
このような構成によれば、上記実施形態と同様に、熱応力を低減することができる場合がある。本変形例では、内側シュラウド70Aは、「第1シュラウド」の一例である。内側シュラウド70Aの内側シュラウド本体71は、「第1シュラウド本体」の一例である。内側シュラウド70Aのガスパス面73は、「第1ガスパス面」の一例である。内側シュラウド70Aの内側周壁75は、「第1周壁」の一例である。内側シュラウド70Bは、「第2シュラウド」の一例である。内側シュラウド70Bの内側シュラウド本体71は、「第2シュラウド本体」の一例である。内側シュラウド70Bのガスパス面73は、「第2ガスパス面」の一例である。内側シュラウド70Bの内側周壁75は、「第2周壁」の一例である。
【0075】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、第1静翼46aA及び第2静翼46aBは、共通の鋳型を用いて成形されるものに限らず、別々の鋳型を用いて成形されてもよい。例えば上述した実施形態において、外側シュラウド60Aの腹側端部EpAは、腹側フランジが設けられていないことに代えて、背側フランジ68nBと比べて小さな腹側突出部が設けられてもよい。腹側突出部が小さい場合、大きな腹側フランジが設けられる場合と比べて熱膨張による力が作用しにくく熱応力の低減を図ることができる。また、上述した実施形態及び変形例は組み合わされて実現されてもよい。例えば、外側シュラウド60Aの腹側端部EpAに腹側突出部が設けられておらず、且つ、内側シュラウド70Aの腹側端部EpAに腹側突出部が設けられていなくてもよい。
【0076】
以上説明した実施形態および変形例では、例えば以下の関係が把握される。第1静翼46aAは、「第1静翼」の一例である。第2静翼46aBは、「第2静翼」の一例である。負圧側は、「第1側」の一例である。正圧側は、「第2側」の一例である。背側端部EnAおよび背側端部EnBの各々は、「第1端部」の一例である。腹側端部EpAおよび腹側端部EpBの各々は、「第2端部」の一例である。背側フランジ68nAは、「第1背側突出部」、「第1突出部」、および「第1静翼の第1端部の突出部」のそれぞれ一例である。背側フランジ68nBは、「第2背側突出部」、「第2突出部」、および「第2静翼の第1端部の突出部」のそれぞれ一例である。腹側フランジ68pBは、「腹側突出部」、「第3突出部」、および「第2静翼の第2端部の突出部」のそれぞれ一例である。背側壁65nは、「第1側壁」の一例である。腹側壁65pは、「第2側壁」の一例である。
【0077】
ここで、上述した実施形態および変形例では、腹側翼である第1静翼46aAの腹側フランジが除去される例について説明したが、実施形態および変形例は上記例に限られない。例えば、設計や運転条件によっては背側の応力が高い場合もある。その場合は、腹側翼である第1静翼46aAの腹側フランジを残しつつ、背側翼である第2静翼46aBの背側フランジが除去されてもよい。この態様では、例えば以下の関係が把握される。背側フランジ68nBが除去された第2静翼46aBは、「第1静翼」の一例である。腹側フランジ68pAが残された第1静翼46aAは、「第2静翼」の一例である。正圧側は、「第1側」の一例である。負圧側は、「第2側」の一例である。腹側端部EpAおよび腹側端部EpBの各々は、「第1端部」の一例である。背側端部EnAおよび背側端部EnBの各々は、「第2端部」の一例である。第2静翼46aBの腹側フランジ68pBは、「第1腹側突出部」、「第1突出部」、および「第1静翼の第1端部の突出部」のそれぞれ一例である。第1静翼46aAに残された腹側フランジ68pAは、「第2腹側突出部」、「第2突出部」、および「第2静翼の第1端部の突出部」のそれぞれ一例である。第1静翼46aAの背側フランジ68nAは、「背側突出部」、「第3突出部」、および「第2静翼の第2端部の突出部」のそれぞれ一例である。腹側壁65pは、「第1側壁」の一例である。背側壁65nは、「第2側壁」の一例である。なお、図11に示す変形例のように、内側シュラウドに関して、腹側翼である第1静翼46aAの腹側フランジを残しつつ、背側翼である第2静翼46aBの背側フランジが除去されてもよい。
【0078】
<付記>
実施形態に記載の静翼セグメント46S,46S´、ガスタービン10、静翼セグメント46S,46S´の製造方法は、例えば以下のように把握される。
【0079】
(1)第1態様に係る静翼セグメント46S,46S´は、第1静翼(例えば第1静翼46aA)と、第1静翼と並ぶ第2静翼(例えば第2静翼46aB)と、第1静翼と第2静翼とを結合する結合具Btと、を備える。第2静翼は、第1静翼に対して、第1静翼と第2静翼とが並ぶ側方向Dcにおける第1側と第2側とのうち第1側に位置する。第1静翼及び第2静翼の各々は、燃焼ガス流路49内に配置されて翼形を成す翼体51と、翼体51の翼高さ方向における端に設けられたシュラウド60,70と、を有する。第1静翼のシュラウド60,70である第1シュラウド(例えばシュラウド60A,70A)は、燃焼ガス流路49に面する第1ガスパス面(例えばガスパス面63A,73A)と、第1シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に位置し、燃焼ガス流路49とは反対側である反流路側に突出した第1突出部(例えば第1背側フランジ68nA,78nA)と、を有する。第2静翼のシュラウド60,70である第2シュラウド(例えばシュラウド60B,70B)は、燃焼ガス流路49に面する第2ガスパス面(例えばガスパス面63B,73B)と、第2シュラウドの前記第1側の端部である第1端部に設けられ、反流路側に突出した第2突出部(例えば第2背側フランジ68nB,78nB)と、第2シュラウドの前記第2側の端部である第2端部に設けられ、反流路側に突出し、結合具Btによって第1突出部と結合された第3突出部(例えば腹側フランジ68pB,78pB)と、を有する。第1突出部と側方向Dcで並ぶ領域SRにおいて、第1シュラウドの前記第2側の端部である第2端部の表面のなかで第1ガスパス面から最も離れた表面S1と第1ガスパス面との間の距離L1は、第2背側突出部の表面のなかで第2ガスパス面から最も離れた表面S5と第2ガスパス面との間の距離L5と比べて短い。
【0080】
このような構成によれば、第1シュラウドに存在する突出部の熱膨張によって延びる方向に作用する力が翼体51と第1シュラウドの端部との間の領域に作用することを低減することができ、静翼セグメント46S,46S´に作用する熱応力を低減することができる。
【0081】
(2)第2態様に係る静翼セグメント46S,46S´は、(1)の静翼セグメント46S,46S´であって、第1シュラウドは、第1ガスパス面を持つ第1シュラウド本体(例えばシュラウド本体61,71)と、第1シュラウド本体の周縁に沿って設けられ、前記反流路側に突出して、冷却吸気が流入するキャビディCAを形成した第1周壁(例えば周壁65,75)を有する。第2シュラウドは、第2ガスパス面を持つ第2シュラウド本体(例えばシュラウド本体61,71)と、第2シュラウド本体の周縁に沿って設けられ、反流路側に突出して、冷却吸気が流入するキャビディCAを形成した第2周壁(例えば周壁65,75)を有する。第1周壁及び第2周壁の各々は、燃焼ガス流路49内で燃焼ガスが流れてくる側である上流側を向く前壁65fと、燃焼ガス流路49内で燃焼ガスが流れて行く側である下流側を向く後壁65bと、前壁65fと後壁65bとを、翼体51に対する第1側でつなぐ第1側壁(例えば背側壁65n)と、前壁65fと後壁65bとを、翼体51に対する第2側でつなぐ第2側壁(例えば腹側壁65p)と、を有する。第1突出部は、第1周壁の第1側壁から反流路側に突出している。第2突出部は、第2周壁の第1側壁から反流路側に突出している。第3突出部は、第2周壁の第2側壁から反流路側に突出している。
【0082】
このような構成によれば、キャビティCAを形成する周壁を有する構成において、第1シュラウドに存在する突出部の熱膨張によって延びる方向に作用する力が翼体51と第1シュラウドの端部との間の領域に作用することを低減することができ、静翼セグメント46S,46S´に作用する熱応力を低減することができる。
【0083】
(3)第3態様に係る静翼セグメント46Sは、(1)又は(2)の静翼セグメント46Sであって、第1突出部と第2突出部とは、同じ外形を有する。
【0084】
このような構成によれば、例えば、第1静翼と第2静翼とを同じ鋳型で成形した後に第2突出部を加工する負担を低減することができる。これにより、静翼セグメント46S,46S´の製造性を高めることができる。なお、第1突出部と第2突出部とが同じ外形を有することによる利点は、鋳型の共通化に限らず、設計の容易化や剛性の向上など別の理由も該当し得る。
【0085】
(4)第4態様に係る静翼セグメント46Sは、(1)から(3)のうちいずれか1つの静翼セグメント46Sであって、第1突出部は、結合具Btが通される孔(例えば挿通孔68nh)を有する。第1突出部と側方向Dcで並ぶ領域SRにおいて、第1シュラウドの第2端部の表面のなかで第1ガスパス面から最も離れた表面S1は、孔の内周面のなかで第1ガスパス面に最も近い表面S4と比べて、第1ガスパス面に近い。
【0086】
このような構成によれば、第1シュラウドの端部の熱膨張によって延びる方向に作用する力が翼体と第1シュラウドの端部との間の領域に作用することをさらに低減することができ、静翼セグメント46Sに作用する熱応力をさらに低減することができる。
【0087】
(5)第5態様に係る静翼セグメント46Sは、(1)から(4)のうちいずれか1つの静翼セグメント46Sであって、第1シュラウド及び第2シュラウドは、翼高さ方向における静翼セグメント46Sの外周側に位置した外側シュラウド60である。第1突出部、第2突出部、及び第3突出部は、外周側に突出している。
【0088】
このような構成によれば、外側シュラウド60に大きな熱応力が作用しやすい場合において静翼セグメント46Sに作用する熱応力を低減することができる。外側シュラウド60に大きな熱応力が作用しやすい場合とは、例えば、翼体51の冷却を促進するために多くの冷却空気が径方向外側Droから外側シュラウド60に供給され、翼体51の近くで外側シュラウド60の温度が相対的に低くなり、その結果、翼体51と第1シュラウドの端部との間の領域の熱勾配が大きくなり、静翼セグメントに大きな熱応力が作用しやすくなる場合である。ただし、外側シュラウド60に大きな熱応力が作用しやすい場合は、上記例に限定されない。
【0089】
(6)第6態様に係る静翼セグメント46Sは、(1)から(4)のうちいずれか1つの静翼セグメント46S´であって、第1シュラウド及び第2シュラウドは、翼高さ方向における静翼セグメント46S´の内周側に位置した内側シュラウド70である。第1突出部、第2突出部、及び第3突出部は、内周側に突出している。
【0090】
このような構成によれば、内側シュラウド70に大きな熱応力が作用しやすい場合において静翼セグメント46S´に作用する熱応力を低減することができる。内側シュラウド70に大きな熱応力が作用しやすい場合とは、例えば、翼体51を通過して内側シュラウド70の冷却に用いられる空気が翼体51を通過する過程で温度が大きく上昇してしまい、その結果、内側シュラウド70の温度が高くなり、静翼セグメント46S´に大きな熱応力が作用しやすくなる場合である。ただし、内側シュラウド70に大きな熱応力が作用しやすい場合は、上記例に限定されない。
【0091】
(7)第7態様に係る静翼セグメント46S,46S´は、(1)から(6)のうちいずれか1つの静翼セグメント46Sであって、第1シュラウドは、第1シュラウドの第1端部(例えば背側端部EnA)に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第1冷却通路81と、第1シュラウドの第2端部(例えば腹側端部EpA)に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第2冷却通路82とを有する。第2シュラウドは、第2シュラウドの第1端部(例えば背側端部EnB)に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第3冷却通路83と、第2シュラウドの第2端部(例えば腹側端部EpB)に沿って延びた部分を含み冷却空気が流れる第4冷却通路84とを有する。第2冷却通路82を流れる冷却空気の流量は、第1冷却通路81を流れる冷却空気の流量より多い。第3冷却通路83を流れる冷却空気の流量は、第4冷却通路84を流れる冷却空気の流量より多い。
【0092】
ここで、各静翼セグメント46S,46S´は、ガスタービン10内において周方向Dcで隣り合う別の静翼セグメント46S,46S´とは結合されない。このため、側方向Dcで隣り合う静翼セグメント46S,46S´同士の間には小さな隙間が存在し、この隙間に燃焼ガス通路49から高温の燃焼ガスが入る場合がある。その結果、静翼セグメント46S,46S´の側方向Dcの両端部(例えば第1シュラウドの第2端部及び第2シュラウドの第1端部)が高温になる場合がある。しかしながら上記第7態様の構成によれば、高温になりやすい静翼セグメント46S,46S´の側方向Dcの両端部の冷却を第2冷却通路82及び第3冷却通路83を流れる冷却空気により促進することができる。これにより、静翼セグメント46S,46S´に作用する熱応力をさらに低減することができる。
【0093】
(8)第8態様に係る静翼セグメント46Sは、(7)の静翼セグメント46S,46S´であって、第1シュラウドは、第1冷却通路81を流れた冷却空気が当該第1シュラウドの外部に排気される第1排気口91と、第2冷却通路82を流れた冷却空気が当該第1シュラウドの外部に排気される第2排気口92と、を有する。第2シュラウドは、第3冷却通路83を流れた冷却空気が当該第2シュラウドの外部に排気される第3排気口93と、第4冷却通路84を流れた冷却空気が当該第2シュラウドの外部に排気される第4排気口94と、を有する。第2排気口92の開口面積は、第1排気口91の開口面積より大きい。第3排気口93の開口面積は、第4排気口94の開口面積より大きい。
【0094】
このような構成によれば、例えばシュラウドの側方向Dcの幅の大型化を招くことを避けつつ、第2冷却通路82及び第3冷却通路83を流れる冷却空気の流量を多くすることができる。これにより、静翼セグメント46S,46S´の側方向Dcの両端部の冷却を促進し、静翼セグメント46S,46S´に作用する熱応力を低減することができる。
【0095】
(9)第9態様に係るガスタービン10は、(1)から(8)のうちいずれか1つの静翼セグメント46S,46S´と、軸線Arを中心として回転可能なロータ(タービンロータ41)と、ロータの外周側を覆うケーシング(例えばガスタービン車室15)と、燃料の燃焼により燃焼ガスを生成し、ケーシング内に前記燃焼ガスを送る燃焼器30と、を備える。静翼セグメント46S,46S´は、ケーシングの内周側に設けられている。このような構成によれば、ガスタービン10に作用する熱応力を抑制することができる。
【0096】
(10)第10態様に係る静翼セグメント46S,46S´の製造方法は、第1静翼(例えば第1静翼46aA)と第2静翼(例えば第2静翼46aB)とが結合具Btで結合され、第2静翼が第1静翼に対して第1静翼と第2静翼とが並ぶ側方向Dcにおける第1側と第2側とのうち第1側に位置した、静翼セグメントの製造方法であって、それぞれ、燃焼ガス流路49に配置されて翼形を成す翼体51と、翼体51の翼高さ方向における端に設けられたシュラウド60,70とを有し、シュラウド60,70が、燃焼ガス流路49に面するガスパス面63,73と、シュラウド60,70の第1端部(例えば背側端部EnA,EnB)に位置し燃焼ガス流路49とは反対側である反流路側に突出した突出部(例えば背側フランジ68Mn)と、シュラウド60,70の第2端部(例えば腹側端部EpA,EpB)に設けられて反流路側に突出した突出部(例えば腹側フランジ68Mp)とを含む、第1静翼部品46MA及び第2静翼部品46MBとを準備する。第1静翼部品46MAの第2端部の突出部(例えば腹側フランジ68Mp)の少なくとも一部を除去して、第1静翼部品46MAから第1静翼46aAを形成し、第2静翼部品46MBの第1端部の突出部(例えば背側フランジ68Mn)を残して、第2静翼部品46MBから第2静翼46aBを形成し、第1静翼46aAの第1端部の突出部と第2静翼46aBの第2端部の突出部とを結合具Btで結合する。このような構成によれば、静翼セグメント46S,46S´に作用する熱応力を抑制することができる。
【符号の説明】
【0097】
10…ガスタービン
11…ガスタービンロータ
15…ガスタービン車室
20…圧縮機
30…燃焼器
41…タービンロータ
45…タービン車室
46S,46S´…静翼セグメント
46aA,46aA´…第1静翼
46aB…第2静翼
51…翼体
60…外側シュラウド
61…外側シュラウド本体
63…ガスパス面
65…外側周壁
65f…前壁
65b…後壁
65n…背側壁
65p…腹側壁
68nA,68nB…背側フランジ
68pA,68pB…腹側フランジ
70…内側シュラウド
71…内側シュラウド本体
73…ガスパス面
75…内側周壁
75f…前壁
75b…後壁
75n…背側壁
75p…腹側壁
78nA,78nB…背側フランジ
78pA,78pB…腹側フランジ
81…第1冷却通路
82…第2冷却通路
83…第3冷却通路
84…第4冷却通路
91…第1排気口
92…第2排気口
93…第3排気口
94…第4排気口
Bt…結合具
CA…キャビティ
EnA…第1静翼のシュラウドの背側端部
EpA…第1静翼のシュラウドの腹側端部
EnB…第2静翼のシュラウドの背側端部
EpB…第2静翼のシュラウドの腹側端部
MA…第1静翼部品
MB…第2静翼部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11