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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183717
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/20 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B65H31/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091164
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 麻子
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA02
3F054AC03
3F054BA02
3F054BA04
3F054BC02
3F054BC13
3F054BE03
3F054BE07
3F054DA11
(57)【要約】
【課題】排出トレイの角度を調整し、排出されたシートの整列性を向上する技術を提供すること。
【解決手段】本体100が有する収納部に収納された収納状態と収納部から引き出された展開状態との間で出し入れ可能なスライド式の原稿積載台2を有する原稿搬送装置であって、原稿積載台2の引き出し方向後端の回動ヒンジa1を軸として回動可能に設けられた回動部材6と、回動部材6が当接する当接部8cとを備え、展開状態として、第1の展開状態と、原稿積載台2の先端と原稿搬送装置Aの載置面との間の距離が第1の展開状態よりも大きい第2の展開状態とを切り替え可能であり、原稿積載台2の先端側を載置面から離れる方向に持ち上げると回動部材6が回動し、回動部材6と当接部8cとの当接状態が切り替わることで、第1の展開状態と第2の展開状態との切替が可能であることを特徴とする。
【選択図】図12


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体が有する収納部に収納された収納状態と前記収納部から引き出された展開状態との間で出し入れ可能なスライド式の原稿積載台を有する原稿搬送装置であって、
前記原稿積載台の引き出し方向後端の回動ヒンジを軸として回動可能に設けられた回動部材と、
前記回動部材が当接する当接部と
を備え、
前記展開状態として、第1の展開状態と、前記原稿積載台の先端と前記原稿搬送装置の載置面との間の距離が前記第1の展開状態よりも大きい第2の展開状態とを切り替え可能であり、
前記原稿積載台の先端側を前記載置面から離れる方向に持ち上げると前記回動部材が回動し、前記回動部材と前記当接部との当接状態が切り替わることで、前記第1の展開状態と前記第2の展開状態との切替が可能であることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記原稿積載台が前記第1の展開状態から前記第2の展開状態に切り替えられることに伴って、
前記収納状態における前記回動部材の後端部が、前記本体と当接しない前記第1の展開状態における位置から、前記本体と当接する位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記回動部材は、
前記第2の展開状態で前記当接部と当接する第1の当接面と、
前記第1の当接面の対向面に設けられた前記第1の当接面と平行な第2の当接面と
を有し、
前記原稿積載台は、前記第2の展開状態において第2の当接面に突き当たる突っ張り面を有し、
前記第2の展開状態において前記突っ張り面が前記当接部と略平行になることを特徴とする請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記回動部材は前記回動ヒンジの軸方向にスライド可能なスライド部を有し、
前記第1の展開状態から前記原稿積載台の先端が前記第2の展開状態よりも持ち上がった第1の切替状態と、前記第2の展開状態から前記原稿積載台の先端が持ち上がった第2の切替状態において、前記スライド部の前記軸方向に対する位置が異なることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の原稿搬送装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を搬送する原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、スキャナ、プリンタ等において、複数枚のシートを1枚ずつ搬送する機構を備えたものが原稿搬送装置として知られている。例えば、スキャナではチェック、ドキュメント等の原稿束が原稿台上に載置され、給紙機構によりこれを1枚ずつに分離して搬送しながら、原稿の画像を読み取る画像読取装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-72564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている装置は、筐体のシート排出口側に排出トレイが設けられている。これにより、排出されるシートを受けて整列性を向上している。
【0005】
しかしながら、特許文献1にある排出トレイに対して排出する紙の種類によっては必ずしも整列性よくシートを受けることが出来ないという課題があった。
【0006】
本発明は、排出されたシートの整列性を向上させる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明に係る原稿搬送装置は、
本体が有する収納部に収納された収納状態と前記収納部から引き出された展開状態との間で出し入れ可能なスライド式の原稿積載台を有する原稿搬送装置であって、
前記原稿積載台の引き出し方向後端の回動ヒンジを軸として回動可能に設けられた回動部材と、
前記回動部材が当接する当接部と
を備え、
前記展開状態として、第1の展開状態と、前記原稿積載台の先端と前記原稿搬送装置の載置面との間の距離が前記第1の展開状態よりも大きい第2の展開状態とを切り替え可能であり、
前記原稿積載台の先端側を前記載置面から離れる方向に持ち上げると前記回動部材が回動し、前記回動部材と前記当接部との当接状態が切り替わることで、前記第1の展開状態と前記第2の展開状態との切替が可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排出トレイの角度を調整し、排出されたシートの整列性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略図。
図2図1の画像読取装置の制御ユニットのブロック図。
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の正面図。
図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の上面図。
図5】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略側断面図。
図6】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略側面図。
図7】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略側面図。
図8】本発明の一実施形態に係る排出トレイの斜視図。
図9】本発明の一実施形態に係る排出トレイの構成を表す斜視図。
図10】本発明の一実施形態に係る排出トレイの収納部の構成を表す斜視図。
図11】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略側面図。
図12】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略側面図。
図13】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の他の正面図。
図14】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略側面図。
図15】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部断面図。
図16】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部断面図。
図17】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部断面図。
図18】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の一例である、原稿を搬送しながらその画像の読み取りを行う画像読取装置Aの概略図である。
【0011】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された1つ又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、ホルダ200を用いることができる。透明なホルダ200に見開き状態の冊子を収容して載置台1に載置することで、冊子がホルダ200と共に搬送され、その画像を読み取ることができる。
【0012】
<給紙>
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向Eに一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0013】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sを逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0014】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1つずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0015】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、1つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0016】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0017】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0018】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0019】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0020】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0021】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0022】
本実施形態においては、画像読取ユニット70は搬送路RTの両側に対向させて配置しており、以下の説明ではそれぞれ画像読取ユニット70a、70bとする。画像読取ユニット70aと70bとは、搬送路RTを挟んで対象に配置された同構造を有するセンサユニットである
【0023】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0024】
<レジストセンサ>
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された搬送路RT上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0025】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出された時点で、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0026】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取ユニット70よりも上流側に配置されている。媒体検出センサ60は、第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0027】
<CISの配置>
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0028】
<ブロック図の説明>
図2を参照して制御部80について説明する。図2は画像読取装置Aの制御部80のブロック図である。
【0029】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0030】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0031】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0032】
<PCからの開始指示受信による駆動>
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば画像読取装置Aが接続された外部パソコンから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1乃至第3搬送部10乃至30の駆動を開始する。載置台1に積載された搬送媒体Sはその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ搬送される。
【0033】
また、後述するように、画像読取装置Aの図3に示す表示パネル93の様な操作部83に設けられたスタートキーによって画像の読み取りを開始し、その後画像読取の開始を外部パソコンに通知するようにしてもよい。
【0034】
<重送時の制御>
搬送の途中で搬送媒体Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると搬送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、搬送を停止するか、第1搬送部10による後続搬送媒体Sの取り込みを停止して、重送状態にある搬送媒体Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0035】
<レジストセンサの出力に応じた読取開始>
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取処理が終了する。
【0036】
<表示パネルの構成>
図3は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を収納した状態の正面図である。より正確には、画像読取装置Aの正面側に傾斜して設けられた正面パネル90に対して垂直な方向から見た図であり、装置を載置した状態における正面よりもやや上方から見た状態の図である。
【0037】
正面上部の正面パネル90にはタッチパネル式の表示パネル93が設けられている。画像読取装置Aの動作を開始するためのスタートキー、ストップキーなどは表示パネル93に表示され、表示されたキーを触れることで画像読取装置Aの操作が可能である。また、正面パネル90の下部には、上述した第3搬送部30によって搬送された搬送媒体が排出される排出開口92が設けられている。さらに、排出開口92の下方には、排出されたシートを受ける排出トレイ2が設けられており、図3においては画像読取装置Aの本体100、具体的には後述する下部ユニット104内に設けられた収納部内に収納した収納状態を示している。
【0038】
図4には、収納状態にある排出トレイ2を本体100から引き出して展開した展開状態を示している。排出トレイ2は、本体100側から順に、第1の排出トレイ2aとその先端側に接続された第1の延長トレイ2b、第2の延長トレイ2cとから構成されている。このように、本実施形態においては、収納部に収納されたスライド式の原稿積載台として設けられた排出トレイ2を有する。詳しくは後述する。
【0039】
<給送構造詳細>
また、図4に示すように、載置台1である給送トレイ110が設けられている。この給送トレイ110には、配置される搬送媒体Sの大きさに合わせて搬送方向に対して直交する方向にスライド可能に取り付けられた一対の規制部材111が設けられている。また、給送トレイ110の中央には、引き出して使用することのできる給紙延長トレイ112が設けられている。
【0040】
<上部ユニット詳細>
図5は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの概略断面図である。本体100は、上部ユニット103と下部ユニット104とから構成され、上部ユニット103は下部ユニット104に対し、本体ヒンジ105を支点として回動可能に取り付けられている。
【0041】
<排紙構造>
上述したように、正面下部の下部パネル91には排出開口92が設けられており、第3搬送部30によって搬送された搬送媒体Sが排出される。
【0042】
図6は排出トレイ2を展開した展開状態を示す側面図である。具体的には後述する第1の展開状態を表した図である。
【0043】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して摺動可能に、画像読取装置Aの下方に支持されている。また、排出トレイ2は第1の排出トレイ2aとその先端側に接続された第1の延長トレイ2b、第2の延長トレイ2cとから構成されている。第1の延長トレイ2bは第1の排出トレイ2aに対して摺動可能に支持されており、第2の延長トレイ2cは第1の延長トレイ2bに対して摺動可能に支持されている。排出トレイ2を画像読取装置Aに収納した状態及び画像読取装置Aから引き出した展開状態において、排出開口92は開放されており、搬送された搬送媒体Sの排出が可能となっている。
【0044】
第3搬送部30により搬送されてきた搬送媒体Sは、排出開口92を経て第2の排出トレイ2a上に排出され、搬送媒体Sのサイズによっては第2の排出トレイ2aから引き出された第1の延長トレイ2b、第2の延長トレイ2cまで到達し、案内される。
【0045】
第2の延長トレイ2cにスライド可能に取り付けられた排紙スライド部材2dには、排出位置調整部材120が回動可能に設けられており、搬送媒体Sの搬送方向に対する長さに応じて引き出された各延長トレイに対し、起立状態に回動させることで搬送媒体Sが停止する位置を調整し、排出された搬送媒体Sを散らばりにくくして整列性を向上できる。
【0046】
<排出トレイ角度調節>
本実施形態に関わる画像読取装置Aの排出トレイ2は、第1の展開状態とそれよりも装置載置面との角度が大きい第2の展開状態で保持することが可能である。なお、装置載置面との角度が大きいとは、第1の展開状態における排出トレイ2の先端と装置載置面との距離よりも第2の展開状態における排出トレイ2の先端と装置載置面との距離の方が大きいことを意味する。
【0047】
図6図7はそれぞれ、排出トレイ2の第1の展開状態、第2の展開状態を示しており、特に、第1の排出トレイ2aから第1の延長トレイ2b及び第2の延長トレイ2cを展開した状態を示す側面図である。図6及び図7に示すように、搬送媒体Sは矢印F方向に排出され、排出トレイ2上に着地する。
【0048】
搬送媒体Sの厚さが薄い場合、図6のように排出トレイ2の積載面の傾斜角度が緩やかであれば排出トレイ2上に搬送媒体Sの先端が着地した時に抵抗が小さく、丸まることなく排出できる。
【0049】
また、図7のように排出トレイ2の積載面の傾斜角度を急にすることにより、排出済みの搬送媒体Sは自重によりG方向に滑り落ちる。これにより、排出済みの搬送媒体Sの後端と排出開口92との隙間が狭まるため、排出済みの搬送媒体Sの上面に、後続の搬送媒体Sの先端を確実に着地させることができる。このように、搬送媒体Sのサイズや厚さによって第1の展開状態と第2の展開状態を使い分けることで、様々な種類の搬送媒体Sを排出可能としている。
【0050】
図8は排出トレイ2の斜視図である。排出トレイ2は、矢印B1方向にスライド可能に画像読取装置Aの本体100に取り付けられている。また第1の排出トレイ2aに第1の延長トレイ2bがスライド可能に保持され、第1の延長トレイ2bに第2の延長トレイ2cがスライド可能に保持されている。第2の延長トレイ2cは先端の中央部に指掛け形状2cbを有する。
【0051】
また、図15に示すように排出トレイ2の引き出し方向B1の後端側には排出トレイ2の角度を調整するための回動部材6とスライド部材7が配置されている。回動部材6は第1の排出トレイ2aに対しC方向に回動可能に、スライド部材7は回動部材6に対しD方向にスライド可能に支持される。
【0052】
また、第1の排出トレイ2aには回動ヒンジa1が左右に設けられている。図10に示すように回動ヒンジa1は画像読取装置Aの下方に左右に配置されるレール部材9によりB1方向へのスライド、および回動可能に支持される。下部ユニット104は下側および背面側の外装面を作る下部カバー8を有する。排出トレイ2はレール部材9が下部カバー8に固定されることで、下部ユニット104に対しスライド、回動可能に保持され、回動範囲は下部カバー8によって使用に適した範囲に制限される。
【0053】
また、図11図12は、後述する第1の展開状態から第2の展開状態へと切り替える操作方法を説明する側面図である。ユーザーは第2の延長トレイ2cの指掛け形状2cbを持ち、後述の操作方法により排出トレイ2を操作することで第1の展開状態から第2の展開状態へ、また第2の展開状態から第1の展開状態へ変更することができる。
【0054】
ここで、排出トレイ2の操作方法について説明する。排出トレイ2が収納された状態から排出トレイ2に設けられた指掛け形状2cbを持ってB1方向に引くと、第1の展開状態まで排出トレイ2を引き出すことができる。
【0055】
この第1の展開状態において排出トレイ2の指掛け形状2cbを持って排出トレイ2の先端を装置載置面から離すように持ち上げると、排出トレイ2がヒンジ部a1を中心に回動する(図12中 B2方向)。これにより排出トレイ2は第1の切替状態となる。なお、図12は第2の展開状態を示しており、第1の切替状態において排出トレイ2はこれよりも上方に持ち上げられた状態になっている。
【0056】
第1の切替状態を経た後に排出トレイ2を元の位置に戻すようにおろす(図中B3方向)と、第1の切替状態よりも少し装置載置面との角度が小さい第2の展開状態で排出トレイ2が止まり、図12に示す第2の展開状態においては、排出トレイ2の先端が持ち上がった状態で保持することができる。
【0057】
また第2の展開状態において排出トレイ2の指掛け形状2cbを持って排出トレイ2の先端を装置載置面から離すように持ち上げると、排出トレイ2がヒンジ部a1を中心に回動する(図中 B4方向)。これにより排出トレイ2は第2の切替状態となる。
【0058】
第2の切替状態を経た後に排出トレイ2を元の位置に戻すようにおろす(図中B5方向)と、第2の展開状態で止まることなく第1の展開状態までおろすことができ、排出トレイ2の先端が下がった状態で保持することができる。なお、第2の切替状態における排出トレイ2は、第1の切替状態と同じ高さまで持ち上げられている。
【0059】
この動きを実現する構成について排出トレイ2の斜視図(図8から図10)と画像読取装置Aの断面図(図14から図18)を用いて説明する。
【0060】
図8から図10に示すように、第1の排出トレイ2aは引き出し方向(B1方向)後端の幅方向両端にヒンジ部a1、回転止め形状a2を有する。第1の排出トレイ2aはレール部材9のレール9aにヒンジ部a1がガイドされることによりB1方向にスライド可能に保持される。また、排出トレイ2の重心は排出トレイ2の中央にあるため、排出トレイ2の自重により排出トレイ2の先端が装置載置面に近づく方向にモーメントが発生するが、図15に示す排出トレイ2の回転止め形状a2がレール部材の回転止め面9bに接することにより排出トレイ2の先端が装置面から浮いた状態で保持される。さらに排出トレイ2をB1方向に延長した状態(第1の展開状態)では排出トレイ2の先端を持ちあげる方向に回動可能となり、ユーザーの操作により第1および第2の切替状態にすることができるようになる。
【0061】
第1の排出トレイ2aは引き出し方向後端の幅方向両端に回動部材ヒンジa3、引き出し方向の後端に突っ張り面a4、回動部材回転止めa5を有する。回動部材6は回動軸6aが第1の排出トレイ2aの回動部材ヒンジa3と係合することで回動可能になっている。回動部材6は回転止め面6bを有し、回転止め面6bが第1の展開状態と第2の展開状態のそれぞれにおいて、第1の排出トレイ2aの回動部材回転止めa5、突っ張り面a4にそれぞれ当接することで回動部材6の回動範囲が制限される。なお、回転止め面6bは、第1の展開状態と第2の展開状態のそれぞれで第1の排出トレイ2aの回動部材回転止めa5、突っ張り面a4にそれぞれ当接可能な形状に形成されており、一例として、本実施形態においては段部が形成されている。
【0062】
回動部材6のスライド部材取り付け部6cにはスライド部材7がD方向(回動軸6a方向)にスライド可能に保持される。スライド部材7にはいくつかのカム形状が設けられており、レール部材9と下部カバー8に設けられたカムと接触させることにより、D方向にスライドしつつ回動部材6を回動させ、排出トレイ2の展開状態を切り替えている。
【0063】
図14は排出トレイ2の収納状態、図15は第1の展開状態、図16は第1の切替状態、図17は第2の展開状態、図18は第2の切替状態を表す図であり、それぞれに図13の画像読取装置Aを切断線H-Hによって切断した部分断面図(a)および、スライド部材7周辺をI方向(図12に記載)からみた様子を示した要部拡大斜視図(b)を示している。部分断面図(a)はスライド部材7の回動方向である図15に示すC方向の回動を説明するための図であり、断面斜視図(b)はスライド部材7のスライド方向である図15に示すD方向のスライドを説明するための図である。
【0064】
排出トレイ2の収納状態(図14)において第1の排出トレイ2aは回動ヒンジa1がレール9aにガイドされている。排出トレイ2には自重により先端側が垂れる方向にモーメントが発生するが回転止め形状a2が回転止め面9bにあたるため、装置載置面にほぼ水平な角度で画像読取装置Aに収納される。また排出トレイ2のすぐ上面に下部カバー8が配置されているため先端側を持ち上げる方向に動かすこともできない。また回動部材6は図15に示した回転止め面6bが第1の排出トレイ2aの回動部材回転止めa5に接触することで図8に示すように自重に逆らい第1の排出トレイ2aと平行な角度を保っている。またスライド部材7は第1のスライドカム7aが下部カバー8に設けられたスライドガイド溝8aにガイド(挿入)されることによりD方向の動きが規制されている。
【0065】
排出トレイ2をB1方向に引きだすと不図示のクリック機構により、排出トレイ2は第1の展開状態(図15)で保持される。第1の展開状態では排出トレイ2は下部カバー8の下に収まらず露出しているためB2方向への回動が可能である。一方、反対方向への回動は収納状態と同様に第1の排出トレイ2aの回転止め形状a2とレール部材9の回転止め面9bにより規制されるため、収納状態と同様に装置載置面にほぼ水平な角度で画像読取装置Aに保持される。回動部材6のC方向への回動とスライド部材7のD方向へのスライドは収納状態と同様に規制される。この状態においてスライド部材7に設けられた第1の回動カム7bはレール部材9の第1の回動カム9cと対面(対向)する配置となっている。
【0066】
第1の展開状態において排出トレイ2の先端をB2方向に持ち上げると排出トレイ2は第1の切替状態(図16)となる。第1の切替状態では排出トレイ2の先端が回動ヒンジa1を中心にB2方向に持ち上げられているため、排出トレイ2の後端側に配置されている回動部材6は画像読取装置Aの装置載置面に近づく方向に移動している。この移動の際にスライド部材7の第1の回動カム7bとレール部材9の第1の回動カム9cが接触し、回動部材6とスライド部材7が一体にC1方向に回動する。
【0067】
この回動動作により、収納状態および、第1の展開状態(図15)でスライドガイド溝8aに挿入されてスライド部材7のD方向の動きを規制していた第1のスライドカム7aが下部カバー8のスライドガイド溝8aと対面しない位置に移動する。代わりにスライド部材7に設けられた第2のスライドカム(スリット)7dのスリット部分が下部カバー8のスライドガイド溝8aに隣接されたスライドガイドリブ8bと対面する位置に移動する(図16)。また、同時に収納状態における回動部材6の後端部に設けた突き当て面6d(図9に記載)が下部カバー8に近づくように移動している。ここでスライド部材7とレール部材9には排出トレイ2の第2の切替状態において接触するカム形状(7c、9d)が設けられているが、第1の切替状態においてはこのカム形状がD方向にずれているため接触することはない。
【0068】
第1の切替状態において排出トレイ2の先端をB3方向におろすと、排出トレイ2は第2の展開状態(図17)となる。第2の展開状態では排出トレイ2の先端がB3方向におろされているため、排出トレイ2の後端側に配置されている回動部材6は画像読取装置Aの装置載置面から離れる方向に移動している。この移動の際に、スライド部材7の第2のスライドカム(スリット)7dにおいて斜めに形成されたカム部分が下部カバー8のスライドガイドリブ8bと接触することでスライド部材7がD1方向にスライドし、第2のスライドカム(スリット)7dにスライドガイドリブ8bが収まる位置となる。これにより第1の切替状態で接触していたスライド部材7の第1の回動カム7bとレール部材9の第1の回動カム9cの位置がD方向にずれる。そして同時に、第1の切替状態において位置がずれていたスライド部材7の第2の回動カム7cとレール部材の第2の回動カム9dが対面する配置となる(図17)。
【0069】
第2の展開状態においても第1の展開状態と同様に自重による回転モーメントが発生するが、回動部材6の突き当て面6d(図9に記載)が当接面として図17に示す下部カバー8の突っ張り面8c(当接部)に当接することで排出トレイ2の角度が立った状態(第2の展開状態)で保持することができるようになっている。
【0070】
この状態において回動部材6における突き当て面6dと平行な対向面に設けられた図9に示す回転止め面6bと第1の排出トレイ2aの突っ張り面a4も突き当たっている。つまり回動部材6が起立した状態であり、第1の排出トレイ2aと下部カバー8の突っ張り面(a4、8c)の間に挟みこまれている。また第2の展開状態において2つの突っ張り面(a4、8c)は平行になるように配置している。こういった構成をとることで第2の展開状態において排出トレイ2に自重やトレイに積載される原稿の重量、ユーザーによる操作による負荷がかかっても、回動部材6の厚みをつぶす方向に力がかかるため、排出トレイが撓みづらく強度を向上することができる。また第1の排出トレイ2aと回動部材6の係合部(回動部材ヒンジa3、回動軸6a)に力がかかることがないため、上記の負荷による破損を避けられる。
【0071】
なお、本実施形態においては、回動部材6における突っ張り面8cと突っ張り面a4との間に位置する部分の突っ張り面8cの法線方向における厚み(長さ)が、第1の展開状態よりも第2の展開状態の方が厚く(長く)、第2の展開状態においては、回動部材6が突っ張り面8cと突っ張り面a4とで挟持されることによって、排出トレイ2の角度が、第1の展開状態よりも大きくなるように構成されているが、これに限られない。
【0072】
なお上述したように、本実施形態では、第1の展開状態において、収納状態と同様に第1の排出トレイ2aの回転止め形状a2とレール部材9の回転止め面9bにより第1の排出トレイ2aの回動が規制されることで、収納状態と同様に装置載置面にほぼ水平な角度で第1の排出トレイ2aが保持されるが、第1の展開状態においても、回動部材6が突っ張り面8cなどの本体100のいずれかの部分と当接することで第1の排出トレイ2aの角度が保持されるように構成しても良い。
【0073】
このように、本実施形態における排出トレイ2は、排出トレイ2の先端を持ち上げることにより回動部材6と当接部である突っ張り面8cとの当接状態が切り替わり、それによって、排出トレイ2における第1の展開状態と第2の展開状態との切り替えが可能となっている。
【0074】
また、もし第1の切替状態から第2に展開状態に切替える途中で回動部材6およびスライド部材7が自重や振動により倒れ、第1の展開状態に戻ってしまう場合は、回動部材6もしくはスライド部材7と第1の排出トレイ2aの間にクリックやフリクションを設ければ、確実に第1の切替状態から第2の展開状態へ切り替えることができるようになる。
【0075】
第2の展開状態において排出トレイ2の先端をB4方向に持ち上げると排出トレイ2は第2の切替状態(図18)となる。第2の切替状態では排出トレイ2の先端がB4方向に持ち上げられることに伴い、排出トレイ2の後端側に配置されている回動部材6は画像読取装置Aの装置載置面に近づく方向に移動している。この移動の際にスライド部材7の第2の回動カム7cとレール部材9の第2の回動カム9dが接触し、排出トレイ2を持ち上げるにしたがって回動部材6とスライド部材7が一体にC2方向に回動する。この回動動作により、第2の展開状態でスライド部材7のD方向の動きを規制していた第2のスライドカム(スリット)7dが下部カバー8のスライドガイドリブ8bと対面しない位置に移動する。代わりにスライド部材7に設けられた第1のスライドカム7aが下部カバー8のスライドガイド溝8aと対面する位置に移動する。また、同時に回動部材6の突き当て面6d(図9に記載)は下部カバー8から離れるように移動している。ここで第1の切替状態において接触していたスライド部材7とレール部材9のカム形状(7b、9c)は、D方向に位置ずれているため接触していない。
【0076】
第2の切替状態において排出トレイ2の先端をB5方向におろすと、排出トレイ2の後端側に配置されている回動部材6が画像読取装置Aの装置載置面から離れる方向に移動する。この移動の際にスライド部材7の第1のスライドカム7aの斜めの部分が下部カバー8のスライドガイド溝8aの縁と接触し、スライドガイド溝8aに第1のスライドカム7aが収まるように、スライド部材がD2方向にスライドする。また回動部材6の先端と下部カバー8が接触することで(不図示)回動部材6はさらにC2方向に回動し、排出トレイ2と平行になる。これにより排出トレイ2は第1の展開状態(図15)に戻る。
【0077】
このような構成により排出トレイの角度調整を可能にすることで、サイズが異なる搬送媒体Sが混在した束を排出した時に、排出トレイ2上での排出済みの搬送媒体Sの整列性を向上することができる。また、本構成であれば、指掛け形状2cbの上に排出された原稿が積載されないため原稿が排出されてから展開状態を変更することができる。また排出トレイの先端を持ち上げることで排出トレイの角度を切り替えることができユーザーにとって分かりやすい操作方法を提供することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0079】
例えば本実施形態においては収納状態において、スライド部材7は第1のスライドカム7aによってD方向の位置を規制されている。それに対し、収納状態ではスライドカム7aが規制されておらず、収納状態から第1の展開状態に切り替える途中でD方向の位置を規制される構成にしても良い。
【0080】
また第2の切替状態にする際と、第1の展開状態に戻す際の2度に分けて回動部材6をC2方向に回動させる構成としているが、第2の切替状態にする際にのみ回動させるようにしても良い。
【0081】
さらに第1の実施形態では回動部材6とスライド部材7を別々に設けているが、回動部材自体が軸方向にスライドできる構成とし、回動部材6とスライド部材7を一体にした一つの部品としても良い。
【符号の説明】
【0082】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
2a 第1の排出トレイ
a1 回動ヒンジ
a2 回転止め形状
a3 回動部材ヒンジ
a4 突っ張り面
a5 回動部材回転止め
2b 第1延長トレイ
2c 第2延長トレイ
2cb 指掛け形状
2d 排紙スライド部材
6 回動部材
6a 回動軸
6b 回転止め面
6c スライド部材取り付け部
6d 突き当て面
7 スライド部材
7a 第1のスライドカム
7b 第1の回動カム
7c 第2の回動カム
7d 第2のスライドカム(スリット)
8 下部カバー
8a スライドガイド溝
8b スライドガイドリブ
8c 突っ張り面
9 レール部材
9a レール
9b 回転止め面
9c 第1の回動カム
9d 第2の回動カム
100 本体
104 下部ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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