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  • 特開-車両におけるフック部材取付け構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183719
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両におけるフック部材取付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/06 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B60P7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091178
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000192914
【氏名又は名称】株式会社神菱
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】二星 勲生
(57)【要約】
【課題】フック部材のプレート部の大型化を抑制しながらも、フック部材の取付け強度の向上を適切に図ることが可能な車両におけるフック部材取付け構造を提供する。
【解決手段】フック本体部2を支持するプレート部3を有するフック部材Hと、このフック部材Hを車両のフック取付け対象部位12に溶接する複数の点状の溶接対象部4または線状の溶接対象部4Aと、を備えている、車両におけるフック部材取付け構造Aであって、フック部材Hの正面視において、複数の点状の溶接対象部4は、これらの中心を結ぶ直線SLがプレート部3の縦方向に対して傾斜するように横幅方向に位置ずれした構成とされ、または線状の溶接対象部4Aの少なくとも一部は、前記縦方向に対して傾斜した構成とされている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止対象部材を係止させるためのフック本体部およびこのフック本体部を支持するプレート部を有するフック部材と、
前記プレート部のうち、前記フック本体部の横幅方向両側に位置する一対の領域に設けられ、かつ前記フック部材を車両のフック取付け対象部位に溶接する複数の溶接対象部と、
を備えており、
前記複数の溶接対象部として、前記プレート部の前記一対の領域の少なくとも一方において、前記プレート部の縦方向に間隔を隔てた配置に設けられた複数の点状の溶接対象部を含んだ構成、または前記プレート部の縦方向に延びる線状の溶接対象部を含んだ構成とされている、車両におけるフック部材取付け構造であって、
前記フック部材の正面視において、前記複数の点状の溶接対象部は、これらの中心を結ぶ直線が前記縦方向に対して傾斜するように前記横幅方向において互いに位置ずれした構成とされ、または前記線状の溶接対象部の少なくとも一部は、前記縦方向に対して傾斜した構成とされていることを特徴とする、車両におけるフック部材取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両におけるフック部材取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両におけるフック部材取付け構造の具体例として、特許文献1,2に記載の構造がある。
これらの文献に記載の構造においては、トラックの荷台の壁部を構成するあおりに、固縛用のフック部材が取付けられている。前記フック部材は、たとえば図9に示すようなフック部材H1であり、平板状のプレート部3に、屈曲したバー状のフック本体部2が支持された構成である。このフック部材H1をあおりの所定箇所に取付けるための手段として、プレート部3には、左右2箇所の溶接対象部4(スポット溶接部)が設けられる。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、フック部材H1の取付け手段として、左右2箇所の溶接対象部4を用いただけでは、溶接による取付け強度が不足し、大きな荷重が作用した場合に、フック部材H1の取付け状態が解除される虞がある。また、1つの溶接対象部4に荷重が集中することに起因し、溶接箇所が破損する虞もある。
このような虞を回避する手段としては、溶接対象部4の数を増やし、かつ溶接対象部4どうしを適度な寸法以上に離間させた配置にすることが考えられる。ところが、そのためには、プレート部3のサイズを大きくする必要がある。これに対し、フック部材H1を車両に取付ける場合においては、様々な事情により、フック部材H1のプレート部3の大型化、とくに縦幅の増大をできる限り避けたい場合がある。従来においては、そのような要望に対して的確に対応することは困難となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-55616号公報
【特許文献2】実開平4-86587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、フック部材のプレート部の大型化を抑制しながらも、フック部材の取付け強度の向上を適切に図ることが可能な車両におけるフック部材取付け構造を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される車両におけるフック部材取付け構造は、係止対象部材を係止させるためのフック本体部およびこのフック本体部を支持するプレート部を有するフック部材と、前記プレート部のうち、前記フック本体部の横幅方向両側に位置する一対の領域に設けられ、かつ前記フック部材を車両のフック取付け対象部位に溶接する複数の溶接対象部と、を備えており、前記複数の溶接対象部として、前記プレート部の前記一対の領域の少なくとも一方において、前記プレート部の縦方向に間隔を隔てた配置に設けられた複数の点状の溶接対象部を含んだ構成、または前記プレート部の縦方向に延びる線状の溶接対象部を含んだ構成とされている、車両におけるフック部材取付け構造であって、前記フッ
ク部材の正面視において、前記複数の点状の溶接対象部は、これらの中心を結ぶ直線が前記縦方向に対して傾斜するように前記横幅方向において互いに位置ずれした構成とされ、または前記線状の溶接対象部の少なくとも一部は、前記縦方向に対して傾斜した構成とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、プレート部を車両のフック取付け対象部位に溶接するための手段として、プレート部に、縦方向に間隔を隔てた配置の複数の点状の溶接対象部が設けられる場合、溶接対象部の総数は、図9に示した従来技術よりも多くされるため、このことにより溶接強度が高められる。また、前記複数の点状の溶接対象部は、それらの中心を結ぶ直線が縦方向に対して傾斜するように横幅方向において互いに位置ずれした構成とされるため、前記複数の点状の溶接対象部の中心間距離については、溶接強度を高めるなどの観点から好ましい長さに設定しつつ、複数の溶接対象部どうしの縦方向の距離(非斜め方向の距離)を、前記中心間距離よりも短くし、プレート部の縦幅を小さくすることが可能となる。
一方、前記複数の点状の溶接対象部に代えて、線状の溶接対象部が設けられる場合、この線状の溶接対象部の少なくとも一部は、プレート部の縦方向に対して傾斜した構成とされる。したがって、線状の溶接対象部の全長寸法を所望の適度な長さに設定し、溶接強度を高くしつつ、この溶接対象部の縦方向の幅を短くすることが可能となる。
このようなことから、本発明によれば、溶接対象部が前記した点状、線状のいずれの場合であっても、プレート部の縦寸法の増加を抑制し、フック部材の小サイズ化を図りつつ、全体の溶接強度を適切に高めることが可能である。フック部材の小サイズ化により、フック部材の軽量化や製造コストの低減化なども図ることができる。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る車両におけるフック部材取付け構造の一例を示す概略斜視図である。
図2】(a)は、図1のIIa部の一部破断拡大斜視図であり、(b)は、図1のIIb-IIb拡大断面図である。
図3】(a)は、図1および図2に示すフック部材の正面図であり、(b)は、(a)の右側面図であり、(c)は、(a)のIIIc-IIIc断面図である。
図4】本発明との対比例を示す説明図である。
図5】(a)は、本発明の他の実施形態を示す分解斜視図であり、(b),(c)は、(a)に示されたフック本体部の一部をプレート部の孔部に挿入してカシメを施す場合の例を示す正面断面図である。
図6】(a)は、本発明の他の実施形態を示す正面図であり、(b)は、(a)の平面断面図である。
図7】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
図8】本発明の他の実施形態を示す正面図である。
図9】従来技術の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、以降の説明においては、理解の容易のため、図9に示した従来技術と同一または類似の構成要素には、同一の符号を付す。
【0013】
図1に示す車両におけるフック部材取付け構造Aは、トラック1の荷台10の複数の壁部を構成するあおり11の外面部12に、複数のフック部材Hが取付けられた構造である
。あおり11の外面部12は、本発明でいう車両のフック取付け対象部位の一例に相当する
【0014】
各フック部材Hは、固縛用であり、フック本体部2、このフック本体部2を支持するプレート部3、このプレート部3に設けられた左右一対の段差部30、および複数の溶接対象部4を備えている。
【0015】
フック本体部2は、たとえば比較的小径の金属製丸棒部材を側面視略L字状に屈曲することにより構成されており、プレート部3からその前方に突出する上側略水平部20、およびこの上側略水平部20の先端部から下向き屈曲状に延びる延設部21を備えている。このフック本体部2には、図2(b)の仮想線で示す荷物固定用のロープ5(本発明でいう係止対象部材の一例)が係止される。
【0016】
フック本体部2の上側略水平部20の後端部は、プレート部3に固定連結されており、そのための手段として、たとえばカシメ部22が設けられている。より具体的には、図3(c)に示すように、プレート部3には、孔部33が設けられ、かつこの孔部33にフック本体部2の上側略水平部20の後端部が挿通され、かつこの後端部にカシメ部22が設けられている。カシメ部22は、上側略水平部20のうち、孔部33の前側部分および後側部分の外径が増大化した部位である。カシメ部22を設けるためのカシメ工程としては、たとえば熱カシメや、一般的な圧縮カシメのいずれをも適用することが可能である。
【0017】
プレート部3は、薄手の金属板にプレス加工を施すことにより形成されたものであり、正面視において、左右一対の段差部30の相互間に位置する中央寄り領域3aと、一対の段差部30の左右両外側に位置する一対の端部寄り領域3bと、に区分される。段差部30は、中央寄り領域3aが端部寄り領域3bよりも前側に配置するように前後方向に段差を生じている箇所である。フック本体部2のカシメ部22は、中央寄り領域3aの背面側に位置し、あおり11の外面部12に対する不当な当接を生じないようになっている。
【0018】
プレート部3の一対の端部寄り領域3bの裏面側は、あおり11の外面部12に対面接触するように設定され、かつ溶接対象部4を介して外面部12に溶接される。なお、端部寄り領域3bの縦方向途中箇所には、図3(b)に示すように、適当な段差寸法Lbを生じさせる段差部31が形成されているが、この段差部31は、図2に示すように、あおり11の外面部12に段差部12aが設けられていることに対応している。したがって、あおり11の外面部12に段差部12aが設けられていない場合、端部寄り領域3bに段差部31は設けられない。
【0019】
溶接対象部4は、フック部材Hをあおり11の外面部12に固定させるための溶接が施された部位であり、本実施形態においては、スポット溶接が施された部位である。なお、フック部材Hがあおり11の外面部12に未だ溶接されていない状態(フック部材Hの単体状態)においては、溶接対象部4は、溶接が予定されている部位である。
【0020】
本実施形態においては、計4つの溶接対象部4が、プレート部3の各端部寄り領域3bの上側および下側に離間した配置に設けられている。ただし、下側の溶接対象部4(4b)は、上側の溶接対象部4(4a)よりも適当な寸法Lcだけ横幅方向中央寄りに位置している。このことにより、フック部材Hの正面視において、上側および下側の溶接対象部4a,4bの中心を結ぶ直線SLは、プレート部3の縦方向に対して適当な角度αで傾斜している。縦方向は、前記した横幅方向に対して直交する方向であり、本実施形態では鉛直方向である。
【0021】
前記した上側および下側の溶接対象部4a,4bの傾斜配列に対応し、プレート部3の
各段差部30は、正面視において、前記した直線SLと同方向に傾斜した形態に設けられており、一対の段差部30の相互間の幅は、上部側よりも下部側の方が狭くなるように設定されている。プレート部3の左右の両側面部32の少なくとも一部分は、前記した直線SLと同方向に傾斜した状態に設けられている。このことにより、プレート部3の下部の横幅は、上部の横幅よりも狭い。
【0022】
次に、前記したフック部材取付け構造Aの作用について説明する。
【0023】
まず、フック部材Hをあおり11の外面部12に溶接するための手段として、計4箇所の溶接対象部4をプレート部3に設けているため、このことにより全体の溶接強度を高めることが可能であるが、既述したとおり、上側および下側の溶接対象部4a,4bは、プレート部3の横幅方向に位置ずれし、それらの中心どうしを結ぶ直線SLは、プレート部3の縦方向に対して適当な角度αで傾斜している。このため、上側および下側の溶接対象部4a,4bの中心間距離Ldを比較的長めに設定し、あおり11の外面部12に対するフック部材Hの溶接強度を効果的に高めつつ、溶接対象部4a,4bの縦方向の距離Le、ひいてはプレート部3の全体の縦幅寸法Lfを短めに設定することができる。
【0024】
図4は、本実施形態との対比例を示している。この対比例における上側の溶接対象部4aと下側の溶接対象部4bとは、横幅方向に位置ずれしていない。このような構成によれば、上側および下側の溶接対象部4a,4bの中心間距離Ld’を、図3に示した本実施形態の中心間距離Ldと同一にしようとすると、プレート部3の縦幅寸法Lf’は、本実施形態のプレート部3の縦幅寸法Lfよりも大きくせざるを得なくなる。
このことから理解されるように、本実施形態によれば、溶接強度を高くしながらも、プレート部3の全体の縦幅寸法Lfを短めに設定し、フック部材Hの小サイズ化を図ることが可能である。フック部材Hの小サイズ化は、フック部材Hの軽量化や、製造コストの低減化を図る上でも有利である。
【0025】
フック部材Hのプレート部3には、フック本体部2のカシメ部22があおり11の外面部12に不当に干渉しないようにするための段差部30が設けられているが、この段差部30の稜線(段差部30と中央寄り領域3aとの境界線、および段差部30と端部寄り領域3bとの境界線)の形成箇所は、剛性が高い。また、段差部30の稜線は、基本的には、プレート部3の縦方向に延びているものの、既述したように、上部よりも下部の方が幅狭状とされている。このため、プレート部3は、縦方向以外の方向の荷重に対しても高い強度をもつものとなり、フック本体部2に対してロープ5から様々な方向の荷重が作用した場合の耐久性に優れたものとすることも可能である。
【0026】
図5図8は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0027】
図5に示すフック部材Haにおいては、プレート部3に設けられている孔部33が、正面視非円形状の孔部とされている。より好ましくは、孔部33は、正面視矩形状などの多角形状とされ、この孔部33の複数の角部は、たとえば上下左右をそれぞれ向くように設定されている。フック本体部2の上側略水平部20の一部は、図5(b)に示すように、孔部33に挿入された状態でカシメ加工が施され、このことにより、同図(c)に示すように、孔部33に合致した断面形状とされている。
【0028】
本実施形態によれば、フック本体部2が孔部33内において回転することは確実に阻止される。また、孔部33を多角形状とした場合において、複数の角度の向きをどのように設定するかによって、フック本体部2をどのような方向の引っ張り力に対して強いものと
するかを適宜コントロールすることができる利点も得られる。多角形状の孔部33を設ける場合、たとえばこの孔部33の複数の角部のいずれかを、フック本体部2の延設部21が延びる方向や、プレート部3の段差部30の稜線が延びる方向とは異なる方向にも向くように設定することができる。
【0029】
図6に示すフック部材Hbにおいては、プレート部3に設けられる段差部30は、フック本体部2の片側(同図の右側)の1箇所のみに形成され、それとは反対側(同図の左側)の領域Scには形成されていない。プレート部3の前記した領域Scは、同図(b)に示すように、平面断面視において傾斜した形態とされている。この場合、取付け対象の外面部12には、領域Scに対応した傾斜面部12bが設けられている。
本実施形態から理解されるように、本発明においては、段差部30を1つのみ設けた構成とすることが可能である。また、段差部30を無くした構成とすることもできる。
【0030】
図7に示すフック部材Hcにおいては、プレート部3が、フック本体部2の左右横幅方向の両側の一対の領域Sa,Sbを備えており、かつこれらのうち、一方の領域Saには、本発明が意図する配置の上側および下側の溶接対象部4a,4bが設けられている。これに対し、他方の領域Sbには、1つの溶接対象部4のみが設けられている。
本実施形態においても、図9に示した従来技術と比較すると、溶接強度を高めることができ、また上側および下側の溶接対象部4a,4bが横幅方向に位置ずれした斜め配列とされていることにより、プレート部3の縦幅を小さくする効果が得られる。本実施形態から理解されるように、本発明においては、点状の溶接対象部は、少なくとも3箇所設けられていればよい。
【0031】
図8に示すフック部材Hdにおいては、溶接対象部として、左右一対の線状の溶接対象部4A(網点模様を付した部分)が設けられている。この溶接対象部4Aは、たとえばプレート部3の左右両側面部32をあおり11の外面部12に溶接するためのアーク溶接部が施される箇所である。プレート部3の両側面部32、および各溶接対象部4Aの少なくとも一部は、プレート部3の縦方向に対して適当な角度βで傾斜している。
本実施形態によれば、線状の溶接対象部4Aの全長寸法を所望の適度な長さに設定しつつ、この溶接対象部4Aの縦方向の寸法、ひいてはプレート部3の縦寸法を短くすることが可能となる。したがって、本発明が意図する作用が得られる。
本実施形態から理解されるように、本発明における溶接対象部は、スポット溶接などの点状の溶接対象部に代えて、アーク溶接などの線状の溶接対象部とすることも可能である。
【0032】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る車両におけるフック部材取付け構造の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0033】
上述の実施形態においては、フック部材を、トラックのあおりの外面部に取付けた例を示しているが、本発明はこれに限定されない。フック部材は、車両のいずれの位置に設けられていてもよく、たとえば車室内に設けた構成とすることもできる。また、フック部材は、固縛用に限定されず、牽引用とすることも可能であり、その具体的な用途は問わない。したがって、本発明でいう係止対象部材(フック本体部に係止される部材)は、ロープに限定されない。
【0034】
フック部材は、フック本体部がプレート部に支持された構成であるが、フック本体部は、小径の丸棒以外の部材を用いて構成することが可能であり、また側面視略L字状に限らず、他の屈曲状、湾曲状の形態とすることが可能である。フック本体部を、プレート部の上部寄りの位置に代えて、下側寄りの位置などに支持させることもできる。フック本体部
をプレート部に支持させる手段としては、カシメ以外の手段、たとえば溶接手段などを用いることも可能である。プレート部は、フック本体部を支持し、かつ本発明が意図する複数の溶接対象部が設けられた構成とされていればよい。プレート部およびフック本体部の具体的な形状、サイズ、材質は、限定されない。
【0035】
本発明における溶接対象部は、既述したように、溶接対象部が点状である場合には、いわゆる斜め配列とされ、また線状である場合には、少なくとも一部が傾斜状であればよいが、その前提として、次のような構成が満たされていればよい(図7および図8に示した符号を参照する)。
すなわち、複数の溶接対象部4は、プレート部3のうち、フック本体部2の横幅方向両側に位置する一対の領域Sa,Sbのそれぞれに(振り分けられて)設けられており、かつそれら一対の領域Sa,Sbの少なくとも一方において、プレート部3の縦方向に間隔を隔てた配置に設けられた複数の点状の溶接対象部4(例:上側および下側の溶接対象部4a,4b)を含んだ構成、またはプレート部の縦方向に延びる線状の溶接対象部4Aを含んだ構成であればよい。
溶接対象部が点状または線状のいずれであるかには関係なく、その溶接の具体的な種類・方法は限定されない。様々な種類の溶接を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
A 車両におけるフック部材取付け構造
H,Ha~Hd フック部材
Sa,Sb 一対の領域
12 あおりの外面部(車両のフック取付け対象部位)
2 フック本体部
3 プレート部
4,4A 溶接対象部
5 ロープ(係止対象部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9