(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183720
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B26D 5/34 20060101AFI20221206BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20221206BHJP
B26D 11/00 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
B26D5/34 A
B65H43/00
B26D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091179
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】雑賀 理通
【テーマコード(参考)】
3C024
3F048
【Fターム(参考)】
3C024FF01
3C024FF03
3C024FF04
3F048AA00
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048CA06
3F048CC01
3F048DA06
3F048DC12
(57)【要約】
【課題】シートの印刷画像を適切に読取り、適切な位置で加工処理することの可能な加工装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の加工装置は、制御部45が、読取部26において被読取部263が読み取られることで得られる読取情報を取得し、前記読取情報が、個別のシートSにそれぞれ印刷された前記被読取部263から得られる各シートSに施すべき個別の前記処理コードを含み、前記読取情報に含まれる前記個別の処理コードを、前記読取部26の読取時に前記設定部に設定されている前記処理コードと比較し、両者が異なる場合に、前記読取情報に含まれる個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、取得した新たな加工情報に基づいて、前記読取部26によって前記被読取部263を再度読取るよう制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記シートの所定位置に加工処理を施す加工部と、
前記加工部によって前記シートに施される加工処理に関する情報である加工情報が、処理コード毎に付与され、設定される設定部と、
前記シートの所定位置に印刷された被読取部を読み取る読取部と、
前記シートに加工処理を施すよう各部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記読取部において前記被読取部が読み取られることで得られる読取情報を取得し、
前記読取情報が、個別のシートにそれぞれ印刷された前記被読取部から得られる各シートに施すべき個別の前記処理コードを含み、
前記読取情報に含まれる前記個別の処理コードを、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている前記処理コードと比較し、両者が異なる場合に、
前記読取情報に含まれる個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、
取得した新たな加工情報に基づいて、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する加工装置。
【請求項2】
前記加工情報は、前記読取部による前記被読取部の読取精度に関する精度情報を含み、
前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報と、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報とを比較し、両者が異なる場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、
前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報が前記ファインモードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報が前記標準モードである場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、
前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報が前記標準モードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報が前記ファインモードである場合に、前記読取部による前記被読取部の再度の読取を実施しないよう制御する請求項2に記載の加工装置。
【請求項5】
前記被読取部は、前記シートの印刷画像の位置情報であって、所定のパターンを有するマ
ークを含み、
前記制御部は、前記読取情報に含まれる個別の前記マークのパターンと、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている前記マークのパターンとを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を再度実施するよう制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の加工装置。
【請求項6】
前記マークが、所定幅の直線状部分を含み、
前記制御部は、前記読取情報に含まれる個別のマークの直線状部分の幅と、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されているマークの直線状部分の幅とを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を再度実施するよう制御する請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記マークを解析して得られた結果を用いて、シートに印刷された画像の伸縮倍率、搬送路における搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかを算出し、加工処理位置の調整を行うよう制御する請求項5または請求項6に記載の加工装置。
【請求項8】
前記加工情報は、前記シートの画像の伸縮倍率に応じた加工位置の調整の要否に関する要否情報を含み、
前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の前記要否情報が、伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要であり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている加工情報の前記要否情報が伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要でなかった場合に、
前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてきたシートを、加工部材によって加工処理する加工装置が知られている。下記特許文献1には、加工処理を行う際、シートに印刷されたバーコードと、カットマークを読み取って加工を行う装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、シートに印刷されたバーコードおよびカットマークを、CCDセンサによって撮影している。この場合、撮影の際の精度を向上させるには、シートの搬送速度を標準のときより遅くするといった方法がある。例えばファインモードのときは、標準モードのときの半分の搬送速度でシートを搬送する。これより、シートの搬送方向の分解能を2倍にすることができる。
【0005】
しかし、一次元のCCDカメラでは、撮影のやり直しができず、読取精度の向上に限界がある。
【0006】
本発明の目的は、シートの印刷画像を適切に読取り、適切な位置で加工処理することの可能な加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の加工装置は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記シートの所定位置に加工処理を施す加工部と、前記加工部によって前記シートに施される加工処理に関する情報である加工情報が、処理コード毎に付与され、設定される設定部と、前記シートの所定位置に印刷された被読取部を読み取る読取部と、前記シートに加工処理を施すよう各部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記読取部において前記被読取部が読み取られることで得られる読取情報を取得し、前記読取情報が、個別のシートにそれぞれ印刷された前記被読取部から得られる各シートに施すべき個別の前記処理コードを含み、前記読取情報に含まれる前記個別の処理コードを、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている前記処理コードと比較し、両者が異なる場合に、前記読取情報に含まれる個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、取得した新たな加工情報に基づいて、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する。
【0008】
また、前記構成において、前記加工情報は、前記読取部による前記被読取部の読取精度に関する精度情報を含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報と、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報とを比較し、両者が異なる場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する。
【0009】
そして、前記精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報が前記ファインモードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報が前記標準モードである場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する。
【0010】
更に、前記構成において、前記精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報が前記標準モードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報が前記ファインモードである場合に、前記読取部による前記被読取部の再度の読取を実施しないよう制御する。
【0011】
更に、前記各構成において、前記被読取部は、前記シートの印刷画像の位置情報であって、所定のパターンを有するマークを含み、前記制御部は、前記読取情報に含まれる個別の前記マークのパターンと、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている前記マークのパターンとを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を再度実施するよう制御する場合に、前記個別のマークの解析を実施するよう制御する。
【0012】
更に、前記各構成において、前記マークが、所定幅の直線状部分を含み、前記制御部は、前記読取情報に含まれる個別のマークの直線状部分の幅と、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されているマークの直線状部分の幅とを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を再度実施するよう制御する。
【0013】
更に、前記各構成において、前記制御部は、前記マークを解析して得られた結果を用いて、シートに印刷された画像の伸縮倍率、搬送路における搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかを算出し、加工処理位置の調整を行うよう制御する。
【0014】
更に、前記各構成において、前記加工情報は、前記シートの画像の伸縮倍率に応じた加工位置の調整の要否に関する要否情報を含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の前記要否情報が、伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要であり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている加工情報の前記要否情報が伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要でなかった場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、前記制御部は、前記読取部において前記被読取部が読み取られることで得られる読取情報とを取得し、前記読取情報が、個別のシートにそれぞれ印刷された前記被読取部から得られる各シートに施すべき個別の前記処理コードを含み、前記読取情報に含まれる前記読取情報に含まれる前記個別の処理コードを、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている前記処理コードと比較し、両者が異なる場合に、個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、取得した新たな加工情報に基づいて、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御するので、制御部が読取情報を解析した結果、個別のシートの加工情報が設定部の設定と異なっていても読取部によって再度被読取部を読み取ることができ、これを基に適切な位置で加工処理することができる。
【0016】
また、前記加工情報は、前記読取部による前記被読取部の読取精度に関する精度情報を含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報と、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報とを比較し、両者が異なる場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する場合は、個別のシートの精度情報が設定部の設定と異なっていても読取部によって再度被読取部を読み取ることができる。
【0017】
そして、前前記精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報が前記ファインモードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報が前記標準モードである場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する場合は、精度情報が標準モードからファインモードへ変更されるときに読取部によって再度被読取部を読み取ることができる。
【0018】
更に、前記精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の精度情報が前記標準モードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている処理コードの加工情報の精度情報が前記ファインモードである場合に、前記読取部による前記被読取部の再度の読取を実施しないよう制御する場合は、精度情報がファインモードから標準モードへ変更されるときに、読取部による被読取部の再度の読取を実施しないようにできる。
【0019】
更に、前記被読取部は、前記シートの印刷画像の位置情報であって、所定のパターンを有するマークを含み、前記制御部は、前記読取情報に含まれる個別の前記マークのパターンと、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている前記マークのパターンとを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を再度実施するよう制御する場合に、前記個別のマークの解析を実施するよう制御する場合は、読み取ったマークのパターンが設定部の設定と異なる場合に、マークの解析を実施可能である。
【0020】
更に、前記マークが、所定幅の直線状部分を含み、前記制御部は、前記読取情報に含まれる個別のマークの直線状部分の幅と、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されているマークの直線状部分の幅とを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を再度実施するよう制御する場合は、読み取ったマークの直線状部分の幅が設定部の設定と異なる場合に、マークの解析を実施可能である。
【0021】
前記制御部は、前記マークを解析して得られた結果を用いて、シートに印刷された画像の伸縮倍率、搬送路における搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかを算出し、加工処理位置の調整を行うよう場合は、個別の位置情報を用いてシートを適切に加工処理できる。
【0022】
更に、前記加工情報は、前記シートの画像の伸縮倍率に応じた加工位置の調整の要否に関する要否情報を含み、前記制御部は、前記取得した新たな加工情報の前記要否情報が、伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要であり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている加工情報の前記要否情報が伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要でなかった場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御する場合は、伸縮倍率に応じた加工位置の調整を行う際に、被読取部の読取精度を向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る加工装置の模式縦断面図である。
【
図2】前記加工装置の供給部及び読取部の拡大縦断面図である。
【
図4】前記加工装置のクリース部の拡大平面図である。
【
図5】前記加工装置の横裁断部の拡大平面図である。
【
図6】前記加工装置で処理が施されるシートの一例である。
【
図11】他の実施形態にかかるシートの平面図である。
【
図12】他の実施形態にかかる加工装置の制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態) 以下に、本発明の第1の実施形態に係る加工装置1について、
図1乃至10を参照しながら詳細に説明する。
図1の全体構成図に示すように、加工装置1は、装置本体2のシートSの搬送路5の上流側に供給台36が設置される。搬送路5の下流側には排出台61が設置される。
【0025】
装置本体2内には、シートSを搬送する搬送部4が設けられる。搬送部4は、所定の領域毎に独立した複数個の第1~4搬送用モータ41~44によって駆動される複数個の対のローラを備える。したがって、複数個の対のローラ10~17がシートSの搬送方向Fに並んで配置される。搬送部4のシートSの搬送速度は、例えば、0.2m/秒~3.0m/秒とすることができる。
【0026】
シートSの搬送路5に沿って適宜の位置には、加工部19が配置されている。加工部19は、搬送部4により搬送されるシートSの所定位置に加工処理を施す加工部材191を備える。
図1に示した実施形態では、シートSの搬送路5の上流側から下流側に向けて、加工部19として3つのスリット部20、クリース部21及び横裁断部22を、それぞれ備えている。
【0027】
これらの加工部19は、装置本体2に対して固定的に設置されてもよいが、フレキシブルな対応、装置の小型化及び交換作業の容易化のために、装置本体2に対してユニットとして着脱自在に設置されている。これらの加工ユニットは、いずれの設置場所にも着脱できるように、外観上同じ寸法や形状を有するように構成されている。
【0028】
図2は供給台36を含むシートSの供給部3の縦断面図、
図3は供給部3の平面図を示す。供給部3は、スリット部20の上流側に設置される。供給部3は、シートSを搬送路5へ供給する。供給部3は、供給台36、吸引式搬送機構31、斜行補正機構32、供給ローラ33,34、重送検知部35、供給調整部301を備える。
【0029】
供給台36は、搬送路5へ供給されるシートSが載置される。供給台36は図示しない昇降部によって昇降される。供給台36の側方には、シートSの側端縁Esを当接させるガイド壁361を備える。また、供給台36の前方には、シートSの束を分離するための送風機38が設けられる。
【0030】
吸引式搬送機構31は、供給台36に載置されているシートSを図示しない吸引手段によって、1枚ずつ引き付けて吸着させ、搬送する。吸引式搬送機構31は、一対のローラ311、312に掛け渡された周回走行する無端状のベルト313を備える。ベルト313は、搬送方向Fと平行に走行する。ベルト313は、シートSの搬送方向Fに直交する幅方向Wに複数並設される。ベルト313の内方には、吸引箱314が設置される。吸引箱314は、下面に吸引口が開口して形成され、吸引箱314の下面にシートSを吸い付ける。
【0031】
斜行補正機構32は、吸着搬送機構31によって搬送されてきたシートSを、一対のローラ321、322に掛け渡された無端状のベルト323に載せて、搬送する。無端状のベルト323は、シートSの搬送方向Fに対してガイド部材324側に向けて所定量傾斜して設けられる。ガイド部材324のシートSの接触面は、ガイド壁361のシートS接触面と同一面内に設置される。
【0032】
斜行補正機構32では、シートSの側端縁Esが、搬送方向Fに平行なガイド壁324側に押し付けられながら搬送される。これより、シートSの側端縁Esがガイド壁324に沿った状態で搬送される。斜行補正機構32は押え部325を備える。押え部325は、押えボール326及び支持部材327を有する。押えボール326は球形に形成される。押えボール326は、支持部材327によって回転自在に支持される。押えボール326は斜行するシートSの搬送方向Fが補正される際、ベルト323上のシートSを上方より押える。ベルト323の内方には吸引箱328が設置され、図示しない吸引手段によってシートをベルト323上に吸引しつつ搬送する。
【0033】
重送検知部35は、シートSの重送を検知する。重送検知部35は、光学式センサまたは超音波センサ等により構成される。重送検知部35が超音波センサである場合、透過量または反射量の違いを検知し辛い厚いシートSであっても適正に重送を検知できる。
【0034】
供給調整部301は、加工部19においてシートSに施される加工の処理角度を調整する。供給調整部301は、供給台36を含む給紙部3全体の設置角度を調整する。供給調整部301は、回動部302を備えている。回動部302は、回動軸303を中心として供給台36を含む給紙部3全体を回動させる。回動軸303は、平面視矩形の供給台36の搬送方向下流側の一隅に設けられている。
【0035】
回動部302は、図示しないモータ、切替部及び操作部を備える。モータは、供給台36を自動で回動させる。切替部は、モータの駆動による供給台36の自動での回動動作に替えて、使用者が操作部を操作することによって手動で供給台36を回動できるよう切り替えるために設けられる。切替部による自動と手動との切替は、自動で行ってもよく、手動であってもかまわない。
【0036】
図1に示すスリット部20は、シートSを搬送部5の搬送方向Fに沿って裁断する。スリット部20は、左右一対のスリッター201とスリッター用モータ48とを備える。スリッター201は加工部材191を構成する。スリッター201は、図示しない移動部によりシートSの幅方向Wの適宜の位置に移動可能に構成される。シートSの裁断を必要としないときには、スリッター201がシートSの搬送路5の外側に退避している。なお、スリッター201のシートSの幅方向Wの移動及び位置決めは、制御部45によって制御される。スリッター用モータ48は、搬送方向Fに沿った裁断を行うときにスリッター201を回転駆動するための駆動源である。
【0037】
裁断屑落し部27は、スリット部20における裁断によって生じた裁断屑をシートSの搬送路5の下方に排除するためのものである。裁断屑落し部27は、複数個の裁断屑落しデバイスと図示しない幅方向位置決め軸とデバイス移動用モータとを備える。裁断屑落しデバイスは、幅方向位置決め軸の回転に伴ってシートSの幅方向Wに移動可能に構成させる。所定位置に配置された裁断屑落しデバイスがシートSの搬送路5上の障害物になるために、シートSが裁断屑落し部27を通過する際に、シートSに含まれる裁断屑を落下させてゴミ箱23で回収する。
【0038】
クリース部21は、シートSに対してシートSの幅方向Wに沿った折り型を形成する。クリース部21は、クリース刃215を備える。クリース刃215は加工部材191を構成する。クリース刃215は、シートSの幅方向Wに延在する上型211及び下型212により構成される。クリース駆動部49は、上型211を上下方向に駆動するための駆動源である。上型211と下型212との間にシートSを挟んだ状態で、上型211を下向きに駆動させて、シートSを上型211の凸部で下型212の凹部に押し込むことによって、シートSに断面が略半円状の折り型を形成する。
【0039】
クリース部21は、クリース調整部241を備える。クリース調整部241は、制御部45の算出結果に基づいて加工部材191としてのクリース刃215がシートSへ施すクリース加工の処理角度を調整する。
【0040】
図4は、クリース部21の平面図である。クリース調整部241は、クリース刃215の設置角度を調整する。クリース調整部241は、回動軸213、ラック217、ピニオン218、モータ219、切替部216及び回動操作部214を備える。
【0041】
回動軸213は、クリース部21のユニット247の一方の端部近傍に設けられている。クリース調整部241は、角度調整用のモータ212を所定時間駆動することで、ピニオン218を所定量回転させ、ラック217を所定量移動させる。クリース刃215は、ラック217の移動に伴って回動軸213を中心として、ユニット247ごと回動される。
【0042】
切替部216は、モータ212の駆動によるクリース刃215の自動での回動動作に替えて、使用者が回動操作部を操作することで、手動でクリース刃215を回動できるよう切り替えるために設けられる。切替部216は、手動操作可能な機構に替えて、パネル46上に表示し、制御部45が制御することで、自動で切り替えてもよい。
【0043】
図1に示す横裁断部22は、シートSに対してシートSを幅方向Wに沿って切断する。横裁断部22は、裁断刃225、横裁断駆動部50を備える。裁断刃225は加工部材191を構成する。裁断刃225は、シートSの幅方向Wに延在する上刃221及び下刃222を備える。横裁断駆動部50は、上刃221が下刃222に向けて押し込まれるように上刃221を上下方向に駆動するための駆動源である。
【0044】
横裁断駆動部50は、上刃221と下刃222との間にシートSを挟んだ状態で、上刃221を下向きに駆動させて、シートSを上刃221と下刃222とで裁断する。裁断により生じた裁断屑は、下方へ落下してゴミ箱23で回収される。なお、シートSの搬送方向Fの裁断すべき余白部が長い場合には、裁断屑を幅方向Wに沿って複数回裁断することで、搬送方向Fの長さが短い裁断屑に分割することができる。
【0045】
横裁断部22は、裁断調整部251を備える。裁断調整部251は、裁断刃225の設置角度を調整する。裁断調整部251は、制御部45の算出結果に基づいて裁断刃225がシートSへ施す裁断加工の処理角度を調整する。
図5は横裁断部22の平面図である。裁断調整部251は、裁断回動部252を備えている。裁断回動部252は、回動軸223を中心として裁断刃225をユニット257ごと回動させる。
【0046】
裁断回動部252は、回動軸223、ラック227、ピニオン228、モータ229、切替部226及び回動操作部224を備える。回動軸223は、横裁断部22のユニット247の一方の端部近傍に設けられている。裁断回動部252は、モータ229を所定時間駆動し、所定方向に回転することで、ピニオン228を所定量所定方向に回転させ、ラック227を所定方向へ所定量移動させる。裁断刃225は、ラック227の移動に伴って回動軸223を中心として回動される。
【0047】
切替部226は、モータ229の駆動による裁断刃225の自動での回動動作に替えて、使用者が回動操作部224を操作することで、手動で裁断刃225を、回動軸223を軸心に回動できるよう切り替えるために設けられる。切替部226は、手動操作可能な機構に替えて、パネル46上に表示し、制御部45が制御することで、自動で切り替えてもよい。
【0048】
加工装置1内に設置されるシートSの搬送用駆動源や加工用駆動源は、ステッピングモータ、DCモータやサーボモータ等の適正に位置決め可能なモータが用いられる。ステッピングモータは、パルス信号を与えることによって所定のステップ単位で回転する。搬送用駆動源及び加工用駆動源のいずれかまたは双方をステッピングモータとすることで、シートSの搬送位置や、各種加工デバイスの移動位置を高速且つ高精度に制御できる。
【0049】
シートSの搬送路5に沿って適宜の位置には、複数個の検出部28が配置されている。
図1に示した実施形態では、検出部28として、シート検出部91~95及び読取部26が配置されている。シート検出部91~95は、対の発光素子と受光素子を備える。シート検出部91~95は、シートSがこれらの素子の間を通過して検出光を遮ることによってシートSの通過を検出する透過型の光センサである。
【0050】
上記センサ群のうちシートSの搬送路5の最も上流側に設置されたシート検出部91は、供給台36から供給されたあと供給ローラ33、34で把持されたシートSの前端縁Ef又は後端Ebを検出する。これより、シート検出部91で検出されたシート位置を基準にして、シートSの搬送路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出する。
【0051】
読取部26は、供給ローラ34と搬送部4のローラ10の間であって、最上流のシート検出部91の下流側に設置される。読取部26は、シートの所定位置に印刷された被読取部263を読み取る。読取部26は、カメラ261により構成される。当該カメラ261は、少なくとも、シートSに印刷された被読取部263、シートSの前端縁Ef、後端縁Ebまたは側端Esのうちいずれかの端縁Eを撮像する。
【0052】
カメラ261には、平面の画像を読み取る2次元CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等を用いることができる。また、カメラ261は、30万画素程度、1秒間に30,60,100フレーム、分解能10分の1程度の読出しが可能なものを用いることができる。更に、グローバルシャッターを用いることで、歪みの少ない画像を得ることができ、加工処理物の加工精度向上可能となる。
【0053】
図6は、シートSに施される加工処理の一例を示す。同図では、被読取部263は、シートSの下流側の前端部分に印刷される場合を示す。
図7は、被読取部263周辺を拡大して示す。被読取部263には、マークM及び加工情報部Nが含まれる。マークMは、シートSの印刷画像の位置情報であって、所定パターンを有する。本実施形態では、マークMは、所定幅の直線状部分を含む場合を示す。マークMには、位置マークM1、斜行マークM2が含まれる。
【0054】
位置マークM1は、加工部19でシートSに施される加工位置の基準を指し示す。位置マークM1は平面視L字状に形成されている。
図8は、位置マークM1のみをさらに拡大して示す。位置マークM1の直線状部分は、横マークMf及び横マークMwにより構成される。横マークMfは、シートSの搬送方向Fに沿って延在する。横マークMwは、シートSの幅方向Wに沿って延在する。縦マークMf及び横マークMwは、いずれも細長い矩形状に形成される。横マークMfの下流側端部と横マークMwのシートSの側端縁Esに近い側の端部とは結合されている。
【0055】
図7に示す斜行マークM2は、同図において位置マークM1から所定距離離間して右側に形成される。斜行マークM2は所定幅の直線状部分Iを備える。斜行マークM2は、シートSの幅方向Wに沿って延在する。
【0056】
マークMは、異なる複数種類のパターンの中から必要なパターンを選択可能としてもよい。この場合、記憶部454には、予め異なる複数種類のパターンのマークMの基準が記憶される。
図7において、破線でマークMに対する他のパターンのマークM10の例を示す。マークM10は、実線示すマークMのパターンより、サイズが大きく、且つ直線状部分の幅H10,I10が長く、太くなっている。
【0057】
マークMがカメラ261によって撮影されることで、シートSに印刷された画像の、シートSの搬送方向Fまたは幅方向Wに対する角度と、搬送路5における幅方向Wの位置とを検出することができる。
【0058】
加工情報部Nは、個別のシートSにそれぞれ印刷され、被読取部263によって読み取られる。加工情報部Nには、個別の前記処理コードが記憶されている。処理コードは、加工情報毎に付与される。また。加工情報部Nは、各シートSに施すべき個別の加工情報を含んでもよい。加工情報は、シートに施される加工処理に関する情報である。加工情報には、例えば、シートSの搬送方向Fや幅方向Wの長さ、マークMのシートSにおける位置、マークMのパターンの形状及び大きさなどの種類、搬送方向F及び幅方向Wに沿った裁断、ミシン目、コーナーカットやクリース等の各種加工位置、読取部26による被読取部263の読取精度に関する精度情報、シートSに印刷された画像に基づく加工位置の伸縮倍率補正の要否、傾斜角度補正の要否、シートSの前端隅部分におけるシートSの端縁EからマークMまでの長さ、処理角度の許容範囲に関する情報等が含まれる。
【0059】
加工情報に含まれる読取部26による被読取部263の読取精度に関する精度情報は、例えば、標準モードと、この標準モードより読取精度の高いファインモードとを備えることができる。ファインモードでは、標準モードより高い精度で画像の読取を行う。高い精度での画像の読取方法として、例えば、ファインモードでは、被読取部263を複数回に撮影する。得られた複数の画像から、マークMについて、位置を算出できなかったものを除外し、残存する適切な位置情報を平均化する。これより、読取ミスを軽減し、位置情報の読取精度を向上することができる。
【0060】
ファインモードの他の例として、ハイダイナミックレンジ合成も利用可能である。ハイダイナミック合成では、光の強さと露光時間を変えることで露出を変化させつつ複数の画像を撮影し、それらを合成することで白飛びや黒つぶれの少ない画像とし、位置情報を適切に算出することができる。
【0061】
例えば、あるシートSに印刷された加工情報部Nには、
図6に示すような加工を行うことを指示する加工情報に付与された処理コードを記録することができる。すなわち、T1~T4のスリット位置に沿って縦方向の裁断加工を行うこと、K1~K10の裁断位置に沿って横幅方向の裁断加工を行い、1枚のシートSから横2行、縦5列の合計10枚の加工処理物Qを得るという加工情報に付与された処理コードがバーコードM3に記録されている。
【0062】
図6,7では、加工情報部NがバーコードM3により構成される場合を示す。バーコードM3は、シートSに印刷される。バーコードM3は、位置マークM1と斜行マークM2との間となる位置でこれらに隣接して設けられる。
【0063】
読取部26は、バーコードM3の画像から、処理コードを取得する。処理コードは、加工情報毎に付与された番号であって、加工情報が異なる場合、異なる処理コードが付与される。
【0064】
読取部26が被読取部263の周辺で読み取る範囲は、例えば、シートSの前端縁Efから20mm、左側端縁ELから60mmの範囲等とすることができる。位置マークM1、斜行マークM2、バーコードM3のそれぞれについて、読み取る範囲が設定される。
【0065】
図2に示すように、搬送部4のローラ10の下流側には、リジェクト機構25が設けられる。リジェクト機構25は、回動部材251、回動検出部255、案内部材253、リジェクト用の案内ローラ254及びリジェクトトレイ252を備える。回動部材251は、作動時に搬送路5を遮る姿勢となる。回動検出部255は2つの光学式センサ256及び遮光板257からなる。遮光板257は、回動部材251に固定され、回動部材251の回動動作に伴って、2つの光学式センサ256の間で移動する。これより、回動部材251がシートSを下方から支持する実線で示す水平姿勢と、シートSをリジェクトするため搬送路5を遮る二点鎖線で示す傾斜姿勢とのいずれであるかを検出する。
【0066】
重送や、シートSの被読取部263が不鮮明である等何らかの理由によりリジェクトすべきシートSがある場合、回動部材251が回動され、当該シートSを搬送路5の下方へ落下させる。搬送路5の下方では、リジェクトされたシートSが案内部材253及びリジェクト用の案内ローラ254によって案内され、リジェクトトレイ252で回収される。
【0067】
加工装置1は各種動作を制御するための制御部45を装置本体2に備えている。制御部45には、ROMやRAM等の記憶部454、入力デバイスとしての各種センサ26、91~95、出力デバイスとしての各種モータ41~44、47~49及び、入出力デバイスとしての操作用のパネル46、供給部3、搬送部5及び加工部19等の各部の動作を制御する制御部45が、それぞれ電気的に接続されている。
【0068】
制御部45は、設定部455及び記憶部454を備える。設定部455は、加工部19によってシートに施される加工処理に関する情報である加工情報を設定する。加工情報は、使用者が操作用のパネル46やパーソナルコンピュータ等の外部の機器を介して入力操作することによって、設定部455に設定される。
【0069】
加工情報に処理コードが付与されている場合には、使用者は処理コードを用いて加工情報を設定することができる。記憶部454には予め処理コードと、その処理コードに対応する加工情報とが記憶される。制御部45は、使用者が操作パネル46や外部の機器を用いて処理コードを設定した場合、設定された処理コードを用いて、シートSに施すべき加工情報を記憶部454から呼び出すことができる。
【0070】
制御部45は、バーコードM3から得られるサイズ情報や操作用のパネル46から入力された設定情報によってシートSの縦方向長さを把握することができる。シートSの下流側の前端縁Ef又は上流側の後端縁Ebのいずれか一方を検出することによって、シート検出部91の設置位置を基準にして、シートSの搬送路5上におけるシートSの位置を一義的に規定することができる。
【0071】
このように、最も上流に設置されたシート検出部91によってシートSの搬送路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出することができる。しかし、他のシート検出部92~95は、シートSの搬送路5が長くなってシートSの搬送路5上のシートSの縦方向の位置ズレ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、シート検出部91で得られたシートSの位置情報を修正して、当該シートSの位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。
【0072】
制御部45は、設定部で設定された加工情報と、読取部において被読取部が読み取られることで得られる読取情報とに基づいて、シートに加工処理を施すよう制御する。また、制御部45は、読取情報に含まれる個別の加工情報と、読取部26の読取時に設定部455に設定されている加工情報とを比較し、両者が異なる場合に、読取部26によって被読取部を再度読取るよう制御する。前記読取部において前記被読取部が読み取られることで得られる読取情報とを取得し、
前記読取情報が、個別のシートSにそれぞれ印刷された被読取部263から得られる各シートSに施すべき個別の処理コードを含み、読取情報に含まれる個別の処理コードを、読取部の読取時に設定部455に設定されている処理コードと比較し、両者が異なる場合に、個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、取得した新たな加工情報に基づいて、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御する。
【0073】
また、制御部45は、取得した新たな加工情報の精度情報と、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報とを比較し、両者が異なる場合に、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御することができる。
【0074】
記読取情報に含まれる個別の精度情報がファインモードであり、読取部26の読取時に設定部に設定されている精度情報が標準モードである場合に、読取部によって被読取部263を再度読取るよう制御することができる。
【0075】
制御部45は、精度情報が、標準モードと、標準モードより読取精度の高いファインモードとを含む場合に、取得した新たな加工情報の精度情報がファインモードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報が標準モードであるとき、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御することができる。また、制御部45は、取得した新たな加工情報の精度情報が標準モードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報がファインモードである場合に、読取部26による被読取部263の再度の読取を実施しないよう制御することができる。
【0076】
また、加工情報は、シートSの画像の伸縮倍率に応じた加工位置の調整の要否に関する要否情報を含む場合に、制御部45は、取得した新たな加工情報の要否情報が、伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要であったとき、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御することができる。
【0077】
また、制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMのパターンと、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMのパターンとを比較し、両者が異なる場合に、個別のマークMの解析を再度実施するよう制御することができる。制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMの直線状部分の幅と、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMの直線状部分の幅とを比較し、両者が異なる場合に、個別のマークMの解析を再度実施するよう制御することができる。
【0078】
また、制御部45は、マークMを解析して得られた結果を用いて、シートSに印刷された画像の伸縮倍率、搬送路における搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかを算出し、加工処理位置の調整を行うよう制御することが可能である。
【0079】
加工装置1は、操作用のパネル46を備える。パネル46は、傾斜角度と、調整部30の手動による調整方法とを表示することができる。手動による調整方法としては、例えば、記憶部454に記憶されたマークMの画像と、基準線Bとを表示する。使用者が手動で加工部19の加工部材191の設置角度を調整した場合、図示しないセンサ等によって加工部材191の設置角度が計測され、パネル46に表示してもよい。横マークMw及び斜行マークM2が基準線Bに重なるか、または平行となったとき、調整完了とすることができる。
【0080】
次に、加工装置1の動作について説明する。まず、主電源スイッチを入れ加工装置1の運転を開始すると、各種の内部動作チェックを行う。加工装置1の使用者は、供給台36に、シートSの束を載置する。供給台36上で使用者は、シートSの一方の側端縁Esがガイド壁361に接触する基準位置に調整しシートSを載置する。そして、使用者は、シートSの加工情報を、操作パネル46を用いて入力するか記憶部454から処理コードを呼び出し、設定部455に設定する。
【0081】
図9は加工装置1のフローを示す。同図のステップ101において、制御部45は、使用者による設定部455への設定からシートSの加工情報を取得する。取得した加工情報を基に、制御部45は、搬送方向Fに沿った裁断をするための裁断位置情報から、スリット部20での左右の各スリッター201のホームポジションから各裁断位置への幅方向Wへの移動すべき長さを算出する。また、制御部45は、幅方向Wに沿ったクリースまたは裁断を行うためのクリース位置情報または裁断位置情報から、シートSの前端縁Efから各々の加工位置まで搬送部4によって搬送すべき長さを算出する。
【0082】
図9のステップ102で、制御部45は、シートSの加工処理の準備動作を行う。加工処理の準備動作では、供給部3において、昇降部を駆動し、供給台36をシートSの搬送路5への供給位置へ移動する。そして、送風機38を駆動し、空気流によりシートSを1枚ずつ捌く。スリット部20では直前の加工処理の裁断位置に位置するスリッター201を一旦ホームポジションへ移動する。そして、制御部45は、算出移動量だけスリッター201を幅方向Wに移動し、スリッター201を加工位置に位置させる。横裁断部22では、上刃221を上限位置へ移動するよう横裁断駆動部50を駆動する。搬送部4では、搬送駆動部41~44の励磁を開始する。
【0083】
図9のステップ103で、使用者がシートSの加工処理開始の操作を行うと、制御部45はシートSの供給動作を開始する。制御部45は、供給台36上のシートSの束から、吸引搬送機構31によって一枚ずつシートSを搬送路5へ供給する。その際、制御部45は、まず、吸引手段を駆動し、最上位のシートSを吸引箱314の下面に引き付けて吸着させる。そして、制御部45は、ローラ311,312を回転してベルト313を走行させる。
【0084】
シートSは、ガイド壁361にシートSの一方の側端縁Esを沿わせつつ搬送路5を下流側へ搬送される。重送検知部35で、シートSが重送されたかどうか判断される。シートSが重送していたならば、制御部45は、供給したシートSを搬送路5から排除する。
【0085】
シートSを搬送路5から排除する際、制御部45は、重送した状態で送られた複数枚のシートSを、斜行補正機構32、供給ローラ33,34及び搬送部4のローラ10により下流側のリジェクト機構25へ搬送する。そして、制御部45は、回動部材251の駆動源を駆動して回動部材251を水平姿勢から傾斜姿勢へと回動する。シートSは、傾斜姿勢の回動部材251によって下方へ案内され、案内部材253、案内ローラ254によって送られ、リジェクトトレイ252に回収される。
【0086】
後続のシートSは、通常の設定では、処理が継続される。リジェクトすることによって、加工処理物Qの順序が入れ替わるのが好ましくない場合には、使用者が設定操作することによって、加工処理動作を停止させてもよい。使用者は、搬送路5から排除されたシートSをリジェクトトレイ252または搬送路5上から回収し、供給台36に再度積載しなおす。これより、シートSは予め想定した順序で加工処理され、排出台61に積載される。
【0087】
シートSの重送が検出されないとき、シートSは、重送検知部35を通過し、斜行補正機構32に送られる。斜行補正機構32では、シートSの斜行が修正される。ベルト323上に送られて来たシートSの搬送が斜めであった場合、ガイド部材324に平行な方向に向けてシートSが搬送されるよう修正される。その際、制御部45は、ベルト323を走行させることで、シートSが、ガイド部材324に向けて搬送されるようにする。シートSの側端縁Esがガイド部材324に接触しながら下流側へ搬送されると、シートSの斜行は修正される。
【0088】
斜行補正機構32の下流側で、シートSは供給ローラ33、34によって挟持搬送される。供給ローラ34の下流側にシートSの前端縁Efが至ると、シート検出部91によってシートSの前端縁Efが検出される。その後、
図9のステップ104で読取部26において読取処理が行われる。
【0089】
図10は、読取部26による読取処理のフローを示す。同図のステップ11で、制御部45は、シート検出部91によってシートSの前端縁Efが検出された後、被読取部263を読み取る位置までシートSを搬送する。ステップ12で、シートSの被読取部263が読取位置に至ると制御部45はシートSの搬送を停止する。ステップ13で、読取部26によって被読取部263が読み取られる。
【0090】
このとき、カメラ261は、位置マークM1、斜行マークM2、バーコードM3、シートSの前端縁Ef、側端縁Esを2次元で読み取る。撮像により得られた画像データは、制御部45に送られて記憶部454に一時的に記憶される。
【0091】
ステップ14に進み、制御部45は、撮像により得られた画像データを解析する。ステップ15で、制御部45は、読取情報に含まれる個別の処理コードと、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードとを比較し、両者が異なるかどうか判断する。ステップ15で処理コードが変更されていない場合、ステップ21に進む。
【0092】
ステップ15で、個別の処理コードが設定部455に設定されている処理コードと異なる場合、ステップ16に進む。ステップ16で、制御部45は、バーコードM3に記憶された処理コードに対応する加工情報を、記憶部454から取得する。
【0093】
ステップ17で、制御部45は、取得した新たな加工情報の精度情報と、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報とを比較する。そして、取得した新たな加工情報の精度情報がファインモードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報が標準モードであるかどうかを判断する。このように、バーコードM3の処理コードが設定部455の処理コードから異なる値に変更されたことによって、当該シートの加工処理に用いる精度情報が、設定部455で設定されている標準モードから標準モードより読取精度の高いファインモードへ変更になったかどうかを判断する。
【0094】
ステップ17で、取得した新たな加工情報の精度情報がファインモードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報が標準モードである場合に、読取精度が標準モードからファインモードへ変更されたと判断し、ステップ18に進む。ステップ18で、読取部26によって被読取部263を再度読取る。再読取の回数は、1回としてもよいが、2回以上とすることも可能である。
【0095】
ステップ17で、取得した新たな加工情報の精度情報が標準モードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報がファインモードである場合に、読取部26による被読取部263の再度の読取を実施する必要がないので、ステップ19に進む。
【0096】
ステップ19で、制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMのパターンと、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMのパターンとを比較する。このとき、制御部45は、個別のマークMが直線状部分を含んでいた場合に、直線状部分の幅と、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMの直線状部分の幅とを比較し、両者が異なるかどうかを判断することも可能である。
【0097】
読取情報に含まれる個別のマークMのパターンが、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMのパターンに対して変更されていない場合、被読取部263の再度の読取も、マークMの再度の解析もいずれも必要なく、ステップ14の解析結果を利用可能であるので、ステップ21に進む。マークMのパターンが異なる他のパターンに変更されている場合、マークMを再度解析する必要があるので、ステップ20に進む。
【0098】
ステップ20で、読取部26の読取で得られた個別のマークMの解析を実施する。その際、ステップ19で、読取情報に含まれる個別のマークMのパターンと、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMのパターンが異なっていた場合、ステップ13で読み取った読取情報を用いる。そして、ステップ14で既に行った個別のマークMの解析に替えて、ステップ20において、設定部455の設定とは異なる個別のマークMのパターンに適した条件で、再度解析を実施する。
【0099】
そして、制御部45は、マークMが、所定幅の直線状部分G,Hを含み、読取情報に含まれる個別のマークMの直線状部分G,Hの幅と、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMの直線状部分G,Hの幅とを比較した結果、両者が異なる場合に、個別のマークMを再度解析する。
【0100】
図7で、破線で示すように、直線状部分G10,H10の幅が長いときには、短いときより、被読取部263の領域内に印刷された余分な細い線やトンボマークなどを、位置マークM1や斜行マークM2と容易に区別することができる。このように、読取情報を再度解析することでより適切な結果を得ることができる。
【0101】
ステップ18で、読取部26によって被読取部263を再度読取していた場合、ステップ20で、このステップ18において改めて取得した読取情報を用いて解析する。ステップ18で読取部26によって複数回にわたり被読取部263を撮影した場合には、これらを解析することでより位置精度を向上でき、読取ミスを軽減できる。このとき、例えば、得られた複数の読取情報から、位置情報を算出できなかったものを除外し、残りの位置情報を平均化する等によって、読取精度を向上可能である。
【0102】
ステップ21で、制御部45は、マークMを解析して得られた結果を用いて、シートSに印刷された画像の伸縮倍率、搬送路における搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかを算出し、加工処理位置の調整を行うよう制御する。また、制御部45は、読取情報から得られる個別の読取情報に基づいて、マークMが不鮮明等何らかの原因によるエラーの有無を判断し、必要あればシートSをリジェクト機構25によってリジェクトする。その後、リターンとなる。
【0103】
シートSの伸縮倍率を調整する方法は、公知のものを利用可能である。例えば、記憶部454には、予め、マークMのパターンごとに、基準となる長さ、大きさ、位置マークM1と斜行マークM2の間の長さ、直線状部分G,H及びその幅の長さ等が記憶されている。これらの基準値は、シートSが伸縮していない状態でのマークMの値である。基準値は、マークMについて、搬送方向F及びこれに直交する幅方向Wの双方の値を記憶することができる。基準値及びマーク間の長さは、加工装置1の設置時、シートSの加工処理開始時や処理中、または、加工装置1のメンテナンス時などに、任意に調整し、変更できることとしてもよい。
【0104】
制御部45は、読取情報に含まれる画像データと、予め、記憶部454に記憶されている基準値とを比較して、シートSまたはシートSに印刷された画像のうち少なくともいずれかの伸縮率を算出する。また、制御部45は、読取情報に含まれる画像データから得られる複数の座標と、予め記憶部454に記憶された座標値から得られる情報とを用いて、シートSまたはシートSに印刷された画像のうち少なくともいずれかの伸縮率を算出することもできる。
【0105】
加工装置1により加工処理されるシートSは、プリンターによって既に画像が形成されていることが多い。加工装置1でシートSに施す裁断、クリースやミシン目形成等の加工処理は、シートSの画像の形成位置に応じて行われることが要求される。
【0106】
しかし、画像形成後のシートSや、シートSに印刷された画像は、紙の目や印刷内容によって伸縮することがある。制御部45は、カメラ261の撮像により得られた画像データと伸縮のない基準値とを比較し、伸縮率を算出する。
【0107】
制御部45がマークMの長さや大きさ、または複数の座標の位置を把握する方法は、公知の種々の方法を利用可能である。例えば、制御部45は、マークMの画像データを基に輪郭を認識する。その際、制御部45は必要により投影処理、微分処理、サブピクセル処理等を施してもよい。輪郭は、例えば、縦マークMfのうち、シートSの側端縁Esに近い外側の搬送方向に沿った直線部Mf1について得ることができる。これに替えて、縦マークMfの側端縁Esから遠い内側の直線部Mf2について得ることも可能である。縦マークMfの前端部Mf3及び後端部Mf4について得ることも可能である。
【0108】
また、横マークMwのシートSの前端縁Efに近い前側の搬送方向Fに沿った直線部Mw1について得るか、または、横マークMwの前端縁Efから遠い後側の直線部Mw2について得ることが可能である。そして、横マークMwの左右両端部Mw3,Mw4についても算出可能である。
【0109】
そして、制御部45は、マークMの輪郭を基に、当該マークMの輪郭線の長さを算出する。算出により得られた画像データのマークMの大きさを、記憶部454に記憶されている基準値と比較し、シートSまたはシートSに印刷された画像のうち少なくともいずれかの伸縮率を算出する。例えば、
図8に示すように、位置マークM1の輪郭から縦マークMf及び横マークMwのそれぞれの輪郭線の長さLf、Lwを算出し、実際の位置マークM1の大きさとする。得られた実際の位置マークM1の大きさを、記憶部454に記憶されている基準値と比較し、シートSまたはシートSに印刷された画像のうち少なくともいずれかの伸縮率を算出する。
【0110】
更に、制御部45は、マークMの輪郭から当該マークMのいずれかのポイントの座標を算出し、対応するマークMの間の長さと比較して、シートSまたはシートSに印刷された画像のうち少なくともいずれかの伸縮率を算出することも可能である。
【0111】
図示省略するが、例えば、全ての加工処理物Qの左下部分などといった複数箇所に複数のマークMを設け、これら複数のマークMの対応する座標を用いてマーク間の長さを算出し、伸縮のない基準となるマーク間の長さと比較し、伸縮率を算出することも可能である。
【0112】
伸縮率の算出に用いる座標の位置は、マークMの左下や加工線上、交点の外側等に替えて、マークの交点の内側、右上、中央位置等他のいずれかの位置としてもよい。尚、シートSにおける位置がより離れており、マーク間の長さが長い位置に印刷されたマークを選択した方が、短いときより誤差を小さくできる。
【0113】
また、3個以上のマークMを選択して、それらの対応する所定位置の座標を算出することで、マーク間の長さを複数算出してもよい。この場合、その平均値または中央値等と、基準となる長さとから伸縮率を算出してもよい。
【0114】
次に、
図10のステップ21で、シートSに印刷された画像の搬送位置及び傾斜角度に基づく加工処理の調整を行う方法についても、公知のものを利用可能である。例えば、制御部45は、読取部26によって得られたマークMの位置情報と、予め、記憶部454に記憶されたマークMの基準値とを比較し、マークMの基準値に対する搬送位置のずれ、及び傾斜角度の少なくともいずれかを算出することができる。
【0115】
予め、記憶部454に記憶される傾斜角度の基準線Bは、シートSの搬送方向Fに直交する幅方向Wに設定することができる。また、これに替えて、搬送方向Fと平行に設定してもよい。基準線Bの幅方向W又は搬送方向Fに対する角度は、加工装置1の設置時やシートSの加工処理中、加工装置1のメンテナンス時などに、任意に調整し、変更できることとしてもよい。
【0116】
制御部45がマークMの搬送位置や傾斜角度を把握には、例えば、制御部45は、マークMの画像データを基にシートSの色である白と、マークMの色である黒との境界位置を認識する。その際、制御部45は必要により投影処理、微分処理、サブピクセル処理等を施してもよい。境界位置は、例えば、横マークMw及び斜行マークM2のうち、シートSの前端縁Efに近い前側の幅方向Wに沿った直線部Mw1、My1について得ることができる。また、これに替えて、横マークMw及び斜行マークM2の前端縁Efから遠い後側の直線部Mw2,My2について得ることも可能である。
【0117】
そして、制御部45は、マークMの外縁であるシートSとの境界位置を基にして、境界線を算出する。傾斜角度は、このマークMの境界線と、これに対応する基準線Bとによりなされる角度として算出可能である。また境界線Bに替えて、座標そのものに基づいて傾斜角度を算出してもよい。
【0118】
また、制御部45は、カメラ261によって撮像されたマークMとシートSの端縁Eとを比較し、マークMの端縁Eに対する傾斜角度を算出することも可能である。
【0119】
制御部45は、傾斜角度が予め設定される所定範囲を超えたとき、シートSの加工処理を行わないよう制御することができる。加工装置1により加工処理されるシートSは、プリンターによって既に画像が形成されていることが多い。加工装置1でシートSに施す裁断、折り型やミシン目形成等の加工処理は、シートSの画像の形成位置に応じて行われることが要求される。
【0120】
しかし、プリンターの性能により、シートSに形成される画像位置が例えば数ミリ程度ずれている場合、シートSの搬送は適切に行われているので、シートSを搬送路5から排除せずに、加工部19へ搬送し、シートSにおける画像形成位置に応じて、調整済みの加工位置で加工処理を行うことが好ましい。
【0121】
シートSを搬送路から除外するかどうかの閾値としての所定範囲は、予め加工情報に含められ、記憶部455に記憶され、また、バーコードM3に記憶することができる。そして、この所定範囲を使用者が自由に変更し、再度設定することも可能である。所定範囲の大きさは、プリンターの性能に影響される。シートSが搬送路5上を適切な姿勢で搬送されている場合であっても、シートSに施される印刷画像がシートSの前後及び左右の端縁Eに対し傾斜して形成されている場合には、読み取ったマークMの角度が目標角度からずれてしまうこととなる。
【0122】
このため、使用者は、シートSに画像が印刷されている場合、プリンターの性能に基づく画像形成位置の傾斜角度の大きさに応じて、所定範囲の値を、自由に変更し、設定できることとすることが好ましい。
【0123】
所定範囲は、シートSが搬送路5において不適切な姿勢または位置で搬送されているために加工部19でシートSへ施す加工の処理角度を調整不可能であると判断すべき大きさに設定される。そして、所定範囲は、許容できる角度のずれの閾値が入力される。
【0124】
また、制御部45は、所定のシートSの加工処理を行わないとき、シートSの搬送路5からの排除、搬送の停止、または搬送路を経た排出台61への排出のうちの少なくともいずれかを実行するよう制御することも可能である。そして、制御部45は、シートSの加工処理の未実行回数が所定値に至ったとき、供給台36を昇降しシートSの積載位置で待機させるよう昇降部を制御してもよい。
【0125】
図11は、シートS1が傾斜して搬送された状態を示す。同図では、横マークMwのシートSの側端縁Esに近い左端部が、基準線Dから長さL1だけ同図において右方にずれて搬送されている。そして、横マークMw及び斜行マークM2の直線状部分H、Iは搬送方向Fに直交する幅方向Wに延びる基準線Bに対し傾斜角度θ1だけ傾斜して搬送されている。また、縦マークMfの直線状部分Gは搬送方向Fに延びる基準線Dに対し幅方向Wと同じ傾斜角度θ1だけ傾斜して搬送されている。
【0126】
制御部45は、傾斜角度が、予め設定される所定範囲を超えているかどうか判断する。傾斜角度が、予め設定される所定範囲を超えているとき、シートSの加工処理を行わないよう制御する。そして、シートSを搬送路5から排除する。
【0127】
この場合、制御部45は、回動部材251を回動させて、シートSをリジェクトトレイ252へリジェクトする。一方、制御部45は、傾斜角度が予め設定される所定範囲内のとき、シートSを搬送路から除外せずに、加工部19へ搬送する。
【0128】
たとえば、印刷画像が、目標位置から0.10°~0.25°程度傾斜して形成されることがあるプリンターを用いて印刷を施したシートSを加工処理する場合、使用者は閾値を0.15°以下または0,20°以下等と設定することができる。
【0129】
そして、カメラ261によって読み取られた横マークMw及び斜行マークM2の基準線Bに対する傾斜角度が、閾値を超える場合には、加工処理すべきでないと判断する。シートSは、搬送路5から排除される。読み取られた横マークMw及び斜行マークM2の傾斜角度が閾値より小さいときときは、シートSの加工処理を実行可能と判断する。
【0130】
次に得られた結果をもとに、加工部材191の角度を調整する。パネル46には、制御部45による算出の結果得られた傾斜角度と、調整部30の手動による調整方法とが表示される。
図6に示すシートSを加工処理する場合、スリット部20及び横裁断部22で搬送方向F及びこれに直交する幅方向Wに裁断される際の処理角度を調整することができる。
【0131】
使用者がスリット部20のスリッター201の処理角度の調整を手動によって行う場合、切替部206を操作し、スリッター201の設置角度を手動で調整できるようにする。そして、使用者は、回動軸203を軸心に、スリッター201を所定の処理角度だけ移動させる。パネル46には、スリッター201の手動による移動の移動後の角度が表示されることが好ましい。これより、使用者は、パネル46の表示を見ながら、スリッター201の角度を容易に調整することができる。
【0132】
スリッター201の設置角度を自動で調整する場合、制御部45は、モータ209を処理角度に応じた回転方向に所定時間だけ駆動する。ピニオン208は、所定方向へ所定量回転され、ラック207は搬送方向Fに直交する幅方向Wに略沿って左右いずれかの方向へ所定量移動される。ラック207の移動に伴い、スリッター201は、回動軸203を軸心として、ユニット237ごと回動され、搬送方向Fから所定の処理角度だけ傾斜して設置される。
【0133】
使用者が横裁断部22の裁断刃225の処理角度の調整を手動によって行う場合、切替部226を操作し、加工部材191の設置角度を手動で調整できるようにする。そして、使用者は、回動軸232を軸心に、裁断刃225を所定の処理角度だけ移動させる。パネル46には、裁断刃46の手動による移動量が逐一表示されることが好ましい。これより、使用者は、パネル46の表示を見ながら、加工部材191の角度を容易に調整することができる。
【0134】
裁断刃225による処理角度を自動で調整する場合、制御部45は、裁断刃調整部251のモータ229を処理角度に応じた回転方向に所定時間だけ駆動する。ピニオン228は、所定方向へ所定量回転され、ラック227は搬送方向に略沿って上流側または下流側のいずれかの方向へ所定量移動される。ラック227の移動に伴い、裁断刃225は、回動軸223を軸心として、ユニット257ごと回動され、搬送方向Fに直交する方向から所定の処理角度だけ傾斜して設置される。
【0135】
図6に示すシートSについて裁断刃225による処理角度を調整する場合、
図5に示す搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って設置された裁断刃225を、傾斜角度θ1だけ傾斜するよう移動させる。よって、制御部45は、モータ229を同図において反時計回りに回転する。ピニオン228は、反時計回りに回転され、ラック227は搬送方向F下流側に向けて所定量移動される。ラック227の移動に伴い、裁断刃225は、回動軸223を軸心として、回動され、搬送方向Fに直交する方向から角度θ1だけ傾斜して設置される。
【0136】
図9のステップ105に進み、シートSの加工処理を実行する。制御部45が記憶部454に記憶されたマークMの画像データと、記憶部454に記憶された所定の基準線Bとを比較し、搬送路5におけるシートSに施された印刷の位置を規定する。そして、スリット部20の各スリッター201を、バーコードM3が示す所定のスリット位置に、位置マークM1の基準線BからのずれL1及び傾斜角度θ1の双方を考慮した所定の幅方向Wの位置へ移動し、スリット加工を行う。スリッター201の幅方向Wの位置は、シートSの搬送位置に合わせ、順次適切な位置へ移動される。
【0137】
シートSが横裁断部22に至ると、上刃221、及び下刃222によって、シートSに幅方向Wに沿った裁断処理を施す。その際、カメラ261で撮像した横マークMwの搬送位置に応じて、バーコードM3による設定値を修正することができる。また、カメラ261の撮像後シートSについての搬送誤差を検出していた場合には、修正後のシートSの位置情報をシート検出部92~94で得られたシートSの位置情報に更に修正することができる。そして、これらの修正量に対応する所定位置でシートSの搬送を停止する。搬送方向Fに直交する幅方向Wから角度θ1だけ傾斜して設置された裁断刃225により、画像に合わせて裁断処理する。加工部19の加工処理により得られた加工処理物Qは、排出台61に排出される。
【0138】
ここで、供給部3ではシートS搬送の際にスリップが発生したり、供給台36からのシートSの供給ミスがあったとき、そのまま処理を継続すると処理能力の低下となる。搬送部4のローラ10-17の駆動源である第1-4搬送用モータ41-44で、前後して搬送されるシートSの間隔が大きくひらいたとしても、先行するシートSがクリース処理や裁断処理で搬送停止している間に、後続のシートSを先行シートSに徐々に追いつかせられれば、処理能力の低下を抑制できる。1枚のシートが複数の駆動源に跨って搬送される箇所では、ローラ10-17による搬送速度を同期させる必要がある。さらにクリース処理や裁断処理を含むときには、原則として、搬送停止や、加減速、定速搬送というすべての搬送の状態を同期させなければならない。
【0139】
よって、シートSの搬送のための駆動源が跨る個所では、必ずシートSの搬送速度を同期させた上で、シートSを受け渡す必要がある。駆動源の異なるローラ10-17間で、その速度が同期するまでに必要となる搬送距離を抑制するために、前後のローラ10-17によるシートSの搬送速度を、遅い側の速度に合わせるようにする。
【0140】
このため、上流側のローラ10-16が加速中で、下流側のローラ11-17が定速搬送のときには、下流側のローラ11-17を減速させる。そして、前後のローラ10-17の搬送速度が同速となった時点で、双方のローラ10-17を加速させる。また、上流側のローラ10-16が定速搬送で、下流側のローラ11-17が加速中のときは、上流側のローラ10-16を減速させ、前後のローラ10-17の搬送速度が同速となった時点で、双方のローラ10-17を加速させる。上流側のローラ10-16が定速搬送中、下流側のローラ11-17減速中または停止中のとき、上流側のローラ10-16を減速または停止させる。
【0141】
供給台36上にシートSが載置されている間は、後続のシートSを搬送路5へ供給し、同様の処理によりシートを順次加工する。供給台36上にシートSがなくなると、運転停止となる。
【0142】
以上より、本実施形態に係る加工装置1によれば、制御部45は、読取部26において被読取部263が読み取られることで得られる読取情報とを取得し、読取情報が、個別のシートSにそれぞれ印刷された被読取部263から得られる各シートSに施すべき個別の処理コードを含み、読取情報に含まれる個別の処理コードを、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードと比較し、両者が異なる場合に、個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、取得した新たな加工情報に基づいて、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御するので、制御部45が、個別の処理コードが設定部455の処理コードと異なっていても個別の処理コードに対応する加工情報を取得し、取得した新たな加工情報に基づいて、読取部26によって再度被読取部263を読み取ることができる。
【0143】
また、加工情報は、読取部26による被読取部263の読取精度に関する精度情報を含み、制御部45は、取得した新たな加工情報の精度情報と、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報とを比較し、両者が異なる場合に、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御するので、個別のシートSの精度情報が設定部455の設定と異なっていても読取部26によって再度被読取部263を読み取ることができる。
【0144】
そして、精度情報が、標準モードと、標準モードより読取精度の高いファインモードとを含み、制御部45は取得した新たな加工情報の精度情報がファインモードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報が標準モードである場合に、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御するので、設定部455の設定では精度情報が標準モードであるところ、個別のシートSの被読取部263を読み取ることで得られた精度情報がファインモードであるために、実質的に標準モードからファインモードへ読取精度が変更されるときでも、読取部26によって再度被読取部263を読み取ることができる。これより、読取精度を向上でき、個別の加工情報に応じた適切な加工処理を実行可能である。
【0145】
更に、制御部45は、取得した新たな加工情報の精度情報が標準モードであり、読取部26の読取時に設定部455に設定されている処理コードの精度情報がファインモードである場合に、読取部26による被読取部263の再度の読取を実施しないよう制御するので、設定部455の設定がファインモードであり、個別のシートSの被読取部263を読み取ることで得られた精度情報が標準モードであるために、実質的にからファインモードから標準モードへ読取精度が変更されるときには、読取部26による再度の被読取部263の読み取りを実施しないようにできる。これより、処理時間を短縮できる。
【0146】
また、加工情報は、シートSの画像の伸縮倍率に応じた加工位置の調整の要否に関する要否情報を含み、制御部45は、取得した新たな加工情報の要否情報が、伸縮倍率に応じた加工位置の調整が必要であった場合に、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御する場合は、伸縮倍率に応じた加工位置の調整を行う際に、被読取部の読取精度を向上可能である。
【0147】
更に、被読取部263は、シートSの印刷画像の位置情報であって、所定のパターンを有するマークを含み、制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMのパターンと、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMのパターンとを比較し、両者が異なる場合に、個別のマークMの解析を実施するよう制御するので、読み取ったマークMのパターンが設定部455の設定と異なるときに、マークMの解析を実施可能である。これより、より適切な解析結果を得ることができる。
【0148】
更に、マークMが、所定幅の直線状部分H,Gを含み、制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMの直線状部分H,Gの幅と、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMの直線状部分の幅とを比較し、両者が異なる場合に、個別のマークMの解析を実施するよう制御するので、読み取ったマークMの直線状部分H,Gの幅が設定部455の設定と異なる場合に、マークMの解析を実施し、より適切な結果を得ることができる。
【0149】
更に、制御部45は、読取情報から得られる個別の位置情報を用いることで、シートSに印刷された画像の伸縮倍率、搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかに基づく加工処理の調整を行うよう制御するので、個別の位置情報を用いてシートSを適切な位置で加工処理するよう調整できる。
【0150】
(第2の実施形態)
図12は第2の実施形態に係る加工装置の読取処理のフローを示す。
図12のステップ31からステップ36及びステップ38からステップ41は、上記第1の実施形態のステップ11からステップ16及びステップ18からステップ21と同じである。
図12のステップ37で、加工情報がシートSの画像の伸縮倍率に応じた加工位置の調整を実施するかどうかを判断する。
【0151】
ステップ37で、伸縮倍率に応じた加工位置の調整を実施する場合、ステップ38に進む。ステップ38で、被読取部263を読取部26によって再度読み取る。ステップ37で伸縮倍率に応じた加工位置の調整を実施しない場合には、ステップ39に進む。
【0152】
このように、読取情報が、シートSの伸縮倍率に応じた加工位置の調整要否に関する加工情報を含んでいる場合に、当該情報に基づいて、被読取部263を再度読み取るかどうか判断する。よって、伸縮倍率に応じて加工位置の調整を行う際の位置精度を向上可能である。
【0153】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様で実施可能である。例えば、加工情報は、読取部26による被読取部283の読取精度に関する精度情報を含んだが、精度情報を含まなくてもよい。また、制御部が、個別の精度情報と設定部の精度情報が異なる場合に、読取部26によって被読取部263を再度読取るよう制御したが、個別の読取精度と設定部の読取精度が異なっても再度の読取を実施しなくてもよい。ステップ14に進み、制御部45は、撮像により得られた画像データを解析する。ステップ15で、制御部45は、読取情報に含まれる個別の加工情報と、読取部26の読取時に設定部455に設定されている加工情報とを比較し、両者が異なるかどうか判断する。このとき、バーコードM3に処理コードが記憶されていれば、制御部45は、バーコードM3から得られた処理コードと、当該バーコードM3の読取時に設定部455に設定されていた処理コードとの比較を行ってもよい。そして、ステップ15で処理コードが変更されていない場合、ステップ21に進む。
【0154】
また、精度情報が、標準モードと、前記標準モードより読取精度の高いファインモードとを含んだが、これに加え、超ファインモードといった別の1種類又は2種類以上の精度情報を備えてもよく、標準モードのみを備えてもよい。また、制御部は、前記読取情報に含まれる個別の前記精度情報が前記ファインモードであり、前記読取部の読取時に前記設定部に設定されている精度情報が前記標準モードである場合に、前記読取部によって前記被読取部を再度読取るよう制御したが、再度の読取を実施しなくてもよい。
【0155】
また、被読取部263は、シートSの印刷画像の位置情報であって、所定のパターンを有するマークMを含んだが、マークに替えて、文字や数字、記号、絵、図柄、模様等他の画像を用いて位置情報を取得してもよい。また、制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMのパターンと、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMのパターンとを比較し、両者が異なる場合に、個別のマークMの解析を実施するよう制御したが、読み取った個別のマークと、設定部の設定とが異なっていても、再度解析した結果が、再解析の前と同じになる程度した両者に違いがないときには、解析を実施しなくてもよい。
【0156】
また、マークが、所定幅の直線状部分を含んだが、円、円弧、扇形、菱形、波型等、直線状部分を含まなくてもよい。また、制御部45は、読取情報に含まれる個別のマークMの直線状部分H,Gの幅と、読取部26の読取時に設定部455に設定されているマークMの直線状部分H,Gの幅とを比較し、両者が異なる場合に、前記個別のマークの解析を実施するよう制御したが、このような制御をしなくてもよい。
【0157】
また、制御部45は、読取情報から得られる個別の位置情報を用いることで、シートに印刷された画像の伸縮倍率、搬送位置及び傾斜角度の少なくともにいずれかに基づく加工処理の調整を行うよう制御したが、このような調整を実施せず、設定部の設定通りにシートを加工処理することが選択できるようにしてもよい。
【0158】
また、シートSに対してシートSに加工を施す加工部19として着脱自在なユニットを用いたが、加工部の配置、数やそれらの順番等は、所望とする加工内容に応じて、適宜変更することができる。また、シート検出部91~95の配置場所や配置数も、使用する加工部に応じて適宜変更することができる。
【0159】
また、上記実施形態では、シート検出部91~95を設けて、シートSの縦方向の搬送誤差を検出したが、これらのシート検出部91~95を設けずに、シート検出部91で検出されたシート位置だけを基準にして、シートSの搬送路5上で搬送されている各シートSのそれぞれのシート位置を一義的に検出するように構成することができる。
【0160】
また、本発明において、幅方向Wに移動して幅方向Wに位置決めし得るスリット部20のスリッター201は、縦方向の裁断加工を施したが、これに限定されず、縦方向のミシン目加工、縦方向のクリース加工、又は、被加工対象物のコーナー部分への丸め加工等から適宜選択して用いることができる。これらの加工部材は、ユニット内にシートが無い状態で、すなわち、加工部材にシートが噛み込まれていない状態で、幅方向Wに位置決め移動する。
【0161】
また、位置マークM1は、シートSの前端隅部に設けられ、L字状に形成したが、シートSに印刷され、加工処理を施す所定位置、または前記所定位置の基準の少なくともいずれかを指し示すことができればよく、シートの後端縁、側端縁に設けてもよく、加工処理位置に対応して設けたシートの切欠き、マーク、凹凸等であってもよい。更に、位置マークM1のパターンはL字状に替えて四角形や三角形、多角形としてもよい。
【0162】
また、シートSが重送したとき、及びシートに加工処理を施さないときには、リジェクト機構25によってシートSを搬送路5から排除したが、これに替えて、ローラの回転及びベルトの走行を停止することで、シートの搬送を停止してもよい。この場合、使用者は必要によりローラを逆回転し、またベルトを逆走させることで、シートを回収し、供給台に再度載置することができる。また、加工処理を施さないままでシートを、搬送路を経て排出台へ排出してもよい。これらシートの搬送路からの排除、搬送の停止、または搬送路を経た排出台への排出を適宜組み合わせて実行してもよい。
【0163】
また、手動及び自動の双方の調整機構を備えたが、いずれか一方で会ってもよい。また、パネルに調整部の手動による調整方法を表示したが、必ずしも表示しなくてもよい。
【0164】
制御部45は、検出部28の検出結果に基づいて、加工部19におけるシートSの加工位置を調整したが、加工位置の調整を行わなくてもよい。検出部28は、シートSの搬送方向F及び前記搬送方向Fに直交する幅方向Wの少なくともいずれかの指示部Uの位置を検出したが、搬送方向に傾斜する方向を検出してもよく、他のなんらかの指示を検出してもよい。
【符号の説明】
【0165】
G,H,I 直線状部分、M マーク、S シート、1 加工装置、4 搬送部、19 加工部、26 読取部、263 被読取部、455 設定部。