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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183722
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】管理装置、ユーザ端末、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091181
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 健秀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC14
(57)【要約】
【課題】故人のメッセージを管理、再生し、先祖代々への感謝や敬意を持つきっかけとするための管理装置等を提供する。
【解決手段】管理装置3は、ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶し、存命中のユーザのユーザ端末5と通信可能に接続される。管理装置3は、存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録する登録手段301と、故人のユーザのメッセージデータをユーザ端末5で再生させるため、当該メッセージデータをユーザ端末5に送信する送信手段302と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶し、存命中のユーザのユーザ端末と通信可能に接続される管理装置であって、
存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録する登録手段と、
故人のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末で再生させるため、当該メッセージデータを前記ユーザ端末に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記ユーザデータは、ユーザ画像を含み、
前記送信手段は、故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末で再生させるため、当該ユーザ画像を前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記送信手段は、故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末でAR表示させるともに、故人のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末で再生させるため、当該ユーザ画像とメッセージデータを前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項2記載の管理装置。
【請求項4】
前記送信手段は、複数の故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末で同時にAR表示させるため、当該複数の故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末に送信することを特徴とする請求項3記載の管理装置。
【請求項5】
前記登録手段は、存命中のユーザの死亡後、さらに次の存命中のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末から受信し、当該ユーザのユーザデータを故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の管理装置。
【請求項6】
ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶する管理装置と通信可能に接続されるユーザ端末であって、
存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて前記管理装置に登録するため、存命中のユーザのメッセージデータを前記管理装置に送信する送信手段と、
故人のユーザのメッセージデータを前記管理装置から受信して再生する再生手段と、
を有することを特徴とするユーザ端末。
【請求項7】
ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶し、存命中のユーザのユーザ端末と通信可能に接続される管理装置を、
存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録する登録手段と、
故人のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末で再生させるため、当該メッセージデータを前記ユーザ端末に送信する送信手段と、
を有する管理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶する管理装置と通信可能に接続されるユーザ端末を、
存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて前記管理装置に登録するため、存命中のユーザのメッセージデータを前記管理装置に送信する送信手段と、
故人のユーザのメッセージデータを前記管理装置から受信して再生する再生手段と、
を有するユーザ端末として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのメッセージ等を管理し、これをユーザ端末で再生させる管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
故人の遺した写真や文章は、故人への思いを馳せ、故人への感謝や敬意を生むきっかけとなる。特許文献1には、故人の生前のメッセージをデータとして管理し、その葬儀時に再生することで、故人の葬儀をより意義深いものとする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-32220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人は誰しも、先祖代々の存在無しにはこの世に存在することができず、例えばお盆などでは先祖代々への感謝や敬意を表す行事が各地で行われる。
【0005】
特許文献1では、故人の生前のメッセージを葬儀時に再生することで、故人への思いを馳せることができるが、上記のような先祖代々への感謝や敬意を持つきっかけとすることを目的とするものではなかった。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、故人のメッセージを管理、再生し、先祖代々への感謝や敬意を持つきっかけとするための管理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための第1の発明は、ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶し、存命中のユーザのユーザ端末と通信可能に接続される管理装置であって、存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録する登録手段と、故人のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末で再生させるため、当該メッセージデータを前記ユーザ端末に送信する送信手段と、を有することを特徴とする管理装置である。
【0008】
本発明の管理装置は、存命中のユーザのメッセージを故人のメッセージと紐づけて登録し、この登録行為を繰り返すことで、先祖代々のメッセージを管理し、そのメッセージを存命中のユーザのユーザ端末で表示させることができる。これにより、前世代の想い、伝えたかったことが次世代へと順番に引き継がれ、積み重ねられてゆく先人の想いを画像、音声、文章などのメッセージとして触れる体験を通じて、先人への感謝や敬意を世代を越えて育むことができる。
【0009】
前記ユーザデータは、ユーザ画像を含み、前記送信手段は、故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末で再生させるため、当該ユーザ画像を前記ユーザ端末に送信することが望ましい。
これにより、故人の姿に触れる機会が存命中のユーザに与えられ、故人の存在をより強く意識することができる。
【0010】
前記送信手段は、故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末でAR表示させるともに、故人のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末で再生させるため、当該ユーザ画像とメッセージデータを前記ユーザ端末に送信することが望ましい。
また前記送信手段は、複数の故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末で同時にAR表示させるため、当該複数の故人のユーザのユーザ画像を前記ユーザ端末に送信することも望ましい。
AR(Augmented Reality;拡張現実)とは、現実の環境から視覚や聴覚などの知覚に与えられる情報を、コンピュータによる処理で追加等する技術であり、コンピュータがカメラやマイク、GPS、各種のセンサーなどで得たその場所や周囲の状況に関する情報を元に、現実世界から得られた画像や映像、音声などに加工を施してユーザに提供する。AR表示としては、例えばスマートフォンのカメラを通じて得た外界の映像に、リアルタイムに故人のユーザ画像等を重ねたり、ゴーグルや眼鏡のように眼前に装着できる透過型のディスプレイ(ARメガネ)に、装着者の見ている対象物に関連して故人のユーザ画像等を重ねたりして表示し、これらと併せて故人のメッセージデータを再生することで、故人があたかもそこに存在するようにユーザ画像の表示やメッセージの再生を行うことができ、故人に対する愛着が湧くきっかけとなる。特に本発明では先祖代々のユーザ画像を管理することで、複数の故人のユーザ画像を同時にAR表示させることができ、家系や親族への帰属意識が醸成される。
【0011】
前記登録手段は、存命中のユーザの死亡後、さらに次の存命中のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末から受信し、当該ユーザのユーザデータを故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録することが望ましい。
本発明では、存命中のユーザのメッセージを故人のメッセージと紐づけて登録する登録行為を複数回繰り返すことで、多世代のメッセージを管理することができ、実際には会ったことのない先祖のメッセージに触れることもできる。
【0012】
第2の発明は、ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶する管理装置と通信可能に接続されるユーザ端末であって、存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて前記管理装置に登録するため、存命中のユーザのメッセージデータを前記管理装置に送信する送信手段と、故人のユーザのメッセージデータを前記管理装置から受信して再生する再生手段と、を有することを特徴とするユーザ端末である。
【0013】
第3の発明は、ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶し、存命中のユーザのユーザ端末と通信可能に接続される管理装置を、存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて登録する登録手段と、故人のユーザのメッセージデータを前記ユーザ端末で再生させるため、当該メッセージデータを前記ユーザ端末に送信する送信手段と、を有する管理装置として機能させるためのプログラムである。
【0014】
第4の発明は、ユーザのメッセージデータを含むユーザデータを記憶する管理装置と通信可能に接続されるユーザ端末を、存命中のユーザのユーザデータを、故人のユーザのユーザデータと紐づけて前記管理装置に登録するため、存命中のユーザのメッセージデータを前記管理装置に送信する送信手段と、故人のユーザのメッセージデータを前記管理装置から受信して再生する再生手段と、を有するユーザ端末として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、故人のメッセージを管理、再生し、先祖代々への感謝や敬意を持つきっかけとするための管理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】管理システム1を示す図。
図2】管理装置3のハードウェア構成を示す図。
図3】ユーザ端末5のハードウェア構成を示す図。
図4】ユーザデータ100を示す図。
図5】管理システム1の機能を示す図。
図6】ユーザデータ100の登録手順を示すフローチャート。
図7】メッセージ入力画面の例。
図8】ユーザ画像102やメッセージデータ103の再生手順を示すフローチャート。
図9】ユーザ画像102のAR表示の例。
図10】ユーザデータ100の管理方法の例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る管理システム1を示す図である。管理システム1は、故人を含む複数のユーザのメッセージ等を紐づけて管理装置3で管理し、故人のメッセージ等をユーザ端末5で再生させるものであり、管理装置3とユーザ端末5をネットワークにより通信可能に接続して構成される。ネットワークは有線、無線を問わない。
【0019】
管理装置3は例えば葬儀社に設けられ、管理システム1においてメッセージ等の管理を行ったり、故人のメッセージ等をユーザ端末5で再生させたりするものである。
【0020】
図2は管理装置3のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、管理装置3は、例えば制御部31、記憶部32、通信部33等をバスにより接続して構成したサーバコンピュータにより実現できる。但しこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0021】
制御部31はCPU、ROM、RAMなどから構成される。CPUは、記憶部32、ROMなどの記憶媒体に格納された管理装置3の処理に係るプログラムをRAM上のワークエリアに呼び出して実行する。ROMは不揮発性メモリであり、ブートプログラムやBIOSなどのプログラム、データなどを恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部32、ROMなどからロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部31が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0022】
記憶部32はハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等であり、制御部31が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OSなどが格納される。これらのプログラムやデータは、制御部31により必要に応じて読み出され実行される。特に本実施形態では、ユーザのメッセージ等が後述するユーザデータとして記憶部32に格納される。
【0023】
通信部33はネットワーク等を介した通信を媒介する通信インタフェースであり、ユーザ端末5等との間で通信を行う。
【0024】
ユーザ端末5は、存命中のユーザが、故人のメッセージ等の再生などに使用するコンピュータ端末であり、スマートフォンなどの携帯端末やパーソナルコンピュータなどを用いることができる。
【0025】
図3はユーザ端末5のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、ユーザ端末5は、例えば制御部51、記憶部52、入力部53、表示部54、通信部55等をバスにより接続して構成したコンピュータにより実現できる。但しこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0026】
制御部51、記憶部52、通信部55については前記した制御部31、記憶部32、通信部33と略同様である。入力部53はユーザ端末5に各種の設定入力を行うものであり、表示部54は例えば液晶ディスプレイ等である。
【0027】
図4(a)は、管理装置3の記憶部32に格納されるユーザデータ100の例である。ユーザデータ100は、ユーザID101、ユーザ画像102、メッセージデータ103等を紐づけたものである。
【0028】
ユーザID101は、メッセージデータ103を登録したユーザを識別する識別情報である。
【0029】
ユーザ画像102は、メッセージデータ103を登録したユーザの画像である。
【0030】
メッセージデータ103は、ユーザが登録したメッセージのデータである。メッセージは、ユーザが後の世代のユーザに伝えることを目的とするものであればよく、その内容は特に問わない。メッセージデータ103の形式も特に問わず、例えば音声ファイル、テキストファイル、画像(静止画)ファイル、動画ファイルなどとして1又は複数のデータが登録される。
【0031】
図4(b)に示すように、本実施形態では、故人を含む複数のユーザA、B、C、…のユーザデータ100が紐づけて登録される。これらのユーザA、B、C、…は、互いに血縁、婚姻等の親族関係にあるものとする。
【0032】
図5は、管理システム1の機能を示すブロック図である。図5に示すように、管理システム1において、管理装置3は登録手段301、送信手段302等を有する。
【0033】
登録手段301は、管理装置3の制御部31が、存命中のユーザのユーザデータ100を、故人のユーザデータ100と紐づけて記憶部32に登録するものである。
【0034】
送信手段302は、管理装置3の制御部31が、故人のメッセージデータ103をユーザ端末5で再生させるため、通信部33を介して当該メッセージデータ103をユーザ端末5に送信するものである。
【0035】
本実施形態の管理システム1では、さらに、ユーザ端末5が送信手段501、再生手段502等を有する。
【0036】
送信手段501は、ユーザ端末5の制御部51が、存命中のユーザのユーザデータ100を故人のユーザデータ100と紐づけて登録するため、通信部55を介して存命中のユーザのメッセージデータ103を管理装置3に送信するものである。
【0037】
再生手段502は、ユーザ端末5の制御部51が、故人のメッセージデータ103を通信部55を介して管理装置3から受信し、これを再生するものである。再生方法はメッセージデータ103のデータ形式によって異なり、特に限定されない。
【0038】
図6は、管理システム1においてユーザデータ100を登録する手順を示すフローチャートである。図6のS1、S4はユーザ端末5の制御部51がユーザ端末5の各部を制御して実行する処理であり、S2~S3、S5~S6は、管理装置3の制御部31が管理装置3の各部を制御して実行する処理である。
【0039】
本実施形態ではまず、ユーザAが、葬儀社の管理装置3によって提供されるウェブサイトにユーザ端末5からアクセスし、ユーザID101を入力して会員登録を行い、表示部54に表示されるメッセージ入力画面でメッセージデータ103の入力を行う。
【0040】
図7はメッセージ入力画面の例であり、本実施形態では、メッセージ入力画面に例えばユーザ画像表示領域201、登録ボタン202、テキスト入力欄203が設けられる。
【0041】
ユーザ画像表示領域201は、後ほど撮影するユーザAのユーザ画像102を表示する領域であるが、この段階ではユーザ画像102は未撮影であり、表示されない。メッセージ入力画面はいつでも表示可能であり、メッセージデータ103の再入力等が可能であるが、ユーザ画像102を撮影し、これをユーザデータ100として登録した後は、撮影されたユーザ画像102がユーザ画像表示領域201に表示される。
【0042】
登録ボタン202は、メッセージデータ103を登録するためのボタンであり、例えば登録ボタン202を選択することにより、登録を行うメッセージデータ103をユーザ端末5の記憶部52に格納されたデータの中から選択することができる。メッセージデータ103は、前記したように音声形式(「音声・音楽ファイル」)、テキスト形式(「テキストファイル」)、画像形式(「画像ファイル」)、動画形式(「動画ファイル」)などによって登録することが可能であり、登録ボタン202はこれらのデータ形式のそれぞれについて用意されている。
【0043】
テキスト入力欄203は、ユーザが簡易にメッセージを登録するためのものであり、テキスト入力欄203に入力されたメッセージはテキスト形式のメッセージデータ103として登録される。
【0044】
ユーザ端末5から入力されたユーザID101、メッセージデータ103は管理装置3に送信される(図6のS1)。管理装置3はこれらのデータを受信すると、ユーザID101とメッセージデータ103を紐づけてユーザデータ100として登録する(S2)。
【0045】
その後、ユーザAは葬儀社に向かい、ユーザ画像102の撮影を行う。ユーザ画像102はユーザの全身画像でも上半身画像でもよく、顔画像でもよい。撮影したユーザ画像102はユーザID101とともに管理装置3に入力され、管理装置3は、入力されたユーザ画像102を上記ユーザID101に対応するユーザ画像102として登録する(S3)。なお、前記のS1においてメッセージデータ103などとともにユーザ画像102をユーザ端末5から入力し、S2において登録することも可能である。
【0046】
ユーザAが死亡すると、葬儀社はユーザAの葬儀を行い、その際にユーザAのユーザID101を遺族等のユーザBに知らせる。
【0047】
ユーザBは、ユーザ端末5から葬儀社の管理装置3が提供するウェブサイトにアクセスし、自身のユーザID101を入力して会員登録を行い、更にユーザAのユーザID101を入力したうえで、前記したメッセージ入力画面でメッセージデータ103の入力を行う。
【0048】
ユーザ端末5で入力されたユーザA(故人)とユーザB(次ユーザ)のユーザID101、およびユーザBのメッセージデータ103は、ユーザ端末5から管理装置3に送信される(S4)。
【0049】
管理装置3はこれらのデータを受信すると、ユーザBのユーザID101とメッセージデータ103をユーザデータ100として登録し(S5)、この際、ユーザBのユーザデータ100とユーザAのユーザデータ100を、S5で受信したユーザA、BのユーザID101を元に紐づける。
【0050】
その後、ユーザBは葬儀社に向かい、ユーザ画像102の撮影を行う。前記のS3と同様、撮影したユーザ画像102は、ユーザBのユーザID101に対応するユーザ画像102として管理装置3に登録される(S6)。
【0051】
ユーザBが死亡すると、葬儀社はユーザBの葬儀を行い、その際にユーザBのユーザID101を遺族等のユーザCに知らせる。
【0052】
ユーザC(さらに次のユーザ)が登録を希望する場合には(S7;YES)、前記したS4~S6の手順によりユーザCのユーザデータ100が登録され、且つそのユーザデータ100がユーザB(故人)のユーザデータ100と紐づけられる。
【0053】
以下同様の手順で、登録を希望するユーザがいなくなるまで(S7;NO)、ユーザデータ100の登録が繰り返され、図4(b)に示したように、各ユーザA、B、C、…のユーザデータ100が、互いに紐づけて管理装置3に蓄積される。
【0054】
こうしてユーザデータ100を蓄積してゆく中で、会員登録等を行った存命中のユーザは、故人のユーザ画像102やメッセージデータ103を再生し、生前の姿やメッセージにより、先祖に思いを馳せることができる。
【0055】
例えば前記のフローにおいて、存命中のユーザBは、ユーザA(故人)のユーザ画像102やメッセージデータ103を再生することができ、存命中のユーザCは、複数のユーザA、B(故人)のユーザ画像102やメッセージデータ103を再生することができる。
【0056】
図8は、ユーザ画像102やメッセージデータ103を再生する手順を示すフローチャートである。図8のS11、S14~S15はユーザ端末5の制御部51がユーザ端末5の各部を制御して実行する処理であり、S12~S13は、管理装置3の制御部31が管理装置3の各部を制御して実行する。
【0057】
ユーザは、葬儀社の管理装置3によって提供されるウェブサイトにユーザ端末5からアクセスし、自身のユーザID101を入力してユーザ端末5から管理装置3に再生要求を送信する(S11)。なおユーザID101とともにパスワードの入力を求めてもよく、この場合のバスワードは会員登録時にユーザID101と併せて事前に入力、登録しておく。
【0058】
再生要求にはユーザのユーザID101が含まれており、管理装置3は再生要求を受信する(S12)と、当該ユーザのユーザデータ100に紐づく故人のユーザデータ100を取得し、そのユーザ画像102やメッセージデータ103をユーザ端末5に送信する(S13)。ユーザ端末5は、これらのデータを受信し(S14)、再生する(S15)。
【0059】
ユーザ画像102やメッセージデータ103の再生は、ユーザ端末5の表示部54でユーザ画像102やメッセージデータ103を表示する、ユーザ端末5のスピーカー(不図示)でメッセージデータ103を音声出力する、といった通常の方法で行うことができるが、本実施形態では、さらに、ユーザ画像102など画像、動画、テキスト形式のデータをAR(拡張現実)表示することも可能である。ARとは、現実の環境から視覚や聴覚などの知覚に与えられる情報を、コンピュータによる処理で追加等する技術であり、コンピュータがカメラやマイク、GPS、各種のセンサーなどで得たその場所や周囲の状況に関する情報を元に、現実世界から得られた画像や映像、音声などに加工を施してユーザに提供する。AR表示としては、例えばスマートフォンのカメラを通じて得た外界の映像に、リアルタイムに故人のユーザ画像102等を重ねたり、ゴーグルや眼鏡のように眼前に装着できる透過型のディスプレイ(ARメガネ)に、装着者の見ている対象物に関連して故人のユーザ画像102等を重ねたりして表示し、これらと併せて故人のメッセージデータ103を再生することで、故人があたかもそこに存在するようにユーザ画像102の表示やメッセージの再生を行うことができ、故人に対する愛着が湧くきっかけとなる。
【0060】
図9(a)はその例であり、例えばスマートフォンなどのユーザ端末5でユーザID101を入力してユーザの会員サイトにアクセスし、表示部54に表示されるAR画面で所定のARマーカMを捉えると、ユーザ端末5から管理装置3に前記の再生要求を送信することで、管理装置3から受信した故人のユーザ画像102が現実空間の映像と重畳してAR表示される。AR表示は、スマートフォンに限らず、ARメガネなどのウェアラブルデバイスを用いて行うこともできる。
【0061】
ARマーカMは特に限定されず、ユーザ画像102を表示させたいシチュエーションに応じて定めることができる。図9(a)の例では、ユーザがお墓参りをした際に故人のユーザ画像102を表示させるものとし、予め卒塔婆状のARマーカMを墓地等に設置しておく。ユーザ画像102は、ARマーカMに対し予め定められた位置関係で表示部54に表示させる。
【0062】
またユーザ端末5は、故人のユーザ画像102とともに故人の音声形式のメッセージデータ103やテキスト形式のメッセージデータ103を管理装置3から受信し、これらのメッセージデータ103を、ユーザ画像102のAR表示とともに音声出力したりAR画面に表示したりすることも可能である。
【0063】
図9(a)の例では一人のユーザ画像102を表示しているが、存命中のユーザのユーザデータ100に紐づく複数の故人のユーザデータ100が存在する場合には、図9(b)に示すようにその複数のユーザ画像102を管理装置3から存命中のユーザのユーザ端末5に送信し、これらのユーザ画像102を同時にAR表示することもできる。
【0064】
これらのユーザ画像102をAR表示する場合の位置も予め定めておくことができ、例えば、ユーザデータ100の登録の早い順に左から右に並べる。またメッセージデータ103を音声出力したりAR画面に表示したりする場合についても、その再生順を予め定めておくことができ、例えばユーザデータ100の登録の早い順や遅い順に自動再生したり、全員同時に再生したりすることができる。またAR画面上で選択された故人のメッセージデータ103を再生することもできる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態では、存命中のユーザのメッセージを故人のメッセージと紐づけて登録し、この登録行為を繰り返すことで、先祖代々のメッセージを管理し、そのメッセージを存命中のユーザのユーザ端末5で表示させることができる。これにより、前世代の想い、伝えたかったことが次世代へと順番に引き継がれ、積み重ねられてゆく先人の想いを画像、音声、文章などのメッセージとして触れる体験を通じて、先人への感謝や敬意を世代を越えて育むことができる。
【0066】
またユーザデータ100はユーザ画像102を含むので、故人の姿に触れる機会が存命中のユーザに与えられ、故人の存在をより強く意識することができる。
【0067】
また本実施形態では故人があたかもそこに存在するようにユーザ画像102のAR表示やメッセージの再生を行うことができ、故人に対する愛着が湧くきっかけとなる。特に本実施形態では先祖代々のユーザ画像102を管理することで、複数の故人のユーザ画像102を同時にAR表示させることができ、家系や親族への帰属意識が醸成される。
【0068】
また本実施形態では、存命中のユーザのメッセージを故人のメッセージと紐づけて登録する登録行為を複数回繰り返すことで、多世代のメッセージを管理することができ、実際には会ったことのない先祖のメッセージに触れることができる。
【0069】
しかしながら、本発明は以上の実施形態に限定されない。例えば存命中のユーザのユーザデータ100は、単に故人のユーザデータ100と紐づけて登録するだけでなく、例えば前記のS4(図6参照)において存命中のユーザBがユーザID101等を入力する際に、ユーザA(故人)に対する続柄も入力することで、図10に示すように、家系図のような階層形式でユーザデータ100を紐づけて登録、管理を行うこともできる。
【0070】
この場合、存命中のユーザとの続柄関係に基づき、存命中のユーザが再生可能な故人のユーザ画像102やメッセージデータ103の範囲を制限することもできる。例えば存命中のユーザから見て三親等内の親族のユーザ画像102やメッセージデータ103のみ再生できる、3世代前までの故人のユーザ画像102やメッセージデータ103のみ再生できる、2世代前より先の故人のユーザ画像102やメッセージデータ103のみ再生できる、といった制限を付すことも可能である。
【0071】
その他、故人のユーザ画像102やメッセージデータ103を再生可能な時期を制限することも可能である。例えばお盆の時期の一定期間のみ、故人のユーザ画像102やメッセージデータ103を再生可能とすることもでき、お盆等の社会習慣に合わせて先祖の存在に触れることができる。また本実施形態ではユーザID101を入力して会員登録を行ったユーザに対し、故人のユーザ画像102やメッセージデータ103を再生可能とするが、例えば会員登録を経ることなく、管理装置3が提供するウェブサイトにユーザ端末5からアクセスして故人のユーザID101を入力するだけで、当該故人のユーザ画像102やメッセージデータ103がユーザ端末5で再生できるようにしてもよい。
【0072】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0073】
1:管理システム
3:管理装置
5:ユーザ端末
100:ユーザデータ
101:ユーザID
102:ユーザ画像
103:メッセージデータ
301:登録手段
302、501:送信手段
502:再生手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10