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特開2022-183725報告書作成支援装置、報告書作成支援方法、及び、報告書作成支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183725
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】報告書作成支援装置、報告書作成支援方法、及び、報告書作成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091186
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】阿部 翔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】救急隊員が救急報告書を効率的に作成することを支援する。
【解決手段】報告書作成支援装置30は、救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報311を取得する取得部31と、第1の状態情報311と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報321と当該搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準322とに基づいて、当該搬送対象者に関する報告書案323を生成する生成部32と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報を取得する取得手段と、
前記第1の状態情報と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報と前記搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準とに基づいて、前記搬送対象者に関する報告書案を生成する生成手段と、
を備える報告書作成支援装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記第1の状態情報を含む音声情報を取得し、前記音声情報に対する分析処理を行い、前記分析処理の結果から、前記搬送対象者の状態に関する前記第1の状態情報を抽出する、
請求項1に記載の報告書作成支援装置。
【請求項3】
前記音声情報は、救急要請の通報における会話、救急現場における救急隊員と前記搬送対象者あるいは前記搬送対象者の関係者との会話、及び、前記救急隊員のみによる発話、の少なくともいずれかを表す、
請求項2に記載の報告書作成支援装置。
【請求項4】
前記分析処理は、音声認識処理及び構文解析処理を含む、
請求項2または請求項3に記載の報告書作成支援装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記第1の状態情報を表すキーワードを抽出する、
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の報告書作成支援装置。
【請求項6】
前記生成手段は、複数の前記搬送者に関する複数の前記第2の状態情報のうち、前記第1の状態情報との類似度が最も高い前記第2の状態情報を特定し、特定した前記第2の状態情報に関する前記作成済報告書によって表される前記報告書案を生成する、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の報告書作成支援装置。
【請求項7】
前記第2の状態情報と前記作成済報告書との関係を学習することにより、前記生成基準を生成あるいは更新する学習手段をさらに備える、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の報告書作成支援装置。
【請求項8】
前記報告書案に基づいて作成された報告書における記載不備を検出基準に基づいて検出する検出手段をさらに備え、
前記検出基準は、前記作成済報告書の作成過程において検出された前記記載不備を表す、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の報告書作成支援装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報を取得し、
前記第1の状態情報と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報と前記搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準とに基づいて、前記搬送対象者に関する報告書案を生成する、
報告書作成支援方法。
【請求項10】
救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報を取得する取得処理と、
前記第1の状態情報と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報と前記搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準とに基づいて、前記搬送対象者に関する報告書案を生成する生成処理と、
をコンピュータに実行させるための報告書作成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報告書作成支援装置、報告書作成支援方法、及び、報告書作成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場においては、医療従事者が医療行為の時間を十分に確保することができるように、報告書の効率的な作成を支援する技術が求められている。
【0003】
このような技術に関連する技術として、特許文献1には、過去の症例から診断対象画像の類似症例を検索し、その類似症例のレポートを用いてレポートを作成するレポート作成支援装置が開示されている。この装置は、症例画像とこの症例画像に関する読影レポートのレポート文の中の少なくとも一部の字句を変更可能にしたレポート文の雛形とを対応させて記憶する。そしてこの装置は、診断対象画像に類似する症例画像を、記憶している症例画像から検索し、症例画像に対応するレポート文の雛形中の変更可能な字句に診断対象画像に対応する字句を入力することによって診断対象画像のレポート文を作成する。
【0004】
また、特許文献2には、ほぼリアルタイムに地域住民の健康危殆を監視する健康危殆早期発見システムが開示されている。このシステムは、集団異常事態に係わる健康危殆データを救急車の活動記録に基づいて作成して記憶する。このシステムは、記憶した急患症状データのうち、過去所定時間内に行われた各搬送についてそれぞれ所定間隔で所定地域単位毎に急患の症状のデータを取り出して健康危殆データのいずれかに該当するかどうかを検索する。そしてこの装置は、その検索の結果、健康危殆データのいずれかに該当する搬送件数が閾値件数を超えた場合、地域的健康危殆が発生したと判断する。
【0005】
また、特許文献3には、計画の運用段階において、計画と実績とについてグラフが表示可能なレポートを出力可能な計画運用プログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-305107号公報
【特許文献2】特開2010-086037号公報
【特許文献3】特開2020-144888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療現場において、救急件数は年々増加する傾向にあり、救急隊員が1つの事案に対応可能な時間が短くなってきている。このような状況の中、救急隊員が救急現場において救急活動を行う時間をできるだけ確保することができるように、救急隊員の事務作業を軽減することが求められている。そして当該事務作業の1つである救急報告書の作成を効率的に行うことを支援することが課題である。特許文献1乃至3は、この課題に関して特に言及していない。
【0008】
本発明の主たる目的は、救急隊員が救急報告書を効率的に作成することを支援する報告書作成支援装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る報告書作成支援装置は、救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報を取得する取得手段と、前記第1の状態情報と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報と前記搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準とに基づいて、前記搬送対象者に関する報告書案を生成する生成手段と、を備える。
【0010】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る報告書作成支援方法は、情報処理装置によって、救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報を取得し、前記第1の状態情報と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報と前記搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準とに基づいて、前記搬送対象者に関する報告書案を生成する。
【0011】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る報告書作成支援プログラムは、救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報を取得する取得処理と、前記第1の状態情報と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報と前記搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準とに基づいて、前記搬送対象者に関する報告書案を生成する生成処理と、をコンピュータに実行させる。
【0012】
更に、本発明は、係る報告書作成支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、救急隊員が救急報告書を効率的に作成することを支援する報告書作成支援装置等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る報告書作成支援装置10の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る報告書作成支援装置10が作成の支援対象とする救急報告書に含まれる項目を例示する図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る報告書作成支援装置10の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る報告書作成支援装置30の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の各実施形態に係る報告書作成支援装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る報告書作成支援装置10の構成を示すブロック図である。報告書作成支援装置10は、救急隊員による救急作業に関する救急報告書の作成を支援する情報処理装置である。
【0017】
報告書作成支援装置10は、端末装置20と通信可能に接続されている。端末装置20は、救急隊員が救急報告書を作成する際に使用する、例えば、タブレット端末、スマートフォン、あるいはパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0018】
図2は、本実施形態に係る報告書作成支援装置10が作成の支援対象とする救急報告書に含まれる項目を例示する図である。救急報告書は、救急作業が発生した要因や発生場所、搬送対象者の属性や状態等を表す項目を含む。救急報告書は、より具体的には、図2に例示する通り、例えば、事故種別、覚知区分、発生場所区分、不搬送理由、発生場所、年齢区分、性別、職業、傷病程度、疾病分類、診療項目、麻痺、意識、脈拍、既往症、表情、傷病分類等の項目を含む。尚、救急報告書に含まれる項目は、図2に例示する項目に限定されない。
【0019】
報告書作成支援装置10は、図1に示す通り、取得部11、生成部12、学習部13、検出部14、及び、記憶部15を備えている。取得部11、生成部12、学習部13、検出部14は、順に、取得手段、生成手段、学習手段、検出手段の一例である。
【0020】
記憶部15は、例えば、図5を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部15は、音声情報151、状態情報152、生成基準153、報告書案154、作成済報告書155、及び、検出基準156を記憶している。記憶部15に記憶されたこれらの情報の詳細については後述する。
【0021】
取得部11は、端末装置20が具備するマイク等を介して入力された音声情報151を取得し、取得した音声情報151を記憶部15に格納する。音声情報151は、例えば、消防署への救急要請の通報における、通報者と消防署の職員との間の会話を表す。あるいは、音声情報151は、例えば、救急現場における、救急隊員と搬送対象者あるいは搬送対象者の関係者との会話を表す。あるいは、音声情報151は、例えば、救急隊員による救急報告書の作成のための発話(音声入力)を表す。
【0022】
取得部11は、音声認識処理部111、及び、構文解析処理部112を備えている。音声認識処理部111は、記憶部15に格納された音声情報151に対する音声認識を行い、音声情報151が示すテキストを生成する。音声認識処理部111による音声認識の処理は、既存の技術を使用可能であるので、本実施形態では、その詳細な説明を省略する。
【0023】
構文解析処理部112は、音声認識処理部111により生成された音声情報151が示すテキストに対して構文解析を行うことによって、当該テキストに含まれるキーワードを抽出し、当該キーワードを表す状態情報152を記憶部15に格納する。構文解析処理部112による構文解析の処理は、既存の技術を使用可能であるので、本実施形態では、その詳細な説明を省略する。
【0024】
状態情報152は、例えば、搬送対象者の属性や状態、救急搬送の事案の特徴等を表す情報である。構文解析処理部112は、当該キーワードとして、図2に例示する救急報告書の内容に含まれる語句、あるいは、当該語句に関連する語句を抽出する。構文解析処理部112は、図2に例示する事故種別という項目に関して、例えば、音声情報151が表す会話に含まれる、「火災」、「火事」、「自然災害」、「洪水」、「土砂崩れ」、「交通事故」、「車と衝突」、「車に轢かれた」、「マラソン中」、「人に刺された」、「自殺未遂」、「急病」等といった語句を抽出する。構文解析処理部112は、図2に例示する発生場所区分という項目に関して、例えば、「住宅」、「マンション」、「アパート」、「仕事場」、「職場」、「道路」等といった語句を抽出する。但し、構文解析処理部112は、抽出するキーワードに関する情報が、例えば報告書作成支援装置10の管理者等によって、事前に与えられていることとする。
【0025】
生成部12は、上述した搬送対象者に関する状態情報152(第1の状態情報)と生成基準153とに基づいて、搬送対象者に関する報告書案154を生成する。但し、報告書案154は、例えば、救急報告書の雛形である。また、生成基準153は、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する状態情報152(第2の状態情報)と、当該搬送者に関して作成された救急報告書である作成済報告書155との関係を表す。尚、状態情報152は、今回救急搬送を行う事案あるいは過去に救急搬送を行った事案を識別可能な識別子と関連付けされていることとする。また、作成済報告書155は、過去に救急搬送を行った事案を識別可能な識別子と関連付けされていることとする。
【0026】
生成部12は、例えば、過去に救急搬送された複数の事案(搬送者)に関する複数の状態情報152のうち、搬送対象者に対する状態情報152との類似度が最も高い状態情報152を特定してもよい。生成部12は、例えば状態情報152が示すキーワードの類似性から、当該類似度を求めればよい。そしてこの場合、生成部12は、特定した過去に救急搬送された搬送者の状態情報152に関する作成済報告書155によって表される報告書案154を生成する。
【0027】
救急報告書の形式が、例えば、図2に例示する項目ごとに図2に例示する内容の語句の少なくともいずれかを示す形式である場合、生成部12は、同様の形式で報告書案154を生成する。即ちこの場合、生成部12は、作成済報告書155のうち、状態情報152に関する上述した類似度が最も高いものを報告書案154として生成すればよい。あるいは、救急報告書の形式が、例えば、図2に例示する項目ごとに図2に例示する内容の語句を含む文章を示す形式である場合、生成部12は、当該語句を含む定型文を表す報告書案154を生成してもよい。
【0028】
生成部12は、また、報告書案154を生成する際に使用(参照)した作成済報告書155が格納されている場所を表す情報(格納場所へのリンク等)を、報告書案154に含めるようにしてもよい。
【0029】
生成基準153は、過去に救急搬送された搬送者に関する状態情報152と作成済報告書155との関係を学習した結果を表す生成モデルであってもよい。この場合、生成部12は、搬送対象者に関する状態情報152を当該生成モデルに入力することによって、報告書案154を生成可能である。
【0030】
学習部13は、過去に救急搬送された搬送者に関する状態情報152と作成済報告書155との関係を学習することによって、生成基準153を表す生成モデルを生成あるいは更新する。この場合、学習部13が学習データとして使用する、過去に救急搬送された搬送者に関する状態情報152及び作成済報告書155を、例えば、多数の消防署から収集することによって、学習部13による学習精度を向上させることができる。
【0031】
救急隊員は、生成部12によって生成された報告書案154に基づいて、端末装置20に対する入力操作を介して、搬送対象者に関する救急報告書を作成する。報告書作成支援装置10は、救急隊員によって作成された救急報告書を、救急搬送の事案を識別可能な識別子及び搬送対象者の状態情報152と関連付けて、作成済報告書155として記憶部15に記憶する。
【0032】
検出部14は、救急隊員によって上述の通りに作成された作成済報告書155における記載不備を、検出基準156に基づいて検出する。但し、検出基準156は、過去の救急搬送の事案に関する作成済報告書155の作成過程において検出された記載不備を表す。
【0033】
検出基準156は、例えば、記載不備を検出する対象の作成済報告書155において、図2に例示するいずれかの項目に関してその内容が空欄になっていることが記載不備であることを表す。あるいは、検出基準156は、例えば、作成済報告書155において、図2に例示する「年齢区分」の項目が「乳幼児」であり、かつ、「職業」の項目が「会社員」となっていることが記載不備であることを表す。あるいは、検出基準156は、例えば、作成済報告書155において、図2に例示する「傷病程度」の項目が「死亡」であり、かつ、「意識」が「正常」となっていることが記載不備であることを表す。
【0034】
検出部14によって記載不備が検出された作成済報告書155は、救急隊員による端末装置20に対する入力操作を介して更新される。報告書作成支援装置10は、更新された作成済報告書155を記憶部15に記憶する。
【0035】
次に図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る報告書作成支援装置10の動作(処理)について詳細に説明する。
【0036】
取得部11は、消防署への救急要請の通報における、通報者と消防署の職員との間の会話、あるいは、救急現場における、救急隊員と搬送対象者あるいは搬送対象者の関係者との会話を表す音声情報151を取得する(ステップS101)。取得部11は、音声情報151に対する音声認識処理、及び、構文解析処理を行う(ステップS102)。取得部11は、音声認識処理及び構文解析処理の結果から、状態情報152を表すキーワードを抽出する(ステップS103)。
【0037】
生成部12は、状態情報152と生成基準153とに基づいて、報告書案154を生成する(ステップS104)。検出部14は、報告書案154に基づいて救急隊員によって作成された作成済報告書155における記載不備を、検出基準156に基づいて検出し(ステップS105)、全体の処理は終了する。
【0038】
本実施形態に係る報告書作成支援装置10は、救急隊員が救急報告書を効率的に作成することを支援することができる。その理由は、報告書作成支援装置10は、搬送対象者の状態情報152と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する状態情報152と当該搬送者に関して作成された作成済報告書155との関係を表す生成基準153とに基づいて、搬送対象者に関する報告書案154を生成するからである。
【0039】
以下に、本実施形態に係る報告書作成支援装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0040】
救急隊員が救急現場において救急活動を行う時間をできるだけ確保することができるように、救急隊員の事務作業を軽減することが求められている。そして当該事務作業の1つである救急報告書の作成を効率的に行うことを支援することが課題である。
【0041】
このような課題に対して、本実施形態に係る報告書作成支援装置10は、取得部11と、生成部12と、を備え、例えば図1乃至図3を参照して上述した通り動作する。即ち、取得部11は、救急搬送される搬送対象者の状態を表す状態情報152(第1の状態情報)を取得する。生成部12は、搬送対象者に関する状態情報152と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する状態情報152(第2の状態情報)と当該搬送者に関して作成された作成済報告書155との関係を表す生成基準153とに基づいて、搬送対象者に関する報告書案154を生成する。
【0042】
即ち、本実施形態に係る報告書作成支援装置10は、過去における救急搬送の事案において作成された救急報告書を参考に、搬送対象者の状態を表す状態情報152から報告書案154を生成する。この場合、救急隊員は、搬送対象者に関する救急報告書を一から作成するのではなく、報告書作成支援装置10によって生成された報告書案154を、今回対応した事案の状況に応じて修正するのみでよい。これにより、報告書作成支援装置10は、救急隊員が救急報告書を効率的に作成することを支援することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る報告書作成支援装置10は、搬送対象者に関する状態情報152を含む音声情報151を取得する。そして、報告書作成支援装置10は、音声情報151として、救急要請の通報における会話、及び、救急現場における救急隊員と搬送対象者あるいは搬送対象者の関係者との会話の少なくともいずれかを利用し、それらの会話に含まれるキーワードを抽出する。これにより、報告書作成支援装置10は、救急隊員による搬送対象者に関する状態情報152の入力操作を軽減するので、救急隊員が救急報告書をより効率的に作成することを支援することができる。
【0044】
尚、報告書作成支援装置10が搬送対象者に関する状態情報152を含む情報として取得する情報は、音声情報151に限定されない。取得部11は、例えば、救急隊員が端末装置20を介して入力した文字情報を、搬送対象者に関する状態情報152を含む情報として取得してもよい。あるいは、取得部11は、例えば、救急隊員が端末装置20が具備するカメラを用いて搬送対象者等を撮像した画像を、搬送対象者に関する状態情報152を含む情報として取得してもよい。この場合、取得部11は、画像を分析する機能を備えればよい。
【0045】
また、本実施形態に係る報告書作成支援装置10は、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する状態情報152と当該搬送者に関して作成された作成済報告書155との関係を学習することにより、生成基準153を生成あるいは更新する。これにより、報告書作成支援装置10は、救急搬送の事案の増加に伴い、報告書案154の生成に関する生成基準153の精度を次第に高めることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る報告書作成支援装置10は、作成済報告書155の作成過程において検出された記載不備を表す検出基準156に基づいて、報告書案154に基づいて救急隊員によって作成された救急報告書における記載不備を検出する。これにより、報告書作成支援装置10は、救急隊員が救急報告書を正確に作成することを支援することができる。
【0047】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る報告書作成支援装置30の構成を示すブロック図である。
【0048】
本実施形態に係る報告書作成支援装置30は、取得部31、及び、生成部32を備えている。取得部31、及び、生成部32は、順に、取得手段、及び、生成手段の一例である。
【0049】
取得部31は、救急搬送される搬送対象者の状態を表す第1の状態情報311を取得する。第1の状態情報311は、例えば第1の実施形態に係る搬送対象者に関する状態情報152と同様な情報である。取得部31は、例えば第1の実施形態に係る取得部11と同様に動作することによって、第1の状態情報311を取得する。
【0050】
生成部32は、第1の状態情報311と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報321と当該搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準322とに基づいて、搬送対象者に関する報告書案323を生成する。第2の状態情報321は、例えば第1の実施形態に係る過去に救急搬送された搬送者に関する状態情報152と同様な情報である。生成基準322は、例えば第1の実施形態に係る生成基準153と同様な基準である。報告書案323は、例えば第1の実施形態に係る報告書案154と同様な情報である。生成部32は、例えば第1の実施形態に係る生成部12と同様に動作することによって、報告書案323を生成する。
【0051】
本実施形態に係る報告書作成支援装置30は、救急隊員が救急報告書を効率的に作成することを支援することができる。その理由は、報告書作成支援装置30は、搬送対象者に関する第1の状態情報311と、過去に救急搬送された搬送者の状態に関する第2の状態情報321と当該搬送者に関して作成された作成済報告書との関係を表す生成基準322とに基づいて、搬送対象者に関する報告書案323を生成するからである。
【0052】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図4に示した報告書作成支援装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図4において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び31、
・生成部12及び32、
・学習部13、
・検出部14、
・記憶部15における記憶制御機能。
【0053】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図5を参照して説明する。
【0054】
図5は、本発明の各実施形態に係る報告書作成支援装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図5は、図1、及び、図4に示した報告書作成支援装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0055】
図5に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0056】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
【0057】
そして、上述した実施形態は、図5に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給してもよい。例えば、その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1、及び、図4)における上述した構成、或いはフローチャート(図3)の機能である。本実施形態に係る報告書作成支援装置の機能は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0058】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本実施形態に係る情報処理装置に供給されるコンピュータプログラムは、そのプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0059】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 報告書作成支援装置
11 取得部
111 音声認識処理部
112 構文解析処理部
12 生成部
13 学習部
14 検出部
15 記憶部
151 音声情報
152 状態情報
153 生成基準
154 報告書案
155 作成済報告書
156 検出基準
20 端末装置
30 報告書作成支援装置
31 取得部
311 第1の状態情報
32 生成部
321 第2の状態情報
322 生成基準
323 報告書案
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5