(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183728
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221206BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20221206BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20221206BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221206BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20221206BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20221206BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G08G1/04 D
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091194
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰生
(72)【発明者】
【氏名】星野 邦人
(72)【発明者】
【氏名】長橋 良介
(72)【発明者】
【氏名】新田 寛鳳
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD04
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD21
2F129DD27
2F129DD65
2F129DD66
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2F129EE53
2F129EE55
2F129EE59
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2F129EE67
2F129EE75
2F129EE78
2F129EE79
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
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2F129FF62
2F129FF63
2F129FF73
2F129FF75
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC24
5H181DD02
5H181DD04
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】所定の通過ポイントにおいて好適に車両を誘導するナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステム10は、画像データ取得部116、測定部117、選択部118および案内部119を有する。画像データ取得部116は、複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する。測定部117は、予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した画像データに基づいてそれぞれ測定する。選択部118は、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、予定ルートを選択し、差が設定された閾値以上の場合には、迂回ルートを選択する。案内部119は、選択した予定ルートまたは迂回ルートを案内する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する画像データ取得部と、
予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、前記予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した前記画像データに基づいてそれぞれ測定する測定部と、
前記予定ルートにおける混雑度と前記迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、前記予定ルートを選択し、前記差が設定された閾値以上の場合には、前記迂回ルートを選択する選択部と、
選択した前記予定ルートまたは前記迂回ルートを案内する案内部と、を備える
ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記測定部が測定する前記混雑度は、前記画像データに基づき前記予定ルートおよび前記迂回ルートにおける車両の数および移動速度のうち少なくともいずれかに基づいた値である、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記差が設定された閾値未満となる前記迂回ルートが複数存在する場合に、前記予定ルートに近い前記迂回ルートを選択する、
請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
コンピュータが、
複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する画像データ取得ステップと、
予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、前記予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した前記画像データに基づいてそれぞれ測定する測定ステップと、
前記予定ルートにおける混雑度と前記迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、前記予定ルートを選択し、前記差が設定された閾値以上の場合には、前記迂回ルートを選択する選択ステップと、
選択した前記予定ルートまたは前記迂回ルートを案内する案内ステップと、を実行する
ナビゲーション方法。
【請求項5】
複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する画像データ取得ステップと、
予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、前記予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した前記画像データに基づいてそれぞれ測定する測定ステップと、
前記予定ルートにおける混雑度と前記迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、前記予定ルートを選択し、前記差が設定された閾値以上の場合には、前記迂回ルートを選択する選択ステップと、
選択した前記予定ルートまたは前記迂回ルートを案内する案内ステップと、を備える
ナビゲーション方法を、コンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を案内するナビゲーション装置は、例えば目的地までの距離が短くなることを優先させる設定や、目的地に到達するまでに掛かる時間が短くなることを優先させる設定など、経路探索において使用者に探索条件を選択させる機能を有する。またナビゲーション装置は、上述の機能に加えて、出発地点から目的地までの経路において、交差点や有料道路の料金所などの通過ポイントにおいてスムーズな走行を促すための誘導を行う。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のナビゲーション装置は、有料道路における料金所のゲートに関する情報を取得し、ゲートに関する情報とゲート通過後の経路に関する情報とに基づいて推奨ゲートを決定し、決定した推奨ゲートに車両を誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、料金所などの複数レーンを有する通過ポイントが混雑している場合には、単に目的地に近くなるルートとなる走行レーンを選んで走行すると、結果的に混雑に巻き込まれてしまい、時間が掛かったり、走行が困難となったりする場合がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、所定の通過ポイントにおいて好適に車両を誘導するナビゲーション装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるナビゲーション装置は、画像データ取得部、測定部、選択部および案内部を有する。画像データ取得部は、複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する。測定部は、予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した画像データに基づいてそれぞれ測定する。選択部は、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、予定ルートを選択し、差が設定された閾値以上の場合には、迂回ルートを選択する。案内部は、選択した予定ルートまたは迂回ルートを案内する。
【0008】
本発明にかかるナビゲーション方法は、コンピュータが、画像データ取得ステップ、測定ステップ、選択ステップおよび案内ステップを実行する。画像データ取得ステップは、複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する。測定ステップは、予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した画像データに基づいてそれぞれ測定する。選択ステップは、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、予定ルートを選択し、差が設定された閾値以上の場合には、迂回ルートを選択する。案内ステップは、選択した予定ルートまたは迂回ルートを案内する。
【0009】
本発明にかかるプログラムは、以下のナビゲーション方法をコンピュータに実行させる。ナビゲーション方法は、画像データ取得ステップ、測定ステップ、選択ステップおよび案内ステップを有する。画像データ取得ステップは、複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する。測定ステップは、予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、を取得した画像データに基づいてそれぞれ測定する。選択ステップは、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差が設定された閾値未満の場合には、予定ルートを選択し、差が設定された閾値以上の場合には、迂回ルートを選択する。案内ステップは、選択した予定ルートまたは迂回ルートを案内する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定の通過ポイントにおいて好適に車両を誘導するナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態にかかるナビゲーションシステムのブロック図である。
【
図2】ナビゲーションシステムが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図3】ナビゲーションシステムを搭載した車両の具体例を示す第1の図である。
【
図4】ナビゲーションシステムが算出する交通量の例を示す図である。
【
図5】ナビゲーションシステムが算出する混雑度の例を示す図である。
【
図6】ナビゲーションシステムを搭載した車両の具体例を示す第2の図である。
【
図7】ナビゲーションシステムの表示例を示す図である。
【
図8】実施の形態のバリエーションの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、重複する説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかるナビゲーション装置のブロック図である。
図1に示すナビゲーションシステム10は、車両の位置を検出して車両の位置から目的地までの経路を車両の運転者であるユーザに提示する。またナビゲーションシステム10は、画像データ送信装置90と通信可能に接続しており、画像データ送信装置90が有するカメラ91が撮影した画像のデータ(画像データ)を取得して、この画像データから所定の通過ポイントのルートを案内する。実施の形態では画像データを静止画として説明するが、これに限定しない。例えば撮影された画像に含まれる車両の移動の様子が確認可能なように周期的に撮影された静止画データの集まりであってもよい。また画像データは動画像であってもよい。
【0014】
ナビゲーションシステム10は、各構成要素の制御を司る制御装置100および制御装置100に接続された複数の構成要素を有している。ナビゲーションシステム10は、主な構成として、制御装置100と、この制御装置100と通信可能に接続する、表示部121、操作部122、地図情報記憶部123、測位情報受信部124を有している。
【0015】
以下に、制御装置100について説明する。制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、バッファメモリ、および複数のインタフェース等が実装された制御回路であって、格納されているプログラムを実行して種々の処理を実行する。制御装置100は、主な構成として、表示制御部111、操作受付部112、地図情報取得部113、位置検出部114、経路探索部115、画像データ取得部116、測定部117、選択部118および案内部119を有している。また上述したこれらの構成は、バス110により通信可能に接続されている。
【0016】
表示制御部111は、表示部121に対し、様々な情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部111は、地図情報および車両の位置情報から、車両が存在する場所の周辺地図に車両を示すアイコンを重畳させた画像データを生成し、生成した画像データを表示部121に表示させる。また表示制御部111は、車両が目的地まで通行する経路を周辺地図に重畳させる。また表示制御部111は、車両が所定の通過ポイントを通過する場合には、この通過ポイントを拡大した案内図を表示部121に表示させる。他にも、表示制御部111は、表示部121に、時刻情報、交通情報、周辺地図に含まれる施設情報等を表示させる。
【0017】
操作受付部112は、ユーザの操作により操作部122が生成した操作情報を受け付け、受け付けた操作情報に応じて、各構成要素に指示をする。操作部122が受け付ける操作は、例えば、地図のスクロール、拡大表示、縮小表示、目的地の設定、経路の決定または経路の探索などである。
【0018】
地図情報取得部113は、地図情報記憶部123に格納している地図情報を取得する。地図情報取得部113は、例えば、車両の位置情報に応じて、車両が存在する場所の周辺の地図情報を地図情報記憶部123から取得し、取得した地図情報を表示制御部111に供給する。
【0019】
位置検出部114は、測位情報受信部124から供給された位置情報を検出し、検出した位置情報を経路探索部115と地図情報取得部113に供給する。位置情報は、例えば、車両の緯度、経度および測位時刻に関する情報が含まれる。
【0020】
経路探索部115は、車両の位置から目的地までの複数の経路候補を探索するとともに、探索した経路候補から、ユーザに提示する提示経路を決定する。例えば、経路探索部115は、経路候補を探索する際に、経路候補のそれぞれに対応したリンクコストを算出する。この場合、経路探索部115は、経路候補のリンクコストを算出すると、算出したリンクコストに応じてユーザに提示する経路を決定する。経路探索部115は、操作部122を介したユーザの操作に応じて出発地または目的地の位置情報を設定し、出発地から目的地までの複数の経路候補を探索してもよい。
【0021】
リンクコストとは、所定の条件下において、探索した経路が合理的か否かを相対的に示すための数値である。リンクコストが低いほど、探索した経路がより合理的であることを示す。本実施の形態にかかるナビゲーションシステム10の場合、所定の条件は、経路の距離、経路を走行する料金、経路を通過する時間、経路の通行し易さおよび経路中の事故や故障車等の有無、渋滞状況などにより設定される。例えば、道路の幅が比較的に狭く、車両が通行するのが容易ではない場合、かかる道路のリンクコストは、比較的に広い幅の道路よりも高いリンクコストが設定される。
【0022】
リンクコストは、探索したそれぞれの経路候補に対して算出される。リンクコストを算出するに際して、経路探索部115は、例えば、出発地から目的地までの経路に対して、複数のノード(交差点など)と、ノードを繋ぐリンクとを設定する。そして、経路探索部115は、それぞれのノードを経由した場合の経路候補のリンクコストを、地図情報記憶部123に格納された、リンクごとに予め設定されるリンクコストを参照し、ダイクストラ法等により集計して算出する。なお、本実施の形態にかかるリンクコストを、単にコスト、と称してもよい。
【0023】
なお、経路探索部115がリンクコストを算出する具体的な手法は、上述のダイクストラ法に代えて、他の一般的な経路探索法を用いてもよい。他の一般的な経路探索法は、経路候補に対して所定の合理性を算出するための方法であって、例えば、A*アルゴリズム(エースターアルゴリズム)やベルマンフォード法であってもよい。
【0024】
画像データ取得部116は、複数レーンを有する所定の通過ポイントにおける画像データを取得する。より具体的には、画像データ取得部116は、所定の通過ポイントに設置されている画像データ送信装置90から画像データを取得する。すなわち画像データ取得部116は、所定の通信回線を介して画像データ送信装置90と通信するためのインタフェースを含む。画像データ取得部116は例えば位置検出部114が検出する位置情報から車両の周辺に存在する画像データ送信装置90を認識し、認識した画像データ送信装置90と通信して画像データを取得する。画像データ取得部116は、複数の画像データ送信装置90と並行して通信してもよい。また画像データ取得部116は、複数の画像データを一時に取得してもよい。画像データ取得部116は、取得した画像データを、測定部117に供給する。
【0025】
測定部117は、画像データ取得部116が取得した画像データを受け取ると、受け取った画像データから、複数レーンにかかる混雑度をそれぞれ測定する。すなわち測定部117は、設定された予定ルートにおける車両の混雑度を測定する。また測定部117は、予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度を測定する。
【0026】
ここで、「予定ルート」は、ナビゲーションシステム10において所定の通過ポイントを通行する際にスムーズに走行できるよう予め設定されたルートである。「予定ルート」は、目的地に基づいて、また通過ポイントの先に存在する分岐を考慮して現在の車両の位置からスムーズに走行できるようルートを予め設定する。例えば、予定ルートは車両の位置から通過ポイントを通り抜けるまでの最短距離を結ぶレーンを選択したルートである。また「迂回ルート」は、車両の位置から通過ポイントを通り抜けるルートであって、予定ルートとは異なるルートである。例えば、迂回ルートにおけるレーンの選択は、予定ルートで選択されたレーンを除いて車線変更可能な複数のレーンを選択する。
【0027】
またここで、「混雑度」は、画像データ送信装置90が有するカメラ91が撮影した風景に含まれる所定の通過ポイントに対する混雑度である。また混雑度は、ナビゲーションシステム10において通過ポイントのいずれのルートを通行するかを判定するために用いられる所定の値である。また混雑度は、画像データに含まれる予定ルートおよび迂回ルートにおける車両の数および移動速度のうち少なくともいずれかを含む所定の値であってもよい。
【0028】
測定部117は例えば、画像データに含まれる車両の画像を検出することにより、複数レーンのそれぞれにおける車両の位置、車両の数、あるいは車両の大きさ等を測定または認識する。また測定部117は、画像データにおける車両の画像を個別に検出するのに変えて、混雑状態の一群の車両を機械学習により学習した学習器により認識させるものであってもよい。
【0029】
選択部118は、測定部117が測定した混雑度から、車両が通過ポイントを通行する際のルートを選択する。より具体的には、選択部118は、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差を算出する。そして選択部118は、この差が設定された閾値未満の場合には、予定ルートを選択し、差が設定された閾値以上の場合には、迂回ルートを選択する。選択部118は、迂回ルートが複数存在する場合には、予定ルートに近い迂回ルートを選択するものであってもよい。選択部118は、選択したルートに関する情報を、案内部119に供給する。
【0030】
案内部119は、選択部118が選択したルートに関する情報を受け取り、受け取ったルートに関する情報をユーザに案内する。より具体的には例えば案内部119は、選択したルートに関してユーザに案内する画像データを表示制御部111に生成させ、生成させた画像データを表示部121に表示させる。また例えば案内部119は、選択したルートに関する案内を行う音声データを生成し、スピーカ(不図示)を介して音声により出力してもよい。
【0031】
以上、制御装置100が主に有する構成についてそれぞれ説明した。次に、制御装置100に接続している構成についてそれぞれ説明する。
【0032】
表示部121は、例えば液晶パネルまたは有機エレクトロルミネッセンスを含む表示装置である。表示部121は、表示制御部111の制御により各種情報を表示する。表示部121は、表示制御部111に接続し、表示制御部111から供給される信号を表示する。表示部121は、例えば、地図および地図に重畳された経路を表示する。また表示部121は、案内部119が選択したルートに関する情報を表示する。
【0033】
操作部122は、ナビゲーションシステム10に対して運転者が行う操作を受け付けるインタフェースである。操作部122は、表示部121に重畳して設置されたタッチセンサや、操作ボタン等である。操作部122は、音声入力により操作を受け付けるマイクを含むものであってもよい。また操作部122は、赤外線や無線通信の受信部であって、リモコンや携帯機器等から送信される操作信号を受け付けるものであってもよい。操作部122は、受け付けた操作に関する情報である操作情報を、操作受付部112に供給する。
【0034】
地図情報記憶部123は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性のメモリを含む記憶装置であって、地図情報を格納している。地図情報は、車両が通行する道路に関する情報である道路情報や、車両が通行する道路の周辺に存在する施設に関する情報である施設情報が含まれる。
【0035】
測位情報受信部124は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムであるGNSS(Global Navigation Satellite System)から車両の位置を測位するための測位情報を受信するためのアンテナを含む。測位情報受信部124は、アンテナを介して測位情報を含む信号を受信すると、受信した信号から車両の位置を示す情報である位置情報を生成する。測位情報受信部124は、位置情報を生成すると、生成した位置情報を、位置検出部114に供給する。
【0036】
以上、ナビゲーションシステム10の構成について説明した。なお、ナビゲーションシステム10は、ナビゲーション装置の一実施態様である。例えばナビゲーションシステム10は、表示部121、操作部122、地図情報記憶部123および測位情報受信部124を外部要素として制御装置100に接続して構成してもよい。その場合、制御装置100を、ナビゲーション装置と称しても良い。
【0037】
ナビゲーションシステム10において、地図情報記憶部123は、上述のようにナビゲーションシステム10が有していてもよく、あるいは、通信可能に接続された所定のサーバに含まれていてもよい。この場合、地図情報取得部113が、所定の通信回線を介してこのサーバから地図情報を取得してもよい。
【0038】
またナビゲーションシステム10は、交通情報受信部および交通情報取得部を有していてもよい。交通情報受信部は、例えば日本におけるVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)と呼ばれるシステムからの交通情報を受信するためのアンテナを含む。交通情報には、渋滞情報、所定区間の通行所要時間、交通規制等の情報が含まれる。交通情報受信部は、例えば所定の通信網を介して、外部のサーバから交通情報を受信してもよい。交通情報取得部は、交通情報受信部から供給された交通情報を取得し、取得した交通情報を経路探索部115に供給する。交通情報は、例えば、車両の周辺の道路に関する渋滞情報、交通規制情報が含まれる。
【0039】
次に、
図2を参照して、ナビゲーションシステム10が実行する処理について説明する。
図2は、ナビゲーションシステム10が実行する処理を示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、ナビゲーションシステム10が有する制御装置100が実行する処理を示している。また
図2に示すフローチャートは、ナビゲーションシステム10を搭載した車両が通過ポイントを通行する際の案内に関する一連の処理を示している。
図2に示すフローチャートは、例えばナビゲーションシステム10を搭載した車両が所定の通過ポイントに近付き、この通過ポイントに設置されている画像データ送信装置90と通信可能になったことにより開始される。
【0040】
まず画像データ取得部116は、所定の通過ポイントにおける画像データを取得する(ステップS11)。次に測定部117は、画像データを受け取り、予め設定された予定ルートにおける車両の混雑度と、予定ルートとは異なる迂回ルートにおける車両の混雑度と、をそれぞれ測定する(ステップS12)。
【0041】
次に選択部118は、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差Cdを算出する。そして選択部118は、この差Cdと、設定された閾値Cthとを比較し、差Cdが閾値Cth以上であるか否か、すなわち予定ルートにおける混雑度と迂回ルートによる混雑度との差が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。そして、差Cdが閾値Cth以上であると判定する場合(ステップS13:YES)、選択部118は、迂回ルートを選択し、ステップS14に進む。一方、差Cdが閾値Cth以上であると判定しない場合(ステップS13:NO)、選択部118は、迂回ルートを選択せず、予定ルートを選択し、ステップS15に進む。
【0042】
ステップS14において、案内部119は、選択部118から受け取った迂回ルートに関する情報を案内する(ステップS14)。そして制御装置100は、通過ポイントの案内に関する一連の処理を終了する。
【0043】
ステップS15において、案内部119は、選択部118から受け取った予定ルートに関する情報を案内する(ステップS15)。そして制御装置100は、通過ポイントの案内に関する一連の処理を終了する。
【0044】
以上、ナビゲーションシステム10が実行するナビゲーション方法の処理について説明した。上述の方法によれば、所定の通過ポイントにおいて好適に車両を誘導するナビゲーション方法を提供することができる。
【0045】
次に、
図3を参照して、ナビゲーションシステム10を搭載した車両が所定の通過ポイントを通行する場合の具体例について説明する。
図3は、ナビゲーションシステム10を搭載した車両の具体例を示す第1の図である。
【0046】
図3は、通過ポイントの一例としての有料道路の料金所900の周辺を示している。料金所900は5車線分の幅を有し、ゲート1~5が設けられている。すなわち、料金所900の手前の道路は5車線分のレーンを有している。また料金所900を通過した後には、道路が右方向と左方向とに分岐している。料金所900を通過する車両は、目的地の方面に応じて右側の道路に侵入するか、左側の道路に侵入するかを選択することになる。また
図3に示す料金所900の近くには画像データ送信装置90が設置されている。画像データ送信装置90は、料金所900の周辺の風景を撮影し、撮影した風景の画像データをナビゲーションシステム10に送信する。
【0047】
上述の構成を有する通過ポイントにおいて、
図3に示す例では、多くの車両が分岐を右方向に進んでいる。そのため、右方向へ進む車両により料金所900の先が渋滞している。さらに、ゲート5の先には、故障車A20が停止している。そのために、右方向へ進む車両はさらに混雑している。また右方向へ進む車両が料金所900の手前にも多く存在する。そのために、ゲート3~5には車両が進入している。一方、
図3に示す例では、分岐を左方向へ進む車両は少ない。そのために、ゲート1およびゲート2には車両が存在していない。画像データ送信装置90は、
図3に示す状況を撮影し、画像データを自車両A10に供給する。
【0048】
上述の状況において、ナビゲーションシステム10を搭載した自車両A10は、料金所900に接近している。自車両A10は、料金所900を通過した後に、分岐を右方向へ進む予定である。そのため、自車両A10の予定ルートは、ゲート4を通過するルートとなっている。すなわち
図3において実線により示されている矢印は、予定ルートである。また二点鎖線により示されている4つの矢印は、自車両A10からそれぞれゲート1、ゲート2、ゲート3およびゲート5に向かう迂回ルートである。以降の説明において、それぞれのゲート番号に進むルートを、ゲート番号に対応させたルート番号により呼称する。例えばゲート1を通過するルートはルート1と称する。同様に、例えばゲート2を通過するルートはルート2と称する。以降も同様である。
【0049】
次に、
図4を参照し、制御装置100が実行する処理の具体例について説明する。
図4は、ナビゲーションシステム10が算出する交通量の例を示す図である。
図4は、横軸がルート番号を示し、縦軸がそれぞれのルート番号に対応する交通量を示している。ここで、交通量は、料金所900の周辺における予め設定された区間における各ルートに存在する車両の数である。すなわち、
図3および
図4に示すように、ルート1およびルート2における交通量は0である。またルート3における交通量は6(すなわち車両が6台存在する)である。以後、同様に、ルート4における交通量は7であり、ルート5における交通量は4である。
【0050】
測定部117は、画像データから通行ルートを認識するとともに、各ルートにおける車両の数を測定して、上述のような交通量をそれぞれ算出する。
【0051】
続いて、
図5を参照して混雑度の例について説明する。
図5は、ナビゲーションシステムが算出する混雑度の例を示す図である。
図5は、横軸がルート番号を示し、縦軸がそれぞれのルート番号に対応する混雑度を示している。
【0052】
なおここに示す混雑度は、例えば画像データに含まれる予定ルートおよび迂回ルートにおける車両の数と、移動速度と、各ルートの距離と、を加味して算出される所定の値である。より具体的には、所定の値は、例えばリンクコストである。このような値を用いることにより、ナビゲーションシステム10は、例えばルート5において示したような故障車A20が存在している場合についての混雑度を高く評価できる。なお移動速度は、カメラ91が所定時間周期毎(例えば500ミリ秒毎など)に撮影した複数の画像データから各車両の移動量を平均して算出してもよいし、これに限らず、公知の各種センサなどを用いて移動速度を取得してもよい。例えば、画像データ送信装置90がレーザー光を用いる測距センサ(不図示)を有しており、かかる測距センサの測定データの波長変化に基づいて各車両の移動速度を算出するものであってもよい。
【0053】
図5において、予定ルートであるルート4は混雑度C14という値を示している。そして混雑度C14から下方に延びている双方向矢印の長さは、閾値Cthを示している。ここで、ナビゲーションシステム10は、予定ルートにおける混雑度と迂回ルートにおける混雑度との差が、閾値Cthより大きい差を有する場合に、その迂回ルートを選択し得る。すなわち、
図5に示す例の場合においては、選択部118は、混雑度C11を有するルート1または混雑度C12を有するルート2を閾値Cthより大きい差を有するルートとして選択し得る。一方、混雑度C13を有するルート3および混雑度C15を有するルート5はルート4にかかる混雑度C14との差が閾値Cthより小さい。そのため選択部118は、ルート3およびルート5を選択しない。
【0054】
上述のように、選択部118は混雑度の低いルート1またはルート2の複数のルートを選択し得る。そしてこの場合、選択部118は、予定ルートにより近い側のルートを選択し得る。すなわち
図5に示す例の場合には、選択部118はルート2を選択し得る。このような選択をすることにより、ナビゲーションシステム10は、ルート変更による車線移動の負担や自車両と他車両との過度な交錯を抑制できる。また選択部118は選択可能な複数のルートの内、より混雑度が低いルートを選択してもよい。
【0055】
次に、案内部119の具体的な態様について説明する。
図6は、ナビゲーションシステムを搭載した車両の具体例を示す第2の図である。
図6は、
図3~5において説明した例に対応している。すなわち、
図6に示す自車両A10は、選択部118が迂回ルートとしてルート2を選択した状況を示している。この場合、自車両A10は、2点鎖線により示したルートを通行することにより、ゲート2を通行し、さらに混雑している車両群の左側に沿って緩やかに右側に曲がりながら、他の車両と合流する。このとき、例えばナビゲーションシステム10は、運転者に対して、音声により「目的地に対して少し大回りになりますが、2番ゲートに進んでください」という通知を行う。これにより、混雑している料金所900を迂回するという操作を運転者が行う際に、ナビゲーションシステム10は運転者の困惑や、注意力が低下することを抑制できる。
【0056】
次に、ナビゲーションシステム10の表示例について説明する。
図7は、ナビゲーションシステム10が有する表示部121の表示例を示す図である。
図7は表示部121が表示する画像D100を示している。画像D100は、左側に第1案内画像D101が表示されており、右側に第2案内画像D102が表示されている。第1案内画像D101は、地図データと、予定の走行経路300と、自車位置201とが重畳されている一般的なナビゲーション装置に用いられる画像である。また、第1案内画像D101では走行経路上の通過ポイント331が示されている。第2案内画像D102は、料金所900におけるルートの案内について示されている。第2案内画像D102は、料金所900を斜め上方から俯瞰した状態を模した画像と、矢印により示された迂回ルートの画像とが重畳されている。
【0057】
図7に示すように、第2案内画像D102は、自車両A10が存在する位置を起点とした矢印が料金所900を通過したうえで右側に合流する。ユーザは案内に従い通行することにより、通過ポイントが混雑している場合に、目的地への経路に対して大回りし、また分岐直前の合流を要する迂回ルートを選択することで、通過ポイントをより好適に通行できる。なお、第2案内画像D102は、カメラ91が撮影した画像を加工して重畳するものであってもよい。これによりナビゲーションシステム10は、周囲の他車両を重畳するなど、通行中の道路の最新状況に沿った情報を表示できる。また、上述のような分岐前の合流は、運転者の技術によっては好まれない場合もある。こうした場合を考慮して、運転者の好みや過去の運転履歴に応じて閾値Cthの設定を変更可能なようにしてもよい。
【0058】
上述において、予定ルートであるルート4に対し、迂回ルートとしてルート1、ルート2、ルート3、およびルート5を選択の候補とするように説明したが、左側に分岐するであろう他車両や緊急車両の走行を考慮して、また全てのルートを右側に分岐する車両で塞いでしまわぬように、例えば、右側への分岐から最も遠い側のルート1を選択の候補対象外としてもよい。
【0059】
次に、
図8を参照してナビゲーションシステム10を搭載した自車両A10が交差点を通行する場合における適用例を説明する。
図8は、実施の形態のバリエーションの例を示す図である。
図8は、複数レーンを有する交差点の例を示している。
図8に示す交差点は、図の上下方向に延びる道路が6車線を有し、この道路に対して左右方向に交差する道路が4車線を有している。また上下方向に延びる道路は、右折専用レーンが2車線存在する。すなわち、図に示す交差点は、複数レーンを有する通過ポイントとなっている。また交差点の一角には、画像データ送信装置90が設置されている。
【0060】
図8に示す交差点において、自車両A10は、予定ルートとしてこの交差点を右折するルートを走行中である。自車両A10が進行している右折レーンの先において、右方向に進む道路は、第1ルートR11および第2ルートR12を有する。
図8に示す例において、第1ルートR11の混雑度は比較的に低く、第2ルートR12の混雑度は比較的に高いものとする。そして第1ルートR11の混雑度と第2ルートR12の混雑度との差は閾値Cth以上であるものとする。自車両A10が左側の右折レーンに沿って右折した場合には、自車両A10は続いて第1ルートR11を通行する。一方、自車両A10が右側の右折レーンに沿って右折した場合には、自車両A10は続いて第2ルートR12を通行する。
【0061】
上述の場合において、ナビゲーションシステム10は、画像データ送信装置90から画像データを取得し、測定部117はルート第1ルートR11を走行した場合における混雑度を測定する。同様に、測定部117は、第2ルートR12を走行した場合における混雑度を測定する。そして選択部118は、混雑度の差と閾値とを比較して、左側の右折レーンを選択する。さらに案内部119は、例えば運転者に対して、「左側の右折レーンを進んでください」などといった音声による案内を出力したり、あるいは表示部121において左側の右折レーンを進むことを案内したりする。これにより、自車両A10は、交差点を好適に通過できる。
【0062】
以上、実施の形態にについて説明したが、実施の形態にかかるナビゲーションシステムの構成は上述の内容に限られない。例えば、画像データ送信装置90またはカメラ91は複数存在し、測定部117は複数の画像データから混雑度を測定してもよい。混雑度は、
図4に示す交通量であってもよい。またカメラ91は可視光を撮像するものであってもよいし、赤外光や電磁波を撮像するものであってもよい。カメラ91は、所定の風景を撮影するように固定されたものであってもよいし、パン、ズームおよびチルトするものであってもよい。
【0063】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、および電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線および光ファイバ等の有線通信路、または無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0064】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 ナビゲーションシステム
90 画像データ送信装置
91 カメラ
92 通信部
100 制御装置
110 バス
111 表示制御部
112 操作受付部
113 地図情報取得部
114 位置検出部
115 経路探索部
116 画像データ取得部
117 測定部
118 選択部
119 案内部
121 表示部
122 操作部
123 地図情報記憶部
124 測位情報受信部
900 料金所
A10 自車両
A20 故障車