(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183729
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ブラシ付きチューブ容器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/00 20060101AFI20221206BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20221206BHJP
B65D 35/36 20060101ALI20221206BHJP
B65D 35/02 20060101ALI20221206BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A45D34/00 510A
A45D34/04 515Z
B65D35/36 A
B65D35/02 P
B65D83/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091195
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E014
3E065
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PA02
3E014PA03
3E014PB03
3E014PC04
3E014PE25
3E014PF01
3E065AA01
3E065BA11
3E065DA01
3E065DD05
3E065FA01
3E065GA10
(57)【要約】
【課題】携帯して使用することができる使い切りチューブ容器や試供品用のチューブ容器などのワンウェイタイプの容器を安価に提供すると共に、内容物と該内容物を塗布等するためのブラシとをセットにして提供することのできるブラシ付きチューブ容器を提供すること。
【解決手段】内容物を収納する容器本体1と、該容器本体1内の内容物の塗布および/または攪拌に使用されるブラシ2とを具え、前記ブラシ2は、前記容器本体1に薄肉部3を介してつながり、該薄肉部3を起点とする引きちぎりにより該容器本体1からの切り離しを可能とする基部2aと、該基部2aに後端部2b’が一体連結し該後端部2b’から先端部2b’’に至るまでのすべてが該容器本体1内に位置するブラシ部2bとからなり、該基部2aは、その天面壁に摘み部2cを有すること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納する容器本体と、該容器本体内の内容物の塗布および/または攪拌に使用されるブラシとを具え、
前記ブラシは、前記容器本体に薄肉部を介してつながり、該薄肉部を起点とする引きちぎりにより該容器本体からの切り離しを可能とする基部と、該基部に後端部が一体連結し、該後端部から先端部に至るまでのすべてが該容器本体内に位置するブラシ部とからなり、
該基部は、その天面壁に摘み部を有することを特徴とするブラシ付きチューブ容器。
【請求項2】
前記ブラシ部は、前記基部に一体連結する支持部材と、該支持部材の端部に位置するブラシ本体とからなり、該ブラシ本体が複数本で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブラシ付きチューブ容器。
【請求項3】
前記容器本体は、底部にフィッシュテール状のシール部を有し、胴体部分を押圧して内容物の攪拌を可能としたことを特徴とする請求項2に記載のブラシ付きチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状や粉粒状、ペースト状などの医薬品や化粧品等の内容物を塗布等するのに好適なワンウェイタイプのブラシ付きチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体等からなる内容物を収容する容器本体と、この容器本体の口部に破断可能な弱化部を介して連接されて口部を密閉する頭部と、を具えた容器において、使用にあたり前記弱化部を破断して頭部をもぎり取り、容器本体の口部を開口した後にこの口部から内容物を取り出すようにした構成が知られている。(例えば、下記特許文献1参照。)
このような容器は、例えば、一度に使い切る使い切りの化粧品等の試供品用のチューブ容器などのワンウェイタイプの容器としての利用が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の容器は、容器本体の口部に着脱自在に装着されるキャップ体を具え、使用にあたり該キャップ体を、一体に形成された容器本体からもぎ取り、該キャップ体を容器本体の口部に螺着させるように構成されている。そのため、この容器は、構造が複雑で製造コストがかさみ、使い切り容器としては高価である点に問題があった。
【0005】
また、例えば、口紅や眉墨などの化粧品を試供品として配布する場合、該化粧品を塗布するためのブラシを付帯させることがあるが、化粧品とブラシとをセットにするのが手間であると共に、それらを収容するためのケース等が必要となって費用がかかる点に課題があった。
【0006】
そこで、本発明では、携帯して使用することができる使い切りチューブ容器や試供品用のチューブ容器などのワンウェイタイプの容器を安価に提供すると共に、内容物と該内容物を塗布等するためのブラシとをセットにして提供することのできるブラシ付きチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために開発した本発明のブラシ付きチューブ容器は、
内容物を収納する容器本体と、該容器本体内の内容物の塗布および/または攪拌に使用されるブラシとを具え、
前記ブラシは、前記容器本体に薄肉部を介してつながり、該薄肉部を起点とする引きちぎりにより該容器本体からの切り離しを可能とする基部と、該基部に後端部が一体連結し該後端部から先端部に至るまでのすべてが該容器本体内に位置するブラシ部とからなり、
該基部は、その天面壁に摘み部を有することを特徴とする。
【0008】
なお、本発明のブラシ付きチューブ容器においては、
(1)前記ブラシ部は、前記基部に一体連結する支持部材と、該支持部材の端部に位置するブラシ本体とからなり、該ブラシ本体が複数本で構成されていること、
(2)前記容器本体は、底部にフィッシュテール状のシール部を有し、胴体部分を押圧して内容物の攪拌を可能としたこと、
が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブラシ付きチューブ容器によれば、内容物を収容する容器本体と、該容器本体内の内容物を塗布等するためのブラシとを一部材で構成することができるため、部品点数が少なくて済み、製造コストの軽減を図ることができる。また、内容物の使用に際し、該内容物を塗布等するためのブラシを別途用意する必要がなく、ブラシを、その基部から薄肉部を起点として手指で引きちぎって容器本体から切り離すことで簡単に使用することができる。
【0010】
また、本発明のブラシ付きチューブ容器によれば、使用開始までブラシ部が、容器本体から外部に露出することがないため、運搬時や取り扱い時等においてブラシ部が汚染されることがなく衛生的であり、また内容物と、該内容物を塗布するためのブラシとを一体で提供することができるためカバン等に入れて携帯したり、試供品等として配布するための容器として好適に利用することができる。
【0011】
さらに、本発明のブラシ付きチューブ容器によれば、容器本体の胴部部分を押し潰し(スクイズ)可能とすることで、該胴部の複数回にわたるスクイズによりブラシ部を攪拌部材として内容物を泡立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のブラシ付きチューブ容器の一実施形態を示した図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図2】(a)は、
図1のブラシ付きチューブ容器のA-A位置における断面図、(b)は
図1のブラシ付きチューブ容器のB-B位置における断面図である。
【
図3】
図1のブラシ付きチューブ容器の使用方法を説明するための図であり、中心線を境にして半分のみを断面で示す。
【
図4】
図1のブラシ付きチューブ容器において容器本体からブラシを切り離した状態を示す図であり、(a)は容器本体の正面図、(b)はブラシの正面図、(c)はブラシの底面図である。
【
図5】
図1のブラシ付きチューブ容器の製造方法を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はC-C位置における断面図である。
【
図6】本発明のブラシ付きチューブ容器の他の実施形態を示した図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図7】
図6のブラシ付きチューブ容器について上部を断面で示した図である。
【
図8】
図6のブラシ付きチューブ容器において容器本体からブラシを切り離した状態を示す図であり、(a)は容器本体であり、上部を断面で示す図、(b)はブラシの断面図、(c)はブラシの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にしたがうブラシ付きチューブ容器Vの実施の形態を模式的に示した図であり、
図1(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2は、
図1のブラシ付きチューブ容器Vの断面を示す図であり、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図である。
【0014】
図1および
図2における符号1は、内容物を収納する容器本体である。容器本体1は、シール部Sが形成されるフィッシュテール状の底部1bを有し、胴体部分1cの押し潰し(スクイズ)を可能とするポリエチレン等の合成樹脂製のチューブを用いることができる。なお、容器本体1は、液状やペースト状、粉状等の各種の内容物を収納することができれば、容器形状や素材は、充填される内容物の種類や用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
【0015】
また、符号2は、容器本体1内の内容物の塗布あるいは攪拌に使用されるブラシである。ブラシ2は、容器本体1の上端部に位置する口部1aに、薄肉部3を介してつながり、該薄肉部3を起点とする引きちぎりにより容器本体1からの切り離しを可能とする基部2aと、該基部2aに後端部2b’が一体に連結して該後端部2b’から先端部2b’’に至るまでの全てが容器本体1内に位置するブラシ部2bと、基部2aの天面壁に起立姿勢で一体的に設けられた摘み部2cから構成されている。
【0016】
ブラシ部2bとしては、基部2aに一体連結し、後端部2b’側に位置する内容物の攪拌や泡立てに役立つ支持部材2b1と、該支持部材2b1につながり、先端部2b’’に位置する内容物(化粧料等)の塗布や攪拌に使用されるブラシ本体2b2からなるものを用いることができる。支持部材2b1は、ここでは棒状体からなるものを一例として示したが、該支持部材2b1は、これに限定されるものではなく、使用目的に応じて変更(例えば、板状等)可能である。また、ブラシ本体2b2は、ここでは、軟質部材からなる3本の棒状体からなるもの(並列に棒状体を形成)を一例として示したが、ブラシ本体2b2は、内容物を攪拌させて使用することを考慮し、少なくとも2本の棒状体からなることが好ましい。また、ブラシ本体2b2の形状は、棒状体に限定されるものではなく、使用目的に応じて変更(例えば、板状等)可能である。
【0017】
また、摘み部2cは、基部2aを薄肉部3を起点として引きちぎる際に手指で把持する部分であり、図ではディスク状からなるものを一例として示したが、例えば、指掛孔を有するもの等、手指でしっかりと把持することができればどのような形状であってもよく、サイズや用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
【0018】
上記の構成からなるブラシ付きチューブ容器Vにおいて、容器本体1内の内容物を攪拌、泡立てるには、
図3の二点鎖線からなる仮想線に示すように容器本体1の胴体部分1cを複数回に押し潰す。この胴体部分1cへの複数回の押し潰しにより、容器本体1内の内容物は、ブラシ部2bの棒状の支持部材2b1にぶつかると共に、ブラシ本体2b2の複数本の棒状体の隙間を通って移動し、これによって空気と混合して泡状となる。泡状となった内容物は、後述するようにブラシ2の基部2aの容器本体1からの切り離しによって開口された容器本体1の口部1aから、容器本体1の胴体部分1cを押し潰す等して注出、またはブラシ本体2b2で泡を取り出して塗布することができる。なお、容器本体1の胴体部分1cの押し潰しを可能にするため、容器本体1内に充填される内容物の充填量は、容器本体1の容量の半分以下とすることが好ましい。
【0019】
容器本体1内の内容物を塗布するには、摘み部2cを把持し、
図4に示すように薄肉部3を起点にして基部2aを容器本体1から切り離し、ブラシ部2bを容器本体1内から取り出して塗布作業を実施すればよい。
【0020】
本発明にしたがうブラシ付きチューブ容器Vを製造するには、押し出しチューブ成形などの手法を用いて、まず
図5に示すようにブラシ2とスリーブ4とが一体成型された部材を成型し、スリーブ4の開放端4aを上に向けてその内側に内容物を所定量充填した後、該開放端4aを含む部位を対向位置から挟み込んでヒートシール等することによりシール部を形成して底部1bを形成する。
【0021】
次に、本発明のブラシ付きチューブ容器Vの他の実施形態について説明する。なお、前記実施形態と重複する部分についてはその説明を省略する。
図6は、本発明のブラシ付きチューブ容器Vを示す図であり、
図6(a)は正面図、(b)は平面図である。
図7は、
図6のブラシ付きチューブ容器Vについて上部を断面で示した図であり、
図8は、
図6のブラシ付きチューブ容器Vについて、ブラシ2を容器本体1から切り離した状態で示す図であり、(a)は上部を断面で示した容器本体1の正面図であり、(b)は全体を断面で示したブラシ2の正面図であり、(c)はブラシ2の底面図である。
【0022】
本実施形態のブラシ付きチューブ容器Vは、ブラシ2の基部2aの天面壁に起立姿勢で一体的に設けられた摘み部2cを円筒部材としたものである。摘み部2cを円筒部材とすることにより、
図1に示す実施形態のディスク状の摘み部2cに比べて手指によってしっかりと握ることができ、ブラシ2の基部2aの、薄肉部3を起点とした引きちぎりによる切り離しが容易になっている。
【0023】
また、この実施形態のブラシ付きチューブ容器Vは、容器本体1の胴体部分1cが細身に構成され、洗練されたデザイン性を有すると共に、ブラシ2のブラシ本体2b1を2本の棒状体としたことにより、内容物を細かな箇所に塗布する際や、狭い隙間に進入させて掃除等する際に好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のブラシ付きチューブ容器は、液状やペースト状、粉粒状等の化粧品や医薬品、飲食品、洗剤等を充填するワンウェイタイプの容器として広く利用することができ、口紅や眉墨等の携帯用容器や試供品用容器としての利用が期待できる。
【符号の説明】
【0025】
V ブラシ付きチューブ容器
S シール部
1 容器本体
1a 口部
1b 底部
1c 胴体部分
2 ブラシ
2a 基部
2b ブラシ部
2b’ 後端部
2b’’ 先端部
2b1 支持部材
2b2 ブラシ本体
2c 摘み部
3 薄肉部
4 スリーブ
4a 開放端