(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183739
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/13 20060101AFI20221206BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20221206BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20221206BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20221206BHJP
B65C 1/02 20060101ALI20221206BHJP
B65C 3/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J29/13
G09F3/00 G
B41J3/36 T
B41J15/04
B65C1/02
B65C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091208
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】神長 聡
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C061
3E095
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C060BB14
2C060BC02
2C060BC91
2C061AP05
2C061AQ04
2C061AS06
2C061CD26
3E095AA01
3E095BA10
3E095FA06
(57)【要約】
【課題】台紙が無い非定形のラベルに対応することは難しい。
【解決手段】印刷装置は、記録面と、記録面とは反対側に設けられた粘着面とを有する記録紙に印刷可能な印刷部と、印刷部により印刷された記録紙を排出する排出口を第1面に形成するケースと、ケースの第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録面と、前記記録面とは反対側に設けられた粘着面とを有する記録紙に印刷可能な印刷部と、
前記印刷部により印刷された前記記録紙を排出する排出口を第1面に形成するケースと、
前記ケースの前記第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材と、を備える印刷装置。
【請求項2】
前記記録紙を収納する収納部と、
前記ケースの前記第1面を構成するものであって、前記収納部を開閉する第1カバーと、を備え、
前記第1カバーが閉じたとき、前記排出口は前記第1カバーと前記ケースとの間に形成される、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記非粘着部材は、
基材と、
前記基材の一方の面に非粘着フィルムを有し、
前記基材の他方の面に印刷層及び粘着層を有するシートであって、
前記非粘着部材は、前記粘着層により前記ケースの前記第1面に貼付される、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ケースの前記第1面に操作部を備え、
前記操作部は、前記シートに覆われている、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ケースの前記第1面に表示部を備え、
前記表示部は、前記印刷層を除去した前記シートに覆われている、請求項3又は請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記非粘着部材は、非粘着材料を含んで構成された第2カバーであって、
前記ケースの前記第1面に装着可能である、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第2カバーは、少なくとも前記第1カバーに装着可能である、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記非粘着部材は、非粘着材料を含んで構成された前記第1カバーである、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1カバーを操作するレバーを備え、
前記レバーは、前記ケースにおける前記第1面とは異なる面に設けられる、請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、台紙であるキャリアに貼付された定形のラベルを剥離体により剥離した後に排出する排出口を有し、この排出口の面に非粘着性シートを貼り付けた装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の装置は、台紙が無い非定形のラベルに対応することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、記録面と、前記記録面とは反対側に設けられた粘着面とを有する記録紙に印刷可能な印刷部と、前記印刷部により印刷された前記記録紙を排出する排出口を第1面に形成するケースと、前記ケースの前記第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】第2実施形態の非粘着シートを貼付した印刷装置の断面図。
【
図4】第2実施形態の非粘着シートを貼付した印刷装置の正面図。
【
図5】第3実施形態の非粘着カバーを装着した印刷装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係る印刷装置10について、図面を参照して説明する。
なお、図中における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し負方向を下方向又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向又は単に右と称し負方向を左方向又は単に左と称し、Y軸の正方向を後方向又は単に後と称し負方向を前方向又は単に前と称して説明する。
【0008】
1.第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態に係る印刷装置10は、印刷部11、ローラー12、カッター13、ケース4、排出口6を含んで構成されている。
記録紙40は、ローラー12により搬送され、印刷部11により印刷され、カッター13により切断され、排出口6から非定形のラベルとして排出される。なお、以下の説明では、排出口6から排出される非定形のラベルも含めて、記録紙40として表現している場合もある。
【0009】
記録紙40は、台紙の無い長尺状の連続したラベルであって、いわゆるライナーレスラベルと称されるものである。このように、ライナーレスラベルは、定形の複数のラベルが台紙に貼付されている、いわゆるダイカットラベルと称されるものとは構成が異なっている。
記録紙40は、記録面40aと、記録面40aとは反対側に設けられた粘着面40bとを有する。粘着面40bには粘着剤が塗布されている。一方、記録面40aには剥離剤が塗布されていて、巻き付けられた状態であっても、記録面40aが粘着面40bに貼り付かないように構成されている。記録紙40は、粘着面40bを内側にしてロール状に巻き付けられ、ロール紙Rとして、ケース4の下方向の収納部14に収納されている。収納部14は、ロール紙ホルダーともいう。
【0010】
印刷部11は、例えば、サーマルヘッドを含んで構成されている。ローラー12は、記録紙40を介して、サーマルヘッドに対向するように配置されている。サーマルヘッドに対向する位置にあるローラー12は、プラテンローラーともいう。
記録紙40の記録面40aには、剥離剤に加えて発色剤も塗布されている。印刷部11のサーマルヘッドは発熱して、記録紙40の記録面40aの発色剤を発色させ、文字などの印刷をする。
【0011】
印刷部11は、サーマルヘッドをローラー12に向かって押圧する押圧機構も備えている。記録紙40は、押圧機構によりサーマルヘッドとローラー12に挟まれた状態となる。この状態で、ローラー12が回転することにより、サーマルヘッドとローラー12に挟まれた記録紙40が搬送される。
ローラー12は、収納部14に収納されているロール紙Rから記録紙40を引き出して搬送する力も有している。
【0012】
ローラー12は、非粘着性を有するシリコーンゴムで形成されている。又は、ローラー12の表面は、非粘着性を有するシリコーン樹脂コーティング又はフッ素樹脂コーティングを施されるように構成されていてもよい。このように、ローラー12は、記録紙40の粘着面40bに接触しても、粘着剤が付着することを抑制できるようになっている。
【0013】
カッター13は、印刷部11及びローラー12の搬送方向の下流に配置されている。カッター13は、第1刃13a及び第2刃13bを備えている。記録紙40は、ローラー12により、第1刃13a及び第2刃13bの間を通過するように搬送される。第1刃13aは、第2刃13bに向かって移動し、第1刃13a及び第2刃13bの間にある記録紙40を切断することができる。このように、カッター13は、長尺状の記録紙40を、任意の長さに切断することができる。
第1刃13a及び第2刃13bの表面には、非粘着性を有するシリコーン樹脂コーティング又はフッ素樹脂コーティングが施されている。第1刃13a及び第2刃13bが、記録紙40を切断する際、記録紙40の粘着剤が付着することを抑制できるようになっている。
【0014】
ケース4は、印刷装置10の前方向の第1面を覆う第1面ケース1、上方向の第2面を覆う第2面ケース2、左方向の第3面を覆う第3面ケース3を含んで構成されている。さらに、第1面ケース1は、第1ケース1a、及び第1カバーである開閉カバー1bを含んで構成されている。
【0015】
開閉カバー1bは、ケース4の前方向かつ下方向の位置に備えられているヒンジ5を中心として、印刷装置10の前方向に向かって回転可能である。このようにして、開閉カバー1bは、収納部14を開閉可能とする。ユーザーは、開閉カバー1bを開いて、記録紙40を巻いたロール紙Rを収納部14に収納することができる。ユーザーは、ロール紙Rから記録紙40を所定量引き出した後、開閉カバー1bを閉じ、ロール紙Rを収納した収納部14を覆うと共に、記録紙40が印刷部11のサーマルヘッド及びローラー12に挟まれるようにしてセットする。この結果、印刷部11は、記録紙40に印刷可能な状態となる。
【0016】
開閉カバー1bが閉じた状態になると、記録紙40を排出する排出口6が、開閉カバー1b及び第1ケース1aの間に形成される。このようにして、排出口6がケース4の第1面に形成される。
なお、印刷装置10は、
図1に示すように排出口6が前に向いた姿勢である、いわゆる縦置き姿勢でも、排出口6が上に向いた姿勢である、いわゆる横置き姿勢でも使用可能である。
印刷装置10が縦置き姿勢であっても、又は横置き姿勢であっても、記録紙40は、収納部14からローラー12により引き出されて搬送され、印刷部11により印刷され、カッター13により任意の長さに切断され、非定形のラベルとして発行されて、排出口6から排出される。
【0017】
第1実施形態に係る印刷装置10は、ケース4の第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材の例として、非粘着材料としてシリコーン材を用いた第1面ケース1の第1ケース1a、又は開閉カバー1bにより構成されている。
具体的な例として、第1ケース1a、又は開閉カバー1bは、シリコーン材を用いて成形したエラストマーで構成されている。又は、第1ケース1a、又は開閉カバー1bは、いわゆるプラスチック樹脂と、その外側にシリコーン材を配し、2色成形により一体にし、外面が非粘着性を有するエラストマー化するように構成してもよい。シリコーン材は樹脂を含んでいて、成形可能である。
第1ケース1a、又は開閉カバー1bは、シリコーン材を用いて成形したエラストマーにより、記録紙40が付着することを抑制できる。
【0018】
印刷装置10が、
図1に示す縦置き姿勢で使用する場合には、排出口6から排出された記録紙40が開閉カバー1bに向かって近付くように垂れていくので、記録紙40の粘着面40bが開閉カバー1bに接触して貼り付く可能性が高い。したがって、ケース4の第1面の少なくとも一部を覆う開閉カバー1bを、シリコーン材を用いて成形したエラストマーにすることが好ましい。
【0019】
一方、印刷装置10が、横置き姿勢で使用する場合には、排出口6から排出された記録紙40が第1ケース1aに向かって近付くように垂れていき、記録紙40の記録面40aが第1ケース1aに接触して貼り付く可能性がある。記録紙40の記録面40aには剥離剤が塗布されているが、ロール紙Rに巻かれていたときに、記録面40aにもわずかではあるが粘着面40bの粘着剤が付着している場合があるためである。したがって、ケース4の第1面の少なくとも一部を覆う第1ケース1aを、シリコーン材を用いて成形したエラストマーにすることが好ましい。
さらに、印刷装置10が、縦置き姿勢及び横置き姿勢のいずれの場合にも対応するように、ケース4の第1面を覆う開閉カバー1b及び第1ケース1aの両方を、シリコーン材を用いて成形したエラストマーにすることが好ましい。
【0020】
上述のように、印刷装置10の排出口6から排出される記録紙40は、非定形である。このため、排出された記録紙40は、印刷装置10の姿勢により、開閉カバー1b及び第1ケース1aのいずれかに貼り付く可能性がある。
しかし、第1実施形態に係る印刷装置10は、ケース4の第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材として、シリコーン材を用いた第1ケース1a、又は開閉カバー1bで構成することにより、ケース4の第1面に記録紙40が付着することを抑制できる。
なお、非粘着部材として、第1ケース1a、又は開閉カバー1bは、シリコーン樹脂コーティング又はフッ素樹脂コーティングを表面に施したプラスチックなどの樹脂としてもよい。
【0021】
2.第2実施形態
図2に示すように、第2実施形態に係る印刷装置10は、ケース4の第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材のシートである、非粘着性を有する非粘着シート20を使用している。非粘着シート20は、ケース4の第1面を構成している、少なくとも第1ケース1a又は開閉カバー1bに貼付されて、装着されている。非粘着シート20は、第1非粘着シート20a及び第2非粘着シート20bを含んでいる。第1非粘着シート20aは第1ケース1aに貼付されて装着可能であり、第2非粘着シート20bは開閉カバー1bに貼付されて装着可能である。
第1ケース1a、又は開閉カバー1bは、ケース4の第1面に貼付された非粘着シート20により、記録紙40が付着することを抑制できる。以下の説明では、第1実施形態に係る印刷装置10と重複する内容については、省略する。
【0022】
非粘着シート20の構成の例を、層別に具体的に説明する。
図3に示すように、非粘着シート20はPET(polyethylene terephthalate)シートである基材22を有し、基材22の一方の面には、非粘着材料としてシリコーン樹脂コーティング又はフッ素樹脂コーティングを表面に施した非粘着フィルム21が構成されている。非粘着シート20の基材22の他方の面には、アイコン印刷及びロゴ印刷が施されている印刷層としての第1印刷層23、さらにケース4の第1面の色を表すケース色印刷が施されている印刷層としての第2印刷層24、アクリル系粘着材が塗布された粘着層25の順に層が構成されている。
非粘着部材である非粘着シート20は、ケース4の第1面である第1面ケース1に粘着層25により貼付される。第1面ケース1の外面に貼付された非粘着シート20の非粘着フィルム21により、記録紙40が付着することを抑制できる。
【0023】
非粘着シート20は、ケース4の第1面である第1面ケース1に備えられる表示部15及び操作部16を覆っている。
図4を用いて、表示部15及び操作部16と、非粘着シート20の構成について詳しく説明する。
表示部15は、第1面ケース1の第1ケース1aにおける第2面ケース2に近い位置に配置されている。表示部15は、ユーザーに所定の情報を報知するように、例としてLEDが備えられている。
図4に示すように、表示部15の複数のLEDは、第1ケース1aの左右に並んで備えられている。このように、印刷装置10が縦置き姿勢であっても、表示部15はユーザーが視認し易いように、印刷装置10の上方に配置されている。
【0024】
第1非粘着シート20aは、第1ケース1aに備えられる表示部15のLEDを覆って貼付されている。表示部15のLEDに対応して、第1非粘着シート20aの第1印刷層23には、所定の情報を示すアイコン印刷が施されている。例えば、第1印刷層23にロール紙を示すアイコン印刷がなされており、それに対応するLEDが配置されている。このLEDが点灯することにより、所定の情報として記録紙40が無いことを示している。他にも、LED及びアイコン印刷を組み合わせて、通信状況やエラー発生などを所定の情報として報知することができる。
また、非粘着シート20の第1印刷層23には、会社名や製品名称などのロゴも印刷されている。なお、第1非粘着シート20aの第1印刷層23のアイコン印刷は、アイコン印刷以外の部分は無色となっており、LEDの光が透過し易くなっている。
【0025】
非粘着シート20の第2印刷層24は、ケース4の第1面の色を表すケース色として、例えばステンレスなどの金属色を表すように、メタリック印刷が施されている。
メタリック印刷のように濃度が高い第2印刷層24があると、表示部15のLEDの光が遮られてユーザーが視認できないことがある。このため、表示部15のLEDに重なる位置に当たる第1非粘着シート20aの第2印刷層24は除去されていてもよい。LEDの光が透過し易くなる。
【0026】
操作部16は、第1面ケース1の開閉カバー1bにおける第3面ケース3に近い位置に配置されている。操作部16は、例としてスイッチが備えられている。
図4に示すように、操作部16の複数のスイッチは、開閉カバー1bの上下に並んで備えられている。このように、印刷装置10が縦置き姿勢であっても、操作部16は、ユーザーが操作し易いように配置されている。
【0027】
第2非粘着シート20bは、開閉カバー1bに備えられる操作部16のスイッチを覆って貼付されている。操作部16のスイッチに対応して、第2非粘着シート20bの第1印刷層23には、スイッチの機能を示すアイコン印刷が施されている。例えば、第2非粘着シート20bの第1印刷層23に電源を示すアイコン印刷がなされている。ユーザーが電源を示すアイコン印刷を視認し、電源に対応するスイッチを操作して、印刷装置10の電源をオンにすることができる。他にも、紙送りのスイッチ及びアイコン印刷を組み合わせて構成しておき、ユーザーが視認して紙送りのスイッチを操作し、記録紙40の紙送りをすることができる。
なお、表示部15の場合と異なり操作部16はLEDが無いため、操作部16のスイッチに重なる位置に当たる第2非粘着シート20bの第2印刷層24は除去されていなくてもよい。
【0028】
印刷装置10が、
図2、
図4に示す縦置き姿勢で使用する場合には、排出口6から排出された記録紙40が開閉カバー1bに接触して貼り付くことを抑制するため、開閉カバー1bに第2非粘着シート20bを貼付することが好ましい。
一方、印刷装置10が、横置き姿勢で使用する場合には、排出口6から排出された記録紙40が第1ケース1aに貼り付くことを抑制するため、第1ケース1aに第1非粘着シート20aを貼付することが好ましい。
さらに、印刷装置10が、縦置き姿勢及び横置き姿勢のいずれの場合にも対応するように、開閉カバー1b及び第1ケース1aの両方に、それぞれ第2非粘着シート20b及び第1非粘着シート20aを貼付することが好ましい。
【0029】
印刷装置10は、粘着面40bを有しない記録紙40である、通常のいわゆる感熱紙にも印刷可能である。感熱紙のみに印刷する印刷装置10として、非粘着シート20を貼付していない仕様で工場出荷する場合がある。このような仕様の印刷装置10であっても、オプションとして非粘着シート20を用意しておけば、ユーザーが後にライナーレスラベルを使用したい場合には、印刷装置10の第1面ケース1にオプションの非粘着シート20を貼付して、簡単に対応することができる。
【0030】
なお、アイコン印刷及びロゴ印刷が施されている第1印刷層23の代わりに、アイコン印刷やロゴが印刷されたシールを使用する場合には、必ずしも第1印刷層23は必要ではない。また、ケース色を表す第2印刷層24の代わりに、第1面ケース1に塗装が施されている場合には、必ずしも第2印刷層24は必要ではない。
或いは、第1面ケースの地肌が透けて見えないように、第1印刷層23、第2印刷層24に加えて、黒色印刷など、他の印刷層を非粘着シート20に追加してもよい。
【0031】
3.第3実施形態
図5に示すように、第3実施形態に係る印刷装置10は、ケース4の第1面の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材の例として、非粘着材料を含む非粘着カバー30により構成している。非粘着カバー30は、第2カバー30b及び第3カバー30aを含んでいる。第2カバー30bは開閉カバー1bを覆うように装着可能であり、第3カバー30aは第1ケース1aを覆うように装着可能である。
印刷装置10には、少なくとも第2カバー30b又は第3カバー30aが装着されている。第2カバー30b又は第3カバー30aにより、第1ケース1a又は開閉カバー1bは、記録紙40が付着することを抑制できる。以下の説明では、第1実施形態に係る印刷装置10と重複する内容については、省略する。
【0032】
具体的には、非粘着部材である第3カバー30a、又は第2カバー30bは、非粘着材料であるシリコーン樹脂を含んで構成されている。又は、第3カバー30a、又は第2カバー30bは、例えばアクリル樹脂など透明性のある樹脂に、非粘着材料であるシリコーン樹脂コーティング又はフッ素樹脂コーティングを施したものを使用してもよい。
このような非粘着材料を含んで構成された第3カバー30a又は第2カバー30bは、第1ケース1a又は開閉カバー1bに装着され、記録紙40が付着することを抑制できる。
【0033】
まず、非粘着カバー30の第2カバー30bについて説明する。
図5に示すように、第2カバー30bは、第2カバー用固定部30dを有している。第2カバー30bは、第2カバー用固定部30dにより、開閉カバー1bに装着可能となっている。第2カバー30bは、開閉カバー1bに装着された状態で、開閉カバー1bと共に開閉可能となっている。第2カバー30bは、右にも第2カバー用固定部30dを有するようにして、開閉カバー1bを挟むように装着してもよい。
【0034】
なお、操作部16が重なる位置に当たる第2カバー30bの部分は、除去されていてもよい。ユーザーが第2カバー30bを外さずに、除去された開口部を通して操作部16を操作することができる。
操作部16は、開閉カバー1bの第3面ケース3に近い位置に配置されている。そのため、操作部16は、開閉カバー1bにおいて、排出口6から左方向に離れた位置にある。排出口6から記録紙40が排出されても、操作部16に接触し難い位置となっている。また、記録紙40は紙幅が35cm以上あるので、第2カバー30bの除去された開口部の大きさが約35cm未満であれば、記録紙40が開口部を通り抜けて、操作部16に付着することはない。
【0035】
ところで、印刷装置10の左方向を覆う第3面ケース3には、開閉カバー1bを操作するレバー17が備えられている。レバー17は、押しボタン式となっていて、ユーザーにより押されると、開閉カバー1bを開くように構成されている。
第2カバー30bは、開閉カバー1bへの装着時、第3面ケース3のレバー17に向かって延びるように、後方向へ延びる第2カバー延長部30eを有している。
レバー17は可動するので、レバー17自体に非粘着カバー30を装着することは難しい。非粘着部材である第2カバー延長部30eが、第3面ケース3の一部を覆いながら、レバー17へ向かって延びるように構成されているので、レバー17に記録紙40が付着することを抑制できる。なお、第2カバー30bの第2カバー延長部30eは、レバー17の少なくとも一部を覆うように構成することも可能である。
【0036】
レバー17は、ケース4における第1面を構成する第1面ケース1とは異なる第3面を構成する第3面ケース3に設けられている。換言すると、レバー17は、第1面ケース1には構成されていない。このため、非粘着部材である非粘着カバー30を装着できる第1面ケース1の範囲を広くすることができる。第1面ケース1の広い範囲を、非粘着カバー30で覆うことにより、記録紙40が付着することを抑制することができる。
【0037】
なお、レバー17は、ケース4において、第1面ケース1の右面であり、第3面ケース3に対向する面にも設けられていてもよい。左右のレバー17により、開閉カバー1bを安定的に開閉することができる。
この場合、第2カバー30bは、第1面ケース1の右面に設けられたレバー17に向かっても延びるような第2カバー延長部30eも有していてもよい。
【0038】
なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態でも、同様に、レバー17は、第3面ケース3に設けられている。レバー17に記録紙40が付着することを抑制できる。また、第1実施形態における非粘着部材である第1面ケース1、第2実施形態における非粘着部材である非粘着シート20を貼付した第1面ケース1でも、同様に、第1面ケース1の広い範囲を、非粘着部材を装着して覆うことができる。
【0039】
次に、非粘着カバー30を構成する第3カバー30aについて説明する。第3カバー30aは、第3カバー用固定部30cを有している。第3カバー30aは、第3カバー用固定部30cにより第2面ケース2に固定されて、第1ケース1aに装着可能となっている。第3カバー30aは、右にも第3カバー用固定部30cを有していてもよく、左右を第2面ケース2に固定されるようにしてもよい。また、第3カバー30aは、第3カバー用固定部30cにより第3面ケース3に固定されるようにしてもよい。
【0040】
なお、表示部15のLEDに重なる位置に当たる第3カバー30aの部分は、除去されていてもよい。LEDの光が透過し易くなる。LEDの大きさは約1cm以内である。第3カバー30aに約1cm程度の開口部を開けても、記録紙40は紙幅が35cm以上あるので、記録紙40が開口部を通り抜けて、表示部15に付着することはない。
【0041】
印刷装置10が、
図5に示す縦置き姿勢で使用する場合には、排出口6から排出された記録紙40が開閉カバー1bに接触して貼り付くことを抑制するため、開閉カバー1bに第2カバー30bを装着することが好ましい。
一方、印刷装置10が、横置き姿勢で使用する場合には、排出口6から排出された記録紙40が第1ケース1aに貼り付くことを抑制するため、第1ケース1aに第3カバー30aを装着することが好ましい。
さらに、印刷装置10が、縦置き姿勢及び横置き姿勢のいずれの場合にも対応するように、開閉カバー1b及び第1ケース1aの両方に、それぞれ第2カバー30b及び第3カバー30aを装着することが好ましい。
【0042】
感熱紙のみ印刷する印刷装置10として、非粘着カバー30を装着しない仕様で工場出荷した場合であっても、オプションとして非粘着カバー30を用意しておけば、ユーザーが後にライナーレスラベルを使用したい場合にも、印刷装置10の第1面ケース1にオプションの非粘着カバー30を装着して、簡単に対応することができる。
【0043】
上述の各実施形態による印刷装置10によれば、ケース4の第1面ケース1の少なくとも一部を覆って装着される非粘着部材として、第1実施形態に係る第1面ケース1はシリコーン材を用いて構成し、第2実施形態に係る第1面ケース1は非粘着シート20を貼付して構成し、第3実施形態に係る第1面ケース1は非粘着カバー30を装着して構成している。
記録紙40の粘着面40bには粘着剤が塗布されており、印刷装置10の排出口6から排出される記録紙40は非定形となっている。しかし、これらの実施形態によれば、ケース4の第1面ケース1に記録紙40が付着することを抑制できる。
【0044】
以上、これら実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
第1実施形態に係る第1面ケース1、第2実施形態に係る非粘着シート20、第3実施形態に係る非粘着カバー30は、記録紙40の粘着剤に対して非粘着性を有する他の材料を用いてもよい。また、印刷装置10の第1面ケース1以外のケース面に非粘着部材を装着するようにしてもよい。
印刷装置10の印刷部11は、サーマルヘッドの例で説明したが、印刷方式は問わない。例えば、インクジェットヘッドでもよい。インクジェットヘッドの場合などは、ヘッドは記録紙40に接触しないので、記録紙40を搬送する非粘着性を有するローラー対を備える。具体的にローラー対は、非粘着性を有するシリコーンゴムで形成する、又は、表面に非粘着性を有するシリコーン樹脂コーティング又はフッ素樹脂コーティングを施せばよい。
【符号の説明】
【0045】
1…第1面ケース、1a…第1ケース、1b…開閉カバー、4…ケース、6…排出口、10…印刷装置、11…印刷部、14…収納部、15…表示部、16…操作部、17…レバー、20…非粘着シート、23…第1印刷層、24…第2印刷層、30…非粘着カバー、40…記録紙、40a…記録面、40b…粘着面。