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特開2022-183740電子部品包装用カバーテープおよび包装体
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  • 特開-電子部品包装用カバーテープおよび包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183740
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電子部品包装用カバーテープおよび包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/02 20060101AFI20221206BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221206BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D73/02 B
B32B3/10
B32B7/023
B32B7/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091211
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】長塚 保則
(72)【発明者】
【氏名】太田 友里恵
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 宏徳
(72)【発明者】
【氏名】長尾 将弘
【テーマコード(参考)】
3E067
4F100
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB41
3E067AC04
3E067BA25A
3E067BA37A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA11
3E067CA21
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA12
3E067EA13
3E067EA29
3E067EA32
3E067EA34
3E067FA01
3E067FA09
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK06
4F100AK06B
4F100AK42
4F100AK42A
4F100AK68
4F100AK68B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA22
4F100CA22A
4F100CB03
4F100CB03B
4F100GB15
4F100GB41
4F100JK15
4F100JL12
4F100JL12B
4F100JN01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】実装不良を抑制することができ、かつ、電子部品の視認性に優れた電子部品包装用カバーテープを提供する。
【解決手段】本開示は、樹脂層と、上記樹脂層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、上記電子部品包装用カバーテープの上記ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下であり、上記電子部品包装用カバーテープは、上記電子部品包装用カバーテープの上記ヒートシール層側に透明テープを配置した場合に上記透明テープ越しに測定されるヘーズ値が、26%以下である、電子部品包装用カバーテープを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層と、
前記樹脂層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、
前記電子部品包装用カバーテープの前記ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下であり、
前記電子部品包装用カバーテープは、前記電子部品包装用カバーテープの前記ヒートシール層側に透明テープを配置した場合に前記透明テープ越しに測定されるヘーズ値が、26%以下である、電子部品包装用カバーテープ。
【請求項2】
ヘーズ値が60%以下である、請求項1に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項3】
前記樹脂層の前記ヒートシール層側の面の粗さ曲線要素の平均長さRSmは、150μm以上400μm以下である、請求項1または請求項2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
【請求項4】
電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、
前記収納部に収納された電子部品と、
前記収納部を覆うように配置された、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の電子部品包装用カバーテープと、
を備える、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品包装用カバーテープおよびそれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC、抵抗、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子レジスタ等の電子部品は、テーピング包装され、表面実装に供せられる。テーピング包装においては、電子部品を収納する収納部を複数有するキャリアテープに電子部品を収納した後に、キャリアテープをカバーテープでヒートシールし、電子部品を保管および搬送するための包装体を得る。電子部品の実装時には、カバーテープをキャリアテープから剥離し、電子部品を自動的に取り出して基板に表面実装する。電子部品の表面実装については、近年の電子機器の高速通信化、高速演算処理化に伴い、部品点数が増加する傾向にあり、実装のさらなる効率化、高速化が要求されている。なお、カバーテープはトップテープとも称される。
【0003】
テーピング包装体は未開封の状態で、カバーテープの上から、カバーテープ越しに収納物である電子部品を目視又は機械で確認することが行われている。そのため、カバーテープには優れた視認性が必要とされており、視認性の指標として、ヘーズ値や全光線透過率に着目した電子部品包装用カバーテープが種々提案されている(例えば、特許文献1、および2)。
【0004】
また、カバーテープをキャリアテープから剥離する際に、キャリアテープの収納部に収納された電子部品がカバーテープのヒートシール層側表面に付着し、電子部品を正常に取り出すことができない場合がある。これは、実装不良を招くことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-155090号公報
【特許文献2】特開2005-096852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、視認性の指標として、電子部品包装用カバーテープ全体のヘーズ値や全光線透過率のみを用いた場合、的確に視認性を向上させることができないといった問題がある。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、実装不良を抑制することができ、かつ、電子部品の視認性に優れた電子部品包装用カバーテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態は、樹脂層と、上記樹脂層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、上記電子部品包装用カバーテープの上記ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下であり、上記電子部品包装用カバーテープは、上記電子部品包装用カバーテープの上記ヒートシール層側に透明テープを配置した場合に上記透明テープ越しに測定されるヘーズ値が、26%以下である、電子部品包装用カバーテープである。
【0009】
本開示の一実施形態は、電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、上記収納部に収納された電子部品と、上記収納部を覆うように配置された、上述の電子部品包装用カバーテープと、を備える、包装体である。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、実装不良を抑制することができ、かつ、電子部品の視認性に優れた電子部品包装用カバーテープを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の電子部品包装用カバーテープを例示する概略断面図である。
図2】本開示の包装体を例示する概略平面図および断面図である。
図3】本開示の電子部品包装用カバーテープを例示する概略断面図である。
図4】透明テープ越しのヘーズ値の測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
【0014】
以下、本開示の電子部品包装用カバーテープおよび包装体について、詳細に説明する。なお、本明細書において、「電子部品包装用カバーテープ」を単に「カバーテープ」と称する場合がある。
【0015】
A.電子部品包装用カバーテープ
本実施形態の電子部品包装用カバーテープは、樹脂層と、上記樹脂層の一方の面側に配置されたヒートシール層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、上記電子部品包装用カバーテープの上記ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下であり、上記電子部品包装用カバーテープは、上記電子部品包装用カバーテープの上記ヒートシール層側に透明テープを配置した場合に上記透明テープ越しに測定されるヘーズ値が、26%以下である、ことを特徴とする。
【0016】
本開示のカバーテープについて、図面を参照して説明する。図1は本開示のカバーテープの一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本開示のカバーテープ1は、樹脂層2と、樹脂層2の一方の面側に配置されたヒートシール層3とを有する。また、図3に示すように、樹脂層2のヒートシール層3側の面とは反対の面側に、樹脂層2側から、基材層4、帯電防止層5がこの順に配置されていてもよい。本開示のカバーテープ1は、ヒートシール層側の表面1Aの粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下であり、カバーテープ1のヒートシール層3側に透明テープを配置した場合に透明テープ越しに測定されるヘーズ値が、26%以下である。なお、図1および図3のカバーテープ1では、カバーテープ1のヒートシール層3側の表面1Aはヒートシール層3の面であるが、ヒートシール層3の樹脂層2側の面とは反対の面側に密着防止層等のその他の層が設けられている場合には、ヒートシール層3側の表面1Aはその他の層の面になる。
【0017】
図2(a)、(b)は本開示の電子部品包装用カバーテープを用いた包装体の一例を示す概略平面図および断面図であり、図2(b)は図2(a)のA-A線断面図である。図2(a)、(b)に示すように、包装体10は、電子部品13を収納する複数の収納部12を有するキャリアテープ11と、収納部12に収納された電子部品13と、収納部12を覆うように配置されたカバーテープ1と、を備える。キャリアテープ11にはカバーテープ1がヒートシールされており、カバーテープ1のヒートシール層3の両端に所定の幅でライン状にヒートシール部3hが設けられている。また、包装体10において、キャリアテープ11は、送り穴14を有することができる。
【0018】
上記のように電子部品の視認性に優れた電子部品包装用カバーテープが求められており、ヘーズ値が視認性の指標として用いられている。しかしながら、本発明者らは、ヘーズ値が同程度であっても、カバーテープ越しに観察した際に電子部品の視認性に差が生じる場合があることを知見し、さらに、カバーテープを構成する層と層との間に存在する空隙(特に、ヒートシール層と樹脂層との間に存在する空隙)が、視認性悪化の原因となることを知見した。
【0019】
これは、ヘーズ値が多少高い場合でも、映像がぼやけるのみである程度の視認は可能になるが、このような空隙が存在した場合には、空隙部分における反射等の要因により、空隙が存在する領域の視認が難しくなり、その部分の情報を得ることができなくなることが原因ではないかと推測される。
【0020】
そして、本発明者らは、カバーテープのヒートシール層側に透明テープを配置した場合に透明テープ越しに測定されるヘーズ値を測定することで、カバーテープのヒートシール層側の表面の粗さ(凹凸)の影響を排除した、空隙の影響を含んだヘーズ値を評価することができることに着目した。
【0021】
一般に、カバーテープに侵入した光が拡散しヘーズ値を高くするのは、空気との界面であるヒートシール層側の表面粗さが大きな影響を及ぼしていると思われる。一方、ヒートシール層と樹脂層との界面の表面粗さが多少大きい場合でも、両者の屈折率差が小さいため、ここでの光の拡散のヘーズ値に対する影響はそれほど大きくない。しかしながら、ヒートシール層と樹脂層との間に空隙が存在した場合、樹脂層と空隙の界面、および空隙とヒートシール層との界面の両方の界面での拡散が生じることから、空隙が存在することにより、ヘーズ値が高くなることが想定される。これは、ヒートシール層および樹脂層の界面のみならず、他の層間の界面でも同様である。
【0022】
これらの点から、カバーテープのヒートシール層側に透明テープを配置することにより、カバーテープ全体のヘーズ値に大きな影響を与えるヒートシール層表面の粗さ(凹凸)の影響を排除した状態で、カバーテープのヘーズ値を測定することにより、空隙が存在する領域の多寡を測定できるものと推定される。
【0023】
そして、上記透明テープ越しに測定されるカバーテープのヘーズ値が特定の値以下であれば、電子部品の視認性が良好となることを見出した。さらに、ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが特定の値以下であることで、電子部品がカバーテープのヒートシール層側表面に付着することを抑制することができ、実装不良を抑制することができることを見出した。
以下、本開示の電子部品包装用カバーテープについて、詳細に説明する。
【0024】
I. 透明テープ越しのヘーズ値
本開示の電子部品包装用カバーテープは、ヒートシール層側に透明テープを配置した場合に、透明テープ越しに測定されるヘーズ値が26%以下である。上記値以下であれば、カバーテープの層間(例えば、ヒートシール層と樹脂層との間)に存在する空隙が低減されたものとなり、電子部品の視認性が良好なカバーテープとなる。また、透明テープ越しに測定されるヘーズ値は25%以下が好ましく、24%以下が特に好ましい。一方、例えば、0%以上であり、4%以上であることが好ましい。
【0025】
本開示において、透明テープ越しのヘーズ値は、下記試験手順により、JIS-K-7136に準拠して測定した値である。図4に、透明テープ越しのヘーズ値の測定方法を説明する図を示す。
【0026】
(試験手順)
まず、カバーテープ1を40mm×40mmにカットしサンプルSを得る。ヒートシール層側の表面1Aを上に向け、平滑なガラス上にサンプルSを置く。2kgローラーを用い、シワ、気泡が入らないように透明テープT(ニチバンテープ 品名:クロスカット試験・碁盤目試験準拠テープ 24mm幅)をカバーテープのヒートシール層側の表面1Aに貼りつける。図4に示すように、透明テープT側から測定光が入射するように、サンプルSを測定装置(ヘーズメーターHM-150N(村上色彩技術研究所))に設置し、測定光が透明テープT幅内に収まるように、透明テープTを通過するようにヘーズ値を測定する。
【0027】
なお、平滑なガラスとは、例えば、算術平均粗さRaが0.015±0.01μm、最大高さ粗さRzが0.130±0.03μmの表面粗さを持つガラスである。また、上記透明テープ(ニチバンテープ)の粘着面とは反対側の面の算術平均粗さRaは0.060±0.02μm、最大高さ粗さRzは1.00±0.1μmである。
【0028】
透明テープ越しのヘーズ値が上記範囲であるカバーテープは、後述するように、樹脂層のヒートシール層側の面の粗さ曲線要素の平均長さRSm、算術平均粗さRa等を所定の範囲に調整する方法や、ヒートシール層材料または樹脂層の材料を選択する方法、ヒートシール層の形成方法を選択することで得ることができる。
【0029】
II.ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSm
本開示におけるカバーテープは、ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下である。上記値より大きいと、キャリアテープの収納部に収納された電子部品がカバーテープのヒートシール層側表面に付着し、実装不良が生じる場合がある。粗さ曲線要素の平均長さRSmは、1200μm以下であってもよい。一方、例えば、100μm以上であり、120μm以上であってもよい。
【0030】
本開示において、「粗さ曲線要素の平均長さRSm」とは、JIS B 0601-2001に準拠した、後述する表面粗さ計を用いて測定する粗さ曲線の横方向のパラメーターであって、基準長さにおける凹凸間の距離の平均値である。具体的には、下記式により算出される値である。
【0031】
【数1】
(Xsi=一つの粗さ曲線要素の長さ m=粗さ曲線要素の個数)
なお、粗さ要素を構成する山(谷)には、最低高さ(深さ)と最低長さの規定があり、高さ(深さ)が最大高さの10%以下、もしくは長さが計算区間の長さの1%以下であるものはノイズとみなされ、前後に続く谷(山)の一部として認識される。
【0032】
本開示において、カバーテープのヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSm、後述する算術平均粗さRaは、小型表面粗さ測定機 Surftest SJ-210(株式会社ミツトヨ製)を使用し、下記試験条件及び試験手順で測定した値である。
【0033】
(試験条件)
・規格 JIS B 0601-2001
・曲線:R
・フィルタ:GAUSS
・λc/λs:2.5mm/8μm
・区間数:×5
・測定速度0.5mm/s
・合計5点を測定し、平均値を算出
【0034】
(試験手順)
カバーテープを50mm×20mmにカットしサンプルを得る。サンプルのヒートシール層側の表面を上に向け、スライドガラス(76×26mm,0.8~1.0mmt)上に平坦になるように3MTM耐熱ポリイミドテープ 7414を用い、サンプル4隅、または4辺にポリイミドテープがスライドガラスからはみ出さないように貼り付ける。小型表面粗さ測定機、及びその走査プローブを、サンプル表面上に対し水平になるように設置する。上記の試験条件で、走査プローブをフィルム表面上で走査させ、粗さ曲線要素の平均長さRSm、及び算術平均粗さRaの各値を取得する。
【0035】
ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが上記範囲であるカバーテープは、後述するように、樹脂層のヒートシール層側の面の粗さ曲線要素の平均長さRSm、算術平均粗さRaを所定の範囲に調整する方法や、ヒートシール層の形成に所定の表面粗さを有する冷却ロールを使用して押出ラミネートする方法で得ることができる。
【0036】
III.各層構成について
(1)ヒートシール層
本開示におけるヒートシール層は、基材層の一方の面側に配置される層である。ヒートシール層は、本開示のカバーテープを用いて包装体を製造する際に、キャリアテープに対してヒートシールすることにより、カバーテープとキャリアテープとが接着される。
【0037】
(a)材料
ヒートシール層は熱可塑性樹脂を有するものであり、熱可塑性樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル系共重合体、アクリル系樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、アクリル-スチレン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体のいずれか、あるいは、これらを主成分とする樹脂が挙げられる。
【0038】
中でも、熱可塑性樹脂としては、軟化点が80℃以下であることが好ましく、特に70℃以下であることが好ましい。軟化点が上記値以下であれば、例えば押出ラミネート法によりヒートシール層を樹脂層に積層する場合に、樹脂の流動性が高くなるため、ヒートシール層を樹脂層表面の凹凸に追従させるように積層することができる。従って、空隙の発生を抑制することができる。一方、熱可塑性樹脂の軟化点は30℃以上であってもよく、40℃以上であってもよい。
【0039】
また、熱可塑性樹脂としては、メルトマスフローレート(MFR)が、5g/10分以上であることが好ましく、20g/10分以上であることがより好ましい。MFRが上記の範囲の熱可塑性樹脂であれば、例えば押出ラミネート法によりヒートシール層を樹脂層に積層する場合に、樹脂層表面の凹凸に流れ込みやすくなるため、ヒートシール層を樹脂層表面の凹凸に追従させるように積層することができ、空隙の発生を抑制することができる。一方、メルトマスフローレート(MFR)は、120g/10分以下であってもよく、80g/10分以下であってもよい。なお、本明細書におけるMFRは、JIS K7210により測定した、190℃、荷重2.16kgにおける値をいう。
【0040】
本開示においては、熱可塑性樹脂として、エチレン-酢酸ビニル系共重合体を含むことが好ましい。ヒートシール層がエチレン-酢酸ビニル系共重合体を含むことにより、キャリアテープに対するヒートシール性が良好になる。そのため、搬送、保管中等において意図しない剥がれの発生を抑制することができる。
【0041】
本開示においてエチレン-酢酸ビニル系共重合体とは、少なくとも、エチレンモノマー単位と酢酸ビニルモノマー単位とを含む共重合体である。エチレンモノマー単位とは、エチレンモノマー由来の構成単位をいい、酢酸ビニルモノマー単位とは、酢酸ビニルモノマー由来の構成単位をいう。エチレン-酢酸ビニル系共重合体中のエチレンの含有量は、特に限定されないが、65質量%以上98質量%以下が好ましい。軟化点を上記範囲に調整することができるためである。エチレン-酢酸ビニル系共重合体中の酢酸ビニルの含有量は、特に限定されないが、2質量%以上35質量%以下が好ましい。軟化点を上記範囲に調整することができるためである。エチレン-酢酸ビニル系共重合体は、エチレンモノマー単位と酢酸ビニルモノマー単位の他に、第三のモノマー単位を含んでもよい。第三のモノマー単位は帯電防止性能を有する官能基を含んでいてもよい。
【0042】
ヒートシール層におけるエチレン-酢酸ビニル系共重合体の含有量は、特に限定されないが50質量%以上90質量%以下にでき、60質量%以上80質量%以下にできる。エチレン-酢酸ビニル系共重合体の含有量を増やすとヒートシール性能が向上するが、表面タック力が高くなる傾向がある。
【0043】
本開示におけるヒートシール層がエチレン-酢酸ビニル系共重合体を含む場合、更にポリエチレン樹脂を含んでいることが好ましい。ポリエチレン樹脂を配合することで、良好なヒートシール性を保ちつつ、表面タック性を低くし、高湿熱環境下に置いた後の劣化を抑制することができる。
【0044】
ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の種々のポリエチレンが挙げられるが、分散性の観点から優位であることから、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.910~0.930未満)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910~0.925)が好適に用いられる。
【0045】
また、本開示において、各種ポリエチレンの分類は、旧JIS K6748:1995やJIS K6899-1:2000において定義されたものを指す。ヒートシール層におけるポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは10質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、更に好ましくは、20質量%以上40質量%以下であることが好ましい。ポリエチレンの含有量を増やすとヒートシール性能が低下するが、表面タック力が低くなる傾向がある。
【0046】
ヒートシール層には、必要に応じて、例えば、粘着付与剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、分散剤、充填剤、可塑剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0047】
(b)厚さ
ヒートシール層の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下とすることができる。ヒートシール層の厚さが薄すぎると、シール性に劣る場合があり、また、均一な膜が得られない場合がある。ヒートシール層の厚さが厚すぎると、カバーテープの透明性が低下するおそれがあり、かつ、タックが悪化(増加)するおそれがある。
【0048】
(c)表面粗さ
上述したように、本開示のカバーテープは、ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが上記範囲である。また、カバーテープのヒートシール層側の表面の算術平均粗さRaは0.3μm以上であることが好ましく、更に好ましくは0.4μm以上である。電子部品がカバーテープのヒートシール層側表面に付着するのをより確実に抑制することができ、実装不良が生じにくくなるためである。一方、カバーテープのヒートシール層側の表面の算術平均粗さRaは0.7μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.6μm以下である。ヘーズ値を低減することができるためである。
【0049】
(d)ヒートシール層形成方法
ヒートシール層の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱溶融させたフィルムの原材料を樹脂層にTダイ等で押出して、冷却ロールで樹脂層と圧着する方法(押出ラミネート法)が挙げられる。また、予め製造したフィルムを接着剤で樹脂層に貼り合せる方法も挙げられる。接着剤としては、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等を用いることができる。
【0050】
ヒートシール層の形成に使用する冷却ロールの表面粗さとしては、特に限定されず、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが、例えば350μm以下であり、250μm以下が好ましく、230μm以下が更に好ましい。また、粗さ曲線要素の平均長さRSmが、例えば100μm以上であり、150μm以上が好ましく、200μm以上が更に好ましい。算術平均粗さRaが、例えば2.0μm以下であり、1.5μm以下が好ましく、1.0μm以下が更に好ましい。また、算術平均粗さRaが、例えば0.25μm以上であってもよい。また、最大高さ粗さRzが、例えば14.0μm以下であり、10.0μm以下が好ましく、7.0μm以下が更に好ましい。また、最大高さ粗さRzが、例えば1.3μm以上であり、2.5μm以上であってもよい。
【0051】
また、ヒートシール層の他の形成方法としては、例えば、熱可塑性樹脂、帯電防止剤及びその他に添加剤等を溶媒に分散または溶解したヒートシール層用組成物を用い、後述する樹脂層に上記ヒートシール層用組成物を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。このような方法であれば、樹脂層とヒートシールとの間での空隙を抑制することができるため、透明テープ越しのヘーズ値を低減することができる。上記ヒートシール層用組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、バーコート、ワイヤーバーコート、ロッドコ-ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の塗布法が挙げられる。
なお、この方法で形成されたヒートシール層の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが大きくなる傾向にあり、上述した通り、RSmが1290μmを超える場合は、キャリアテープの収納部に収納された電子部品がカバーテープのヒートシール層側表面に付着し、実装不良が生じる場合がある。
【0052】
(2)樹脂層
本開示のカバーテープは、樹脂層を含有する。樹脂層の一方の面側にはヒートシール層が配置される。樹脂層は、後述する基材層とヒートシール層との間や、後述する帯電防止層とヒートシール層との間に配置されることが好ましい。この場合、樹脂層は中間層として機能し、基材層や帯電防止層とヒートシール層との密着性を向上させることができる。また、樹脂層により、本開示のカバーテープをキャリアテープにヒートシールする際に、クッション性を向上させることができるために、より均一にヒートシール層に熱を与えることができる。
【0053】
樹脂層に用いられる樹脂材料としては、ヒートシール層や後述する基材層の材料等に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、およびポリエステル等が挙げられる。
【0054】
また、樹脂層に用いられる樹脂材料としては、軟化点が150℃以下であることが好ましく、特に130℃以下であることが好ましい。例えば、押出ラミネート法によりヒートシール層を樹脂層に積層する際に、樹脂層のヒートシール層側の表面が平坦化されやすくなるため、ヒートシール層と樹脂層との間の空隙を低減することができるためである。
また、軟化点が70℃以上であることが好ましく、特に90℃以上であることが好ましい。軟化点が上記以上であれば、冷却ロールの凹凸に賦形される前に固まるため、凸凹が少なくなり、ヒートシール層と樹脂層との間の空隙を低減することができるためである。
【0055】
また、樹脂層の貯蔵弾性率は、25℃で1011Pa以下であることが好ましく、1010Pa以下であることが更に好ましい。カバーテープを製造する際、例えば、押出ラミネート法によりヒートシール層を樹脂層に積層する際に、樹脂層が塑性変形しやすくなり、樹脂層とヒートシール層との間の空隙を低減することができるためである。
【0056】
樹脂層の厚さは、例えば、5μm以上50μm以下とすることができる。樹脂層としては、フィルムを用いることができる。この場合、基材層および樹脂層の積層方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱溶融させたフィルムの原材料を基材層にTダイ等で押出しして、ラミロール(冷却ロール)で基材層と圧着して積層体を得る方法(押出ラミネート法)等が挙げられる。また、予め製造したフィルムを接着剤で基材層に貼り合せる方法も挙げられる。本開示においては、前者の方法が好ましい。
【0057】
樹脂層のヒートシール層側の面の粗さ曲線要素の平均長さRSmは、例えば150μm以上であり、好ましくは180μm以上である。ヒートシール層と樹脂層との間の空隙を低減することができ、上記透明テープ越しのヘーズ値を低減することができるためである。
一方、樹脂層のヒートシール層側の面の粗さ曲線要素の平均長さRSmは、例えば400μm以下であり、好ましくは350μm以下である。カバーテープのヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmを1290μm以下に調整しやすく、実装不良を抑制することができるためである。
【0058】
また、樹脂層のヒートシール層側の面の算術平均粗さRaは、例えば2.0μm以下であり、好ましくは1.5μm以下である。ヒートシール層と樹脂層との間の空隙を低減することができ、上記透明テープ越しのヘーズ値を低減することができるためである。一方、樹脂層のヒートシール層側の面の算術平均粗さRaが、例えば0.2μm以上であり、好ましくは0.3μm以上である。実装不良を抑制することができるためである。
【0059】
樹脂層の粗さは、樹脂層を形成する際の押出ラミネートに使用する冷却ロールの表面粗さが反映される。樹脂層の形成に使用する冷却ロールの表面粗さとしては、粗さ曲線要素の平均長さRSmが、例えば350μm以下であり、250μm以下が好ましい。また、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、例えば200μm以上であり、210μm以上が好ましい。算術平均粗さRaが、例えば2.0μm以下であり、1.5μm以下が好ましい。また、算術平均粗さRaは、例えば0.20μm以上であり、0.25μm以上が好ましい。
【0060】
III.カバーテープの特性
(1)ヘーズ値
上述した各層を積層してなるカバーテープにおけるヘーズ値は、例えば60%以下であり、55%以下であることが好ましく、特には50%以下であることが好ましい。
【0061】
(2)全光線透過率
本開示におけるカバーテープは、上述の各層を積層してなるカバーテープにおける全光線透過率が80%以上であることが好ましく、特には85%以上であることが好ましい。
【0062】
本開示において、全光線透過率およびヘーズ値は、それぞれ、JIS-K-7361およびJIS-K-7136に準拠して、ヘーズメーターNDH 7000(日本電色工業製)で測定した値である。このような光学的特性を有するものであれば、より視認性の良いカバーテープとなる。
【0063】
(3)表面タック
本開示におけるカバーテープのヒートシール層側表面のタック力は、30gf以下であることが好ましい。特に好ましくは、25gf以下である。キャリアテープの収納部に収納された電子部品がカバーテープのヒートシール層側表面に付着するのを抑制することができ、実装時の不具合が生じにくくなるためである。
なお、ヒートシール層表面のタック力の下限は特に限定されないが、例えば、0.1gf以上である。
【0064】
ここで、本開示において表面タック力は、下記タッキング試験機 TAC-II(RHESCA社製)を用いてプローブタック試験により測定した値である。
具体的には、以下の手順により測定することができる。まず、上記タッキング試験機を用いて、カバーテープのヒートシール層側の表面に、下記のプローブを、下記試験条件で押し付けた後、引き剥がし、引き剥がすときの荷重を測定する。合計10点を測定し、平均値を算出し、表面タック力とする。
【0065】
(測定条件)
押込み速度:30mm/min
押し込み荷重:200gf
押し込み時間:10s
引き離し速度:30mm/min
測定接触部(プローブ):円柱直径5mm、SUS304
温度条件:プローブ温度60℃、試料台温度60℃(サンプル温度60℃)
測定前サンプル保管:25℃40%RH環境下で24時間以上保管
測定環境:25±2℃、40±5%RH環境
【0066】
(測定手順)
カバーテープを50mm×20mmにカットしサンプルを得た。サンプルのヒートシール層側の面を上に向け、スライドガラス(76×26mm,0.8~1.0mmt)上に平坦になるように3MTM耐熱ポリイミドテープ 7414を用い、サンプル4隅、または4辺にポリイミドテープがスライドガラスからはみ出さないように貼りつけた。サンプルを測定装置のステージ上に装置付属の止金で設置し、上部よりプローブを上記の測定条件でサンプルへ接触させ、上記の測定条件でプローブを試料から離脱させこのときプローブが受ける荷重値として取得した。
【0067】
(4)幅及び長さ
本開示のカバーテープの幅および長さは、キャリアテープの幅および長さに応じて適宜設定することができる。例えば、カバーテープの幅は1~100mm程度であり、5.25mm~5.5mmであってもよい。また、長さは100~30000m程度である。本開示のカバーテープは、使用前(キャリアテープにヒートシールする前)に、通常、巻かれた状態で保管される。
【0068】
IV.その他構成
(1)基材層
本開示のカバーテープは、基材層を含んでもよい。基材層は、樹脂層(中間層)、ヒートシール層や後述する帯電防止層を支持する層である。基材層としては、保存および搬送時の外力に耐える機械的強度や、製造およびテーピング包装に耐える耐熱性等を有していれば、種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルが、コスト面および機械的強度が良いため、好ましく用いられる。
【0069】
また、基材層には、必要に応じて、例えば充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。基材層は、単層であってもよく、同種または異種の複数層の積層体であってもよい。また、基材層は、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。中でも、基材層は、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよい。
【0070】
基材層の厚さは、例えば、2.5μm以上300μm以下とすることができ、6μm以上100μm以下であってもよく、12μm以上50μm以下であってもよい。基材層の厚さが厚すぎると、テーピング包装時の剛性が強くなりハンドリング性とコスト面でも不利である。また、基材層の厚さが薄すぎると、機械的強度が不足する場合がある。
【0071】
(2)帯電防止層
本開示では、基材層の樹脂層(中間層)側の面とは反対の面側に、帯電防止層が配置されていることが好ましい。帯電防止層は、カバーテープが帯電することを防止するための層である。帯電防止層を有することによって、他の面との接触による静電気の発生を防止することや、静電気が帯電してカバーテープの表面へのゴミやチリ等の付着を防止することができる。
【0072】
帯電防止層は、基材層に帯電防止剤をコーティングすることにより形成することができる。帯電防止剤としては、導電性高分子が挙げられ、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。中でも、導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。湿度に依存しない十分な帯電防止性および透明性が得られるからである。ポリチオフェンとしては、例えば、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)が好ましく用いられる。ポリアニリンとしては、例えば、スルホン化ポリアニリンが好ましく用いられる。上記導電性高分子を含む帯電防止層であれば厚みが薄くとも、低い表面抵抗率を得ることができるために好ましい。帯電防止層の厚みが薄いことで、カバーテープの光の透過率を向上させることができる。また、帯電防止層の厚みが薄いことで、カバーテープの光の吸収率を低くすることができる。そのため、カバーテープの視認性を向上させることができる。
【0073】
また、本開示における帯電防止層は、導電性高分子以外の帯電防止剤を含むことにより帯電防止性を発現するものであっても良い。導電性高分子以外の帯電防止剤としては、例えば、高分子型界面活性剤、低分子型界面活性剤等が挙げられる。それぞれ、ノニオン、カチオン、アニオン型があり、この界面活性剤としては、帯電防止性能、塗工性の観点からカチオン型高分子界面活性剤が好ましい。カチオン型高分子界面活性剤としては、高分子型4級アンモニウム塩が好ましい。4級アンモニウム塩のカウンターアニオンは特に限定されず、例えば、ハロゲンイオン、硫化物イオン等が用いられ、アンモニウムの1~3位まではアリール基、アルキル基が入り、特に限定されないが、溶解性の観点から炭素数が6個以下が好ましい。高分子型4級アンモニウム塩の主鎖にはアクリル主鎖が透明性、基材密着性の観点から好ましい。また、帯電防止層は、樹脂を含んでいてもよい。
【0074】
帯電防止層の形成方法としては、例えば、帯電防止剤等を溶媒に分散または溶解した帯電防止層用組成物を用い、基材層の樹脂層(中間層)側とは反対の面側に上記帯電防止層用組成物を塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。上記帯電防止層用組成物の塗布方法としては、例えば、エアドクター、ブレードコート、ナイフコート、ロッドコート、バーコート、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、スライドコート等の公知の塗布法が挙げられる。
【0075】
帯電防止層の厚さは、例えば、0.02μm以上3μm以下とすることができる。この程度の厚さの帯電防止層とすることにより、カバーテープに帯電防止性を付与することができる。
【0076】
(3)接着剤層
更に、基材層と樹脂層との間、又は樹脂層とヒートシール層との間に、接着剤層を有していてもよい。接着剤層を形成することで、基材層、樹脂層又はヒートシール層が接着力に乏しい場合であっても、基材層と樹脂層との間、又は樹脂層とヒートシール層との間の密着性を向上させることができる。接着剤層としては、基材層、樹脂層、ヒートシール層に用いられる材料に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。接着剤層は、例えば、オレフィン系、アクリル系、イソシアネート系、ウレタン系、エステル系の接着剤等のような接着性の良好な樹脂で形成することができる。
【0077】
また、接着剤の塗布は、特に限定されないが、グラビアコーティング、ロールコーティング等で行うことができる。
【0078】
接着剤層の厚さは、適宜調整することができるが、例えば、カバーテープに適度な剛性を与えるように、1~10g/mであり、好ましくは、2~5g/mである。1g/m以上であれば、接着強度を均一にすることができる。
【0079】
B.包装体
本開示の包装体は、電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、上記収納部に収納された電子部品と、上記収納部を覆うように配置された、上述のカバーテー
プと、を備える。
【0080】
本開示のカバーテープを用いた包装体は、カバーテープ越しに電子部品を目視又は機械で確認する場合において、電子部品の視認性が向上したものとなる。
【0081】
図2(a)、(b)は本開示の包装体の一例を示す概略平面図および断面図である。なお、図2(a)、(b)については、上記「A.電子部品包装用カバーテープ」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0082】
以下、本開示の包装体の各構成について説明する。
【0083】
1.カバーテープ
本開示におけるカバーテープについては、上記「A.電子部品包装用カバーテープ」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
【0084】
本開示の包装体においては、カバーテープのヒートシール層とキャリアテープとはヒートシール部で接着されている。ヒートシール部は、例えば、カバーテープのヒートシール層がキャリアテープと接する部分の一部に配置することができる。すなわち、ヒートシール層は、ヒートシール部と非ヒートシール部とを有していてもよい。これにより、キャリアテープに対するカバーテープの剥離性を良くすることができる。
【0085】
2.キャリアテープ
本開示におけるキャリアテープは、電子部品を収納する複数の収納部を有する部材である。
【0086】
キャリアテープとしては、複数の収納部を有するものであればよく、例えば、エンボスキャリアテープ(エンボステープとも称される。)、パンチキャリアテープ(パンチテープとも称される。)、プレスキャリアテープ(プレステープとも称される。)のいずれも用いることができる。中でも、コスト、成形性、寸法精度等の観点から、エンボスキャリアテープが好ましく用いられる。
【0087】
キャリアテープの材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂等のプラスチックや、紙等が挙げられる。本開示において紙とは、セルロースを主成分とするものをいい、更に樹脂成分が含まれていてもよい。
【0088】
キャリアテープの厚さは、キャリアテープの材質や、電子部品の厚さ等に応じて適宜選択される。例えば、キャリアテープの厚さは、30μm以上1500μm以下とすることができる。キャリアテープの厚さが厚すぎると、成形性が悪くなり、キャリアテープの厚さが薄すぎると、強度が不足する場合がある。
【0089】
キャリアテープは、複数の収納部を有する。収納部は、通常、キャリアテープの長手方向に所定の間隔をおいて配置される。収納部の大きさ、深さ、ピッチ等としては、電子部品の大きさ、厚さ等に応じて適宜調整される。
【0090】
収納部を有するキャリアテープの形成方法としては、一般的なキャリアテープの成形方
法を適用することができ、キャリアテープの種類や材質等に応じて適宜選択される。例え
ば、プレス成形、真空成形、圧空成形、打抜加工、圧縮加工等が挙げられる。
【0091】
3.電子部品
本開示の包装体に用いられる電子部品としては、特に限定されず、例えば、IC、抵抗、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、ダイオード、LED(発光ダイオード)、液晶、圧電素子レジスタ、フィルター、水晶発振子、水晶振動子、コネクタ、スイッチ、ボリュウム、リレー等が挙げられる。ICの形式についても、特に限定されない。
【0092】
4.包装体
本開示の包装体は、電子部品の保管および搬送のために用いられる。電子部品は、包装体の状態で保管および搬送され、実装に供される。実装時には、カバーテープを剥離し、キャリアテープの収納部に収納されている電子部品を取り出し、基板等へ実装される。
【0093】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例0094】
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
基材層として、両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製 FE2002、以下PETフィルム)を準備した。PETフィルムの一方の面側に帯電防止コート剤(導電性高分子としてPEDOTを含み、硬化剤としてアジリジンを含む、アラコートAS601D/CL910(質量比)=10/1 荒川化学社製)のIPA/水=7/3の3.0%溶液)を塗布することによって、帯電防止層を形成した。
【0095】
上記PETフィルムの帯電防止層が形成された面とは反対の面側に、ウレタン系アンカーコート剤(タケネートA-3075/タケラックA-3210(質量比)=3/1 酢酸エチルで5%希釈)を塗布し、接着剤層を形成した。次いで、ポリエチレン樹脂(ノバテックLC600A、日本ポリエチレン社製)を溶融させて、接着剤層の形成されたPETフィルム表面に押出し、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが223μm、算術平均粗さRaが0.36μm、最大高さRzが4.96μmの冷却用ロールを用いた押出ラミネート法により、表1に示す表面粗さを有する、厚さ15μmの中間層を形成した。
【0096】
次いで、エチレン-酢酸ビニル共重合体(製品名:ウルトラセン537 東ソー社製)、低密度ポリエチレン樹脂(スミカセンL705、住友化学社製)およびテルペン樹脂(YSレジンPX1250、ヤスハラケミカル社製)からなるヒートシール組成物を溶融させて中間層表面に押出し、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが245μm、算術平均粗さRaが0.71μm、最大高さRzが6.69μmの冷却用ロールを用いた押出ラミネート法により、表1に示す表面粗さを有する、厚さ15μmのヒートシール層(HS層)を形成した。
【0097】
これによって、帯電防止層(1μm以下)/基材層(25μm)/接着剤層/中間層(15μm)/ヒートシール層(15μm)からなる構成の実施例1のカバーテープを作製した。
【0098】
(実施例2)
中間層の形成に、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが285μm、算術平均粗さRaが1.20μm、最大高さRzが9.70μmの冷却用ロールを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のカバーテープを作製した。
【0099】
(実施例3)
中間層の形成に、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSm210μm、算術平均粗さRa0.25μm、最大高さRz3.87μmの冷却用ロールを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のカバーテープを作製した。
【0100】
(実施例4)
基材層として、両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製 FE2002、以下PETフィルム)を準備した。帯電防止コート剤((導電性高分子としてPEDOTを含み、硬化剤としてアジリジンを含む、アラコートAS601D/CL910(質量比)=10/1 荒川化学社製)のIPA/水=7/3の3.0%溶液)を、PETフィルムの一方の面側に、3.5g/m(乾燥前)塗布することによって、帯電防止層を形成した。
【0101】
上記PETフィルムの帯電防止層が形成された面とは反対の面側に、ウレタン系アンカーコート剤(タケネートA-3075/タケラックA-3210(質量比)=3/1 酢酸エチルで5%希釈)を塗布し、接着剤層を形成した。次いで、ポリエチレン樹脂(ノバテックLC600A、日本ポリエチレン社製)を溶融させて、接着剤層の形成されたPETフィルム表面に押出し、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが285μm、算術平均粗さRaが1.2μm、最大高さRzが9.7μmの冷却用ロールを用いた押出ラミネート法により、表1に示す表面粗さを有する、厚さ15μmの中間層を形成した。
【0102】
次いで、エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物1(下記)からなるヒートシール組成物を溶融させて中間層表面に押出し、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが225μm、算術平均粗さRaが0.41μm、最大高さRzが2.9μmの冷却用ロールを用いた押出ラミネート法により、表1に示す表面粗さを有する、厚さ15μmのヒートシール層を形成した。これによって、帯電防止層(1μm以下)/基材層(25μm)/接着剤層/中間層(15μm)/ヒートシール層(15μm)からなる構成のカバーテープを作製した。
【0103】
・エチレン-酢酸ビニル共重合体組成物1
EVA樹脂(エバフレックスEV550 三井ダウポリケミカル社製):LDPE(スミカセンL705 住友化学社製):改質剤1(アルコンP-125 荒川化学社製):改質剤2(YSポリスターG125 ヤスハラケミカル):帯電防止剤(リケマスターELB-347 理研ビタミン社製)=67:21:3:7:1(重量比)
【0104】
(実施例5)
実施例4と同様にして、基材層としてのPETフィルムの一方の面側に帯電防止層を形成した。次いで、中間層の形成に、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが225μm、算術平均粗さRaが0.41μm、最大高さRzが2.90μmの冷却用ロールを用いた以外は実施例4と同様の方法で、表1に示す表面粗さを有する、厚さ15μmの中間層を形成した。次いで、ウレタン系アンカーコート剤(タケネートA-3075/タケラックA-3210(質量比)=3/1 酢酸エチルで5%希釈)を塗布し、膜厚1μm(乾燥前)の接着剤層を形成した。その上にEC-3500(ジャパンコーティングレジン社製)からなるヒートシール組成物を接着剤層に膜厚1μm(乾燥後)になるように版深15μm、斜線180L/inchのグラビア版を用いてグラビア印刷で、表1に示す表面粗さを有する、ヒートシール層を形成した。これによって、帯電防止層(1μm以下)/基材層(25μm)/接着剤層/中間層(15μm))/接着剤層/ヒートシール層(1μm)からなる構成のカバーテープを作製した。
【0105】
(比較例1)
中間層の形成に、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSm400μm、算術平均粗さRa2.10μm、最大高さRz14.40μmの冷却用ロールを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のカバーテープを作製した。
【0106】
(比較例2)
中間層の形成に、表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが199μm、算術平均粗さRaが0.20μm、最大高さRzが1.22μmの冷却用ロールを用い押出ラミネート法により、表1に示す表面粗さを有する、厚さ15μmの中間層を形成した以外は、実施例5と同様の方法で、帯電防止層(1μm以下)/基材層(25μm)/接着剤層/中間層(15μm))/接着剤層/ヒートシール層(1μm)からなる構成のカバーテープを作製した。
【0107】
なお、ヒートシール層の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSm、および算術平均粗さRaは、JIS B 0601-2001に基づいて、小型表面粗さ測定機 Surftest SJ-210(株式会社ミツトヨ製)を使用し、上記「A.電子部品包装用カバーテープ I.ヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSm」に記載の試験条件及び試験手順で測定した値である。また、中間層(樹脂層)のPET層側とは反対側の面の表面粗さも、同様の試験条件および下記試験手順で測定した値である。
【0108】
(中間層のPET層側とは反対側の面の表面粗さの試験手順)
上記のように基材に中間層を積層して得られた積層体を50mm×20mmにカットしサンプルを得た。サンプルの中間層側の面を上に向け、スライドガラス(76×26mm、0.8~1.0mmt)上に平坦になるように3MTM耐熱ポリイミドテープ 7414を用い、サンプル4隅、または4辺にポリイミドテープがスライドガラスからはみ出さないように貼り付けた。小型表面粗さ測定機、及びその走査プローブを、サンプル表面上に対し水平になるように設置した。上記の試験条件で、走査プローブをフィルム表面上で走査させ、粗さ曲線の算術平均粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRSmの各値を取得した。
【0109】
[透明テープ越しヘーズ値]
実施例1~5、比較例1~2で製造したカバーテープの透明テープ越しヘーズ値を、上記「A.電子部品包装用カバーテープ II. 透明テープ越しのヘーズ値」で記載した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0110】
[ヘーズ値および全光線透過率の測定]
実施例1~5、比較例1~2で製造したカバーテープのヘーズ値および全光線透過率を、上記「A.電子部品包装用カバーテープ III.カバーテープ (1)ヘーズ値」「A.電子部品包装用カバーテープ III.カバーテープ (2)全光線透過率」で記載した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0111】
(包装体サンプルの作製)
下記テーピング条件で包装体サンプルを作製した。電子部品(0402サイズ_チップコンデンサ)500個を紙キャリアテープのキャビティに連続的に配置しながら、紙キャリアテープとカバーテープを、テーピングマシーン NST-35(日東工業)を使用して下記条件でヒートシールしつつ巻き取ることによって、ロール状の包装体サンプルを得た。
【0112】
(作製条件)
紙キャリアテープ:北越コーポレーション社製 0.31mmt 8mm幅(バージン紙)
紙キャリアテープ送り穴ピッチ:2mm
カバーテープ幅:5.25mm幅
テーピング温度:170℃、または、180℃(シール強度の平均が20~30gfとなる温度)
テーピングスピード:3500タクト
テーピングコテサイズ:0.6mm×2線
テーピングコテ長さ(1タクトでのシール長) 8±1mm
電子部品:0402サイズのチップコンデンサ
【0113】
[視認性評価]
作製した包装体サンプルについて、カバーテープ越しの電子部品の視認性を、下記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
評価方法:充填された電子部品を、10人の検査員がカバーテープ越しに目視確認し、電子部品の認識可否を判定した。全部で50チップ検査し、合格率を算出した。合格率100%とは、10人の検査員全員が50チップの電子部品の認識ができたことを示す。また、合格率40%とは10人の検査員のうち4人が50チップの電子部品の認識ができたことを示す。
【0114】
[実装時のチップ異常挙動数の評価]
上記ロール状の包装体サンプルを室温保管(25±3℃、30±5%環境下24時間保管)した後、カバーテープを、カバーテープはく離装置(W08f インテリジェントフィーダー、FUJI社製)を用いて100mm/秒の速度で剥離した。剥離は、25±3℃、30±5%RHの環境で行い、10秒間で完了した。
【0115】
剥離時の電子部品の挙動を高速度カメラで観察した。剥離時に、紙キャリアキャビティーからチップが半分以上飛び出した場合(カバーテープに電子部品が貼りついた場合、電子部品が90度回転して立ちあがった場合、紙キャリアテープのキャビティから電子部品が飛び出した場合を含む)を異常挙動として、500チップ中、異常挙動が発生した数を高速度カメラで撮影した映像を見て集計した(実装不良数)。
また、上記ロール状の包装体サンプルを湿熱保管(60℃、95%RH環境下24時間保管)した後のカバーテープの剥離時の電子部品の異常挙動数結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
表1に示されるように、透明テープ越しに測定されるヘーズ値が、26%以下である実施例1~5、比較例2では、電子部品の視認性が良好なカバーテープが得られることが確認された。一方、比較例1では、電子部品の視認性に劣ることが確認された。
また、カバーテープのヒートシール層側の表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μm以下である実施例1~5、比較例1では、粗さ曲線要素の平均長さRSmが1290μmより大きい比較例2に対して、実装時のチップ異常挙動発生が抑制された。
また、比較例1のカバーテープは、実施例2、4のカバーテープとヘーズ値が同程度であっても、透明テープ越しのヘーズ値に差があり、透明テープ越しのヘーズ値が26%以下の実施例2および実施例4では、視認性が良好であることが確認された。
【符号の説明】
【0118】
1 … カバーテープ
2 … 樹脂層(中間層)
3 … ヒートシール層
4 … 基材層
5 … 帯電防止層
10 … 包装体
11 … キャリアテープ
12 … 収納部
13 … 電子部品
図1
図2
図3
図4