(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183754
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】モータ、およびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20221206BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091232
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 岳
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC06
5H605DD01
5H605DD09
5H605EC03
5H605EC05
5H605EC20
5H605GG18
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC07
5H607DD08
5H607FF06
5H607JJ01
(57)【要約】
【課題】互いに異なる方向に向いたコネクタ端子の第1端部と第2端部との間を樹脂封止部材によって適正に固定することのできるモータ、およびポンプ装置を提供すること。
【解決手段】コネクタ端子72は、回転中心軸線L方向に対して交差する方向に向けて開口する筒状のコネクタハウジング部69の内部で樹脂封止部材6から突出した第1端部721と、第1端部721と反対側で樹脂封止部材6から回転中心軸線L方向の一方L1側に向けて突出した第2端部722との間に、樹脂封止部材6に固定された被固定部723を備える。被固定部723は、第1端部721の側で周りが樹脂封止部材6で覆われた第1被覆部726と、第2端部722側で周りが樹脂封止部材6で覆われた第2被覆部727とを備えており、コネクタ端子72は、第1被覆部726と第2被覆部727との間で樹脂封止部材6の開口部68から露出した露出部725を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを備えたステータと、
前記ステータを覆い、ロータの回転中心軸線方向に対して交差する方向に向けて開口する筒状のコネクタハウジング部を備えた樹脂封止部材と、
前記コネクタハウジング部の内部で前記樹脂封止部材から前記コネクタハウジング部の開口方向に向けて突出した第1端部、前記第1端部と反対側で前記樹脂封止部材から前記回転中心軸線方向の一方側に向けて突出した第2端部、および前記第1端部と前記第2端部との間で前記樹脂封止部材に固定された被固定部を備えた複数のコネクタ端子と、
前記コイルおよび前記第2端部が電気的に接続された基板と、
を有し、
前記被固定部は、前記第1端部の側で周りが前記樹脂封止部材で覆われた第1被覆部と、前記第2端部の側で周りが前記樹脂封止部材で覆われた第2被覆部と、を備え、
前記複数のコネクタ端子は各々、前記第1被覆部と前記第2被覆部との間で前記樹脂封止部材の開口部から前記回転中心軸線方向の一方側に向けて露出した露出部を備えることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記露出部は、前記回転中心軸線方向に板厚方向を向けた平板部からなることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータにおいて、
前記第1被覆部は、前記第1端部と前記露出部との間に前記回転中心軸線に対して斜めに延在する部分を有することを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のモータにおいて、
前記開口部は、前記複数のコネクタ端子毎に前記露出部を露出させるように、複数設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載のモータにおいて、
前記基板は、前記回転中心軸線方向に板厚方向を向けて前記樹脂封止部材に固定され、
前記コイルを構成する巻線が接続された巻線端子は、前記樹脂封止部材から前記回転中心軸線方向の一方側に向けて突出して、前記基板に接続されていることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項5に記載のモータにおいて、
前記基板を前記樹脂封止部材とは反対側から覆い、外周端部が前記樹脂封止部材に溶着されたカバーを有し、
前記コネクタハウジング部は、前記回転中心軸線方向からみたとき、前記カバーと重ならずに径方向の外側に突出した筒状の突出部からなることを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項6に記載のモータにおいて、
前記基板は、全体として円形の平面形状を有し、
前記基板は、前記コネクタハウジング部の根元部分が直線的に切り欠かれた直線部が設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載のモータを備えたポンプ装置であって、
前記モータによって回転駆動されるインペラを有することを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータを覆う樹脂封止部材にコネクタハウジング部が設けられたモータ、およびポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステータを覆う樹脂封止部材に筒状のコネクタハウジング部が設けられたモータでは、コネクタハウジング部が回転中心軸線に直交する方向に向けて開口し、コネクタハウジング部の内側ではコネクタ端子の第1端部が樹脂封止部材から突出している。また、ステータコイルを構成する巻線が接続された巻線端子は、回転中心軸線の一方側に突出し、回転中心軸線に直交するように配置された基板に接続されている。従って、コネクタ端子の第1端部とは反対側の端部は、回転中心軸線の一方側に向けて突出した第2端部になっており、第2端部は基板に接続されている。従って、コネクタ端子において、第1端部と第2端部との間の部分が樹脂封止部材で覆われた被固定部である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、互いに異なる方向に向いた第1端部と第2端部との間の全体が樹脂封止部材によって覆われた被固定部であるため、樹脂封止部材を成形する際、第1端部と第2端部との間の被固定部を金型によって位置決めすることができない。それ故、樹脂封止部材を成形する際、第1端部および第2端部を位置決めしても、被固定部の位置がずれやすく、コネクタ端子が樹脂封止部材に適正に保持されにくいという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、互いに異なる方向に向いたコネクタ端子の第1端部と第2端部との間を樹脂封止部材によって適正に固定することのできるモータ、およびポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るモータは、コイルを備えたステータと、前記ステータを覆い、ロータの回転中心軸線方向に対して交差する方向に向けて開口する筒状のコネクタハウジング部を備えた樹脂封止部材と、前記コネクタハウジング部の内部で前記樹脂封止部材から前記コネクタハウジング部の開口方向に向けて突出した第1端部、前記第1端部と反対側で前記樹脂封止部材から前記回転中心軸線方向の一方側に向けて突出した第2端部、および前記第1端部と前記第2端部との間で前記樹脂封止部材に固定された被固定部を備えた複数のコネクタ端子と、前記コイルおよび前記第2端部が電気的に接続された基板と、を有し、前記被固定部は、前記第1端部の側で周りが前記樹脂封止部材で覆われた第1被覆部と、前記第2端部の側で周りが前記樹脂封止部材で覆われた第2被覆部と、を備え、前記複数のコネクタ端子は各々、前記第1被覆部と前記第2被覆部との間で前記樹脂封止部材から前記回転中心軸線方向の一方側に向けて露出した露出部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明において、コネクタ端子は、樹脂封止部材から回転中心軸線に交差する方向に突出した第1端部と、樹脂封止部材から回転中心軸線方向の一方側に向けて突出した第2端
部とを備えており、第1端部と第2端部との間には、樹脂封止部材に固定された被固定部を備えている。また、被固定部は、第1端部の側で周りが樹脂封止部材で覆われた第1被覆部と、第2端部の側で周りが樹脂封止部材で覆われた第2被覆部とを備え、複数のコネクタ端子は各々、第1被覆部と第2被覆部との間で樹脂封止部材から回転中心軸線方向の一方側に向けて露出した露出部を備えるため、樹脂封止部材を成形する際、露出部に相当する部分を金型等によって位置決めすることができる。それ故、コネクタ端子の第1端部と第2端部との間を樹脂封止部材によって適正に固定することができる。
【0008】
本発明において、前記露出部は、前記回転中心軸線方向に板厚方向を向けた平板部からなる態様を採用することができる。かかる態様によれば、コネクタ端子を確実に位置決めすることができる。
【0009】
本発明において、前記第1被覆部は、前記第1端部と前記露出部との間に前記回転中心軸線に対して斜めに延在する部分を有する態様を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記開口部は、前記複数のコネクタ端子毎に前記露出部を露出させるように、複数設けられている態様を採用することができる。
【0011】
本発明において、前記露出部は、前記回転中心軸線の一方側の面のみが前記樹脂部材から露出し、前記コネクタ端子の側面は、前記樹脂封止部材によって覆われている態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記基板は、前記回転中心軸線方向に板厚方向を向けて前記樹脂封止部材に固定され、前記コイルを構成する巻線が接続された巻線端子は、前記樹脂封止部材から前記回転中心軸線方向の一方側に向けて突出して、前記基板に接続されている態様を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記基板を前記樹脂封止部材とは反対側から覆い、外周端部が前記樹脂封止部材に溶着されたカバーを有し、前記コネクタハウジング部は、前記回転中心軸線方向からみたとき、前記カバーと重ならずに径方向の外側に突出した筒状の突出部からなる態様を採用することができる。かかる態様によれば、カバーを溶着する際、樹脂封止部材のうち、コネクタハウジング部を避けた部分を回転中心軸線方向の他方側から支持することができる。
【0014】
本発明において、前記基板および前記カバーは、全体として円形の平面形状を有し、前記基板および前記カバーは各々、前記コネクタハウジング部が位置する側が直線的に切り欠かれた直線部が設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、コネクタハウジング部の先端部の位置を径方向の内側とすることができるので、モータの外径寸法を小さくすることができる。
【0015】
本発明に係るモータはポンプ装置に用いることができ、この場合、ポンプ装置は、前記モータによって回転駆動されるインペラを有することになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、コネクタ端子は、樹脂封止部材から回転中心軸線に交差する方向に突出した第1端部と、樹脂封止部材から回転中心軸線方向の一方側に向けて突出した第2端部とを備えており、第1端部と第2端部との間には、樹脂封止部材に固定された被固定部を備えている。また、被固定部は、第1端部の側で周りが樹脂封止部材で覆われた第1被覆部と、第2端部の側で周りが樹脂封止部材で覆われた第2被覆部とを備え、複数のコネクタ端子は各々、第1被覆部と第2被覆部との間で樹脂封止部材から回転中心軸線方向の
一方側に向けて露出した露出部を備えるため、樹脂封止部材を成形する際、露出部に相当する部分を金型等によって位置決めすることができる。それ故、コネクタ端子の第1端部と第2端部との間を樹脂封止部材によって適正に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用したポンプ装置およびモータの一態様を示す斜視図。
【
図2】
図1に示すポンプ装置およびモータの縦断面図。
【
図3】
図1に示すポンプ装置を回転中心軸線方向の一方側からみた斜視図。
【
図4】
図3に示す状態からカバーを外した状態の分解斜視図。
【
図5】
図4に示す状態から基板を外した状態の分解斜視図。
【
図6】
図2に示すコネクタ端子等を拡大して示す説明図。
【
図7】
図2に示すコネクタ端子に沿って樹脂封止部材を切断した様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るモータ10およびポンプ装置1を説明する。以下の説明において、回転中心軸線L方向とは、回転中心軸線Lが延在している方向を意味し、径方向の内側および径方向の外側における径方向とは、回転中心軸線Lを中心とする半径方向を意味し、周方向とは、回転中心軸線Lを中心とする回転方向を意味する。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したポンプ装置1およびモータ10の一態様を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すポンプ装置1およびモータ10の縦断面図である。
図1および
図2において、ポンプ装置1は、吸入口21aおよび吐出口22aを備えたケース2と、ケース2に対して回転中心軸線L方向の一方側L1に配置されたモータ10と、ケース2の内部のポンプ室20に配置されたインペラ25とを有しており、インペラ25は、モータ10によって回転中心軸線L周りに回転駆動される。
【0020】
モータ10は、円筒状のステータ3と、ステータ3の内側に配置されたロータ4と、ステータ3を覆うハウジング60としての樹脂封止部材6と、ロータ4を回転可能に支持する丸棒状の支軸5とを備えている。支軸5は、金属製あるいはセラミック製である。本形態のポンプ装置1において、流体は液体であり、ポンプ装置1は、環境温度や流体温度が変化しやすい条件で使用される。
【0021】
ケース2は、ポンプ室20の回転中心軸線L方向の他方側L2の壁面23、および周方向に延在する側壁29を構成している。ケース2は、回転中心軸線Lに沿って延在する吸入管21と、回転中心軸線Lに対して直交する方向に延在する吐出管22とを備えており、吸入管21および吐出管22は各々、端部に吸入口21aおよび吐出口22aを備えている。吸入管21は、回転中心軸線Lに対して同心状に設けられている。
【0022】
モータ10において、ステータ3は、ステータコア31と、ステータコア31に保持されたインシュレータ32、33と、ステータコア31にインシュレータ32、33を介して巻回されたコイル35とを有している。
【0023】
ロータ4は、ステータ3に径方向の内側で対向する位置から回転中心軸線Lに沿ってポンプ室20に向けて延在する円筒部40を備えており、円筒部40は、ポンプ室20で開口している。円筒部40の外周面には、ステータ3に径方向の内側で対向するように円筒状の駆動マグネット8が保持されている。駆動マグネット8は、例えば、ネオジムボンド磁石である。
【0024】
ロータ4において、円筒部40の回転中心軸線L方向の他方側L2の端部には、円板状のフランジ部45が形成されており、フランジ部45には、回転中心軸線L方向の他方側L2から円板26が連結されている。円板26の中央には中央穴260が形成されている。円板26のフランジ部45と対向する面には、中央穴260の周囲から円弧状に湾曲しながら径方向の外側に延在する複数の羽根部261が等角度間隔に形成されており、円板26は、羽根部261を介してフランジ部45に固定されている。従って、フランジ部45と円板26とによって、ロータ4の円筒部40に接続されたインペラ25が構成される。本形態において、円板26は、径方向の内側より径方向の外側がフランジ部45の側に位置するように傾いている。
【0025】
ロータ4では、円筒部40の径方向の内側に円筒状のラジアル軸受11が保持されており、ロータ4は、ラジアル軸受11を介して支軸5に回転可能に支持されている。支軸5の回転中心軸線L方向の一方側L1の端部51は、樹脂封止部材6の底壁63に形成された軸穴65に保持されている。ケース2には、支軸5のポンプ室20側の端部52にポンプ室20の側で対向して支軸5のポンプ室20側への可動範囲を制限する受け部280が形成されている。ケース2は、吸入管21の内周面からモータ10の側に延在する3本の支持部27を備えている。支持部27の端部には、支軸5の回転中心軸線L方向の他方側L2の端部52が内側に位置する筒部28が形成されており、筒部28の回転中心軸線L方向の他方側L2の底部によって受け部280が構成されている。支軸5の端部52には円環状のスラスト軸受12が装着されており、スラスト軸受12は、ラジアル軸受11と筒部28の間に位置する。支軸5の端部51および軸穴65は、少なくとも一部が断面D字形状に形成され、支軸5の端部52およびスラスト軸受12の穴は断面D字形状に形成されている。従って、支軸5およびスラスト軸受12の回転が阻止されている。
【0026】
樹脂封止部材6は、ポンプ室20の壁面23に対向する第1隔壁部61と、ステータ3と駆動マグネット8との間に介在する第2隔壁部62とを有している。また、樹脂封止部材6は、ステータ3を径方向の外側から覆う円筒状の胴部66を有している。従って、樹脂封止部材6は、ステータ3を径方向の両側、および回転中心軸線L方向の両側から覆っており、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene Sulfide)等によってステータ3をインサート成形した際の樹脂部分である。
【0027】
(樹脂封止部材6等の詳細構成)
図3は、
図1に示すポンプ装置1を回転中心軸線L方向の一方側L1からみた斜視図である。
図4は、
図3に示す状態からカバー18を外した状態の分解斜視図である。
図5は、
図4に示す状態から基板19を外した状態の分解斜視図である。
図6は、
図2に示すコネクタ端子72等を拡大して示す説明図である。
図7は、
図2に示すコネクタ端子72に沿って樹脂封止部材6を切断した様子を示す説明図である。なお、
図3、
図4、
図5、
図6、および
図7は、
図1および
図2に対してモータ軸線L方向を上下反転してあり、モータ軸線L方向の他方側L2を図面の上側としてある。
【0028】
図2、
図3、
図4、
図5および
図6に示すように、樹脂封止部材6の回転中心軸線L方向の一方側L1の端部64には、回転中心軸線L方向の一方側L1からカバー18が固定されておいる。カバー18と樹脂封止部材6の底壁63との間では、基板19が回転中心軸線Lに交差する姿勢で樹脂封止部材6に固定されており、基板19は、回転中心軸線L方向に板厚方向を向けている。従って、基板19は、カバー18によってモータ軸線L方向の一方側L1から覆われている。基板19には、コイル35に対する給電を制御する回路や配線等が設けられている。
【0029】
カバー18は、溶着によって樹脂封止部材6に固定されている。基板19は、ねじ92によって樹脂封止部材6に固定されている。より具体的には、樹脂封止部材6には、底壁
63からモータ軸線L方向の一方側L1に向けて突出した柱状部67が形成されており、タッピングねじからなるねじ92が基板19の切り欠きを通して柱状部67に止められている。
【0030】
基板19には、ステータ3から樹脂封止部材6の底壁63を貫通して回転中心軸線L方向の一方側L1に突出した金属製の巻線端子71、および金属製のコネクタ端子72がハンダによって接続されている。巻線端子71には、コイル35を構成する巻線が電気的に接続されている。従って、コイル35を構成する巻線は、巻線端子71を介して基板19に電気的に接続されている。巻線端子71およびコネクタ端子72は、ステータ3をインサート成形する際、同時にインサート成形される。従って、巻線端子71およびコネクタ端子72は、樹脂封止部材6に固定されている。
【0031】
樹脂封止部材6には、筒状のコネクタハウジング部69が形成されている。コネクタハウジング部69は、樹脂封止部材6において回転中心軸線Lに対して交差する方向に突出した筒状の突出部である。コネクタハウジング部69の内側では、複数のコネクタ端子72の第1端部721がコネクタハウジング部69の開口方向に向けて樹脂封止部材6から突出している。従って、コネクタハウジング部69にコネクタを連結して信号等を供給すると、かかる信号がコネクタ端子72を介して基板19の駆動回路に入力される。その結果、基板19の駆動回路からは、巻線端子71を介して駆動電流が各コイル35に供給される。従って、ロータ4が回転中心軸線L周りに回転する。これにより、ポンプ室20内でインペラ25が回転してポンプ室20の内部が負圧となるため、流体は吸入管21からポンプ室20に吸い込まれて、吐出管22から吐出される。
【0032】
図5、
図6および
図7に示すように、複数のコネクタ端子72は各々、第1端部721と、第1端部721とは反対側の端部である第2端部722と、第1端部721と第2端部722との間で樹脂封止部材6に固定された被固定部723とを備えている。第2端部722は、樹脂封止部材6の底壁63から回転中心軸線L方向の一方側L1に突出している。本形態において、被固定部723は、第1端部721の側で周りが樹脂封止部材6で覆われた第1被覆部726と、第2端部722の側で周りが樹脂封止部材6で覆われた第2被覆部727とを備えており、複数のコネクタ端子72は各々、第1被覆部726と第2被覆部727との間で樹脂封止部材6の開口部68から回転中心軸線L方向の一方側L1に向けて露出した露出部725を備えている。すなわち、第1被覆部726および第2被覆部727は樹脂封止部材6に埋まっているが、露出部725は少なくとも回転中心軸線L方向の一方側L1の面が露出している。
【0033】
本形態において、複数のコネクタ端子72の露出部725は全て、樹脂封止部材6の1つの開口部68で露出している。このため、露出部725は少なくとも回転中心軸線L方向の一方側L1の面、および側面が樹脂封止部材6から露出している。また、コネクタ端子72は平板状のピン状端子であり、露出部725は、回転中心軸線L方向に板厚方向を向けた平板部729からなる。また、コネクタ端子72において、第1被覆部726は、第1端部721と露出部725との間に回転中心軸線Lに対して斜めに延在する部分728を有する。
【0034】
このように本形態において、複数のコネクタ端子72は各々、第1被覆部726と第2被覆部727との間で樹脂封止部材6の開口部68から回転中心軸線L方向の一方側L1に向けて露出した露出部725を備えるため、樹脂封止部材6を成形する際、露出部725に相当する部分を金型等によって回転中心軸線L方向の一方側L1から位置決めすることができる。それ故、コネクタ端子72の第1端部721と第2端部722との間を樹脂封止部材6によって適正に固定することができる。
【0035】
また、露出部725は、回転中心軸線L方向に板厚方向を向けた平板部729からなるため、コネクタ端子72を確実に位置決めすることができる。
【0036】
(カバー18等の詳細な構成)
図4に示すように、樹脂封止部材6ではコネクタハウジング部69が回転中心軸線Lに対して交差する方向に突出する一方、樹脂封止部材6には、カバー18の外周端部が溶着される。ここで、コネクタハウジング部69は、回転中心軸線L方向からみたとき、カバー18と重ならずに径方向の外側に突出している。従って、カバー18を溶着する際、樹脂封止部材6のうち、コネクタハウジング部69を避けた部分を回転中心軸線L方向の他方側L2から支持することができる。それ故、コネクタハウジング部69で樹脂封止部材6を支持する場合と違って、カバー18を溶着する際、樹脂封止部材6を回転中心軸線L方向の他方側L2から容易に支持することができるとともに、コネクタハウジング部69の変形等が発生しにくい。
【0037】
また、カバー18および基板19は各々、全体として円形の平面形状を有する一方、カバー18および基板19には、コネクタハウジング部69が位置する側が直線的に切り欠かれた直線部180、190が設けられている。このため、コネクタハウジング部69の根元部分を径方向の内側に位置させることができる分、コネクタハウジング部69の先端部の位置を径方向の内側とすることができる。それ故、モータ10およびポンプ装置1の外径寸法を小さくすることができる。
【0038】
[他の実施の形態]
上記実施形態において、複数のコネクタ端子72の露出部725は全て、樹脂封止部材6の1つの開口部68で露出していたが、樹脂封止部材6には、複数のコネクタ端子72毎に露出部725を露出させる複数の開口部68が設けられていることが好ましい。この場合、露出部725は、回転中心軸線L方向の一方側L1の面のみが、樹脂封止部材6から露出した状態となり、側面は樹脂封止部材6によって覆われることになる。それ故、露出部725についても樹脂封止部材6によって固定することができる。また、露出部725の側面を樹脂封止部材6によって覆われた構造とする場合でも、インサート成形時、露出部725に相当する部分の回転中心軸線L方向の一方側L1の面のみを金型等を重ねればよいので、金型の構造を簡素化することができる。
【0039】
上記実施形態では、ポンプ装置1に用いるモータ10を例示したが、他の機器に搭載されるモータに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…ポンプ装置、2…ケース、3…ステータ、4…ロータ、5…支軸、6…樹脂封止部材、8…駆動マグネット、10…モータ、18…カバー、19…基板、20…ポンプ室、25…インペラ、31…ステータコア、32、33…インシュレータ、35…コイル、40…円筒部、45…フランジ部、60…ハウジング、61…第1隔壁部、62…第2隔壁部、63…底壁、65…軸穴、66…胴部、67…柱状部、68…開口部、69…コネクタハウジング部、71…巻線端子、72…コネクタ端子、92…ねじ、180、190…直線部、721…第1端部、722…第2端部、723…被固定部、725…露出部、726…第1被覆部、727…第2被覆部、728…部分、729…平板部、L…回転中心軸線