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  • 特開-ハンマー 図1
  • 特開-ハンマー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183774
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ハンマー
(51)【国際特許分類】
   B25F 1/00 20060101AFI20221206BHJP
   B25D 1/00 20060101ALI20221206BHJP
   B25B 21/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B25F1/00
B25D1/00
B25B21/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091255
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390037534
【氏名又は名称】オーエッチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敬二
【テーマコード(参考)】
2D058
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA02
2D058AA09
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA04
3C064AB02
3C064AC01
3C064AC14
3C064AD03
3C064BA12
3C064BB64
3C064BB81
3C064CB17
3C064CB56
3C064CB62
3C064CB68
3C064CB70
3C064CB71
3C064CB81
(57)【要約】
【課題】ソケット部を備えたハンマーを電動工具に取り付け可能な構成とすることで、ソケット部を使用したときの作業中の煩わしさを解消し、作業効率をさらに向上させることができるハンマーを提供する。
【解決手段】本発明のハンマー1は、把持可能で長い筒状の柄2と、柄2の上端に取り付けられ且つ打撃面5を有する頭部3と、柄2の下端に連通して設けられ且つ締結具Nの締付け及び調整を行うためのソケット部7と、柄2の上端に設けられ且つビットBを差し込み可能なビットホルダー部9とを備え、ビットホルダー部9とソケット部7は、柄2の長手方向軸心上に沿って備えられていて、ビットホルダー部9は、ビットBを介して電動回転工具Dを連結可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持可能な柄と、
前記柄の上端に取り付けられ且つ、打撃面を有する頭部と、
前記柄の下端に連通して設けられ且つ、締結具の締付け及び調整を行うためのソケット部と、
前記柄の上端に設けられ且つ、ビットを差し込み可能なビットホルダー部と、を備えている
ことを特徴とするハンマー。
【請求項2】
前記柄は、筒状で長尺の部材であって、
前記ビットホルダー部と、前記ソケット部は、前記柄の長手方向軸心上に沿って備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載のハンマー。
【請求項3】
前記ビットホルダー部は、前記ビットを介して電動回転工具を連結可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンマー。
【請求項4】
前記電動回転工具に前記ビットを取り付け、当該ビットの先端を前記ビットホルダー部に差し込むことで、前記ハンマーと前記電動回転工具とが連結された状態となり、
前記柄が長手方向軸心回りに回転可能となり且つ、前記ソケット部と前記柄が、前記電動回転工具用の長尺ソケットとなる構成とされている
ことを特徴とする請求項3に記載のハンマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気工事現場等では、作業者は腰ベルト(ツールベルト)を装着し、ハンマー、ソケットや電動工具など様々な工具を腰ベルトに差し込んで持ち歩いている。ところが、工具が多いと腰ベルトが重くなるため、工具に工夫をしたものが市販されている。例えば、柄(グリップ)の基端部に、ボルトやナットなどの締結具を締め付けたり、調整するためのソケット部が設けられたハンマー(電工ハンマー)が市販されている(例えば、特許文献1などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-61545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、多くの工具を腰ベルトに差し込んで持ち歩くと、腰ベルトが重くなる。このような状況では、腰に負担がかかり、腰痛を引き起こしてしまうことがある。そこで、持ち歩く工具の数を減らしたり、重さを軽くするため、例えばソケット部を備えたハンマー(電工ハンマー)が市販されている(参考文献:http://www.ohnet.co.jp/main/index10.html)。このようなハンマーは、作業者の負担を減らして、作業効率を向上させている。
【0005】
ところが、ハンマーに設けられたソケット部を使用する場合、手で回さなければならないため、作業時間が少しかかっていた。例えば、建屋(電気工事現場)内において、吊り天井を設置する際、ハンマーのソケット部でナットを回すことで吊りボルトの長さを調整して、吊り天井の水平レベルや、水などを流通させる配管を通す際の勾配レベルを調整するが、手でハンマーを回さなければならないため、作業時間がかかるものであった。また、手を上げている時間が長く疲れるものでもある。
【0006】
また近年では、作業の迅速さが問われるようになっている。このようなことより、ソケット部が設けられたハンマーを、電動工具で使用できるようにしてほしいといった要望が挙がってきている。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ソケット部を備えたハンマーを電動工具に取り付け可能な構成とすることで、ソケット部を使用したときの作業中の煩わしさを解消し、作業効率をさらに向上させることができるハンマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、ハンマーは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明にかかるハンマーは、把持可能な柄と、前記柄の上端に取り付けられ且つ、打撃面を有する頭部と、前記柄の下端に連通して設けられ且つ、締結具の締付け及び調整を行うためのソケット部と、前記柄の上端に設けられ且つ、ビットを差し込み可能なビットホルダー部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記柄は、筒状で長尺の部材であって、前記ビットホルダー部と、前記ソケット部は、前記柄の長手方向軸心上に沿って備えられているとよい。
好ましくは、前記ビットホルダー部は、前記ビットを介して電動回転工具を連結可能とするとよい。
好ましくは、前記電動回転工具に前記ビットを取り付け、当該ビットの先端を前記ビットホルダー部に差し込むことで、前記ハンマーと前記電動回転工具とが連結された状態となり、前記柄が長手方向軸心回りに回転可能となり且つ、前記ソケット部と前記柄が、前記電動回転工具用の長尺ソケットとなる構成とされているとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハンマーによれば、ソケット部を備えたハンマーを電動工具に取り付け可能な構成とすることで、ソケット部を使用したときの作業中の煩わしさを解消し、作業効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ハンマーの外観を示す三面図である(ヘッド部のみ断面)。
図2】電動回転工具(インパクトドライバー)にビットを介してハンマーを取り付ける際の様子を模式的に示す斜視図である。
図3】電動回転工具(インパクトドライバー)にハンマーを連結し、ソケット部を用いて、吊り天井の水平レベルなどを調整する作業の様子を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかるハンマー1を、図面に基づき詳しく説明する。
なお、ハンマー1の前後及び上下などの方向については、図1に示す通りである。
図1に示すように、本発明のハンマー1は、把持可能な柄2と、柄2の上端に取り付けられ且つ、打撃面を有する頭部3(ヘッド部)と、を備えている。柄2には、長手方向軸心に沿って中空部2aが形成されている。すなわち、柄2は、筒状で長尺の部材である。
【0012】
本実施形態の柄2は、金属製の中空パイプ材とされている。この中空の柄2としては、例えば、スチールパイプ柄や、ジュラルミン柄などが挙げられる。また、本実施形態においては、柄2は、長さが約30cm、径が約2cm~3cmである。なお、柄2のサイズは、例示したものに限定されない。また、柄2は、硬質の樹脂製の中空パイプ材を用いてもよい。
【0013】
柄2の下端(基端)側は、グリップ部4によって覆われている。グリップ部4は、合成ゴムなどの弾性部材によって形成されている。グリップ部4は、使用者?(電気工事作業員など)が把持したときの滑り止め材及びクッション材などとなる。
柄2の上端(先端)には、金属製のヘッド部3が取り付けられている。ヘッド部3は、鋳鍛鋼などの金属で形成されている。本実施形態のヘッド部3は、前側と後側が異なった前後非対称の形状とされている。
【0014】
このヘッド部3の前側には、対象物に対して打撃力を加える打撃面5が備えられている。打撃面5は、平らな面となっている。打撃面5は、長期間の使用に耐えられるように、硬度を増す処理(焼入れ処理や浸炭処理など)を行っておくことが好ましい。
本実施形態においては、ヘッド部3の後側、すなわち打撃面5の反対側は、後方に向かって先細り形状となっている。このヘッド部3の後側は、例えば釘締めなどに用いられる。なお、本実施形態ではヘッド部3の前側に打撃面5を設け、後側に別の機能を持たせたが、例えば前後に打撃面5を設けてもよい。すなわち、ヘッド部3の形状に関しては、例示した形状(片口ハンマー形状)に限定されない。
【0015】
ヘッド部3の前後方向の中心部には、上下方向に貫通した柄取付け穴6が形成されている。本実施形態の柄取付け穴6は、内径が上下方向で切り替わる形状とされており、下側の穴6aに柄2の上端部が嵌入される。
柄取付け穴6aの内径は、柄2の上端部の外径と略同じである。そのため、柄取付け穴6に対して柄2の上端部が下方から差し込まれることで圧着されるような状態となり、ヘッド部3と柄2とが固着されるものとなっている。
【0016】
また、上側の穴6bには、ビットホルダー部9が嵌入される。柄取付け穴6bの内径は、ビットホルダー部9の外径と略同じである。また、柄取付け穴6bの内径は、柄2の中空部2aの内径と略同じである。つまり、柄取付け穴6bと中空部2aは、同じ内径で連通するようになっている。
ハンマー1を使用するとき使用者M(電気工事作業員など)は、グリップ部4を把持してヘッド部3を振り、対象物に対して打撃面5を当てるようにする。対象物は、ヘッド部3による打撃力が加わることで、所望の形状に加工される。
【0017】
柄2(グリップ部4)の下端には、締結具(ボルトやナットNなど)の締付け及び調整を行うためのソケット部7が設けられている。ソケット部7は、柄2(中空部2a)と連通して設けられている。本実施形態では、17mmのソケット部7が設けられている。な
お、ソケット部7については、17mmに限定されない。また、本実施形態においては、ソケット部7の外周面には、モンキーレンチ、スパナレンチを差し込むことができる六角形状の切り欠き部8が設けられている。
【0018】
ところで、例えば、建屋の内部において、屋根Rから吊り天井Cを吊下させて天井を設けることがある。吊り天井Cは、吊りボルトHで野縁E(天井の骨組み)を吊下し、その野縁Eに天板を設置して天井を構成するものである。
吊り天井Cを設置する際には、その吊り天井Cの水平レベルを、吊りボルトHの長さで調整する。また、水など液体などを流通させる配管を通す場合、勾配レベルを吊りボルトHの長さで調整する。その際、ハンマー1に設けられたソケット部7を使用する。
【0019】
使用者M(電気工事作業員など)は、吊りボルトHに螺合されたナットNを、ハンマー1のソケット部7に差し込み、ヘッド部3を手で持ってハンマー1本体を回す。ソケット部7に差し込まれたナットNが回転し、野縁Eを支持するステー部材Sの上下方向の位置が変わる。このようにして、吊りボルトHの長さを調整して、吊り天井Cの水平レベルや配管の勾配レベルなどを調整する。
【0020】
このとき、吊りボルトHは、柄2の内部(中空部2a)を通過する。すなわち、柄2(中空部2a)の長さが、吊りボルトHの調整代(調整可能範囲)となる。このように、ソケット部7が設けられたハンマー1は、電気工事現場(建設現場)などでよく使用されている。
さて、本発明のハンマー1は、ビットホルダー部9を備えていることを特徴としている。詳しくは、ビットホルダー部9は、ビットB(先端工具)を差し込むことができるものである。このビットホルダー部9は、ビットBを介して、インパクトドライバーなどの電動回転工具D(電動工具)を連結可能とする。
【0021】
ビットホルダー部9は、略有底円筒状の部材であって、柄2の上端に設けられている。ビットホルダー部9の外径は、柄取付け穴6bの内径および中空部2aの内径と略同じである。
具体的には、ヘッド部3の柄取付け穴6に柄2の上端部が差し込まれ、同じ内径で連通する柄取付け穴6bと中空部2a内に、ビットホルダー部9が差し込まれている。ビットホルダー部9は、ハンマー1の上方側に開口され、その開口部がビットB(ドライバービットなど)の差し込み口9aとなっている。
【0022】
ビットホルダー部9は、柄取付け穴6と中空部2aに嵌入され、ヘッド部3において固着されている。ビットホルダー部9は、上方から見て、ヘッド部3の中心に設けられている。本実施形態では、6.35mm六角のビットホルダー部9が設けられている。なお、ビットホルダー部9については、6.35mm六角に限定されない。
また、ビットホルダー部9は、ソケット部7と同一直線上となるように設けられている。すなわち、ビットホルダー部9とソケット部7は、柄2の長手方向軸心上に沿って備えられている。ビットBを介してハンマー1を連結し、インパクトドライバーなどの電動回転工具Dの回転駆動力でソケット部7を回転させるため、ビットホルダー部9は、ソケット部7と同一直線上に備えられている。
【0023】
以下に、本発明のハンマー1の使用方法について述べる。
なお、本実施形態においては、電動回転工具Dをインパクトドライバー(電動ドライバ-)とし、6.35mm六角のドライバービットBを使用するものとする。
図2に示すように、使用者Mは、インパクトドライバーDにドライバービットBを取り付ける。そのドライバービットBの先端を、差し込み口9aからビットホルダー部9(6.35mm六角)に差し込む。
【0024】
ハンマー1とインパクトドライバーDとが、ドライバービットBを介して連結された状態となる。このように、ハンマー1がインパクトドライバーDに連結されることで、柄2(ハンマー1)が長手方向軸心回りに回転可能となる。
このソケット部7と柄2(中空部2a)は、インパクトドライバーD用の長尺ソケットとなる。この長尺ソケットは、一般にディープソケットやロングソケットと呼ばれているものである。
【0025】
図3に示すように、例えば、建屋(電気工事現場、建設現場など)の内部において、屋根Rから吊り天井Cを吊下させて設ける場合、本発明のハンマー1を使用すると好適である。
野縁E(吊り天井Cの骨組み)を吊りボルトHで吊下し、吊り天井Cを設置する。野縁Eを支持するステー部材Sを、吊りボルトHとナットNで固定する。吊り天井Cを設置する際には、その吊り天井Cの水平レベルを、吊りボルトHの長さで調整する。また、水など液体などを流通させる配管を通す場合、勾配レベルを吊りボルトHの長さで調整する。
【0026】
使用者M(電気工事作業員など)は、ドライバービットBを介してハンマー1が連結されたインパクトドライバーDを把持し、ハンマー1のソケット部7に吊りボルトHに螺合されたナットNを差し込む。
インパクトドライバーDを駆動させ、ドライバービットBを介してハンマー1本体を回転させる。インパクトドライバーDでハンマー1を回転させる際、柄2の上端(先端)に設けられたビットホルダー部9にドライバービットBが差し込まれ、下端(基端)に設けられたソケット部7にナットNが差し込まれている、すなわちハンマー1の上下両端が回転自在に支持されているため、前後で重さが異なる非対称の形状のヘッド部3であるが、ハンマー1をブレさせずに回転させることができる。
【0027】
ソケット部7に差し込まれたナットNが、インパクトドライバーDの回転駆動力によって吊りボルトH上を移動する。ナットNが上下方向に移動することで、野縁Eを支持するステー部材Sの上下方向の位置が変わる。このとき、吊りボルトHは、柄2の内部(中空部2a)を通過する。すなわち、柄2(中空部2a)の長さが、吊りボルトHの調整代(調整可能範囲)となる。このように、インパクトドライバーDにドライバービットBを介して連結されたハンマー1を使用して、吊りボルトHの長さを調整して、吊り天井Cの水平レベルや配管の勾配レベルなどを調整する。
【0028】
なお、電動回転工具Dについては、例示したインパクトドライバーやドリルドライバーなどに限らない。
本発明のハンマー1によれば、ソケット部7を備えたハンマー1に、インパクトドライバーDなどの電動回転工具Dに取り付けられるビットBを差し込むことができるビットホルダー部9を設けて、インパクトドライバーDとハンマー1を、ビットBを介して連結可能とすることで、ソケット部7を使用したときの作業中の煩わしさ(従来、手でハンマー1を回転させてソケット部7を使用していた時の手間)を解消し、作業効率をさらに向上させることができる。
【0029】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、使用条件、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0030】
1 ハンマー
2 柄
2a 中空部
3 頭部(ヘッド部)
4 グリップ部
5 打撃面
6 柄取付け穴
6a 柄取付け穴(下側)
6b 柄取付け穴(上側)
7 ソケット部
8 切り欠き部
9 ビットホルダー部
9a 差し込み口
D 電動回転工具(インパクトドライバー)
B ビット(ドライバービット)
R 屋根
C 吊り天井
E 野縁
S ステー部材
H 吊りボルト
N ナット
M 使用者
図1
図2
図3