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特開2022-183783情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183783
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20221206BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20221206BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20221206BHJP
   G01W 1/12 20060101ALI20221206BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20221206BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/00 170
H02S50/00
G01W1/12 Z
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091268
(22)【出願日】2021-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進 博正
(72)【発明者】
【氏名】柿元 満
(72)【発明者】
【氏名】志賀 慶明
(72)【発明者】
【氏名】大場 健史
【テーマコード(参考)】
5F151
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5F151BA11
5F151KA10
5G066AA03
5G066HB06
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】発電所により発電される電力量を予測する。
【解決手段】情報処理装置は、位置算出部と、電力量算出部と、出力部と、を備える。位置算出部は、1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、1または複数の発電所により発電された電力量の対象日における第1時間帯の実績値の対象位置を算出する。電力量算出部は、1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、対象位置に対応する電力量を算出する。出力部は、対象位置に対応する電力量を、予測対象時間帯において1または複数の発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、前記1または複数の発電所により発電された電力量の対象日における前記第1時間帯の実績値の対象位置を算出する位置算出部と、
前記1または複数の発電所により発電された電力量の前記複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、前記対象位置に対応する電力量を算出する電力量算出部と、
前記対象位置に対応する電力量を、前記予測対象時間帯において前記1または複数の発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記対象位置は、前記第1サンプル群に含まれる複数の実績値を昇順または降順のうちの何れかの第1順に並べたデータ列内における、前記対象日における前記第1時間帯の実績値に対応する電力量の順位であり、
前記対象位置に対応する電力量は、前記第2サンプル群に含まれる複数の実績値を前記第1順に並べたデータ列内における、前記対象位置に対応する電力量である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれおよび前記第2サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、予め定められた発電所モデルに基づき算出された対象日計算値と、前記発電所モデルに基づき算出された参照日計算値との比率により補正する実績値補正部をさらに備え、
前記発電所モデルは、前記1または複数の発電所により発電される電力、または、前記1または複数の発電所により発電される電力に比例する値を算出するモデルであり、
前記対象日計算値は、前記発電所モデルに基づき算出された、前記対象日における対応する時間帯において前記1または複数の発電所により発電される対象日電力または前記対象日電力に比例する値であり、
前記参照日計算値は、前記発電所モデルに基づき算出された、前記複数の参照日のうちの対応する参照日における対応する時間帯において前記1または複数の発電所により発電される参照日電力または前記参照日電力に比例する値である
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記実績値補正部は、
前記第1サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、前記対象日における前記第1時間帯の前記対象日計算値と、対応する前記参照日における前記第1時間帯の前記参照日計算値との比率を乗じることにより補正し、
前記第2サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、前記対象日における前記第1時間帯の前記対象日計算値と、対応する前記参照日における前記第1時間帯の前記参照日計算値との比率を乗じることにより補正する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記1または複数の発電所のそれぞれは、同一の前記発電所モデルを用いて発電する電力を推定可能な太陽光発電所であり、
前記発電所モデルは、太陽電池モジュールの法線方向を示すレイアウト角、全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度、太陽方向および地表アルベドに基づき、前記太陽電池モジュールの傾斜面に対する日射強度である傾斜面日射強度を算出する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記発電所モデルは、前記地表アルベドを取得できない場合、前記地表アルベドとして予め設定された値を用いて前記傾斜面日射強度を算出する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記発電所モデルは、前記全天水平面日射強度または前記大気上端水平面日射強度を取得できない場合、前記全天水平面日射強度または前記大気上端水平面日射強度として予め設定された値を用いて前記傾斜面日射強度を算出する
請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記1または複数の発電所のそれぞれは、同一の前記発電所モデルを用いて発電する電力を推定可能な太陽光発電所であり、
前記発電所モデルは、太陽電池モジュールの法線方向を示すレイアウト角、全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度、太陽方向、地表アルベド、気温および風速に基づき、前記1または複数の発電所により発電される電力を算出する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記発電所モデルは、前記地表アルベドを取得できない場合、前記地表アルベドとして予め設定された値を用いて、前記1または複数の発電所により発電される電力を算出する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記発電所モデルは、前記全天水平面日射強度または前記大気上端水平面日射強度を取得できない場合、前記全天水平面日射強度または前記大気上端水平面日射強度として予め設定された値を用いて前記1または複数の発電所により発電される電力を算出する
請求項8または9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記発電所モデルは、前記気温または前記風速を取得できない場合、過去の平均値を用いて前記1または複数の発電所により発電される電力を算出する
請求項8から10の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1時間帯は、前記1または複数の発電所により電力が発電された最新の時間帯であり、
前記予測対象時間帯は、前記対象日における前記第1時間帯よりも後の時間帯である
請求項2から11の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記位置算出部は、前記対象日における前記第1時間帯が、現在時刻から予め設定された時間以上前である場合、予め設定された値を前記対象位置とする
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記対象日における前記第1時間帯が、現在時刻から予め設定された時間以上前である場合、前記位置算出部は、前記第1サンプル群に含まれる複数の実績値における最も頻度が高い位置を、前記対象位置とする
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記位置算出部は、前記1または複数の発電所により電力が発電された最新の時間帯以前の2以上の所定数の時間帯のそれぞれを前記第1時間帯として、所定数の前記対象位置を算出し、算出した所定数の前記対象位置の平均値を、前記対象日における前記第1時間帯の実績値の対象位置として出力する
請求項2から11の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記対象日における前記第1時間帯における位置に対する、前記予測対象時間帯における位置の予想変化率に基づき、前記対象位置を補正する位置補正部をさらに備える
請求項2から15の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記位置補正部は、前記対象日における前記第1時間帯における気象情報と、予測日における前記予測対象時間帯における予想気象情報とに基づき、前記予想変化率を算出する
請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、前記1または複数の発電所により発電された電力量の対象日における前記第1時間帯の実績値の対象位置を算出し、
前記情報処理装置が、記1または複数の発電所により発電された電力量の前記複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、前記対象位置に対応する電力量を算出し、
前記情報処理装置が、前記対象位置に対応する電力量を、前記予測対象時間帯において前記1または複数の発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する
情報処理方法。
【請求項19】
情報処理装置を、電力量を予測する予測装置として機能させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置を、
1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、前記1または複数の発電所により発電された電力量の対象日における前記第1時間帯の実績値の対象位置を算出する位置算出部と、
前記1または複数の発電所により発電された電力量の前記複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、前記対象位置に対応する電力量を算出する電力量算出部と、
前記対象位置に対応する電力量を、前記予測対象時間帯において前記1または複数の発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する出力部と、
して機能させるプログラム。
【請求項20】
1または複数の発電所と、
前記1または複数の発電所により発電される電力量を予測する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、前記1または複数の発電所により発電された電力量の対象日における前記第1時間帯の実績値の対象位置を算出する位置算出部と、
前記1または複数の発電所により発電された電力量の前記複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、前記対象位置に対応する電力量を算出する電力量算出部と、
前記対象位置に対応する電力量を、前記予測対象時間帯において前記1または複数の発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する出力部と、
を有する発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電により発電された電力の買取方法が、固定価格の買取制度(FIT)から市場価格連動の買取制度(FIP)に移行する。市場価格連動の買取制度においては、発電量の計画値と実績値とを一致させるために、例えば、電力供給の1時間前に電力取引を行う1時間前市場の活用が検討されている。このため、市場価格連動の買取制度においては、比較的に近い将来に発電する電力量を予測する短時間予測技術の高精度化が求められている。
【0003】
従来、太陽光発電における短時間予測技術として、発電実績値のみを利用する方法、並びに、発電実績値に加えて気象衛星および気象予報を利用する方法が存在する。
【0004】
発電実績値のみを利用する方法として、快晴指数の持続予測方式が知られている。しかし、快晴指数の持続予測方式は、日射強度と発電量との相互変換が複雑であり、誤差も大きい。
【0005】
発電実績値に加えて気象衛星および気象予報を利用する方法として、気象の類似日を検索する方式が知られている。しかし、この方式は、外部から取得するデータが増加することに伴いデータ処理が複雑となり、この結果、データがリアルタイムで取得できない等の不具合が生じるリスクも増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-108188号公報
【特許文献2】特開2013-84736号公報
【特許文献3】特許第6785971号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stuart Coles, “An Introduction to Statistical Modeling of Extreme Values”, Springer, 2001
【非特許文献2】Sokol Dervishi and Ardeshir Mahdavi, "Computing diffuse fraction of global horizontal solar radiation: A model comparison", in Solar Energy. 2012 Jun; 86(6): 1796-1802.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、発電所により発電される電力量を、少ない種類のデータを用いて簡易に精度良く予測する情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る情報処理装置は、位置算出部と、電力量算出部と、出力部と、を備える。前記位置算出部は、1または複数の発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、前記1または複数の発電所により発電された電力量の対象日における前記第1時間帯の実績値の対象位置を算出する。前記電力量算出部は、前記1または複数の発電所により発電された電力量の前記複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、前記対象位置に対応する電力量を算出する。前記出力部は、前記対象位置に対応する電力量を、前記予測対象時間帯において前記1または複数の発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る予測装置の機能構成を示す図。
図2】予測装置の処理の流れを示すフローチャート。
図3】発電所により発電された電力量の時間帯毎の実績値を示す図。
図4】予測対象時間帯を示す図。
図5】対象日の第1時間帯の実績値を示す図。
図6】複数の参照日の第1時間帯の実績値を示す図。
図7】複数の参照日の予測対象時間帯の実績値を示す図。
図8】実績値の変化の一例を示す図。
図9】第2実施形態に係る予測装置の機能構成を示す図。
図10】発電所モデルのブロック構成を示す図。
図11】直散分離モデルであるErbs、OrgillおよびReindlの数値例を示す図。
図12】Orgillを用いた場合の直散分離モデルの演算例を示す図。
図13】太陽方向の数値例を示す図。
図14】傾斜面日射強度の数値例を示す図。
図15】太陽方向の演算例を示す図。
図16】モジュール温度と周囲の気温との差を表す図。
図17】負荷率に対するインバータの変換効率を表す図。
図18】発電所モデルの処理の流れを示すフローチャート。
図19】予測装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る予測装置10について説明する。予測装置10は、1または複数の発電所により発電された過去の電力量に基づき、1または複数の発電所により発電される予測対象時間帯における電力量を算出する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る予測装置10の機能構成を示す図である。予測装置10は、例えば単体のコンピュータまたはサーバ装置等のコンピュータである。予測装置10は、1台のコンピュータであってもよいし、クラウドシステムのように複数台のコンピュータにより構成されていてもよい。コンピュータは、所定のプログラムを実行することにより、予測装置10として機能する。
【0013】
予測装置10は、受信部22と、記憶部24と、入力部26と、対象サンプル取得部28と、第1サンプル群取得部30と、第2サンプル群取得部32と、実績値補正部34と、位置算出部36と、電力量算出部38と、出力部40とを備える。
【0014】
受信部22は、発電所により発電された電力量の時間帯毎の実績値を受信する。発電所は、本実施形態においては、太陽光発電所である。なお、発電所は、水力発電所、風力発電所または地熱発電所等の他の種類の発電所であってもよい。また、発電所は、電力会社等の事業者により設置された設備であってもよいし、家庭等に設置された自家発電装置であってもよい。
【0015】
また、受信部22は、発電する電力を同一の発電モデルにより推定可能な複数の発電所により発電された電力量の時間帯毎の実績値を受信してもよい。例えば、受信部22は、太陽光から得られるエネルギーがほぼ同一であり、気象条件も同一となる、所在地が近く同一の設備を用いた複数の太陽光発電所により発電された電力量の時間帯毎の実績値を受信してもよい。
【0016】
記憶部24は、受信部22により受信された時間帯毎の実績値を記憶する。例えば、記憶部24は、データベースにより管理され、年月日、時間帯および実績値をセットで記憶する。記憶部24は、年月日および時間帯を指定することにより、指定された年月日および時間帯の実績値を検索して出力する。記憶部24は、予測装置10内に実現されてもよいし、予測装置10の外部のデータベースサーバ等に実現されてもよい。
【0017】
入力部26は、予測日における予測対象時間帯の入力を受け付ける。入力部26は、例えばユーザにより操作入力された予測対象時間帯を受け付けてもよいし、他の装置から受信した予測対象時間帯を受け付けてもよいし、定期的に自動入力された予測対象時間帯を受け付けてもよい。入力部26は、受け付けた予測対象時間帯を、第2サンプル群取得部32および実績値補正部34に与える。
【0018】
対象サンプル取得部28は、記憶部24により記憶されている時間帯毎の実績値のうちの、現在時刻より前の時間帯であって、実質的な発電がされた1つの時間帯における実績値を取得する。例えば、対象サンプル取得部28は、記憶部24により記憶されている時間帯毎の実績値のうちの、実質的な発電がされた直近の時間帯における実績値を取得する。続いて、対象サンプル取得部28は、取得した実績値の時間帯を第1時間帯として特定する。また、対象サンプル取得部28は、取得した実績値の発電日を対象日として特定する。対象サンプル取得部28は、特定した第1時間帯を第1サンプル群取得部30および実績値補正部34に与える。また、対象サンプル取得部28は、取得した実績値を、対象日における第1時間帯の実績値として、位置算出部36に与える。
【0019】
第1サンプル群取得部30は、複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群を、記憶部24から取得する。複数の参照日は、予測日より前の予め定められた規則の下で選択される複数の日である。第1サンプル群取得部30は、第1サンプル群を実績値補正部34に与える。
【0020】
第2サンプル群取得部32は、複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群を、記憶部24から取得する。第2サンプル群取得部32が実績値を取得する複数の参照日は、第1サンプル群取得部30が取得した第1時間帯の実績値と同一である。第2サンプル群取得部32は、第2サンプル群を実績値補正部34に与える。
【0021】
実績値補正部34は、第1サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、予め定められた発電所モデルに基づき算出された対象日計算値と、発電所モデルに基づき算出された参照日計算値との比率により補正する。発電所モデルは、発電所により発電される電力、または、発電所により発電される電力に比例する値を算出するモデルである。また、対象日計算値は、発電所モデルに基づき算出された、対象日における対応する時間帯において発電所により発電される対象日電力または、対象日電力に比例する値である。また、参照日計算値は、発電所モデルに基づき算出された、複数の参照日のうちの対応する参照日における対応する時間帯において発電所により発電される参照日電力または参照日電力に比例する値である。
【0022】
また、実績値補正部34は、第2サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、発電所モデルに基づき算出された対象日計算値と、発電所モデルに基づき算出された参照日計算値との比率により補正する。実績値補正部34は、補正された第1サンプル群を、位置算出部36に与える。また、実績値補正部34は、補正された第2サンプル群を、電力量算出部38に与える。
【0023】
位置算出部36は、発電所により発電された電力量の複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群に対する、発電所により発電された電力量の対象日における第1時間帯の実績値の対象位置を算出する。本実施形態において、対象位置は、第1サンプル群に含まれる複数の実績値を昇順または降順のうちの何れかの第1順に並べたデータ列内における、対象日における第1時間帯の実績値に対応する電力量の順位である。
【0024】
なお、順位は、自然数に限らず、実数値で表されてもよい。また、順位は、0%から100%の間に規格化したパーセンタイル順位であってもよい。位置算出部36は、算出した対象位置を電力量算出部38に与える。
【0025】
電力量算出部38は、発電所により発電された電力量の複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群における、対象位置に対応する電力量を算出する。ここで、対象位置に対応する電力量は、第2サンプル群に含まれる複数の実績値を第1順に並べたデータ列内における、対象位置に対応する電力量である。
【0026】
本実施形態においては、電力量算出部38は、対象位置に対応する電力量として、第2サンプル群に含まれる複数の実績値を第1順に並べたデータ列内における、対象位置(順位)に対応する電力量を算出する。電力量算出部38は、算出した電力量を出力部40に与える。
【0027】
出力部40は、電力量算出部38から受け取った対象位置に対応する電力量を、発電される予測対象時間帯の予測電力量として出力する。
【0028】
図2は、予測装置10の処理の流れを示すフローチャートである。予測装置10の処理の流れを、図2に示すフローチャート、および、図3から図7を参照しながら説明する。
【0029】
まず、記憶部24は、図3に示すように、発電所により発電された電力量の時間帯毎の実績値を記憶している。本実施形態において、記憶部24は、30分毎の電力量を記憶する。より詳しくは、本実施形態において、記憶部24は、各時間における00分00秒から29分59秒までおよび30分00秒から59分59秒までの電力量を記憶する。なお、時間帯は、30分毎に限らず、5分毎、10分毎または60分毎等、どのような時間単位であってもよい。
【0030】
S11において、入力部26は、予測日における予測対象時間帯の入力を受け付ける。予測対象時間帯は、発電所により発電された電力量を予測する対象となる時間帯である。入力部26は、現在時刻より未来の時間帯を、予測日における予測対象時間帯として受け付ける。予測対象時間帯は、実績値を取得する時間単位に対応する。例えば、入力部26は、図4に示すような現在時刻において、図4に示すような予測日における予測対象時間帯を受け付ける。
【0031】
続いて、S12において、対象サンプル取得部28は、記憶部24により記憶されている時間帯毎の実績値のうちの、現在時刻より前の時間帯であって、実質的な発電がされた1つの時間帯における実績値を取得する。本実施形態において、対象サンプル取得部28は、記憶部24により記憶されている時間帯毎の実績値のうちの、実質的な発電がされた最新の時間帯における実績値を取得する。
【0032】
実質的な発電がされた時間帯とは、実績値が0または所定値以下である時間帯ではなく、実績値が0または所定値より大きい時間帯をいう。例えば、現在時刻が13時10分であり、予測日の12時30分から12時59分に所定値より大きい電力量で発電がされている場合、対象サンプル取得部28は、図5に示すように、予測日の12時30分から12時59分の実績値を取得する。また、例えば、現在時刻が8時00分であり、発電所による発電が17時00分から翌朝の8時59分まで停止されている場合、対象サンプル取得部28は、予測日の前日の16時30分から16時59分の時間帯の実績値を取得する。
【0033】
続いて、S13において、対象サンプル取得部28は、取得した実績値の時間帯を第1時間帯として特定する。また、対象サンプル取得部28は、取得した実績値の発電日を対象日として特定する。例えば、予測日の当日の実績値を取得した場合、対象サンプル取得部28は、予測日の当日を、対象日として特定する。また、例えば、予測日の前日の実績値を取得した場合、対象サンプル取得部28は、予測日の前日を、対象日として特定する。
【0034】
続いて、S14において、第1サンプル群取得部30は、複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値を含む第1サンプル群を、記憶部24から取得する。複数の参照日は、予測日より前の予め定められた規則の下で選択される複数の日である。本実施形態において、複数の参照日は、予測日の1日前から30日前までの期間に含まれる30個の日である。例えば、予測日が2021年5月25日である場合、第1サンプル群取得部30は、図6に示すような、2021年4月25日から2021年5月24日までの30個の日を複数の参照日として特定し、これらの日の第1時間帯の実績値を取得する。なお、複数の参照日は、このような期間に限られず、他の規則の下で選択された複数の日であってもよい。
【0035】
続いて、S15において、第2サンプル群取得部32は、複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を含む第2サンプル群を、記憶部24から取得する。第2サンプル群取得部32が実績値を取得する複数の参照日は、第1サンプル群取得部30が取得した第1時間帯の実績値と同一である。例えば、第1サンプル群取得部30が2021年4月25日から2021年5月24日までの30個の日の第1時間帯の実績値を取得した場合には、第2サンプル群取得部32は、図7に示すように、2021年4月25日から2021年5月24日までの30個の日の予測対象時間帯の実績値を取得する。
【0036】
続いて、S16において、実績値補正部34は、第1サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、予め定められた発電所モデルに基づき算出された対象日計算値と、発電所モデルに基づき算出された参照日計算値との比率により補正する。より具体的には、実績値補正部34は、第1サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、対象日における第1時間帯の対象日計算値と、対応する参照日における第1時間帯の参照日計算値との比率を乗じることにより補正する。
【0037】
例えば、実績値補正部34は、式(1)のように補正をする。
【0038】
補正後の第1時間帯の実績値=補正前の第1時間帯の実績値×(対象日における第1時間帯の対象日計算値÷対応する参照日における第1時間帯の参照日計算値)…(1)
【0039】
ここで、発電所モデルは、発電所により発電される電力、または、発電所により発電される電力に比例する値を算出するモデルである。また、対象日計算値は、発電所モデルに基づき算出された、対象日における対応する時間帯において発電所により発電される対象日電力、または、対象日電力に比例する値である。また、参照日計算値は、発電所モデルに基づき算出された、複数の参照日のうちの対応する参照日における対応する時間帯において発電所により発電される参照日電力、または、参照日電力に比例する値である。
【0040】
発電所が太陽光発電所である場合、発電所モデルは、一例として、設備情報および気象情報に基づき、対象日または参照日における指定された時刻において発電所により発電される電力を、対象日計算値または参照日計算値として算出する。
【0041】
設備情報は、レイアウト角、モジュール容量、および、インバータ容量を含む。レイアウト角は、太陽光発電所に設置される太陽電池モジュールの法線方向である。レイアウト角は、例えば、太陽電池モジュールの方位および傾斜角度により表されてもよい。モジュール容量は、太陽光発電所に設置される太陽電池モジュールの最大出力である。インバータ容量は、太陽光発電所の直流交流変換器の最大出力である。
【0042】
設備情報は、日毎および時間帯毎に変化が無く、対象日計算値と参照日計算値との比率に影響を与えない。従って、発電所モデルは、レイアウト角、モジュール容量、および、インバータ容量を予め定められた規格化された値を用いてもよい。この場合、発電所モデルは、太陽電池モジュールの方位を南向き(0°)とし、太陽電池モジュールの傾斜角度を30°~40°程度としてもよい。また、発電所モデルは、太陽電池モジュールの容量を1.0~2.0程度とし、インバータ容量を1.0程度としてもよい。なお、発電所の設置位置の緯度が高い場合、発電所モデルは、太陽電池モジュールの傾斜角度を30°~40°より大きくしてもよい。
【0043】
気象情報は、例えば、全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度、太陽方向、地表アルベド、気温および風速等を含む。
【0044】
全天水平面日射強度は、水平面に対する日射強度である。大気上端水平面日射強度は、大気上端での水平面の日射強度である。太陽方向は、発電所の設置位置に対する太陽の方向の立体角であり、発電所の設置位置に対する太陽の方位および高度により表される。地表アルベドは、地表面が太陽光を反射する割合である。
【0045】
実績値補正部34は、太陽方向に代えて、発電所の所在地の緯度および経度および時刻を取得し、発電所の所在地の緯度および経度および時刻に基づき太陽方向を算出してもよい。また、実績値補正部34は、全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度および地表アルベドを、気象データベースまたは気象提供サービスサーバ等から取得することができる。また、実績値補正部34は、気温および風速を、発電所に設けられた計測機器から取得することができる。また、実績値補正部34は、気温および風速を、気象データベースまたは気象提供サービスサーバから取得してもよい。
【0046】
なお、発電所モデルは、地表アルベドを取得できない場合、地表アルベドとして予め設定された値を用いて、発電所により発電される電力を算出してもよい。また、発電所モデルは、全天水平面日射強度または大気上端水平面日射強度を取得できない場合、全天水平面日射強度または大気上端水平面日射強度として、発電所が設けられた地域の平均的な値等の予め設定された値を用いて、発電所により発電される電力を算出してもよい。また、発電所モデルは、気温または風速を取得できない場合、過去の平均値を用いて、発電所により発電される電力を算出してもよい。
【0047】
また、太陽光発電所に設けられた太陽電池モジュールに対する日射強度を、傾斜面日射強度という。傾斜面日射強度は、太陽光発電所により発電される電力に対して、ほぼ比例する。従って、発電所モデルは、太陽光発電所により発電される電力に比例する値として、傾斜面日射強度を算出してもよい。この場合、発電所モデルは、対象日または参照日における指定された時刻における傾斜面日射強度を、対象日計算値または参照日計算値として算出する。
【0048】
傾斜面日射強度を算出する場合、太陽電池モジュールは、設備情報、並びに、気象情報のうちの全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度、太陽方向および地表アルベドを用いる。この場合においても、発電所モデルは、地表アルベドを取得できない場合、地表アルベドとして予め設定された値を用いて、傾斜面日射強度を算出してもよい。また、発電所モデルは、全天水平面日射強度または大気上端水平面日射強度を取得できない場合、全天水平面日射強度または大気上端水平面日射強度として、発電所が設けられた地域の平均的な値等の予め設定された値を用いて、傾斜面日射強度を算出してもよい。
【0049】
なお、発電所モデルの一例については、図10図18を参照して詳細を後述する。
【0050】
続いて、S17において、実績値補正部34は、第2サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、発電所モデルに基づき算出された対象日計算値と、発電所モデルに基づき算出された参照日計算値との比率により補正する。より具体的には、実績値補正部34は、第2サンプル群に含まれる複数の実績値のそれぞれを、対象日における予測対象時間帯の対象日計算値と、対応する参照日における予測対象時間帯の参照日計算値との比率を乗じることにより補正する。
【0051】
例えば、実績値補正部34は、式(2)のように補正をする。
【0052】
補正後の予測対象時間帯の実績値=補正前の予測対象時間帯の実績値×(対象日における予測対象時間帯の対象日計算値÷対応する参照日における予測対象時間帯の参照日計算値)…(2)
【0053】
なお、発電所モデルは、S16において第1サンプル群に含まれる複数の実績値を補正したモデルと同一である。
【0054】
続いて、S18において、位置算出部36は、補正された第1サンプル群に対する、発電所により発電された電力量の対象日における第1時間帯の実績値の対象位置を算出する。
【0055】
ここで、対象位置は、補正された第1サンプル群に含まれる複数の実績値を昇順または降順のうちの何れかの第1順に並べたデータ列内における、対象日における第1時間帯の実績値に対応する電力量の順位である。本実施形態において、位置算出部36は、対象位置として、第1サンプル群に含まれる複数の実績値を昇順に並べたデータ列内における、対象日における第1時間帯の実績値に対応する電力量の順位を算出する。
【0056】
例えば、第1サンプル群がN個の実績値(Nは2以上の整数)を含む場合、位置算出部36は、式(3)のように、N個の実績値を並べたデータ列を生成する。
【0057】
Y[1]≦Y[2]≦Y[3]≦…≦Y[N-2]≦Y[N-1]≦Y[N]…(3)
【0058】
ここで、Y[・]は、第1サンプル群に含まれる実績値を表す。Y[・]のカッコの中は、順位を表す。
【0059】
位置算出部36は、例えば、このように並べたデータ列と、対象日における第1時間帯の実績値とを比較して、対象位置である順位を算出する。
【0060】
一例として、位置算出部36は、データ列内における、対象日における第1時間帯の実績値に最も近い値を検出する。そして、位置算出部36は、検出した値の順位を対象位置としてもよい。また、データ列内に、対象日における第1時間帯の実績値と同一の値が複数個含まれる場合には、位置算出部36は、複数の同一の値の中点の順位を、対象位置としてもよい。この場合、位置算出部36は、実数値により表される順位を、対象位置とする。
【0061】
他の一例として、位置算出部36は、データ列に含まれる複数の値のうちの、対象日における第1時間帯の実績値以下の最大の順位の値と、対象日における第1時間帯の実績値以上の最小の順位の値とを取得する。そして、位置算出部36は、取得した2つの値に基づき直線補間して得られる順位を、対象位置としてもよい。
【0062】
具体的には、対象日における第1時間帯の実績値をXとし、第1サンプル群に含まれる対象日における第1時間帯の実績値以下の最大の順位の値をY[n]とし、第1サンプル群に含まれる対象日における第1時間帯の実績値以上の最小の順位の値をY[n+1]とする。この場合、X、Y[n]およびY[n+1]の大小関係は、式(4)のようになる。
Y[n]≦X≦Y[n+1]…(4)
【0063】
そして、位置算出部36は、式(5)を演算することにより、対象日における第1時間帯の実績値に対応する順位であるnrを算出する。
nr=n×{(Y[n+1]-X)/(Y[n+1]-Y[n])}+(n+1)×{X-(Y[n])/(Y[n+1]-Y[n])}…(5)
【0064】
なお、順位は、0%から100%の間に規格化したパーセンタイル順位であってもよい。
【0065】
また、さらに、他の一例として、位置算出部36は、最新の時間帯以前の2以上の所定数の時間帯のそれぞれを第1時間帯とし、2以上の所定数の時間帯のそれぞれについて対象位置を算出してもよい。また、位置算出部36は、過去の予測電力量の予測処理において、既に他の時間帯の対象位置を算出している場合には、過去の過去の予測電力量の予測処理で用いた対象位置を読み出してもよい。そして、位置算出部36は、算出した所定数の対象位置の平均値を算出し、算出した所定数の対象位置の平均値を、対象日における第1時間帯の実績値の対象位置として出力する。これにより、位置算出部36は、直近の時間帯における実績値が急激に変化した場合であっても、精度良く予測電力量を算出させることができる。位置算出部36は、例えば、直近の時間帯の実績値が、直近の時間帯のさらに1つ前の時間帯から所定値以上変動した場合、このような平均値を、対象日における第1時間帯の実績値の対象位置として出力してもよい。
【0066】
続いて、S19において、電力量算出部38は、補正された第2サンプル群における、対象位置に対応する電力量を算出する。ここで、対象位置に対応する電力量は、第2サンプル群に含まれる複数の実績値を第1順に並べたデータ列内における、対象位置に対応する電力量である。
【0067】
本実施形態においては、電力量算出部38は、対象位置に対応する電力量として、第2サンプル群に含まれる複数の実績値を昇順に並べたデータ列内における、対象位置(順位)に対応する電力量を算出する。
【0068】
例えば、第2サンプル群がN個の実績値を含む場合、電力量算出部38は、式(6)のように、N個の実績値を並べたデータ列を生成する。
【0069】
Z[1]≦Z[2]≦Z[3]≦…≦Z[N-2]≦Z[N-1]≦Z[N]…(6)
【0070】
ここで、Z[・]は、第2サンプル群に含まれる実績値を表す。Z[・]のカッコの中は、順位を表す。
【0071】
電力量算出部38は、例えば、このように並べたデータ列と、対象位置(順位)とを比較して、対象位置(順位)に対応する電力量を算出する。
【0072】
一例として、電力量算出部38は、データ列内における、対象位置に最も近い順位の実績値を検出する。そして、電力量算出部38は、検出した実績値を対象位置(順位)に対応する電力量としてもよい。
【0073】
他の一例として、電力量算出部38は、データ列に含まれる複数の値のうちの、対象位置(順位)以下の最大の順位の実績値と、対象位置(順位)以上の最小の順位の実績値とを取得する。そして、電力量算出部38は、取得した2つの実績値に基づき直線補間して得られる電力量を、対象位置に対応する電力量としてもよい。
【0074】
具体的には、対象位置(順位)をnrとし、第2サンプル群に含まれる対象位置(順位)以下の最大の順位の実績値をZ[n]とし、第2サンプル群に含まれる対象位置(順位)以上の最小の順位の実績値をZ[n+1]とする。この場合、nr、nおよび(n+1)の大小関係は、式(7)のようになる。
n≦nr≦(n+1)…(7)
【0075】
そして、電力量算出部38は、式(8)を演算することにより、対象位置(順位)に対応する電力量であるX[nr]を算出する。
X[nr]=Z[n]×{(n+1)-nr}+Z[n+1]×{nr-n}…(8)
【0076】
なお、S19においても、順位は、0%から100%の間に規格化したパーセンタイル順位であってもよい。
【0077】
続いて、S20において、出力部40は、S19で算出した対象位置(順位)に対応する電力量を、予測日における予測対象時間帯において発電所により発電されると予測される予測電力量として出力する。
【0078】
予測装置10は、以上のS11からS20までの処理を、予測対象時間帯が入力される毎に繰り返す。
【0079】
なお、S18において、位置算出部36は、対象日における第1時間帯が、現在時刻から予め設定された時間以上前である場合、予め設定された位置(順位)を、対象位置としてもよい。
【0080】
例えば、発電所の1日における発電期間が9時00分から16時59分までであり、現在時刻が8時00分である場合、対象日における第1時間帯は、前日の16時30分から17時59分となる。このような場合、対象日における第1時間帯は、現在時刻から予め設定された時間以上前となる。また、予め設定された時間以上の通信不良等により、受信部22が実績値を受信することができない場合、対象日における第1時間帯は、現在時刻から予め設定された時間以上前となる。
【0081】
このような場合、対象日における第1時間帯の実績値と、予測対象時間帯の予想電力量との間の相関性が小さくなり、予測装置10は、精度良く予想電力量を算出することができない可能性がある。従って、対象日における第1時間帯が現在時刻から予め設定された時間以上前である場合、予測装置10は、予め設定された位置(順位)を、対象位置とすることにより、電力量の予測精度を高めることができる。
【0082】
また、S18において、位置算出部36は、対象日における第1時間帯が、現在時刻から予め設定された時間以上前である場合、第1サンプル群に含まれる複数の実績値における最も頻度が高い位置(順位)を、対象位置としてもよい。このようにしても、予測装置10は、精度良く予想電力量を算出することができない可能性がある場合において、電力量の予測精度を高めることができる。
【0083】
図8は、複数の参照日のそれぞれの実績値の変化、および、対象日の実績値の変化の一例を示す図である。
【0084】
太陽光発電所により発電された電力量は、日毎に異なるが、例えば直近の30日間等の近い季節での1日における変化の傾向は近似する。従って、例えば直近の30日間等の複数の参照日における、第1時間帯の電力量を昇順に並べた順位と、予測対象時間帯の電力量を昇順に並べた順位とは、近似する。
【0085】
そこで、予測装置10は、複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値に対する、対象日における第1時間帯の実績値の対象位置(順位)を算出し、複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値における、対象位置(順位)に対応する電力量を算出する。そして、予測装置10は、対象位置に対応する電力量を、予測対象時間帯において発電されると予測される予測電力量として出力する。
【0086】
このような予測装置10によれば、発電所により発電された電力量の実績値から、予測電力量を算出するので、少ない種類のデータを用いて簡易に精度良く予測電力量を算出することができる。
【0087】
また、予測装置10は、発電所モデルを用いて、複数の参照日における第1時間帯の複数の実績値および複数の参照日における予測対象時間帯の複数の実績値を補正する。これにより、予測装置10は、太陽方向等を含む気象情報に基づき実績値を補正することができるので、より精度の良い予測電力量を出力することができる。
【0088】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態に係る予測装置10について説明する。なお、第2実施形態の説明では、それまでの実施形態おいて説明した構成要素と略同一の構成および機能を有する構成要素については、同一の符号を付けて、相違点を除き詳細な説明を省略する。
【0089】
図9は、第2実施形態に係る予測装置10の機能構成を示す図である。第2実施形態に係る予測装置10は、第1実施形態と比較して、位置補正部52をさらに備える。
【0090】
位置補正部52は、気象情報等の付加情報に基づき、位置算出部36により算出された対象位置(順位)を補正して、電力量算出部38に与える。例えば、位置補正部52は、対象日における第1時間帯における位置に対する、予測対象時間帯における位置の予想変化率に基づき、対象位置(順位)を補正する。
【0091】
位置補正部52は、例えば、対象日における第1時間帯における気象情報と、予測日における予測対象時間帯における予想気象情報とを受け取り、予想変化率を算出してもよい。例えば、位置補正部52は、対象日における第1時間帯は晴天であるが、天候が急激に変化して、予測対象時間帯において雨天となるような場合、対象位置(順位)を低くするように補正する。また、例えば、位置補正部52は、対象日における第1時間帯は雨天であるが、天候が急激に変化して、予測対象時間帯において晴天となるような場合、対象位置(順位)を高くするように補正する。
【0092】
このような第2実施形態に係る予測装置10は、第1時間帯の気象情報と予測対象時間帯との気象情報との違い等により、対象位置(順位)を補正するので、より精度の良い予測電力量を出力することができる。
【0093】
(発電所モデル)
つぎに、太陽光発電所の発電所モデルについて説明する。
【0094】
図10は、太陽光発電所の発電所モデルのブロック構成を示す図である。発電所モデルは、設備情報として、レイアウト角、モジュール容量およびインバータ容量を受け取る。さらに、発電所モデルは、気象情報として、対象時刻における、全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度、太陽方向、および、地表アルベドを受け取る。そして、発電所モデルは、対象時刻において、太陽光発電所により発電される電力(kW)を算出する。
【0095】
なお、対象時刻は、電力を推定する時刻である。本実施形態においては、対象時刻は、第1時間帯の中の何れかの時刻、または、予測対象時間帯の中の何れかの時刻となる。例えば、対象時刻は、第1時間帯または予測対象時間帯の中心時刻であってもよい。
【0096】
発電所モデルは、日射変換部112と、温度補正部114と、電力変換部116とを含む。
【0097】
日射変換部112は、レイアウト角、全天水平面日射強度、大気上端水平面日射強度、太陽方向および地表アルベドを受け取る。日射変換部112は、これらの情報に基づき、直達散乱分離処理および傾斜面変換処理を実行して、傾斜面日射強度を算出する。
【0098】
温度補正部114は、気温、風速、および、日射変換部112により算出された傾斜面日射強度を受け取る。温度補正部114は、これらの情報に基づき、温度補正係数を算出する。
【0099】
電力変換部116は、モジュール容量、インバータ容量、日射変換部112により算出された傾斜面日射強度、および、温度補正部114により算出された温度補正係数を受け取る。電力変換部116は、これらの情報に基づき、太陽光発電所により発電される電力(kW)を算出する。
【0100】
(直達散乱分離処理)
発電所モデルは、太陽電池モジュールの傾斜面に対する日射強度である傾斜面日射強度を取り扱う。気象予測および気象観測で取り扱う日射強度は、水平面に対する日射強度である全天水平面日射強度である。このため、発電所モデルは、全天水平面日射強度を傾斜面日射強度に変換する。
【0101】
全天水平面日射強度を傾斜面日射強度に変換するために、まず、日射変換部112は、直散分離モデルを用いて、全天水平面日射強度を、直達光成分と、散乱光成分とに分離する直達散乱分離処理を実行する。全天水平面日射強度をG、直達光成分をG、散乱光成分をGと表した場合、G、GおよびGの関係は、式(11)のように表される。
【数1】
【0102】
直散分離モデルは、全天水平面日射強度における散乱光成分の割合を算出する。直散分離モデルは、晴天時は散乱光成分が小さく、すなわち直達光成分が大きく、且つ、曇天時は散乱光成分が大きい、すなわち直達光成分が小さい、という定性的な傾向を表現する経験式である。
【0103】
全天水平面日射強度は、雲量以外に、太陽高度に依存する。直散分離モデルは、太陽高度の影響を取り除くため、全天水平面日射強度を、大気上端における水平面日射強度である大気上端水平面日射強度により規格化した快晴指数を用いる。快晴指数をk、大気上端水平面日射強度をGと表した場合、快晴指数は、式(12)のように表される。kは、0以上、1以下の実数となる。
【数2】
【0104】
直散分離モデルは、式(13)により表される。
【数3】
【0105】
(k)は、快晴指数に基づき全天水平面日射強度における散乱光成分の割合を算出する関数であり、kが小さい場合にはkが大きく、kが大きい場合にはkが小さいという傾向を表す関数である。
【0106】
また、直達光成分は、式(14)により表される。
【数4】
【0107】
以上から、日射変換部112は、直達散乱分離処理において、式(15-1)、式(15-2)および式(15-3)の演算を実行して、直達光成分および散乱光成分を算出する。
【数5】
【0108】
図11は、直散分離モデルであるErbs、OrgillおよびReindlの数値例を示す図である。Erbs、OrgillおよびReindlの何れの直散分離モデルも近似した数値を算出する。従って、日射変換部112は、何れの直散分離モデルを用いても近似した計算結果を出力することができる。
【0109】
図12は、Orgillを用いた場合の直散分離モデルの演算例を示す図である。日射変換部112は、例えば、Orgillの直散分離モデルを用いる場合、図12に示すような演算を実行する。
【0110】
(傾斜面変換処理)
傾斜面日射強度における直達光成分および散乱光成分の依存度は、太陽電池モジュールのレイアウト角と太陽方向との関係によって変化する。式(16)は、太陽電池モジュールのレイアウト角と太陽方向との角度関係を考慮した、傾斜面日射強度を表す関係式である。
【数6】
【0111】
Sは、傾斜面日射強度を表す。n^は、太陽電池モジュールの法線方向の立体角(レイアウト角)を表す単位ベクトルである。s^は、太陽方向の立体角を表す単位ベクトルである。z^は、鉛直方向の立体角を表す単位ベクトルである。なお、n^、s^およびz^は、数式においてはアルファベットの直上にハット記号が設けられている。また、ρは、地表アルベドを表し、地表面の反射率である。
【0112】
式(16)の右辺の第1項は、太陽電池モジュールの傾斜面に対する直達光成分を表す。式(16)の右辺の第2項は、太陽電池モジュールの傾斜面に対する散乱光成分を表す。式(16)の右辺の第3項は、太陽電池モジュールの傾斜面に対する反射光成分を表す。
【0113】
傾斜面に対する直達光成分は、指向性のある日射成分であり、太陽電池モジュールの法線方向(n^)が、太陽方向(s^)一致する場合に最大となる。つまり、水平面に対する直達光成分(G)を、鉛直方向に対する太陽方向の立体角(s^,z^)で規格化した値(G/(s^,z^))が直達光成分の最大値となる。従って、式(16)の右辺の第1項は、直達光成分の最大値に、太陽電池モジュールの法線方向に対する太陽方向の立体角(s^,n^)を乗算した値となる。
【0114】
傾斜面に対する散乱光成分は、指向性のない日射成分であり、天球の各方向(r^)から同じ強度で太陽電池モジュールに入射する成分(r^,n^)を、立体角平均した立体角に比例する。従って、傾斜面に対する散乱光成分は、式(17)に表される値に比例する。
【数7】
【0115】
なお、式(17)において、<・>r^は、天球の各方向(r^)により立体角平均した値を表す。従って、式(16)の右辺の第2項は、式(17)の右辺にGを乗算した値となる。
【0116】
傾斜面に対する反射光成分は、指向性のない日射成分であり、地表からの反射光をρGの散乱光の強度の散乱光と解釈すれば散乱光成分と同様である。従って、式(16)の右辺の第3項は、式(17)の右辺にρGを乗算した値となる。
【0117】
以上から、日射変換部112は、太陽光発電所の緯度および経度、時刻およびレイアウト角に基づき、n^、s^およびz^を算出する。そして、日射変換部112は、式(16)の関係式に基づき、傾斜面日射強度を算出する。
【0118】
図13は、太陽方向の数値例を示す図である。図14は、図13に示すように太陽方向が変化する場合における傾斜面日射強度の数値例を示す図である。
【0119】
図13および図14の例においては、kを0.8とし、発電所の緯度および経度を35.00N,135.00Eとしている。また、図13および図14の例においては、南から西までの方位を0°から90°までで表し、水平から天頂までの高度を0°から90°までで表している。図14においては、太陽電池モジュールの傾斜角度を0°、30°および60°で変化させ、太陽電池モジュールの方位を30°としている。従って、図14の例においては、傾斜角度が大きい場合、早朝に直達光成分が届かず、傾斜面日射強度は、小さくなる。
【0120】
図15は、太陽方向の演算例を示す図である。太陽方向は、緯度、経度および時刻に依存する関数により算出することが可能である。発電所モデルは、太陽光発電所の緯度、経度および対象時刻に基づき、図15に示されるような関数を用いて、太陽方向を算出してもよい。
【0121】
(温度補正係数の算出)
太陽光発電所の効率は、主に、太陽電池モジュールの変換効率に依存する。一般に、太陽電池モジュールは、モジュール温度が低いほど変換効率が高くなる。モジュール温度は、周囲の気温、風速および傾斜面日射強度の影響を受ける。モジュール温度は、傾斜面日射強度が弱いと周囲の気温に近くなるが、傾斜面日射強度が強いと周囲の気温より高くなる。また、モジュール温度は、風速が大きいと日射による温度上昇が抑えられる。
【0122】
傾斜面日射強度をS、傾斜面日射強度の吸収率をa、熱伝達効率をh、周囲の気温をT、モジュール温度をTとした場合、太陽電池モジュールから逃げる熱流束であるqは、式(18-1)のように表される。従って、モジュール温度であるTは、式(18-2)のように表される。
【数8】
【0123】
熱伝達効率であるhは、一般に風速に応じて大きくなるが、流れの状態および設置条件に依存するので、容易に計算することができない。そこで、温度補正部114は、モジュール温度を、傾斜面日射強度、気温および風速を含む式(19)に示す経験式に基づき、算出してもよい。なお、式(19)において、Vは、風速である。また、式(19)において、AおよびBは、定数である。例えば、式(19)において、Aは約50であり、Bは約0.4である。
【数9】
【0124】
図16は、式(19)を用いて算出されたモジュール温度と周囲の気温との差を表す図である。温度補正部114は、例えば、図16に示す数値に基づき、傾斜面日射強度および風速から、モジュール温度を算出する。
【0125】
また、太陽電池モジュールの出力電流-出力電圧特性は、主に、短絡電流と開放電圧とにより特徴付けられる。短絡電流は、傾斜面日射強度に応じて増加する。しかし、開放電圧は、モジュール温度の上昇に伴い減少する。太陽電池モジュールの変換効率は、発生電力を傾斜面日射強度で割り算した値であり、温度上昇に伴い減少する。太陽電池モジュールの温度補正係数は、モジュール温度が25.0℃で規格化された変換効率である。
【0126】
温度補正係数とモジュール温度との関係は、温度係数を用いた経験式により近似することができる。温度補正係数をKPVとした場合、温度補正係数は、式(20)により表される。なお、αは、-0.4/100程度の値となる。
【数10】
【0127】
以上から、温度補正部114は、モジュール温度を算出した後、式(20)に基づき温度補正係数を算出する。例えば、温度補正係数は、モジュール温度が55℃の場合、発電効率が12%程度低下させる数値となる。
【0128】
(電力の算出処理)
太陽光発電所の主要パラメータは、モジュール容量およびインバータ容量ある。インバータ容量に対するモジュール容量の比率は、過積載率と呼ばれており、稼働率を高めるために、1.0~2.0程度の値に設定される。この場合、太陽電池モジュールの直流出力電力は、式(21-1)により表され、インバータの交流出力電力は、式(21-2)により表される。
【数11】
【0129】
DCは、太陽電池モジュールの直流出力電力である。YACは、インバータの交流出力電力である。CPVは、モジュール容量である。CPCSは、インバータ容量である。KPVは、インバータ変換効率である。ηは、過積載率である。min(x,y)は、xおよびyのうち小さい方の値を選択する関数である。
【0130】
なお、モジュール容量は、通常、モジュール温度が25℃および傾斜面日射強度が1.0kW/mの標準条件の下の出力電力と定義されている。従って、太陽電池モジュールの直流出力電力は、傾斜面日射強度に比例する簡単な計算式で表される。
【0131】
太陽光発電所の最終出力電力は、インバータの交流出力電力である。インバータの交流出力電力は、太陽電池モジュールの直流出力電力を、インバータ容量で制限した値となる。
【0132】
図17は、負荷率に対する、ンバータの変換効率を表す図である。発電所モデルは、インバータの変換効率を、近似的に定数である1.0とみなしてもよい。しかし、発電所モデルは、経験的パラメータを含む関数を用いて、インバータ変換効率を算出してもよい。例えば、発電所モデルは、式(22-1)および式(22-2)の関数を用いて、インバータ変換効率を算出してもよい。
【数12】
【0133】
xは、負荷率を表す。式(22-2)において、A、BおよびCは、経験的パラメータを表す。Aは、0.05程度である。Bは、1.0程度である。Cは、0.02程度である。式(22-2)の関数は、負荷率が0.63(x=√(C/A))の場合に、最大値が0/97(KPCS(x)=1/(B+2√AC))となる。発電所モデルは、式(22-2)の関数を用いてインバータ変換効率を算出することにより、低負荷時における電力の推定精度を良くすることができる。
【0134】
(発電所モデルの処理フロー)
図18は、発電所モデルの処理の流れを示すフローチャートである。以上の説明をまとめると、発電所モデルは、図18に示す流れで処理を実行する。
【0135】
まず、S51において、発電所モデルは、以下の式(23)に示す設備情報を取得する。
【数13】
【0136】
なお、発電所モデルは、レイアウト角、モジュール容量、および、インバータ容量を予め定められた規格化された値を取得してもよい。
【0137】
続いて、S52において、発電所モデルは、以下の式(24)に示す気象情報を取得する。
【数14】
【0138】
なお、発電所モデルは、地表アルベドを取得できない場合、地表アルベドとして予め設定された値を取得してもよい。また、発電所モデルは、全天水平面日射強度または大気上端水平面日射強度を取得できない場合、全天水平面日射強度または大気上端水平面日射強度として、発電所が設けられた地域の平均的な値等の予め設定された値を取得してもよい。また、発電所モデルは、気温または風速を取得できない場合、過去の平均値を用いて、発電所により発電される電力を算出してもよい。
【0139】
続いて、S53において、発電所モデルは、以下の式(25-1)、式(25-2)、式(25-3)および式(25-4)を演算して、直達散乱分離処理を実行する。
【数15】
【0140】
続いて、S54において、発電所モデルは、以下の式(26-1)、式(26-2)、式(26-3)および式(26-4)を演算して、傾斜面変換処理を実行する。これにより、発電所モデルは、傾斜面日射強度(S)を算出することができる。
【数16】
【0141】
続いて、S55において、発電所モデルは、以下の式(27-1)および式(27-2)を演算して、温度補正係数を算出する。
【数17】
【0142】
続いて、S56において、発電所モデルは、以下の式(28-1)および式(28-2)を演算して、太陽光発電所から出力される電力を算出する。
【数18】
【0143】
そして、S57において、発電所モデルは、式(29)に示す電力を、対象日計算値または参照日計算値として出力する。
【数19】
【0144】
なお、発電所モデルは、S51からS54までの処理を実行し、傾斜面日射強度(S)を、対象日計算値または参照日計算値として出力してもよい。この場合、発電所モデルは、S52において気温および風速を取得しなくてよい。
【0145】
以上のように、発電所モデルは、第1サンプル群および第2サンプル群に含まれる複数の実績値を補正するための計算値を算出することができる。
【0146】
(ハードウェア構成)
図19は、実施形態に係る予測装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係る予測装置10は、例えば図19に示すようなハードウェア構成の情報処理装置により実現される。予測装置10は、CPU(Central Processing Unit)201と、RAM(Random Access Memory)202と、ROM(Read Only Memory)203と、操作入力装置204と、記憶装置206と、通信装置207とを備える。そして、これらの各部は、バスにより接続される。
【0147】
CPU201は、プログラムに従って演算処理および制御処理等を実行するプロセッサである。CPU201は、RAM202の所定領域を作業領域として、ROM203および記憶装置206等に記憶されたプログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0148】
RAM202は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のメモリである。RAM202は、CPU201の作業領域として機能する。ROM203は、プログラムおよび各種情報を書き換え不可能に記憶するメモリである。
【0149】
操作入力装置204は、マウスおよびキーボード等の入力デバイスである。操作入力装置204は、ユーザから操作入力された情報を指示信号として受け付け、指示信号をCPU201に出力する。
【0150】
記憶装置206は、フラッシュメモリ等の半導体による記憶媒体、または、磁気的若しくは光学的に記録可能な記憶媒体等にデータを書き込みおよび読み出しをする装置である。記憶装置206は、CPU201からの制御に応じて、記憶媒体にデータの書き込みおよび読み出しをする。通信装置207は、CPU201からの制御に応じて外部の機器とネットワークを介して通信する。
【0151】
本実施形態の予測装置10で実行されるプログラムは、受信モジュールと、入力モジュールと、対象サンプル取得モジュールと、第1サンプル群取得モジュールと、第2サンプル群取得モジュールと、実績値補正モジュールと、位置算出モジュールと、電力量算出モジュールと、出力モジュールとを備える。さらに、プログラムは、位置補正モジュールを含んでもよい。このプログラムは、CPU201(プロセッサ)によりRAM202上に展開して実行されることにより、情報処理装置を受信部22、入力部26、対象サンプル取得部28、第1サンプル群取得部30、第2サンプル群取得部32、実績値補正部34、位置算出部36、電力量算出部38、および、出力部40として機能させる。さらに、このプログラムは、情報処理装置を位置補正部52として機能させてもよい。なお、予測装置10は、受信部22、入力部26、対象サンプル取得部28、第1サンプル群取得部30、第2サンプル群取得部32、実績値補正部34、位置算出部36、電力量算出部38、出力部40および位置補正部52の少なくとも一部をハードウェア回路(例えば半導体集積回路)により実現した構成であってもよい。
【0152】
また、本実施形態の予測装置10で実行されるプログラムは、コンピュータにインストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0153】
また、本実施形態の予測装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の予測装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、予測装置10で実行されるプログラムを、ROM203等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
10 予測装置
22 受信部
24 記憶部
26 入力部
28 対象サンプル取得部
30 第1サンプル群取得部
32 第2サンプル群取得部
34 実績値補正部
36 位置算出部
38 電力量算出部
40 出力部
52 位置補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2021-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
【非特許文献1】Sokol Dervishi and Ardeshir Mahdavi, "COMPARISON OF MODELS FOR THE DERIVATION OF DIFFUSE FRACTION OF GLOBAL IRRADIANCE DATA FOR VIENNA, AUSTRIA", Proceedings of Building Simulation 2011: 12th Conference of International Building Performance Simulation Association, Sydney, 14-16 November,P.765-771