(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183809
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221206BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20221206BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J29/38 302
B41J29/393 105
G01N21/892 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091298
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】川合 裕暉
【テーマコード(参考)】
2C061
2G051
【Fターム(参考)】
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ02
2C061HK06
2C061HK11
2C061HN18
2C061HV09
2C061KK26
2C061KK28
2G051AA34
2G051AB11
2G051AB20
2G051DA13
(57)【要約】
【課題】検査装置において、媒体の搬送が停止した場合に、媒体を適切な搬送経路に搬送する。
【解決手段】検査装置1は、それぞれ、有効状態と非有効状態とが選択され、有効状態で搬送中の媒体Mの検査を行う複数の検査部(例えば、第1検査部21、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24)と、媒体Mの搬送が停止した場合に、複数の検査部のそれぞれが有効状態であるか又は非有効状態であるかを判定し、有効状態である検査部による媒体Mの検査が完了しているか否かに基づいて、この媒体Mの搬送経路を決定する決定部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、有効状態と非有効状態とが選択され、前記有効状態で搬送中の媒体の検査を行う複数の検査部と、
前記媒体の搬送が停止した場合に、前記複数の検査部のそれぞれが前記有効状態であるか又は前記非有効状態であるかを判定し、前記有効状態である前記検査部による前記媒体の検査が完了しているか否かに基づいて、当該媒体の搬送経路を決定する決定部と
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記媒体の第1面側に配置され、前記媒体を搬送する第1搬送部を更に備え、
前記複数の検査部は、前記第1搬送部によって搬送されている前記媒体の前記第1面とは反対の第2面を検査する第1検査部及び第2検査部を含む
ことを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1搬送部よりも前記媒体の搬送方向の下流側において、前記媒体の前記第2面側に配置され、前記媒体を搬送する第2搬送部を更に備え、
前記複数の検査部は、前記第2搬送部によって搬送されている前記媒体の前記第1面を検査する第3検査部及び第4検査部を更に含む
ことを特徴とする請求項2記載の検査装置。
【請求項4】
前記媒体を収容する収容部を更に備え、
前記第3検査部及び前記第4検査部は、前記第2搬送部の下方に配置され、
前記収容部は、前記第3検査部及び前記第4検査部の前記搬送方向の下流側に位置し、前記第2搬送部による搬送が停止した状態で前記第1搬送部によって前記媒体が搬送され、
前記決定部は、前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第2搬送部よりも前記搬送方向の上流側に位置する1枚以上の前記媒体の前記搬送経路を、前記収容部に続く搬送経路を含む複数の搬送経路の中から決定する
ことを特徴とする請求項3記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体の下側又は上側に配置され、媒体を吸着搬送する搬送部と、この搬送部に対向するように媒体の上側又は下側に配置され、媒体を検査する検査部とを備える検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査装置は、例えば、オプションとして印刷装置と媒体排出装置との間に配置される。印刷動作中に検査装置の内部又は外部でジャムが発生し、媒体の搬送動作が停止すると、検査装置内で媒体が残留することとなる。このように検査装置内で残留した媒体は、そのまま廃棄対象となったり、検査が完了していても検査が完了していない媒体としてジャム解除後に検査未完了トレイなどに搬送されて廃棄対象となったりする。
【0005】
ここで、検査装置に複数の検査部が配置される場合について考える。例えば、この複数の検査部は、媒体の表面検査を行う検査部と裏面検査を行う検査部とを含むものや、媒体の一方の面側に配置された、カメラ、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)などの検査手法が異なるものや、検査手法が同一であっても媒体の同一面のうち異なる対象(検査位置)を検査するものなどである。
【0006】
このような複数の検査部は、一部の検査部のみが検査を行う有効状態で、他の一部の検査部が検査を行わない非有効状態という設定が選択され得る。この場合、搬送が停止した媒体の位置が同一であっても、有効状態と非有効状態との設定に応じて、検査が完了していることもあれば検査が完了していないこともある。このように、検査装置に複数の検査部が配置される場合には、搬送が停止した媒体の検査が完了しているか否かが判別し難いため、検査装置内で残留した媒体の検査が完了していても、廃棄対象となってしまう。
【0007】
本発明の目的は、媒体の搬送が停止した場合に、媒体を適切な搬送経路に搬送することができる検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、検査装置は、それぞれ、有効状態と非有効状態とが選択され、前記有効状態で搬送中の媒体の検査を行う複数の検査部と、前記媒体の搬送が停止した場合に、前記複数の検査部のそれぞれが前記有効状態であるか又は前記非有効状態であるかを判定、前記有効状態である前記検査部による前記媒体の検査が完了しているか否かに基づいて、当該媒体の搬送経路を決定する決定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、媒体の搬送が停止した場合に、媒体を適切な搬送経路に搬送することができる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態における印刷システムの内部構成を示す図である。
【
図2】一実施の形態における印刷システムの一部の制御構成を示す図である。
【
図3】一実施の形態に係る検査装置の媒体の搬送経路の決定処理を説明するための正面図(その1)である。
【
図4】一実施の形態に係る検査装置の媒体の搬送経路の決定処理を説明するための正面図(その2)である。
【
図5】一実施の形態に係る検査装置の媒体の搬送経路の決定処理を説明するための正面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る検査装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態における印刷システム100の内部構成を示す図である。
【0013】
図2は、印刷システム100の一部の制御構成を示す図である。
【0014】
なお、
図1並びに後述する
図3~
図5に示す上下方向、左右方向、及び前後方向は、説明の便宜上の方向にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、左右方向及び前後方向は水平方向である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、印刷システム100は、媒体供給装置110と、第1印刷装置120と、中間搬送装置130と、第2印刷装置140と、検査装置1と、媒体排出装置150とを備える。
【0016】
媒体供給装置110、第1印刷装置120、中間搬送装置130、第2印刷装置140、検査装置1、及び媒体排出装置150は、媒体Mの搬送経路(搬送方向D)に直列に配置されている。媒体Mは、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等の他のシート状の媒体などであってもよい。なお、媒体供給装置110、第1印刷装置120、中間搬送装置130、第2印刷装置140、検査装置1、及び媒体排出装置150のうちの複数が、共通の筐体内に一体に配置されていてもよい。例えば、媒体排出装置150が検査装置1の一部として配置されていてもよい。このように媒体排出装置150を一体に備える検査装置1は、検査装置とみなすことも、検査システムとみなすこともできる。また、印刷システム100は、少なくとも1つの印刷部(例えば、後述する、第1印刷装置120の第1印刷部122及び第2印刷装置140の第2印刷部142)と、検査装置1とを備えるものであればよい。
【0017】
図1には、媒体Mの第1供給経路R1、第2供給経路R2、合流経路R3、直進経路R6、及び収容経路R8~R11を実線のみで示し、直進経路R4を破線(反転部分)及び実線で示し、循環経路R5,R7を破線(反転部分)及び2点鎖線で示す。
【0018】
媒体供給装置110は、第1供給部111と、この第1供給部111の下方に配置された第2供給部112と、媒体Mをニップしながら搬送する複数の搬送ローラ対113とを有する。
【0019】
第1供給部111及び第2供給部112は、媒体Mが積載される昇降可能な積載台111a,112aと、この積載台111a,112aに積載された最上位の媒体Mを吸着しながら繰り出して搬送する吸着搬送部111b,112bとを有する。
【0020】
第1供給部111から供給された媒体Mの第1供給経路R1と、第2供給部112から供給された媒体Mの第2供給経路R2とは、合流経路R3において合流する。
【0021】
第1印刷装置120は、媒体Mをニップしながら搬送する複数の搬送ローラ対121と、媒体Mに印刷を行う第1印刷部122と、この第1印刷部122に対向して配置され、媒体Mを吸着しながら搬送する吸着搬送部123と、媒体Mの搬送経路を切替える搬送経路切替え部124,125と、媒体Mの表裏を反転させるスイッチバックローラ対126と、中間搬送装置130へ搬送されない媒体Mが載置される排出トレイ127とを有する。
【0022】
一方の搬送経路切替え部124は、例えばフリッパであり、第1印刷部122によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路(合流経路R3)を、中間搬送装置130へ続く直進経路R4と、排出トレイ127やスイッチバックローラ対126へ続く循環経路R5とに切替える。
【0023】
他方の搬送経路切替え部125は、例えばフリッパであり、媒体Mの循環経路R5において、媒体Mの搬送経路を、排出トレイ127へ続く搬送経路と、スイッチバックローラ対126へ続く搬送経路とに切替える。なお、スイッチバックローラ対126において表裏が反転した媒体Mは、再び第1印刷部122へ搬送される。
【0024】
中間搬送装置130は、媒体Mをニップしながら搬送する複数の搬送ローラ対131と、媒体Mの表裏を反転させるスイッチバックローラ対132と、このスイッチバックローラ対132が配置される反転経路の奥に配置される反転収容部133とを有する。この反転収容部133は、媒体Mの表裏が反転する動作を阻害しない位置に配置されている。また、反転収容部133は、複数枚の媒体Mを収容可能であるとよい。
【0025】
第2印刷装置140の構成は、第1印刷装置120と同様にすることができる。第2印刷装置140は、複数の搬送ローラ対141と、第2印刷部142と、吸着搬送部143と、搬送経路切替え部144,145と、スイッチバックローラ対146と、排出トレイ147とを有する。
【0026】
一方の搬送経路切替え部144は、例えばフリッパであり、第2印刷部142によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路(直進経路R4)を、検査装置1へ続く直進経路R6と、排出トレイ147やスイッチバックローラ対146へ続く循環経路R7とに切替える。
【0027】
他方の搬送経路切替え部145は、例えばフリッパであり、媒体Mの循環経路R7において、媒体Mの搬送経路を、排出トレイ147へ続く搬送経路と、スイッチバックローラ対146へ続く搬送経路とに切替える。なお、スイッチバックローラ対146において表裏が反転した媒体Mは、再び第2印刷部142へ搬送される。
【0028】
検査装置1は、第1搬送部11と、第2搬送部12と、第1検査部21と、第2検査部22と、第3検査部23と、第4検査部24と、ガイド対30と、破線で示す収容部40とを備える。また、
図2に示すように、検査装置1は、決定部の一例である制御部51と、記憶部52と、インターフェース部53とを更に備える。
【0029】
第1搬送部11は、媒体Mの下面(第1面の一例)側に配置され、媒体Mを搬送する。
【0030】
第2搬送部12は、第1搬送部11よりも媒体Mの搬送方向Dの下流側において、媒体Mの上面(第2面の一例)側に配置され、媒体Mを搬送する。
【0031】
第1搬送部11及び第2搬送部12は、例えば、エアを吸引する吸引部と、この吸引部が吸引するエアを通す複数の貫通孔が形成され、吸引部のエアの吸引によって吸着された媒体Mを搬送するベルトとを有する吸着搬送部である。
【0032】
第1検査部21及び第2検査部22は、第1搬送部11の上方に配置されており、第1搬送部11によって搬送されている媒体Mの上面を検査する。第1検査部21は、第2検査部22よりも搬送方向Dの上流側に配置されているが、下流側に配置されていてもよく、位置関係は制限されない。
【0033】
第3検査部23及び第4検査部24は、第2搬送部12の下方に配置されており、第2搬送部12によって搬送されている媒体Mの下面を検査する。第3検査部23は、第4検査部24よりも搬送方向Dの上流側に配置されているが、下流側に配置されていてもよく、位置関係は制限されない。
【0034】
このように、第1検査部21及び第2検査部22と、第3検査部23及び第4検査部24とは、媒体Mの異なる面を検査する。なお、媒体Mに両面印刷が行われず片面印刷のみが行われる場合などには、第1検査部21及び第2検査部22と、第3検査部23及び第4検査部24とのうち一方が省略されてもよい。
【0035】
一例ではあるが、第1検査部21及び第3検査部23は、CISであり、第2検査部22及び第4検査部24は、カメラである。このように、ともに第1搬送部11の上方に配置された第1検査部21及び第2検査部22は、検査手法が異なる。同様に、ともに第2搬送部12の下方に配置された第3検査部23及び第4検査部24も、検査手法が異なる。
【0036】
第1検査部21、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24は、それぞれ、有効状態と非有効状態とが選択され、有効状態で搬送中の媒体Mの検査を行う複数の検査部の一例である。
【0037】
例えば、媒体Mに片面印刷が行われる場合、第1検査部21及び第2検査部22は、検査を行う有効状態に選択され、第3検査部23及び第4検査部24は、検査を行わない非有効状態に選択される。
【0038】
或いは、CISによる検査のみが行われる場合、第1検査部21及び第3検査部23は、検査を行う有効状態に選択され、第3検査部23及び第4検査部24は、検査を行わない非有効状態に選択される。
【0039】
各検査部が有効状態であるか又は非有効状態であるかの情報は、印刷システム100のいずれかの位置でジャムが生じた場合などの媒体Mの搬送が停止した場合に、後述する制御部51によって取得される。なお、制御部51が予め、各検査部が有効状態であるか又は非有効状態であるかの情報を保持している場合には、制御部51は、保持している情報を参照することによって判定を行う。
【0040】
本実施の形態では、第1搬送部11、第1検査部21、及び第2検査部22は、第2搬送部12、第3検査部23、及び第4検査部24よりも、搬送方向Dにおける上流側に配置されているが、搬送方向Dにおける下流側に配置されていてもよい。この場合、上述の第1面の一例が上面となり、上述の第2面の一例が下面となる。
【0041】
ガイド対30は、第1搬送部11と第2搬送部12との間において、媒体Mをガイドする例えば上下2枚のプレートである。
【0042】
収容部40は、媒体Mを収容する。この収容部40は、第3検査部23及び第4検査部24の搬送方向Dの下流側に位置し、第2搬送部12による搬送が停止した状態(例えば吸着も停止した状態で)で第1搬送部11によって媒体Mが搬送される。
【0043】
図2に示す制御部51は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、検査装置1の各部を制御する。なお、印刷システム100の図示しない制御部が制御部51を兼ねてもよい。
【0044】
例えば、制御部51は、第1検査部21、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24から得られた画像の画像処理を行い、媒体Mに印刷された画像が正常であるか異常であるかを判定する。画像が正常であるか異常であるかは、例えば、印刷用の原稿データと比較した、印刷精度や印刷内容の誤りの有無などに基づいて判定されればよい。
【0045】
また、制御部51は、印刷システム100のいずれかの位置でジャムが生じた場合などの媒体Mの搬送が停止した場合に、複数の検査部のそれぞれが有効状態であるか又は前記非有効状態であるかを判定し、有効状態である検査部による媒体Mの検査が完了しているか否かに基づいて、この媒体Mの搬送経路を決定する。このように、制御部51は、決定部の一例として機能する。
【0046】
なお、検査が完了しているか否かは、媒体Mを検知する図示しないセンサの検知結果から得られる媒体Mの位置、又は媒体Mの搬送時間や搬送量から得られる媒体Mの位置に基づいて判定されてもよいし、或いは、制御部51が各検査部から得る検査状況に基づいて判定されてもよい。このように、検査が完了しているか否かの判定手法は、特に制限されない。
【0047】
制御部51は、検査完了済みの媒体Mであれば、例えば、媒体Mの搬送経路を、後述する第1正常収容部152又は第2正常収容部155、或いは収容部40へ向かう搬送経路に決定する。なお、制御部51は、第2搬送部12よりも搬送方向Dの上流側に位置する1枚以上の媒体Mの搬送経路を、収容部40に続く搬送経路を含む複数の搬送経路(例えば、収容部40に続く搬送経路、第1正常収容部152に続く搬送経路、及び第2正常収容部155に続く搬送経路)の中から決定するといえる。
【0048】
また、制御部51は、検査未完了の媒体Mであれば、例えば、媒体Mの搬送経路を、後述する異常収容部156へ向かう搬送経路に決定する。
【0049】
上述のように制御部51が決定した搬送経路は、制御部51から後述する媒体排出装置150に送られ、搬送経路の切替えが制御される。制御部51が直接搬送経路の切替えを制御してもよい。なお、検査装置1よりも上流側の媒体Mであれば、印刷システム100の他の制御部が、検査未完了の媒体Mとして反転収容部133、排出トレイ147などへ向かう搬送経路に搬送し、これらの各部に収容されるとよい。
【0050】
記憶部52は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0051】
インターフェース部53は、外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部53は、第1印刷装置120、第2印刷装置140、媒体排出装置150等に媒体Mの検査結果を送信する。
【0052】
上述の検査装置1は、印刷システム100に配置され、印刷された媒体Mを検査しているが、印刷以外の処理を行う処理装置などにおいて印刷以外の処理が行われた媒体Mを検査してもよい。
【0053】
媒体排出装置150は、導入部151と、第1正常収容部152と、上部搬送部153と、中間搬送部154と、第2正常収容部155と、異常収容部156と、複数の搬送ローラ対157と、搬送経路切替え部158,159とを有する。
【0054】
複数の搬送ローラ対157は、導入部151などの各部において、媒体Mをニップしながら搬送する。導入部151の内部には、搬送経路切替え部158が配置されている。
【0055】
搬送経路切替え部158は、例えばフリッパであり、第2印刷装置140から検査装置1を通って導入部151に続く直進経路R6を、第1正常収容部152へ向かう収容経路R8と、第2正常収容部155及び異常収容部156へ向かう収容経路R9とに切替える。なお、搬送経路切替え部158及び後述する搬送経路切替え部159は、媒体Mの搬送経路を決定する制御部51によって制御されてもよいし、制御部51が決定した媒体Mの搬送経路に基づいて媒体排出装置150の図示しない制御部によって制御されてもよい。
【0056】
第1正常収容部152及び第2正常収容部155は、検査完了媒体収容部の一例であり、検査結果が正常である媒体Mを収容する。第2正常収容部155は、第1正常収容部152よりも搬送方向Dにおける下流側に配置されている。第1正常収容部152及び第2正常収容部155は、媒体Mが載置される昇降可能な載置台152a,155aを有する。なお、第1正常収容部152と第2正常収容部155とは、例えば、一方に収容可能量の媒体Mが収容された後や一方から媒体Mが取り出されているときや媒体Mの種類が変更になったときなどに、他方へ媒体Mが搬送される。
【0057】
異常収容部156は、未検査媒体収容部の一例であり、ジャムなどで媒体Mの搬送が停止した場合に検査が完了していなかった媒体M、及び、検査結果が異常である媒体Mを収容する。なお、異常収容部156は、検査完了済みで検査結果が異常の媒体Mも収容するため、検査完了媒体収容部の一例としても機能する。異常収容部156は、第2正常収容部155の上部に配置されている。異常収容部156は、複数配置されていてもよい。
【0058】
上部搬送部153は、第1正常収容部152の上部に位置する。上部搬送部153には、第2正常収容部155及び異常収容部156へ向かう収容経路R9が配置されている。
【0059】
搬送経路切替え部159は、例えばフリッパであり、上部搬送部153内の搬送方向Dにおける下流側端部に配置されている。搬送経路切替え部159は、第2正常収容部155及び異常収容部156へ向かう収容経路R9を、第2正常収容部155へ向かう収容経路R10と、異常収容部156へ向かう収容経路R11とに切替える。なお、搬送経路切替え部159は、中間搬送部154に配置されていてもよい。
【0060】
中間搬送部154は、第1正常収容部152及び上部搬送部153と、第2正常収容部155及び異常収容部156との間に配置されている。中間搬送部154には、第2正常収容部155へ向かう収容経路R10、及び異常収容部156へ向かう収容経路R11が配置されている。
【0061】
次に、
図3~
図5を参照しながら、媒体Mの搬送経路の決定処理の例について説明する。
【0062】
なお、以下の例では、CISである第1検査部21及び第3検査部23が有効状態で、第2検査部22及び第4検査部24が非有効状態である場合を「CIS両面検査」、CISである第1検査部21が有効状態で、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24が非有効状態である場合を「CIS片面検査」、すべての検査部が有効状態である場合を「両面検査」、第1検査部21及び第2検査部22が有効状態で、第3検査部23及び第4検査部24が非有効状態である場合を「片面検査」として説明する。なお、カメラである第2検査部22のみが有効状態のカメラ片面検査、カメラである第2検査部22及び第4検査部24が有効状態のカメラ両面検査などのその他の検査も行われ得る。
【0063】
まず、
図3に示す第1媒体M1は、第1検査部21及び第2検査部22により検査が行われる搬送位置にあり、第2媒体M2は、第1検査部21及び第2検査部22により検査が行われる搬送位置よりも下流で、且つ第3検査部23及び第4検査部24により検査が行われる搬送位置にある。
【0064】
この場合、第1媒体M1は、各検査部が有効状態であるか非有効状態であるかにかかわらず、いずれの検査部による検査も完了していないため、検査が完了していない媒体Mとして、第1媒体M1の搬送経路が、制御部51によって異常収容部156へ向かう搬送経路に決定される。
【0065】
第2媒体M2は、第3検査部23及び第4検査部24が非有効状態(例えば、CIS片面検査又は片面検査)であれば、検査完了済みの媒体Mとして、第2媒体M2の搬送経路が、制御部51によって第1正常収容部152又は第2正常収容部155へ向かう搬送経路に決定される。なお、実際には、検査結果が異常である場合には、検査完了済みの媒体Mであっても異常収容部156へ搬送されるが、以下では検査結果がすべて正常であるものとして説明する。また、第3検査部23及び第4検査部24のうち少なくとも一方が有効状態(例えば、CIS両面検査又は両面検査)であれば、検査が完了していない媒体Mとして、第2媒体M2の搬送経路が、制御部51によって異常収容部156へ向かう搬送経路に決定される。
【0066】
次に、
図4に示す第1媒体M1は、第1検査部21により検査が行われる搬送位置よりも下流で、且つ第2検査部22により検査が行われる搬送位置にあり、第2媒体M2は、第1検査部21、第2検査部22、及び第3検査部23により検査が行われる搬送位置よりも下流で、且つ第4検査部22により検査が行われる搬送位置にある。
【0067】
この場合、第1媒体M1は、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24が非有効状態(例えば、CIS片面検査)であれば、検査完了済みの媒体Mとして、第1媒体M1の搬送経路が、制御部51によって第1正常収容部152又は第2正常収容部155へ向かう搬送経路に決定される。なお、第1媒体M1は、第2搬送部12よりも搬送方向Dの上流側に位置するため、
図1に示す収容部40に続く搬送経路に搬送されてもよい。この場合、ジャム解除後などに、第2搬送部12の搬送が停止し、第1搬送部11の搬送が再開した状態で、第1媒体M1が収容部40へ搬送される。
【0068】
また、第1媒体M1は、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24のうち少なくとも1つが有効状態(例えば、CIS両面検査、両面検査、又は片面検査)であれば、検査が完了していない媒体Mとして、第1媒体M1の搬送経路が、制御部51によって異常収容部156へ向かう搬送経路に決定される。
【0069】
第2媒体M2は、第4検査部24が非有効状態(例えば、CIS両面検査、CIS片面検査、又は片面検査)であれば、検査完了済みの媒体Mとして、第2媒体M2の搬送経路が、制御部51によって第1正常収容部152又は第2正常収容部155へ向かう搬送経路に決定される。また、第4検査部24が有効状態(例えば、両面検査)であれば、検査が完了していない媒体Mとして、第2媒体M2の搬送経路が、制御部51によって異常収容部156へ向かう搬送経路に決定される。
【0070】
次に、
図5に示す第1媒体M1は、第1検査部21及び第2検査部22により検査が行われる搬送位置よりも下流で、且つ第3検査部23のみにより検査が行われる搬送位置にあり、第2媒体M2は、第1検査部21、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24により検査が行われる搬送位置よりも下流にある。
【0071】
この場合、第1媒体M1は、第3検査部23及び第4検査部24が非有効状態(例えば、CIS片面検査又は片面検査)であれば、検査完了済みの媒体Mとして、第1媒体M1の搬送経路が、制御部51によって第1正常収容部152又は第2正常収容部155へ向かう搬送経路に決定される。また、第3検査部23及び第4検査部24のうち少なくとも一方が有効状態(例えば、CIS両面検査又は両面検査)であれば、検査が完了していない媒体Mとして、第1媒体M1の搬送経路が、制御部51によって異常収容部156へ向かう搬送経路に決定される。
【0072】
第2媒体M2は、各検査部が有効状態であるか非有効状態であるかにかかわらず、有効状態の検査部による検査が完了しているため、検査完了済みの媒体Mとして、第2媒体M2の搬送経路が、制御部51によって第1正常収容部152又は第2正常収容部155へ向かう搬送経路に決定される。
【0073】
以上説明した本実施の形態では、検査装置1は、それぞれ、有効状態と非有効状態とが選択され、有効状態で搬送中の媒体Mの検査を行う複数の検査部(例えば、第1検査部21、第2検査部22、第3検査部23、及び第4検査部24)と、媒体Mの搬送が停止した場合に、複数の検査部のそれぞれが有効状態であるか又は非有効状態であるかを判定し、有効状態である検査部による媒体Mの検査が完了しているか否かに基づいて、この媒体Mの搬送経路を決定する決定部の一例である制御部51とを備える。
【0074】
そのため、検査装置1の内部又は外部でジャムが発生し、媒体Mの搬送動作が停止することで、検査装置1内で媒体Mが残留しても、この残留した媒体Mの搬送位置のみならず、複数の検査部が有効状態であるか又は非有効状態であるかにも基づいて、媒体Mの検査が完了しているかを判別することができる。そのため、媒体Mを、検査状況に応じた搬送経路に搬送することができる。よって、本実施の形態によれば、媒体Mの搬送が停止した場合に、媒体Mを適切な搬送経路に搬送することができる。これにより、ジャムが発生し、検査装置1内で残留した媒体Mが、実際には検査が完了しているにもかかわらず、そのまま廃棄対象となったり、異常収容部156に搬送されてから廃棄対象となったりするのを回避することができる。そのため、ジャム解除作業の負担を軽減することができるとともに、廃棄対象となる媒体Mの枚数を抑制することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、検査装置1は、媒体Mの下面(第1面の一例)側に配置され、媒体Mを搬送する第1搬送部11を更に備え、複数の検査部は、第1搬送部11によって搬送されている媒体Mの上面(第1面とは反対の第2面の一例)を検査する第1検査部21及び第2検査部22を含む。
【0076】
このように、第1搬送部11によって搬送されている媒体Mを検査する検査部が複数(第1検査部21及び第2検査部22)あっても、これらのそれぞれが有効状態であるか又は非有効状態であるかに基づいて、媒体Mの検査が完了しているかを判別することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、検査装置1は、第1搬送部11よりも媒体Mの搬送方向Dの下流側において、媒体Mの上面(第2面の一例)側に配置され、媒体Mを搬送する第2搬送部12を更に備え、複数の検査部は、第2搬送部12によって搬送されている媒体Mの下面(第1面の一例)を検査する第3検査部23及び第4検査部24を更に含む。
【0078】
そのため、媒体Mの両面の検査と片面の検査とが選択的に行われる場合に、第1搬送部11によって搬送されている媒体Mを検査する検査部(第1検査部21及び第2検査部22)、第2搬送部12によって搬送されている媒体Mを検査する検査部(第3検査部23及び第4検査部24)がそれぞれ複数あっても、検査が両面又は片面であるか、及びそれぞれの検査部が有効状態であるか又は非有効状態であるかに基づいて、媒体Mの検査が完了しているかを判別することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、検査装置1は、媒体Mを収容する収容部40を更に備え、第3検査部23及び第4検査部24は、第2搬送部12の下方に配置され、収容部40は、第3検査部23及び第4検査部24の搬送方向Dの下流側に位置し、第2搬送部12による搬送が停止した状態で第1搬送部11によって媒体Mが搬送され、制御部51は、媒体Mの搬送が停止した場合に、第2搬送部12よりも搬送方向Dの上流側に位置する1枚以上の媒体Mの搬送経路を、収容部40に続く搬送経路を含む複数の搬送経路の中から決定する。
【0080】
そのため、検査装置1の内部又は外部でジャムが発生して媒体Mの搬送動作が停止し、ジャムを解除した後、媒体Mを第1正常収容部152、第2正常収容部155、異常収容部156などへ搬送する場合と比較して、媒体Mを検査装置1内の収容部40に速く搬送することができるため、その後の検査(印刷)などを早く再開することができる。
【0081】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0082】
[付記1]
それぞれ、有効状態と非有効状態とが選択され、前記有効状態で搬送中の媒体の検査を行う複数の検査部と、
前記媒体の搬送が停止した場合に、前記複数の検査部のそれぞれが前記有効状態であるか又は前記非有効状態であるかを判定し、前記有効状態である前記検査部による前記媒体の検査が完了しているか否かに基づいて、当該媒体の搬送経路を決定する決定部と
を備えることを特徴とする検査装置。
【0083】
[付記2]
前記媒体の第1面側に配置され、前記媒体を搬送する第1搬送部を更に備え、
前記複数の検査部は、前記第1搬送部によって搬送されている前記媒体の前記第1面とは反対の第2面を検査する第1検査部及び第2検査部を含む
ことを特徴とする付記1記載の検査装置。
【0084】
[付記3]
前記第1搬送部よりも前記媒体の搬送方向の下流側において、前記媒体の前記第2面側に配置され、前記媒体を搬送する第2搬送部を更に備え、
前記複数の検査部は、前記第2搬送部によって搬送されている前記媒体の前記第1面を検査する第3検査部及び第4検査部を更に含む
ことを特徴とする付記2記載の検査装置。
【0085】
[付記4]
前記媒体を収容する収容部を更に備え、
前記第3検査部及び前記第4検査部は、前記第2搬送部の下方に配置され、
前記収容部は、前記第3検査部及び前記第4検査部の前記搬送方向の下流側に位置し、前記第2搬送部による搬送が停止した状態で前記第1搬送部によって前記媒体が搬送され、
前記決定部は、前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第2搬送部よりも前記搬送方向の上流側に位置する1枚以上の前記媒体の前記搬送経路を、前記収容部に続く搬送経路を含む複数の搬送経路の中から決定する
ことを特徴とする付記3記載の検査装置。
【符号の説明】
【0086】
1 検査装置
11 第1搬送部
12 第2搬送部
21 第1検査部
22 第2検査部
23 第3検査部
24 第4検査部
30 ガイド対
40 収容部
51 制御部
52 記憶部
53 インターフェース部
100 印刷システム
110 媒体供給装置
111 第1供給部
111a 積載台
111b 吸着搬送部
112 第2供給部
112a 積載台
112b 吸着搬送部
113 搬送ローラ対
120 第1印刷装置
121 搬送ローラ対
122 第1印刷部
123 吸着搬送部
124,125 搬送経路切替え部
126 スイッチバックローラ対
127 排出トレイ
130 中間搬送装置
131 搬送ローラ対
132 スイッチバックローラ対
133 反転収容部
140 第2印刷装置
141 搬送ローラ対
142 第2印刷部
143 吸着搬送部
144,145 搬送経路切替え部
146 スイッチバックローラ対
147 排出トレイ
150 媒体排出装置
151 導入部
152 第1正常収容部
152a 載置台
153 上部搬送部
154 中間搬送部
155 第2正常収容部
155a 載置台
156 異常収容部
157 搬送ローラ対
158,159 搬送経路切替え部
D 搬送方向
M 媒体
M1 第1媒体
M2 第2媒体
R1 第1供給経路
R2 第2供給経路
R3 合流経路
R4,R6 直進経路
R5,R7 循環経路
R8,R9,R10,R11 収容経路