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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183810
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】媒体搬送機構
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20221206BHJP
   B65H 7/20 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65H5/02 B
B65H7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091299
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐輔
【テーマコード(参考)】
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
3F048AA05
3F048AB01
3F048AB06
3F048BA05
3F048BD05
3F048DA06
3F048EB25
3F049AA04
3F049BA04
3F049DB04
3F049LA06
3F049LA16
3F049LB03
3F049LB08
(57)【要約】
【課題】媒体搬送機構において、媒体の上方に配置された搬送部による媒体の搬送が停止した場合に、媒体を取り除く作業を容易にする。
【解決手段】媒体搬送機構の一例である検査装置1は、媒体Mの上方に配置され、この媒体Mを吸着しながら搬送する第1搬送部10と、この第1搬送部10を、媒体Mを搬送する搬送位置P1と、この搬送位置P1よりも上方の待機位置P2とに昇降させる第1昇降部(例えば、吊り下げワイヤ51~54、第1駆動部71など)と、第1搬送部10による媒体Mの搬送が停止した場合に、第1搬送部10を待機位置P2に上昇させるように第1昇降部を制御するとともに、媒体M(例えば、第2媒体M12)の一部の吸着を解除するように第1搬送部10を制御する制御部91とを備える。
【選択図】図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の上方に配置され、当該媒体を吸着しながら搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部を、前記媒体を搬送する搬送位置と、当該搬送位置よりも上方の待機位置とに昇降させる第1昇降部と、
前記第1搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第1搬送部を前記待機位置に上昇させるように前記第1昇降部を制御するとともに、前記媒体の一部の吸着を解除するように前記第1搬送部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする媒体搬送機構。
【請求項2】
前記第1搬送部は、エアを吸引する複数のファンを有し、
前記制御部は、前記複数のファンのうちの一部を稼働させ、前記複数のファンのうちの他の一部を停止させることによって、前記媒体の一部の吸着を解除するように前記第1搬送部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送機構。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記媒体のサイズ及び種類のうちの少なくとも一方に基づいて、前記複数のファンの稼働と停止とを決定することを特徴とする請求項2記載の媒体搬送機構。
【請求項4】
前記第1搬送部よりも前記媒体の搬送方向における上流側又は下流側において、前記媒体の下方に配置され、当該媒体を吸着しながら搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部を、前記媒体を搬送する搬送位置と、当該搬送位置よりも下方の待機位置とに昇降させる第2昇降部とを更に備え、
前記制御部は、前記第2搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第2搬送部を前記待機位置に下降させるように前記第2昇降部を制御するとともに、前記媒体の少なくとも一部の吸着を維持するように前記第2搬送部を制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の媒体搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する媒体搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体の上方に配置され、媒体を吸着しながら搬送する搬送部と、この搬送部に対向するように媒体の下方に配置され、媒体を検査する検査部とを備え、媒体を取り除きやすくするために、検査部が搬送部の上流側端部に対向するように配置されている検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-032634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように、媒体の上方に配置され、この媒体を吸着しながら搬送する搬送部は、ジャムが発生したときなどに、媒体の搬送を停止し、ジャム解除のために搬送位置から上方の待機位置に上昇する。
【0005】
媒体の搬送が停止した後、搬送部が待機位置にあるときにも媒体の吸着を維持すると、特に小さい媒体の場合に、媒体の全面が搬送部に吸着されることで、ユーザがジャム解除時などに媒体を見つけられなくなる。一方、媒体の搬送が停止した後、搬送部が待機位置にあるときに媒体の吸着を解除すると、媒体が落下し、媒体の位置が不明になりやすい。これらの状態では、ユーザの使い勝手が悪く、ユーザの不満が募りやすい。
【0006】
本発明の目的は、媒体の上方に配置された搬送部による媒体の搬送が停止した場合に、媒体を取り除く作業を容易にすることができる媒体搬送機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、媒体搬送機構は、媒体の上方に配置され、当該媒体を吸着しながら搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部を、前記媒体を搬送する搬送位置と、当該搬送位置よりも上方の待機位置とに昇降させる第1昇降部と、前記第1搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第1搬送部を前記待機位置に上昇させるように前記第1昇降部を制御するとともに、前記媒体の一部の吸着を解除するように前記第1搬送部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、媒体の上方に配置された搬送部による媒体の搬送が停止した場合に、媒体を取り除く作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施の形態における印刷システムの内部構成を示す図である。
図2】一実施の形態における印刷システムの一部の制御構成を示す図である。
図3】一実施の形態に係る検査装置(搬送状態)を示す背面側斜視図である。
図4】一実施の形態に係る検査装置(ジャム解除状態)を示す背面側斜視図である。
図5】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部の昇降動作(搬送位置)を説明するための正面図である。
図6】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部の昇降動作(待機位置)を説明するための正面図である。
図7】一実施の形態におけるジャム解除時の媒体のサイズに応じた各ファンのON/OFF状態の一例を示す表である。
図8A】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が搬送位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その1)である。
図8B】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が待機位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その1)である。
図9A】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が搬送位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その2)である。
図9B】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が待機位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その2)である。
図10A】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が搬送位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その3)である。
図10B】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が待機位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その3)である。
図11A】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が搬送位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その4)である。
図11B】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が待機位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その4)である。
図12A】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が搬送位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その5)である。
図12B】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が待機位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その5)である。
図13A】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が搬送位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その6)である。
図13B】一実施の形態に係る検査装置の第1搬送部及び第2搬送部が待機位置にあるときの媒体の状態を示す正面図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る媒体搬送機構について、検査装置1を一例として、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態における印刷システム100の内部構成を示す図である。
【0012】
図2は、印刷システム100の一部の制御構成を示す図である。
【0013】
なお、図1並びに後述する図3図6及び図8A図13Bに示す上下方向、左右方向、及び前後方向は、説明の便宜上の方向にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、左右方向及び前後方向は水平方向である。
【0014】
図1及び図2に示すように、印刷システム100は、媒体供給装置110と、第1印刷装置120と、中間搬送装置130と、第2印刷装置140と、検査装置1と、媒体排出装置150とを備える。ここで、検査装置1は、媒体Mを搬送する媒体搬送機構の一例である。この媒体搬送機構は、検査装置1に限定されず、媒体Mを搬送するものであればよい。なお、媒体Mは、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等の他のシート状の媒体などであってもよい。
【0015】
媒体供給装置110、第1印刷装置120、中間搬送装置130、第2印刷装置140、検査装置1、及び媒体排出装置150は、媒体Mの搬送経路(搬送方向D)に直列に配置されている。なお、媒体供給装置110、第1印刷装置120、中間搬送装置130、第2印刷装置140、検査装置1、及び媒体排出装置150のうちの複数が、共通の筐体内に一体に配置されていてもよい。例えば、媒体排出装置150が検査装置1の一部として配置されていてもよい。このように媒体排出装置150を一体に備える検査装置1は、検査装置(媒体搬送機構)とみなすことも、検査システム(媒体搬送システム)とみなすこともできる。また、印刷システム100は、少なくとも1つの印刷部(例えば、後述する、第1印刷装置120の第1印刷部122及び第2印刷装置140の第2印刷部142)と、検査装置1(媒体搬送機構)とを備えるものであればよい。
【0016】
図1には、媒体Mの第1供給経路R1、第2供給経路R2、合流経路R3、直進経路R6、及び収容経路R8~R11を実線のみで示し、直進経路R4を破線(反転部分)及び実線で示し、循環経路R5,R7を破線(反転部分)及び2点鎖線で示す。
【0017】
媒体供給装置110は、第1供給部111と、この第1供給部111の下方に配置された第2供給部112と、媒体Mをニップしながら搬送する複数の搬送ローラ対113とを有する。
【0018】
第1供給部111及び第2供給部112は、媒体Mが積載される昇降可能な積載台111a,112aと、この積載台111a,112aに積載された最上位の媒体Mを吸着しながら繰り出して搬送する吸着搬送部111b,112bとを有する。
【0019】
第1供給部111から供給された媒体Mの第1供給経路R1と、第2供給部112から供給された媒体Mの第2供給経路R2とは、合流経路R3において合流する。
【0020】
第1印刷装置120は、媒体Mをニップしながら搬送する複数の搬送ローラ対121と、媒体Mに印刷を行う第1印刷部122と、この第1印刷部122に対向して配置され、媒体Mを吸着しながら搬送する吸着搬送部123と、媒体Mの搬送経路を切替える搬送経路切替え部124,125と、媒体Mの表裏を反転させるスイッチバックローラ対126と、中間搬送装置130へ搬送されない媒体Mが載置される排出トレイ127とを有する。
【0021】
一方の搬送経路切替え部124は、例えばフリッパであり、第1印刷部122によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路(合流経路R3)を、中間搬送装置130へ続く直進経路R4と、排出トレイ127やスイッチバックローラ対126へ続く循環経路R5とに切替える。
【0022】
他方の搬送経路切替え部125は、例えばフリッパであり、媒体Mの循環経路R5において、媒体Mの搬送経路を、排出トレイ127へ続く搬送経路と、スイッチバックローラ対126へ続く搬送経路とに切替える。なお、スイッチバックローラ対126において表裏が反転した媒体Mは、再び第1印刷部122へ搬送される。
【0023】
中間搬送装置130は、媒体Mをニップしながら搬送する複数の搬送ローラ対131と、媒体Mの表裏を反転させるスイッチバックローラ対132と、このスイッチバックローラ対132が配置される反転経路の奥に配置される反転収容部133とを有する。
【0024】
第2印刷装置140の構成は、第1印刷装置120と同様にすることができる。第2印刷装置140は、複数の搬送ローラ対141と、第2印刷部142と、吸着搬送部143と、搬送経路切替え部144,145と、スイッチバックローラ対146と、排出トレイ147とを有する。
【0025】
一方の搬送経路切替え部144は、例えばフリッパであり、第2印刷部142によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路(直進経路R4)を、検査装置1へ続く直進経路R6と、排出トレイ147やスイッチバックローラ対146へ続く循環経路R7とに切替える。
【0026】
他方の搬送経路切替え部145は、例えばフリッパであり、媒体Mの循環経路R7において、媒体Mの搬送経路を、排出トレイ147へ続く搬送経路と、スイッチバックローラ対146へ続く搬送経路とに切替える。なお、スイッチバックローラ対146において表裏が反転した媒体Mは、再び第2印刷部142へ搬送される。
【0027】
検査装置1については詳しく後述するが、ここでは、第1搬送部10、第1検査部20、第2搬送部30、及び第2検査部40について説明する。
【0028】
第1搬送部10は、媒体Mの上方に配置され、媒体Mを吸着しながら搬送する。第1搬送部10は、例えば、エアを吸引する複数のファン(例えば、図2及び図4に示す下流フロントファン11及び下流リアファン12)と、これらの複数のファンが吸引するエアを通す複数の貫通孔が形成され、エアの吸引によって吸着された媒体Mを搬送するベルトとを有する。
【0029】
第1検査部20は、第1搬送部10の下方において第1搬送部10と上下に対向するように配置されている。第1搬送部10によって搬送されている媒体Mの下面に印刷された画像を検査する。例えば、第1検査部20は、媒体Mに印刷された画像を撮像するCIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)等の撮像部を有する。なお、第1検査部20は、媒体Mに対する処理を行う第1処理部の一例である。この第1処理部の他の例としては、処理の一例である特殊インク(ステルスインク、MICR(Magnetic ink character recognition)インクなど)を用いた機能印刷を行う機能印刷部、処理の一例である通常インク(KCMY色のインクなど)を用いた印刷を行う印刷部、処理の一例である乾燥を行う乾燥ヒータなどが挙げられる。
【0030】
第2搬送部30は、第1搬送部10よりも搬送方向Dにおける上流側において、第1搬送部10とは媒体Mに対して上下反対側である媒体Mの下方に配置されている。第2搬送部30は、第1搬送部10の向きを上下に反転させたものとすることができる。例えば、第2搬送部30は、第1搬送部10と同様に、例えば、エアを吸引する複数のファン(例えば、図2及び図4に示す上流フロントファン31及び上流リアファン32)と、これらの複数のファンが吸引するエアを通す複数の貫通孔が形成され、エアの吸引によって吸着された媒体Mを搬送するベルトとを有する。
【0031】
第2検査部40は、第1検査部20とは媒体Mに対して上下反対側である媒体Mの上方において、第2搬送部30と上下に対向するように配置されている。第2検査部40は、第2搬送部30によって搬送されている媒体Mの上面に印刷された画像を検査する。例えば、第2検査部40は、媒体Mに印刷された画像を撮像するCIS等の撮像部を有する。なお、第2検査部40は、媒体Mに対する処理を行う第2処理部の一例である。この第2処理部の他の例としては、第1処理部と同様に、処理の一例である特殊インクを用いた機能印刷を行う機能印刷部、処理の一例である通常インクを用いた印刷を行う印刷部、処理の一例である乾燥を行う乾燥ヒータなどが挙げられる。
【0032】
なお、本実施の形態では、第1搬送部10及び第1検査部20(第1処理部)に対して搬送方向Dにおける上流側に第2搬送部30及び第2検査部40(第2処理部)が配置される場合を例に説明しているが、第2搬送部30及び第2検査部40は、第1搬送部10及び第1検査部20よりも搬送方向Dにおける下流側に配置されていてもよい。
【0033】
第1検査部20及び第2検査部40の撮像部によって撮像された画像は、後述する制御部91或いは印刷システム100全体の図示しない制御部によって、画像処理が行われ、媒体Mに印刷された画像が正常であるか異常であるかが判定される。画像が正常であるか異常であるかは、例えば、印刷用の原稿データと比較した、印刷精度や印刷内容の誤りの有無などに基づいて判定されればよい。また、第1検査部20及び第2検査部40のそれぞれが、撮像手法の互いに異なる複数種類の撮像部を有していてもよい。
【0034】
媒体排出装置150は、導入部151と、第1正常収容部152と、上部搬送部153と、中間搬送部154と、第2正常収容部155と、異常収容部156と、複数の搬送ローラ対157と、搬送経路切替え部158,159とを有する。
【0035】
複数の搬送ローラ対157は、導入部151などの各部において、媒体Mをニップしながら搬送する。導入部151の内部には、搬送経路切替え部158が配置されている。
【0036】
搬送経路切替え部158は、例えばフリッパであり、第2印刷装置140から検査装置1を通って導入部151に続く直進経路R6を、第1正常収容部152へ向かう収容経路R8と、第2正常収容部155及び異常収容部156へ向かう収容経路R9とに切替える。
【0037】
第1正常収容部152及び第2正常収容部155は、検査結果が正常である媒体Mを収容する。第2正常収容部155は、第1正常収容部152よりも搬送方向Dにおける下流側に配置されている。第1正常収容部152及び第2正常収容部155は、媒体Mが載置される昇降可能な載置台152a,155aを有する。なお、第1正常収容部152と第2正常収容部155とは、例えば、一方に収容可能量の媒体Mが収容された後や一方から媒体Mが取り出されているときや媒体Mの種類が変更になったときなどに、他方へ媒体Mが搬送される。
【0038】
異常収容部156は、検査結果が異常である媒体M、及び、ジャムなどで媒体Mの搬送が停止した場合に検査が完了していなかった媒体Mを収容する。異常収容部156は、第2正常収容部155の上部に配置されている。異常収容部156は、複数配置されていてもよい。
【0039】
上部搬送部153は、第1正常収容部152の上部に位置する。上部搬送部153には、第2正常収容部155及び異常収容部156へ向かう収容経路R9が配置されている。
【0040】
搬送経路切替え部159は、例えばフリッパであり、上部搬送部153内の搬送方向Dにおける下流側端部に配置されている。搬送経路切替え部159は、第2正常収容部155及び異常収容部156へ向かう収容経路R9を、第2正常収容部155へ向かう収容経路R10と、異常収容部156へ向かう収容経路R11とに切替える。なお、搬送経路切替え部159は、中間搬送部154に配置されていてもよい。
【0041】
中間搬送部154は、第1正常収容部152及び上部搬送部153と、第2正常収容部155及び異常収容部156との間に配置されている。中間搬送部154には、第2正常収容部155へ向かう収容経路R10、及び異常収容部156へ向かう収容経路R11が配置されている。
【0042】
次に、検査装置1の構成について説明する。
【0043】
図3は、検査装置1(搬送状態)を示す背面側斜視図である。
【0044】
図4は、検査装置1(ジャム解除状態)を示す背面側斜視図である。
【0045】
なお、図3及び図4は、第1搬送部10、第1検査部20、第2搬送部30、及び第2検査部40を、図1並びに後述する図5図6、及び図8A図13Bとは異なり、詳細に示している。
【0046】
図3に示すように、検査装置1は、上述の第1搬送部10、第1検査部20、第2搬送部30、及び第2検査部40と、吊り下げワイヤ51~54と、引っ張りワイヤ61~64と、第1駆動部71と、動力伝達部72と、駆動軸73,74と、プーリ75~78と、第2駆動部81と、動力伝達部82と、駆動軸83と、プーリ84とを備える。
【0047】
また、図3では省略するが、図2に示すように、検査装置1は、制御部91と、記憶部92と、インターフェース部93と、突き当てスイッチ97,98と、下方第1位置検知センサS11と、下方第2位置検知センサS12と、上方第1位置検知センサS21と、上方第2位置検知センサS22とを備える。
【0048】
また、図3では省略するが、後述する図5及び図6に示すように、検査装置1は、プーリ85と、上流ガイド対94と、中間ガイド対95と、下流ガイド対96とを備える。
【0049】
図3に示す吊り下げワイヤ51~54は、一端を第1搬送部10の例えば4隅に連結され、他端を第2搬送部30の例えば4隅に連結されていることによって、第1搬送部10及び第2搬送部30を吊り下げる。吊り下げワイヤ51~54は、可撓性の吊り下げ部材の一例である。
【0050】
引っ張りワイヤ61~64は、第1搬送部10の例えば4隅に連結され、第1搬送部10を下方に引っ張る。引っ張りワイヤ61~64は、可撓性の引っ張り部材の一例である。
【0051】
なお、吊り下げワイヤ51~54を一例とする吊り下げ部材、及び引っ張りワイヤ61~64を一例とする引っ張り部材は、線状に限らず、帯状などを呈していてもよく、また、材質や本数も特に制限されない。
【0052】
第1駆動部71は、吊り下げワイヤ51~54を駆動する。第1駆動部71は、例えば、モータ等のアクチュエータである。
【0053】
動力伝達部72は、第1駆動部71が生じさせる動力を2つの駆動軸73,74のそれぞれに伝達する。なお、動力伝達部72は、図3及び図4に示すように、例えば複数のギアであるが、図5及び図6に示すように、複数のベルトなどであってもよい。
【0054】
駆動軸73,74は、第2検査部40の上方において、前後方向に延びるように配置されている。一方の駆動軸73には、2本の吊り下げワイヤ51,53が引っ掛けられ、他方の駆動軸74には、残りの2本の吊り下げワイヤ52,54が引っ掛けられている。
【0055】
プーリ75~78は、吊り下げワイヤ51~54の第1搬送部10に対する連結位置の上方に配置され、吊り下げワイヤ51~54が引っ掛けられている。
【0056】
そのため、駆動軸73,74が動力伝達部72から伝達される動力によって回転することで、吊り下げワイヤ51~54が、図3に示すように第1検査部20又は第2検査部40に接触する搬送位置P1に、第1搬送部10を下降させ且つ第2搬送部30を上昇させることが可能となるとともに、図4に示すように第1検査部20又は第2検査部40から離隔した待機位置P2に、第1搬送部10を上昇させ且つ第2搬送部30を下降させることが可能となる。
【0057】
第2駆動部81は、引っ張りワイヤ61~64を駆動する。第2駆動部81は、例えば、モータ等のアクチュエータである。
【0058】
動力伝達部82は、第2駆動部81が生じさせる動力を駆動軸83に伝達する。なお、動力伝達部82は、例えばギアを有するが、図5及び図6に示すように、ベルトを有していてもよい。
【0059】
駆動軸83は、第1検査部20の後方において、左右方向に延びるように配置され、引っ張りワイヤ61~64が引っ掛けられている。なお、駆動軸83の向きは任意の方向とすることができる。例えば、図5及び図6では、駆動軸83が前後方向に延びるように図示されている。
【0060】
プーリ84には、第1搬送部10の右前部に連結される引っ張りワイヤ62が引っ掛けられている。なお、第1搬送部10の左前部に連結される引っ張りワイヤ61が引っ掛けられるプーリは図3及び図4では図示されないが、例えば、図5及び図6に示すプーリ85である。
【0061】
駆動軸83が動力伝達部82から伝達される動力によって回転することで、引っ張りワイヤ61~64が第1搬送部10を下降させることが可能となる。
【0062】
なお、第2駆動部81が引っ張りワイヤ61~64を用いて第1搬送部10を下方に引っ張るため、吊り下げワイヤ51~54を介して第1搬送部10に連結された第2搬送部30を上昇させることが可能である。そのため、例えば、第2搬送部30に重りを配置する構成などによって、第2駆動部81の駆動が停止した状態で、第2搬送部30を下降させ第1搬送部10を上昇させるように吊り下げワイヤ51~54を移動させることが可能であれば、第1駆動部71を省略することが可能である。
【0063】
上述の吊り下げワイヤ51~54、引っ張りワイヤ61~64、第1駆動部71、第2駆動部81等は、第1搬送部10を、媒体Mを搬送する搬送位置P1と、この搬送位置P1よりも上方の待機位置とに昇降させる第1昇降部の一例として機能するとともに、第2搬送部30を、媒体Mを搬送する搬送位置P1と、この搬送位置P1よりも下方の待機位置P2とに昇降させる第2昇降部の一例として機能する。第1昇降部及び第2昇降部としては、引っ張りワイヤ61~64などを用いたものに限られず、例えば、第1搬送部10及び第2搬送部30をガイドに沿って昇降させるものなどであってもよい。
【0064】
図2に示す制御部91は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、第1搬送部10、第2搬送部30等の検査装置1の各部を制御する。なお、印刷システム100の図示しない制御部が制御部91を兼ねてもよい。
【0065】
記憶部92は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0066】
インターフェース部93は、外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部93は、第1印刷装置120、第2印刷装置140、媒体排出装置150等に媒体Mの検査結果を送信する。
【0067】
図5及び図6に示すように、上流ガイド対94は、第2搬送部30よりも搬送方向Dの上流側に配置され、媒体Mをガイドする。
【0068】
中間ガイド対95は、搬送方向Dにおける第2搬送部30と第1搬送部10との間に配置され、媒体Mをガイドする。
【0069】
下流ガイド対96は、第1搬送部10よりも搬送方向Dの下流側に配置され、媒体Mをガイドする。
【0070】
上流ガイド対94、中間ガイド対95、及び下流ガイド対96のそれぞれは、例えば上下2枚のプレートである。
【0071】
突き当てスイッチ97は、例えば、搬送位置P1における第2搬送部30の4隅に接触可能な位置に計4つ配置され、第2搬送部30が突き当てられることで、第2搬送部30が搬送位置P1にあることを検知する。
【0072】
突き当てスイッチ98は、例えば、搬送位置P1における第1搬送部10の4隅に接触可能な位置に計4つ配置され、第1搬送部10が突き当てられることで、第1搬送部10が搬送位置P1にあることを検知する。
【0073】
下方第1位置検知センサS11は、搬送位置P1と待機位置P2との間の中間位置における第2搬送部30を検知する。
【0074】
下方第2位置検知センサS12は、図6に示す待機位置P2における第2搬送部30を検知する。
【0075】
上方第1位置検知センサS21は、搬送位置P1と待機位置P2との間の中間位置における第1搬送部10を検知する。
【0076】
上方第2位置検知センサS22は、図6に示す待機位置P2における第1搬送部10を検知する。
【0077】
なお、下方第1位置検知センサS11、下方第2位置検知センサS12、上方第1位置検知センサS21、及び上方第2位置検知センサS22のそれぞれは、同一高さに複数配置されているとよい。
【0078】
次に、第1搬送部10及び第2搬送部30の昇降動作について図5及び図6を参照しながら説明する。
【0079】
図5は、第1搬送部10及び第2搬送部30の昇降動作(搬送位置P1)を説明するための正面図である。
【0080】
図6は、第1搬送部10及び第2搬送部30の昇降動作(待機位置P2)を説明するための正面図である。
【0081】
なお、図5及び図6では、吊り下げワイヤ53が吊り下げワイヤ51と重なって隠れて表れず、吊り下げワイヤ54が吊り下げワイヤ52と重なって隠れて表れないが、吊り下げワイヤ53,54の符号を吊り下げワイヤ51,52の符号とともに記す。同様に、図5及び図6では、引っ張りワイヤ63が引っ張りワイヤ61と重なって隠れて表れず、引っ張りワイヤ64が引っ張りワイヤ62と重なって隠れて表れないが、引っ張りワイヤ63,64の符号を引っ張りワイヤ61,62の符号とともに記す。
【0082】
まず、図5に示すように第1搬送部10及び第2搬送部30を搬送位置P1に移動させるには、下方第1位置検知センサS11が上述の中間位置の第2搬送部30の上端を検知し、上方第1位置検知センサS21が上述の中間位置の第1搬送部10の下端を検知した状態から、第1駆動部71が所定量、吊り下げワイヤ51~54を駆動することにより、第1搬送部10を下降させるとともに第2搬送部30を上昇させる。
【0083】
これにより、図5に示すように、第1搬送部10が第1検査部20に接触する搬送位置P1に移動し、第2搬送部30が第2検査部40に接触する搬送位置P1に移動する。このようにすることによって、第1搬送部10の四隅を第1検査部20に確実に接触させ、第2搬送部30の四隅を第2検査部40に確実に接触させることができる。ここで、第1搬送部10が第1検査部20に接触し、第2搬送部30が第2検査部40に接触した状態で、吊り下げワイヤ51~54は、弛みを有するとよい。一方、引っ張りワイヤ61~64は、第1搬送部10を第1検査部20に接触させるために第1搬送部10を下方に引っ張っているため、弛みを有さない。
【0084】
次に、第1搬送部10及び第2搬送部30を第1検査部20又は第2検査部40から離隔させる際には、まず、制御部91は、引っ張りワイヤ61~64を巻き出して弛みを形成するように第2駆動部81を制御し、その後、遅れて吊り下げワイヤ51~54によって第1搬送部10を上昇させるように第1駆動部71を制御する。これにより、引っ張りワイヤ61~64が弛んでから第1搬送部10が上昇する。
【0085】
第1搬送部10が第1検査部20から離隔するように上昇し、第2搬送部30が第2検査部40から離隔するように下降すると、図6に示すように、下方第2位置検知センサS12が第2搬送部30の上端を検知し、上方第2位置検知センサS22が第1搬送部10の下端を検知する。このとき、第1搬送部10及び第2搬送部30は、検査装置1において媒体Mのジャムが発生した場合の待機位置P2にある。なお、第1搬送部10及び第2搬送部30を搬送位置P1に戻す場合には、第1駆動部71及び第2駆動部81が同時に駆動を開始すればよい。
【0086】
ここで、媒体Mの搬送中(検査中)にジャムが発生した場合などに、制御部91は、第1搬送部10及び第2搬送部30による媒体Mの搬送を停止させる。また、制御部91は、第1搬送部10及び第2搬送部30による媒体Mの搬送が停止した場合、ジャム解除のスペースを確保するために、第1搬送部10を待機位置P2に上昇させるとともに第2搬送部30を待機位置P2に下降させるように上述の制御を行う。
【0087】
このように、第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した後、第1搬送部10の下流フロントファン11及び下流リアファン12による媒体Mの吸着を維持すると、特に小さい媒体Mの場合に、媒体Mの全面が第1搬送部10に吸着されることで、ユーザがジャム解除時などに媒体Mを見つけられなくなる。一方、媒体Mの搬送が停止した後、第1搬送部10が待機位置P2にあるときに媒体Mの全体の吸着を解除すると、媒体Mが第1検査部20側に落下し、媒体Mの位置が不明になりやすい。
【0088】
そこで、第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した後、図7に示すように、媒体Mの搬送方向Dの長さがL[mm]未満(例えば、400mm未満)の場合のみ、下流フロントファン11をOFFにするとよい。これにより、媒体Mの一部(前部側)の吸着が解除され、媒体Mの一部が垂れ下がり、媒体Mを容易に取り除くことができるようになる。なお、第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した後で媒体Mの一部の吸着を解除することによって、移動前又は移動中に媒体Mの一部の吸着を解除する場合と比較して、媒体Mが中間ガイド対95や下流ガイド対96に引っ掛かって第1搬送部10に吸着されなくなるのを抑制することができる。
【0089】
一方、媒体Mの搬送方向Dの長さがL[mm]以上(例えば、400mm以上)の場合、第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した後も、すべてのファンをONのままにするとよい。搬送方向Dの長さが長い媒体Mの場合には、媒体Mの全面が第1搬送部10に吸着されにくいためである。但し、媒体Mのサイズに関わらず、媒体Mの一部の吸着を解除するようにしてもよい。
【0090】
なお、第2搬送部30の上流フロントファン31及び上流リアファン32については、媒体Mの少なくとも一部の吸着を維持するように、少なくとも一方、望ましくは両方を稼働させたままとするとよい。
【0091】
ここで、媒体Mの一部の吸着を解除するための手法は、複数のファンのうちの一部のファン(下流フロントファン11)をOFFにすることに限られず、例えば、一部のファンの風量を弱めること、或いは、エアの吸引経路を遮断するシャッタを開閉することによっても実現可能である。シャッタを用いる場合、ファンの数は1つのみであってもよい。また、吸引による吸着に限らず、静電吸着による吸着が行われてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、検査装置1の前部側からユーザが媒体Mを取り除くことを想定して、下流フロントファン11をOFFにすることで媒体Mの前部が垂れ下がるようにしているが、下流リアファン12をOFFにすることで媒体Mの後部が垂れ下がるようにしてもよい。また、複数のファンは、前後方向に並んで配置されている下流フロントファン11及び下流リアファン12に限られず、搬送方向Dに並んで配置されているものであってもよい。この場合、搬送方向Dの上流側又は下流側のいずれかのファンをOFFにすることで媒体Mの上流側端部又は下流側端部が垂れ下がるようにすることができる。また、複数のファンの数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。また、複数のファンは、例えば、上流側前部、上流側後部、下流側前部、及び下流側後部の計4つ配置される場合などのように、前後方向及び搬送方向Dのそれぞれに並ぶように配置されていてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、制御部91は、第1搬送部10による媒体Mの搬送が停止した場合に、媒体Mのサイズに基づいて、下流フロントファン11及び下流リアファン12の稼働(ON)と停止(OFF)とを決定しているが、媒体Mの種類(例えば、厚さ、材質、坪量など)に基づいて、下流フロントファン11及び下流リアファン12の稼働(ON)と停止(OFF)とを決定してもよい。例えば、媒体Mが垂れ下がりやすい薄紙である場合には、搬送方向Dの長さが長い媒体Mと同様に、下流フロントファン11及び下流リアファン12の両方を稼働させたままとしてもよい。
【0094】
次に、搬送方向Dの長さがL[mm]未満の媒体M(図8A図10Bを参照)及び搬送方向Dの長さがL[mm]以上の媒体M(図11A図13Bを参照)の搬送がジャムの発生時などに停止した場合の吸着状態について説明する。
【0095】
図8Aに示すように、第1搬送部10及び第2搬送部30が搬送位置P1にあるとき、第1媒体M11は、大部分が第2搬送部30に吸着され、搬送方向Dの上流側端部において上流ガイド対94によってガイドされている。また、第2媒体M12は、大部分が第1搬送部10に吸着され、搬送方向Dの上流側端部において中間ガイド対95によってガイドされている。
【0096】
その後、図8Bに示すように第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動すると、第1媒体M11は、上流フロントファン31及び上流リアファン32がONの第2搬送部30に大部分が吸着されているため、上流ガイド対94から抜け出る。また、第2媒体M12は、第1搬送部10が搬送位置P1から待機位置P2に移動する間に下流フロントファン11及び下流リアファン12がONである第1搬送部10に大部分が吸着されているため、中間ガイド対95から抜け出る。そして、第1搬送部10が待機位置P2に移動した後、下流フロントファン11のみOFFとなるため、第2媒体M12の前部が垂れ下がる。
【0097】
図9Aに示すように、第1搬送部10及び第2搬送部30が搬送位置P1にあるとき、第1媒体M21は、第2搬送部30よりも搬送方向Dの上流側に位置し、搬送方向Dの下流側端部において上流ガイド対94によってガイドされている。また、第2媒体M22は、大部分が第2搬送部30に吸着され、搬送方向Dの下流側端部が中間ガイド対95によってガイドされている。また、第3媒体M23は、大部分が第1搬送部10に吸着され、搬送方向Dの下流側端部において下流ガイド対96によってガイドされている。
【0098】
その後、図9Bに示すように第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した場合、第1媒体M21は、第2搬送部30及び第1搬送部10によって吸着されていないため、そのまま、搬送方向Dの下流側端部において上流ガイド対94によってガイドされている。また、第2媒体M22は、上流フロントファン31及び上流リアファン32がONの第2搬送部30に大部分が吸着されているため、中間ガイド対95から抜け出る。また、第3媒体M23は、第1搬送部10が搬送位置P1から待機位置P2に移動する間に下流フロントファン11及び下流リアファン12がONである第1搬送部10に大部分が吸着されているため、下流ガイド対96から抜け出る。そして、第1搬送部10が待機位置P2に移動した後、下流フロントファン11のみOFFとなるため、第3媒体M23の前部が垂れ下がる。
【0099】
図10Aに示すように、第1搬送部10及び第2搬送部30が搬送位置P1にあるとき、第1媒体M31は、搬送方向Dの下流側端部が第2搬送部30に吸着され、搬送方向Dの中央よりも下流側において上流ガイド対94によってガイドされている。第2媒体M32は、搬送方向Dの上流側端部が第2搬送部30に吸着され、下流側端部が第1搬送部10に吸着されているが、吸着面積は第2搬送部30よりも第1搬送部10が広い。第3媒体M33は、搬送方向Dの上流側端部が第1搬送部10に吸着されているが、大部分が第1搬送部10よりも下流側に位置し、下流ガイド対96によってガイドされている。
【0100】
その後、図10Bに示すように第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した場合、第1媒体M31は、搬送方向Dの下流側端部が上流フロントファン31及び上流リアファン32がONの第2搬送部30に吸着されているため、下流側端部が第2搬送部30に吸着されたままとなるが、搬送方向Dの上流側部分は、第2搬送部30よりも搬送方向Dの上流側に位置するため、そのまま、上流ガイド対94によってガイドされている。第2媒体M32は、第2搬送部30の吸着面積よりも第1搬送部10の吸着面積が広いため、第1搬送部10に吸着され、第2搬送部30から離隔し、中間ガイド対95から抜け出る。そして、第1搬送部10が待機位置P2に移動した後、下流フロントファン11のみOFFとなるため、第2媒体M32の前部が垂れ下がる。なお、第2搬送部30の吸着面積と第1搬送部10の吸着面積とが同一程度である場合には、第1搬送部10及び第2搬送部30の搬送によって媒体Mを第1搬送部10側又は第2搬送部30側のどちらかに寄せてから、第1搬送部10及び第2搬送部30を待機位置P2に移動させてもよい。第3媒体M33は、搬送方向Dの上流側端部が第1搬送部10に吸着されているが、大部分が第1搬送部10よりも下流側に位置するため、第1搬送部10から離隔し、下流ガイド対96によってガイドされたままとなる。
【0101】
図11Aに示すように、第1搬送部10及び第2搬送部30が搬送位置P1にあるとき、第1媒体M41は、搬送方向Dの上流側端部が上流ガイド対94よりも搬送方向Dの上流側に位置し、下流側端部が第1搬送部10に吸着されている。第2媒体M42は、搬送方向Dの中央部分において下流ガイド対96にガイドされ、上流側部分が第1搬送部10に吸着されている。
【0102】
その後、図11Bに示すように第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した場合、第1媒体M41は、上流フロントファン31及び上流リアファン32がONの第2搬送部30の全体に亘って位置するため、上流ガイド対94及び中間ガイド対95から抜け出るが、第2搬送部30よりも搬送方向Dにおける長さが長いため、第2搬送部30の上流側及び下流側において垂れ下がる。第2媒体M42は、下流フロントファン11及び下流リアファン12がONである第1搬送部10に搬送方向Dの半分程度が吸着されているため、上流側部分が第1搬送部10に吸着されたまま垂れ下がり、下流ガイド対96によってガイドされる。
【0103】
図12Aに示すように、第1搬送部10及び第2搬送部30が搬送位置P1にあるとき、第1媒体M51は、搬送方向Dの下流側端部において第2搬送部30に吸着されているが、大部分が第2搬送部30よりも上流側に位置し、上流ガイド対94によってガイドされている。第2媒体M52は、搬送方向Dの上流側端部が第2搬送部30に吸着され、下流側端部が第1搬送部10に吸着されているが、吸着面積は第2搬送部30よりも第1搬送部10が広い。第3媒体M53は、第1搬送部10よりも搬送方向Dの下流側に位置し、搬送方向Dの上流側端部において下流ガイド対96によってガイドされている。
【0104】
その後、図12Bに示すように第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した場合、第1媒体M51は、搬送方向Dの下流側端部が第2搬送部30に吸着されているが、大部分が第2搬送部30よりも上流側に位置するため、第2搬送部30から離隔し、上流ガイド対94によってガイドされたままとなる。第2媒体M52は、第2搬送部30の吸着面積よりも第1搬送部10の吸着面積が広いため、第1搬送部10に吸着され、第2搬送部30から離隔し、中間ガイド対95から抜け出る。そして、上流側部分が第1搬送部10の上流側で垂れ下がる。第3媒体M53は、第2搬送部30及び第1搬送部10によって吸着されていないため、そのまま、搬送方向Dの上流側端部において下流ガイド対96によってガイドされている。
【0105】
図13Aに示すように、第1搬送部10及び第2搬送部30が搬送位置P1にあるとき、第1媒体M61は、搬送方向Dの下流側端部が第2搬送部30に吸着され、搬送方向Dの中央よりも下流側部分において上流ガイド対94によってガイドされている。第2媒体M62は、搬送方向Dの上流側端部が第2搬送部30に吸着され、下流側端部が下流ガイド対96よりも搬送方向Dの下流側に位置する。
【0106】
その後、図13Bに示すように第1搬送部10及び第2搬送部30が待機位置P2に移動した場合、第1媒体M61は、搬送方向Dの下流側端部が上流フロントファン31及び上流リアファン32がONの第2搬送部30に吸着されているため、下流側端部が第2搬送部30に吸着されたままとなるが、搬送方向Dの上流側の半分以上の部分が、第2搬送部30よりも搬送方向Dの上流側に位置するため、そのまま、上流ガイド対94によってガイドされている。第2媒体M62は、搬送方向Dの上流側端部において第2搬送部30に吸着され、下流側端部が下流ガイド対96よりも搬送方向Dの下流側に位置するが、下流フロントファン11及び下流リアファン12がONの第1搬送部10の全体に亘って位置する。そのため、中間ガイド対95及び下流ガイド対96から抜け出るが、第1搬送部10の上流側及び下流側において垂れ下がる。
【0107】
以上説明した本実施の形態では、媒体搬送機構の一例である検査装置1は、媒体Mの上方に配置され、この媒体Mを吸着しながら搬送する第1搬送部10と、この第1搬送部10を、媒体Mを搬送する搬送位置P1と、この搬送位置P1よりも上方の待機位置P2とに昇降させる第1昇降部(例えば、吊り下げワイヤ51~54、第1駆動部71など)と、第1搬送部10による媒体Mの搬送が停止した場合に、第1搬送部10を待機位置P2に上昇させるように第1昇降部を制御するとともに、媒体M(例えば、図8Bに示す第2媒体M12、図9Bに示す第3媒体M23、及び図10Bに示す第2媒体M32)の一部の吸着を解除するように第1搬送部10を制御する制御部91とを備える。
【0108】
これにより、ジャムが発生したときなどに、第1搬送部10による媒体Mの搬送を停止し、第1搬送部10を搬送位置P1から上方の待機位置P2に上昇させても、媒体Mの一部の吸着が解除されることによって、媒体Mの一部が垂れ下がる。そのため、媒体Mの全面が第1搬送部10に吸着されなくなる。これにより、ユーザがジャム解除時などに媒体Mを見つけられなくなるのを回避することができる。また、媒体Mの搬送が停止した後、第1搬送部10が待機位置P2にあるときに媒体Mの全体の吸着を解除する態様と比較して、媒体Mが落下し、媒体Mの位置が不明になるのを回避することができる。よって、本実施の形態によれば、媒体Mの上方に配置された第1搬送部10による媒体Mの搬送が停止した場合に、媒体Mを取り除く作業を容易にすることができる。これにより、ユーザの使い勝手が良くなり、ユーザビリティが向上する。
【0109】
また、本実施の形態では、第1搬送部10は、エアを吸引する複数のファンの一例である下流フロントファン11及び下流リアファン12を有し、制御部91は、複数のファンのうちの一部(例えば、下流リアファン12)を稼働させ、複数のファンのうちの他の一部(例えば、下流フロントファン11)を停止させることによって、媒体Mの一部の吸着を解除するように第1搬送部10を制御する。
【0110】
これにより、複数のファンのうちの一部を停止させるという簡単な制御且つ既存の構成で、媒体Mの一部の吸着を解除し、媒体Mの一部が垂れ下がるようにすることで媒体Mを取り除く作業を容易にすることができる。
【0111】
また、本実施の形態では、制御部91は、第1搬送部10による媒体Mの搬送が停止した場合に、媒体Mのサイズ(例えば、搬送方向Dの長さ)及び種類のうちの少なくとも一方に基づいて、複数のファンの稼働と停止とを決定する。
【0112】
これにより、相対的に第1搬送部10から垂れ下がりやすい媒体Mの場合には、媒体Mの一部の吸着を解除せず、相対的に第1搬送部10から垂れ下がりにくい媒体Mの場合には、媒体Mの一部の吸着を解除することによって媒体Mの一部を確実に垂れ下がるようにすることができる。そのため、垂れ下がりにくい媒体Mの場合のみの簡単な制御によって、媒体Mを取り除く作業を容易にすることができる。
【0113】
また、本実施の形態では、媒体搬送機構の一例である検査装置1は、第1搬送部10よりも媒体Mの搬送方向Dにおける上流側(又は下流側)において、媒体Mの下方に配置され、この媒体Mを吸着しながら搬送する第2搬送部30と、この第2搬送部30を、媒体Mを搬送する搬送位置P1と、この搬送位置P1よりも下方の待機位置P2とに昇降させる第2昇降部(例えば、吊り下げワイヤ51~54、第1駆動部71など)とを更に備え、制御部91は、第2搬送部30による媒体Mの搬送が停止した場合に、第2搬送部30を待機位置P1に下降させるように第2昇降部を制御するとともに、媒体Mの少なくとも一部の吸着を維持するように第2搬送部30を制御する。
【0114】
これにより、媒体Mの搬送が停止し、第2搬送部30を待機位置P2に下降させた後、媒体Mを第2搬送部30に吸着したまま保持することができる。そのため、媒体Mが第2搬送部30の周囲に落下して、媒体Mの位置が不明になるのを回避することができる。したがって、媒体Mを取り除く作業を容易にすることができる。
【0115】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0116】
[付記1]
媒体の上方に配置され、当該媒体を吸着しながら搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部を、前記媒体を搬送する搬送位置と、当該搬送位置よりも上方の待機位置とに昇降させる第1昇降部と、
前記第1搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第1搬送部を前記待機位置に上昇させるように前記第1昇降部を制御するとともに、前記媒体の一部の吸着を解除するように前記第1搬送部を制御する制御部と
を備えることを特徴とする媒体搬送機構。
【0117】
[付記2]
前記第1搬送部は、エアを吸引する複数のファンを有し、
前記制御部は、前記複数のファンのうちの一部を稼働させ、前記複数のファンのうちの他の一部を停止させることによって、前記媒体の一部の吸着を解除するように前記第1搬送部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体搬送機構。
【0118】
[付記3]
前記制御部は、前記第1搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記媒体のサイズ及び種類のうちの少なくとも一方に基づいて、前記複数のファンの稼働と停止とを決定することを特徴とする付記2記載の媒体搬送機構。
【0119】
[付記4]
前記第1搬送部よりも前記媒体の搬送方向における上流側又は下流側において、前記媒体の下方に配置され、当該媒体を吸着しながら搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部を、前記媒体を搬送する搬送位置と、当該搬送位置よりも下方の待機位置とに昇降させる第2昇降部とを更に備え、
前記制御部は、前記第2搬送部による前記媒体の搬送が停止した場合に、前記第2搬送部を前記待機位置に下降させるように前記第2昇降部を制御するとともに、前記媒体の少なくとも一部の吸着を維持するように前記第2搬送部を制御する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の媒体搬送機構。
【符号の説明】
【0120】
1 検査装置
10 第1搬送部
11 下流フロントファン
12 下流リアファン
20 第1検査部
30 第2搬送部
31 上流フロントファン
32 上流リアファン
40 第2検査部
51~54 吊り下げワイヤ
61~64 引っ張りワイヤ
71 第1駆動部
72 動力伝達部
73,74 駆動軸
75~78 プーリ
81 第2駆動部
82 動力伝達部
83 駆動軸
84,85 プーリ
91 制御部
92 記憶部
93 インターフェース部
94 上流ガイド対
95 中間ガイド対
96 下流ガイド対
97,98 突き当てスイッチ
100 印刷システム
110 媒体供給装置
111 第1供給部
111a 積載台
111b 吸着搬送部
112 第2供給部
112a 積載台
112b 吸着搬送部
113 搬送ローラ対
120 第1印刷装置
121 搬送ローラ対
122 第1印刷部
123 吸着搬送部
124,125 搬送経路切替え部
126 スイッチバックローラ対
127 排出トレイ
130 中間搬送装置
131 搬送ローラ対
132 スイッチバックローラ対
133 反転収容部
140 第2印刷装置
141 搬送ローラ対
142 第2印刷部
143 吸着搬送部
144,145 搬送経路切替え部
146 スイッチバックローラ対
147 排出トレイ
150 媒体排出装置
151 導入部
152 第1正常収容部
152a 載置台
153 上部搬送部
154 中間搬送部
155 第2正常収容部
155a 載置台
156 異常収容部
157 搬送ローラ対
158,159 搬送経路切替え部
D 搬送方向
M 媒体
P1 搬送位置
P2 待機位置
R1 第1供給経路
R2 第2供給経路
R3 合流経路
R4,R6 直進経路
R5,R7 循環経路
R8,R9,R10,R11 収容経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B