IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図1
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図2
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図3
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図4
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図5
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図6
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図7
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図8
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図9
  • 特開-半導体装置、スイッチング電源 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183815
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】半導体装置、スイッチング電源
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20221206BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H03F3/45 110
H02M3/155 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091305
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山越 陽夫
【テーマコード(参考)】
5H730
5J500
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
5H730XC04
5H730XC14
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA47
5J500AC54
5J500AF19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK01
5J500AK02
5J500AK05
5J500AK09
5J500AM01
5J500AM02
5J500AM17
5J500AT01
5J500DN01
5J500DN12
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】オペアンプの位相余裕を確保する。
【解決手段】半導体装置は、例えば、オペアンプ107eと、キャパシタC5が外付けされるように構成された外部端子SS/REFと、オペアンプ107eの出力端及び反転入力端が共通に接続されるノードn1と外部端子SS/REFとの間に接続されるように構成された抵抗Rxと、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペアンプと、
キャパシタが外付けされるように構成された外部端子と、
前記オペアンプの出力端及び反転入力端が共通に接続されるノードと前記外部端子との間に接続されるように構成された抵抗と、
を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記オペアンプは、
フォールデッドカスコード回路を用いて構成された入力段と、
ソースフォロワまたはエミッタフォロワを用いて構成された出力段と、
を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記オペアンプは、前記入力段の出力端と前記出力段の入力端との間に設けられるように構成された位相補償部をさらに含む、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記出力段は、
前記ソースフォロワまたは前記エミッタフォロワを形成するように構成された出力トランジスタと、
前記出力トランジスタを介して前記ノードに流し込まれるソース電流を生成するように構成された第1電流源と、
前記ノードから引き込まれるシンク電流を生成するように構成された第2電流源と、
を含む、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ソース電流は、前記出力トランジスタの導通度に応じて最小値から最大値まで変化する可変値であり、前記シンク電流は、前記ソース電流の前記最小値よりも大きくかつ前記ソース電流の前記最大値よりも小さい固定値である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ソース電流の前記最大値から前記シンク電流を差し引いた差の絶対値を|Iso|とし、前記ソース電流が前記最大値から前記シンク電流と同値まで減少する間に前記外部端子に生じる電圧変化量をVslp1とし、前記抵抗の抵抗値をRxとしたときには、Vslp1=Rx×|Iso|が成立する、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ソース電流の前記最小値から前記シンク電流を差し引いた差の絶対値を|Isi|とし、前記ソース電流が前記シンク電流と同値から前記最小値まで減少する間に前記外部端子に生じる電圧変化量をVslp2とし、前記抵抗の抵抗値をRxとしたときには、Vslp2=Rx×|Isi|が成立する、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記外部端子に現れる端子電圧を内部基準電圧として利用する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
スイッチング電源の出力電圧に応じた帰還電圧が前記内部基準電圧と一致するようにスイッチング出力段の駆動制御を行うように構成された出力帰還制御回路をさらに有する、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置と、
入力電圧から前記出力電圧を生成するように構成された前記スイッチング出力段と、
を有する、スイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、オペアンプを有する半導体装置、及び、これを用いたスイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オペアンプの位相余裕を確保するための技術が種々提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-162483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の半導体装置では、オペアンプに大きな負荷容量が接続された場合にオペアンプの位相余裕を確保することが困難であった。
【0005】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、オペアンプの位相余裕を確保することのできる半導体装置、及び、これを用いたスイッチング電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、オペアンプと、キャパシタが外付けされるように構成された外部端子と、前記オペアンプの出力端及び反転入力端が共通に接続されるノードと前記外部端子との間に接続されるように構成された抵抗とを有する。
【0007】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書中に開示されている発明によれば、オペアンプの位相余裕を確保することのできる半導体装置、及び、これを用いたスイッチング電源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1はスイッチング電源の全体構成を示す図である。
図2図2は半導体装置の内部構成を示す図である。
図3図3は内部基準電圧生成回路の第1実施形態を示す図である。
図4図4は第1実施形態におけるオペアンプの一構成例を示す図である。
図5図5は第1実施形態におけるオペアンプの出力段を等価的に示す図である。
図6図6は第1実施形態におけるオペアンプの出力特性を示す図である。
図7図7は内部基準電圧生成回路の第2実施形態を示す図である。
図8図8は第2実施形態におけるオペアンプの一構成例を示す図である。
図9図9は第2実施形態におけるオペアンプの出力段を等価的に示す図である。
図10図10は、第2実施形態におけるオペアンプの出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<スイッチング電源>
図1は、スイッチング電源の全体構成を示す図である。本構成例のスイッチング電源1は、入力電圧VIN(例えば4~16V)から所望の出力電圧VOUT(例えば0.6~5.5V)を生成する同期整流方式の降圧型DC/DCコンバータであり、半導体装置100と、これに外付けされる種々のディスクリート部品(例えばキャパシタC1~C5、インダクタL1、及び、抵抗R1~R5)と、を有する。
【0011】
なお、スイッチング電源1は、例えばSoC[system-on-a-chip]、FPGA[field-programmable gate array]若しくはマイクロプロセッサなどの降圧電源、または、サーバー若しくは基地局の降圧電源として好適に利用することが可能である。
【0012】
半導体装置100は、スイッチング電源1を統括的に制御するモノリシック半導体集積回路装置(いわゆる電源制御IC)である。なお、半導体装置100は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図に即して述べると、BST、AGND、ILIM、MODE、SS/REF、RGND、FB、PGD、VIN、PGND及びVCC)を有する。
【0013】
BST端子は、ブートストラップ用端子である。BST端子とSW端子との間には、ブートストラップ用のキャパシタC4(例えば0.1μF)が外付けされる。なお、BST端子に現れるブースト電圧VB(≒VSW+VCC)は、半導体措置100に内蔵される上側トランジスタ(本図では不図示)のゲート駆動電圧となる。
【0014】
AGND端子は、制御用回路(アナログ系回路)のグラウンド端子である。
【0015】
ILIM端子は、過電流検出値設定端子である。なお、過電流検出値IOCPは、ILIM端子と接地端(=AGND端子)との間に外付けされる抵抗R1を用いて任意に設定することが可能である。
【0016】
MODE端子は、スイッチング制御モード設定端子である。例えば、MODE端子をプルアップしたり、MODE端子と接地端(=AGND)との間に外付けされる抵抗R2を調整したりすることにより、スイッチング周波数(例えば600kHz、800kHz及び1MHz)と動作モード(軽負荷モード及び固定PWM[pulse width modulation]モード)の組み合わせを任意に切り替えることが可能である。
【0017】
SS/REF端子は、ソフトスタート時間設定端子/内部基準電圧設定端子である。例えば、SS/REF端子と接地端(=RGND端子)との間に外付けされるキャパシタC5の容量値に応じて出力電圧VOUTのソフトスタート時間tSSを任意に調整することが可能である。なお、ソフトスタート機能により出力電圧VOUTが緩やかに立ち上がるので、出力電圧VOUTのオーバーシュートや突入電流を防ぐことができる。また、半導体装置100では、出力電圧トラッキング機能のためにSS/REF端子を用いて外部電源から内部基準電圧VREFを外部入力することができる。従って、内部基準電圧VREFについては、所定の目標値(例えば0.6V)まで起動した後、任意の電圧範囲で設定することが可能である。
【0018】
RGND端子は、リモートセンスグラウンド端子である。なお、リモートセンス機能を省略する場合、RGND端子に接続される構成要素をAGND端子に接続すればよい。
【0019】
FB端子は、出力電圧フィードバック端子である。FB端子は、出力電圧VOUTの印加端と接地端(=RGND端子)との間に直列接続された抵抗R3及びR4相互間の接続ノード(=帰還電圧VFBの印加端)に接続されている。なお、出力電圧VOUTの目標値は、{(R3+R4)/R4}×VREFとして設定することが可能である。
【0020】
EN端子は、イネーブル端子である。例えば、EN端子に印加されるイネーブル電圧VENが上側閾値(例えば1.22V)以上になると半導体装置100が起動し、下側閾値(例えば1.02V)以下になると半導体装置100がシャットダウンする。なお、EN端子は、終端する必要がある。また、イネーブル電圧VENは、入力電圧VINの投入と同時(VIN=VEN)または入力電圧VINの投入後に起動することが望ましい。
【0021】
PGD端子は、パワーグッド端子である。PGD端子は、オープンドレイン出力形式のため、プルアップ用の抵抗R5を必要とする。なお、PGD端子を使用しない場合には、PGD端子をフローティング状態もしくはグラウンドに接続すればよい。
【0022】
VIN端子は、電源入力端子である。VIN端子と接地端(=PGND端子)との間には、入力平滑用のキャパシタC1(例えば0.1μF程度のセラミックキャパシタ)が外付けされる。キャパシタC1は、入力リップルノイズの低減に効果があり、VIN端子及びPGND端子の極力近くに配置することでその効果を発揮する。
【0023】
SW端子は、スイッチング出力端子である。SW端子は、半導体装置100に内蔵された上側トランジスタのソースと下側トランジスタのドレイン(本図ではいずれも不図示)に接続されており、矩形波状のスイッチ電圧VSWを出力する。なお、SW端子と出力電圧VOUTの印加端との間にはインダクタL1が外付けされる。また、出力電圧VOUTの印加端とRGND端子との間にはキャパシタC3(例えばセラミックキャパシタ)が外付けされる。このように、スイッチング電源1では、負荷に連続的な電流を供給するために出力平滑化用のLCフィルタが必要である。
【0024】
PGND端子は、スイッチング出力段(=パワー系回路)のグラウンド端子である。
【0025】
VCC端子は、内部電源出力端子である。VCC端子から出力される内部電源電圧VCC(例えば3V)は、例えば、半導体装置100の制御用回路(=アナログ系回路)に供給される。なお、VCC端子と接地端(=AGND端子)との間にはキャパシタC2(例えば1μF程度のセラミックキャパシタ)が外付けされる。
【0026】
<半導体装置>
図2は半導体装置100の内部構成を示す図である。本構成例の半導体装置100は、上側トランジスタ101と、下側トランジスタ102と、上側ドライバ103と、下側ドライバ104と、制御ロジック105と、内部電源電圧生成回路106と、内部基準電圧生成回路107と、エラーアンプ108と、位相補償回路109と、ランプ電圧生成回路110と、電圧重畳回路111と、メインコンパレータ112と、オン時間設定回路113と、Pチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ114と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ115と、コンパレータ116、117及び118と、低入力電圧誤動作防止回路119と、温度保護回路120と、負荷短絡保護回路121と、過電圧保護回路122と、パワーグッド回路123と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ124と、モードセレクタ125と、を有する。
【0027】
上側トランジスタ101(例えばNチャネル型MOS電界効果トランジスタ)のドレインは、VIN端子に接続されている。上側トランジスタ101のソースは、SW端子に接続されている。上側トランジスタ101のゲートは、上側ゲート信号G1の印加端(=上側ドライバ103の出力端)に接続されている。上側トランジスタ101は、上側ゲート信号G1がハイレベル(≒VB)であるときにオンして、上側ゲート信号G1がローレベル(≒VSW)であるときにオフする。
【0028】
下側トランジスタ102(例えばNチャネル型MOS電界効果トランジスタ)のドレインは、SW端子に接続されている。下側トランジスタ102のソースは、PGND端子に接続されている。下側トランジスタ102のゲートは、下側ゲート信号G2の印加端(=下側ドライバ104の出力端)に接続されている。下側トランジスタ102は、下側ゲート信号G2がハイレベル(≒VCC)であるときにオンして、下側ゲート信号G2がローレベル(≒PGND)であるときにオフする。
【0029】
このように接続された上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102は、半導体装置100に外付けされたディスクリート部品(インダクタL1及びキャパシタC3)と共に、同期整流方式を採用した降圧型のスイッチング出力段を形成する。ただし、整流方式については、必ずしも同期整流方式に限定されるものではなく、下側トランジスタ102に代えて整流ダイオードを用いてもよい。
【0030】
なお、スイッチング電源1に大電流出力(例えば最大20A出力)が求められる場合には、上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102としてオン抵抗の低い素子を用いることが望ましい。
【0031】
また、上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102は、かならずしも半導体装置100に内蔵する必要はなく、ディスクリート部品として半導体装置100に外付けしても構わない。
【0032】
上側ドライバ103は、ブート電圧VBとスイッチ電圧VSWの供給を受けて動作し、制御ロジック105から出力される上側制御信号S1に基づいて上側ゲート信号G1を生成する。例えば、上側ドライバ103は、上側制御信号S1がハイレベルであるときに上側ゲート信号G1をハイレベル(≒VB)とし、上側制御信号S1がローレベルであるときに上側ゲート信号G1をローレベル(≒VSW)とする。
【0033】
下側ドライバ104は、内部電源電圧VCC及び接地電圧PGNDの供給を受けて動作し、制御ロジック105から出力される下側制御信号S2に基づいて、下側ゲート信号G2を生成する。例えば、下側ドライバ104は、下側制御信号S2がハイレベルであるときに下側ゲート信号G2をハイレベル(≒VCC)とし、下側制御信号S2がローレベルであるときに下側ゲート信号G2をローレベル(≒PGND)とする。
【0034】
制御ロジック105は、EN端子に入力されるイネーブル信号(=イネーブル電圧VEN)がハイレベルであるときに、固定オン時間制御方式で上側トランジスタ101及び下側トランジスタN2を相補的にオン/オフする。
【0035】
より具体的に述べると、制御ロジック105は、上側トランジスタ101をオンして下側トランジスタN2をオフするときに上側制御信号S1をハイレベルとして下側制御信号S2をローレベルとする。また、制御ロジック105は、上側トランジスタ101をオフして下側トランジスタ102をオンするときに上側制御信号S2をローレベルとして下側制御信号S2をハイレベルとする。
【0036】
このように、スイッチング出力段を形成する上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102が相補的にオン/オフされると、SW端子に矩形波状(ハイレベル:VB、ローレベル:PGND)のスイッチ電圧VSWが生成される。スイッチング電源1は、このスイッチ電圧VSWをLCフィルタ(=インダクタL1及びキャパシタC3)で整流及び平滑することにより、所望の出力電圧VOUTを生成することができる。
【0037】
また、制御ロジック105は、過大な貫通電流を防止するために上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102の同時オン防止機能も備えている。さらに、制御ロジック105は、各種の保護信号(HOCP、LOCP、ZX/ROCP、UVLO、TSD、SCP及びOVP)に基づいて上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102のオン/オフ駆動を強制的に停止する機能も備えている。例えば、制御ロジック105は、異常検出時に上側制御信号S1及び下側制御信号S2をいずれもローレベルとすることにより、上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102をいずれもオフさせる。
【0038】
内部電源電圧生成回路106は、内部電源電圧VCC(例えば3V)を生成してVCC端子及び半導体装置100の各部に出力する。
【0039】
内部基準電圧生成回路107は、EN端子に入力されるイネーブル信号(=イネーブル電圧VEN)がハイレベルであるときに、内部電源電圧VCCから所定の内部基準電圧VREFを生成してSS/REF端子に出力する。
【0040】
エラーアンプ108は、RGND端子を基準電位として動作し、非反転入力端(+)に入力される内部基準電圧VREFと、反転入力端(-)に入力される帰還電圧VFBとの差分に応じた誤差信号Saを生成する。従って、誤差信号Saは、VREF>VFBであるときに上昇し、VREF<VFBであるときに低下する。
【0041】
位相補償回路109は、エラーアンプ108の発振を防止する機能部であり、例えば、エラーアンプ109の出力端と接地端との間に接続されたキャパシタ109を含む。
【0042】
ランプ電圧生成回路110は、鋸波形または三角波形のランプ電圧VRを生成する。
【0043】
電圧重畳回路111は、帰還電圧VFBにランプ電圧VRを重畳してスロープ信号Sbを生成する。
【0044】
メインコンパレータ112は、非反転入力端(+)に入力される誤差信号Saと、反転入力端(-)に入力されるスロープ信号Sbとを比較することにより、比較信号Scを生成してオン時間設定回路113に出力する。なお、比較信号Scは、Sa>Sbであるときにハイレベルとなり、Sa<Sbであるときにローレベルとなる。すなわち、メインコンパレータ112は、比較信号Scをハイレベルに立ち上げることにより、出力電圧VOUTが目標値よりも低下したことをオン時間設定回路113にフィードバックする。
【0045】
オン時間設定回路113は、比較信号Scがハイレベルに立ち上がったときに所定のオン時間Tonを設定する。制御ロジック105は、このオン時間Tonが経過するまで、上側トランジスタ101をオンして下側トランジスタN2をオフする。
【0046】
このように、上記構成要素のうち、エラーアンプ108、メインコンパレータ112、及び、オン時間設定回路113は、帰還電圧VFBが内部基準電圧VREFと一致するように固定オン時間制御方式でスイッチング出力段の駆動制御を行う出力帰還制御回路を形成している。
【0047】
ただし、出力帰還制御方式は、必ずしも固定オン時間制御方式に限定されるものではなく、電圧モード制御方式、電流モード制御方式、または、ヒステリシス制御方式(リップル制御方式)などを採用してもよい。
【0048】
トランジスタ114のドレインは、VCC端子(=内部電源電圧VCCの印加端)に接続されている。また、トランジスタ114のソースは、BST端子(=ブート電圧VBの印加端)に接続されている。このように接続されたトランジスタ114は、BST端子とSW端子との間に外付けされたキャパシタC4と共にブートストラップ回路を形成する。
【0049】
なお、トランジスタ114は、制御ロジック105からゲートに入力される制御信号S3(=基本的に制御信号S1と同一の論理レベルを持つ2値信号)がローレベルであるときにオンして、制御信号S3がハイレベルであるときにオフする。
【0050】
上記のブートストラップ回路は、スイッチ電圧VSWよりも常にキャパシタC4の両端間電圧(≒VCC)だけ高いブート電圧VB(≒VSW+VCC)を生成する。つまり、ブート電圧VBは、スイッチ電圧VSWのハイレベル期間(VSW≒VIN)にはVB≒VIN+VCCとなり、スイッチ電圧VSWのローレベル期間(VSW≒PGND)にはVB≒VCCとなる。
【0051】
このようにして生成されるブート電圧VBは、上側ドライバ103に供給されており、上側ゲート信号G1のハイレベル(=上側トランジスタ101をオンするためのゲート電圧)として用いられる。従って、上側トランジスタ101のオン期間には、上側ゲート信号G1のハイレベル(≒VB)がスイッチ電圧VSWのハイレベル(≒VIN)よりも高い電圧値(≒VIN+VCC)まで引き上げられるので、上側トランジスタ101のゲート・ソース間電圧を高めて上側トランジスタ101を確実にオンすることが可能となる。
【0052】
なお、ブートストラップ回路の構成要素としては、トランジスタ114に代えて、アノードがVCC端子に接続されてカソードがBST端子に接続されたダイオードを用いてもよい。この場合、ブート電圧VBは、VB≒VSW+VCC-Vf(ただし、Vfはダイオードの順方向降下電圧)となる。
【0053】
トランジスタ115のドレインは、SW端子(=スイッチ電圧VSWの印加端)に接続されている。トランジスタ115のソースは、PGND端子(=パワー系回路の接地端)に接続されている。なお、トランジスタ114は、制御ロジック105からゲートに入力される制御信号S4がハイレベルであるときにオンして制御信号S4がローレベルであるときにオフする。
【0054】
このように接続されたトランジスタ115は、半導体装置100を動作状態からイネーブル制御でシャットダウンするときに出力平滑用のキャパシタC3をディスチャージするための抵抗負荷(例えば80Ω)として機能する。すなわち、半導体装置100のシャットダウンにより上側トランジスタ101及び下側トランジスタ102をいずれもオフするときに、トランジスタ115をオンするとよい。なお、出力電圧VOUTは、例えば、目標値の10%までディスチャージしてもよい。
【0055】
コンパレータ116は、スイッチング周期の1サイクル毎に上側トランジスタ101の両端間電圧(=VIN-VSW)を監視して上側過電流検出信号HOCPを生成する。上側トランジスタ101がオンしているときに、上側トランジスタ101に流れる電流が過電流検出値IOCPHに達すると、上側過電流検出信号HOCPがハイレベルとなる。このとき、制御ロジック105は、上側トランジスタ101をオフして下側トランジスタ102をオンする。
【0056】
コンパレータ117は、スイッチング周期の1サイクル毎に下側トランジスタ102の両端間電圧(=VSW)を監視して下側過電流検出信号LOCPを生成する。下側トランジスタ102がオンしているときに、下側トランジスタ102に流れる電流が過電流検出値IOCPLに達すると、下側過電流検出信号LOCPがハイレベルとなる。このとき、制御ロジック105は、帰還電圧FBが内部基準電圧VREFを下回っても上側トランジスタ101をオフして下側トランジスタ102をオンした状態を継続する。その後、下側トランジスタ102に流れる電流が上限値を下回ると、上側トランジスタ101をオンすることが可能となる。
【0057】
コンパレータ118は、スイッチング周期の1サイクル毎に下側トランジスタ102の両端間電圧(=VSW)を監視してゼロクロス/シンク(リバース)過電流検出信号ZX/ROCPを生成する。例えば、軽負荷モードでは、制御ロジック105は、下側トランジスタ102がオンしているときに下側トランジスタ102に流れる電流のゼロクロスタイミングを検出して下側トランジスタ102をオフする。また、固定PWMモードでは、制御ロジック105は、下側トランジスタ102がオンしているときにSW端子から下側トランジスタ102に向けて流れるシンク電流(リバース電流)が上限値に達したことを検出し、下側トランジスタ102をオフして上側トランジスタ101をオンする。
【0058】
低入力電圧誤動作防止回路119は、入力電圧VIN及び内部電源電圧VCCを監視してUVLO[under voltage lock out]保護を掛ける。例えば、入力電圧VINが1.85V以下または内部電源電圧VCCが2.5V以下になると、半導体装置100がシャットダウンする。一方、入力電圧VINが2.4V以上かつ内部電源電圧VCCが2.8V以上になると、半導体装置100が起動する。
【0059】
温度保護回路120は、半導体装置100の接合部温度Tjを監視して温度保護を掛ける。例えば、接合部温度Tjが175℃以上になると、半導体装置100がシャットダウンする。その後、接合部温度Tjが150℃以下(ヒステリシス25℃)になると、半導体装置100が自動で再起動する。
【0060】
負荷短絡保護回路121は、帰還電圧VFBと過電流保護状態を監視して負荷短絡保護を掛ける。例えば、半導体装置100の起動後、帰還電圧VFBが内部基準電圧VREFの80%以下になるか、スイッチング周期の複数サイクル(例えば31サイクル)に亘って過電流保護が連続的に掛かると、半導体装置100がシャットダウンする。なお、シャットダウン後に117msが経過すると、半導体装置100が自動で再起動する。
【0061】
過電圧保護回路122は、帰還電圧VFBを監視して過電圧保護を掛ける。例えば、帰還電圧VFBが内部基準電圧VREFの116%以上になると、下側トランジスタ102がオンして出力電圧VOUTの上昇が抑制される。その後、帰還電圧VFBが内部基準電圧VREFの105%以下になると、通常動作状態に復帰する。
【0062】
パワーグッド回路123は、帰還電圧VFBを監視してトランジスタ124のオン/オフ制御(延いてはパワーグッド信号PGDの出力制御)を行う。例えば、出力電圧VOUTが目標値の92.5%~105%に達し、その状態が0.9msに亘って継続すると、トランジスタ124がオフされる。一方、出力電圧VOUTが目標値の116%以上または80%以下になると、トランジスタ124がオンされる。
【0063】
トランジスタ124のドレインは、PGD端子に接続されている。トランジスタ124のソースは、接地端(=AGND端子)に接続されている。トランジスタ124は、先述のように、パワーグッド回路123によりオン/オフされる。トランジスタ124がオンしているときには、PGD端子がハイインピーダンス状態となる。一方、トランジスタ124がオフしているときには、PGD端子が接地端にプルダウンされる。このようなパワーグッド機能を具備することにより、システム全体のシーケンス制御が可能となる。
【0064】
モードセレクタ125は、MODE端子の状態に応じてスイッチング周波数FREQと動作モードMODEを設定する。なお、動作モードとして軽負荷モードが選択されている場合、重負荷状態ではPWMモード制御でスイッチング動作し、軽負荷状態では効率を向上させるためにLLM[light load mode]モード制御でスイッチング動作する。一方、動作モードとして固定PWMモードが選択されている場合には、負荷の重さに依ることなく強制的にPWMモード制御でスイッチング動作する。軽負荷モードでは、軽負荷領域での効率が改善されるので、待機時電力を抑えたい機器に好適である。
【0065】
<内部基準電圧生成回路(第1実施形態)>
図3は、内部基準電圧生成回路107の第1実施形態を示す図である。第1実施形態の内部基準電圧生成回路107は、第1内部基準電圧生成部107aと、第2内部基準電圧生成部107bと、抵抗107c及び107dと、オペアンプ107e及び107fと、抵抗107g及び107hと、を含む。
【0066】
第1内部基準電圧生成部107aは、AGND端子を基準電位として動作し、内部電源電圧VCC(例えば3V)から内部基準電圧VREF1(例えば1.2V)を生成する。なお、第1内部基準電圧VREF1は、低入力電圧誤動作防止回路119及び温度保護回路120などに出力される。
【0067】
第2内部基準電圧生成部107bは、RGND端子を基準電位として動作し、内部電源電圧VCC(例えば3V)から内部基準電圧VREF2(例えば1.2V)を生成する。
【0068】
抵抗107c及び107dは、内部基準電圧VREF2の印加端と接地端(=RGND端子)との間に直列接続されており、相互間の接続ノードから分圧電圧VDIV1(例えば0.6V)を出力する。なお、抵抗107c及び107dは、それぞれの抵抗値を微調整する機能(例えばトリミング機能)を備えていてもよい。また、抵抗107c及び107dに代えて、複数の分圧電圧を引き出すことのできる抵抗ラダーを用いてもよい。
【0069】
オペアンプ107eの非反転入力端(+)は、分圧電圧VDIV1の印加端(=抵抗107c及び107d相互間の接続ノード)に接続されている。オペアンプ107eの出力端及び反転入力端(-)は、ノードn1に共通に接続されている。このように接続されたオペアンプ107eは、分圧電圧VDIV1を内部基準電圧VREFとして後段に出力するバッファアンプとして機能する。
【0070】
なお、第1実施形態の内部基準電圧生成回路107において、ノードn1は、SS/REF端子に直接接続されている。
【0071】
オペアンプ107fの非反転入力端(+)は、SS/REF端子に接続されている。オペアンプ107fの反転入力端(-)は、分圧電圧VDIV2の印加端(=抵抗107g及び107h相互間の接続ノード)に接続されている。オペアンプ107fの出力端は、内部基準電圧VREF3(例えば1.2V)の出力端に接続されている。
【0072】
抵抗107g及び107hは、内部基準電圧VREF3の印加端と接地端(=RGND端子)との間に直列接続されており、相互間の接続ノードから分圧電圧VDIV2(例えば0.6V)を出力する。なお、抵抗107g及び107hは、それぞれの抵抗値を微調整する機能(例えばトリミング機能)を備えていてもよい。また、抵抗107g及び107hに代えて、複数の内部基準電圧を引き出すことのできる抵抗ラダーを用いてもよい。
【0073】
図4は、第1実施形態におけるオペアンプ107eの一構成例を示す図である。本構成例のオペアンプ107eは、入力段e1と、出力段e2と、位相補償部e3と、を含む。
【0074】
入力段e1は、いわゆるPMOS入力型のフォールデッドカスコード回路であり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1~P4と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1~N4と、電流源CS0と、を含む。
【0075】
電流源CS0の第1端は、電源端に接続されている。電流源CS0の第2端は、トランジスタP1及びP2それぞれのソースに接続されている。トランジスタP1のゲートは、オペアンプ107eの非反転入力端(+)として、分圧電圧VDIV1の入力端に接続されている。一方、トランジスタP2のゲートは、オペアンプ107eの反転入力端(-)として、ノードn1(延いては、内部基準電圧VREFが現れるSS/REF端子)に接続されている。
【0076】
トランジスタP3及びP4それぞれのソースは、いずれも電源端に接続されている。トランジスタP3及びP4それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP3のドレインに接続されている。トランジスタP3及びP4それぞれのドレインは、トランジスタN1及びN2それぞれのドレインに接続されている。トランジスタN1及びN2それぞれのゲートは、いずれもバイアス電圧BIAS1の印加端に接続されている。なお、トランジスタN2及びP4それぞれのドレインは、ノード電圧VAの出力端に相当する。
【0077】
トランジスタN1のソースとトランジスタN3のドレインは、いずれもトランジスタP1のドレインに接続されている。トランジスタN2のソースとトランジスタN4のドレインは、いずれもトランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタN3及びN4それぞれのゲートは、いずれもバイアス電圧BIAS2の印加端に接続されている。トランジスタN3及びN4それぞれのソースは、いずれも接地端に接続されている。
【0078】
このように、入力段e1としてフォールデッドカスコード回路を用いることにより、2段構成の増幅段と同等のゲインを獲得することができる。
【0079】
出力段e2は、いわゆるNMOS出力型のソースフォロワであり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN5(=出力トランジスタに相当)と、電流源CS1及びCS2を含む。なお、本図では、説明の便宜上、出力段e3の構成要素として、外付けのキャパシタC5が含められている。
【0080】
電流源CS1の第1端は、電源端に接続されている。電流源CS1の第2端は、トランジスタN5のドレインに接続されている。トランジスタN5のゲートは、ノード電圧VAの印加端(=トランジスタN2及びP4それぞれのドレイン)に接続されている。トランジスタN5のソースと電流源CS2の第1端は、いずれもノードn1に接続されている。電流源CS2の第2端は、接地端に接続されている。ノードn1は、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)に直接接続されている。
【0081】
このように、出力段e2としてソースフォロアを用いることにより、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)が低インピーダンスとなる。従って、オペアンプ107eのポールを高周波側にシフトすることが可能となる。
【0082】
なお、ソースフォロワに代えてエミッタフォロワを用いる場合には、例えばトランジスタN5をnpn型のバイポーラトランジスタに置き換えればよい。その場合、先の説明における「ソース」、「ドレイン」及び「ゲート」をそれぞれ「エミッタ」、「コレクタ」及び「ベース」に読み替えて理解すれば足りる。
【0083】
なお、電流源CS1は、トランジスタN5を介してノードn1に流し込まれるソース電流I1を生成する。一方、電流源CS2は、ノードn2から接地端に向けて引き抜かれるシンク電流I2を生成する。ここで、ソース電流I1は、トランジスタN5の導通度に応じて最小値I1minから最大値I1maxまで変化する可変値(例えば0~48μA)である。一方、シンク電流I2は、ソース電流I1の最小値I1minよりも大きくかつソース電流I1の最大値I1maxよりも小さい固定値(例えば12μA)である。
【0084】
従って、ノードn1から内部基準電圧VREFの出力端に向かう方向を正とし、ソース電流I1の最大値I1maxからシンク電流I2を差し引いた差をIso(>0)とし、ソース電流I1の最小値I1minからシンク電流I2を差し引いた差をIsi(<0)とした場合、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)に流れる出力電流IOUT(=I1-I2)は、所定の出力範囲Isi~Iso(例えば-12μA~+36μA)で変化する。
【0085】
位相補償部e3は、入力段e1の出力端と出力段e2の入力端との間に設けられたキャパシタCa及びCbと抵抗Raを含む。接続関係について述べると、キャパシタCa及び抵抗Raそれぞれの第1端は、いずれもノード電圧VAの印加端(=トランジスタN2及びP4それぞれのドレイン)に接続されている。抵抗Raの第2端は、キャパシタCbの第1端に接続されている。キャパシタCa及びCbそれぞれの第2端は、いずれも接地端に接続されている。
【0086】
本構成例のオペアンプ107eでは、トランジスタP1及びP2それぞれのドレインに現れるノード電圧V1及びV2が互いに一致するように、トランジスタN2及びP4の接続ノードから出力されるノード電圧VAが制御される。
【0087】
つまり、電流源CS1からトランジスタN5を介してノードn1に流れ込むソース電流I1と、ノードn1から電流源CS2に引き込まれるシンク電流I2が釣り合う状態(IOUT=0)となるように、トランジスタN5の導通度が制御される。
【0088】
その結果、オペアンプ107eの出力平衡状態(定常状態)では、トランジスタP1のゲートに入力される分圧電圧VDIV1と、トランジスタP2のゲートに入力される内部基準電圧VREFが互いに一致する。
【0089】
図5は、第1実施形態におけるオペアンプ107eの出力段e2を等価的に示す図である。本図において、Vgs及びgmは、それぞれ、トランジスタN5のゲート・ソース間電圧及びトランスコンダクタンスを示している。また、C5はキャパシタC5の容量値を示している。
【0090】
オペアンプ107eを設計する際には、所望のゲインを獲得しつつ十分な位相余裕を確保しておく必要がある。そのため、理想的には、ポールが単一となるようにオペアンプ107eの回路設計を行うことが望ましい。具体的に述べると、出力段e3のポールは、ゲインを獲得するために高インピーダンスとなるトランジスタN5のゲート(=ノード電圧VAの印加端)のみとしたい。
【0091】
しかしながら、第1実施形態のオペアンプ107eでは、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)が帰還ノードとして反転入力端(-)に直接接続されている。そのため、内部基準電圧VREFは、ノード電圧VAから次の(1)式で表される。
【0092】
【数1】
【0093】
上記(1)式より、第1実施形態のオペアンプ107eでは、トランジスタN5のゲート(=ノード電圧VAの印加端)だけでなく、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)にもポールを生じることが分かる。このようにオペアンプ107eに2つ以上のポールが存在する場合には、ゼロ点を作るなどして発振を抑制する必要がある。
【0094】
なお、先にも述べたように、出力段e2としてソースフォロアを用いることにより、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)を低インピーダンスとすることができるので、出力ノードのポールを高周波側にシフトすることが可能である。
【0095】
しかしながら、SS/REF端子に外付けされるキャパシタC5の容量値が大きいときには、出力ノードのポールが低周波側にシフトしてしまう。その結果、十分な位相余裕を確保することができなくなり、最悪の場合にはオペアンプ107eが発振してしまう。
【0096】
図6は、第1実施形態におけるオペアンプ107eの出力特性を示す図である。なお、横軸は内部基準電圧VREFを示しており、縦軸は出力電流IOUTを示している。
【0097】
本図で示したように、出力電流IOUTは、オペアンプ107eの出力平衡状態(VREF=VDIV1)で0Aとなるように、所定の出力範囲Isi~Iso(例えば-12μA~+36μA)で変化する。なお、出力電流IOUTの出力範囲Isi~Isoは、出力段e2に導入された電流源CS1及びCS2を用いて任意に調整することができる。
【0098】
ただし、第1実施形態のオペアンプ107eでは、出力電流IOUTの傾き(=内部基準電圧VREFに対する変化量)が大きく、半導体装置100の起動時に内部基準電圧VREFのオーバーシュートを生じるおそれがある。
【0099】
以下では、オペアンプ107eの位相余裕を十分に確保しつつ、出力電流IOUTに適切な傾きを付与することのできる第2実施形態を提案する。
【0100】
<内部基準電圧生成回路(第2実施形態)>
図7は、内部基準電圧生成回路107の第2実施形態を示す図である。第2実施形態の内部基準電圧生成回路107は、先の第1実施形態(図3)を基本としつつ、さらに抵抗Rxを含んでいる。そこで、既出の構成要素については、図3と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
【0101】
本図で示すように、抵抗Rxは、オペアンプ107eの出力端及び反転入力端(-)が共通に接続されるノードn1とSS/REF端子との間に接続されている。すなわち、オペアンプ107eの反転入力端(-)(=トランジスタP2のゲート)には、内部基準電圧VREFではなく、ノードn1のノード電圧Vn1が負帰還入力されている。なお、抵抗Rxの抵抗値は、1kΩ程度に設計するとよい。
【0102】
図8は、第2実施形態におけるオペアンプ107eの一構成例を示す図である。本構成例のオペアンプ107eは、基本的に先出の図4と同様の構成であり、オペアンプ107eの出力端及び反転入力端(-)が共通に接続されるノードn1とSS/REF端子との間に抵抗Rxが接続されている。なお、本図では、説明の便宜上、出力段e3の構成要素として、第2実施形態で新たに追加された抵抗Rxが含められている。
【0103】
図9は、第2実施形態におけるオペアンプ107eの出力段e2を等価的に示す図である。本図において、Vgs及びgmは、それぞれ、トランジスタN5のゲート・ソース間電圧及びトランスコンダクタンスを示している。また、C5はキャパシタC5の容量値を示しており、Rxは抵抗Rxの抵抗値を示している。
【0104】
第2実施形態のオペアンプ107eでは、抵抗Rxの導入により、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)と帰還ノードが別になっている。本図に即して述べると、オペアンプ107eの反転入力端(-)(=トランジスタP2のゲート)には、抵抗Rxの下流側から引き出される内部基準電圧VREFではなく、抵抗Rxの上流側から引き出されるノード電圧Vn1が負帰還入力されている。なお、ノード電圧Vn1は、ノード電圧VAから次の(2)式で表される。
【0105】
【数2】
【0106】
上記(2)式より、第2実施形態のオペアンプ107eでは、内部基準電圧VREFの出力ノード(=SS/REF端子)にポールとゼロ点を生じることが分かる。従って、位相進みと位相遅れが互いに相殺されるので、オペアンプ107eの位相余裕を十分に確保することができる。その結果、SS/REF端子に外付けすることのできるキャパシタC5の仕様範囲を拡大することが可能となる。
【0107】
なお、抵抗RxとキャパシタC5は、一見するとRCフィルタを形成しているように見える。しかしながら、抵抗Rxは、内部基準電圧VREFのノイズ除去などを目的とするものではなく、意図的にオープンループ特性でゼロ点を発生させる目的で導入されたものであり、その技術的意義は全く異なる。参考値として、抵抗Rxが1kΩ程度、キャパシタC5が1000pF~1μF程度としてもよい。
【0108】
図10は、第2実施形態におけるオペアンプ107eの出力特性を示す図である。先の図6と同じく、横軸は内部基準電圧VREFを示しており、縦軸は出力電流IOUTを示している。
【0109】
本図で示すように、第2実施形態のオペアンプ107eでは、抵抗Rxの導入に伴い、出力電流IOUTの傾き(=内部基準電圧VREFに対する変化量)を先出の第1実施形態(図6)よりも緩やかなものとすることができる。
【0110】
本図に即して述べると、VREF<VL(<VDIV1)であるときには、出力段e3を形成するトランジスタN5の導通度が最大値まで引き上げられて出力電流IOUTが正側最大値Iso(=I1max-I2)に固定される。
【0111】
一方、VL<VREF<VHであるときには、トランジスタN5の導通度が徐々に引き下げられる。その結果、出力電流IOUTは、オペアンプ107eの出力平衡状態(VREF=VDIV1)で0Aとなるように所定の出力範囲Isi~Iso(例えば-12μA~+36μA)で変化する。
【0112】
また、(VDIV1<)VH<VREFであるときには、トランジスタN5の導通度が最低値まで引き下げられて出力電流IOUTが負側最大値Isi(=I1min-I2)に固定される。
【0113】
従って、内部基準電圧REFが分圧電圧VDIV1に近付くにつれて、出力電流IOUTが緩やかに減少していくので、半導体装置100の起動時における内部基準電圧VREFのオーバーシュートを抑制することが可能となる。
【0114】
なお、本図中のVslp1は、出力電流IOUTが正側最大値Isoから0まで変化する間、すなわち、ソース電流I1が最大値I1maxからシンク電流I2と同値まで減少する間に生じる内部基準電圧VREFの変化量(=VDIV1-VL)を示している。このとき、Vslp1=Rx×|Iso|(ただし、|Iso|は正側最大値Isoの絶対値)が成立する。従って、同式から、抵抗Rxの抵抗値を決定することが可能である。
【0115】
また、本図中のVslp2は、出力電流IOUTが0から負側最大値Isiまで変化する間、すなわち、ソース電流I1がシンク電流I2と同値から最小値I1minまで減少する間に生じる内部基準電圧VREFの変化量(=VH-VDIV1)を示している。このとき、Vslp2=Rx×|Isi|(ただし、|Isi|は負側最大値Isiの絶対値)が成立する。従って、同式から、抵抗Rxの抵抗値を決定することが可能である。
【0116】
なお、|Iso|=|Isi|である場合には、Vslp1=Vslp2となるので、いずれの式を用いても抵抗Rxの抵抗値を決定することができる。
【0117】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0118】
例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、オペアンプと、キャパシタが外付けされるように構成された外部端子と、前記オペアンプの出力端及び反転入力端が共通に接続されるノードと前記外部端子との間に接続されるように構成された抵抗と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0119】
なお、上記第1の構成による半導体装置において、前記オペアンプは、フォールデッドカスコード回路を用いて構成された入力段と、ソースフォロワまたはエミッタフォロワを用いて構成された出力段と、を含む構成(第2の構成)にしてもよい。
【0120】
また、上記第2の構成による半導体装置において、前記オペアンプは、前記入力段の出力端と前記出力段の入力端との間に設けられるように構成された位相補償部を更に含む構成(第3の構成)にしてもよい。
【0121】
また、上記第2または第3の構成による半導体装置において、前記出力段は、前記ソースフォロワ又は前記エミッタフォロワを形成するように構成された出力トランジスタと、前記出力トランジスタを介して前記ノードに流し込まれるソース電流を生成するように構成された第1電流源と、前記ノードから引き込まれるシンク電流を生成するように構成された第2電流源と、を含む構成(第4の構成)にしてもよい。
【0122】
上記第4の構成による半導体装置において、前記ソース電流は、前記出力トランジスタの導通度に応じて最小値から最大値まで変化する可変値であり、前記シンク電流は、前記ソース電流の前記最小値よりも大きくかつ前記ソース電流の前記最大値よりも小さい固定値である構成(第5の構成)にしてもよい。
【0123】
また、上記第5の構成による半導体装置において、前記ソース電流の前記最大値から前記シンク電流を差し引いた差の絶対値を|Iso|とし、前記ソース電流が前記最大値から前記シンク電流と同値まで減少する間に前記外部端子に生じる電圧変化量をVslp1とし、前記抵抗の抵抗値をRxとしたときには、Vslp1=Rx×|Iso|が成立する構成(第6の構成)にしてもよい。
【0124】
また、上記第5または第6の構成による半導体装置において、前記ソース電流の前記最小値から前記シンク電流を差し引いた差の絶対値を|Isi|とし、前記ソース電流が前記シンク電流と同値から前記最小値まで減少する間に前記外部端子に生じる電圧変化量をVslp2とし、前記抵抗の抵抗値をRxとしたときには、Vslp2=Rx×|Isi|が成立する構成(第7の構成)にしてもよい。
【0125】
また、上記第1~第7いずれかの構成による半導体装置は、前記外部端子に現れる端子電圧を内部基準電圧として利用する構成(第8の構成)にしてもよい。
【0126】
また、上記第8の構成による半導体装置は、スイッチング電源の出力電圧に応じた帰還電圧が前記内部基準電圧と一致するようにスイッチング出力段の駆動制御を行うように構成された出力帰還制御回路をさらに有する構成(第9の構成)にしてもよい。
【0127】
また、本明細書中に開示されているスイッチング電源は、上記第9の構成による半導体装置と、入力電圧から前記出力電圧を生成するように構成された前記スイッチング出力段と、を有する構成(第10の構成)にしてもよい。
【0128】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0129】
1 スイッチング電源
100 半導体装置
101 上側トランジスタ(Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ)
102 下側トランジスタ(Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ)
103 上側ドライバ
104 下側ドライバ
105 制御ロジック
106 内部電源電圧生成回路
107 内部基準電圧生成回路
107a 第1内部基準電圧生成部
107b 第2内部基準電圧生成部
107c、107d 抵抗
107e、107f オペアンプ
107g、107h 抵抗
108 エラーアンプ
109 位相補償回路
110 ランプ電圧生成回路
111 電圧重畳回路
112 メインコンパレータ
113 オン時間設定回路
114 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
115 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
116、117、118 コンパレータ
119 低入力電圧誤動作防止回路
120 温度保護回路
121 負荷短絡保護回路
122 過電圧保護回路
123 パワーグッド回路
124 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
125 モードセレクタ
C1~C5、Ca、Cb キャパシタ
CS0、CS1、CS2 電流源
e1 入力段
e2 出力段
e3 位相補償部
L1 インダクタ
N1~N5 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
P1~P4 Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ
R1~R5、Ra、Rx 抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10