(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183828
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】取付金具
(51)【国際特許分類】
E04D 3/36 20060101AFI20221206BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20221206BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E04D3/36 G
F16B2/06 A
F16B2/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091322
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591188941
【氏名又は名称】株式会社サカタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸元 孝之
(72)【発明者】
【氏名】久保 康弘
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直人
(72)【発明者】
【氏名】原 宏
(72)【発明者】
【氏名】北澤 紫乃
(72)【発明者】
【氏名】小林 匠
(72)【発明者】
【氏名】金子 典子
【テーマコード(参考)】
2E108
3J022
【Fターム(参考)】
2E108EE02
2E108GG15
3J022DA15
3J022EA02
3J022EB03
3J022EC02
3J022ED02
3J022FA01
3J022FB06
3J022GA12
3J022GB32
3J022HB02
(57)【要約】
【課題】所定の取り付け箇所に好適に固定することができる取付金具を実現する。
【解決手段】金具本体10の収容部11に構造物Kの一部を入れ込んだ状態で、ナット部材50をボルト部材40のボルト頭部41に向けて螺進させるように締め付けて、ナット部材50により押圧部材30をボルト頭部41側へ押圧し、その押圧部材30によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧することで、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間で構造物Kの一部を挟持した態様で、その取付金具100を所定の構造物Kに固定することができる。そして、その構造物Kに固定された取付金具100を介して、所定の取付対象物(例えば屋根材T)を構造物Kに取り付けることを可能にする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、前記構造物に固定する取付金具であって、
前記構造物の一部が入り込む収容部を有して側面視略コ字状を呈しており、前記収容部の上方に設けられてボルト孔が形成されている上板部と、前記収容部における前記上板部と対向する側の縁に設けられた当接部と、を有している金具本体と、
挿通孔が設けられており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される上面部を有し、前記金具本体の前記上板部側に配されて前記当接部に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている挟持部材と、
前記上板部の下面側にボルト頭部が係止されるように前記金具本体の前記ボルト孔に挿通され、前記挟持部材の前記挿通孔にも挿通されているボルト部材と、
前記金具本体と前記挟持部材を貫いている前記ボルト部材に螺着されているナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記ボルト頭部に向けて螺進された前記ナット部材により前記ボルト頭部側へ押圧された前記挟持部材が前記当接部側に向けて押圧されて、前記挟持部材の下端側の縁と前記当接部との間に前記構造物の一部が挟持されるように構成されていることを特徴とする取付金具。
【請求項2】
所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、前記構造物に固定する取付金具であって、
前記構造物の一部が入り込む収容部を有して側面視略コ字状を呈しており、前記収容部の上方に設けられてボルト孔が形成されている上板部と、前記収容部における前記上板部と対向する側の縁に設けられた当接部と、を有している金具本体と、
前記金具本体の前記上板部側に配されて前記当接部に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている挟持部材と、
挿通孔が形成されており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される板部を有し、その板部が前記挟持部材の上端に当接可能に配置されている押圧部材と、
前記金具本体と前記押圧部材の間に前記挟持部材が配置された状態において、前記上板部の下面側にボルト頭部が係止されるように前記金具本体の前記ボルト孔に挿通され、前記押圧部材の前記挿通孔にも挿通されているボルト部材と、
前記金具本体、前記押圧部材を貫いている前記ボルト部材に螺着されているナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記ボルト頭部に向けて螺進された前記ナット部材により前記ボルト頭部側へ押圧された前記押圧部材によって前記挟持部材が前記当接部側に向けて押圧されて、前記挟持部材の下端側の縁と前記当接部との間に前記構造物の一部が挟持されるように構成されていることを特徴とする取付金具。
【請求項3】
所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、前記構造物に固定する取付金具であって、
前記構造物の一部が入り込む収容部を有して側面視略コ字状を呈しており、前記収容部の上方に設けられてボルト孔が形成されている上板部と、前記収容部における前記上板部と対向する側の縁に設けられた当接部と、を有している金具本体と、
穴または間隙が設けられており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される上面部を有し、前記金具本体の前記上板部側に配されて前記当接部に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている挟持部材と、
挿通孔が形成されており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される板部を有し、その板部と前記上板部との間に前記挟持部材の前記上面部を介装するように配置されている押圧部材と、
前記上板部の下面側にボルト頭部が係止されるように前記金具本体の前記ボルト孔に挿通され、前記挟持部材の前記上面部に設けられている穴または間隙を通じて前記押圧部材の前記挿通孔にも挿通されているボルト部材と、
前記金具本体、前記挟持部材、前記押圧部材を貫いている前記ボルト部材に螺着されているナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記ボルト頭部に向けて螺進された前記ナット部材により前記ボルト頭部側へ押圧された前記押圧部材によって前記挟持部材が前記当接部側に向けて押圧されて、前記挟持部材の下端側の縁と前記当接部との間に前記構造物の一部が挟持されるように構成されていることを特徴とする取付金具。
【請求項4】
前記押圧部材には、その一部が折曲されて前記板部と略直交するように形成された折下部が設けられており、
前記折下部が前記挟持部材における前記上面部と交差する面と接触することで、前記挟持部材の姿勢を安定させるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の取付金具。
【請求項5】
前記当接部は、前記金具本体の一部が折曲されて形成されており、前記上板部と略平行な面を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項6】
前記挟持部材の下端側の縁は、下面視略C字形状を呈していることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の取付金具。
【請求項7】
前記収容部における前記当接部と対向する縁には、前記金具本体の一部が外側に折曲されて形成された左右一対のガイド部が互いに離間する方向に突き出して設けられており、
前記挟持部材は、前記金具本体の前記上板部側を覆い、前記左右一対のガイド部を内接させるように囲う態様に形成されており、
前記ガイド部がスライド移動する前記挟持部材に接触することで、前記挟持部材の姿勢を安定させるように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材などの取り付けに用いる取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、H型鋼を用いた梁に折板屋根を取り付けるための折板屋根用取付金具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この折板屋根用取付金具は、側面視略コ字状を呈するクランプ本体と、クランプ本体の上枠部を貫通して下枠部に向けて螺合されている締付ねじ棒を備えており、クランプ本体の下枠部と締付ねじ棒とでH型鋼の上フランジを挟持した状態でH型鋼に固定することができ、H型鋼に固定された取付金具に折板屋根を取り付けるようにして、H型鋼(梁)に折板屋根を取り付けることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の取付金具の場合、クランプ本体の下枠部と締付ねじ棒とでH型鋼の上フランジを挟持するのに、上フランジに締付ねじ棒の先端部を突き当てた態様をとるため、その接触部分が少ない分、H型鋼に固定された姿勢が安定しないことがあるので、その改善が必要であった。
また、折板屋根が設置された状態で、取付金具のみを取り外し難いという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、所定の取り付け箇所に好適に固定することができる取付金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本出願に係る第一の発明は、
所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、前記構造物に固定する取付金具であって、
前記構造物の一部が入り込む収容部を有して側面視略コ字状を呈しており、前記収容部の上方に設けられてボルト孔が形成されている上板部と、前記収容部における前記上板部と対向する側の縁に設けられた当接部と、を有している金具本体と、
挿通孔が設けられており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される上面部を有し、前記金具本体の前記上板部側に配されて前記当接部に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている挟持部材と、
前記上板部の下面側にボルト頭部が係止されるように前記金具本体の前記ボルト孔に挿通され、前記挟持部材の前記挿通孔にも挿通されているボルト部材と、
前記金具本体と前記挟持部材を貫いている前記ボルト部材に螺着されているナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記ボルト頭部に向けて螺進された前記ナット部材により前記ボルト頭部側へ押圧された前記挟持部材が前記当接部側に向けて押圧されて、前記挟持部材の下端側の縁と前記当接部との間に前記構造物の一部が挟持されるように構成されているようにした。
【0007】
かかる構成の取付金具であれば、金具本体の収容部に構造物の一部を入れ込んだ状態で、ナット部材をボルト部材のボルト頭部に向けて螺進させるように締め付けて、ナット部材によって挟持部材を金具本体の当接部側に向けて押圧することで、挟持部材の下端側の縁と当接部との間で構造物の一部を挟持した態様で、その取付金具を構造物に固定することができる。
つまり、金具本体の収容部にその一部を入れ込むことができる所定の構造物であれば、その構造物の取り付け箇所に取付金具を好適に固定することができる。
特に、挟持部材の下端側の縁と当接部との間で構造物の一部を挟持した態様で、取付金具を構造物に固定することができるので、金具本体と挟持部材とで構造物をしっかりと挟持することができ、取付金具を所望する取り付け箇所に好適に固定することができる。
そして、その構造物に固定された取付金具を介して、所定の取付対象物を構造物に取り付けることを可能にする。
【0008】
上記目的を達成するため、本出願に係る第二の発明は、
所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、前記構造物に固定する取付金具であって、
前記構造物の一部が入り込む収容部を有して側面視略コ字状を呈しており、前記収容部の上方に設けられてボルト孔が形成されている上板部と、前記収容部における前記上板部と対向する側の縁に設けられた当接部と、を有している金具本体と、
前記金具本体の前記上板部側に配されて前記当接部に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている挟持部材と、
挿通孔が形成されており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される板部を有し、その板部が前記挟持部材の上端に当接可能に配置されている押圧部材と、
前記金具本体と前記押圧部材の間に前記挟持部材が配置された状態において、前記上板部の下面側にボルト頭部が係止されるように前記金具本体の前記ボルト孔に挿通され、前記押圧部材の前記挿通孔にも挿通されているボルト部材と、
前記金具本体、前記押圧部材を貫いている前記ボルト部材に螺着されているナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記ボルト頭部に向けて螺進された前記ナット部材により前記ボルト頭部側へ押圧された前記押圧部材によって前記挟持部材が前記当接部側に向けて押圧されて、前記挟持部材の下端側の縁と前記当接部との間に前記構造物の一部が挟持されるように構成されているようにした。
【0009】
かかる構成の取付金具であれば、金具本体の収容部に構造物の一部を入れ込んだ状態で、ナット部材をボルト部材のボルト頭部に向けて螺進させるように締め付けて、ナット部材により押圧部材をボルト頭部側へ押圧し、その押圧部材によって挟持部材を金具本体の当接部側に向けて押圧することで、挟持部材の下端側の縁と当接部との間で構造物の一部を挟持した態様で、その取付金具を構造物に固定することができる。
つまり、金具本体の収容部にその一部を入れ込むことができる所定の構造物であれば、その構造物の取り付け箇所に取付金具を好適に固定することができる。
特に、挟持部材の下端側の縁と当接部との間で構造物の一部を挟持した態様で、取付金具を構造物に固定することができるので、金具本体と挟持部材とで構造物をしっかりと挟持することができ、取付金具を所望する取り付け箇所に好適に固定することができる。
そして、その構造物に固定された取付金具を介して、所定の取付対象物を構造物に取り付けることを可能にする。
【0010】
上記目的を達成するため、本出願に係る第三の発明は、
所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、前記構造物に固定する取付金具であって、
前記構造物の一部が入り込む収容部を有して側面視略コ字状を呈しており、前記収容部の上方に設けられてボルト孔が形成されている上板部と、前記収容部における前記上板部と対向する側の縁に設けられた当接部と、を有している金具本体と、
穴または間隙が設けられており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される上面部を有し、前記金具本体の前記上板部側に配されて前記当接部に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている挟持部材と、
挿通孔が形成されており前記金具本体の前記上板部と略平行に配される板部を有し、その板部と前記上板部との間に前記挟持部材の前記上面部を介装するように配置されている押圧部材と、
前記上板部の下面側にボルト頭部が係止されるように前記金具本体の前記ボルト孔に挿通され、前記挟持部材の前記上面部に設けられている穴または間隙を通じて前記押圧部材の前記挿通孔にも挿通されているボルト部材と、
前記金具本体、前記挟持部材、前記押圧部材を貫いている前記ボルト部材に螺着されているナット部材と、
を備え、
前記ボルト部材の前記ボルト頭部に向けて螺進された前記ナット部材により前記ボルト頭部側へ押圧された前記押圧部材によって前記挟持部材が前記当接部側に向けて押圧されて、前記挟持部材の下端側の縁と前記当接部との間に前記構造物の一部が挟持されるように構成されているようにした。
【0011】
かかる構成の取付金具であれば、金具本体の収容部に構造物の一部を入れ込んだ状態で、ナット部材をボルト部材のボルト頭部に向けて螺進させるように締め付けて、ナット部材により押圧部材をボルト頭部側へ押圧し、その押圧部材によって挟持部材を金具本体の当接部側に向けて押圧することで、挟持部材の下端側の縁と当接部との間で構造物の一部を挟持した態様で、その取付金具を構造物に固定することができる。
つまり、金具本体の収容部にその一部を入れ込むことができる所定の構造物であれば、その構造物の取り付け箇所に取付金具を好適に固定することができる。
特に、挟持部材の下端側の縁と当接部との間で構造物の一部を挟持した態様で、取付金具を構造物に固定することができるので、金具本体と挟持部材とで構造物をしっかりと挟持することができ、取付金具を所望する取り付け箇所に好適に固定することができる。
そして、その構造物に固定された取付金具を介して、所定の取付対象物を構造物に取り付けることを可能にする。
【0012】
また、望ましくは、
前記押圧部材には、その一部が折曲されて前記板部と略直交するように形成された折下部が設けられており、
前記折下部が前記挟持部材における前記上面部と交差する面と接触することで、前記挟持部材の姿勢を安定させるように構成されているようにする。
【0013】
挟持部材とともに押圧部材をスライド移動させる際に、押圧部材の折下部が、例えば挟持部材における上面部と略直交する前面部と接触することで、その挟持部材の姿勢を安定させることができる。
例えば、挟持部材だけでのスライド移動では、その挟持部材の上面部側が金具本体の前面側にずれてしまうことがある場合に、押圧部材の折下部が挟持部材の前面部に接触することで、挟持部材がずれるのを防ぐことができ、スライド移動する挟持部材の姿勢を安定させることができる。
【0014】
また、望ましくは、
前記当接部は、前記金具本体の一部が折曲されて形成されており、前記上板部と略平行な面を有しているようにする。
【0015】
金具本体の当接部が上板部と略平行な面を有していれば、挟持部材の下端側の縁と当接部との間に構造物の一部を挟持した場合に、当接部と構造物との接触部分を比較的広く取るようにすることができるので、金具本体と挟持部材とで構造物をしっかりと挟持することができ、取付金具を所望する取り付け箇所に好適に固定することができる。
【0016】
また、望ましくは、
前記挟持部材の下端側の縁は、下面視略C字形状を呈しているようにする。
【0017】
挟持部材の下端側の縁が下面視略C字形状を呈していれば、挟持部材の下端側の縁と当接部との間に構造物の一部を挟持した場合に、挟持部材と構造物との接触部分を比較的広く取るようにすることができるので、金具本体と挟持部材とで構造物をしっかりと挟持することができ、取付金具を所望する取り付け箇所に好適に固定することができる。
【0018】
また、望ましくは、
前記収容部における前記当接部と対向する縁には、前記金具本体の一部が外側に折曲されて形成された左右一対のガイド部が互いに離間する方向に突き出して設けられており、
前記挟持部材は、前記金具本体の前記上板部側を覆い、前記左右一対のガイド部を内接させるように囲う態様に形成されており、
前記ガイド部がスライド移動する前記挟持部材に接触することで、前記挟持部材の姿勢を安定させるように構成されているようにする。
【0019】
金具本体に対して挟持部材をスライド移動させる際に、左右一対のガイド部がスライド移動する挟持部材の内面に接触することで、その挟持部材の姿勢を安定させることができる。
例えば、挟持部材が前面部と側面部と背面部とを有している場合、ガイド部の前面側が挟持部材の前面部の内面に接触し、ガイド部の側面側が挟持部材の側面部の内面に接触し、ガイド部の背面側が挟持部材の背面部の内面に接触するようになって、スライド移動する挟持部材の姿勢を安定させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、所定の取り付け箇所に好適に固定することができる取付金具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の取付金具を示す正面図(a)と、側面図(b)と、背面図(c)である。
【
図2】取付金具の金具本体を示す上面図(a)と、正面図(b)と、側面図(c)である。
【
図3】取付金具の挟持部材を示す上面図(a)と、背面図(b)と、側面図(c)である。
【
図4】取付金具の押圧部材を示す上面図(a)と、側面図(b)である。
【
図5】本実施形態の取付金具を示す正面図(a)と、側面図(b)と、背面図(c)である。
【
図6】本実施形態の取付金具を示す正面図(a)と、側面図(b)と、背面図(c)である。
【
図7】取付金具を構造物に取り付けたり、取り外したりする手順に関する説明図(a)(b)である。
【
図8】構造物に取り付けた取付金具に台形フレームを取り付け、その台形フレームと取付金具を介して屋根材を構造物に取り付けた態様の説明図である。
【
図9】実施形態2の取付金具を示す正面図(a)と、側面図(b)と、背面図(c)である。
【
図10】実施形態2の取付金具の挟持部材を示す上面図(a)と、背面図(b)と、側面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る取付金具の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の取付金具100は、例えば、
図1~
図4に示すように、金具本体10、挟持部材20、押圧部材30、ボルト部材40、ナット部材50等を備えて構成されている。
取付金具100は、所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、その構造物に固定して使用するクランプ金具である。
この取付金具100を構成する金具本体10、挟持部材20、押圧部材30はそれぞれ、高耐食性メッキ鋼板を折曲加工して形成したパーツである。
【0024】
金具本体10は、例えば、
図1、
図2に示すように、構造物の一部が入り込む収容部11を有して側面視略コ字状を呈しており、収容部11の上方に設けられてボルト孔12aが形成されている上板部12と、収容部11における上板部12と対向する側の縁に設けられた当接部13と、を有している。
【0025】
上板部12のボルト孔12aは、後述するボルト部材40の軸が挿通可能であって、ボルト頭部41は通過できないサイズの貫通孔であり、本実施形態では
図2(a)に示すように、矩形の貫通孔をボルト孔12aとした。
【0026】
当接部13は、金具本体10の一部が外側に折曲されて形成されており、上板部12と略平行な面を有している。
この当接部13の上面が、取付金具100を固定する構造物の一部に接触するようになっている。
また、収容部11における当接部13と対向する縁には、金具本体10の一部が外側に折曲されて形成されたガイド部14が設けられている。このガイド部14も上板部12と略平行な面を有している。
具体的には、上板部12の左右両側には、上板部12と直交する横板部121が延設されており、その横板部121の一部が折曲されて当接部13とガイド部14が設けられている。
また、横板部121には、当接部13やガイド部14の折り線と直交する折り線で折曲された背板部15が設けられている。この背板部15は、横板部121を補強するために設けられている。
【0027】
当接部13とガイド部14と背板部15は、左右の横板部121にそれぞれ設けられている。つまり、金具本体10には、左右一対の当接部13、左右一対のガイド部14、左右一対の背板部15が設けられている。
なお、左右一対の当接部13、左右一対のガイド部14、左右一対の背板部15はそれぞれ、互いに離間する方向に突き出して設けられている。
【0028】
挟持部材20は、例えば、
図1、
図3に示すように、間隙22aが設けられており金具本体10の上板部12と略平行に配される上面部22を有し、金具本体10の上板部12側に配されて当接部13に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている。
この挟持部材20は、金具本体10の上板部12側を覆い、左右一対のガイド部14を内接させるように囲う態様に形成されている。
具体的には、挟持部材20は、前面部21と側面部23と背面部24とを有する挟持部本体を備えており、挟持部本体の側面部23の上側に側面部23と直交するように上面部22が延設されている。
そして、この挟持部本体が金具本体10の左右一対のガイド部14を内接させるように囲う形状を有している。
詳述すると、挟持部本体における前面部21と側面部23は互いに直交するように折曲されてなり、また側面部23と背面部24は互いに直交するように折曲されてなる。
この挟持部材20の下端側の縁である、挟持部本体(前面部21と側面部23と背面部24)の下端側の縁は、下面視略C字形状を呈している。
このような挟持部本体を有する挟持部材20の内面に金具本体10のガイド部14が内接するようになっている。
また、下面視略C字形状を呈している挟持部材20の下端側の縁が、取付金具100を固定する構造物の一部に接触するようになっている。
【0029】
この挟持部材20の上面部22に設けられている間隙22aは、後述するボルト部材40の軸が挿通可能であって、ボルト頭部41は通過できない幅を有している。
なお、本実施形態では挟持部材20の上面部22に間隙22aを設けるようにしたが、挟持部材20の上面部22に、後述するボルト部材40の軸が挿通可能であって、ボルト頭部41は通過できないサイズの穴(貫通孔)を設けるようにしてもよい。
【0030】
押圧部材30は、例えば、
図1、
図4に示すように、挿通孔32aが形成されており金具本体10の上板部12と略平行に配される板部32を有し、その板部32と上板部12との間に挟持部材20の上面部22を介装するように配置されている。
この押圧部材30には、その一部が折曲されて板部32と略直交するように形成された折下部(31,33)が設けられている。ここでは、板部32の前後両側にそれぞれ折下部(31,33)が設けられている。
本実施形態では、板部32の前側に板部32と直交する第一折下部31が延設され、板部32の後側に板部32と直交する第二折下部33が延設されている。なお、第一折下部31の方が第二折下部33よりも下方に長く延在している。
そして、この押圧部材30を挟持部材20に重ねて配置した状態で、押圧部材30の第一折下部31が挟持部材20の前面部21と接触し、押圧部材30の第二折下部33が挟持部材20の背面部24と接触する向きになる。
つまり、押圧部材30の第一折下部31は、挟持部材20の上面部22と交差する向きの前面部21と接触し、押圧部材30の第二折下部33は、挟持部材20の上面部22と交差する向きの背面部24と接触するようになっている。
【0031】
板部32の挿通孔32aは、後述するボルト部材40の軸が挿通可能であって、ボルト頭部41は通過できないサイズの貫通孔であり、本実施形態では
図4(a)に示すように、円形の貫通孔を挿通孔32aとした。
【0032】
ボルト部材40は、金具本体10の上板部12の下面側にボルト頭部41が係止されるようにボルト孔12aに挿通されている。
また、金具本体10の上板部12のボルト孔12aに挿通されたボルト部材40は、挟持部材20の上面部22の間隙22aを通じて押圧部材30の板部32の挿通孔32aにも挿通されている。
ここでは、上板部12の下面側にボルト頭部41が係止されるようにボルト孔12aに挿通されたボルト部材40がその位置からずれないように、上板部12の上面側においてボルト部材40の軸にストッパリング45を取り付けている。
ストッパリング45は、例えば、軟質ポリエチレン製のリング部材であり、ボルト部材40の軸に密着させて取り付けることができる。
このストッパリング45を、ボルト孔12aに挿通されたボルト部材40の軸の根元に取り付けることで、上板部12の下面側にボルト頭部41が係止された状態が維持される。
【0033】
こうして、金具本体10の上板部12に係止されたボルト部材40の軸に沿うように、挟持部材20と押圧部材30がスライド移動し、その配置を切り替えることができる。
特に、金具本体10に対して挟持部材20をスライド移動させる際に、左右一対のガイド部14がスライド移動する挟持部材20の内面に接触することで、その挟持部材20の姿勢を安定させることができる。
具体的には、ガイド部14の前面側が挟持部材20の前面部21の内面に接触し、ガイド部14の側面側が挟持部材20の側面部23の内面に接触し、ガイド部14の背面側が挟持部材20の背面部24の内面に接触するようになって、スライド移動する挟持部材20の姿勢を安定させることができる。
また、挟持部材20の左右一対の背面部24が、金具本体10の左右一対のガイド部14と接触することで、挟持部材20が金具本体10の前面側に外れてしまわないようになっているので、挟持部材20を好適にスライド移動させることができる。
【0034】
また、挟持部材20とともに押圧部材30をスライド移動させる際に、押圧部材30の第一折下部31が、挟持部材20の前面部21と接触することで、その挟持部材20の姿勢を安定させることができる。
具体的には、押圧部材30の第一折下部31が挟持部材20の前面部21に接触することで、挟持部材20の上面部22側が金具本体10の前面側にずれてしまうのを防ぐことができる。
【0035】
ナット部材50は、金具本体10、挟持部材20、押圧部材30を貫いているボルト部材40に螺着されている。
このナット部材50をボルト部材40のボルト頭部41に向けて螺進させ、ナット部材50により押圧部材30をボルト頭部41側へ押圧し、その押圧部材30によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧することで、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間に構造物の一部を挟持することができる。
具体的には、金具本体10の収容部11に入れ込むことができ、ある程度の厚みを有する構造物の一部であれば、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間で挟持することができる。
【0036】
例えば、
図5(a)~(c)(特に
図5(b))に示すように、金具本体10の収容部11であって、当接部13とガイド部14の間に構造物Kを入れ込むことができれば、ナット部材50をボルト頭部41に向けて締め込むことで、ナット部材50により押圧部材30をボルト頭部41側へ押圧し、押圧部材30によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧するようにして、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間に構造物Kを挟持することができる。
ここで
図5(b)に示した構造物Kの厚みが、この取付金具100を固定可能な最大の厚みである。
なお、ナット部材50を螺退させて、挟持した構造物Kから挟持部材20や金具本体10を離間させるようにして、構造物Kに固定した取付金具100を取り外すことが可能になる。
【0037】
また、
図6(a)~(c)(特に
図6(b))に示すように、金具本体10の収容部11に入れ込むことができ、ある程度の厚みを有する構造物Kであれば、ナット部材50をボルト頭部41に向けて締め込むことで、ナット部材50により押圧部材30をボルト頭部41側へ押圧し、押圧部材30によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧するようにして、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間に構造物Kを挟持することができる。
ここで
図6(b)に示した構造物Kの厚みが、この取付金具100を固定可能な最小の厚みである。
なお、ナット部材50を螺退させて、挟持した構造物Kから挟持部材20や金具本体10を離間させるようにして、構造物Kに固定した取付金具100を取り外すことが可能になる。
【0038】
このように、
図5(b)に示した最大の厚みと
図6(b)に示した最小の厚みの範囲内であれば、金具本体10の収容部11に入れ込んだ構造物Kを挟持するようにして、取付金具100を構造物Kに固定することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態の取付金具100であれば、金具本体10における上板部12と略平行な面を有している当接部13と、下面視略C字形状を呈している挟持部材20の下端側の縁との間で構造物Kの一部を挟み込んだ状態で、取付金具100を構造物Kに固定することができるので、取付金具100と構造物Kとの接触部分を比較的広く取るようにして取付金具100を構造物Kに固定することができる。
このように、取付金具100が構造物Kを挟持する際に、金具本体10と挟持部材20における構造物Kとの接触部分を比較的広く取るようにすることで、金具本体10と挟持部材20とで構造物Kをしっかりと挟持することができ、取付金具100を所望する取り付け箇所に好適に固定することができる。
【0040】
ここで、本実施形態の取付金具100が、金具本体10、挟持部材20、押圧部材30の3つのパーツを備えている理由について説明する。
本実施形態では、取付金具100の耐候性を安価に高耐候とするため、高耐食性メッキ鋼板を折曲加工して、金具本体10、挟持部材20、押圧部材30を形成しております。
例えば、溶接による加工を採用すれば、3つのパーツを2つにするなど部品点数を削減することが可能ですが、溶接部分の耐候性を上げるために後メッキを施す必要が生じてしまいます。
但し、後メッキは純亜鉛成分によるものであるため、高耐食性メッキ鋼板よりも耐食性(耐候性)に劣ります。
このような理由から部品点数の削減よりも、取付金具100が高耐候性を有することが重要であると本発明者らは考え、本実施形態の取付金具100を想到いたしました。
【0041】
また、押圧部材30を用いずに、挟持部材20とナット部材50が接触するような取り付け態様も考えられますが、ナット部材50を挟持部材20に対して強く締め付けた場合に、挟持部材20の上面部22が下方に凹むなど変形してしまう可能性があります。
ナット部材50の締め付けによって挟持部材20の上面部22が下方に凹むように変形してしまうと、その締め付け力が挟持部材20に対して十分に伝達されず、挟持部材20の下端側の縁と金具本体10の当接部13とで構造物を挟み込む挟持力が十分に発揮されないことがあります。
このような理由から押圧部材30を必要とし、金具本体10、挟持部材20、押圧部材30の3つのパーツを備えた取付金具100が有効であると本発明者らは考え、本実施形態の取付金具100を想到いたしました。
【0042】
以上のように、高耐食性メッキ鋼板を折曲加工してなる金具本体10と挟持部材20と押圧部材30とを備えた取付金具100が、耐候性と製造コストの観点から有効であると本発明者らは判断し、本実施形態の取付金具100を実現いたしました。
【0043】
次に、本実施形態の取付金具100を構造物Kに取り付けたり、取り外したりする手順について説明する。
【0044】
例えば、
図7(a)に示すように、屋根構造体を構成する構造物KであるH型鋼のフランジを、金具本体10の当接部13と挟持部材20の下端側の縁とで挟持した態様で取付金具100が構造物Kに固定されている。
また、構造物Kに固定されている取付金具100のボルト部材40が、構造物K(H型鋼)への取付対象物である屋根材Tの小穴Hに挿し込まれており、そのボルト部材40にナットなどの締結部材Nが螺着されている。
こうして所定の取付対象物である屋根材Tが、取付金具100を介して構造物K(H型鋼)に取り付けられている。
【0045】
この取付金具100を交換する場合、まず、屋根材T固定用の締結部材Nをボルト部材40から外す。
次いで、
図7(b)に示すように、ナット部材50をボルト頭部41から螺退させるようにして、相対的にボルト部材40を屋根材T側から下方に移動させる。
このとき、ボルト部材40とともに金具本体10を下げて、H型鋼(構造物K)のフランジから金具本体10の当接部13を離間させるようにして、金具本体10の当接部13と挟持部材20の下端との間隔を広げるようにする。
こうして構造物Kの一部(H型鋼のフランジ)を挟持するのを解除した取付金具100を屋根材Tと構造物Kの間から引き抜くようにして、構造物Kから取付金具100を取り外すことができる。
【0046】
なお、ここでは
図7(b)に示すように、取付金具100を傾けて、屋根材Tと構造物Kの間から取付金具100を引き抜くようにして取り外しているが、金具本体10の上板部12の下面からボルト頭部41を離すようにボルト部材40を下げて、ボルト部材40を屋根材Tの小穴Hから抜くようにすれば、取付金具100を傾けることなく、屋根材Tと構造物Kの間から取付金具100を引く抜くことができる。
屋根材Tと構造物Kの間から取付金具100を引く抜く際の上記手順は、屋根材Tと構造物Kとの間隔などに応じて適宜選択して行えばよい。
【0047】
そして、新たな取付金具100を設置する際には、取り外しとは逆の手順を行うようにする。
具体的には、金具本体10の当接部13と挟持部材20の下端との間隔を広げた状態の取付金具100における挟持部材20を屋根材Tと構造物Kの間に挿し入れつつ、ボルト部材40を屋根材Tの小穴Hに挿し込むようにする。
次いで、構造物Kの上面(H型鋼のフランジの上面)に挟持部材20の下端側の縁を接触させた状態で、ナット部材50をボルト部材40のボルト頭部41に向けて螺進させることで、相対的にボルト部材40を上方に移動させ、そのボルト部材40とともに金具本体10を引き上げて、金具本体10の当接部13を構造物Kの下面(H型鋼のフランジの下面)に接触させる(
図7(a)参照)。
さらにナット部材50をボルト部材40に締め付けて、ナット部材50により押圧部材30をボルト頭部41側へ押圧し、その押圧部材30によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧することで、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間で構造物Kの一部(H型鋼のフランジ)を挟持した態様で、その取付金具100を構造物Kに取り付けて固定することができる。
【0048】
そして、屋根材Tの小穴Hに挿し込まれているボルト部材40に締結部材Nを螺着することで、取付金具100を介して屋根材Tを構造物K(H型鋼)に取り付ける作業が完了する。
このような取付金具100であれば、屋根材Tを一時的に撤去することなく、屋根材Tを設置したままの状態で取付金具100の交換を行うことができる。
【0049】
このように、本実施形態の取付金具100であれば、ナット部材50をボルト部材40に締め付けて、ナット部材50により押圧部材30をボルト頭部41側へ押圧し、その押圧部材30によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧するようにして、挟持部材20の下端側の縁と当接部13とで構造物Kの一部を挟持した態様にすることができる。
そして、挟持部材20の下端側の縁と金具本体10の当接部13とで構造物Kの一部を挟持した態様で、取付金具100を所定の構造物Kに固定することができる。
こうして挟持部材20の下端側の縁と金具本体10の当接部13とで構造物Kの一部を挟持するようにして、取付金具100を構造物Kにおける所定の取り付け箇所に好適に固定することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態1では、取付金具100を介して取付対象物としての屋根材Tを構造物K(H型鋼)に取り付ける場合について説明したが、例えば、
図8に示すように、台形フレーム60などの接続部材を併用して、台形フレーム60と取付金具100を介して屋根材Tを構造物Kに取り付けるようにしてもよい。
ここでの台形フレーム60は、細長い金属製の板材を折曲加工してなる枠状の部材であり、下底部61と垂直側面部62と上底部63と傾斜側面部64を有している。
この台形フレーム60の下底部61と垂直側面部62と上底部63には、それぞれボルト穴が設けられている。
そして、台形フレーム60の下底部61は、押圧部材30の板部32と略同じサイズ(形状)に形成されており、取付金具100における挟持部材20の上面部22と押圧部材30の板部32の間に台形フレーム60の下底部61を挟み込み、金具本体10、挟持部材20、台形フレーム60、押圧部材30を貫くように配設されたボルト部材40にナット部材50が螺着された態様で、取付金具100に台形フレーム60が取り付けられている。
ここでは、挟持部材20と押圧部材30の間に台形フレーム60を挟むようにして、台形フレーム60を取付金具100に取り付けたが、押圧部材30の板部32の上に台形フレーム60を配置するように台形フレーム60を取付金具100に取り付けるようにしてもよい。
【0051】
この台形フレーム60が取り付けられた取付金具100が、挟持部材20の下端側の縁と金具本体10の当接部13とで構造物Kの一部を挟持した態様で、取付金具100および台形フレーム60を構造物Kの所定箇所に固定することができる。
そして、ここでは、
図8に示すように、台形フレーム60の垂直側面部62のボルト穴を使い、ボルトBとナットNで台形フレーム60にVL折板である屋根材T(取付対象物)を固定している。
こうして、台形フレーム60と取付金具100を介して屋根材Tを構造物K(例えば、H型鋼)に取り付けることができる。
なお、ここでは、
図8中、左側に垂直側面部62を配する向きに台形フレーム60が取付金具100に取り付けられているが、左右反転させて、
図8中、右側に垂直側面部62を配する向きに台形フレーム60を取付金具100に取り付けるようにしてもよい。
【0052】
また、ここでは、台形フレーム60の垂直側面部62のボルト穴を使って、台形フレーム60に屋根材TとしてのVL折板を固定する場合を説明したが、屋根材Tとしての吊子式折板やボルト式折板も、台形フレーム60と取付金具100を介して構造物Kに取り付けることができる。
例えば、台形フレーム60の垂直側面部62のボルト穴を使い、ボルトとナットで台形フレーム60に吊子式折板(屋根材T)を固定することができる。
また、台形フレーム60の上底部63のボルト穴を使い、ボルトとナットで台形フレーム60にボルト式折板(屋根材T)を固定することができる。
また、台形フレーム60の上底部63のボルト穴を使い、ボルトとナットで台形フレーム60に吊子式折板(屋根材T)を固定することもできる。
このように、台形フレーム60と取付金具100を介して構造物Kに取り付ける屋根材Tは任意である。
また、構造物Kに取り付ける屋根材Tに応じて、台形フレーム60に設けるボルト穴の位置や数を調整するようにしてもよい。勿論、台形フレーム60の高さなどに関し、台形形状を調整してもよい。
【0053】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態1では、取付金具100の挟持部材20は上面部22を有していたが、上面部22を有さずに、前面部21と側面部23と背面部24とで構成された挟持部材20であってもよい。
このような挟持部材20を備えた取付金具100であっても、構造物Kにおける所定の取り付け箇所に好適に固定することができる。
なお、前面部21と側面部23と背面部24とで構成された挟持部材20とする場合、後述する実施形態2の挟持部材20のように、側面部23と背面部24とが鈍角で交わるように折曲されているとともに、金具本体10のガイド部14が当接部13よりも小さなサイズであって上面視台形を呈する形状に形成されていることが好ましい。
具体的には、前面部21と側面部23と背面部24とで構成された挟持部材20が、当接部13よりも小さなサイズであって上面視台形を呈するガイド部14を内接させるように囲う態様に形成されていることが好ましい。
このような挟持部材20と金具本体10であれば、ガイド部14によってスライド移動が案内される挟持部材20は、金具本体10の当接部13に下支えされるので、金具本体10と押圧部材30の間に挟持部材20を保持することが可能になる。
【0054】
(実施形態2)
次に、本発明に係る取付金具の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
実施形態2の取付金具100は、例えば、
図9~
図10に示すように、金具本体10、挟持部材20、ボルト部材40、ナット部材50等を備えて構成されている。
取付金具100は、所定の取付対象物を構造物に取り付けるために、その構造物に固定して使用するクランプ金具である。
この取付金具100を構成する金具本体10と挟持部材20はそれぞれ、高耐食性メッキ鋼板を折曲加工して形成したパーツである。
【0056】
挟持部材20は、例えば、
図10に示すように、挿通孔25aが設けられており金具本体10の上板部12と略平行に配される上面部25を有し、金具本体10の上板部12側に配されて当接部13に対して接離する方向にスライド移動可能に配置されている。
この挟持部材20は、金具本体10の上板部12側を覆い、左右一対のガイド部14を内接させるように囲う態様に形成されている。
具体的には、挟持部材20は、前面部21と側面部23と背面部24とを有する挟持部本体を備えており、挟持部本体の前面部21の上側に前面部21と直交するように上面部25が延設されている。
挟持部材20の上面部25に設けられている挿通孔25aは、ボルト部材40の軸が挿通可能であって、ボルト頭部41は通過できないサイズを有している。
また、上面部25の端部側には、その端部が上面部25と直交するように下方に折曲されてなる折下部26が設けられている。
【0057】
そして、前面部21と側面部23と背面部24とで構成される挟持部本体が金具本体10の左右一対のガイド部14を内接させるように囲う形状を有している。
詳述すると、挟持部本体における前面部21と側面部23は互いに直交するように折曲されてなり、また側面部23と背面部24は鈍角で交わるように折曲されてなる。
このような挟持部本体を有する挟持部材20の内面に金具本体10のガイド部14が内接するようになっている。
また、挟持部材20の下端側の縁である、挟持部本体(前面部21と側面部23と背面部24)の下端側の縁は、下面視略C字形状を呈している。
【0058】
ここで、実施形態2の金具本体10について説明する。
実施形態2の金具本体10では、ガイド部14が当接部13よりも小さなサイズであって上面視台形を呈する形状に形成されている。
そして、前面部21と側面部23と背面部24とで構成される挟持部材20の挟持部本体が、当接部13よりも小さなサイズであって上面視台形を呈する左右一対のガイド部14を内接させるように囲う態様になっている。
この金具本体10のガイド部14によって、挟持部材20のスライド移動が案内されるようになっている。
【0059】
ボルト部材40は、金具本体10の上板部12の下面側にボルト頭部41が係止されるようにボルト孔12aに挿通されている。
上板部12のボルト孔12aに挿通されたボルト部材40は、ストッパリング45によって上板部12の下面側にボルト頭部41が係止された状態に維持される。
また、金具本体10の上板部12のボルト孔12aに挿通されたボルト部材40は、挟持部材20の上面部25の挿通孔25aに挿通されている。
そして、金具本体10の上板部12に係止されたボルト部材40の軸に沿うように、挟持部材20がスライド移動し、その配置を切り替えることができる。
【0060】
ナット部材50は、金具本体10と挟持部材20を貫いているボルト部材40に螺着されている。
このナット部材50をボルト部材40のボルト頭部41に向けて螺進させ、ナット部材50によって挟持部材20の上面部25をボルト頭部41側へ押圧するように、挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧することで、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間に構造物の一部を挟持することができる。
具体的には、金具本体10の収容部11に入れ込むことができ、ある程度の厚みを有する構造物の一部であれば、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間で挟持することができる。
【0061】
例えば、
図9(b)に示すように、金具本体10の収容部11であって、当接部13とガイド部14の間に構造物Kを入れ込むことができれば、ナット部材50をボルト頭部41に向けて締め込むことで、ナット部材50によって挟持部材20を金具本体10の当接部13側に向けて押圧するようにして、挟持部材20の下端側の縁と当接部13との間に構造物Kを挟持することができる。
このように金具本体10の収容部11に入れ込んだ構造物Kを挟持するようにして、取付金具100を構造物Kに固定することができる。
そして、構造物Kに固定した取付金具100を介して、
図7や
図8と同様に、取付対象物である屋根材Tを構造物Kに取り付けることができる。
【0062】
このように、実施形態2の取付金具100は、構造物Kにおける所定の取り付け箇所に固定することができる。
また、実施形態2の取付金具100は、実施形態1の取付金具100と同様の手順で、構造物Kに取り付けたり、取り外したりすることができる。
【0063】
以上のように、本実施形態の取付金具100であれば、金具本体10の収容部11に入れ込んだ構造物Kを挟持するようにして、取付金具100を構造物Kにおける所定の取り付け箇所に固定することができる。
そして、構造物Kに固定した取付金具100を介して、屋根材Tを構造物Kに取り付けることができる。
【0064】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 金具本体
11 収容部
12 上板部
12a ボルト孔
121 横板部
13 当接部
14 ガイド部
15 背板部
20 挟持部材
22 上面部
22a 間隙
21 前面部
23 側面部
24 背面部
25 上面部
25a 挿通孔
26 折下部
30 押圧部材
32 板部
32a 挿通孔
31 第一折下部
33 第二折下部
40 ボルト部材
41 ボルト頭部
45 ストッパリング
50 ナット部材
60 台形フレーム
61 下底部
62 垂直側面部
63 上底部
64 傾斜側面部
100 取付金具
K 構造物
T 屋根材(取付対象物)
H 小穴