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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183856
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/107 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G08B17/107 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091359
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】岡戸 朋紘
(72)【発明者】
【氏名】永柄 雄基
(72)【発明者】
【氏名】武田 純平
【テーマコード(参考)】
5C085
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AB08
5C085AC18
5C085BA33
5C085CA04
5C085CA13
5C085CA15
5C085CA16
(57)【要約】
【課題】簡便な構成で精度よく煙及び/又は火災を検出できるようにする。
【解決手段】白色光を照射する光源部と、外気が導入される内部の空間を形成している壁部を有し、壁部において白色光が照射される位置に第1発光色を含む色が着色されている収容部と、第1発光色の光の強度を検出する第1光検出部と、第2発光色の光の強度を検出する第2光検出部と、第3発光色の光の強度を検出する第3光検出部と、第1光検出部の第1基準強度、第2光検出部の第2基準強度、第3光検出部の第3基準強度を記憶する記憶部と、収容部に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定する判定部とを備える、検出装置。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる第1発光色、第2発光色、及び第3発光色の光を含む白色光を照射する光源部と、
外気が導入される内部の空間を形成している壁部を有し、前記壁部において前記白色光が照射される位置に前記第1発光色を含む色が着色されている収容部と、
前記収容部の内部において、前記光源部の光が直接照射されない位置に配置されており、入射した前記第1発光色の光の強度を検出する第1光検出部と、
前記収容部の内部において、前記光源部の光が直接照射されない位置に配置されており、入射した前記第2発光色の光の強度を検出する第2光検出部と、
前記収容部の内部において、前記光源部の光が直接照射されない位置に配置されており、入射した前記第3発光色の光の強度を検出する第3光検出部と、
前記空間に煙を含む外気が導入されていない状態で前記光源部が前記白色光を照射している間に、前記第1光検出部が検出した光の強度を第1基準強度として記憶し、前記第2光検出部が検出した光の強度を第2基準強度として記憶し、前記第3光検出部が検出した光の強度を第3基準強度として記憶する記憶部と、
前記第1光検出部が検出した光の強度と前記第1基準強度との差と、前記第2光検出部が検出した光の強度と前記第2基準強度との差と、前記第3光検出部が検出した光の強度と前記第3基準強度との差とに基づいて、前記収容部に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定する判定部と
を備える、検出装置。
【請求項2】
前記第1発光色、前記第2発光色、及び前記第3発光色は、それぞれ赤、緑、及び青のうちいずれかの色である、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1光検出部が検出した光の強度及び前記第1基準強度の差と、前記第2光検出部が検出した光の強度及び前記第2基準強度の差と、前記第3光検出部が検出した光の強度及び前記第3基準強度の差とのうち、少なくとも1つの差が変化したことに応じて、前記収容部に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定する、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1光検出部が検出した光の強度が前記第1基準強度よりも減少し、前記第2光検出部が検出した光の強度が前記第2基準強度よりも増加し、前記第3光検出部が検出した光の強度が前記第3基準強度よりも増加したことに応じて、前記収容部の前記壁部に粉塵が付着していると判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1光検出部が検出した光の強度が前記第1基準強度よりも減少し、前記第2光検出部が検出した光の強度が前記第2基準強度よりも減少し、前記第3光検出部が検出した光の強度が前記第3基準強度よりも減少したことに応じて、前記光源部、前記第1光検出部、前記第2光検出部、又は前記第3光検出部に粉塵が付着していると判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記記憶部は、対象物を種類毎に燃焼させて発生した煙を前記空間に導入した場合に、前記第1光検出部、前記第2光検出部、及び前記第3光検出部がそれぞれ検出した光の強度と前記対象物の種類とを対応付けたテーブルを基準テーブルとして更に記憶し、
前記第1光検出部、前記第2光検出部、及び前記第3光検出部がそれぞれ検出した光の強度と前記基準テーブルとを比較することにより、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定する特定部を更に備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記特定部は、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であることを特定した場合、前記第1光検出部、前記第2光検出部、及び前記第3光検出部がそれぞれ検出した光の強度と前記基準テーブルとを比較することにより、燃焼している前記対象物の種類を更に特定する、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記特定部の特定結果に基づき、火災が発生しているか否かを判断する火災判断部と、
前記火災判断部が火災の発生を判断したことに応じて、外部への警報を発生させる警報部と
を備える、請求項6又は7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記収容部の前記壁部において前記白色光が照射される位置が所定の着色パターンで着色されており、
前記着色パターンは、前記第1基準強度、前記第2基準強度、又は前記第3基準強度の少なくともいずれかの強度が所定の大きさになるように形成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙及び/又は火災を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外気が流入する空間に光を照射し、煙の粒子によって散乱された散乱光を検出することにより外気中の煙を検出する煙感知器、火災報知機等が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、監視カメラの映像から監視領域内に発生した煙を検出して火災か否かを判断する技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-20902号公報
【特許文献2】特開2004-104727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
煙感知器、火災報知機等は、住宅等に設置することで火災による被害のリスクを低減させることができる。このような煙感知器、火災報知機等は、複雑な構造、複雑な演算、及び監視カメラ等の追加設備等を用いずに、簡便な構成で精度よく煙又は火災を検出できることが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、簡便な構成で精度よく煙及び/又は火災を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、互いに異なる第1発光色、第2発光色、及び第3発光色の光を含む白色光を照射する光源部と、外気が導入される内部の空間を形成している壁部を有し、前記壁部において前記白色光が照射される位置に前記第1発光色を含む色が着色されている収容部と、前記収容部の内部において、前記光源部の光が直接照射されない位置に配置されており、入射した前記第1発光色の光の強度を検出する第1光検出部と、前記収容部の内部において、前記光源部の光が直接照射されない位置に配置されており、入射した前記第2発光色の光の強度を検出する第2光検出部と、前記収容部の内部において、前記光源部の光が直接照射されない位置に配置されており、入射した前記第3発光色の光の強度を検出する第3光検出部と、前記空間に煙を含む外気が導入されていない状態で前記光源部が前記白色光を照射している間に、前記第1光検出部が検出した光の強度を第1基準強度として記憶し、前記第2光検出部が検出した光の強度を第2基準強度として記憶し、前記第3光検出部が検出した光の強度を第3基準強度として記憶する記憶部と、前記第1光検出部が検出した光の強度と前記第1基準強度との差と、前記第2光検出部が検出した光の強度と前記第2基準強度との差と、前記第3光検出部が検出した光の強度と前記第3基準強度との差とに基づいて、前記収容部に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定する判定部とを備える、検出装置を提供する。
【0007】
前記第1発光色、前記第2発光色、及び前記第3発光色は、それぞれ赤、緑、及び青のうちいずれかの色であってもよい。
【0008】
前記判定部は、前記第1光検出部が検出した光の強度及び前記第1基準強度の差と、前記第2光検出部が検出した光の強度及び前記第2基準強度の差と、前記第3光検出部が検出した光の強度及び前記第3基準強度の差とのうち、少なくとも1つの差が変化したことに応じて、前記収容部に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定してもよい。
【0009】
前記判定部は、前記第1光検出部が検出した光の強度が前記第1基準強度よりも減少し、前記第2光検出部が検出した光の強度が前記第2基準強度よりも増加し、前記第3光検出部が検出した光の強度が前記第3基準強度よりも増加したことに応じて、前記収容部の前記壁部に粉塵が付着していると判定してもよい。
【0010】
前記判定部は、前記第1光検出部が検出した光の強度が前記第1基準強度よりも減少し、前記第2光検出部が検出した光の強度が前記第2基準強度よりも減少し、前記第3光検出部が検出した光の強度が前記第3基準強度よりも減少したことに応じて、前記光源部、前記第1光検出部、前記第2光検出部、又は前記第3光検出部に粉塵が付着していると判定してもよい。
【0011】
前記記憶部は、対象物を種類毎に燃焼させて発生した煙を前記空間に導入した場合に、前記第1光検出部、前記第2光検出部、及び前記第3光検出部がそれぞれ検出した光の強度と前記対象物の種類とを対応付けたテーブルを基準テーブルとして更に記憶し、前記検出装置は、前記第1光検出部、前記第2光検出部、及び前記第3光検出部がそれぞれ検出した光の強度と前記基準テーブルとを比較することにより、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定する特定部を更に備えてもよい。
【0012】
前記特定部は、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であることを特定した場合、前記第1光検出部、前記第2光検出部、及び前記第3光検出部がそれぞれ検出した光の強度と前記基準テーブルとを比較することにより、燃焼している前記対象物の種類を更に特定してもよい。
【0013】
前記検出装置は、前記特定部の特定結果に基づき、火災が発生しているか否かを判断する火災判断部と、前記火災判断部が火災の発生を判断したことに応じて、外部への警報を発生させる警報部とを備えてもよい。
【0014】
前記収容部の前記壁部において前記白色光が照射される位置が所定の着色パターンで着色されており、前記着色パターンは、前記第1基準強度、前記第2基準強度、又は前記第3基準強度の少なくともいずれかの強度が所定の大きさになるように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡便な構成で精度よく煙及び/又は火災を検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る検出装置10の構成例を示す。
図2】本実施形態に係る回路基板30に設けられている回路のブロック図の一例を示す。
図3】本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第1例を示す。
図4】本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第2例を示す。
図5】本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第3例を示す。
図6】本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第4例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<検出装置10の構成例>
図1は、本実施形態に係る検出装置10の構成例を示す。図1(A)は、XZ平面と略平行な面による検出装置10の断面図の一例を示す。また、図1(B)は、図1(A)のA-A線を通り、XY平面と略平行な面による検出装置10内部の断面図の一例を示す。本実施形態において、直交する3つの軸をX軸、Y軸、Z軸として示す。検出装置10は、外気中の煙を検出する機能、及び/又は、火災が発生しているか否かを判断する機能を有する。検出装置10は、本体20と、回路基板30と、光源部40と、光検出器50と、収容部60と、遮光板70とを備える。
【0018】
本体20は、樹脂、金属等で形成されている筐体である。本体20は、基体部22とカバー部24を有する。基体部22は、住宅の天井面23又は壁等に設置可能な設置面を含む。基体部22の設置面とは反対側の面には、検出装置10の内部部品が設けられている。また、基体部22の設置面とは反対側の面に、カバー部24が取り付けられている。言い換えると、基体部22にカバー部24を取り付けることにより、本体20が構成される。
【0019】
カバー部24は、検出装置10の内部部品を保護する。また、カバー部24には、内部に外気を通過させるための穴部(不図示)が複数設けられている。言い換えると、穴部は、外気が本体20の内部に入る入口として機能し、また、外気が本体20の外部へと出ていく出口としても機能する。例えば、検出装置10が室内の天井面23に取り付けられ、室内の火災等により煙が発生した場合、煙は穴部から本体20の内部へと入り込む。そして、検出装置10は、本体20の内部に入り込んだ煙を検出する。検出装置10による煙の検出については後述する。
【0020】
穴部は、本体20の複数の位置に形成されていることが望ましい。また、複数の穴部の少なくとも一部は、本体20の内部で発生する警報音等を外部へと伝えるための出力口として機能してもよい。警報音等については後述する。
【0021】
回路基板30は、回路、回路素子、電源回路等が設けられている基板である。回路基板30には、例えば、光源部40、光検出器50、光源部40と光検出器50とを動作させる駆動回路等が実装されている。また、回路基板30には、検出装置10の各部を制御して検出動作させる制御部等が設けられている。回路基板30上には、収容部60が更に設けられている。このような回路基板30は、例えば、基体部22に固定されている。
【0022】
光源部40は、互いに異なる第1発光色、第2発光色、及び第3発光色の光を含む白色光を照射する。例えば、第1発光色、第2発光色、及び第3発光色は、それぞれ赤、緑、及び青のうちいずれかの色である。この場合、光源部40は、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを有する白色LEDである。また、光源部40は、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード、及び青色レーザダイオードを有する白色レーザダイオードであってもよい。これに代えて、又は、これに加えて、光源部40は、EL素子を含んでもよい。
【0023】
光検出器50は、光源部40から照射された白色光のうち、第1発光色、第2発光色、及び第3発光色の光の強度を検出する。光検出器50は、例えば、赤色、緑色、及び青色の光の強度を検出する。この場合、光検出器50は、入力した赤色、緑色、及び青色の光の強度に対応するRGB値を出力するカラーセンサであってもよい。
【0024】
カラーセンサは、一例として、赤色の光を通過させるフィルタ及び受光素子による赤色センサと、緑色の光を通過させるフィルタ及び受光素子による緑色センサと、青色の光を通過させるフィルタ及び受光素子による青色センサとを有する。カラーセンサは、例えば、赤色センサ、緑色センサ、及び青色センサを1つずつ有し、3つのセンサが一列に並ぶように一帯に構成されている。これに代えて、カラーセンサは、赤色センサ、緑色センサ、及び青色センサをそれぞれ複数有し、予め定められたパターンで3種類のセンサが配列されていてもよい。
【0025】
本実施形態において、赤色センサ、緑色センサ、及び青色センサのうちのいずれか1つのセンサを第1光検出部と呼ぶ。また、赤色センサ、緑色センサ、及び青色センサから第1光検出部を除いた2つのセンサのうち、一方のセンサを第2光検出部と呼び、他方のセンサを第3光検出部と呼ぶ。言い換えると、第1光検出部は、第1発光色の光の強度を検出し、第2光検出部は、第2発光色の光の強度を検出し、第3光検出部は、第3発光色の光の強度を検出する。光検出器50は、このような第1光検出部、第2光検出部、及び第3光検出部を有する。
【0026】
収容部60は、光源部40及び光検出器50といった光学部品を収容している。収容部60は、外部の光が光検出器50に到達して光検出器50が検出する雑音成分を低減させるように複数の壁部を有する。収容部60は、例えば、回路基板30に取り付けられることで、可視光を含む外来光に対する暗箱として機能する。収容部60は、例えば、金属又は樹脂で形成されている。
【0027】
収容部60は、第1壁部61及び第2壁部62といった複数の壁部を有する。複数の壁部は、外気が導入される収容部60の内部の空間を形成している。図1は、このような空間に光源部40及び光検出器50が設けられている例を示す。また、収容部60は、外気を内部へ通過させるための経路を有する。複数の第1壁部61は、外部からの光を遮光しつつ、外気を収容部60の内部を通過させる経路を形成している。このような複数の第1壁部61が形成している構造は、ラビリンス構造として既知であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
収容部60の全体は、黒色等で着色されていることが望ましい。また、内部の空間を形成している複数の壁部において、光源部40の白色光が照射される位置に第1発光色を含む色が着色されている。図1は、第2壁部62に白色光が照射される例を示す。第2壁部62は、回路基板30に対向し、収容部60の天板として機能する。本実施形態において、第1発光色を赤色とし、第2壁部62の白色光が照射される位置には赤色が着色されている例を説明する。
【0029】
収容部60は、更に、防虫網等で囲われていてもよい。防虫網は、例えば、金網、複数の貫通孔が形成されている金属、又は樹脂成型品等である。防虫網は、外気を通過させつつ、虫等が収容部60の内部に侵入することを防止する。
【0030】
遮光板70は、収容部60の内部空間に設けられている。遮光板70は、光源部40から照射された白色光が光検出器50に直接入射することを防止するように、光源部40及び光検出器50の間に設けられている。遮光板70は、例えば、白色光を遮光するために金属又は樹脂で形成されている。遮光板70は、光の反射率が低くなるように、例えば、黒色に着色することが望ましい。このような遮光板70が設けられていることにより、第1光検出部、第2光検出部、及び第3光検出部は、収容部60の内部において、光源部40の光が直接照射されない位置に配置される。
【0031】
<回路基板30のブロック図の例>
図2は、本実施形態に係る回路基板30に設けられている回路のブロック図の一例を示す。回路基板30には、光源部40と、光検出器50と、電源回路110と、記憶部120と、制御部130と、警報部140とが実装されている。
【0032】
光源部40及び光検出器50は、図1で説明したので、ここでは重複する説明を省略する。なお、図2において、赤色の第1発光色を検出する素子を第1光検出部51、緑色の第2発光色を検出する素子を第2光検出部52、青色の第3発光色を検出する素子を第3光検出部53とする。
【0033】
電源回路110は、検出装置10の回路、回路素子等に電源を供給する。電源回路110は、例えば、外部から入力した直流電圧V0を異なる直流電圧V1に変換して安定化させ、変換した直流電圧を回路基板30に設けられている回路素子等に供給する。また、電源回路110は、マンガン電池等の一次電池、又は、リチウムイオン電池等の二次電池を有してもよい。
【0034】
記憶部120は、煙が収容部60の内部空間に導入されていない状態において、光検出器50が検出した検出信号の信号レベルを基準値として記憶する。記憶部120は、例えば、収容部60の内部空間に煙を含む外気が導入されていない状態で光源部40が白色光を照射している間に、第1光検出部51が検出した光の強度を第1基準強度として記憶し、第2光検出部52が検出した光の強度を第2基準強度として記憶し、第3光検出部53が検出した光の強度を第3基準強度として記憶する。
【0035】
光検出器50は、収容部60の内部に収容されているので、検出装置10の本体20に外来光が照射されても、このような外部の光をほとんど受光しない。また、光検出器50は、収容部60の内部において、光源部40の光が直接照射されない位置に配置されている。これにより、第2光検出部52及び第3光検出部53は、収容部60の内部に煙が入り込んでいない場合、光源部40が収容部60の内部に白色光を照射しても、光源部40からの光をほとんど受光しない。
【0036】
その一方で、収容部60の第2壁部62は第1発光色で着色されており、光源部40の光が照射されるので、光源部40の光のうち第1発光色の光は反射する。したがって、第1光検出部51は、収容部60の内部に煙が入り込んでいない場合であっても、光源部40が収容部60の内部に白色光を照射すると、白色光に含まれている第1発光色の光の一部を受光する。これにより、第1基準強度は、第2基準強度及び第3基準強度よりも大きな強度となる。記憶部120は、このような第1基準強度、第2基準強度、及び第3基準強度の値を記憶する。
【0037】
また、記憶部120は、対象物を種類毎に燃焼させて発生した煙を空間に導入した場合に、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53がそれぞれ検出した光の強度と対象物の種類とを対応付けたテーブルを基準テーブルとして更に記憶してもよい。対象物は、例えば、検出装置10が設置される部屋で火災が発生した場合に、燃焼することが予測される物に含まれている材料である。また、対象物は、検出装置10が設置される部屋で火災が発生しなくても、燃焼等により煙を発生させる物を含む。対象物は、例えば、紙、木、綿、樹脂、電線、たばこ、葉巻、料理の具材等である。
【0038】
記憶部120は、検出装置10が動作の過程で生成する(又は利用する)中間データ、算出結果、閾値、基準値、及びパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。また、記憶部120は、検出装置10内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。
【0039】
記憶部120は、例えば、コンピュータが制御部130として機能する場合、コンピュータを機能させるOS(Operating System)、及びプログラム等の情報を格納してもよい。また、記憶部120は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、コンピュータは、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することによって、制御部130として機能する。
【0040】
記憶部120は、例えば、コンピュータ等が実行する各種プログラム及び各種テーブル等を格納するROM(Read Only Memory)、及び作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部120は、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。
【0041】
制御部130は、検出装置10の各部を制御して、収容部60の内部空間に入り込んだ外気に煙が含まれているか否かを判定する。また、制御部130は、検出装置10の近辺で火災が発生しているか否かを判定してもよい。制御部130は、判定部131と、特定部132と、火災判断部133とを有する。
【0042】
判定部131は、第1光検出部51が検出した光の強度と第1基準強度との差と、第2光検出部52が検出した光の強度と第2基準強度との差と、第3光検出部53が検出した光の強度と第3基準強度との差とに基づいて、収容部60に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定する。ここで、第1光検出部51が検出した光の強度と第1基準強度との差を第1強度差とし、第2光検出部52が検出した光の強度と第2基準強度との差を第2強度差とし、第3光検出部53が検出した光の強度と第3基準強度との差を第3強度差とする。
【0043】
また、判定部131は、第1光検出部51が検出した光の強度と第1基準強度との比と、第2光検出部52が検出した光の強度と第2基準強度との比と、第3光検出部53が検出した光の強度と第3基準強度との比とに基づいて、収容部60に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定してもよい。ここで、第1光検出部51が検出した光の強度と第1基準強度との差を第1強度比とし、第2光検出部52が検出した光の強度と第2基準強度との差を第2強度比とし、第3光検出部53が検出した光の強度と第3基準強度との差を第3強度比とする。
【0044】
収容部60の内部に煙が入り込まない場合、第1強度差、第2強度差、及び第3強度差にはほとんど変化がない。そこで、判定部131は、例えば、第1強度差、第2強度差、及び第3強度差のうち、少なくとも1つの強度差が変化したことに応じて、収容部60に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定する。これに代えて、判定部131は、第1強度比、第2強度比、及び第3強度比のうち、少なくとも1つの強度比が変化したことに応じて、収容部60に導入された外気に煙が含まれているか否かを判定してもよい。これに代えて、判定部131は、所定の時間が経過する毎に、判定動作を実行してもよい。
【0045】
特定部132は、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53がそれぞれ検出した光の強度と基準テーブルとを比較することにより、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定する。特定部132は、煙の色、及び/又は燃焼している対象物の種類を更に特定してもよい。
【0046】
特定部132は、例えば、判定部131が外気に煙が含まれていると判定したことに応じて、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定する。これに代えて、特定部132は、第1強度差、第2強度差、及び第3強度差のうち、少なくとも1つの強度差が変化したことに応じて、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定してもよい。これに代えて、判定部131は、第1強度比、第2強度比、及び第3強度比のうち、少なくとも1つの強度比が変化したことに応じて、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定してもよい。これに代えて、特定部132は、所定の時間が経過する毎に、特定動作を実行してもよい。
【0047】
火災判断部133は、特定部132の特定結果に基づき、火災が発生しているか否かを判断する。火災判断部133は、例えば、特定部132が特定した対象物の種類が火災によって燃焼することが予測される対象物の種類である場合、火災が発生していると判断する。また、火災判断部133は、特定部132が特定した対象物の種類が、火災が発生しなくても燃焼等により煙を発生させる対象物である場合、火災は発生していないと判断する。火災判断部133は、火災の発生を判断した場合、警報部140を制御するための制御信号を警報部140に供給する。
【0048】
警報部140は、火災判断部133が火災の発生を判断したことに応じて、外部への警報を発生させる。警報部140は、警報駆動回路141と、スピーカ142と、表示灯143を含む。警報駆動回路141は、制御信号に応じて、スピーカ142及び表示灯143を駆動する。なお、検出装置10が煙検知器として動作する場合、制御部130は、煙を検知したことに応じて、警報部140を制御するための制御信号を警報部140に供給する。警報駆動回路141は、煙の検知及び火災の検知のそれぞれに対応する警報を発するように、スピーカ142及び表示灯143を駆動してもよい。
【0049】
なお、図2に示す警報部140は、スピーカ142を含む例を説明したが、これに限定されることはない。警報部140は、スピーカ142に代えてブザー等を含んでもよく、これに変えて、スピーカ142はなくてもよい。また、警報部140は、煙の検知及び火災の検知を外部に通知してもよい。この場合、警報部140は、外部とネットワーク等で接続されていることが望ましい。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る検出装置10は、煙が導入されていない状態における光検出器50の検出結果と、外気が導入された場合の光検出器50の検出結果との差に基づき、煙及び/又は火災を検出する。検出装置10の制御部130によるこのような検出動作について、次に説明する。
【0051】
<検出信号の初期状態の例>
図3は、本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第1例を示す。図3は、光検出器50の検出信号の初期状態の例を示す。図3(A)は、内部空間に煙が導入されていない状態の収容部60を示す。図3(B)は、図3(A)の状態において光検出器50が出力する検出結果の概念を示す。図3(B)の縦軸は、光検出器50が出力する検出信号の信号レベルを示す。図3(B)の横軸には、第1光検出部51の検出信号を示す「R」、第2光検出部52の検出信号を示す「G」、第3光検出部53の検出信号を示す「B」をそれぞれ付している。
【0052】
既に述べたように、第2壁部62は第1発光色で着色されているので、光源部40の光のうち第1発光色の光は第2壁部62で反射する。したがって、第1光検出部51は、初期状態においても第1発光色の光をある程度検出する。このように、第1光検出部51が出力する検出信号の信号レベルが第1基準強度である。
【0053】
光源部40の光のうち第2発光色及び第3発光色の光のほとんどは第2壁部62で吸収され、残りの一部が反射する。したがって、第2光検出部52及び第3光検出部53が検出する信号レベルは、第1基準強度よりも低くなる。このように、第2光検出部52が出力する検出信号の信号レベルが第2基準強度であり、第3光検出部53が出力する検出信号の信号レベルが第3基準強度である。記憶部120は、このような第1基準強度、第2基準強度、及び第3基準強度の値を記憶する。
【0054】
<収容部60に煙が入り込んだ状態の例>
図4は、本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第2例を示す。図4(A)は、収容部60の内部空間に煙が入り込んだ状態を示す。図4(B)は、図4(A)の状態において光検出器50が出力する検出結果の概念を示す。この場合、光源部40の光が煙の粒子に散乱される。煙の粒子の大きさが大きいほど、また、煙の粒子の数が多いほど、光源部40の光のうち散乱される光の成分が増加する。なお、煙の粒子が光の波長程度に小さくなると、青、紫外線等の波長の短い光は、赤、赤外線等の波長の長い光よりも散乱される傾向にある。したがって、それぞれの発光色の光の波長、及び煙の粒子の粒径によって、対応する光検出部が検出する信号の信号レベルが異なることがある。
【0055】
第1発光色の光は、上述のように、煙の粒子に散乱される一方で、収容部60に侵入した煙が陰となって収容部60の第2壁部62で反射する光は減少する。したがって、煙の粒径、煙の濃度(量、密度)、第2壁部62を第1発光色で着色した面積等によって、第1光検出部51が検出する信号レベルは増加することもあれば、減少することもある。図4(B)は、第1光検出部51が検出した信号レベルが初期状態の第1基準強度よりも大きくなった例を示す。なお、収容部60に煙が入り込んだ場合に、第1光検出部51が検出した信号レベルが初期状態よりも増加するように、第2壁部62の第1発光色で着色する面積を予め設計、調節してもよい。
【0056】
第2発光色及び第3発光色の光は、上述のように、煙の粒子に散乱される。また、第2発光色及び第3発光色の光は、第2壁部62ではほとんど反射されないので、収容部60に侵入した煙が陰となっても、光検出部が検出する信号レベルにはほとんど影響がない。したがって、第2光検出部52及び第3光検出部53が検出する信号レベルは、いずれも初期状態の基準強度よりも大きくなる。
【0057】
そこで、判定部131は、第1光検出部51が検出した光の強度が第1基準強度よりも増加し、第2光検出部52が検出した光の強度が第2基準強度よりも増加し、第3光検出部53が検出した光の強度が第3基準強度よりも増加したことに応じて、収容部60に導入された外気に煙が含まれていると判定する。これにより、検出装置10は、検出装置10が設置されている部屋などに煙が発生していることを検出できる。
【0058】
<収容部60の第2壁部62に粉塵が付着した状態の例>
図5は、本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第3例を示す。図5(A)は、収容部60の第2壁部62に粉塵が付着した状態を示す。図5(B)は、図5(A)の状態において光検出器50が出力する検出結果の概念を示す。この場合、付着した粉塵により、第2壁部62で反射及び散乱する第1発光色の光が減少するので、第1光検出部51が検出する信号レベルは、初期状態の基準強度よりも小さくなる。
【0059】
また、付着した粉塵により、第2壁部62に到達して吸収される第2発光色及び第3発光色の光が減少する。また、付着した粉塵で反射、散乱される第2発光色及び第3発光色の光が増加する。したがって、第2光検出部52及び第3光検出部53が検出する信号レベルは、初期状態の基準強度よりも大きくなる。
【0060】
そこで、判定部131は、第1光検出部51が検出した光の強度が第1基準強度よりも減少し、第2光検出部52が検出した光の強度が第2基準強度よりも増加し、第3光検出部53が検出した光の強度が第3基準強度よりも増加したことに応じて、収容部60の壁部に粉塵が付着していると更に判定する。これにより、検出装置10は、収容部60の内部に粉塵が付着した場合に、煙を検出したと誤検出する割合を低減させて、精度よく収容部60の汚れの発生を検出できる。
【0061】
なお、光源部40の発光面又は光検出器50の受光面に粉塵等が付着することもある。この場合、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53が検出する信号レベルは、いずれも初期状態の基準強度よりも小さくなる。
【0062】
そこで、判定部131は、第1光検出部が検出した光の強度が第1基準強度よりも減少し、第2光検出部が検出した光の強度が第2基準強度よりも減少し、第3光検出部が検出した光の強度が第3基準強度よりも減少したことに応じて、光源部40、第1光検出部51、第2光検出部52、又は第3光検出部53に粉塵が付着していると更に判定する。これにより、検出装置10は、光源部40又は光検出器50に粉塵が付着した場合に、煙を検出したと誤検出する割合を低減させて、精度よく煙の発生を検出できる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る検出装置10は、精度よく煙の発生を検出することができる。ここで、検出装置10は、煙が発生を検出したことに応じて火災が発生したと直ちに判定すると、誤検出になってしまうことがある。例えば、料理(肉、魚等)、水蒸気、たばこ等による煙を検出した場合に、火災の発生を判定すると、誤検出になってしまう。そこで、特定部132は、検出された煙が燃焼物による煙であるか否かを特定する。
【0064】
<収容部60に種々の色の煙が入り込んだ状態の例>
図6は、本実施形態における回路基板30及び収容部60の断面図と、光検出器50の検出結果の第4例を示す。図6(A)は、収容部60の内部空間に煙が入り込んだ状態を示す。図6(B)は、図6(A)の状態において光検出器50が出力する検出結果の概念を示す。ここで、煙の色は、煙の発生源によって異なることがある。そして、光検出器50は、異なる3つの発光色の光の散乱光を検出しているので、煙の色に応じて3つの発光色の検出信号はそれぞれ異なる信号レベルとなる。
【0065】
例えば、紙、綿等が燃焼した場合、白色に近い色の煙が発生する。白色の煙は、3つの発光色の光を反射及び散乱させるので、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53が検出する信号レベルは、増加する傾向を示す。また、樹脂、電線等が燃焼した場合、黒色に近い色の煙が発生する。黒色の煙は、3つの発光色の光を吸収するので、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53が検出する信号レベルは、減少する傾向を示す。このように、光検出器50は、物が燃焼していない場合に発生した煙、物が燃焼した場合の煙、燃焼している物の種類に応じて、異なる検出結果を出力する。
【0066】
そこで、特定部132は、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53の検出結果と記憶部120に記憶されている基準テーブルとを比較することにより、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であるか否かを特定できる。基準テーブルは、燃焼した対象物の種類と光検出器50の検出結果とが対応付けられているので、特定部132は、外気に含まれている煙が燃焼物による煙であることを特定した場合、燃焼している対象物の種類を更に特定できる。
【0067】
これにより、火災判断部133は、例えば、料理等によって発生している煙なのか、火災によって発生しているのかを判断できる。また、火災判断部133は、例えば、燃焼物の種類と、火災が発生しているか否かとの対応関係を用いて、火災が発生しているか否かを判断できる。なお、燃焼物の種類と火災の発生の有無との対応関係は、記憶部120に予め記憶されていることが望ましい。また、記憶部120に記憶されている基準テーブルが、このような対応関係を更に含んでいてもよい。
【0068】
これに代えて、又は、これに加えて、特定部132は、第1光検出部51が検出した光の強度と第1基準強度との差と、第2光検出部52が検出した光の強度と第2基準強度との差と、第3光検出部53が検出した光の強度と第3基準強度との差とに基づいて、外気に含まれている煙の色を特定してもよい。この場合、特定部132は、煙の色と第1強度差、第2強度差、及び第3強度差との対応関係に基づき、煙の色を特定する。なお、煙の色と第1強度差、第2強度差、及び第3強度差との対応関係は、記憶部120が記憶していることが望ましい。
【0069】
また、特定部132は、第1強度比と、第2強度比と、第3強度比とに基づいて、外気に含まれている煙の色を特定してもよい。この場合、特定部132は、煙の色と第1強度比、第2強度比、及び第3強度比との対応関係に基づき、煙の色を特定する。なお、煙の色と第1強度比、第2強度比、及び第3強度比との対応関係は、記憶部120が記憶していることが望ましい。
【0070】
この場合、火災判断部133は、特定部132が特定した煙の色に応じて、火災が発生しているか否かを判断してもよい。この場合、火災判断部133は、煙の色と、火災が発生しているか否かとの対応関係を用いる。このような対応関係は、記憶部120に予め記憶されていることが望ましい。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る検出装置10は、火災の発生も精度よく検出することができる。なお、以上の検出装置10において、光源部40が、赤色、緑色、及び青色の3つの発光色の光を含む白色光を照射する例を説明したが、これに限定されることはない。煙の散乱、反射の特性は、発光色が異なっていれば異なる特性になるので、光源部40に含まれている発光色が異なる3種類であれば、赤色、緑色、及び青色の組み合わせでなくてもよい。また、光源部40に含まれている発光色は、4種類以上の色であってもよく、この場合、光検出器50も対応して4種類以上の発光色の光を検出できるように構成されてよい。
【0072】
以上の本実施形態に係る検出装置10は、収容部60の第2壁部62において、光源部40の白色光が照射される位置に第1発光色を含む色が着色されている例を説明したが、これに限定されることはない。これに代えて、白色光が照射される位置には、第2発光色を含む色が着色されていてもよく、第3発光色を含む色が着色されていてもよい。なお、着色は、塗装、シール等の貼付でよい。また、収容部60が樹脂の場合、樹脂の一部の成形色が発光色を含むようにしてもよい。
【0073】
また、収容部60の第2壁部62において、白色光が照射される位置が所定の着色パターンで着色されていてもよい。例えば、第2壁部62の白色光が照射される面積のうちの一部が、第1発光色を含む色で着色されてよい。第2壁部62の第1発光色で着色されている領域は、第1発光色の光を反射するので、当該領域の面積を変更すると初期状態における基準強度の大きさが変化する。
【0074】
そこで、検出装置10の設計段階、製造段階、較正段階等で、第1発光色で着色する領域の大きさ、着色パターン等を予め定めることが望ましい。この場合、着色パターンは、第1基準強度、第2基準強度、又は第3基準強度の少なくともいずれかの強度が所定の大きさになるように形成されていることが望ましい。このように基準強度の大きさを予め調節することにより、検出装置10は、例えば、光検出器50の検出感度がリニアな領域となる適切な範囲内で、煙及び火災の検出を実行できる。
【0075】
なお、検出した煙の色が黒色又は黒色に近い色の場合、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53が検出する信号レベルは減少する。この場合、煙の色が黒色に近ければ近いほど、信号レベルは0に近づいてしまい、S/Nが悪くなってしまうことがある。
【0076】
そこで、第1光検出部51、第2光検出部52、及び第3光検出部53が検出した信号レベルが全て閾値よりも低減した場合、制御部130は、光源部40を駆動する回路を制御して、光検出器50が出力する検出信号の信号レベルを増加させてよい。この場合、制御部130は、光源部40が照射する白色光の強度を増加させる。これにより、検出装置10は、S/Nを改善して黒色又は黒色に近い色の煙を検出することができる。なお、制御部130は、光検出器50の後段に増幅器が実装されている場合、当該増幅器を制御して、当該増幅器の増幅率を増加させてもよい。
【0077】
なお、制御部130が光源部40の白色光の強度を増加させるように駆動回路を制御しても、光検出器50が出力する検出信号の信号レベルが低減したままになってしまうことがある。この場合、制御部130は、光源部40が故障したと判定してよい。制御部130は、例えば、光源部40の故障を判定した場合、警報部140に対応する制御信号を供給する。これにより、警報部140は、光源部40の故障を示す警報を発生でき、検出装置10のユーザは、速やかに検出装置10の故障を知ることができる。
【0078】
以上の本実施形態に係る検出装置10は、制御部130が判定部131及び特定部132を有する例を説明したが、これに限定されることはない。制御部130は、判定部131及び特定部132のうちいずれか一方を有する構成であってもよい。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0080】
10 検出装置
20 本体
22 基体部
23 天井面
24 カバー部
30 回路基板
40 光源部
50 光検出器
51 第1光検出部
52 第2光検出部
53 第3光検出部
60 収容部
61 第1壁部
62 第2壁部
70 遮光板
110 電源回路
120 記憶部
130 制御部
131 判定部
132 特定部
133 火災判断部
140 警報部
141 警報駆動回路
142 スピーカ
143 表示灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6