(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183859
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】検出回路及び検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01D5/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091362
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】小野 習仁
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠志
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA43
2F077QQ03
2F077QQ13
2F077TT42
2F077TT52
2F077TT71
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で移動体の移動を精度良く検出することができる検出回路及び検出装置を提供する。
【解決手段】検出回路1は、入力部3と、入力部3によって入力された信号を保持する保持部5と、第一信号と第二信号とに基づいてクロック信号CLKを生成する生成部7と、スライド部118の移動に係る移動信号MOV
out、及び、スライド部118の移動の方向に係る方向信号DIRoutを出力する出力部9と、を備える。保持部5は、生成部7において生成されたクロック信号CLKに基づいて、第二信号及び第三信号を取得して保持する。出力部9は、第二信号及び第三信号に基づいてスライド部118の向きを判定する判定部90と、生成部7において生成されたクロック信号CLKに基づいてスライド部118の移動を検出する検出部92と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動及び当該移動体の移動の向きを検出する検出回路であって、
前記移動体の移動に係る信号を入力する入力部と、
前記入力部によって入力された前記信号において、前記入力部に第一時刻に入力される前記信号を第一信号とした場合、前記第一時刻よりも一時刻前の第二時刻に入力された第二信号と、前記第二時刻よりも一時刻前の第三時刻に入力された第三信号と、を保持する保持部と、
前記第一信号と前記第二信号とに基づいてクロック信号を生成する生成部と、
前記移動体の移動に係る移動信号、及び、前記移動体の移動の方向に係る方向信号を出力する出力部と、を備え、
前記保持部は、前記生成部において生成された前記クロック信号に基づいて、前記第二信号及び前記第三信号を取得して保持し、
前記出力部は、
前記第二信号及び前記第三信号に基づいて前記移動体の向きを判定する判定部と、
前記生成部において生成された前記クロック信号に基づいて前記移動体の移動を検出する検出部と、を有する、検出回路。
【請求項2】
前記判定部は、前記方向信号を入力し、前記方向信号を平滑化して出力する平滑部を有する、請求項1に記載の検出回路。
【請求項3】
前記生成部は、前記クロック信号を遅延させる遅延部を有する、請求項1又は2に記載の検出回路。
【請求項4】
前記出力部は、前記移動信号及び前記方向信号を所定の信号に変換する変換部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項5】
前記検出部は、
前記クロック信号を入力して前記クロック信号に応じて二つのカウンタ信号を出力するカウンタ部と、
前記カウンタ部から出力された二つの前記カウンタ信号を入力し、二つの前記カウンタ信号の論理積を演算して、演算結果を前記移動信号として出力する論理積回路と、を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項6】
前記検出部は、
前記クロック信号を入力して前記クロック信号に応じて二つのカウンタ信号を出力するカウンタ部と、
二つの前記カウンタ信号のうちの一方の前記カウンタ信号を入力し、一方の前記カウンタ信号の値を反転させた反転信号を出力する論理否定回路と、
二つの前記カウンタ信号のうちの他方の前記カウンタ信号及び前記反転信号を入力し、他方の前記カウンタ信号と前記反転信号との論理積を演算して、演算結果を前記移動信号として出力する論理積回路と、を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項7】
前記入力部は、圧電素子の駆動によって移動する前記移動体の移動に係る前記信号を入力する、請求項1~6のいずれか一項に記載の検出回路。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の検出回路と、
前記検出回路から出力された前記移動信号及び前記方向信号を処理する制御装置と、を備える、検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出回路及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体の移動をホール素子によって検出し、ホール素子の出力信号に基づいて、移動体の移動(移動量)や移動体の移動の向きを検出する検出装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出装置では、ホール素子の2相の出力信号(パルス信号)を制御装置(コンピュータ等)に入力し、制御装置において移動体の移動等を検出している。ここで、移動体の移動が速くなると、出力信号の周波数が高くなる(周期が短くなる)ため、出力信号のパルス幅が小さくなる。この場合において、たとえば、制御装置において割り込み処理等が発生すると、出力信号を正確に取得できなくなるおそれがある。この場合、移動体の向きの検出ができなくなる。移動体の向きの検出ができない場合、その移動区間は無視(除外)されるため、移動体の移動量に誤差が生じ得る。このような不具合の発生を回避するために、制御装置の処理能力を向上させることが考えられる。しかしながら、この構成では、構成が複雑化したり、コストが増大したりする。
【0005】
本発明の一側面は、簡易な構成で移動体の移動を精度良く検出することができる検出回路及び検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る検出回路は、移動体の移動及び当該移動体の移動の向きを検出する検出回路であって、移動体の移動に係る信号を入力する入力部と、入力部によって入力された信号において、入力部に第一時刻に入力される信号を第一信号とした場合、第一時刻よりも一時刻前の第二時刻に入力された第二信号と、第二時刻よりも一時刻前の第三時刻に入力された第三信号と、を保持する保持部と、第一信号と第二信号とに基づいてクロック信号を生成する生成部と、移動体の移動に係る移動信号、及び、移動体の移動の方向に係る方向信号を出力する出力部と、を備え、保持部は、生成部において生成されたクロック信号に基づいて、第二信号及び第三信号を取得して保持し、出力部は、第二信号及び第三信号に基づいて移動体の向きを判定する判定部と、生成部において生成されたクロック信号に基づいて移動体の移動を検出する検出部と、を有する。
【0007】
本発明の一側面に係る検出回路では、上記回路構成によって、移動体の移動に係る移動信号、及び、移動体の移動の方向に係る方向信号を出力する。そのため、検出回路では、移動体の移動が速い場合であっても、割り込み処理等によって信号が取得できなくなるといった事態を回避できる。また、高性能な制御装置を必要としない。そのため、検出回路では、簡易な構成で移動体の移動を精度良く検出することができる。
【0008】
一実施形態においては、判定部は、方向信号を入力し、方向信号を平滑化して出力する平滑部を有していてもよい。この構成では、方向信号にグリッチノイズが含まれている場合に、グリッチノイズを低減させることができる。
【0009】
一実施形態においては、生成部は、クロック信号を遅延させる遅延部を有していてもよい。クロック信号のパル幅が狭い場合、クロック信号に基づいて動作する保持部及び検出部において誤動作が生じるおそれがある。この構成では、遅延部によって、クロック信号のパルス幅を広くすることができる。そのため、上記誤動作が生じることを回避することができる。
【0010】
一実施形態においては、出力部は、移動信号及び方向信号を所定の信号に変換する変換部を有していてもよい。この構成では、移動信号及び方向信号を用いて処理する制御装置において、制御装置の処理に適した信号とすることができる。
【0011】
一実施形態においては、検出部は、クロック信号を入力してクロック信号に応じて二つのカウンタ信号を出力するカウンタ部と、カウンタ部から出力された二つのカウンタ信号を入力し、二つのカウンタ信号の論理積を演算して、演算結果を移動信号として出力する論理積回路と、を有していてもよい。この構成では、移動体の移動を適切に検出することができる。
【0012】
一実施形態においては、検出部は、クロック信号を入力してクロック信号に応じて二つのカウンタ信号を出力するカウンタ部と、二つのカウンタ信号のうちの一方のカウンタ信号を入力し、一方のカウンタ信号の値を反転させた反転信号を出力する論理否定回路と、二つのカウンタ信号のうちの他方のカウンタ信号及び反転信号を入力し、他方のカウンタ信号と反転信号との論理積を演算して、演算結果を移動信号として出力する論理積回路と、を有していてもよい。この構成では、移動体の移動を適切に検出することができる。
【0013】
一実施形態においては、入力部は、圧電素子の駆動によって移動する移動体の移動に係る信号を入力してもよい。この構成では、検出回路において、圧電素子の駆動によって移動する移動体の移動に係る移動信号、及び、当該移動体の移動の方向に係る方向信号を出力できる。
【0014】
本発明の一側面に係る検出装置は、上記の検出回路と、検出回路から出力された移動信号及び方向信号を処理する制御装置と、を備える。
【0015】
本発明の一側面に係る検出装置では、上記の検出回路を備えている。これにより、検出装置では、簡易な構成で移動体の移動を精度良く検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、簡易な構成で移動体の移動を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る検出回路を備える検出システムを示す図である。
【
図2】
図2(a)は、移動装置の正面図であり、
図2(b)は、移動装置の側面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、入力部に入力される信号を示す図である。
【
図5】
図5は、スライド部が第一方向に移動している場合において、保持部で保持されるデータを示す図である。
【
図6】
図6は、スライド部が第二方向に移動している場合において、保持部で保持されるデータを示す図である。
【
図7】
図7は、スライド部が第一方向に移動している場合における、信号の規則性を示す図である。
【
図8】
図8は、スライド部が第二方向に移動している場合における、信号の規則性を示す図である。
【
図9】
図9は、検出部の動作を説明するための表である。
【
図10】
図10は、他の実施形態に係る検出部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、一実施形態に係る検出装置を含む検出システムを示す図である。
図1に示されるように、検出システム100は、移動装置110と、検出回路1と、コンピュータ(制御装置)200と、を備えている。検出回路1及びコンピュータ200は、検出装置を構成している。
【0020】
図2(a)は、移動装置の正面図であり、
図2(b)は、移動装置側面図である。
図2に示されるように、移動装置110は、圧電素子112と、スライド体114と、エンコーダ116と、を備えている。以下の説明では、説明の便宜のため、
図2(a)及び
図2(b)に示す「X」、「Y」及び「Z」方向を用いることがある。
【0021】
スライド体114は、スライド部(移動体)118と、レール部120と、を有している。スライド部118は、レール部120に対して移動可能(摺動可能)に設けられている。スライド部118は、レール部120の延在方向(Y方向)に沿って移動する。スライド部118は、第一方向(たとえば、
図2(a)において右側に向かう方向)と、第一方向と反対の第二方向(たとえば、
図2(b)において左側に向かう方向)と、に移動する。レール部120は、固定されている。
図2(b)に示されるように、スライド部118とレール部120との間には、ボール119が設けられている。ボール119は、Z方向において、レール部120を挟む位置にそれぞれ設けられている。
【0022】
図2(b)に示されるように、スライド部118は、長手方向に沿った方向から見て、略U字形状を呈している。
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、スライド部118の上面118Aには、摩擦部材122が配置されている。摩擦部材122は、たとえば、アルミナ板である。摩擦部材122は、スライド部118の長手方向に沿って延在している。圧電素子112は、摩擦部材122と当接可能に設けられており、スライド部118を移動させる。すなわち、スライド部118は、圧電素子112の駆動によって移動する。
【0023】
スライド部118の下面118Bには、磁気リボン124が配置されている。磁気リボン124は、スライド部118の長手方向に沿って延在している。磁気リボン124は、N極及びS極が磁気リボン124の長手方向(スライド部118の長手方向)において交互に配置されている。
【0024】
エンコーダ116は、磁気リボン124の位置を検出する。エンコーダ116は、磁気リボン124と対向する位置に配置されている。エンコーダ116は、第一ホール素子116A及び第二ホール素子116Bを含んでいる。第一ホール素子116A及び第二ホール素子116Bのそれぞれは、検出結果を示す信号を出力する。エンコーダ116は、2相の出力を出力する。第一ホール素子116A及び第二ホール素子116Bは、磁気リボン124のN極を検出(N極に反応)した場合には「1」、磁気リボン124のS極を検出(S極に反応)した場合には「0」を出力する。以下の説明では、第一ホール素子116Aが出力する信号を「信号A」、第二ホール素子116Bが出力する信号を「信号B」とする。なお、第一ホール素子116A及び第二ホール素子116Bが出力する信号としては、「1」に替えて「H」、「0」に替えて「L」であってもよい。
【0025】
図3に示されるように、検出回路1は、入力部3と、保持部5と、生成部7と、出力部9と、を備えている。
【0026】
入力部3は、圧電素子112の駆動によって移動するスライド部118の移動に係る信号を入力する。入力部3は、エンコーダ116から出力された信号A及び信号Bを入力する。入力部3は、信号Aを入力する第一入力端30と、信号Bを入力する第二入力端32と、を有している。第一入力端30に入力された信号A及び第二入力端32に入力された信号Bのそれぞれは、保持部5及び生成部7に出力される。
【0027】
図4(a)及び
図4(b)は、入力部に入力される信号を示す図である。
図4(a)では、スライド体114のスライド部118が第一方向に移動したときに、入力部3に入力される信号A及び信号Bを示している。
図4(b)では、スライド体114のスライド部118が第二方向に移動したときに、入力部3に入力される信号A及び信号Bを示している。信号A及び信号Bは、パルス信号である。
【0028】
図3に示されるように、保持部5は、入力部3から出力された信号A及び信号Bを保持する。保持部5は、入力部3によって入力された信号A及び信号Bにおいて、入力部3に第一時刻に入力される信号を信号(第一信号)A及び信号(第一信号)Bとした場合、第一時刻よりも一時刻前の第二時刻に入力された信号(第二信号)A
0及び信号(第二信号)B
0と、第二時刻よりも一時刻前の第三時刻に入力された信号(第三信号)A
1及び信号(第三信号)B
1と、を保持する。
【0029】
保持部5は、シフトレジスタである。本実施形態では、保持部5は、Dフリップフロップである。保持部5は、第一保持部50と、第二保持部52と、第三保持部54と、第四保持部56と、を含んで構成されている。第一保持部50、第二保持部52、第三保持部54及び第四保持部56のそれぞれは、信号を入力する入力Dと、クロック信号を入力する入力CKと、信号を出力する出力Qと、を有している。
【0030】
第一保持部50の入力Dは、入力部3の第一入力端30に接続されている。第一保持部50の入力Dには、第一入力端30から出力された信号Aが入力される。第一保持部50の入力CKは、生成部7に接続されている。第一保持部50の入力CKには、生成部7から出力されたクロック信号が入力される。第一保持部50の出力Qは、第二保持部52の入力D及び生成部7に接続されている。第一保持部50の出力Qは、信号A0を出力する。
【0031】
第二保持部52の入力Dは、第一保持部50の出力Qに接続されている。第二保持部52の入力Dには、第一保持部50から出力された信号A0が入力される。第二保持部52の入力CKは、生成部7に接続されている。第二保持部52の入力CKには、生成部7から出力されたクロック信号が入力される。第二保持部52の出力Qは、出力部9の判定部90(後述)に接続されている。第二保持部52の出力Qは、信号A1を出力する。
【0032】
第三保持部54の入力Dは、入力部3の第二入力端32に接続されている。第三保持部54の入力Dには、第二入力端32から出力された信号Bが入力される。第三保持部54の入力CKは、生成部7に接続されている。第三保持部54の入力CKには、生成部7から出力されたクロック信号が入力される。第三保持部54の出力Qは、第四保持部56の入力D、生成部7及び出力部9の判定部90に接続されている。第三保持部54の出力Qは、信号B0を出力する。
【0033】
第四保持部56の入力Dは、第三保持部54の出力Qに接続されている。第四保持部56の入力Dには、第三保持部54から出力された信号B0が入力される。第二保持部52の入力CKは、生成部7に接続されている。第二保持部52の入力CKには、生成部7から出力されたクロック信号が入力される。第二保持部52の出力Qは、出力部9の判定部90に接続されている。第四保持部56の出力Qは、信号B1を出力する。
【0034】
図5及び
図6は、保持部において保持されるデータを示す図である。
図5は、スライド部118が第一方向に移動した場合のデータを示している。
図6は、スライド部118が第二方向に移動した場合のデータを示している。本実施形態では、保持部5は、4カウントごとに1周期する周期性を有している。
図5に示されるように、保持部5では、Initial→State1→State2→State3→State4→State1→State2→…の順に信号がシフトする。
図5では、検出開始の時刻tがt
0、t
1、t
2、t
3(
図4(a)及び
図4(b)参照)の場合について示している。時刻tは、t
4、t
5、t
6であってもよい。
【0035】
図5に示されるように、たとえば、検出開始時刻t=t
0の場合には、Initialにおいて、信号Aである「1」、信号Bである「0」が入力されると、State1において、信号A
0に「1」、信号B
0に「0」が保持される。続いて、State1において、信号Aである「1」、信号Bである「1」が入力されると、State1の信号A
0の「1」及び信号B
0の「0」がState2の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State2において、信号A
0に「1」、信号B
0に「1」が保持される。続いて、State2において、信号Aである「0」、信号Bである「1」が入力されると、State2の信号A
0の「1」及び信号B
0の「1」がState3の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State3において、信号A
0に「0」、信号B
0に「1」が保持される。続いて、State3において、信号Aである「0」、信号Bである「0」が入力されると、State3の信号A
0の「0」及び信号B
0の「1」がState4の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State4において、信号A
0に「0」、信号B
0に「0」が保持される。続いて、State4において、信号Aである「1」、信号Bである「0」が入力されると、State4の信号A
0の「0」及び信号B
0の「0」がState1の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State1において、信号A
0に「1」、信号B
0に「0」が保持される。検出開始時刻t=t
1、t=t
2及びt=t
3の場合においても、上記と同様に信号が保持される。
【0036】
図6に示されるように、たとえば、検出開始時刻t=t
0の場合には、Initialにおいて、信号Aである「0」、信号Bである「1」が入力されると、State1において、信号A
0に「0」、信号B
0に「1」が保持される。続いて、State1において、信号Aである「1」、信号Bである「1」が入力されると、State1の信号A
0の「0」及び信号B
0の「1」がState2の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State2において、信号A
0に「1」、信号B
0に「1」が保持される。続いて、State2において、信号Aである「1」、信号Bである「0」が入力されると、State2の信号A
0の「1」及び信号B
0の「1」がState3の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State3において、信号A
0に「1」、信号B
0に「0」が保持される。続いて、State3において、信号Aである「0」、信号Bである「0」が入力されると、State3の信号A
0の「1」及び信号B
0の「0」がState4の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State4において、信号A
0に「0」、信号B
0に「0」が保持される。続いて、State4において、信号Aである「1」、信号Bである「0」が入力されると、State4の信号A
0の「0」及び信号B
0の「0」がState1の信号A
1及び信号B
1にシフトし、State1において、信号A
0に「1」、信号B
0に「0」が保持される。検出開始時刻t=t
1、t=t
2及びt=t
3の場合においても、上記と同様に信号が保持される。
【0037】
図3に示されるように、生成部7は、信号A及び信号Bと、信号A
1及び信号B
1とに基づいてクロック信号CLKを生成する。生成部7は、信号A及び信号Bの立ち上がり及び立ち下がりを検知し、クロック信号CLKを生成する。生成部7は、第一XOR回路70と、第二XOR回路72と、OR回路74と、遅延回路(遅延部)76と、を有している。
【0038】
第一XOR回路70は、XORゲート素子である。第一XOR回路70は、信号A及び信号A0を入力する。第一XOR回路70は、信号A及び信号A0の値が異なる場合には「1」を出力し、信号A及び信号A0の値が同じ場合には「0」を出力する。
【0039】
第二XOR回路72は、XORゲート素子である。第二XOR回路72は、信号B及び信号B0を入力する。第二XOR回路72は、信号B及び信号B0の値が異なる場合には「1」を示す信号を出力し、信号B及び信号B0の値が同じ場合には「0」を示す信号を出力する。
【0040】
OR回路74は、ORゲート素子である。OR回路74は、第一XOR回路70から出力された信号及び第二XOR回路72から出力された信号を入力する。OR回路74は、第一XOR回路70及び第二XOR回路72から出力された信号の値がいずれも「0」である場合には「0」を出力する。すなわち、OR回路74は、演算結果が「0」の場合には、クロック信号を出力しない。OR回路74は、第一XOR回路70及び第二XOR回路72から出力された信号の値の少なくとも一方が「1」である場合には「1」を出力する。すなわち、OR回路74は、演算結果が「1」の場合には、クロック信号を出力する。OR回路74は、遅延回路76に接続されている。OR回路74は、クロック信号を遅延回路76に出力する。
【0041】
遅延回路76は、クロック信号を遅延させる。遅延回路76は、N個のNOTゲート素子(インバータ)76Aが直列に接続されて構成されている。Nは、偶数である。遅延回路76は、クロック信号CLKのパルス幅を広げる。すなわち、遅延回路76は、クロック信号CLKのクロック周期を長くする。生成部7によって生成されるクロック信号CLKのパルス幅(パルス信号の立ち上がりから立ち下がりまでの間の幅)の時間twは、以下の関係を有する。
tw=tsh+txor+tor+N・tinv
tshは、保持部5のシフト動作による遅れ時間である。txorは、第一XOR回路70及び第二XOR回路72による遅れ時間である。torは、OR回路74による遅れ時間である。N・tinvは、遅延回路76による遅れ時間である。時間twは、適宜設定されればよい。時間twは、たとえば、信号A及び信号Bのパルス幅の半分未満となるように設定される。
【0042】
遅延回路76は、第一保持部50、第二保持部52、第三保持部54及び第四保持部56の入力CK、及び、出力部9の検出部92(後述)に接続されている。遅延回路76は、クロック信号CLKを第一保持部50、第二保持部52、第三保持部54、第四保持部56及び検出部92に出力する。
【0043】
出力部9は、スライド部118の移動に係る移動信号MOVout、及び、スライド部118の移動の方向に係る方向信号DIRoutを出力する。出力部9は、判定部90と、検出部92と、を有している。
【0044】
判定部90は、スライド部118の移動の方向(第一方向、第二方向)を判定する。判定部90は、第二保持部52から出力された信号A1及び第三保持部54から出力された信号B0に基づいて、スライド部118の移動の方向きを判定する。判定部90は、XOR回路90Aと、ローパスフィルタ(平滑部)90Bと、NOT回路90Cと、を有している。
【0045】
XOR回路90Aは、XORゲート素子である。本実施形態では、XOR回路90Aは、第二保持部52から出力された信号A1及び第三保持部54から出力された信号B0を入力する。XOR回路90Aは、第二保持部52から出力された信号A1及び第三保持部54から出力された信号B0の値が異なる場合には「1」を出力する。XOR回路90Aは、第二保持部52から出力された信号A1及び第三保持部54から出力された信号B0の値が同じである場合には「0」を出力する。XOR回路90Aは、演算結果をローパスフィルタ90Bに出力する。
【0046】
図7は、スライド部118が第一方向に移動している場合における、信号A
1及び信号B
0の規則性を示す図である。
図7に示されるように、スライド部118が第一方向に移動している場合には、信号A
1及び信号B
0が(1,1)又は(0,0)となる規則性を有する。XOR回路90Aは、信号A
1及び信号B
0として(1,1)又は(0,0)が入力されると、「0」を出力する。すなわち、XOR回路90Aは、スライド部118が第一方向に移動している場合には、「0」を出力する。
【0047】
図8は、スライド部118が第二方向に移動している場合における、信号A
1及び信号B
0の規則性を示す図である。
図8に示されるように、スライド部118が第二方向に移動している場合には、信号A
1及び信号B
0が(0,1)又は(1,0)となる規則性を有する。XOR回路90Aは、信号A
1及び信号B
0として(0,1)又は(1,0)が入力されると、「1」を出力する。すなわち、XOR回路90Aは、スライド部118が第二方向に移動している場合には、「1」を出力する。
【0048】
図3に示されるように、ローパスフィルタ90Bは、XOR回路90Aから出力された信号を平滑化する。ローパスフィルタ90Bは、XOR回路90Aから出力された信号を平滑化することで、信号に発生しているグリッチノイズを低減する。
【0049】
NOT回路90Cは、NOTゲート素子である。NOT回路90Cは、ローパスフィルタ90Bから出力された信号を論理反転させる。NOT回路90Cは、ローパスフィルタ90Bから出力された信号が「1」の場合には「0」を出力する。NOT回路90Cは、ローパスフィルタ90Bから出力された信号が「0」の場合には「1」を出力する。NOT回路90Cは、演算結果を方向信号DIRoutとして出力する。本実施形態では、NOT回路90Cは、スライド部118が第一方向に移動している場合には「1」を出力し、スライド部118が第二方向に移動している場合には「0」を出力する。なお、NOT回路90Cは、ローパスフィルタ90Bから出力された信号を整形する機能も有している。
【0050】
検出部92は、生成部7において生成されたクロック信号CLKに基づいてスライド部118の移動を検出する。検出部92は、カウンタ部92Aと、AND回路(論理積回路)92Bと、を有している。
【0051】
カウンタ部92Aは、2ビットカウンタである。カウンタ部92Aは、クロック信号を入力する入力Cと、カウンタ信号を出力する2つの出力Q1、Q0と、を有している。また、カウンタ部92Aは、カウンタ部92Aを初期化するためのリセット信号を入力する入力RSTを有している。カウンタ部92Aの入力Cは、生成部7に接続されている。カウンタ部92Aの入力Cには、生成部7(遅延回路76)から出力されたクロック信号CLKが入力される。カウンタ部92Aの出力Q1及び出力Q0は、AND回路92Bに接続されている。
【0052】
AND回路92Bは、ANDゲート素子である。AND回路92Bは、カウンタ部92Aから出力されたカウンタ信号を入力する。AND回路92Bは、カウンタ部92Aの出力Q1及び出力Q0のそれぞれから出力されたカウンタ信号の値が「1」である場合には、「1」を出力する。AND回路92Bは、カウンタ部92Aの出力Q1及び出力Q0のそれぞれから出力されたカウンタ信号の値が異なる場合には、「0」を出力する。AND回路92Bは、演算結果を移動信号MOVoutとして出力する。
【0053】
検出部92の動作について、詳細に説明する。本実施形態では、カウンタ部92Aは、「3」までカウントアップするカウンタである。カウンタ部92Aでは、入力Cにクロック信号CLKが入力されると、Initial→State1→State2→State3→State4→State1→State2→…の順に遷移する。State1はカウント1、State2はカウント2、State3はカウント3、State4はカウント0に相当する。
図9に示されるように、検出部92では、(Q1,Q2)=(1,1)であり、10進数で「3」の場合に「1」となる。検出部92では、それ以外の場合では「0」となる。移動信号MOV
outは、State1からState4までを1周期とするパルス信号である。移動信号MOV
outは、State3のときに「1」となるパルス信号となる。
【0054】
コンピュータ200は、検出回路1から出力された移動信号MOVout及び方向信号DIRoutを処理する。コンピュータ200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。
【0055】
コンピュータ200は、検出回路1の出力部9から出力された移動信号MOVoutに基づいて、スライド部118の移動量を算出し得る。コンピュータ200は、移動信号MOVoutのクロックを計測することにより、スライド部118の移動量を算出し得る。コンピュータ200は、移動信号MOVout及び方向信号DIRoutに基づいて、スライド部118の移動に係る情報を取得し得る。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る検出回路1は、上記回路構成によって、スライド部118の移動に係る移動信号MOVout、及び、スライド部118の移動の方向に係る方向信号DIRoutを出力する。そのため、検出回路1では、スライド部118の移動が速い場合であっても、割り込み処理等によって信号が取得できなくなるといった事態を回避できる。また、高性能な制御装置を必要としない。そのため、検出回路1では、簡易な構成でスライド部118の移動を精度良く検出することができる。
【0057】
本実施形態に係る検出回路1では、判定部90は、方向信号を入力し、方向信号を平滑化して出力するローパスフィルタ90Bを有している。この構成では、方向信号DIRoutにグリッチノイズが含まれている場合に、グリッチノイズを低減させることができる。
【0058】
本実施形態に係る検出回路1では、生成部7は、クロック信号CLKを遅延させる遅延回路76を有している。クロック信号CLKのパル幅が狭い場合、クロック信号CLKに基づいて動作する保持部5及び検出部92において誤動作が生じるおそれがある。この構成では、遅延回路76によって、クロック信号CLKのパルス幅を広くすることができる。そのため、上記誤動作が生じることを回避することができる。
【0059】
本実施形態に係る検出回路1では、検出部92は、クロック信号CLKを入力してクロック信号CLKに応じて二つのカウンタ信号を出力するカウンタ部92Aと、カウンタ部92Aから出力された二つのカウンタ信号を入力し、二つのカウンタ信号の論理積を演算し、演算結果を移動信号MOVoutとして出力するAND回路92B路と、を有している。この構成では、スライド部118の移動を適切に検出することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0061】
上記実施形態では、エンコーダ116の第一ホール素子116A及び第二ホール素子116Bを含んでいる形態を一例に説明した。しかし、エンコーダは、磁気式に限られず、光学式、接触式などであってもよい。
【0062】
上記実施形態では、遅延回路76が、N個のNOTゲート素子(インバータ)76Aが直列に接続されて構成されている形態を一例に説明した。しかし、遅延回路76は、ディレイライン素子などであってもよい。
【0063】
上記実施形態では、保持部5が第四保持部56を有している形態を一例に説明した。しかし、保持部5は、第四保持部56を有していなくてもよい。
【0064】
上記実施形態では、判定部90がローパスフィルタ90B及びNOT回路90Cを有している形態を一例に説明した。しかし、判定部90は、ローパスフィルタ90B及び/又はNOT回路90Cを有していなくてもよい。
【0065】
上記実施形態では、XOR回路90Aが、第二保持部52から出力された信号A1及び第三保持部54から出力された信号B0を入力する形態を一例に説明した。しかし、XOR回路90Aは、第一保持部50から出力された信号A0及び第四保持部56から出力された信号B1を入力してもよい。XOR回路90Aは、第一保持部50から出力された信号A0及び第四保持部56から出力された信号B1の値が異なる場合には「1」を出力する。XOR回路90Aは、第一保持部50から出力された信号A0及び第四保持部56から出力された信号B1の値が同じである場合には「0」を出力する。
【0066】
図7に示されるように、スライド部118が第一方向に移動している場合には、信号A
0及び信号B
1が(1,0)又は(0,1)となる規則性を有する。XOR回路90Aは、信号A
0及び信号B
1として(1,0)又は(0,1)が入力されると、「1」を出力する。すなわち、XOR回路90Aは、スライド部118が第一方向に移動している場合には、「1」を出力する。
【0067】
図8に示されるように、スライド部118が第二方向に移動している場合には、信号A
0及び信号B
1が(1,1)又は(0,0)となる規則性を有する。XOR回路90Aは、信号A
0及び信号B
1として(1,1)又は(0,0)が入力されると、「0」を出力する。すなわち、XOR回路90Aは、スライド部118が第二方向に移動している場合には、「0」を出力する。
【0068】
上記実施形態では、検出部92が、カウンタ部92Aと、AND回路92Bと、を有している形態を一例に説明した。しかし、検出部の構成はこれに限定されない。
図10に示されるように、検出部92Dは、カウンタ部92Aと、AND回路92Bと、NOT回路92Cと、を備えていてもよい。NOT回路92Cは、カウンタ部92Aから出力されるカウンタ信号のうちの出力Q
0から出力されたカウンタ信号を入力し、当該カウンタ信号の値を反転させた反転信号をAND回路92Bに出力する。
【0069】
AND回路92Bは、カウンタ部92Aの出力Q1から出力されたカウンタ信号及びNOT回路92Cから出力された反転信号を入力し、当該カウンタ信号と反転信号との論理積を演算し、演算結果を移動信号MOVoutとして出力する。検出部92Dでは、(Q1、Q2)=(1,1)であり、10進数で「2」の場合に「1」となる。
【0070】
上記実施形態に加えて、
図11に示されるように、出力部9は、変換部94を更に有していてもよい。変換部94は、移動信号MOV
out及び方向信号DIR
outを所定の信号FOR
out及び信号REV
outに変換する。変換部94は、第一AND回路94Aと、第二AND回路94Bと、NOT回路(論理否定回路)94Cと、を有している。
【0071】
第一AND回路94Aは、ANDゲート素子である。第一AND回路94Aは、判定部90のNOT回路90Cから出力された方向信号DIRout及び検出部92のAND回路92Bから出力された移動信号MOVoutを入力する。第一AND回路94Aは、信号FORoutを出力する。
【0072】
第二AND回路94Bは、ANDゲート素子である。第二AND回路94Bは、NOT回路94Cから出力された信号及び検出部92のAND回路92Bから出力された移動信号MOVoutを入力する。第二AND回路94Bは、信号REVoutを出力する。
【0073】
NOT回路94Cは、NOTゲート素子である。NOT回路94Cは、判定部90のNOT回路90Cから出力された方向信号DIRoutを入力し、方向信号DIRoutを論理反転して第二AND回路94Bに出力する。
【0074】
図12(a)及び
図12(b)は、変換部によって変換された信号を示す図である。
図12(a)は、スライド部118が第一方向に移動している場合の信号を示している。
図12(b)は、スライド部118が第二方向に移動している場合の信号を示している。
図12(a)に示されるように、変換部94は、スライド部118が第一方向に移動している場合、入力された移動信号MOV
out及び方向信号DIR
outを、信号FOR
outはパルス信号、信号REV
outは「0」に変換する。
図12(b)に示されるように、変換部94は、スライド部118が第二方向に移動している場合、入力された移動信号MOV
out及び方向信号DIR
outを、信号FOR
outは「0」、信号REV
outはパルス信号に変換する。
【0075】
変換部94によって移動信号MOVout及び方向信号DIRoutを信号FORout及び信号REVoutに変換することにより、たとえば、コンピュータ200において割り込み処理が行われる場合、信号FORout及び信号REVoutを用いることにより、信号FORout及び信号REVoutが互いに排他であるため、割り込みルーチンの処理に条件分岐を含まない。そのため、コンピュータ200において動作を高速に行うことができ、反応することができるパルスの周波数を高くすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1…検出回路、3…入力部、5…保持部、7…生成部、9…出力部、76…遅延回路(遅延部)、90…判定部、90B…ローパスフィルタ(平滑部)、92,92D…検出部、92A…カウンタ部、92B…AND回路(論理積回路)、94…変換部、112…圧電素子、118…スライド部(移動体)、200…コンピュータ(制御装置)。