(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183860
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】シート固定具
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20221206BHJP
E04G 5/00 20060101ALI20221206BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
E04G21/32 B
E04G5/00 301E
F16B45/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091363
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】515230501
【氏名又は名称】佐藤 良弘
(71)【出願人】
【識別番号】515230442
【氏名又は名称】佐藤 弘剛
(71)【出願人】
【識別番号】515230523
【氏名又は名称】佐藤 衛
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】特許業務法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良弘
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA08
3J038BB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単に取り付けおよび取り外しが可能で、シート同士の連結、固定が解けにくいシート固定具の提供。
【解決手段】上下方向に隣接するハトメ付きシートを連結するシート固定具であって、並列した2つの腕部3と、腕部の一方端同士を連結する連結部2とを備えた固定具本体1と、腕部の他方端同士を架橋するロックプレート6とからなり、腕部は、その他方端に軸ピン4と、掛ピン5とをそれぞれ備え、連結部との接続部には対向して切欠き9を備え、前記ロックプレートは、前記軸ピンを貫装する軸ピン孔7と、前記掛ピン5を貫装する貫装部8bおよび前記掛ピンを挿脱自在とする挿脱部8aとを備えた掛ピン孔8とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に隣接するハトメ付きシートを連結するシート固定具であって、
前記シート固定具は、並列した2つの腕部と、前記腕部の一方端同士を連結する連結部とを備えた固定具本体と、前記腕部の他方端同士を架橋するロックプレートと、からなり、
前記固定具本体の腕部は、その他方端に軸ピンと、掛ピンと、をそれぞれ備え、前記連結部との接続部には対向して切欠きを備え、
前記ロックプレートは、前記軸ピンを貫装する軸ピン孔と、前記掛ピンを貫装する貫装部および前記掛ピンを挿脱自在とする挿脱部とを備えた掛ピン孔と、を有しており、前記軸ピンに対して脱落不能に取り付けられてあって、
前記軸ピンを備えた腕部を上側シートの下部ハトメへ、前記掛ピンを備えた腕部を下側シートの上部ハトメへ挿入し、このうち下側シートの上部ハトメから突出した前記掛ピンを備えた腕部に、前記ロックプレートを掛ピン孔の挿脱部を介して掛合させることを特徴とするシート固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に隣接して設置されたハトメ付きシートの固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の建設やリフォーム工事等の現場には、建物の外壁回りの作業用に仮設足場が設けられており、その足場の支柱間には作業者や工具、作業中に生じる端材の落下防止や吹き付け塗装の際に生じる塗装剤の飛散防止等のためにハトメ付きシートが設置されている。当該ハトメ付きシート同士の連結には、一般的に隣接したハトメをナイロン製の紐等で一括りにする方法が用いられているが、手間が掛かる上に風の強さや紐の結び方によっては連結が解けてしまう虞がある。また、紐の結び方は個人差が出やすく、作業者の熟練度によってはハトメ付きシートの張設が不均一になることもある。
【0003】
そこで、上記の問題に対処するべく、文献1や文献2をはじめとして、隣接する又は重なったハトメ同士の連結を容易に行えて、且つ、確実にする連結具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-022528号
【特許文献2】特開2021-032010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の文献1における連結固定具では、バンドに設けられた鋸歯が固定具本体内部の板体の爪部と係合することで連結固定具の固定を図っているが、鋸歯と爪部はいずれ先端部が摩耗してしまい係合が緩くなってしまう虞がある。また、文献2における連結具では、連結具自体が雄型と雌型の2つの部材からなるものであるため取付けの手間が掛かることに加えて、ハトメ同士が重なっていることが前提となっており、取付けの際にはシートの重ね具合を微調整しなければならない。
【0006】
そこで本発明は上記事情に鑑み、上下方向に隣接するハトメ付きシート(以下、シートとする)において、簡単に取付け、取り外しが可能であり、誰でも同じようにシートを張設出来るシート固定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上下方向に隣接するハトメ付きシートを連結するシート固定具であって、前記シート固定具は、並列した2つの腕部と、前記腕部の一方端同士を連結する連結部とを備えた固定具本体と、前記腕部の他方端同士を架橋するロックプレートとからなり、前記固定具本体の腕部は、その他方端に軸ピンと、掛ピンとをそれぞれ備え、前記連結部との接続部には対向して切欠きを備え、前記ロックプレートは、前記軸ピンを貫装する軸ピン孔と、前記掛ピンを貫装する貫装部および前記掛ピンを挿脱自在とする挿脱部とを備えた掛ピン孔とを有しており、前記軸ピンに対して脱落不能に取り付けられてあって、前記軸ピンを備えた腕部を上側シートの下部ハトメへ、前記掛ピンを備えた腕部を下側シートの上部ハトメへ挿入し、このうち下側シートの上部ハトメから突出した前記掛ピンを備えた腕部に、前記ロックプレートを掛ピン孔の挿脱部を介して掛合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、並列した2つの腕部と当該腕部を連結する連結部で構成された固定具本体は略コの字形を呈しており、隣接した上下2つのハトメに腕部をそれぞれ挿入するだけで簡易的に且つ簡単に上下のシートを連結することが出来る。これに加えて、ハトメから突出した2つの腕部をロックプレートで架橋することで、ハトメから腕部が、つまりシートから固定具本体が脱落してしまうのを防ぐことができ、上下のシート同士の連結をより確実に固定することが出来る。従来は隣接するハトメ同士を紐等で括る方法が主流であるがゆえに、作業者の熟練度によってシートの張設仕上がりに差が出ていたが、本発明を使用することにより紐の結び方やその具合が問われないため、誰が取り付けても同じようにシートを張設することが出来る。また、誰が使用しても同じようにシートの張設が可能なため、作業者の熟練度に左右されず均一にシートを張設することができ、作業性の向上も期待できる。また、前記ロックプレートは、固定具本体の軸ピンに対して脱落不能に取り付けられているため、固定具本体とロックプレートとがそれぞれ分離してしまうことが無く、どちらか一方が紛失して使用出来なくなる虞も無い。更に、固定具本体の腕部にロックプレートを橋架させるだけで固定されるため、部材同士が係合して摩耗する可能性も無く、より長期間の使用に耐え得るものとすることが出来る。また、腕部と連結部の接続部には、対向して切欠きが備えられており、当該切欠きにハトメの金具が入り込むことによりシート同士のずれを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のシート固定具の全体を示した斜視図である。
【
図2】本発明のシート固定具のロック手順を示した説明図である。
【
図3】シートの裏側において、本発明のシート固定具を取り付ける際の手順を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下より、本発明のシート固定具の実施の形態について詳説する。
本実施の形態におけるシート固定具は金属製であり、
図1(a)及び(b)に示すように、並列する2本の腕部3、3と、前記腕部3の一方端同士を連結する連結部2とを有した正面視略コの字形の固定具本体1と、該固定具本体1に脱落不能に装着されたロックプレート6とを備えている。また、前記腕部3、3と連結部2の接続部には、対向して半円状の切欠き9、9が備えられている。
【0011】
前記固定具本体1の腕部3、3の他方端には、それぞれ軸ピン4と、掛ピン5とが設けられている。当該軸ピン4及び掛ピン5には金属製の丸リベットを使用しており、前記腕部3の他方端を貫通するように固着していて、このうち前記軸ピン4に前記ロックプレート6が脱落不能に掛止している。当該ロックプレート6には、前記軸ピン4が掛止出来るように、ロックプレート6の長手方向に長軸を有した楕円形状の貫通孔である軸ピン孔7と、前記掛ピン5を嵌脱可能とする掛ピン孔8とが設けられており、このうち掛ピン孔8は前記掛ピン5を嵌脱自在とすることが出来る略円形状の貫通孔である挿脱部8aと、前記軸ピン孔7と同様に掛ピン5を脱落不能とする略楕円形状の貫通孔である貫装部8bとで構成されている。前記両ピンを貫装した軸ピン孔7及び掛ピン孔8は、前述のとおりロックプレート6の長手方向に長軸を有した略楕円形状の貫通孔であるため、ロックプレート6をその長手方向に摺動させることが出来る。
【0012】
上記の構成において、軸ピン4が貫装された軸ピン孔7は、その短軸の幅が丸リベットを用いた軸ピン4の頭部の径よりも小さいため、フランジ状に張り出した頭部に該軸ピン孔7の縁部が係止して前記軸ピン4が脱落してしまうのを防いでいる。一方、掛ピン5が貫装された掛ピン孔8においては、前記貫装部8bが前記軸ピン孔7と同様の構成を有しており、前述と同様に当該貫装部8bに挿入された掛ピン5が脱落出来ないようになっているが、該貫装部8bに連設された挿脱部8aは、フランジ状に張り出した掛ピン5の頭部の径よりも大きい径を有した略円形状の貫通孔であるため、掛ピン5を当該挿脱部8aの直下に来るようロックプレート6を摺動させた後軽く持ち上げると、掛ピン5が当該挿脱部8aを通じて掛ピン孔8から脱落する。
【0013】
また、前記軸ピン孔7は前述のとおり略楕円形状を呈しているため、該軸ピン孔7に掛止した軸ピン4を回転軸としてロックプレート6を
図1(a)に図示した矢印の方向に回動させることも可能である。
【0014】
次に、以上の構成を有した本実施の形態を用いて、上下方向に隣接した上側シート100及び下側シート101の連結を行う際の手順について
図2及び
図3を基に説明する。なお、以下に示す上側シート100及び下側101の裏側とは、仮設足場が組まれている建物側のことを指す。
まず、上下方向に隣接した上側シート100及び下側101の裏側から、シート固定具の腕部3を上側シート100の下部ハトメ201に通す。この時、突き通す腕部3は、必ず掛ピン5が設けられた腕部3であり、ロックプレート6は掛ピン5から脱落させておく。(
図2(a)及び
図3(a)参照)すると、下部ハトメ201を貫通した腕部3の先端は、上側シート100の表側へと突出するため、固定具本体1を軸ピン4が軸となるように回転させて、当該腕部3の先端が上側シート100及び下側シート101の裏側へ向くよう調整し、下側シート101の上部ハトメ200に貫通させる。(
図3(b)参照)この時、腕部3、3と連結部2の接続部に位置する半円状の切欠き9、9に、上部ハトメ200の下半分と及び下部ハトメ201の上半分が嵌り込み、上側シート100及び下側シート101がはためくことによる下部ハトメ201と上部ハトメ200同士の位置のずれを軽減している。
次に、
図3(b)に示すようにロックプレート6の端部を矢印の方向に回動させ、下側シート101の上部ハトメ200から突き出ている腕部3の先端に設けられた掛ピン5に掛合させる。(
図3(c))この時、予めロックプレート6を上側に摺動させておき、掛ピン5が掛ピン孔8の挿脱部8aに挿入し易いようにする。(
図2(b)~(c))
最後に、掛ピン孔8の挿脱部8aに挿入した掛ピン5を貫装部8bに挿入するようロックプレート6を下方へ摺動させることで、シート固定具の取り付けが完了する。(
図2(d)および
図3(d)参照)なお、ロックプレート6の下方への摺動は、ロックプレート6の自重によって簡単に行われる。
【0015】
このように構成され、使用する本発明のシート固定具であれば、一体的に構成されたコの字形の固定具本体1を上下に並列した上側シート100の下部ハトメ201と、下側シート101の上部ハトメ200に掛合させることにより、上下のシート100、101のずれを抑え、更にロックプレート6で前記固定具本体1が下部ハトメ201及び上部ハトメ200から脱落しないように固定することで、あたかも閂のように上下のシート100、101同士の動きを抑えることが出来る。ゆえに、従来のようにナイロン製の紐等で両シートを結ぶことが無いため、結び方の甘さや強風によるシートのはためき等によってシート同士の固定、連結が解けてしまう虞が無い。
【0016】
また、本発明のシート固定具に設けられた半円状の切欠き9は、略コの字形の固定具本体1を上側シート100の下部ハトメ201および下側シート101の上部ハトメ200に嵌合させることで、下部ハトメ201の下半分と、上部ハトメ200の上半分とがそれぞれ嵌り込む構成となっており、風によってシートがはためくことで生じる上側シート100の下部ハトメ201と下側シート101の上部ハトメ200間のずれを起こし難くすることが出来る。
【0017】
また、本発明を使用することにより、従来のようにハトメ同士を紐で括るような個人の癖や技能の差が出ることが無いため、作業者の熟練度に依存せず誰が使用したとしても同じように均一にシートを張設することが出来る。なお、経年劣化によるシートの縮みにも対応することが出来る。
【0018】
また、固定具本体1とロックプレート6が軸ピン4によって脱落不能に取り付けられていることにより、一方の部材を紛失する虞が無いためこれによって使用できなくなることも無い。加えて、固定具本体1に設けられたピンにロックプレート6を引っ掛けるだけで良いため使用手順も簡素で分かり易く、構成部材同士が係合して摩耗する虞がある箇所も少ないため、繰り返しの使用に耐え得るものである。
【0019】
本発明のシート固定具は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更できる。
【符号の説明】
【0020】
1 固定具本体
2 連結部
3 腕部
4 軸ピン
5 掛ピン
6 ロックプレート
7 軸ピン孔
8 掛ピン孔
8a 挿脱部
8b 貫装部
9 切欠き
100 上側シート
101 下側シート
200 上部ハトメ
201 下部ハトメ