(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183873
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光ファイバリボン
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G02B6/44 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091385
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 貴之
(72)【発明者】
【氏名】大塚 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】下田 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】山根 慎司
【テーマコード(参考)】
2H201
【Fターム(参考)】
2H201AX19
2H201AX21
2H201DD15
2H201DD16
2H201DD23
2H201KK02
2H201KK17
2H201KK62
2H201KK63
2H201MM15
2H201MM17
(57)【要約】
【課題】取扱性を維持しつつ接続作業性が向上した光ファイバリボンを提供する。
【解決手段】光ファイバリボンは、長手方向に直交する方向に並列に配置された複数の光ファイバ心線と、複数の光ファイバ心線を連結する連結材と、を備えている。複数の光ファイバ心線の全ての隣接する光ファイバ心線間が連結材により連結された状態の複数の連結部と、複数の光ファイバ心線の一部の隣接する光ファイバ心線間が連結材により連結されていない状態の複数の分離部とが、光ファイバ心線の長手方向に交互に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に直交する方向に並列に配置された複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線を連結する連結材と、を備えており、
前記複数の光ファイバ心線の全ての隣接する前記光ファイバ心線間が前記連結材により連結された状態の複数の連結部と、前記複数の光ファイバ心線の一部の隣接する前記光ファイバ心線間が前記連結材により連結されていない状態の複数の分離部とが、前記光ファイバ心線の長手方向に交互に設けられている、光ファイバリボン。
【請求項2】
前記分離部において、前記複数の光ファイバ心線は、それぞれ少なくとも2本の光ファイバ心線を含む複数のグループに分けられており、
前記グループ内では、隣接する前記光ファイバ心線間は互いに接した状態で連結されており、
隣接する前記グループは、連結されていない、請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項3】
前記複数の光ファイバ心線は、12本の光ファイバ心線を有しており、
前記分離部において、前記複数の光ファイバ心線は、三つのグループに分けられている、請求項2に記載の光ファイバリボン。
【請求項4】
前記複数の光ファイバ心線は、16本の光ファイバ心線を有しており、
前記分離部において、前記複数の光ファイバ心線は、四つのグループに分けられている、請求項2に記載の光ファイバリボン。
【請求項5】
前記光ファイバ心線の長手方向における前記連結部の長さが、5mm以上50mm以下である、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の光ファイバリボン。
【請求項6】
前記光ファイバ心線の長手方向における前記分離部の長さが、20mm以上100mm以下である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の光ファイバリボン。
【請求項7】
前記光ファイバ心線の外径は200μm以下である、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の光ファイバリボン。
【請求項8】
前記分離部において、前記光ファイバ心線の長手方向に直交する前記光ファイバ心線の配列方向における前記光ファイバリボンの第一端部に位置する光ファイバ心線が連結されている光ファイバ心線の数と、前記光ファイバ心線の配列方向における前記光ファイバリボンの第二端部に位置する光ファイバ心線が連結されている光ファイバ心線の数とが、異なる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光ファイバリボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバリボンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、並列に配置された複数の光ファイバ心線と、隣接する光ファイバ心線間の隙間を塞ぐ接着材とを有する光ファイバリボンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光ファイバリボンは、隣接する光ファイバ心線間が連結されているので、複数の光ファイバ心線を纏めて取り扱うことができる。他方、光ファイバ心線の配列ピッチと異なる配列ピッチの溝を有する融着接続機を用いて光ファイバリボンを他の光ファイバ心線に接続する場合、光ファイバ心線の配列ピッチの変換が必要となる。
【0005】
本開示は、取扱性を維持しつつ接続作業性が向上した光ファイバリボンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態に係る光ファイバリボンは、
長手方向に直交する方向に並列に配置された複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線を連結する連結材と、を備えており、
前記複数の光ファイバ心線の全ての隣接する前記光ファイバ心線間が前記連結材により連結された状態の複数の連結部と、前記複数の光ファイバ心線の一部の隣接する前記光ファイバ心線間が前記連結材により連結されていない状態の複数の分離部とが、前記光ファイバ心線の長手方向に交互に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、取扱性を維持しつつ接続作業性が向上した光ファイバリボンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光ファイバリボンの構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1の光ファイバリボンが配置された光配線箱を例示する概略図である。
【
図5】
図5は、融着接続装置を用いて光ファイバリボンを他の光ファイバ心線と融着接続を行う場合を説明する図である。
【
図6】
図6は、融着接続装置を用いて光ファイバリボンを他の光ファイバ心線と融着接続を行う場合を説明する図である。
【
図7】
図7は、融着接続装置を用いて光ファイバリボンを他の光ファイバ心線と融着接続を行う場合を説明する図である。
【
図8】
図8は、融着接続装置を用いて光ファイバリボン他の光ファイバ心線と融着接続を行う場合を説明する図である。
【
図9】
図9は、光ファイバリボンの構造の別例を示す図である。
【
図10】
図10は、光ファイバリボンの構造の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の光ファイバリボンは、
(1)長手方向に直交する方向に並列に配置された複数の光ファイバ心線と、
前記複数の光ファイバ心線を連結する連結材と、を備えており、
前記複数の光ファイバ心線の全ての隣接する前記光ファイバ心線間が前記連結材により連結された状態の複数の連結部と、前記複数の光ファイバ心線の一部の隣接する前記光ファイバ心線間が前記連結材により連結されていない状態の複数の分離部とが、前記光ファイバ心線の長手方向に交互に設けられている。
【0010】
上記構成によれば、複数の光ファイバ心線の全てが連結されている連結部が設けられているので、複数の光ファイバ心線を纏めて取り扱うことができる。他方、複数の光ファイバ心線の一部の隣接する光ファイバ心線間が連結されていない分離部が設けられている。これにより、連結されていない隣接する光ファイバ心線間の間隔を広げて、光ファイバリボンを構成する光ファイバ心線全体の配列方向の幅を広げることができる。例えば、光ファイバ心線の配列ピッチと異なる配列ピッチの溝を有する既存の融着接続機を用いて光ファイバリボンを他の光ファイバ心線に接続する場合、光ファイバ心線全体の配列方向の幅を広げることにより、既存の融着接続装置の溝の配列ピッチに適合させることができる。したがって、取扱性を維持しつつ接続作業性が向上した光ファイバリボンを提供できる。
【0011】
(2)前記分離部において、前記複数の光ファイバ心線は、それぞれ少なくとも2本の光ファイバ心線を含む複数のグループに分けられており、
前記グループ内では、隣接する前記光ファイバ心線間は互いに接した状態で連結されており、
隣接する前記グループは、連結されていなくてもよい。
【0012】
上記構成によれば、分離部において、グループごとに複数の光ファイバ心線を纏めて取り扱うことができるので、接続作業性が向上する。
【0013】
(3)前記複数の光ファイバ心線は、12本の光ファイバ心線を有しており、
前記分離部において、前記複数の光ファイバ心線は、三つのグループに分けられてもよい。
【0014】
上記構成によれば、光ファイバリボンを構成する光ファイバ心線を既存のピッチ変換ホルダまたは融着接続装置の溝の配列ピッチへ適合させることが容易である。
【0015】
(4)前記複数の光ファイバ心線は、16本の光ファイバ心線を有しており、
前記分離部において、前記複数の光ファイバ心線は、四つのグループに分けられてもよい。
【0016】
上記構成によれば、光ファイバリボンを構成する光ファイバ心線を既存のピッチ変換ホルダまたは融着接続装置の溝の配列ピッチへ適合させることが容易である。
【0017】
(5)前記光ファイバ心線の長手方向における前記連結部の長さが、5mm以上50mm以下でもよい。
【0018】
上記構成によれば、連結部の長さが5mm以上であるので、光ファイバリボンが振動により衝撃を受けた場合でも、連結材が光ファイバ心線から剥離しにくい。他方、連結部の長さが50mm以下であるので、例えば連結部を切断して分離部をピッチ変換ホルダにセットする場合、連結部を長く切断して除去するような無駄の発生を抑制できる。
【0019】
(6)前記光ファイバ心線の長手方向における前記分離部の長さが、20mm以上100mm以下でもよい。
【0020】
上記構成によれば、分離部の長さが20mm以上であるので、分離部をピッチ変換ホルダにセットしやすい。他方、分離部の長さが100mm以下であるので、光ファイバ心線間を大きく離間させることなく配列状態を維持しやすい。
【0021】
(7)前記光ファイバ心線の外径は200μm以下でもよい。
【0022】
上記構成によれば、一般的に、既存の融着接続装置の溝の配列ピッチは250μmである。他方、光ファイバリボンの光ファイバ心線の外径は200μm以下である。しかしながら、連結されていない隣接する光ファイバ心線間の間隔を広げることにより、光ファイバリボンの光ファイバ心線を既存の融着接続装置の溝の配列ピッチに適合させることができる。
【0023】
(8)前記分離部において、前記光ファイバ心線の長手方向に直交する前記光ファイバ心線の配列方向における前記光ファイバリボンの第一端部に位置する光ファイバ心線が連結されている光ファイバ心線の数と、前記光ファイバ心線の配列方向における前記光ファイバリボンの第二端部に位置する光ファイバ心線が連結されている光ファイバ心線の数とが、異なってもよい。
【0024】
上記構成によれば、光ファイバリボンの両端における光ファイバ心線の連結状況が異なるので、各光ファイバ心線を識別できる。特に、各光ファイバ心線に識別用の色が付されていない場合や各光ファイバ心線に識別の色が付されている場合でも見えにくい場合でも、光ファイバ心線の配列位置により各光ファイバ心線を識別できる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。図面の説明において同一または相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。また、図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、図面間で各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0026】
図1~
図3は、本実施形態に係る光ファイバリボン10の構成例を示す図である。
図4に示されるように、例えば、光ファイバリボン10は、データセンター等に配置されたラックに収納される光接続箱20の内部に配置される光ファイバリボンとして使用される。光接続箱20内において、光ファイバリボン10の一端は例えばコネクタ100を介して光接続箱20のアダプタ21に接続される。光ファイバリボン10の他端は光接続箱20内に導入された光ファイバケーブル30の光ファイバリボン31に融着接続される。
【0027】
図1に例示されるように、光ファイバリボン10は、複数の光ファイバ心線11を備えている。複数の光ファイバ心線11はその長手方向に直交する方向に並列に配置されている。本例においては、12本の光ファイバ心線11A~11Lが、隣接する光ファイバ心線11が互いに接した状態で並列に配置されている。
図2に例示されるように、各光ファイバ心線11は、ガラスファイバ11aとガラスファイバ11aの周囲に形成された被覆樹脂11bを有する。ガラスファイバ11aは、例えば、石英等のガラスを主成分とするファイバである。被覆樹脂11bは、例えば、紫外線硬化型樹脂などである。被覆樹脂11bは、二層以上の樹脂から形成されてもよく、最外層は着色されてもよい。光ファイバ心線11は、例えば、200μmの外径Dを有する。
【0028】
光ファイバリボン10は、連結材12を備えている。連結材12は、複数の光ファイバ心線11を連結するように構成されている。本例においては、連結材12は複数の光ファイバ心線11の周囲を覆うように形成されている。連結材12は、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等からなる被覆樹脂である。
【0029】
図1に例示されるように、光ファイバリボン10は、連結部111と分離部112を有する。連結部111と分離部112は、光ファイバ心線11の長手方向に沿って交互に設けられている。連結部111は、例えば、光ファイバ心線11の長手方向における長さL1が5mm以上50mm以下になるように形成される。分離部112は、例えば、光ファイバ心線の長手方向における長さL2が20mm以上100mm以下になるように形成される。
【0030】
図2に例示されるように、連結部111においては、全ての隣接する光ファイバ心線11A~11L間が連結材12により連結されている。
図3に例示されるように、分離部112においては、一部の隣接する光ファイバ心線11間が連結材12により連結されていない。分離部112は、例えば、全ての光ファイバ心線11を連結材12により連結した後に、回転刃等により連結材12の一部を切断することにより形成される。あるいは、分離部112は、連結すべき光ファイバ心線11間のみを連結材12にて連結することにより形成されてもよい。
【0031】
なお、本明細書において用いられる「分離部112において一部の隣接する光ファイバ心線11間が連結材12により連結されていない」という表現は、分離部112において、一部の隣接する光ファイバ心線11間が連結材12により連結されておらず、残りの光ファイバ心線11は少なくとも隣接する2本の光ファイバ心線11が連結されていることを意味する。すなわち、当該表現は、分離部112において、隣接する光ファイバ心線11間が連結されていない構造は含まない。
【0032】
本例においては、分離部112において12本の光ファイバ心線11は、三つのグループG1~G3に分けられている。グループG1は、4本の光ファイバ心線11A~11Dを含んでいる。グループG2は、4本の光ファイバ心線11E~11Hを含んでいる。グループG3は、4本の光ファイバ心線11I~11Lを含んでいる。各グループG1,G2,G3において、隣接する光ファイバ心線11は、互いに接した状態で連結材12により連結されている。他方、隣接するグループG1~G3は、連結材12により連結されていない。具体的には、グループG1の光ファイバ心線11DとグループG2の光ファイバ心線11Eは、連結されていない。同様に、グループG2の光ファイバ心線11HとグループG3の光ファイバ心線11Iは、連結されていない。なお、上記各グループG1,G2,G3における隣接する光ファイバ心線11は、連結材12とは異なる他の連結材により連結されていてもよい。
【0033】
このように、光ファイバリボン10は、複数の光ファイバ心線11の全てが連結されている連結部111が設けられているので、複数の光ファイバ心線11を纏めて取り扱うことができる。他方、一部の隣接する光ファイバ心線11間が連結されていない分離部112が設けられている。これにより、連結されていない隣接する光ファイバ心線11間の間隔を広げて、光ファイバリボン10を構成する光ファイバ心線11全体の配列方向の幅を広げることができる。例えば、光ファイバ心線11の配列ピッチと異なる配列ピッチの溝を有する既存の融着接続機を用いて光ファイバリボン10を他の光ファイバ心線に接続する場合、光ファイバ心線11全体の配列方向の幅を広げることにより、既存の融着接続装置の溝の配列ピッチに適合させることができる。
【0034】
図5~
図8を用いて、既存の融着接続装置40を用いて光ファイバリボン10を他の光ファイバ心線に融着接続する場合について説明する。ここでは、光ファイバ心線11の外径が200μm、光ファイバ心線11の配列ピッチが200μm、融着接続装置40のV溝41の配列ピッチが250μmである場合を例に挙げて説明する。
【0035】
図5に例示されるように、融着接続が行われる場合、光ファイバリボン10の光ファイバ心線11は、その先端における被覆樹脂11bが除去されてガラスファイバ11aが露出された状態で融着接続装置40のV溝41にセットされる。光ファイバ心線11の配列ピッチが200μm、融着接続装置40のV溝41の配列ピッチが250μmである場合、ガラスファイバ11aの一部は対応するV溝41に配置することができないので、ガラスファイバ11aの配列ピッチを200μmから250μmへ確実に変換することができない。
【0036】
これに対して、本開示に係る光ファイバリボン10は、分離部112における隣接するグループG1~G3間の間隔を広げることにより、ガラスファイバ11aの配列ピッチを200μmから250μmへ変換できる。
【0037】
具体的には、まず、
図6に例示されるように、光ファイバリボン10の先端における連結部111が切断されて、分離部112がピッチ変換ホルダ50にセットされる。ピッチ変換ホルダ50は、ガラスファイバ11aの配列ピッチを変換するように構成されており、融着接続装置40に搭載される。具体的には、ピッチ変換ホルダ50は、光ファイバリボン10のグループG1~G3をそれぞれ収容可能な複数の凹部51を有している。複数の凹部51は、所定の間隔をあけて形成されている。
【0038】
凹部51の間隔は、
図7に例示されるように、分離部112の先端において露出された各グループG1~G3のガラスファイバ11aの配列の中心がV溝41の基準位置Rに合うように設定される。基準位置Rとは、光ファイバリボン10の各グループG1~G3に含まれる複数のガラスファイバ11aに対応する複数のV溝41の配列の中心の位置である。グループG1~G3は、各凹部51に配置されることにより、間隔をあけて並列に配置される。
【0039】
続いて、
図8の上段に例示されるように全体の配列方向の幅が広げられたガラスファイバ11aは、
図8の中段に例示されるように、融着接続装置40の蓋部42によりV溝41に向けて押圧される。このとき、光ファイバリボン10のグループG1~G3の間が広げられているので、光ファイバリボン10のガラスファイバ11aの配列ピッチが融着接続装置40のV溝41のピッチと多少ずれていても、融着接続装置40の各V溝41の斜面にはそれぞれのV溝41に入るべき1本のガラスファイバ11aのみが当接する。各ガラスファイバ11aは対応するV溝41の斜面に沿って案内されることにより、
図8の下段に例示されるように、各V溝41には対応する1本のガラスファイバ11aが載置される。
【0040】
このように、光ファイバ心線11全体の配列方向の幅を広げることにより、既存の融着接続装置40のV溝41の配列ピッチに適合させることができるので、取扱性が維持されながら接続作業性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態においては、12本の光ファイバ心線11は、分離部112において三つのグループG1~G3に分けられているので、光ファイバリボン10を構成する光ファイバ心線11を既存のピッチ変換ホルダ50または融着接続装置40のV溝41の配列ピッチへ適合させることが容易である。
【0042】
また、分離部112の各グループG1~G3は4本の光ファイバ心線を含んでいるので、グループG1~G3ごとに複数の光ファイバ心線11を纏めて取り扱うことができる。これにより、接続作業性が向上する。
【0043】
また、光ファイバ心線11の長手方向における長さL1が5mm以上50mm以下になるように形成されている。光ファイバ心線11の長手方向における連結部111の長さL1が5mm以上である場合には、光ファイバリボン10が振動により衝撃を受けた場合でも、連結部111が光ファイバ心線11から剥離しにくい。他方、連結部111の長さL1が50mm以下である場合には、例えば連結部111を切断して分離部112をピッチ変換ホルダ50にセットする場合、連結部111を長く切断して除去するような無駄の発生を抑制できる。
【0044】
また、光ファイバ心線の長手方向における長さL2が20mm以上100mm以下になるように形成されている。光ファイバ心線11の長手方向における分離部112の長さL2が20mm以上である場合には、分離部112をピッチ変換ホルダ50にセットしやすい。他方、分離部112の長さL2が100mm以下である場合には、光ファイバ心線11間を大きく離間させることなく配列状態を維持しやすい。
【0045】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0046】
上記の実施形態において、光ファイバリボン10は12本の光ファイバ心線11を有している。しかしながら、光ファイバ心線11の数は限定されない。例えば、
図9に示されるように、光ファイバリボン10Aは16本の光ファイバ心線11A~11Pを有してもよい。本例においては、16本の光ファイバ心線11は、分離部112において四つのグループG1~G4に分けられている。各グループG1~G4は、4本の光ファイバ心線11A~11D,11E~11H,11I~11L,11M~11Pを含んでいる。このように16本の光ファイバ心線11が四つのグループG1~G4に分けられる場合は、光ファイバリボン10Aを構成する光ファイバ心線11を既存のピッチ変換ホルダ50または融着接続装置40のV溝41の配列ピッチへ適合させることが容易である。
【0047】
上記の実施形態において、光ファイバリボン10の各グループG1~G3には4本の光ファイバ心線が含まれている。しかしながら、なお、各グループG1~G3が少なくとも2本の光ファイバ心線11を含んでいれば、各グループG1~G3に含まれる光ファイバ心線11の数は限定されない。例えば、
図10に示されるように、光ファイバリボン10Bの光ファイバ心線11は、分離部112において、2本または4本の光ファイバ心線11を含む四つのグループG1~G4に分けられている。
【0048】
本例においては、光ファイバ心線11の配列方向における光ファイバリボン10の第一端部E1に位置するグループG1が2本の光ファイバ心線11A,11Bを含み、光ファイバリボン10の第二端部E2に位置するグループG4が4本の光ファイバ心線11I~11Lを含んでいる。すなわち、分離部112において、光ファイバリボン10Bの第一端部E1に位置する光ファイバ心線11が連結されている光ファイバ心線11の数と、光ファイバリボンの第二端部E2に位置する光ファイバ心線11が連結されている光ファイバ心線11の数とが、異なっている。このような構成によれば、光ファイバリボン10Bの両端における光ファイバ心線11の連結状況が異なるので、各光ファイバ心線11を識別できる。特に、各光ファイバ心線11に識別用の色が付されていない場合や各光ファイバ心線11に識別の色が付されている場合でも見えにくい場合でも、光ファイバ心線11の配列位置により各光ファイバ心線11を識別できる。
【0049】
図9に例示される光ファイバリボン10Aも同様に、光ファイバリボン10の各グループG1~G4に含まれる光ファイバ心線11の数は限定されない。例えば、光ファイバリボン10Aの16本の光ファイバ心線11は、2本または4本の光ファイバ心線11を含む五つのグループに分けられてもよい。この場合、第一端部E1に位置する光ファイバ心線11が連結されている光ファイバ心線11の数と、光ファイバリボンの第二端部E2に位置する光ファイバ心線11が連結されている光ファイバ心線11の数とが異なるように構成されてもよい。
【0050】
上記の実施形態において、光ファイバ心線11は、200μmの外径Dを有している。しかしながら、光ファイバ心線11は、例えば、200μm未満の外径Dを有するように構成されてもよい。光ファイバ心線の外径Dは200μm未満の場合でも、連結されていない隣接する光ファイバ心線11間の間隔を広げることにより、光ファイバ心線11を既存の融着接続装置40のV溝41の配列ピッチに適合させることができる。
【0051】
上記の実施形態において、分離部112における全ての光ファイバ心線11は、複数のグループに分けられている。しかしながら、分離部112は、少なくとも2本の光ファイバ心線11を含む少なくとも一つのグループを有していれば、隣接する光ファイバ心線11とは連結していない単心の光ファイバ心線11を含んでいてもよい。
【0052】
上記の実施形態において、光ファイバリボン10は、光ファイバ心線11の周囲を覆うように連結材12が形成されている。しかしながら、光ファイバ心線11の上面および下面の少なくとも一方が連結材12により覆われている構造や、隣接する光ファイバ心線11間の隙間が連結材12に塞がれている構造でもよい。また、連結材12は、被覆樹脂の代わりに、被覆テープや接着剤などにより形成されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10、10A、10B 光ファイバリボン
11、11A~11P 光ファイバ心線
11a ガラスファイバ
11b 被覆樹脂
12 連結材
20 光接続箱
21 アダプタ
30 光ファイバケーブル
31 光ファイバリボン
40 融着接続装置
41 V溝
42 蓋部
50 ピッチ変換ホルダ
51 凹部
100 コネクタ
111 連結部
112 分離部
D 外径
E1 第一端部
E2 第二端部
G1~G4 グループ
R 基準位置