(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183878
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】予算原価単価算出装置、予算原価単価算出方法および予算原価単価算出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221206BHJP
G16Z 99/00 20190101ALI20221206BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
G16Z99/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091391
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 正賢
(72)【発明者】
【氏名】野見山 真成
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
5L049DD02
(57)【要約】
【課題】製品等の予算原価単価を、様々な変動要素を考慮した上で算出できる予算原価単価算出装置等の提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)構成パターン紐付けマスタから、指定された予算区分と紐付く構成パターンCDを取得し、(2)製造構成マスタから、前記取得した構成パターンCDと紐付く品目CD、下位品目CD、構成分子、構成分母及び歩留率を取得し、(3)予算原価単価データから、前記指定された予算区分及び前記取得した下位品目CDと紐付く下位品目の予算原価単価を取得し、(4)前記取得した構成分子、構成分母及び歩留率並びに前記取得した下位品目の予算原価単価に基づき、前記取得した下位品目CDで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出し、(5)前記算出した下位品目毎の予算原価金額を前記指定された予算区分毎に集計して、前記取得した品目CDで特定される品目の予算原価単価を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える予算原価単価算出装置であって、
前記記憶部には、
予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データと、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データと、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データと、構成分子と、構成分母と、歩留率と、を含む製造構成マスタと、
区分と、前記構成パターン識別データと、を含む構成パターン紐付けマスタと、
前記区分と、前記下位品目識別データと、前記下位品目の予算原価単価と、を含む予算原価単価データと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得手段と、
前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得手段で取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得手段と、
前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得手段で取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得手段と、
前記構成取得手段で取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得手段で取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得手段で取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出手段と、
前記下位品目毎原価金額算出手段で算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得手段で取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出手段と、
を備えること、
を特徴とする予算原価単価算出装置。
【請求項2】
前記下位品目毎原価金額算出手段は、
前記構成取得手段で取得した構成分子を前記構成取得手段で取得した構成分母で除した値である第一値と、前記構成取得手段で取得した歩留率を100で除した値である第二値と、に基づいて、前記第一値を前記第二値で除した値を算出し、当該算出した値に前記下位品目原価単価取得手段で取得した前記下位品目の予算原価単価を乗じることにより、前記構成取得手段で取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出すること、
を特徴とする請求項1に記載の予算原価単価算出装置。
【請求項3】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される予算原価単価算出方法であって、
前記記憶部には、
予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データと、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データと、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データと、構成分子と、構成分母と、歩留率と、を含む製造構成マスタと、
区分と、前記構成パターン識別データと、を含む構成パターン紐付けマスタと、
前記区分と、前記下位品目識別データと、前記下位品目の予算原価単価と、を含む予算原価単価データと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得ステップと、
前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得ステップで取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得ステップと、
前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得ステップと、
前記構成取得ステップで取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得ステップで取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出ステップと、
前記下位品目毎原価金額算出ステップで算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得ステップで取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする予算原価単価算出方法。
【請求項4】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための予算原価単価算出プログラムであって、
前記記憶部には、
予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データと、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データと、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データと、構成分子と、構成分母と、歩留率と、を含む製造構成マスタと、
区分と、前記構成パターン識別データと、を含む構成パターン紐付けマスタと、
前記区分と、前記下位品目識別データと、前記下位品目の予算原価単価と、を含む予算原価単価データと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得ステップと、
前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得ステップで取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得ステップと、
前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得ステップと、
前記構成取得ステップで取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得ステップで取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出ステップと、
前記下位品目毎原価金額算出ステップで算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得ステップで取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする予算原価単価算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予算原価単価算出装置、予算原価単価算出方法および予算原価単価算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、為替レートの変動を考慮した製品原価のシミュレーションを高速に実施することができる技術が開示されている(特許文献1の0016段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように製品原価のシミュレーションを行うことは重要であるが、上記特許文献1に記載の技術では、様々な変動要素(歩留率および下位品目の予算原価単価等)を考慮した上で製品の予算原価単価の算出を行うことはできなかった。例えば、上期の実績を考慮して下期の歩留率を修正する場合における予算原価単価のシミュレーションや、製品を構成する下位品目を予算原価単価が異なる他の下位品目へと変更した新製品および代替品を製造する場合における予算原価単価のシミュレーション等を行うことはできなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、製品等の予算原価単価を、様々な変動要素を考慮した上で算出することができる予算原価単価算出装置、予算原価単価算出方法および予算原価単価算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る予算原価単価算出装置においては、制御部および記憶部を備える予算原価単価算出装置であって、前記記憶部には、予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データと、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データと、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データと、構成分子と、構成分母と、歩留率と、を含む製造構成マスタと、区分と、前記構成パターン識別データと、を含む構成パターン紐付けマスタと、前記区分と、前記下位品目識別データと、前記下位品目の予算原価単価と、を含む予算原価単価データと、が格納されており、前記制御部は、前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得手段と、前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得手段で取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得手段と、前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得手段で取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得手段と、前記構成取得手段で取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得手段で取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得手段で取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出手段と、前記下位品目毎原価金額算出手段で算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得手段で取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る予算原価単価算出装置においては、前記下位品目毎原価金額算出手段は、前記構成取得手段で取得した構成分子を前記構成取得手段で取得した構成分母で除した値である第一値と、前記構成取得手段で取得した歩留率を100で除した値である第二値と、に基づいて、前記第一値を前記第二値で除した値を算出し、当該算出した値に前記下位品目原価単価取得手段で取得した前記下位品目の予算原価単価を乗じることにより、前記構成取得手段で取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出すること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る予算原価単価算出方法においては、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される予算原価単価算出方法であって、前記記憶部には、予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データと、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データと、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データと、構成分子と、構成分母と、歩留率と、を含む製造構成マスタと、区分と、前記構成パターン識別データと、を含む構成パターン紐付けマスタと、前記区分と、前記下位品目識別データと、前記下位品目の予算原価単価と、を含む予算原価単価データと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得ステップと、前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得ステップで取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得ステップと、前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得ステップと、前記構成取得ステップで取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得ステップで取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出ステップと、前記下位品目毎原価金額算出ステップで算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得ステップで取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る予算原価単価算出プログラムにおいては、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための予算原価単価算出プログラムであって、前記記憶部には、予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データと、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データと、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データと、構成分子と、構成分母と、歩留率と、を含む製造構成マスタと、区分と、前記構成パターン識別データと、を含む構成パターン紐付けマスタと、前記区分と、前記下位品目識別データと、前記下位品目の予算原価単価と、を含む予算原価単価データと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得ステップと、前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得ステップで取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得ステップと、前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得ステップと、前記構成取得ステップで取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得ステップで取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得ステップで取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出ステップと、前記下位品目毎原価金額算出ステップで算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得ステップで取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製品等の予算原価単価を、様々な変動要素を考慮した上で算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、予算原価単価算出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、各マスタおよび各データの相関の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、上期の予算シミュレーションを行う場合におけるデータの具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、下期の予算シミュレーションを行う場合における処理のイメージの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、下期の予算シミュレーションを行う場合におけるデータの具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、新製品および代替品の予算シミュレーションを行う場合における処理のイメージの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、新製品および代替品の予算シミュレーションを行う場合におけるデータの具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、予算原価計算処理画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る予算原価単価算出装置、予算原価単価算出方法および予算原価単価算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.概要]
化学製品を扱う製造メーカー等においては、原価の構成および歩留り要素(レシピ)により原価が大きく左右されるので、原価のシミュレーションが必要とされる。
【0014】
しかしながら、従来の方法では、原価標準を年間で策定して計算していたため、先々の変動要素を加味した原価計算については精度を欠いていた。
【0015】
そこで、本実施形態においては、例えば、原価標準の他にシミュレーション用に予算原価を管理して複数の製造構成(レシピ情報)とパターン結合させることで、上期での実績(歩留情報等)を加味した乖離分析、下期予算精緻化、代替品を利用した場合の原価シミュレーションおよび新商品開発の予算シミュレーション等を行えるようにした。
【0016】
要するに、本実施形態においては、先々の変動要素を加味した原価情報を把握(シミュレーション)できるようにしたいという要求を満たすために、予算原価と製造構成(レシピ)を予算区分のパターンで結合することで、原価シミュレーションをできるようにした。言い換えると、本実施形態においては、シミュレーションを行いたい予算分類(予算区分)毎に作成された、製品を構成する原材料等の構成情報と、前記予算分類(予算区分)毎の予算原価単価と、を用いた予算原価のシミュレーション計算を行えるようにした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0017】
[2.構成]
本実施形態に係る予算原価単価算出装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、予算原価単価算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
予算原価単価算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、予算原価単価算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0019】
予算原価単価算出装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。予算原価単価算出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、予算原価単価算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、予算原価単価算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0021】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0022】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0023】
記憶部106は、例えば、製造構成マスタ106aと、構成パターン紐付けマスタとしての予算区分別構成パターン紐付けマスタ106b(以下、単に「構成パターン紐付けマスタ106b」ということがある。)と、予算原価単価データ106cと、予算原価明細データ106dと、を備えている。
【0024】
製造構成マスタ106aは、
図2および
図3等に示すように、例えば、予算原価単価の算出対象となる品目である算出対象品目についての品目識別データである算出対象品目識別データ(品目コード)と、前記算出対象品目についての構成のパターンを識別するための構成パターン識別データ(構成パターンコード)と、改定日と、構成番号と、前記算出対象品目を構成する下位の品目である下位品目についての品目識別データである下位品目識別データ(下位品目コード)と、構成分子と、構成分母と、歩留率と、等を含む。
【0025】
前記算出対象品目は、最終製品であってもよいし、当該最終製品に属する中間品目であって更に当該中間品目に属する品目が存在するもの(いわゆる中間品)であってもよい。すなわち、本実施形態に係る予算原価単価算出装置100によれば、前記最終製品の予算原価単価を算出することもできるし、前記中間品の予算原価単価を算出することもできる。
【0026】
構成パターン紐付けマスタ106bは、
図2および
図3等に示すように、例えば、区分(予算区分)と、前記構成パターン識別データ(構成パターンコード)と、等を含む。
【0027】
予算原価単価データ106cは、
図2および
図3等に示すように、例えば、改定年月と、前記区分(予算区分)と、前記品目識別データと、原価費目区分と、予算原価単価と、等を含む。前記品目識別データは、前記下位品目識別データ(下位品目コード)と前記算出対象品目識別データ(品目コード)のどちらでもよく、また、前記予算原価単価は前記下位品目と前記算出対象品目のどちらかに対応する予算原価単価である。例えば、
図3の左側に示す予算原価単価データ106cは、前記下位品目識別データ(下位品目コード)および前記下位品目の前記予算原価単価を含む。これに対して、
図3の右側に示す予算原価単価データ106cは、前記算出対象品目識別データ(品目コード)および後述する予算原価単価算出部102eが算出する前記算出対象品目の前記予算原価単価を含む。
【0028】
予算原価明細データ106dは、
図2および
図3等に示すように、例えば、前記区分(予算区分)と、会計年月と、原価費目区分と、前記算出対象品目識別データ(品目コード)と、前記下位品目識別データ(下位品目コード)と、構成数と、前記下位品目の予算原価金額と、等を含む。前記構成数とは、例えば、前記算出対象品目1つを製造するのに必要となる前記下位品目の個数である。
【0029】
制御部102は、予算原価単価算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0030】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記構成パターン紐付けマスタから、指定された区分と紐付く構成パターン識別データを取得する構成パターン取得手段としての構成パターン取得部102aと、(2)前記製造構成マスタから、前記構成パターン取得手段で取得した構成パターン識別データと紐付く算出対象品目識別データ、下位品目識別データ、構成分子、構成分母および歩留率を取得する構成取得手段としての構成取得部102bと、(3)前記予算原価単価データから、前記指定された区分および前記構成取得手段で取得した下位品目識別データと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する下位品目原価単価取得手段としての下位品目原価単価取得部102cと、(4)前記構成取得手段で取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに前記下位品目原価単価取得手段で取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、前記構成取得手段で取得した下位品目識別データで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する下位品目毎原価金額算出手段としての下位品目毎原価金額算出部102dと、(5)前記下位品目毎原価金額算出手段で算出した前記下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された区分毎に集計することにより、前記構成取得手段で取得した算出対象品目識別データで特定される算出対象品目についての予算原価単価を算出する予算原価単価算出手段としての予算原価単価算出部102eと、を備えている。
【0031】
構成パターン取得部102aは、前記予算区分と前記構成パターンコードとを含む構成パターン紐付けマスタ106bから、指定された予算区分と紐付く構成パターンコードを取得する。
【0032】
構成取得部102bは、前記品目コードと前記構成パターンコードと前記下位品目コードと前記構成分子と前記構成分母と前記歩留率とを含む製造構成マスタ106aから、構成パターン取得部102aで取得した構成パターンコードと紐付く品目コード、下位品目コード、構成分子、構成分母および歩留率を取得する。
【0033】
下位品目原価単価取得部102cは、前記予算区分と前記下位品目コードと前記下位品目の予算原価単価とを含む予算原価単価データ106cから、前記指定された予算区分および構成取得部102bで取得した下位品目コードと紐付く前記下位品目の予算原価単価を取得する。
【0034】
下位品目毎原価金額算出部102dは、構成取得部102bで取得した構成分子、構成分母および歩留率ならびに下位品目原価単価取得部102cで取得した前記下位品目の予算原価単価に基づいて、構成取得部102bで取得した下位品目コードで特定される下位品目毎の予算原価金額を算出する。
【0035】
予算原価単価算出部102eは、下位品目毎原価金額算出部102dで算出した下位品目毎の予算原価金額を、前記指定された予算区分毎に集計することにより、構成取得部102bで取得した品目コードで特定される品目(=最終製品または中間品)の予算原価単価を算出する。
【0036】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。最初に、上期の予算原価シミュレーションについて説明し、次に、上期の実績を元にした下期の予算原価シミュレーションについて説明し、最後に、新製品および代替品を開発する場合における予算原価シミュレーションについて説明する。
【0037】
なお、本項目においては、表現を簡潔にするために、品目コード「X」で特定される製品を「品目X」といい、下位品目コード「a〇」で特定される下位品目を「下位品目a〇」という。
【0038】
[3-1.上期の予算原価シミュレーション]
最初に、品目Xについて上期の予算原価シミュレーションを行う場合の処理の具体例を、
図3を用いて説明する。本項目においては、製造構成マスタ106aおよび構成パターン紐付けマスタ106bは、
図3に示す内容で予め設定されているものとし、予算原価単価データ106cは、
図3の左側に示す内容で予め設定されているものとする。
【0039】
まず、
図8に示す原価計算処理画面において、開始年月「2020/04」および予算区分「上期予算」が指定されると、構成パターン取得部102aは、
図3の構成パターン紐付けマスタ106bから、前記指定された予算区分「上期予算」と紐付く情報として、構成パターンコード「1」を取得する。
【0040】
続いて、構成取得部102bは、
図3の製造構成マスタ106aから、構成パターン取得部102aで取得した構成パターンコード「1」と紐付く情報として、品目コード「X」と構成番号「10」と下位品目コード「a1」と構成分子「1」と構成分母「1」と歩留率「100」とを含むレコード、および、品目コード「X」と構成番号「20」と下位品目コード「a2」と構成分子「1」と構成分母「1」と歩留率「100」とを含むレコードを取得する。
【0041】
続いて、下位品目原価単価取得部102cは、
図3の左側の予算原価単価データ106cから、前記指定された予算区分「上期予算」および構成取得部102bで取得した下位品目コード「a1」と紐付く情報として予算原価単価「10」を取得し、また、前記指定された予算区分「上期予算」および構成取得部102bで取得した下位品目コード「a2」と紐付く情報として予算原価単価「20」を取得する。
【0042】
続いて、下位品目毎原価金額算出部102dは、「(製造構成マスタ106aから取得した構成分子÷製造構成マスタ106aから取得した構成分母)÷(製造構成マスタ106aから取得した歩留率÷100)」という計算式(以下、「計算式1」という。)により、各下位品目の構成数を以下のようにして算出する。すなわち、下位品目毎原価金額算出部102dは、「(構成取得部102bで取得した下位品目a1についての構成分子1÷構成取得部102bで取得した下位品目a1についての構成分母1)÷(構成取得部102bで取得した下位品目a1についての歩留率100÷100)」という計算式により、下位品目「a1」についての構成数を1と算出する。また、下位品目毎原価金額算出部102dは、「(構成取得部102bで取得した下位品目a2についての構成分子1÷構成取得部102bで取得した下位品目a2についての構成分母1)÷(構成取得部102bで取得した下位品目a2についての歩留率100÷100)」という計算式により、下位品目「a2」についての構成数も1と算出する。
【0043】
続いて、下位品目毎原価金額算出部102dは、「予算原価単価データ106cから取得した各下位品目の予算原価単価×算出した構成数」という計算式(以下、「計算式2」という。)により、各下位品目の予算原価金額を以下のようにして算出する。すなわち、下位品目毎原価金額算出部102dは、「下位品目原価単価取得部102cで取得した下位品目a1についての予算原価単価10×前段落で算出した下位品目a1についての構成数1」という計算式により、下位品目a1についての予算原価金額を10と算出する。また、下位品目毎原価金額算出部102dは、「下位品目原価単価取得部102cで取得した下位品目a2についての予算原価単価20×前段落で算出した下位品目a2についての構成数1」という計算式により、下位品目a2についての予算原価金額を20と算出する。
【0044】
ここまでの処理により、
図3に示す予算原価明細データ106dが生成される。予算原価明細データ106dは、
図3に示すように、前記指定された予算区分「上期予算」と前記指定された開始年月「2020/04」と構成取得部102bで取得した品目コード「X」と構成取得部102bで取得した下位品目コード「a1」と下位品目毎原価金額算出部102dで算出した構成数1と下位品目毎原価金額算出部102dで算出した予算原価金額10とを有するレコード、および、前記指定された予算区分「上期予算」と前記指定された開始年月「2020/04」と構成取得部102bで取得した品目コード「X」と構成取得部102bで取得した下位品目コード「a2」と下位品目毎原価金額算出部102dで算出した構成数1と下位品目毎原価金額算出部102dで算出した予算原価金額20とを有するレコードを含む。
【0045】
最後に、予算原価単価算出部102eは、
図3に示す予算原価明細データ106d中の予算原価金額を前記指定された予算区分毎に集計することで、品目Xの予算原価単価を算出する。すなわち、予算原価単価算出部102eは、下位品目a1についての予算原価金額10と下位品目a2についての予算原価金額20を集計することで、品目Xの予算原価単価を30と算出する。当該算出された予算原価単価30は、
図3の右側の予算原価単価データ106cに格納される。
【0046】
[3-2.下期の予算原価シミュレーション]
次に、品目Xについて下期の予算原価シミュレーションを行う場合の処理の具体例を、
図4および
図5を用いて説明する。本項目では、上期の製造実績の歩留率をもとに乖離を後々分析して、下期の予算精緻化を行うという場面を想定している。
【0047】
本項目における処理で用いるマスタおよびデータについて説明する。上期予算時のレシピに対応する構成パターンコードとして、
図4の上段の製造構成マスタ106aに示すように、「1:原価標準」が設定される。そして、当該「1:原価標準」に対応する予算区分として、
図4の上段の構成パターン紐付けマスタ106bに示すように、「下期予算」が設定される。当該「1:原価標準」の構成パターンについては、
図5の製造構成マスタ106aに示すように、歩留率が「100」である点がポイントである。これに対して、上期の実際使用量から、平均使用量および歩留率(95%)が算出され、下期予算時のレシピに対応する構成パターンコードとして、
図4の下段の製造構成マスタ106aに示すように、「2:原価標準(下期)」が設定される。そして、当該「2:原価標準(下期)」に対応する予算区分として、
図4の上段の構成パターン紐付けマスタ106bに示すように、「下期見直予算」が設定される。当該「2:原価標準(下期)」の構成パターンについては、
図5の製造構成マスタ106aに示すように、歩留率が前記算出された「95%」である点がポイントである。以上の過程を経て生成された、本項目における処理の前提となる製造構成マスタ106a、構成パターン紐付けマスタ106bおよび予算原価単価データ106cの内容を、
図5の左側に示す。
【0048】
ここまでの前提を元に、[3-1]との違いを説明すると、[3-1]においては、1つの区分のみが指定された場合の品目Xの予算原価単価の算出について説明した。これに対して、本項目[3-2]においては、上期と下期とで、原価算出の対象となる製品はともに品目Xであるが、歩留率の違いにより予算区分が分かれている場合に予算区分毎に品目Xの予算原価単価を算出することで、歩留率の違いに起因する品目Xの予算原価単価の違いを比較するという場面を想定している。以下、具体的な処理について説明する。
【0049】
まず、
図8に示す原価計算処理画面において、開始年月「2020/10」および予算区分「下期予算」ならびに開始年月「2020/10」および予算区分「下期見直予算」が指定される。構成パターン取得部102a、構成取得部102bおよび下位品目原価単価取得部102cが行う処理は、[3-1]で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
続いて、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式1を用いて、前記指定された予算区分「下期予算」については、下位品目a1の構成数を、「(構成分子10÷構成分母1)÷(歩留率100÷100)」=10と算出する。また、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式1を用いて、前記指定された予算区分「下期予算見直」については、下位品目a1の構成数を、「(構成分子10÷構成分母1)÷(歩留率95÷100)」=10.52≒11と算出する。当該区分毎に算出した構成数を比較することで、例えば、実績値との乖離を捉えて歩留率の分析を行うことが可能となり、また、次段落で説明する区分毎の予算原価単価の精度を向上することも可能となる。
【0051】
続いて、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式2を用いて、前記指定された予算区分「下期予算」については、下位品目a1の予算原価金額を、「予算原価単価20×算出した構成数10」=200と算出する。また、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式2を用いて、前記指定された予算区分「下期予算見直」については、下位品目a1の予算原価金額を、「予算原価単価20×算出した構成数11」=220と算出する。
【0052】
ここまでの処理により、
図5に示す予算原価明細データ106dが生成される。[3-1]と異なり、区分毎に予算原価金額が分かれている点がポイントである。
【0053】
最後に、予算原価単価算出部102eは、
図5に示す予算原価明細データ106d中の予算原価金額を前記予算区分毎に集計することで、品目Xの予算原価単価を算出する。すなわち、予算原価単価算出部102eは、歩留率100%に対応する前記指定された予算区分「下期予算」については、品目Xの予算原価単価を200と算出し、これに対して、歩留率95%に対応する前記指定された予算区分「下期予算見直」については、品目Xの予算原価単価を220と算出する。つまり、歩留率が100%から95%に下がった場合は、品目Xの予算原価単価は200から220に上がるということである。このように、予算区分「下期予算」と予算区分「下期予算見直」の間での品目Xの予算原価単価の差を算出することで、経営分析等に役立てることが可能である。
【0054】
[3-3.新製品および代替品を開発する場合における予算原価シミュレーション]
最後に、新製品および代替品を開発する場合における予算原価シミュレーションの具体例を、
図6および
図7を用いて説明する。
【0055】
本項目における処理で用いるマスタおよびデータについて説明する。新製品のレシピに対応する構成パターンコードとして、
図6の上段の製造構成マスタ106aに示すように、「10:開発」が設定される。そして、当該「10:開発」に対応する予算区分として、
図7の構成パターン紐付けマスタ106bに示すように、「開発」が設定される。当該「開発」の予算区分については、下位品目a2の予算原価単価が20である点がポイントである。これに対して、代替品のレシピに対する構成パターンコードとして、
図6の上段の製造構成マスタ106aに示すように、「11:シミュレーション(代替)」が設定される。そして、当該「11:シミュレーション(代替)」に対応する予算区分として、
図7の構成パターン紐付けマスタ106bに示すように、「代替」が設定される。当該「代替」の予算区分については、下位品目a3の予算原価単価が40である点がポイントである。以上の過程を経て生成された、本項目における処理の前提となる製造構成マスタ106a、構成パターン紐付けマスタ106bおよび予算原価単価データ106cの内容を、
図7の左側に示す。
【0056】
ここまでの前提を元に、[3-1]との違いを説明すると、[3-1]においては、1つの区分のみが指定された場合の品目Xの予算原価単価の算出について説明した。これに対して、本項目[3-3]においては、新製品と代替品とで、原価算出の対象となる製品はともに品目Xであるが、下位品目の予算原価単価の違いにより予算区分が分かれている場合に予算区分毎に品目Xの予算原価単価を算出することで、下位品目の予算原価単価の違いに起因する品目Xの予算原価単価の違いを比較するという場面を想定している。以下、具体的な処理について説明する。
【0057】
まず、
図8に示す原価計算処理画面において、開始年月「2020/11」および予算区分「開発」ならびに開始年月「2020/12」および予算区分「代替」が指定される。構成パターン取得部102a、構成取得部102bおよび下位品目原価単価取得部102cが行う処理は、[3-1]で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
続いて、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式1を用いて、前記指定された予算区分「開発」については、下位品目a2の構成数を、「(構成分子10÷構成分母1)÷(歩留率100÷100)」=10と算出する。また、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式1を用いて、前記指定された予算区分「代替」についても、下位品目a3の構成数を、「(構成分子10÷構成分母1)÷(歩留率100÷100)」=10と算出する。
【0059】
続いて、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式2を用いて、前記指定された予算区分「開発」については、下位品目a2の予算原価金額を、「予算原価単価20×算出した構成数10」=200と算出する。また、下位品目毎原価金額算出部102dは、前記計算式2を用いて、前記指定された予算区分「代替」については、下位品目a3の予算原価金額を、「予算原価単価40×算出した構成数10」=400と算出する。これにより、例えば、標準パターンの予算原価金額を、当該算出した新製品開発の場合の予算原価金額および当該算出した代替品レシピへと変更した場合の予算原価金額と比較してシミュレーションを行うことが可能となる。
【0060】
ここまでの処理により、
図7に示す予算原価明細データ106dが生成される。[3-1]と異なり、区分毎に予算原価金額が分かれている点がポイントである。
【0061】
最後に、予算原価単価算出部102eは、
図7に示す予算原価明細データ106d中の予算原価金額を前記予算区分毎に集計することで、品目Xの予算原価単価を算出する。すなわち、予算原価単価算出部102eは、下位品目a2に対応する前記指定された予算区分「開発」については、品目Xの予算原価単価を200と算出し、これに対して、下位品目a3に対応するに対応する前記指定された予算区分「代替」については、品目Xの予算原価単価を400と算出する。つまり、新製品において下位品目a2を用いた場合の品目Xの予算原価単価は200となり、これに対して、代替品において下位品目a3を用いた場合の品目Xの予算原価単価は400となるということである。
【0062】
[4.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る予算原価単価算出装置100によれば、製品等の予算原価単価を、様々な変動要素(歩留率および下位品目の予算原価単価等)を考慮した上で算出することができる。これにより、例えば、上期での実績(歩留情報等)を加味した乖離分析、下期予算精緻化、代替品を利用した場合の原価シミュレーションおよび新商品開発の予算シミュレーション等が行えるようになった。
【0063】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0066】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0067】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0068】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、予算原価単価算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0070】
例えば、予算原価単価算出装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて予算原価単価算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0071】
また、このコンピュータプログラムは、予算原価単価算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0072】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0073】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0074】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0075】
また、予算原価単価算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、予算原価単価算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0076】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、例えば、化学品(特に、中間品)を扱う製造メーカーにおいて有用である。
【符号の説明】
【0078】
100 予算原価単価算出装置
102 制御部
102a 構成パターン取得部
102b 構成取得部
102c 下位品目原価単価取得部
102d 下位品目毎原価金額算出部
102e 予算原価単価算出部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 製造構成マスタ
106b 予算区分別構成パターン紐付けマスタ
106c 予算原価単価データ
106d 予算原価明細データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク