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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183880
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】機能性調味料及びスパイスカレー
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20221206BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20221206BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L23/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091393
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】519089819
【氏名又は名称】株式会社Bacchus
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(74)【代理人】
【識別番号】100112416
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 定信
(72)【発明者】
【氏名】椎野 泰永
【テーマコード(参考)】
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LE02
4B036LF05
4B036LH04
4B036LH13
4B036LH27
4B036LH34
4B036LH39
4B036LH44
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP11
4B047LB07
4B047LB09
4B047LF08
4B047LG40
4B047LG59
4B047LG61
(57)【要約】
【課題】 料理にコクや旨味を加味することができる機能性調味料を提供する。また、豊かなコクや旨味を有する料理、特にスパイスカレーを提供する。
【解決手段】 機能性調味料は、八丁味噌と、甜面醤と、ピーシェン豆板醤と、を含んでいる。好ましくはさらに、豆鼓を含む。八丁味噌、甜面醤、ピーシェン豆板醤、豆鼓の配合比率は、重量比で、1:1~5:1~10:0.1~1である。前記機能性調味料が加味されている料理又はスパイスカレーとしてもよい。また、前記機能性調味料の配合材料が加味されている料理又はスパイスカレーとしてもよい。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
八丁味噌と、甜面醤と、ピーシェン豆板醤と、を含むことを特徴とする、機能性調味料。
【請求項2】
八丁味噌、甜面醤、ピーシェン豆板醤の配合比率が、重量比で、1:1~5:1~10である、請求項1に記載の機能性調味料。
【請求項3】
八丁味噌、甜面醤、ピーシェン豆板醤の配合比率が、重量比で、重量比で、1:2.5:5である、請求項1に記載の機能性調味料。
【請求項4】
豆鼓をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の機能性調味料。
【請求項5】
八丁味噌、甜面醤、ピーシェン豆板醤、豆鼓の配合比率が、重量比で、1:1~5:1~10:0.1~1である、請求項4に記載の機能性調味料。
【請求項6】
八丁味噌、甜面醤、ピーシェン豆板醤、豆鼓の配合比率が、重量比で、1:2.5:5:0.3である、請求項4に記載の機能性調味料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の機能性調味料又は該機能性調味料の配合材料が加味されている、料理。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の機能性調味料又は該機能性調味料の配合材料が加味されている、スパイスカレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料理にコクや旨味を加味することができる機能性調味料に関するものである。本発明はまた、豊かなコクや旨味を有する料理、特にスパイスカレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カレーの一種として、ルウを使わずに各種のスパイスを組み合わせて調理する、いわゆるスパイスカレーが知られている。元来、スパイスカレーは出汁を使わないで調理されるので、コクや旨味に欠けるという特性がある。そこで、スパイスカレー等の料理の本来の食味を生かしながら、コクや旨味を向上させることができると好適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記のような事情に鑑みてなされたものであり、料理にコクや旨味を加味することができる機能性調味料を提供しようとするものである。本発明はまた、豊かなコクや旨味を有する料理、特にスパイスカレーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、本発明の機能性調味料は、八丁味噌と、甜面醤と、ピーシェン豆板醤と、を含むことを特徴とする(請求項1)。
【0005】
八丁味噌は、濃厚なコクとほのかな酸味、独特の渋味や苦味が特徴である。糖分が少ないので甘味は少なめであり、長期間熟成されているため、塩の角が取れてまろやかで旨味の強い味わいが得られる。
【0006】
甜面醤は、料理にまろやかなコクと甘味を加えるのが特徴である。甜面醤を辛い料理に使うと、味に深みと締まりが出る。
【0007】
ピーシェン豆板醤は、四川省の省都である成都市内のピーシェンで作られる高級豆板醤である。通常の豆板醤と比べて熟成期間が長い(通常の豆板醤の熟成期間が数か月であるのに対し、ピーシェン豆板醤の熟成期間は1~2年)ことから、熟成による深い味わいがある。すなわち、通常の豆板醤は辛さがはじめにきてその後に風味と塩味が広がるのに対して、ピーシェン豆板醤は、口に含むとまず豊かな風味、コク、塩気が感じられ、そして後から辛さがじんわりと広がる点に特徴がある。
【0008】
本発明の機能性調味料は、前記のような特徴を有する八丁味噌、甜面醤及びピーシェン豆板醤を含むので、それらの特徴が複合的に料理に作用し、料理のコクや旨味を向上させることができる。
【0009】
実施の一形態として、八丁味噌、甜面醤、豆板醤の配合比率が、重量比で、1:1~5:1~10であってもよい(請求項2)。これらの数値は、機能性調味料としての好ましい配合比率を例示するものであり、この配合比率に従えば、様々な料理への対応性に優れたものとなる。
【0010】
実施の一形態として、八丁味噌、甜面醤、豆板醤の配合比率が、重量比で、1:2.5:5であってもよい(請求項3)。これらの数値は、機能性調味料としてのさらに好ましい配合比率を例示するものであり、この配合比率に従えば、様々な料理への対応性に一層優れたものとなる。
【0011】
実施の一形態として、豆鼓をさらに含んでいてもよい(請求項4)。豆鼓は、発酵調味料ならではの旨味や香りを持ち、料理に深みのあるコクを加える。このため、豆鼓をさらに含む機能性調味料は、料理のコクや旨味を一層向上させることができる。
【0012】
実施の一形態として、八丁味噌、甜面醤、豆板醤、豆鼓の配合比率が、重量比で、1:1~5:1~10:0.1~1であってもよい(請求項5)。これらの数値は、豆鼓をさらに含んだ機能性調味料の好ましい配合比率を例示するものであり、この配合比率に従えば、様々な料理への対応性に優れたものとなる。
【0013】
実施の一形態として、八丁味噌、甜面醤、豆板醤、豆鼓の配合比率が、重量比で、1:2.5:5:0.3であってもよい(請求項6)。これらの数値は、機能性調味料としてのさらに好ましい配合比率を例示するものであり、この配合比率に従えば、様々な料理への対応性に一層優れたものとなる。
【0014】
本発明の料理は、本発明の機能性調味料又は本発明の機能性調味料の配合材料が加味されていることを特徴とする(請求項7)。本発明の料理は、本発明の機能性調味料又は本発明の機能性調味料の配合材料が加味されることで、豊かなコクや旨味を有するものとなる。
【0015】
本発明のスパイスカレーは、本発明の機能性調味料又は本発明の機能性調味料の配合材料が加味されていることを特徴とする(請求項8)。本発明のスパイスカレーは、本発明の機能性調味料又は本発明の機能性調味料の配合材料が加味されることで、豊かなコクや旨味を有するものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
本発明の機能性調味料は、八丁味噌と、甜面醤と、ピーシェン豆板醤と、を混合して作製する。好適な実施の一形態として、豆鼓をさらに混合したものであってもよい。豆鼓は、乾燥して固くなっているので、使用する前に少量の水に浸して柔らかくする。水で柔らかく戻した豆鼓を包丁等で軽く潰してみじん切りにして、他の材料と混合する。
【0018】
これらの材料の配合比率(重量比)の好適例として、次の数値を例示する。
八丁味噌:甜面醤:ピーシェン豆板醤:豆鼓
= 1 :1~5:1~10 :0.1~1
【0019】
これらの配合比率に従えば、例えば、八丁味噌を400g使用する場合には、甜面醤の添加量が400~2000g、ピーシェン豆板醤の添加量が400~4000g、豆鼓の添加量が40~400gとなる。
【0020】
前記数値は、機能性調味料としての好ましい配合比率を例示するものであり、この配合比率に従えば、様々な料理への対応性に優れたものとなる。
【0021】
前記数値範囲の中でも特に、次の配合比率(重量比)を採用すると一層好適である。
八丁味噌:甜面醤:ピーシェン豆板醤:豆鼓
= 1 :2.5:5 :0.3
【0022】
これらの配合比率に従えば、例えば、八丁味噌を400g使用する場合には、甜面醤の添加量が1000g、ピーシェン豆板醤の添加量が2000g、豆鼓の添加量が120gとなる。
【0023】
八丁味噌は、濃厚なコクとほのかな酸味、独特の渋味や苦味が特徴である。糖分が少ないので甘味は少なめであり、長期間熟成されているため、塩の角が取れてまろやかで旨味の強い味わいが得られる。
【0024】
甜面醤は、料理にまろやかなコクと甘味を加えるのが特徴である。甜面醤を辛い料理に使うと、味に深みと締まりが出る。
【0025】
ピーシェン豆板醤は、四川省の省都である成都市内のピーシェンで作られる高級豆板醤である。通常の豆板醤の熟成期間が数か月であるのに対し、ピーシェン豆板醤の熟成期間は1~2年である。このように、ピーシェン豆板醤は熟成期間が長いことから、熟成による深い味わいがある。すなわち、通常の豆板醤は辛さがはじめにきてその後に風味と塩味が広がるのに対して、ピーシェン豆板醤は、口に含むとまず豊かな風味、コク、塩気が感じられ、そして後から辛さがじんわりと広がる点に特徴がある。
【0026】
本発明の機能性調味料は、前記のような特徴を有する八丁味噌、甜面醤及びピーシェン豆板醤を含むので、それらの特徴が複合的に料理に作用し、料理に塩味を加味することに加えて、料理に深いコクや旨味を加えることができる。
【0027】
好適な実施の一形態として、豆鼓をさらに含む機能性調味料の場合には、次のような作用効果が奏される。すなわち、豆鼓は、発酵調味料ならではの旨味や香りを持ち、料理に深みのあるコクを加える。このため、豆鼓をさらに含む機能性調味料は、料理のコクやうま味を一層向上させることができる。
【0028】
次に、本発明の機能性調味料の使用方法の一例を説明する。本発明の機能性調味料は、塩味、コク、旨味を一体として料理に加味することができる調味料である。したがって、この機能性調味料は、炒め物や煮込み料理等、好みに応じて様々な料理に使用することができる。ここでは、一例として、ルーを使用せずに各種のスパイスを組み合わせて作る、いわゆるスパイスカレーについての使用例を説明する。
【0029】
<使用例1>チキンスパイスカレー
まず、鶏のもも肉に各種のスパイスとヨーグルトと塩とを加え、一日漬け込む。スパイスの例としては、シナモンリーフ、スターアニス、クローヴ、花椒、グリーンコリアンダー、クミンパウダー、ウーシャンスパイス、ターメリック等を挙げることができる。
【0030】
翌日、漬け込んだ肉をココナッツオイルで火が通るまで炒め、トマト、玉ねぎ、チキンブイヨン、水と合わせて煮込み、最後に本発明の機能性調味料を加えて味を調える。
【0031】
<使用例2>マーボースパイスカレー
まず、ごま油で各種のスパイスを炒め、ごま油にスパイスの香りを移す。スパイスの例としては、シナモン原木、クローヴ、スターアニス、ニンニク、ショウガ、花椒等を挙げることができる。次に、スパイスの香りを移したごま油に粗挽き肉を加えて火を通し、紹興酒、中国醤油、黒胡椒、塩、チキンブイヨン、水、グリーンコリアンダー、クミンパウダーを加えて煮込む。最後に本発明の機能性調味料を加えて味を調える。
【0032】
使用例1,2に共通しているように、本発明の機能性調味料は、調理の最終段階で料理に加える。これは、あくが出たり香りが飛んでしまったりすることを避けるためである。
【0033】
使用例1,2のスパイスカレーは、本発明の機能性調味料が加味されているので、豊かなコクと旨味を有するものとなる。スパイスカレー以外の料理に本発明の機能性調味料を用いる場合にも、同様の作用効果が得られる。
【0034】
なお、料理への機能性調味料の添加量は、機能性調味料の持つ塩味の度合いや料理の種類や全体量等に応じて適宜に決定される。
【0035】
他の実施の一形態として、予め調合された本発明の機能性調味料を料理に用いることに代えて、八丁味噌と甜面醤とピーシェン豆板醤と必要に応じて豆鼓とを、前記配合比率と同じ比率で、料理の最終段階で料理に加味してもよい。この方法によっても、予め調合された本発明の機能性調味料を料理に用いる場合と同様の作用効果が得られる。