(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183891
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】パウダー容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A45D33/00 610Z
A45D33/00 650E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091413
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
(57)【要約】
【課題】 ブラシにパウダーを直接付着させることを可能にすると共に付着量についても調整できるようにしたパウダー容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 パウダーPを収容する容器本体10と、容器本体10に螺着される上蓋40と、上蓋40と容器本体10との間に配置されて上蓋40との間に収容空間Sを形成する中蓋とを有するパウダー容器であって、中蓋は、固定蓋部22及び固定側切欠穴23を有して不動に設けられた固定中蓋20と、回転蓋部32及び回転側切欠穴33を有して回転可能に設けられた回転中蓋30とを備えて形成され、固定蓋部22と回転蓋部32とが互いに重ならない位置に配置されることにより収容空間Sと容器本体10の内部との間が仕切られ、回転中蓋30が周方向に回転し、固定側切欠穴23と回転側切欠穴33が重なることにより、収容空間Sと容器本体10の内部を連通する挿入穴Hが形成された構成とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウダー(P)を収容する容器本体(10)と、該容器本体(10)の口筒部(13)に螺着される上蓋(40)と、該上蓋(40)と前記容器本体(10)との間に配置されて前記上蓋(40)との間に収容空間(S)を形成する中蓋とを有するパウダー容器であって、
中蓋は、固定蓋部(22)及び固定側切欠穴(23)を有して前記容器本体(10)に対して不動に設けられた固定中蓋(20)と、回転蓋部(32)及び回転側切欠穴(33)を有して前記容器本体(10)に回転可能に設けられた回転中蓋(30)とを備えて形成されており、
前記固定蓋部(22)と前記回転蓋部(32)とが互いに重ならない位置に配置されることにより前記収容空間(S)と前記容器本体(10)の内部との間が仕切られ、
前記回転中蓋(30)が周方向に回転し、前記回転蓋部(32)が前記固定蓋部(22)に重なると共に、固定側切欠穴(23)と回転側切欠穴(33)が重なることにより、前記収容空間(S)と前記容器本体(10)の内部を連通する挿入穴(H)が形成されることを特徴とするパウダー容器。
【請求項2】
径方向に対向する上蓋(40)の側壁(42)と回転中蓋(30)の回転側環状凹部(31)の外周面との一方に被係止リブ(35)が設けられており、他方に周方向に所定の間隔を有し、被係止リブ(35)が乗り越え可能に形成された小リブ(44)と乗り越え不能に形成された大リブ(45)とが設けられている請求項1記載のパウダー容器。
【請求項3】
固定蓋部(22)と回転蓋部(32)の一方に規制凸部(34)が突設され、他方に周方向に円弧状に切欠き形成されて規制凸部(34)が入り込む規制凹部(24)が形成されており、該規制凹部(24)には前記規制凸部(34)の回転を規制するアンダーカット部(24b)が設けられている請求項1又は2記載のパウダー容器。
【請求項4】
固定中蓋(20)と回転中蓋(30)の一方に櫛歯部(22b)が形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパウダー容器。
【請求項5】
固定蓋部(22)及び回転蓋部(32)に複数の通過孔(22a、32a)が形成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパウダー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状の化粧料を収容するパウダー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
パウダーを収容する容器本体の上部に複数の小さな孔が設けた中皿を配置し、この中蓋の上に化粧用具であるパフが収容されるパウダー容器が知られている(例えば特許文献1)。
このようなパウダー容器では、中皿の上にパフを載せた状態で、パウダー容器を反転させると、中皿の孔を通じてパウダーがパフの塗布面に付着するため、パウダーが付着したパフを使用して塗布することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧メイクにおいて、パフはパウダーを小鼻や目の周りなどの細かい箇所も、しっかりとまんべんなく塗布することが可能である。他方、パウダーを均等に塗布し、軽くて自然な仕上がりにするにはブラシの使用が好適である。
しかしながら、特許文献1に記載のパウダー容器においては、中皿が介在するため、ブラシを容器本体内に挿入してパウダーを直接付着させることができず、またブラシに付着させるパウダーの量も調整しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、内部にパフが収容されたパウダー容器において、ブラシにパウダーを直接付着させることを可能にすると共に付着量についても調整できるようにしたパウダー容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
パウダーを収容する容器本体と、容器本体の口筒部に螺着される上蓋と、上蓋と容器本体との間に配置されて上蓋との間に収容空間を形成する中蓋とを有するパウダー容器であって、
中蓋は、固定蓋部及び固定側切欠穴を有して容器本体に対して不動に設けられた固定中蓋と、回転蓋部及び回転側切欠穴を有して容器本体に回転可能に設けられた回転中蓋とを備えて形成されており、
固定蓋部と回転蓋部とが互いに重ならない位置に配置されることにより収容空間と容器本体の内部との間が仕切られ、
回転中蓋が周方向に回転し、回転蓋部が固定蓋部に重なると共に、固定側切欠穴と回転側切欠穴が重なることにより、収容空間と容器本体の内部を連通する挿入穴が形成されることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、回転蓋部を回転させる操作を行うと、収容空間と容器本体の内部を連通する挿入穴を形成することができるため、この挿入穴にブラシを挿入することでパウダーをブラシに容易に付着させることが可能となる。
【0007】
また本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、径方向に対向する上蓋の側壁と回転中蓋の回転側環状凹部の外周面との一方に被係止リブが設けられており、他方に周方向に所定の間隔を有し、被係止リブが乗り越え可能に形成された小リブと乗り越え不能に形成された大リブとが設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、上蓋を回転させると、回転中蓋を一緒に回転させることができ、閉蓋操作においては回転蓋部が固定側切欠穴を塞ぐ状態(開蓋直後の状態)に戻すことができる。
【0008】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、固定蓋部と回転蓋部の一方に規制凸部が突設され、他方に周方向に円弧状に切欠き形成されて規制凸部が入り込む規制凹部が形成されており、規制凹部には規制凸部の回転を規制するアンダーカット部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、上蓋に対する回転操作に伴って回転する回転蓋部の回転を規制し上蓋のみが回転できるようになるため、上蓋側の小リブが回転中蓋の被係止リブを乗り越えることを容易とすることができる。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、固定中蓋と回転中蓋の一方に櫛歯部が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、櫛歯部を用いてブラシを梳くことにより、ブラシに付着するパウダーの量を調整することができる。
【0010】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、固定蓋部及び回転蓋部に複数の通過孔が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、複数の通過孔を通じて容器本体内のパウダーを収容空間内に移動させてパフの塗布面に付着させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、内部を仕切る中蓋に挿入穴を形成することができるため、挿入穴を介してブラシにパウダーを直接付着させることができる。
また櫛歯部を使用することにより、ブラシに付着させるパウダーの量を調整することができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例としてのパウダー容器を示し、(a)は閉蓋状態における縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
【
図3】上蓋を外した状態のパウダー容器を示し、(a)は中蓋を閉めたパフ使用時を示す縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
【
図4】上蓋を外した状態のパウダー容器を示し、(a)は中蓋を開けたブラシ使用時を示す縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
【
図5】(a)は上蓋を再装着した直後のパウダー容器の縦断面図、(b)は(a)のb-b線における平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
以下の説明において、回転方向とは容器軸Oを中心とする時計回り方向又は反時計回り方向を意味する。また径方向とは容器軸Oに直交する方向を意味する。尚、容器軸Oは互いに直交するx軸とy軸の交点に対して鉛直方向に延びて垂直に交差する軸である。
【0014】
パウダー容器1は、粉末状の化粧料(パウダーP)を収容するための容器であり、容器本体10と、中蓋を構成する固定中蓋20及び回転中蓋30と、容器本体10の全体を閉塞する上蓋40とを有して構成される。
容器本体10は、円形の底部11の外周縁に円筒状の側壁12が起立する有底筒状の部材であり、この内部にパウダーPを収容することが可能となっている。側壁12の上部には外周面に雄ネジ14が刻設された口筒部13が形成され、更に口筒部13の上端には環状に形成された被嵌合壁15が周設されている。
【0015】
図1(a)に示すように、中蓋を構成する一方の固定中蓋20は、外周端に断面略凹状を有して環状に周設されてなる固定側環状凹部21と、固定側環状凹部21の内周面に略半円状を有して略水平に形成された固定蓋部22及びこれに隣接して略半円状に開口する固定側切欠穴23とを有して形成され、固定側環状凹部21が容器本体10の被嵌合壁15に対して不動に組み付いている。固定側環状凹部21の上端には、上方に向かって断面凸状に突出するガイド壁21aが周設されている。
【0016】
図1(b)に示すように、水平に形成された固定蓋部22には鉛直方向に貫通する複数の通過孔22aが穿設され、固定蓋部22の弦長部分には固定側切欠穴23側に向かって水平櫛歯状に突出する櫛歯部22bが形成されている。また櫛歯部22bが並ぶ方向(
図1(b)ではy軸に沿う方向)の両端には周方向に円弧状に切欠き形成されて成る規制凹部24、25が夫々設けられている。規制凹部24、25の周方向の奥部には終端部24a、25aが夫々形成され、一方の規制凹部24の入り口付近には径方向外側に突出し、規制凹部24の幅寸法を部分的に狭くして成るアンダーカット部24bが形成されている。
【0017】
図1(a)に示すように、中蓋を構成する他方の回転中蓋30は、外周端に断面略凹状を有して環状に周設されてなる回転側環状凹部31と、回転側環状凹部31の内周面に略半円状を有して略水平に形成された回転蓋部32と、回転蓋部32に隣接して略半円状に開口する回転側切欠穴33が形成されている。
水平に形成された回転蓋部32には鉛直方向に貫通する複数の通過孔32aが穿設され、回転蓋部32の下面で且つ回転蓋部32の弦長部分36の一方に端部の位置には下方に突出する規制凸部34が突設されている。更に、
図2に拡大して示すように、回転側環状凹部31の外周面には径方向外側に向かって突出すると共に、後述する上蓋40の内周面に形成されている保持凹部46に挿入可能な被係止リブ35が突設されている。
【0018】
図1(a)に示すように、回転側環状凹部31は固定中蓋20のガイド壁21aに嵌合可能であると共に、嵌合した状態でガイド壁21aに沿って周方向に摺動可能に構成されている。すなわち、回転中蓋30が周方向に回転可能に取り付けられている。
【0019】
回転中蓋30は、規制凸部34が固定中蓋20側の一方の規制凹部24に挿入し、その終端部24aに当接することで時計回り方向の回転が規制され(
図1(b)参照)、また規制凸部34が他方の規制凹部25に挿入し、その終端部25aに当接することで反時計回り方向の回転が規制される(
図4(b)参照)。すなわち、回転中蓋30は、規制凸部34が一方の規制凹部24と他方の規制凹部25によってその回転が規制される範囲内において周方向に回転可能に構成されている。尚、固定蓋部22の上面には、回転時に回転蓋部32の弦長部分36との干渉を避ける程度の段差部26が形成されている。この段差部26が形成されていることにより、固定蓋部22の上面と回転蓋部32の下面との対向間隔を小さくすることができる。
【0020】
上蓋40は円板状の頂壁部41の外周端に短筒状の側壁42が垂下設された有頂円筒状の部材であり、その側壁42の内周面の下端側には容器本体10の口筒部13に形成された雄ネジ14に螺合する雌ネジ43が刻設されている。
そして、上蓋40を容器本体10の口筒部13に載せながら雄ネジ14と雌ネジ43とを螺合させることにより、上蓋40を容器本体10に装着することが可能となっている。上蓋40を容器本体10に装着させた状態において、上蓋40の頂壁部41と中蓋(固定中蓋20の固定蓋部22及び回転中蓋30の回転蓋部32)とが高さ方向において対向する部分にパフPfを収納することが可能な収容空間Sが形成される。
【0021】
図2に示すように、上蓋40の側壁42の内周面には、回転中蓋30側の被係止リブ35と径方向において対向配置されると共に、上蓋40が周方向に回転したときに被係止リブ35に係合可能な一対の小リブ44及び大リブ45が突設されている。小リブ44は、上蓋40を閉蓋方向(時計回り方向)に回転させたときに閉蓋方向下流側となる位置に形成され、大リブ45は閉蓋方向上流側となる位置に形成されている。そして、小リブ44は被係止リブ35を周方向に乗り越えることのできる大きさを有して形成されているが、大リブ45は被係止リブ35を乗り越えることのできない大きさを有して形成されている。また小リブ44と大リブ45と間には、周方向に所定の間隔を有する保持凹部46が設けられており、この保持凹部46内には小リブ44を乗り越えた被係止リブ35を保持することが可能となっている。
【0022】
次に、上記構成からなるパウダー容器の使用方法について説明する。
図1(a)(b)に示すように、上蓋40を容器本体10の口筒部13に載せながら雄ネジ14と雌ネジ43とを螺合させ、上蓋40が時計回り方向に回転して容器本体10に完全に装着した閉蓋状態では、回転中蓋30側の被係止リブ35が、上蓋40側の保持凹部46内に入り込んで保持されると共に、回転中蓋30側の規制凸部34が固定中蓋20側の一方の規制凹部24内の終端部24aに当接する位置にあり、回転中蓋30の弦長部分36はy軸に対して若干傾いた状態に設定されている。
【0023】
また収容空間Sと容器本体10の内部との間は、中蓋を構成する固定蓋部22と回転蓋部32とは互いに重ならない位置に配置されることよって仕切られてはいるが、固定蓋部22に設けられ複数の通過孔22aと回転蓋部32に設けられた複数の通過孔32aを介して連通する状態にある。
【0024】
上記構成のパウダー容器1においても、従来同様、固定中蓋20及び回転中蓋30の上にパフPfを載せた閉蓋状態において、パウダー容器1を反転させ、パウダーPを複数の通過孔22a及び複数の通過孔32aを通じて収容空間S内に移動させてパフPfの塗布面に付着させた後、パウダー容器1を再反転させて元の状態に戻してから上蓋40を開蓋し、パフPfを外部に取り外すことにより使用することが可能となる。
【0025】
ここで、上蓋40を開蓋するには、
図1(a)(b)の閉蓋状態から上蓋40を反時計回り方向に回転させて行うが、上蓋40を反時計回り方向に回転させると、回転中蓋30側の被係止リブ35が上蓋40側の保持凹部46内に保持されているため、回転中蓋30も一緒に回転し始める。このため規制凸部34も規制凹部24内を反時計回り方向に移動するが、移動した規制凸部34が終端部24aからアンダーカット部24bに達すると、規制凸部34がアンダーカット部24bによって係止され、回転中蓋30のこれ以上の回転が規制される。この状態から更に上蓋40を反時計回り方向に回転させると、上蓋40のみが回転し、上蓋40側の小リブ44が回転規制状態にある回転中蓋30の被係止リブ35を反時計回り方向に乗り越える。そして、
図3(b)に示すように、上蓋40を取り外した直後は、回転中蓋30を、常にその弦長部分36がy軸に対して平行を成す状態に置くことができる。
尚、開蓋後にパフPfをパウダー容器1内から取り出すことで、パフPfを使用することが可能となる。
【0026】
他方、ブラシBを使用するには、回転中蓋30を構成する回転側環状凹部31の外周面を把持しながら反時計回り方向に強制的に回転させることにより行う。例えば回転側環状凹部31の軸対称を成す2箇所の外周面を、親指と人指し指を用いて両側から把持することにより、回転中蓋30を容易に回転させることができる。
回転中蓋30を反時計回り方向に強制的に回転させると、規制凸部34がアンダーカット部24bから外れるため、アンダーカット部24bによる規制凸部34の係止を解除することができる。
【0027】
更に
図4(a)(b)に示すように、規制凸部34が他方の規制凹部25奥の終端部25aに当接する位置まで回転中蓋30を回転させる。すると、回転中蓋30の回転蓋部32が固定中蓋20の固定蓋部22の上に重なると共に、回転中蓋30の回転側切欠穴33と固定中蓋20の固定側切欠穴23とが重なって略半円形状に開口する挿入穴Hを形成することができる。
よって、
図4(a)に示すように、ブラシBを挿入穴Hから容器本体10内に挿入することが可能となるため、ブラシBにパウダーPを直接付着させることができると共に、パウダーPを付着させたブラシBを用いて顔面等にパウダーを均等に塗布し、軽くて自然な仕上がりとすることが可能となる。
【0028】
また
図4(a)(b)に示すように、中蓋に挿入穴Hが形成された状態では、櫛歯部22bが挿入穴H内に水平に突出している。このため、櫛歯部22bを用いてブラシBを梳くことにより、ブラシBに付着するパウダーの量を調整することが可能である。
【0029】
使用後は、上蓋40を容器本体10の口筒部13上に載せて雄ネジ14と雌ネジ43とをかみ合わせ、上蓋40を時計回り方向に回して螺着させる閉蓋操作を行うことにより、上蓋40を容器本体10に再装着することができる。
【0030】
図5(b)に示すように、上蓋40を容器本体10の口筒部13上に載せた直後の段階では、上蓋40側の小リブ44及び大リブ45と、回転中蓋30側の被係止リブ35とは互いに周方向に離れた位置にある。この状態から、上蓋40を時計回り方向に回転させると、その途中の段階において上蓋40側の小リブ44が回転中蓋30の被係止リブ35を係止するため、回転中蓋30は上蓋40と一緒に回転するようになる。すると、回転中蓋30の規制凸部34は、固定中蓋20側の他方の規制凹部25から離脱し、時計回り方向に移動して反対側の位置(略180度離れた位置)にある一方の規制凹部24内に再度入り込む。同時に、規制凸部34がアンダーカット部24bに係止されるため、回転中蓋30の回転を一時的に規制することができる。
【0031】
この状態から更に上蓋40を時計回り方向に回転させると、被係止リブ35が小リブ44を相対的に乗り越えて、小リブ44と大リブ45との間に設けられた保持凹部46に入り込んで保持される(
図3(b)参照)。そして、更に上蓋40を時計回り方向に回すと、大リブ45が被係止リブ35を時計回り方向に押圧するため、回転中蓋30が時計回り方向に回転し、このとき規制凸部34とアンダーカット部24bとの係止が解除され、規制凸部34が一方の規制凹部24内の終端部24aに当接するため、最初の閉蓋状態に戻すことができる(
図1(b)参照)。この閉蓋操作では、回転中蓋30は周方向に略180度回転させられるため、回転蓋部32が固定側切欠穴23を塞ぐ状態(開蓋直後の状態)に戻すことができる。すなわち、収容空間Sと容器本体10の内部との間が、中蓋を構成する回転蓋部32と固定蓋部22とによって仕切られた状態に戻すことができる。
【0032】
上記のように、挿入穴Hが形成されている状態から上蓋40を装着して螺合すると、回転中蓋30が上蓋40と一緒に回転し、回転蓋部32が固定側切欠穴23を自動的に塞ぐことができる。このため、上蓋40を装着する前に、使用者が回転中蓋30を回転させることにより、回転蓋部32で固定側切欠穴23を塞ぐための操作を不要とすることができる。
【0033】
尚、雄ネジ14と雌ネジ43とは多条ネジで構成してもよい。この構成では、互いのネジが噛み合ってから閉蓋するまでの回転角度と、回転中蓋30の回転蓋部32が固定側切欠穴23を自動的に塞ぐまでに要する回転角度とを一致させておくことにより、上蓋40の閉蓋操作の完了と同時に回転蓋部32が固定側切欠穴23を塞ぐことができるようになる点で好ましい。
【0034】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、固定中蓋20に規制凹部24、25を設け、回転中蓋30に規制凸部34を設けた構成を示して説明したが、固定中蓋20に規制凸部を設け、回転中蓋30に規制凹部を設ける構成としてもよい。
【0035】
また上記実施例では、回転中蓋30に被係止リブ35を設け、上蓋40に一対の小リブ44及び大リブ45を設けた構成を示して説明したが、回転中蓋30に一対の小リブ及び大リブを設け、上蓋40に被係止リブを設ける構成としてもよい。
【0036】
更に、上記実施例では、櫛歯部22bを固定中蓋20に設けた構成示して説明したが、櫛歯部を回転中蓋30に設ける構成としてもよい。
【0037】
また更に上記実施例では、回転中蓋30の回転側切欠穴33と固定中蓋20の固定側切欠穴23の双方を半円形状で構成し、これらが連通して形成される挿入穴Hが略半円形状に開口する場合を示して説明したが、固定側切欠穴23をその他の形状(例えば扇型形状、角状、円形状など)で形成することにより、挿入穴Hをその他の形状で開口する構成とするものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、粉末状の化粧料を収容するパウダー容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 : パウダー容器
10 : 容器本体
11 : 底部
12 : 側壁
13 : 口筒部
14 : 雄ネジ
15 : 被嵌合壁
20 : 固定中蓋
21 : 固定側環状凹部
21a: ガイド壁
22 : 固定蓋部
22a: 通過孔
22b: 櫛歯部
23 : 固定側切欠穴
24 : 規制凹部
24a: 終端部
24b: アンダーカット部
25 : 規制凹部
25a: 終端部
26 : 段差部
30 : 回転中蓋
31 : 回転側環状凹部
32 : 回転蓋部
32a: 通過孔
33 : 回転側切欠穴
34 : 規制凸部
35 : 被係止リブ
36 : 弦長部分
40 : 上蓋
41 : 頂壁部
42 : 側壁
43 : 雌ネジ
44 : 小リブ
45 : 大リブ
46 : 保持凹部
B : ブラシ
H : 挿入穴
P : パウダー
Pf : パフ
S : 収容空間