(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183904
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】水上風力発電施設組立方法および浮体構造物
(51)【国際特許分類】
F03D 13/25 20160101AFI20221206BHJP
F03D 13/30 20160101ALI20221206BHJP
【FI】
F03D13/25
F03D13/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091427
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 晶
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正美
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD61X
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】施工時の浮体構造物の安定性を確保し、その結果、施工性の向上を図ることを可能とした水上風力発電施設組立方法および浮体構造物を提案する。
【解決手段】所定の位置に浮体構造物2を係留する係留工程と、クレーン12で吊持したタワー3を浮体構造物2上に立設させた状態で仮止めする仮止め工程と、タワー3を浮体構造物2上で自立させるタワー自立工程と、を備える水上風力発電施設組立方法である。浮体構造物2には、タワー設置後の水平性を確保するためのバラスト材7と、タワー設置前の水平性を確保するためのバラスト水8を貯留するバラスト水貯留タンクとが設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に浮体構造物を係留する係留工程と、
クレーンで吊持したタワーを前記浮体構造物上に立設させた状態で仮止めする仮止め工程と、
前記タワーを前記浮体構造物上で自立させるタワー自立工程と、
を備える水上風力発電施設組立方法であって、
前記浮体構造物には、タワー設置後の水平性を確保するためのバラスト材と、タワー設置前の水平性を確保するためのバラスト水を貯留するバラスト水貯留タンクと、が設けられており、
前記タワー自立工程では、予め前記バラスト水貯留タンクに貯水された前記バラスト水を排水するとともに、前記クレーンから前記タワーを取り外すことを特徴とする、水上風力発電施設組立方法。
【請求項2】
前記バラスト水貯留タンクに予め貯留されるバラスト水の量は、前記タワーが設置された前記浮体構造物に作用する転倒モーメント以上の転倒モーメントが前記浮体構造物に作用する量であることを特徴とする、請求項1に記載の水上風力発電施設組立方法。
【請求項3】
前記タワーに風車本体を取り付ける風車取付工程をさらに備えており、
前記風車取付工程では、前記風車本体の取付作業と並行して、前記バラスト水貯留タンクからのバラスト水の排水、または、前記バラスト材の増量を行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水上風力発電施設組立方法。
【請求項4】
水上風力発電施設の基礎部分を構成する浮体構造物であって、
タワーの設置位置から離れた位置に設けられたバラスト材と、
前記タワーの設置位置の近傍に設けられたバラスト水貯留タンクと、を備えており、
前記バラスト水貯留タンクの側面には、前記バラスト水貯留タンク内のバラスト水を外部に排水するための排水口が形成されていることを特徴とする浮体構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上風力発電施設組立方法および浮体構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの排出量削減を目的とした再生可能エネルギーの一つとして、風力発電がある。風力発電施設は、風車の騒音や振動が生活環境に影響を及ぼす場合があることから、居住区域から離れた場所に設置するのが望ましい。そのため、風力発電施設を海上(水上)に設置する場合がある。
一方、水深が深い位置に風力発電施設を構築する場合には、着底する基礎構造の施工や、水底に杭等を施工するのに手間がかかる。そのため、水上に係留させた浮体構造物にタワーを立設して風力発電施設を構築する場合がある。
例えば、特許文献1には、浮体と、浮体につながれた係留索と、浮体に立設されたタワーと、タワーの頂部に設置されるナセルおよび風車ブレードとからなる水上風力発電設備が開示されている。特許文献1の水上風力発電設備の施工工程は次のとおりである。まず、浮体を横向きで所定の位置に曳航した後、浮体内にバラスト水を注水して浮体を起立させる。このとき、浮体下部には、浮体の近傍に設けられたバランス調整用浮体から延設されたワイヤが取り付けられており、浮体の起立に伴ってワイヤが送り出される。浮体が起立したら、浮体の底部にバラスト材を投入するとともに浮体を係留索で係留する。そして、クレーンを利用して、タワーを立設させた状態で浮体に固定した後、タワーの頭部にナセルおよびブレードを設置する。このとき、バランス調整用浮体から延設されたワイヤの送り出しおよび巻き戻しにより、浮体の回転を制御する。
しかしながら、ワイヤにより浮体の回転を制御するには熟練した技術が必要である。また、バランス調整用浮体による回転の制御は、浮体に回転が生じてから行われるものであって、回転の発生自体を抑制するものではない。そのため、タワーを固定する際の安定性を確保し難い。さらに、横向きの浮体を起立させる作業には手間と時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、施工時の浮体構造物の安定性を確保し、その結果、施工性の向上を図ることを可能とした水上風力発電施設組立方法および浮体構造物を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の水上風力発電施設組立方法は、所定の位置に浮体構造物を係留する係留工程と、クレーンで吊持したタワーを前記浮体構造物上に立設させた状態で仮止めする仮止め工程と、前記タワーを前記浮体構造物上で自立させるタワー自立工程とを備えている。前記浮体構造物には、タワー設置後の水平性を確保するためのバラスト材と、タワー設置前の水平性を確保するためのバラスト水を貯留するバラスト水貯留タンクとが設けられており、前記タワー自立工程では予め前記バラスト水貯留タンクに貯水された前記バラスト水を排水するとともに前記クレーンから前記タワーを取り外す。
かかる水上風力発電施設組立方法によれば、タワー自立工程の前まではバラスト材とバラスト水貯留タンクによって浮体構造物の水平性が確保されるため、浮体構造物の回転が抑制される。そのため、タワーを立設する際の安定性が確保される。また、タワーを浮体構造物上で自立させる際には、バラスト水貯留タンクからバラスト水を排水し、タワーとバラスト材とによりバランスが確保されるため、施工時の安定性も確保される。
【0006】
ここで、前記バラスト水貯留タンク内に予め貯留するバラスト水の量は、前記タワーが設置された前記浮体構造物に作用する転倒モーメント以上の転倒モーメントが前記浮体構造物に作用する量であることが好ましい。このようにすると、風車本体(ナセルおよびブレード等)のタワーへの取り付けなどにより転倒モーメントが増加する場合であっても、浮体構造物の水平性が確保される。
また、前記タワーに風車本体(ナセルおよびブレード等)を取り付ける風車取付工程では、前記風車本体の取付作業と並行して、前記バラスト水貯留タンクからのバラスト水の排水、または、バラスト材の増量を行うことで、水平性を確保する。
【0007】
なお、本発明の浮体構造物は、水上風力発電施設の基礎部分を構成するものであって、タワーの設置位置から離れた位置に設けられたバラスト材と、前記タワーの設置位置の近傍に設けられたバラスト水貯留タンクとを備えており、前記バラスト水貯留タンクの側面には前記バラスト水貯留タンクに貯留されたバラスト水を外部に排水するための排水口が形成されている。
かかる浮体構造物によれば、バラスト水貯留タンク内のバラスト水の量を調整することにより、水平性を確保することができる。そのため、タワーの立設の前後においても、バラスト水の水量を調整することで、安定的な施工が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水上風力発電施設組立方法および浮体構造物によれば、施工時の浮体構造物の安定性を確保し、その結果、施工性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る水上風力発電施設を示す側面図である。
【
図2】(a)本実施形態の浮体構造物を示す概略図、(b)は従来の浮体構造物にタワーを設置した状況を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る水上風力発電施設組立方法のフローチャートである。
【
図4】水上風力発電施設組立方法の各工程を示す側面図であって、(a)は係留工程、(b)は仮止め工程、(c)はタワー自立工程、(d)は(c)に続くタワー自立工程である。
【
図5】他の形態に係る浮体構造物を示す概略図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、水上に設けられた発電施設である水上風力発電施設1について説明する。
図1に本実施形態の水上風力発電施設1を示す。本実施形態の水上風力発電施設1は、水上に係留された状態で風力発電を行うものであって、
図1に示すように、浮体構造物2と、浮体構造物2に立設されたタワー3と、タワー3の頭部に設けられた風車本体4とを備えている。
浮体構造物2は、水上風力発電施設1の基礎部分を構成する。
図2に浮体構造物2の概要を示す。浮体構造物2は、
図2に示すように、タワー3の設置位置から離れた位置に設けられた第一タンク5と、タワー3の設置位置近傍に設けられた第二タンク6とを備えている。
【0011】
タワー3は、風車本体4を支持するための支柱である。タワー3は、浮体構造物2の中心から偏心した位置(タワー3の偏心量e1)に設けるものとする。本実施形態のタワー3は、浮体構造物2の中心よりも一端側(
図2において左側)に設けられている。
風車本体4は、ブレード10やナセル11等からなる(
図1参照)。風車本体4は、タワー3を浮体構造物2に立設させた後、タワー3の頭部に設置する。
【0012】
第一タンク5は、浮体構造物2内に設けられていて、バラスト材7を収容する。本実施形態では、浮体構造物2の他端部(
図1において右側の端部)に第一タンク5が設けられている。本実施形態の第一タンク5は、浮体構造物2の中心から偏心量e2の位置に設けられている。第一タンク5は、浮体構造物2の内部の幅方向に連続して形成された中空の箱型部材である。浮体構造物2の上面には、第一タンク5の位置に対応して、第一タンク5の内部に連通するバラスト材投入口が形成されている。
浮体構造物2にタワー3を設置すると、タワー3の重量W1により、浮体構造物2に対して第一転倒モーメントM1(=W1×e1)が作用するため、これを打ち消すモーメントが足りない場合には、
図2(b)に示すように、浮体構造物2が傾く(回転する)。そのため、第一タンク5の容量は、タワー3を設置することにより浮体構造物2に作用する第一転倒モーメントM1を打ち消して水平性を確保する第二転倒モーメントM2(=W2×e2)を生じさせる重量W2のバラスト材7を収容可能な大きさに設定する。
【0013】
第二タンク6は、バラスト水8を貯水するバラスト水貯留タンクであって、
図2(a)に示すように、浮体構造物2の上面に設けられている。本実施形態では、浮体構造物2の一端部(
図2(a)において左側の端部)に第二タンク6が設けられている。第二タンク6は、中空の箱型部材であって、タワー3の設置箇所よりも一端側に設けられている。第二タンク6の外側(一端側)の側面には、バラスト水8を排水するための排水口9が形成されている。排水口9は、浮体構造物2の外側に面していて、排水口9を開口させるとバラスト水が自然に排水され、排水されたバラスト水8は、浮体構造物2の周囲の水面に直接流下する。
第二タンク6は、浮体構造物2の中心から偏心した位置(偏心量e3)に設けられており、第二タンク6に重量W3のバラスト水8を貯留すると、浮体構造物2に第三転倒モーメントM3(=W3×e3)が作用する。第二タンク6の貯留するバラスト水8の重量は、タワー3を設置する前の状態において、バラスト材7により浮体構造物2に作用する第二転倒モーメントM2を打ち消す第三転倒モーメントM3が浮体構造物2に作用する大きさとする。
【0014】
以下、本実施形態の水上風力発電施設組立方法について説明する。
図3に水上発電施設組立方法を示す。本実施形態の水上風力発電施設組立方法は、
図3に示すように、係留工程S1と、仮止め工程S2と、タワー自立工程S3と、風車取付工程S4とを備えている。
図4(a)~(d)に各工程の作業状況を示す。
係留工程S1では、
図4(a)に示すように、所定の位置に浮体構造物2を係留する。浮体構造物2は、所定の位置に曳航し、図示せぬ杭などに係留する。浮体構造物2の第一タンク5には、タワー3およびタワー本体4設置後の浮体構造物2の水平性を確保するためのバラスト材7が投入されている。すなわち、第一タンク5には、タワー3が浮体構造物2に設置された際に生じる第一転倒モーメントM1以上の大きさの第二転倒モーメントM2が浮体構造物2に生じる重量のバラスト材7が貯留されている。また、第二タンク6には、タワー3を設置する前の浮体構造物2の水平性を確保するためのバラスト水8が貯留されている。すなわち、第二タンク6には、タワー3が設置された浮体構造物2に作用する第一転倒モーメントM1以上で、かつ、バラスト材7によって生じる第二転倒モーメントM2と同等の第三転倒モーメントM3が浮体構造物2に作用する量のバラスト水8が貯留されている。
【0015】
仮止め工程S2では、タワー3を浮体構造物2の上に仮止めする。タワー3は、
図4(b)に示すように、クレーン12を利用して、浮体構造物2の上に立設させて、クレーン12による吊持を維持したまま、浮体構造物2にボルト等により仮止めする。すなわち、仮止め工程S2では、タワー3をクレーン12で吊持しているため、タワー3の重量が浮体構造物2に作用することなく、バラスト材7とバラスト水8による浮体構造物2のバランスが維持されている。本実施形態では、クレーン船13に設けられたクレーン12を利用する。
【0016】
タワー自立工程S3では、クレーン12からタワー3を解除して浮体構造物2にタワーを自立させる。タワー3は、
図4(c)に示すように、クレーン12による吊持を維持したまま、浮体構造物2に立設させる。また、第二タンク6に貯水されたバラスト水8を排水する。第二タンク6からバラスト水8を排水すると、浮体構造物2の他端側に作用するバラスト材7(第一タンク5)の重量により、浮体構造物2に回転力(第二転倒モーメントM2)が生じるが、浮体構造物2の一端側上面にタワー3が接しているため、浮体構造物2の水平性は維持される。第二タンク6からの排水とともに、クレーン12に作用するタワー3の荷重が低下する。すなわち、第二タンク6からバラスト水8を排水すると、浮体構造物2の一端側が浮き上がろうとして、自然とタワー3を押し返すため、自動的に水平性が保たれる。第二タンク6からバラスト水8を排水することで、タワー3の重量W1とバラスト材7の重量W2とにより浮体構造物2のバランスが確保された状態となった段階で、
図4(d)に示すように、クレーン12からタワー3を取り外す(タワー3から玉掛けワイヤを取り外す)。
【0017】
風車取付工程S4では、タワー3に風車本体4を取り付ける(
図1参照)。タワー3に風車本体4を取り付ける作業は、クレーン12を用いて行う。風車取付工程S4では、風車本体4の取付作業と並行して、第二タンク6からのバラスト水8の排水を行う。バラスト水8の排水は、タワー3への風車本体4(ブレード10やナセル11)の設置のタイミングに応じて行う。第二タンク6からバラスト水8を排水すると、バラスト材7の重量W2により浮体構造物2に回転力が作用するが、タワー3および風車本体4の重量により回転力が打ち消されて、浮体構造物2の水平性が確保される。
【0018】
本実施形態の水上風力発電施設組立方法によれば、タワー自立工程の前までは第一タンク5(バラスト材7)と第二タンク6(バラスト水8)によって浮体構造物2の水平性が確保されるため、浮体構造物2の回転が抑制される。すなわち、タワー3を立設する際の安定性および水平性が確保されるため、施工性が向上する。また、タワー3を浮体構造物2上で自立させる際には、第二タンク(バラスト水貯留タンク)6からバラスト水8を排水することで、タワー3とバラスト材7とによりバランスが確保される。つまり、クレーンによるタワー3の支持を解除する際の安定性および水平性が確保されている。第二タンク6からのバラスト水8の排水は、排水口9を開口するのみで瞬時に実現されるため、ポンプを利用する場合に比べて、簡易かつ短時間に実施できる。このように、本実施形態の水上風力発電施設組立方法および浮体構造物2によれば、浮体構造物2上に風車を組み立てる際に、浮体構造物2の重心とタワー3の重心とが一致しない場合であっても、タワー3を上載した際に浮体構造物2が傾斜することが防止されるので、水平性を確保した効率的な施工が可能となる。
【0019】
なお、第二タンク6内に予め貯留するバラスト水8の量は、タワー3が設置された際に浮体構造物2に作用する転倒モーメント(第一転倒モーメントM1)以上の転倒モーメント(第三転倒モーメントM3)が浮体構造物2に作用する量であるため、風車本体4のタワー3への取り付けなどにより浮体構造物2に作用する転倒モーメントが増加する場合であっても、浮体構造物2の水平性が確保される。すなわち、タワー3に風車本体4(ブレード10およびナセル11)を取り付ける際に、風車本体4の設置に伴う転倒モーメントを打ち消すように、第二タンク6からのバラスト水8の排水することで、浮体構造物2の水平性を確保できる。このように、浮体構造物2は、タワー3および風車本体4の施工状況に応じて、第二タンク6内のバラスト水8の量を調整可能であるので、水平性を確保し、安定的な施工を可能としている。
【0020】
バラスト水8(第二タンク6)を利用して浮体構造物2の水平性を確保しているため、施工時の水平調整に要する時間を短縮できる。また、バラスト水8は短時間で排水できるため、クレーン12の拘束時間を短縮でき、クレーン12の使用に要する費用の低減化を図ることができるとともに、クレーン12を他の水上風力発電施設1の組み立てに転用することで、全体的な工期短縮化を図ることができる。
【0021】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限らず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、第一タンク5の設置箇所は、浮体構造物2内に限定されるものではなく、例えば、浮体構造物2上に設けられていてもよい。また、前記実施形態では、バラスト材7を第一タンク5内に投入するものとしたが、バラスト材7は、浮体構造物2内や浮体構造物2上に直接載置してもよい。
前記実施形態では、バラスト材7として、水を使用したが、バラスト材7を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、コンクリートや砕石等であってもよい。また、施工時に使用したバラスト材7は、他の材料や設備機器等に適宜置き換えてもよい。例えば、浮体構造物2の他端部側(タワー3と反対側)に送電設備等を設ける場合には、送電設備の設置に伴って第一タンク5内のバラスト材7を排出すればよい。
前記実施形態では、第二タンク6からバラスト水8を排水したが、バラスト水8を第一タンク5に移動させることで、水平性を維持させてもよい。
また、タワー3の設置と同時にバラスト材7を設置する場合には、第二タンク6を省略可能である。
【0022】
第二タンク(バラスト水貯留タンク)6の設置箇所は、浮体構造物2上に限定されるものではなく、例えば、浮体構造物2内であってもよい。また、前記実施形態では、一つの第二タンク6をタワー3の設置箇所よりも浮体構造物2の外側(一端側)に設けるものとしたが(
図1参照)、第二タンク6の数および設置箇所は限定されるものではなく、例えば、
図5(a)および(b)に示すように、重心の位置がタワー3側となるように、タワー3の両脇に第二タンク6を一つずつ設けてもよい。
前記実施形態では、風車取付工程S4において、風車本体4の取付作業と並行して第二タンク6からのバラスト水8の排水を行うものとしたが、バラスト水8の排水に代えて、バラスト材7の増量を行うことで、浮体構造物2の安定性(水平性)を確保してもよい。
使用するクレーン12は、クレーン船13に設置されたものに限定されるものではなく、例えば、ドック内や岸壁に係留した浮体構造物2にタワー3を設置する場合には、ドックや岸壁に隣接して設けられたクレーン12を利用すればよい。
【符号の説明】
【0023】
1 水上風力発電施設
2 浮体構造物
3 タワー
4 風車本体
5 第一タンク
6 第二タンク(バラスト水貯留タンク)
7 バラスト材
8 バラスト水
9 排水口
10 ブレード
11 ナセル
12 クレーン