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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183908
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091431
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅史
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730BB66
5H730CC01
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730FF09
5H730FG02
5H730FG12
(57)【要約】
【課題】電力変換効率の低下を回避し、かつ急峻な電力変動と負荷変動の影響を回避して、広い出力電圧範囲に対応することが可能なDC/DCコンバータを提供する。
【解決手段】絶縁トランスTrと、1次側回路11と、2次側回路12と、制御部13とを備えるDC/DCコンバータ1Aであって、制御部13は、1次側回路11にフルブリッジ動作を行わせる第1制御と、フルブリッジ動作においてスイッチング素子Q3を停止させる変形ハーフブリッジ動作を1次側回路11に行わせる第2制御と、変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への移行時の制御であって、スイッチング素子Q3のオン幅が広くなるように、スイッチング素子Q3のオンタイミングをスイッチング素子Q2のオンタイミングに合わせ、かつスイッチング素子Q3のオフタイミングを移行時間の経過に応じて遅らせる第3制御と、を実行することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側コイルおよび2次側コイルを含む絶縁トランスと、
前記1次側コイルに接続された1次側回路と、
前記2次側コイルに接続された2次側回路と、
前記1次側回路を制御する制御部と、
を備えるDC/DCコンバータであって、
前記1次側回路は、
第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとが並列接続されたフルブリッジ回路と、共振コイルと、共振コンデンサと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームの第1接続点と前記第3アームおよび前記第4アームの第2接続点との間において、前記共振コイル、前記共振コンデンサおよび前記1次側コイルが直列接続されており、
前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームの各アームは、
前記制御部の制御下でオン/オフするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードと、
前記スイッチング素子に並列接続されたコンデンサと、を備え、
前記制御部は、
前記1次側回路にフルブリッジ動作を行わせる第1制御と、
前記フルブリッジ動作において前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームのうちの一のアームを停止させる変形ハーフブリッジ動作を前記1次側回路に行わせる第2制御と、
前記変形ハーフブリッジ動作から前記フルブリッジ動作への移行時の制御であって、移行時間の経過に応じて前記一のアームのオン幅が広くなるように、前記一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ前記一のアームのオフタイミングを前記移行時間の経過に応じて遅らせる第3制御と、
を実行することを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記フルブリッジ動作から前記変形ハーフブリッジ動作への移行時の制御であって、移行時間の経過に応じて前記一のアームのオン幅が狭くなるように、前記一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ前記一のアームのオフタイミングを前記移行時間の経過に応じて早める第4制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記2次側回路は、フルブリッジ回路であり、
前記制御部は、前記第1制御および前記第2制御の実行中に、前記2次側回路に対して同期整流制御を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載のDC/DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車用の急速充電器は、電気自動車のバッテリー容量の増加に伴い、100[kW]を超える大容量のものが増加しつつある。そのため、急速充電器で使用される電源ユニットの小型化、高効率化、低コスト化がより重要になっている。
【0003】
また、急速充電器の充電仕様については、日本国内においてはCHAdeMO協議会が規定している。市販されている電気自動車のバッテリー電圧の多くが350~400[V]程度であるのに対して、CHAdeMO規格は、150~500[V]の広い電圧範囲に連続して対応することを要求している。
【0004】
急速充電器の電源ユニットは、AC/DC電源部とDC/DC電源部とを備える。DC/DC電源部として、従来は電圧電流型のDC/DCコンバータが使用されていたが、近年は上記の背景を踏まえて、電流共振技術を利用したLLC方式のDC/DCコンバータが使用されつつある。LLC方式のDC/DCコンバータは、高効率、低ノイズという利点がある一方で、電力変動と負荷変動(負荷に供給される電圧の変動)に課題がある。
【0005】
そのため、LLC方式のDC/DCコンバータに昇降圧コンバータを追加し、LLC方式のDC/DCコンバータを電力変動と負荷変動の影響を受けにくい共振周波数で使用し、昇降圧コンバータで電流制御する方法が行われる。この方法によれば、電力変動と負荷変動の影響を抑制して、広い出力電圧範囲に対応することができる。しかしながら、この方法では、昇降圧コンバータで損失が発生するため、電力変換効率が低下するという課題がある。
【0006】
特許文献1には、絶縁トランスと、絶縁トランスの1次側に設けられた1次側フルブリッジ回路と、1次側フルブリッジ回路を高電圧時にフルブリッジ動作させ、低電圧時にハーフブリッジ動作させる制御部と、を備えるDC/DCコンバータが記載されている。特許文献1に記載のDC/DCコンバータでは、制御部が、フルブリッジ動作とハーフブリッジ動作との切り替えを行うときに、入力電力に応じたパルス幅の駆動信号により切り替え後の駆動を行う。特許文献1に記載のDC/DCコンバータは、昇降圧コンバータ等の追加回路を備えていないので、電力変換効率の低下を回避して、広い出力電圧範囲に対応することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のDC/DCコンバータでは、入力電力に応じたパルス幅の駆動信号により切り替え後の駆動を行ったとしても、切り替えた瞬間に急峻な電力変動(電力ジャンプ)が発生するので、円滑に切り替えることができず、負荷に供給される電圧が変動する。すなわち、特許文献1に記載のDC/DCコンバータでは、動作の切り替え時に電力変動と負荷変動の影響を受けるという課題が生じる。
【0008】
特許文献2には、絶縁トランスと、絶縁トランスの1次側に設けられた1次側フルブリッジ回路と、1次側フルブリッジ回路をフルブリッジ動作または特定変形ハーフブリッジ動作させる制御部と、を備えるDC/DCコンバータが記載されている。制御部は、入力電圧が低電圧の範囲で高く、かつ軽負荷時にフルブリッジ動作から特定変形ハーフブリッジ動作に切り替え、1次側フルブリッジ回路を構成するいずれか1つのスイッチング素子をオフさせて他のスイッチング素子を発振(オン/オフ)させる。特許文献2に記載のDC/DCコンバータは、昇降圧コンバータ等の追加回路を備えていないので、電力変換効率の低下を回避して、広い出力電圧範囲に対応することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載のDC/DCコンバータにおいても、切り替えた瞬間に電力ジャンプが発生するので、円滑に切り替えることができず、負荷に供給される電圧が変動する。すなわち、特許文献2に記載のDC/DCコンバータでは、特許文献1に記載のDC/DCコンバータと同様に、動作の切り替え時に電力変動と負荷変動の影響を受けるという課題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013-188084号公報
【特許文献2】特開2011-142765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、電力変換効率の低下を回避し、かつ急峻な電力変動と負荷変動の影響を回避して、広い出力電圧範囲に対応することが可能なDC/DCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係るDC/DCコンバータは、
1次側コイルおよび2次側コイルを含む絶縁トランスと、
前記1次側コイルに接続された1次側回路と、
前記2次側コイルに接続された2次側回路と、
前記1次側回路を制御する制御部と、
を備えるDC/DCコンバータであって、
前記1次側回路は、
第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとが並列接続されたフルブリッジ回路と、共振コイルと、共振コンデンサと、を備え、
前記第1アームおよび前記第2アームの第1接続点と前記第3アームおよび前記第4アームの第2接続点との間において、前記共振コイル、前記共振コンデンサおよび前記1次側コイルが直列接続されており、
前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームの各アームは、
前記制御部の制御下でオン/オフするスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードと、
前記スイッチング素子に並列接続されたコンデンサと、を備え、
前記制御部は、
前記1次側回路にフルブリッジ動作を行わせる第1制御と、
前記フルブリッジ動作において前記第1アーム、前記第2アーム、前記第3アーム、前記第4アームのうちの一のアームを停止させる変形ハーフブリッジ動作を前記1次側回路に行わせる第2制御と、
前記変形ハーフブリッジ動作から前記フルブリッジ動作への移行時の制御であって、移行時間の経過に応じて前記一のアームのオン幅が広くなるように、前記一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ前記一のアームのオフタイミングを前記移行時間の経過に応じて遅らせる第3制御と、
を実行することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、移行時間の経過に応じて一のアームのオン幅が広くなるように、一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ一のアームのオフタイミングを移行時間の経過に応じて遅らせるので、移行時に、動作の切り替えに伴う急峻な電力変動(電力ジャンプ)や貫通電流が発生せず、負荷に供給される電圧が変動するのを抑制できる。また、この構成によれば、昇降圧コンバータ等の追加回路が不要になるので、当該追加回路に起因する電力変換効率の低下を回避できる。
【0014】
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御部は、
前記フルブリッジ動作から前記変形ハーフブリッジ動作への移行時の制御であって、移行時間の経過に応じて前記一のアームのオン幅が狭くなるように、前記一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ前記一のアームのオフタイミングを前記移行時間の経過に応じて早める第4制御を実行することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、移行時間の経過に応じて一のアームのオン幅が狭くなるように、一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ一のアームのオフタイミングを移行時間の経過に応じて早めるので、移行時に、動作の切り替えに伴う急峻な電力変動が発生せず、負荷に供給される電圧が変動するのを抑制できる。
【0016】
前記DC/DCコンバータにおいて、
前記2次側回路は、フルブリッジ回路であり、
前記制御部は、前記第1制御および前記第2制御の実行中に、前記2次側回路に対して同期整流制御を行うよう構成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力変換効率の低下を回避し、かつ急峻な電力変動と負荷変動の影響を回避して、広い出力電圧範囲に対応することが可能なDC/DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るDC/DCコンバータの回路図である。
図2】第1実施形態に係るDC/DCコンバータの各アームの状態を示す図であって、(A)はフルブリッジ動作時、(B)は変形ハーフブリッジ動作時、(C)は第1の移行時、(D)は第2の移行時における図である。
図3】変形ハーフブリッジ動作時およびフルブリッジ動作時における電流経路を示す図であって、(A)はモード1、(B)はモード2、(C)はモード2-1、(D)はモード2-2における図である。
図4】変形ハーフブリッジ動作時における電流経路を示す図であって、(A)はモード3、(B)はモード4、(C)はモード4-1、(D)はモード4-2における図である。
図5】第1の移行時における電流経路を示す図であって、(A)はモード3、(B)はモード3-1-1、(C)はモード3-1-2における図である。
図6】第1の移行時における電流経路を示す図であって、(A)はモード4-0、(B)はモード4-1、(C)はモード4-2における図である。
図7】第2の移行時における電流経路を示す図であって、(A)はモード3、(B)はモード4、(C)はモード4-0-1における図である。
図8】第2の移行時における電流経路を示す図であって、(A)はモード4-0-2、(B)はモード4-1、(C)はモード4-2における図である。
図9】フルブリッジ動作時における電流経路を示す図であって、(A)はモード3、(B)はモード4、(C)はモード4-1、(D)はモード4-2における図である。
図10】(A)は本発明の第2実施形態に係るDC/DCコンバータの回路図である。(B)は本発明の第3実施形態に係るDC/DCコンバータの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るDC/DCコンバータの実施形態について説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係るDC/DCコンバータ1Aを示す。DC/DCコンバータ1Aは、絶縁トランスTrと、1次側回路11と、2次側回路12と、制御部13とを備える。
【0021】
絶縁トランスTrは、n1巻線からなる1次側コイルと、センタータップを介して直列接続されたn2巻線およびn3巻線からなる2次側コイルと、を含む高周波絶縁トランスである。絶縁トランスTrは容量に応じて1個または複数個で構成してもよい。
【0022】
1次側回路11は、入力端T1,T2と、フルブリッジ回路と、共振コンデンサCrと、共振コイルLrと、励磁コイルLmとを備える。共振コイルLrは、その一部またはすべてを絶縁トランスTrの漏れインダクタンスで構成することができ、励磁コイルLmは、絶縁トランスTrの励磁インダクタンスで構成することができる。
【0023】
入力端T1-T2間には、直流の入力電圧Viが印加される。入力電圧Viは、例えば、入力端T1,T2に接続された前段のAC/DCコンバータの出力電圧である。
【0024】
フルブリッジ回路は、直列接続された第1アームおよび第2アームで構成される第1レグと、直列接続された第3アームおよび第4アームで構成される第2レグとを備える。第1レグと第2レグとは、並列接続される。第1アームは、スイッチング素子Q1、ダイオードD1、コンデンサC1を備える。第2アームは、スイッチング素子Q2、ダイオードD2、コンデンサC2を備える。第3アームは、スイッチング素子Q3、ダイオードD3、コンデンサC3を備える。第4アームは、スイッチング素子Q4、ダイオードD4、コンデンサC4を備える。
【0025】
スイッチング素子Q1には、高周波でスイッチングが可能なスイッチング素子が用いられる。例えば、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、SiC(シリコンカーバイド)-MOSFET、GaN(窒化ガリウム)-MOSFET等の電力半導体スイッチング素子である。スイッチング素子Q2~Q4についても同様である。
【0026】
ダイオードD1は、スイッチング素子Q1の電流路に逆方向に並列接続される。ダイオードD1は、スイッチング素子Q1の寄生ダイオードでもよいし、スイッチング素子Q1とは独立した個別ダイオードでもよい。ダイオードD2~D4についても同様である。
【0027】
コンデンサC1は、スイッチング素子Q1の電流路およびダイオードD1に並列接続される。コンデンサC1は、スイッチング素子Q1の寄生キャパシタでもよいし、スイッチング素子Q1とは独立した個別コンデンサでもよい。コンデンサC2~C4についても同様である。
【0028】
スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の第1接続点X1と、スイッチング素子Q3およびスイッチング素子Q4の第2接続点X2は、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrを介してn1巻線に直列接続される。励磁コイルLmは、n1巻線に並列接続される。
【0029】
図1では、共振コイルLrおよび励磁コイルLmを絶縁トランスTrのn1巻線と別に記載しているが、共振コイルLrおよび励磁コイルLmは、n1巻線に含めてもよい。図3図10では、励磁コイルLmをn1巻線に含めている。
【0030】
図1では、第1接続点X1とn1巻線との間に共振コンデンサCrおよび共振コイルLrを設けているが、n1巻線と第2接続点X2との間に共振コンデンサCrおよび共振コイルLrを設けてもよい。または、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrの一方を、第1接続点X1とn1巻線との間に設け、他方を、n1巻線と第2接続点X2との間に設けてもよい。または、共振コンデンサCrおよび共振コイルLrの定数を分割して、n1巻線の両側に設けてもよい。
【0031】
2次側回路12は、ダイオードD5,D6と、コンデンサCoと、出力端T3,T4とを備える。2次側回路12は、n2巻線およびn3巻線の誘起電圧をダイオードD5,D6で整流し、コンデンサCoで平滑することで、直流の電圧(出力電圧Vo)に変換して出力する。
【0032】
制御部13は、スイッチング素子Q1~Q4をオン/オフさせるためのスイッチング素子Q1~Q4の各駆動回路と、各駆動回路に制御信号を送るための制御回路とを含む。制御回路は、アナログ制御回路で構成されていてもよいし、マイクロコントローラ等を使用したデジタル制御回路で構成されていてもよいし、アナログ制御回路とデジタル制御回路とを組み合わせた回路で構成されていてもよい。
【0033】
制御部13は、第1~第4制御を行う。第1制御は1次側回路11にフルブリッジ動作を行わせる制御であり、第2制御は1次側回路11に変形ハーフブリッジ動作を行わせる制御であり、第3制御は変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への移行時の制御であり、第4制御はフルブリッジ動作から変形ハーフブリッジ動作への移行時の制御である。
【0034】
図2(A)は、1次側回路11にフルブリッジ動作を行わせる第1制御時のスイッチング素子Q1~Q4の状態を示す図である。制御部13は、第1レグの上アームを構成するスイッチング素子Q1と下アームを構成するスイッチング素子Q2とに対して、デッドタイムを設けた背反動作を行わせ、第2レグの上アームを構成するスイッチング素子Q3と下アームを構成するスイッチング素子Q4とに対しても、デッドタイムを設けた背反動作を行わせる。さらに、制御部13は、スイッチング素子Q1とその対角の位置にあるスイッチング素子Q4とを同タイミングでオンオフさせ、スイッチング素子Q2とその対角の位置にあるスイッチング素子Q3とを同タイミングでオンオフさせる。
【0035】
図2(B)は、1次側回路11に変形ハーフブリッジ動作を行わせる第2制御時のスイッチング素子Q1~Q4の状態を示す図である。変形ハーフブリッジ動作は、フルブリッジ動作においてスイッチング素子Q1~Q4のうちの一のスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q3)を停止させる動作である。すなわち、制御部13は、スイッチング素子Q3を連続オフ状態にさせる一方で、スイッチング素子Q4をスイッチング素子Q1と同タイミングでオンオフさせる。
【0036】
図2(C)および図2(D)は、変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への移行時(第3制御時)におけるスイッチング素子Q1~Q4の状態を示す図である。図2(C)は第1の移行時を示し、図2(D)は第1の移行時よりも移行が進んだ状態である第2の移行時を示す。
【0037】
制御部13は、変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への移行時(第3制御時)において、移行時間の経過に応じて、図2(C)の第1の移行時から図2(D)の第2の移行時のように、変形ハーフブリッジ動作時に停止させていたスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q3)のオン幅が広くなるように、スイッチング素子Q3のオンタイミングを対角の位置にあるスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q2)のオンタイミングに合わせ、かつスイッチング素子Q3のオフタイミングを移行時間の経過に応じて遅らせる。最終的に、スイッチング素子Q3をスイッチング素子Q2と同タイミングでオフさせることで、フルブリッジ動作への移行が完了する。
【0038】
変形ハーフブリッジ動作時に停止させていたスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q3)のオン幅は、動作上問題なければ、一定時間割合で広げてもよい。オン幅の変化と出力(電圧、電流、電力)との関係が非線形になる場合は、出力が安定して推移するような、充分な時間をとった一定時間割合でオン幅を広げるか、出力の変化に合わせてオン幅の変化の割合を調整してもよい。制御部13がデジタル制御によりオン幅を広げる場合は、所定のステップ単位でオン幅を増加させてもよい。
【0039】
制御部13は、フルブリッジ動作から変形ハーフブリッジ動作への移行時(第4制御時)において、第3制御時とは逆に、移行時間の経過に応じて、変形ハーフブリッジ動作時に停止させるスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q3)のオン幅が狭くなるように、スイッチング素子Q3のオンタイミングを対角の位置にあるスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q2)のオンタイミングに合わせ、かつスイッチング素子Q3のオフタイミングを移行時間の経過に応じて早める。最終的に、スイッチング素子Q3を連続オフ状態にさせることで、変形ハーフブリッジ動作への移行が完了する。
【0040】
変形ハーフブリッジ動作時に停止させるスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子Q3)のオン幅は、動作上問題なければ、一定時間割合で狭めてもよい。オン幅の変化と出力(電圧、電流、電力)との関係が非線形になる場合は、出力が安定して推移するような、充分な時間をとった一定時間割合でオン幅を狭めるか、出力の変化に合わせてオン幅の変化の割合を調整してもよい。制御部13がデジタル制御によりオン幅を狭める場合は、所定のステップ単位でオン幅を減少させてもよい。
【0041】
図3および図4に、変形ハーフブリッジ動作時における電流経路を示す。図5および図6に、第1の移行時における電流経路を示し、図7および図8に、第2の移行時における電流経路を示す。図3および図9に、フルブリッジ動作時における電流経路を示す。なお、図3図9において、電流経路を示す実線の矢印は「負荷電流」を表し、破線の矢印は「循環電流」を表す。
【0042】
[変形ハーフブリッジ動作時]
図3(A)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード1では、スイッチング素子Q1,Q4がオンしているので、入力電圧Viが共振コイルLrと共振コンデンサCrで構成される直列共振回路に印加され、直列共振回路による共振電流が負荷電流として流れる。絶縁トランスTrの2次側には変圧比に応じた電圧が誘起されるので、2次側回路12にも負荷電流が流れる。また、絶縁トランスTrの1次側の電圧が励磁コイルLmに印加されるので、1次側回路11には循環電流も流れる。直列共振回路による共振が終了して負荷電流がゼロになると、モード2に移行する。
【0043】
図3(B)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード2では、スイッチング素子Q1,Q4を経由して循環電流のみが流れる。スイッチング素子Q1,Q4がターンオフすると、デッドタイム期間であるモード2-1に移行する。
【0044】
図3(C)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード2-1では、スイッチング素子Q1,Q4がターンオフしたことにより、コンデンサC2,C3に溜まった電荷が放電し、コンデンサC1,C4が充電される。コンデンサC2,C3の放電およびコンデンサC1,C4の充電が終了すると、同じくデッドタイム期間であるモード2-2に移行する。
【0045】
図3(D)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード2-2では、共振コイルLrに溜まっているエネルギーにより、ダイオードD2,D3を経由して循環電流が流れ続ける。2次側回路12にも、ダイオードD6を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q2がターンオンすると、モード3に移行する。
【0046】
図4(A)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード3では、スイッチング素子Q2がターンオンしたことにより、共振コンデンサCrに溜まった電荷が放電し、スイッチング素子Q2およびダイオードD4を経由して、循環電流とは逆向きの負荷電流(共振電流)が流れる。2次側回路12にも、ダイオードD6を経由して負荷電流が流れる。循環電流は、スイッチング素子Q2またはダイオードD2とダイオードD3とを経由して流れる。負荷電流がゼロになり、循環電流の向きが反転すると、モード4に移行する。
【0047】
図4(B)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード4では、スイッチング素子Q2およびダイオードD4を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q2がターンオフすると、デッドタイム期間であるモード4-1に移行する。
【0048】
図4(C)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード4-1では、スイッチング素子Q2がターンオフしたことにより、コンデンサC1に溜まった電荷が放電し、コンデンサC2が充電される。コンデンサC1の放電およびコンデンサC2の充電が終了すると、同じくデッドタイム期間であるモード4-2に移行する。
【0049】
図4(D)に示すように、変形ハーフブリッジ動作時のモード4-2では、共振コイルLrに溜まっているエネルギーにより、ダイオードD1,D4を経由して循環電流が流れ続ける。2次側回路12にも、ダイオードD5を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q1,Q4がターンオンすると、モード1に移行する。
【0050】
[第1の移行時]
変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への第1の移行時におけるモード1からモード2-2は、変形ハーフブリッジ動作時のモード1からモード2-2と同じなので、説明を省略する。
【0051】
第1の移行時のモード3では、変形ハーフブリッジ動作時にオフしていたスイッチング素子Q3が、対角の位置にあるスイッチング素子Q2のオンタイミングに合わせターンオンしてオン状態になっている(図2(C)参照)。
【0052】
図5(A)に示すように、第1の移行時のモード3では、1次側回路11には共振コイルLrと共振コンデンサCrとによる共振電流(負荷電流)がスイッチング素子Q2,Q3を経由して流れ、2次側回路12にもダイオードD6を経由して負荷電流が流れる。また、絶縁トランスTrの1次側の電圧が励磁コイルLmに印加されるので、1次側回路11にはスイッチング素子Q2またはダイオードD2とスイッチング素子Q3またはダイオードD3とを経由して循環電流も流れる。共振が終了して負荷電流がゼロになり、スイッチング素子Q3がターンオフすると、モード3-1-1に移行する。
【0053】
図5(B)に示すように、第1の移行時のモード3-1-1では、スイッチング素子Q3がターンオフしたことにより、コンデンサC4に溜まった電荷が放電し、コンデンサC3が充電される。コンデンサC4の放電が終了すると、モード3-1-2に移行する。
【0054】
図5(C)に示すように、第1の移行時のモード3-1-2では、ダイオードD2,D3を経由して循環電流が流れ続ける。循環電流がゼロになり、循環電流の向きが反転すると、モード4-0に移行する。
【0055】
図6(A)に示すように、第1の移行時のモード4-0では、スイッチング素子Q2およびダイオードD4を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q2がターンオフすると、モード4-1に移行する。
【0056】
図6(B)に示すように、第1の移行時のモード4-1では、スイッチング素子Q2がターンオフしたことにより、コンデンサC1に溜まった電荷が放電し、コンデンサC2が充電される。コンデンサC1の放電およびコンデンサC2の充電が終了すると、モード4-2に移行する。
【0057】
図6(C)に示すように、第1の移行時のモード4-2では、共振コイルLrに溜まっているエネルギーにより、ダイオードD1,D4を経由して循環電流が流れ続ける。2次側回路12にも、ダイオードD5を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q1,Q4がターンオンすると、モード1に移行する。
【0058】
[第2の移行時]
第1の移行時よりも移行が進んだ状態である第2の移行時のモード1からモード2-2は、第1の移行時のモード1からモード2-2と同じなので、説明を省略する。
【0059】
第2の移行時のモード3では、第1の移行時のモード3と同様に、スイッチング素子Q3がスイッチング素子Q2のオンタイミングに合わせターンオンしてオン状態になっている。しかしながら、第2の移行時のモード3では、スイッチング素子Q3のターンオフのタイミングが第1の移行時よりも遅く、スイッチング素子Q3のオン幅(オン期間)が第1の移行時よりも長くなっている(図2(D)参照)。
【0060】
図7(A)に示すように、第2の移行時のモード3では、1次側回路11には共振コイルLrと共振コンデンサCrとによる共振電流(負荷電流)がスイッチング素子Q2,Q3を経由して流れ、2次側回路12にもダイオードD6を経由して負荷電流が流れる。また、絶縁トランスTrの1次側の電圧が励磁コイルLmに印加されるので、1次側回路11にはスイッチング素子Q2またはダイオードD2とスイッチング素子Q3またはダイオードD3とを経由して循環電流も流れる。上記のとおり、スイッチング素子Q3のオン期間が第1の移行時よりも長いため、共振が終了して負荷電流がゼロになった後、循環電流がゼロになり、循環電流の向きが反転する。循環電流の向きが反転すると、モード4に移行する。
【0061】
図7(B)に示すように、第2の移行時のモード4では、スイッチング素子Q3がオンの状態であるため、スイッチング素子Q3,Q2を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q3がターンオフすると、モード4-0-1に移行する。
【0062】
図7(C)に示すように、第2の移行時のモード4-0-1では、スイッチング素子Q3がターンオフしたことにより、コンデンサC4に溜まった電荷が放電し、コンデンサC1が充電される。コンデンサC4の放電が終了すると、モード4-0-2に移行する。
【0063】
図8(A)に示すように、第2の移行時のモード4-0-2では、スイッチング素子Q2およびダイオードD4を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q2がターンオフすると、モード4-1に移行する。
【0064】
図8(B)に示すように、第2の移行時のモード4-1では、スイッチング素子Q2がターンオフしたことにより、コンデンサC1に溜まった電荷が放電し、コンデンサC2が充電される。コンデンサC1の放電およびコンデンサC2の充電が終了すると、モード4-2に移行する。
【0065】
図8(C)に示すように、第2の移行時のモード4-2では、共振コイルLrに溜まっているエネルギーにより、ダイオードD1,D4を経由して循環電流が流れ続ける。2次側回路12にも、ダイオードD5を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q1,Q4がターンオンすると、モード1に移行する。
【0066】
[フルブリッジ動作時]
フルブリッジ動作時のモード1からモード2-2は、図3に示した変形ハーフブリッジ動作時のモード1からモード2-2と同じなので、説明を省略する。
【0067】
図9(A)に示すように、フルブリッジ動作時のモード3では、スイッチング素子Q2,Q3がターンオンしたことにより、共振コンデンサCrに溜まった電荷が放電し、スイッチング素子Q2,Q3を経由して負荷電流(共振電流)が流れる。2次側回路12にも、ダイオードD6を経由して負荷電流が流れる。さらに、スイッチング素子Q2またはダイオードD2とスイッチング素子Q3またはダイオードD3とを経由して循環電流が流れる。負荷電流がゼロになり、循環電流の向きが反転すると、モード4に移行する。
【0068】
図9(B)に示すように、フルブリッジ動作時のモード4では、スイッチング素子Q2,Q3を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q2,Q3がターンオフすると、デッドタイム期間であるモード4-1に移行する。
【0069】
図9(C)に示すように、フルブリッジ動作時のモード4-1では、スイッチング素子Q2,Q3がターンオフしたことにより、コンデンサC1,C4に溜まった電荷が放電し、コンデンサC2,C3が充電される。コンデンサC1,C4の放電およびコンデンサC2,C3の充電が終了すると、同じくデッドタイム期間であるモード4-2に移行する。
【0070】
図9(D)に示すように、フルブリッジ動作時のモード4-2では、共振コイルLrに溜まっているエネルギーにより、ダイオードD1,D4を経由して循環電流が流れ続ける。2次側回路12にも、ダイオードD5を経由して循環電流が流れる。スイッチング素子Q1,Q4がターンオンすると、モード1に移行する。
【0071】
本実施形態に係るDC/DCコンバータ1Aでは、変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への移行時(第3制御時)に、変形ハーフブリッジ動作時にオフしていたスイッチング素子Q3を対角の位置にあるスイッチング素子Q2のオンタイミングに合わせターンオンさせるので、フルブリッジ動作時と同様の電流遷移となり、スイッチング素子Q3のターンオン時に貫通電流が発生しない。さらに、DC/DCコンバータ1Aでは、スイッチング素子Q3のオン幅が広くなるように、スイッチング素子Q3のオフタイミングを移行時間の経過に応じて遅らせるので、変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への円滑な移行が可能となる。
【0072】
同様に、DC/DCコンバータ1Aでは、フルブリッジ動作から変形ハーフブリッジ動作への移行時(第4制御時)に、スイッチング素子Q3をスイッチング素子Q2のオンタイミングに合わせターンオンさせるので、スイッチング素子Q3のターンオン時に貫通電流が発生しない。さらに、DC/DCコンバータ1Aでは、スイッチング素子Q3のオン幅が狭くなるように、スイッチング素子Q3のオフタイミングを移行時間の経過に応じて早めるので、フルブリッジ動作から変形ハーフブリッジ動作への円滑な移行が可能となる。
【0073】
したがって、本実施形態に係るDC/DCコンバータ1Aによれば、移行時に、動作の切り替えに伴う急峻な電力変動(電力ジャンプ)や貫通電流が発生せず、負荷に供給される出力電圧Voが変動するのを抑制できる。また、DC/DCコンバータ1Aによれば、昇降圧コンバータ等の追加回路が不要になるので、当該追加回路に起因する電力変換効率の低下を回避できる。
【0074】
[第2実施形態]
図10(A)に、本発明の第2実施形態に係るDC/DCコンバータ1Bを示す。DC/DCコンバータ1Bは、絶縁トランスTr’の2次側コイルおよび2次側回路12’の構成を除いて、第1実施形態と共通する。絶縁トランスTr’は容量に応じて1個または複数個で構成してもよい。
【0075】
2次側回路12’は、フルブリッジ接続されたダイオードD5~D8と、コンデンサCoと、出力端T3,T4とを備える。2次側回路12’は、センタータップ付きではない絶縁トランスTr’の2次側コイルの誘起電圧をダイオードD5~D8で整流し、コンデンサCoで平滑することで、直流の電圧(出力電圧Vo)に変換して出力する。
【0076】
本実施形態に係るDC/DCコンバータ1Bは、第1実施形態と共通の効果を有する。さらに、本実施形態に係るDC/DCコンバータ1Bは、第1実施形態と比較すると、大電力向けの回路構成となっている。
【0077】
[第3実施形態]
図10(B)に、本発明の第3実施形態に係るDC/DCコンバータ1Cを示す。DC/DCコンバータ1Cは、2次側回路12’’の構成および制御部13が2次側回路12’’に対して同期整流制御を行うことを除いて、第2実施形態と共通する。
【0078】
2次側回路12’’は、フルブリッジ回路と、コンデンサCoと、出力端T3,T4とを備える。フルブリッジ回路は、フルブリッジ接続された第5アーム~第8アームで構成される。第5アーム~第8アームは、第1実施形態の第1アーム~第4アームと共通の構成である。
【0079】
制御部13は、少なくとも第1制御および第2制御の実行中に、2次側回路12’’に対して同期整流制御を行う。例えば、制御部13が同期整流制御をデジタル制御回路で行う場合、制御を簡素化するために、移行時(第3制御時および第4制御時)には同期整流制御を行わなくてもよい。一方、制御部13が同期整流制御をアナログ制御回路で行う場合、移行時も2次側回路12’’の電流波形に応じて同期整流制御を行ってもよい。
【0080】
同期整流制御時の制御部13は、第5アーム~第8アームのスイッチング動作を、2次側共振電流の向きに同期させてオンオフする。例えば、制御部13は、絶縁トランスTr’の2次側コイルの電流の向き(極性)を検出し、電流の向きが正になるタイミングで第5アームのスイッチング素子Q5と第8アームのスイッチング素子Q8をオンさせ、電流が0になるタイミングで第5アームのスイッチング素子Q5と第8アームのスイッチング素子Q8をオフさせる。同様に、制御部13は、絶縁トランスTr’の2次側コイルの電流の向きを検出し、電流の向きが負になるタイミングで第6アームのスイッチング素子Q6と第7アームのスイッチング素子Q7をオンさせ、電流が0になるタイミングで第6アームのスイッチング素子Q6と第7アームのスイッチング素子Q7をオフさせる。
【0081】
本実施形態に係るDC/DCコンバータ1Cは、第2実施形態と共通の効果を有する。さらに、本実施形態に係るDC/DCコンバータ1Cは、第2実施形態と比較すると、2次側回路12’’のオン抵抗が減少するので、電力変換効率を向上させることができる。
【0082】
[変形例]
以上、本発明に係るDC/DCコンバータの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0083】
例えば、本発明に係るDC/DCコンバータの制御部は、少なくとも、
(1)1次側回路にフルブリッジ動作を行わせる第1制御と、
(2)フルブリッジ動作において第1アーム~第4アームのうちの一のアームを停止させる変形ハーフブリッジ動作を1次側回路に行わせる第2制御と、
(3)変形ハーフブリッジ動作からフルブリッジ動作への移行時の制御であって、移行時間の経過に応じて一のアームのオン幅が広くなるように、一のアームのオンタイミングを当該アームの対角の位置にあるアームのオンタイミングに合わせ、かつ一のアームのオフタイミングを移行時間の経過に応じて遅らせる第3制御と、
を実行するのであれば、適宜構成を変更できる。
【0084】
本発明の2次側回路は、絶縁トランスの2次側コイルに接続される回路であれば、適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0085】
1A~1C DC/DCコンバータ
11 1次側回路
12,12’,12’’ 2次側回路
13 制御部
図1
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