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  • 特開-発電装置および発電方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183920
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発電装置および発電方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20221206BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H02N11/00 X
F03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091453
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】501241494
【氏名又は名称】セントラル・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】原 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】石川 和彦
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA12
3H074BB30
3H074CC12
(57)【要約】
【課題】従来の発電システムとは全く異なるシステムを用い、優れた発電効率を有する発電装置および発電方法を提供する。
【解決手段】発電装置1は、水Lを加圧して送り出す圧力ポンプユニット2と、圧力ポンプユニット2から送り出された水Lの分子を振動回転させてエネルギー放射することにより水Lを減圧、冷却する螺旋形状管3と、螺旋形状管3を通過した水Lを貯留する貯留タンク4と、貯留タンク4内に窒素Nを導入し、貯留タンク4内の水Lを加圧する気体導入ユニット5と、貯留タンク4から排出された水Lとの衝突により駆動する発電ユニット5と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を加圧して送り出す圧力ポンプと、
前記圧力ポンプから送り出された前記液体の分子を振動回転させてエネルギー放射することにより前記液体を減圧、冷却する螺旋形状管と、
前記螺旋形状管を通過した前記液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンク内に気体を導入し、前記貯留タンク内の前記液体を加圧する気体導入ユニットと、
前記貯留タンクから排出された前記液体との衝突により駆動する発電ユニットと、を有することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記発電ユニットは、前記液体との衝突により回転する被回転体と、前記被回転体の回転により駆動する発電機と、を有する請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記被回転体に衝突した前記液体は、前記圧力ポンプに導入される請求項1または2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記液体は、水である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記気体は、窒素である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
液体を加圧して送り出す圧力ポンプと、
前記圧力ポンプから送り出された前記液体の分子を振動回転させてエネルギー放射することにより前記液体を減圧、冷却する螺旋形状管と、
前記螺旋形状管を通過した前記液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンク内に気体を導入し、前記貯留タンク内の前記液体を加圧する気体導入ユニットと、
前記貯留タンクから排出された前記液体との衝突により発電ユニットを駆動することを特徴とする発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置および発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から発電方法として、水の流れる力を利用して水車を回し、この水車に連結された発電機を作動させて発電する水力発電、燃料を燃やす際に発生する蒸気でタービンを回し、このタービンに連結された発電機を作動させて発電する火力発電、核分裂の際に放出される熱を利用して水を蒸気に変え、この蒸気によってタービンを回し、このタービンに連結された発電機を作動させて発電する原子力発電、風のエネルギーで風車を回し、この風車に連結された発電機を作動させて発電する風力発電、太陽光を受けて電気エネルギーを発生させる太陽電池を用いて発電する太陽光発電等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-163711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら水力発電、火力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電は、例えば、大気汚染、地球温暖化、放射能漏れの危険等といった問題や、発電効率が高くないといった問題を抱えている。
【0005】
本発明は、水(液体)の流れる力を利用することは水力発電と共通するものの、このような従来の発電システムとは全く異なるシステムを用い、優れた発電効率を有する発電装置および発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、以下(1)~(6)の本発明により達成される。
【0007】
(1) 液体を加圧して送り出す圧力ポンプと、
前記圧力ポンプから送り出された前記液体の分子を振動回転させてエネルギー放射することにより前記液体を減圧、冷却する螺旋形状管と、
前記螺旋形状管を通過した前記液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンク内に気体を導入し、前記貯留タンク内の前記液体を加圧する気体導入ユニットと、
前記貯留タンクから排出された前記液体との衝突により駆動する発電ユニットと、を有することを特徴とする発電装置。
【0008】
(2) 前記発電ユニットは、前記液体との衝突により回転する被回転体と、前記被回転体の回転により駆動する発電機と、を有する上記(1)に記載の発電装置。
【0009】
(3) 前記被回転体に衝突した前記液体は、前記圧力ポンプに導入される上記(1)または(2)に記載の発電装置。
【0010】
(4) 前記液体は、水である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の発電装置。
【0011】
(5) 前記気体は、窒素である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の発電装置。
【0012】
(6) 液体を加圧して送り出す圧力ポンプと、
前記圧力ポンプから送り出された前記液体の分子を振動回転させてエネルギー放射することにより前記液体を減圧、冷却する螺旋形状管と、
前記螺旋形状管を通過した前記液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンク内に気体を導入し、前記貯留タンク内の前記液体を加圧する気体導入ユニットと、
前記貯留タンクから排出された前記液体との衝突により発電ユニットを駆動することを特徴とする発電方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る発電装置によれば、螺旋形状管で液体分子に振動回転がかかり、運動エネルギーの放射が連続して生じるため、発電時に高効率でエネルギー消費の低減を図ることができる。そして、理論的には、発電装置の駆動により消費される電力よりも多く(数百倍)の電力を発電ユニットで発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、発電装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、図1の発電装置が有する圧力ポンプユニットを示す断面図である。
図3図3は、螺旋形状管の溝構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、好適な実施形態に係る発電装置の構成を示す。同図に示す発電装置1は、水Lを加圧して送り出す圧力ポンプユニット2と、圧力ポンプユニット2から送り出された水Lを減圧冷却する螺旋形状管3と、螺旋形状管3を通過した水Lを貯留する貯留タンク4と、貯留タンク4内に窒素Nを充填して貯留タンク4内の水Lを加圧する気体充填ユニット5と、貯留タンク4から排出された水Lとの衝突によって駆動する発電ユニット6と、これら各部を接続し、内部を水Lが循環する配管7と、配管7の途中に数カ所設置された逆止弁8と、を有する。このような発電装置1では、圧力ポンプユニット2を駆動することにより、水Lが配管7内を矢印Aの方向に循環し、これにより、発電ユニット5による発電が行われる。
【0016】
なお、配管7を循環させる液体としては、水Lに限定されない。ただし、水Lを用いることにより、発電コストの削減を図ることができる。
【0017】
また、図2に示すように、圧力ポンプユニット2は、並列接続された3つの圧力ポンプ2A、2B、2Cを有する。圧力ポンプ2A、2B、2Cは、それぞれ、後述する回収タンク63から水Lが導入されるシリンダ21と、シリンダ21内に配置されたピストン22と、ピストン22を往復駆動するモーター23と、を有する。このような圧力ポンプ2A、2B、2Cでは、モーター23によってピストン22を往復駆動することにより、シリンダ21内の水Lが加圧されて送り出される。
【0018】
本実施形態では、2つの圧力ポンプ2A、2Bを互いに逆相で駆動することにより、水Lを淀みなく送り出している。残りの圧力ポンプ2Cは、非常用として用いられる。例えば、圧力ポンプ2Aのメンテナンス時には、圧力ポンプ2Aの替わりに圧力ポンプ2Cを駆動することにより、発電装置1を停止することなく圧力ポンプ2Aのメンテナンスを行うことができる。圧力ポンプ2Bのメンテナンス時についても同様である。このような構成によれば、無停電駆動が可能な発電装置1となる。
【0019】
ただし、圧力ポンプユニット2の構成としては、加圧した水Lを送り出すことができれば、特に限定されない。例えば、圧力ポンプユニット2は、1つの圧力ポンプ2Aで構成されていてもよい。
【0020】
また、圧力ポンプユニット2から送り出された水Lは、螺旋形状管3に導入される。そして、螺旋形状管3内で水分子が振動回転し、エネルギーを放射する。この水分子の振動回転によるエネルギー放射によって水Lが減圧冷却される。螺旋形状管3の螺旋径は、例えば、15~20mm程度である。また、螺旋形状管3の全長は、例えば、600~800mm程度である。ただし、螺旋形状管3のサイズは、特に限定されない。
【0021】
このような螺旋形状管3は、例えば、以下のような方法により形成される。まず、銅管を準備し、この銅管にピアノ線を入れ込んで、銅管をピアノ線の外径(太さ)まで絞って直管を形成する。さらに、この直管を螺旋状に巻いて螺旋状管とすることにより、螺旋形状管3が形成される。
【0022】
銅管を捩じることにより、図3に示すように、螺旋形状管3の内壁に傾斜した溝3aが形成される。このような溝3aによって水分子が振動回転し、螺旋形状管3における熱変換に特別の好適な影響を与える。ただし、これは一例であり、螺旋形状管3の構成や形成方法としては、それぞれ、上述した機能を発揮することができれば特に限定されない。
【0023】
なお、螺旋形状管3の構成は、特に限定されず、例えば、複数の螺旋形状管3が並列または直列に接続されていてもよい。
【0024】
また、気体充填ユニット5は、窒素(N)を生成する窒素発生装置51と、窒素発生装置51で生成した窒素を貯留タンク4内に導入するコンプレッサ52と、を有する。コンプレッサ52によって貯留タンク4内に窒素を導入することにより、貯留タンク4に貯留された水Lを加圧する。水Lを加圧するのに窒素を用いることにより、装置の安全性が増すと共に、コストの削減を図ることができる。ただし、貯留タンク4内に導入する気体としては、窒素に限定されず、例えば、大気(空気)であってもよい。また、例えば、窒素発生装置51に替えて窒素が充填されたボンベを用いることもできる。
【0025】
また、発電ユニット6は、発電機64と、発電機64を駆動する動力を発生する動力発生部60と、を有する。また、動力発生部60は、貯留タンク4から排出された水Lとの衝突によって回転する水車61(被回転体)と、水車61の回転を出力する出力軸62と、を有し、出力軸62が発電機64に接続されている。そのため、水車61が回転することにより発電機64での発電が行われる。
【0026】
なお、動力発生部60の構成としては、上述の構成に限定されず、水Lの力を利用して発電機64を駆動させる動力を発生させることができれば、如何なる構成であってもよい。また、図示の構成では、出力軸62と発電機64とが直接接続されているが、これに限定されず、これらの間に加速器、減速機等の変速機や、動力を伝達するギア、チェーン等が介在していてもよい。
【0027】
また、発電機64の構成としては、その機能を発揮することができれば、特に限定されない。例えば、一対のコイルと、これら一対のコイルの間に配置され、出力軸62に繋がった磁石と、を有し、出力軸62の回転によって磁石を一対のコイルの間で回転させる交流発電機であってもよいし、これとは逆に、一対の磁石と、これら一対の磁石の間に配置され、出力軸62に繋がったコイルと、を有し、出力軸62の回転によってコイルを一対の磁石の間で回転させる直流発電機であってもよい。また、これらとは別の如何なる構造の発電機であってもよい。
【0028】
また、動力発生部60は、水車61の回転に用いられた水Lを回収する回収タンク63をさらに有する。
【0029】
以上のような構成の発電装置1は、次のように駆動する。発電装置1では、圧力ポンプユニット2の駆動によって、圧力ポンプユニット2から15気圧/20℃程度の水Lが送り出される。圧力ポンプユニット2から送り出された水Lは、螺旋形状管3に導入される。水Lが螺旋形状管3に導入されると、螺旋形状管3内で水分子が振動回転し、エネルギーを放射する。この水分子の振動回転によるエネルギー放射によって水Lが減圧冷却されて、10気圧/15℃程度となる。そして、螺旋形状管3で減圧冷却された水Lは、貯留タンク4に貯留される。
【0030】
前述のエネルギー放射の現象について、一部推測を交えて簡単に説明すると、水Lが螺旋形状管3内に導入されると、水分子同士に摩擦が生じ、水分子同士がぶつかったり離れたりを繰り返して分子が振動および回転する。そして、振動および回転した分子に遠心力が加わり、この遠心力が一定以上の大きさになった時点で水分子からエネルギーが放射される。
【0031】
貯留タンク4には200~300リットル程度の水Lが貯留される。また、貯留タンク4には気体充填ユニット5から窒素が導入され、貯留タンク4内の窒素の圧力が7気圧程度に維持されている。そのため、貯留タンク4からは7気圧/30℃程度の水Lが排出される。貯留タンク4から排出された水Lは、配管7によって水車61の直上に導かれた後、水車61に向けて放出される。水車61に向けて放出された水Lは、水車61に衝突し、これにより、水車61が回転する。そして、水車61が回転することにより発電機64での発電が開始される。
【0032】
ここで、前述したように、水Lが螺旋形状管3を通過することにより、水分子が振動回転するが、この水分子の振動回転は、貯留タンク4を経て水車61にぶつかるまで維持される。そして、分子が振動回転した状態の水Lが水車61に衝突すると、水Lの圧力が瞬時に水Lが元々持っている圧力まで低下する。つまり、窒素による加圧から解放される。そのため、水車61に衝突し、回収タンク63に回収された水Lは、0気圧/16℃程度となる。このように、水車61の上流側と下流側とに大きな圧力差を生じさせることにより、水車61をより高速に回転させることができ、発電効率が向上する。
【0033】
回収タンク63に回収された水Lは、圧力ポンプユニット2に導入され、圧力ポンプユニット2によって再び加圧されて送り出される。発電装置1では、このようにして水Lを循環させることにより発電を継続することができる。
【0034】
以上、発電装置1の駆動について説明したが、上記は一例であり、例えば、各部における水Lの温度および気圧、貯留タンク4の容量等は、特に限定されない。また、上記「気圧」は、大気圧との差を意味する。
【0035】
本発明に係る発電装置1によれば、螺旋形状管3で水分子に振動回転がかかり、運動エネルギーの放射が連続して生じるため、発電時に高効率でエネルギー消費の低減を図ることができる。理論的には、発電装置1の駆動により消費される電力よりも多くの電力を発電機54で発電することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係る発電装置1は、水Lを加圧して送り出す圧力ポンプユニット2と、圧力ポンプユニット2から送り出された水Lの分子を振動回転させてエネルギー放射することにより水Lを減圧、冷却する螺旋形状管3と、螺旋形状管3を通過した水Lを貯留する貯留タンク4と、貯留タンク4内に窒素(N)を導入し、貯留タンク4内の水Lを加圧する気体充填ユニット5と、貯留タンク4から排出された水Lとの衝突により駆動する発電ユニット6と、を有する。そのため、優れた発電効率を有する発電装置1となる。したがって、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0037】
1…発電装置、2…圧力ポンプユニット、2A…圧力ポンプ、2B…圧力ポンプ、2C…圧力ポンプ、21…シリンダ、22…ピストン、23…モーター、3…螺旋形状管、3a…溝、4…貯留タンク、5…気体充填ユニット、51…窒素発生装置、52…コンプレッサ、54…発電機、6…発電ユニット、60…動力発生部、61…水車、62…出力軸、63…回収タンク、64…発電機、7…配管、8…逆止弁、A…矢印、L…水
図1
図2
図3