(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183927
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】音圧発生装置
(51)【国際特許分類】
G10K 9/13 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G10K9/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091469
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹井 佳子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 敏文
(57)【要約】
【課題】音圧の歪みを抑制できる音圧発生装置を提供する。
【解決手段】音圧発生装置は、管軸方向に延びる流路を有する管部と、流路内において管軸方向と交差する方向に延びる柱軸を有する柱体形状を有し、柱軸を中心とする回転により音圧を発生可能な回転子と、回転子を回転させる駆動部と、を備え、柱軸を横切る回転子の断面形状が、尖っている第一頂部と、尖っている第二頂部と、第一頂部と第二頂部とが並ぶ長軸と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向に延びる流路を有する管部と、
前記流路内において前記管軸方向と交差する方向に延びる柱軸を有する柱体形状を有し、前記柱軸を中心とする回転により音圧を発生可能な回転子と、
前記回転子を回転させる駆動部と、を備え、
前記柱軸を横切る前記回転子の断面形状が、尖っている第一頂部と、尖っている第二頂部と、前記第一頂部と前記第二頂部とが並ぶ長軸と、を有する音圧発生装置。
【請求項2】
前記断面形状が、前記長軸について線対称である請求項1に記載の音圧発生装置。
【請求項3】
前記断面形状において、前記第一頂部と前記第二頂部とが、曲率を有して尖っている請求項1又は2に記載の音圧発生装置。
【請求項4】
前記断面形状が、前記第一頂部と前記第二頂部とを、一対の円弧でつないだ形状を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の音圧発生装置。
【請求項5】
前記流路が、前記柱軸と直交する方向にダクト径を有し、
前記一対の円弧の各円弧の直径が、前記ダクト径より大きい請求項4に記載の音圧発生装置。
【請求項6】
前記断面形状が、前記長軸に直交する短軸を有し、
前記一対の円弧の各円弧の直径に対する前記短軸の長さの比が、40/49.6以下である請求項4又は5に記載の音圧発生装置。
【請求項7】
前記比が、30/49.6以下である請求項6に記載の音圧発生装置。
【請求項8】
前記比が、20/49.6以下である請求項7に記載の音圧発生装置。
【請求項9】
前記断面形状が、前記第一頂部と前記第二頂部とを、前記第一頂部から延びる一対の第一円弧と、前記第二頂部から延びる一対の第二円弧と、前記一対の第一円弧と前記一対の第二円弧との間を延びる一対の平行な直線と、でつないだ形状を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の音圧発生装置。
【請求項10】
前記流路が、前記柱軸と直交する方向にダクト径を有し、
前記一対の第一円弧及び前記一対の第二円弧の各円弧の直径が、前記ダクト径より大きい請求項9に記載の音圧発生装置。
【請求項11】
前記断面形状が、前記長軸に直交する短軸を有し、
前記一対の第一円弧及び前記一対の第二円弧の各円弧の直径に対する前記短軸の長さの比が、20/49.6以下である請求項9又は10に記載の音圧発生装置。
【請求項12】
前記比が、15/49.6以下である請求項11に記載の音圧発生装置。
【請求項13】
前記比が、10/49.6以下である請求項12に記載の音圧発生装置。
【請求項14】
前記比が、5/49.6以下である請求項13に記載の音圧発生装置。
【請求項15】
前記管軸方向に直交する面を切断面とする前記流路の断面積と、前記長軸と前記柱軸を含む面を切断面とする前記回転子の断面積が略同じである請求項1から14のいずれか一項に記載の音圧発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音圧発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音響試験には、音源として音圧発生装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、静バルブに対し動バルブを振動させる音圧発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音響試験では、歪の少ない波形を有する音圧が望まれる。
しかし、特許文献1に開示された音圧発生装置では、音圧の波形が歪むことがある。
【0006】
本開示は、音圧の歪みを抑制できる音圧発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る音圧発生装置は、管軸方向に延びる流路を有する管部と、前記流路内において前記管軸方向と交差する方向に延びる柱軸を有する柱体形状を有し、前記柱軸を中心とする回転により音圧を発生可能な回転子と、前記回転子を回転させる駆動部と、を備え、前記柱軸を横切る前記回転子の断面形状が、尖っている第一頂部と、尖っている第二頂部と、前記第一頂部と前記第二頂部とが並ぶ長軸と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の音圧発生装置によれば、音圧の歪みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る燃焼器のガスタービンへの設置状態を示す概念図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る試験設備の概念図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る音圧発生装置の正面図である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係る回転子の断面形状パターンを示す表である。
【
図6】本開示の第一実施形態に係る音圧発生装置の動作を示す図である。
【
図7】本開示の第一実施形態に係る音圧発生装置が発生する音圧の波形を示すグラフである。
【
図8】本開示の第一実施形態に係る音圧発生装置が発生する音圧の各高調波成分における音圧レベルを示すグラフである。
【
図10】比較例に係る音圧発生装置の音圧の波形を示すグラフである。
【
図11】本開示の第二実施形態に係る音圧発生装置の正面図である。
【
図13】本開示の第二実施形態に係る回転子の断面形状パターンを示す表である。
【
図14】本開示の第二実施形態に係る音圧発生装置が発生する音圧の波形を示すグラフである。
【
図15】本開示の第二実施形態に係る音圧発生装置が発生する音圧の各高調波成分における音圧レベルを示すグラフである。
【
図16】本開示の変形例に係る試験設備の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0011】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る音圧発生装置について、
図1~
図8を参照しながら説明する。
【0012】
(試験設備の全体構成)
試験設備9は、音響デバイスの音響性能を試験するための設備である。
例えば、試験設備9は、
図1に示すようなガスタービン8の燃焼器7に設けられる音響デバイス6の音響性能を試験するための設備であってもよい。
音響デバイス6は、燃焼時において、燃焼器7に発生する振動を減衰するためのデバイスである。
【0013】
図2に示すように、試験設備9は、音圧発生装置1と、配管2と、空気源3と、を備える。
例えば、試験設備9は、音響デバイス6の要素試験時に使用されてもよい。
音響デバイス6の要素試験は、例えば、
図2に示すように、ガスタービン8のうち、音響デバイス6が設けられた燃焼器7のみについて実施されてもよい。
【0014】
配管2は、音圧発生装置1から燃焼器7内に延びている。
例えば、配管2は、音圧発生装置1から燃焼器7内に延びる直管であってもよい。
【0015】
空気源3は、音圧発生装置1を介して、配管2に空気を送る。
例えば、空気源3は、コンプレッサ、ファン等であってもよい。
【0016】
試験設備9は、試験用蓋4をさらに備えてもよい。
試験用蓋4は、配管2の周囲において、燃焼器7の音圧発生装置1側の開口を閉じている。
配管2は、試験用蓋4を貫通し、燃焼器7内に延びている。
【0017】
(音圧発生装置の構成)
音圧発生装置1は、空気に振動を加えることにより、音圧を発生するための装置である。
図3に示すように、音圧発生装置1は、管部11と、回転子12と、駆動部13と、を備える。
例えば、音圧発生装置1は、空気源3と配管2との間に設けられてもよい。
例えば、音圧発生装置1は、空気源3から配管2へ送られる空気に振動を加えることにより、音圧を発生してもよい。
【0018】
(管部の構成)
管部11は、管軸方向DTに延びる流路A11を有する。
例えば、管部11は、空気源3から送られる空気が流路A11を経由して配管2に導かれるように、配管2と連通していてもよい。
例えば、流路A11は、管軸方向DTに垂直な断面が矩形である矩形流路であってもよい。
例えば、柱軸CXの延びる方向がY方向であり、管軸方向DTがZ方向であってもよい。
例えば、Z方向に対しY方向が直交し、Z方向及びY方向に直交する方向がX方向であってもよい。
【0019】
(回転子の構成)
回転子12は、流路A11内において管軸方向DTと交差する方向に延びる柱軸CXを有する柱体形状を有する。
回転子12は、柱軸CXを中心とする回転により音圧を発生可能である。
図4に示すように、柱軸CXを横切る回転子12の断面形状SSが、尖っている第一頂部TP1と、尖っている第二頂部TP2と、第一頂部TP1と第二頂部TP2とが並ぶ長軸LXと、を有する。
例えば、柱軸CXを横切る回転子12の断面形状SSは、長軸LXより短く、長軸LXと直交する短軸SXをさらに有してもよい。
ここで、「長軸」とは、断面形状SSの外周から外周へ引いた線分のうち、一意に定まる最も長い線分である。
また、「短軸」とは、断面形状SSの外周から外周へ引いた線分のうち、一意に定まる最も短い線分である。
【0020】
例えば、第一頂部TP1と第二頂部TP2は、先端が鋭い形状で尖っていてもよい。
例えば、第一頂部TP1と第二頂部TP2は、曲率を有して尖っていてもよい。
【0021】
例えば、回転子12の断面形状SSは、長軸LXについて線対称であってもよい。さらに、回転子12の断面形状SSは、短軸SXについて線対称であってもよい。その際、回転子12の断面形状SSは、柱軸CXを垂直に横切る断面形状であってもよい。
例えば、回転子12の断面形状SSは、長軸LXが延びる方向に長く延びた形状であってもよい。
例えば、管軸方向DTに直交する面を切断面とする流路A11の断面積と、長軸LXと柱軸CXを含む面を切断面とする回転子12の断面積とが略同じであってもよい。
【0022】
例えば、回転子12の断面形状SSは、第一頂部TP1と第二頂部TP2とを、一対の円弧CAでつないだ形状を有してもよい。
例えば、回転子12の断面形状SSは、第一頂部TP1と第二頂部TP2とを通過し、第一頂部TP1と第二頂部TP2との距離より大きい直径を有する2つの円が互いに重なる部分の形状であってもよい。その際、2つの円の直径は、互いに等しくてもよい。
例えば、回転子12の断面形状SSは、ラグビーボールを縦に2等分したときの断面形状であってもよい。
【0023】
例えば、流路A11は、柱軸CXと直交する方向にダクト径DDを有し、一対の円弧CAの直径が、ダクト径DDより大きくてもよい。
【0024】
図5に示すValve.Dのように、例えば、回転子12の断面形状SSにおいて、一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する短軸SXの長さの比が、40/49.6以下であってもよい。
図5に示すValve.Eのように、例えば、回転子12の断面形状SSにおいて、一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する短軸SXの長さの比が、30/49.6以下であってもよい。
図5に示すValve.Fのように、例えば、回転子12の断面形状SSにおいて、一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する短軸SXの長さの比が、20/49.6以下であってもよい。
なお、
図5において、「直径」は、一対の円弧CAの各円弧CAの直径を示し、「幅」は、回転子12の断面形状SSにおける短軸SXの長さを示す。
【0025】
(駆動部の構成)
駆動部13は、回転子12を回転させる。
例えば、駆動部13は、柱軸CXを中心として、柱軸CX周りに回転子12を回転させてもよい。
例えば、駆動部13は、モータであってもよい。
【0026】
(動作)
本実施形態の音圧発生装置1の動作について説明する。
図6に示すように、空気源3から流路A11へ空気AIRを送る。
その際、回転子12が回転すると、流路A11を画成する管部11の内壁11Wに対し、第一頂部TP1と第二頂部TP2とが近づいたり、離れたりする。
内壁11Wに第一頂部TP1と第二頂部TP2とが近づくと、流路A11が遮られ、空気AIRが流れにくくなる。
他方、内壁11Wから第一頂部TP1と第二頂部TP2とが離れると、流路A11が大きく開かれ、空気AIRが流れやすくなる。
したがって、回転子12が回転すると、流路A11のコンダクタンスが周期的に変化する。
このため、流路A11のコンダクタンスの周期的変化に従って空気AIRの流量が周期的に変動し、音圧が発生する。
【0027】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、回転子12の断面形状SSが、長軸LXに並ぶ一対の頂部が尖っている形状である、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みを抑制できる。
なお、音圧の歪みを抑制できれば、音圧発生装置1は、大音圧を発生することができる。
【0028】
また、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSが、一対の円弧CAでつないだ形状であるように、曲線で構成される。
このため、音圧の高調波の抑制が可能である。
【0029】
また、本実施形態の一例によれば、
図7に示すように、音圧発生装置1が発生する音圧の波形のうち、回転子12が流路A11を閉じる状態にあるRG1領域では、音圧の波形は正弦波より広がった波形を示しているが、回転子12が流路A11を開く状態にあるRG2領域では、音圧の波形は正弦波に近い波形を示す。
他方、本実施形態の一例によれば、
図8に示すように、音圧発生装置1が発生する音圧の高調波成分が抑制される。
【0030】
比較例として、
図9に示すような円柱の周面の一部を削った形状を有する回転子の場合、本実施形態に比べ、回転子が流路A11を遮る時間が長くなる。
このため、
図10に示すように、音圧に歪みが発生する。
【0031】
これに対し、本実施形態によれば、上記のとおり、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
その結果、比較例に比べ、音圧発生装置1は、
図7、
図8に示すように、正弦波に近く高調波が抑制された波形を有する音圧を発生することができる。
【0032】
また、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSが長軸LXについて線対称であるため、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0033】
また、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSにおいて、第一頂部TP1と第二頂部TP2とが、曲率を有して尖っているため、音圧発生装置1の健全性が向上する。
【0034】
また、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSが、第一頂部TP1と第二頂部TP2とを、一対の円弧CAでつないだ形状を有する。
これにより、回転子12の断面形状SSが円と円との重ね合わせた形状となるため、回転子12を単純な形状で構成することができる。
したがって、回転子12の設計及び製作がしやすい。
【0035】
また、本実施形態の一例によれば、一対の円弧CAの各円弧CAの直径が、ダクト径DDより大きい。
このため、断面形状SSにおける長軸LXと交差する方向への膨らみが小さくなるように、回転子12を薄く構成することができる。
その結果、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0036】
また、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSにおいて、一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する短軸SXの長さの比が、40/49.6以下である。
さらに、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSにおいて、一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する短軸SXの長さの比が、30/49.6以下である。
さらに、本実施形態の一例によれば、回転子12の断面形状SSにおいて、一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する短軸SXの長さの比が、20/49.6以下である。
このため、回転子12の断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子12を薄く構成することができる。
その結果、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0037】
また、本実施形態の一例によれば、管軸方向DTに直交する面を切断面とする流路A11の断面積と、長軸LXと柱軸CXを含む面を切断面とする回転子12の断面積とが略同じである。
このため、回転子12は、一時的に流路A11を閉状態とすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、大きな音圧を発生することができる。
【0038】
<第二実施形態>
次に本開示の第二実施形態について
図11~
図15を参照して説明する。
本実施形態の音圧発生装置101の構成は、以下に説明する点を除いて、第一実施形態の音圧発生装置1の構成と同様である。
【0039】
(音圧発生装置の構成)
図11に示すように、音圧発生装置101は、管部11と、回転子112と、駆動部13と、を備える。
例えば、試験設備9は、音圧発生装置1に代えて、音圧発生装置101を備えてもよい。
【0040】
(回転子の構成)
回転子112は、流路A11内において管軸方向DTと交差する方向に延びる柱軸CXを有する柱体形状を有する。
回転子112は、柱軸CXを中心とする回転により音圧を発生可能である。
【0041】
図12に示すように、柱軸CXを横切る回転子112の断面形状SSが、尖っている第一頂部TP1と、尖っている第二頂部TP2と、第一頂部TP1と第二頂部TP2とが並ぶ長軸LXと、を有する。
例えば、回転子112の断面形状SSは、長軸LXより短く、長軸LXと直交する短軸SXをさらに有してもよい。
【0042】
例えば、第一頂部TP1と第二頂部TP2は、先端が鋭い形状で尖っていてもよい。
例えば、第一頂部TP1と第二頂部TP2は、曲率を有して尖っていてもよい。
【0043】
例えば、回転子112の断面形状SSは、長軸LXについて線対称であってもよい。さらに、回転子112の断面形状SSは、短軸SXについて線対称であってもよい。その際、回転子112の断面形状SSは、柱軸CXを垂直に横切る断面形状であってもよい。
例えば、回転子112の断面形状SSは、長軸LXが延びる方向に長く延びた形状であってもよい。
例えば、管軸方向DTに直交する面を切断面とする流路A11の断面積と、長軸LXと柱軸CXを含む面を切断面とする回転子112の断面積とが略同じであってもよい。
【0044】
例えば、回転子112の断面形状SSは、第一頂部TP1と第二頂部TP2とを、第一頂部TP1から延びる一対の第一円弧CA1と、第二頂部TP2から延びる一対の第二円弧CA2と、一対の第一円弧CA1と一対の第二円弧CA2との間を延びる一対の平行な直線SLと、でつないだ形状を有してもよい。
【0045】
例えば、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径が、ダクト径DDより大きくてもよい。
【0046】
図13に示すValve.Gのように、例えば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、20/49.6以下であってもよい。
図13に示すValve.Hのように、例えば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、15/49.6以下であってもよい。
図13に示すValve.Iのように、例えば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、10/49.6以下であってもよい。
図13に示すValve.Jのように、例えば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、5/49.6以下であってもよい。
なお、
図13において、「直径」は、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径を示し、「幅」は、回転子112の断面形状SSにおける短軸SXの長さを示す。
【0047】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、回転子112の断面形状SSが、長軸LXに並ぶ一対の頂部が尖っている形状であるため、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みを抑制できる。
なお、音圧の歪みを抑制できれば、音圧発生装置101は、大音圧を発生することができる。
【0048】
また、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSが長軸LXについて線対称であるため、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0049】
また、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSが、第一頂部TP1と第二頂部TP2とが、曲率を有して尖っている形状であるため、音圧発生装置101の健全性が向上する。
【0050】
本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSが、第一頂部TP1と第二頂部TP2とを、第一頂部TP1から延びる一対の第一円弧CA1と、第二頂部TP2から延びる一対の第二円弧CA2と、一対の第一円弧CA1と一対の第二円弧CA2との間を延びる一対の平行な直線SLと、でつないだ形状を有する。
このため、回転子112の断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0051】
また、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSは、一対の第一円弧CA1と、一対の第二円弧CA2と、一対の平行な直線SLと、でつないだ形状を有するように、曲線で構成される部分と平行線で構成される部分とを有する。
回転子112の断面形状SSが曲線で構成される部分を有することより、第一実施形態と同様に、音圧の高調波の抑制が可能である。
他方、回転子112の断面形状SSが平行線で構成される部分を有することより、回転子112による流路A11の開口面積が急拡大する瞬間(瞬間開)を設けることが可能となる。その結果、発生される音圧の波形の山の肩を落とす(波形の山を尖らす)ことができ、音圧を正弦波に近づけることができる。なお、流路A11の開口面積が急拡大する瞬間における回転子112の回転位置は、内壁11Wに対し長軸LXが平行になる位置である。
したがって、正弦波に近づくように、回転子112が発生する音圧の波形が改善される。
なお、回転子112が発生する音圧の波形を正弦波に近づけることができれば、音圧発生装置101は、大音圧を発生することができる。
【0052】
また、本実施形態の一例によれば、第一実施形態の音圧発生装置1に比べ、より正弦波に近づくように、音圧発生装置101が発生する音圧の波形を改善することができる。
例えば、
図14に示すように、音圧発生装置101が発生する音圧の波形のうち、回転子112が流路A11を閉じる状態にあるRG3領域でも、音圧発生装置101が発生する音圧の波形は、正弦波に近い波形を示す。
これにより、音圧発生装置101が発生する音圧の波形は、回転子112が流路A11を開く状態から閉じる状態までの全体にわたり、正弦波に近い波形を示す。
【0053】
例えば、
図15に示すように、音圧発生装置101が発生する音圧の周波数成分のうち、1次成分は、第一実施形態のValve.Fの場合に比べて、若干増加している。これは、流路A11に対する回転子112の全開時における通過面積の拡大に依存していると考えられる。
他方、音圧発生装置101が発生する音圧の周波数成分のうち、2次成分は、回転子112の厚みの低下に伴い次第に下がる傾向が見られる。
音圧発生装置101が発生する音圧の周波数成分のうち、3次成分及び4次成分は、第一実施形態のValve.Fに比べて、同等以下となっている。
この結果、1次成分が高く、2次成分が低下している回転子112は、正弦波に近い波形を示す音圧を発生するための回転子として有効である。
【0054】
また、本実施形態の一例によれば、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径が、ダクト径DDより大きい。
このため、回転子112の断面形状SSにおける長軸LXと交差する方向への膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0055】
また、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、20/49.6以下である。
さらに、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、15/49.6以下である。
さらに、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、10/49.6以下である。
さらに、本実施形態の一例によれば、回転子112の断面形状SSにおいて、一対の第一円弧CA1及び一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する短軸SXの長さの比が、5/49.6以下である。
このため、回転子112の断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0056】
また、本実施形態の一例によれば、管軸方向DTに直交する面を切断面とする流路A11の断面積と、長軸LXと柱軸CXを含む面を切断面とする回転子112の断面積とが略同じである。
このため、回転子112は、一時的に流路A11を閉状態とすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、大きな音圧を発生することができる。
【0057】
<変形例>
上述の各実施形態の一例では、試験設備9は、配管2として、音圧発生装置1、101から燃焼器7内に延びる直管を備えるが、音圧発生装置1、101から燃焼器7内に延びているなら、どのような配管を備えてもよい。
変形例として、
図16に示すように、試験設備9の変形例である試験設備9aは、配管2に代えて、配管2aとして、音圧発生装置1、101から燃焼器7内に延び、燃焼器7内に延びた先端が音響デバイス6に向かって曲がっている屈曲管を備えてもよい。
【0058】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれる。
【0059】
<付記>
上述の実施形態に記載の音圧発生装置1、101は、例えば以下のように把握される。
【0060】
(1)第1の態様に係る音圧発生装置1、101は、管軸方向DTに延びる流路A11を有する管部11と、前記流路A11内において前記管軸方向DTと交差する方向に延びる柱軸CXを有する柱体形状を有し、前記柱軸CXを中心とする回転により音圧を発生可能な回転子12、112と、前記回転子12、112を回転させる駆動部13と、を備え、前記柱軸CXを横切る前記回転子12、112の断面形状SSが、尖っている第一頂部TP1と、尖っている第二頂部TP2と、前記第一頂部TP1と前記第二頂部TP2とが並ぶ長軸LXと、を有する。
【0061】
本態様によれば、回転子12、112の断面形状SSが、長軸LXに並ぶ一対の頂部が尖っている形状であるため、回転子12、112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1、101は、音圧の歪みを抑制できる。
【0062】
(2)第2の態様に係る音圧発生装置1、101は、前記断面形状SSが、前記長軸LXについて線対称である(1)の音圧発生装置1、101である。
【0063】
本態様によれば、音圧発生装置1、101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0064】
(3)第3の態様に係る音圧発生装置1、101は、前記断面形状SSにおいて、前記第一頂部TP1と前記第二頂部TP2とが、曲率を有して尖っている(1)又は(2)の音圧発生装置1、101である。
【0065】
本態様によれば、音圧発生装置1、101の健全性が向上する。
【0066】
(4)第4の態様に係る音圧発生装置1は、前記断面形状SSが、前記第一頂部TP1と前記第二頂部TP2とを、一対の円弧CAでつないだ形状を有する(1)又は(2)の音圧発生装置1である。
【0067】
本態様によれば、断面形状SSが円と円との重ね合わせた形状となるため、回転子12を単純な形状で構成することができる。
したがって、回転子12の設計及び製作がしやすい。
【0068】
(5)第5の態様に係る音圧発生装置1は、前記流路A11が、前記柱軸CXと直交する方向にダクト径DDを有し、前記一対の円弧CAの各円弧CAの直径が、前記ダクト径DDより大きい(4)の音圧発生装置1である。
【0069】
本態様によれば、断面形状SSにおける長軸LXと交差する方向への膨らみが小さくなるように、回転子12を薄く構成することができる。
その結果、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0070】
(6)第6の態様に係る音圧発生装置1は、前記断面形状SSが、前記長軸LXに直交する短軸SXを有し、前記一対の円弧CAの各円弧CAの直径に対する前記短軸SXの長さの比が、40/49.6以下である(4)又は(5)の音圧発生装置1である。
【0071】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子12を薄く構成することができる。
その結果、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0072】
(7)第7の態様に係る音圧発生装置1は、前記比が、30/49.6以下である(6)の音圧発生装置1である。
【0073】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子12を薄く構成することができる。
その結果、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0074】
(8)第8の態様に係る音圧発生装置1は、前記比が、20/49.6以下である(6)の音圧発生装置1である。
【0075】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子12を薄く構成することができる。
その結果、回転子12が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置1は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0076】
(9)第9の態様に係る音圧発生装置101は、前記断面形状SSが、前記第一頂部TP1と前記第二頂部TP2とを、前記第一頂部TP1から延びる一対の第一円弧CA1と、前記第二頂部TP2から延びる一対の第二円弧CA2と、前記一対の第一円弧CA1と前記一対の第二円弧CA2との間を延びる一対の平行な直線SLと、でつないだ形状を有する(1)から(3)のいずれかの音圧発生装置101である。
【0077】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0078】
(10)第10の態様に係る音圧発生装置101は、前記流路A11が、前記柱軸CXと直交する方向にダクト径DDを有し、前記一対の第一円弧CA1及び前記一対の第二円弧CA2の各円弧の直径が、前記ダクト径DDより大きい(9)の音圧発生装置101である。
【0079】
本態様によれば、回転子112の断面形状SSにおける長軸LXと交差する方向への膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0080】
(11)第11の態様に係る音圧発生装置101は、前記断面形状SSが、前記長軸LXに直交する短軸SXを有し、前記一対の第一円弧CA1及び前記一対の第二円弧CA2の各円弧の直径に対する前記短軸SXの長さの比が、20/49.6以下である(9)又は(10)の音圧発生装置101である。
【0081】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0082】
(12)第12の態様に係る音圧発生装置101は、前記比が、15/49.6以下である(11)の音圧発生装置101である。
【0083】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0084】
(13)第13の態様に係る音圧発生装置101は、前記比が、10/49.6以下である(12)の音圧発生装置101である。
【0085】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0086】
(14)第14の態様に係る音圧発生装置101は、前記比が、5/49.6以下である(13)の音圧発生装置101である。
【0087】
本態様によれば、断面形状SSにおける短軸SXへの膨らみが小さくなるように、回転子112を薄く構成することができる。
その結果、回転子112が流路A11を遮る時間を短くすることができる。
したがって、音圧発生装置101は、音圧の歪みをより抑制できる。
【0088】
(15)第15の態様に係る音圧発生装置1、101は、前記管軸方向DTに直交する面を切断面とする前記流路A11の断面積と、前記長軸LXと前記柱軸CXを含む面を切断面とする前記回転子12、112の断面積と、が略同じである(1)のから(14)のいずれかの音圧発生装置1、101である。
【0089】
本態様によれば、回転子12、112は、一時的に流路A11を閉状態とすることができる。
したがって、音圧発生装置1、101は、大きな音圧を発生することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 音圧発生装置
2 配管
2a 配管
3 空気源
4 試験用蓋
6 音響デバイス
7 燃焼器
8 ガスタービン
9 試験設備
11 管部
11W 内壁
12 回転子
13 駆動部
101 音圧発生装置
112 回転子
A11 流路
AIR 空気
CA 円弧
CA1 第一円弧
CA2 第二円弧
CX 柱軸
DD ダクト径
DT 管軸方向
LX 長軸
SL 直線
SS 断面形状
SX 短軸
TP1 第一頂部
TP2 第二頂部