(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183934
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20221206BHJP
F01P 7/02 20060101ALI20221206BHJP
A01D 41/12 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B60K11/04 A
F01P7/02 H
A01D41/12 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091487
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
【テーマコード(参考)】
2B074
3D038
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA08
2B074CA01
2B074CD05
2B074DA02
2B074DA03
2B074DA05
2B074DB03
2B074DC07
2B074DE03
2B074DF02
2B074DF03
2B074DF08
3D038AA05
3D038AB05
3D038AC01
3D038AC04
3D038AC24
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、インタークーラホースの位置が高いと操縦座席を取り付ける位置も高くなるため、操縦部をコンパクトに構成できないという問題があった。本発明は、ホース周辺の構成を変更し、操縦座席の取り付け位置を低くし、操縦部のコンパクト化を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、冷却装置(16)を備え、冷却装置(16)とエンジン(E)を接続してエンジンに供給される空気が流通する2本のインタークーラホース(17,18)が備えられ、2本のホースは、一方のホース(17)が他方のホース(18)よりも正面視で下方に低く配置される構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置(16)を備え、前記冷却装置(16)とエンジン(E)を接続してエンジンに供給される空気が流通する2本のインタークーラホース(17,18)が備えられ、2本のホースは、一方のホース(17)が他方のホース(18)よりも正面視で下方に低く配置される構成としてあることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記エンジン(E)を冷却するエンジンファン(19)を備え、排気浄化装置(20)に接続されるエキゾーストパイプ(21)が機体側面視において前記エンジンファン(19)が存在する位置と重ならないように屈曲保持させる形状であることを特徴とする請求項1記載の作業車両
【請求項3】
前記エキゾーストパイプ(21)を排気浄化装置(20)に接続される接続部近傍のインタークーラホース(17,18)のリヤ部分を交差させて配置し、前記インタークーラホースと前記エキゾーストパイプ(21)が干渉しないように保持する保持手段(23)を備えてあることを特徴とする請求項2記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバイン等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン等の作業車両において、エンジン上方に備えられるインタークーラのホースは、2本ともが同じ高さであった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、インタークーラの2本のホースの高さを異なるものにしておらず、いずれのインタークーラホースよりも上部に操縦座席を取り付ける必要があった。
【0005】
インタークーラホースの位置が高いと操縦座席を取り付ける位置も高くなるため、操縦部をコンパクトに構成できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明では、ホース周辺の構成を変更し、操縦部のコンパクト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1記載の本発明は、冷却装置(16)を備え、前記冷却装置(16)とエンジン(E)を接続してエンジンに供給される空気が流通する2本のインタークーラホース(17,18)が備えられ、2本のホースは、一方のホース(17)が他方のホース(18)よりも正面視で下方に低く配置される構成としてあることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記エンジン(E)を冷却するエンジンファン(19)を備え、排気浄化装置(20)に接続されるエキゾーストパイプ(21)が機体側面視において前記エンジンファン(19)が存在する位置と重ならないように屈曲保持させる形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項2において、前記エキゾーストパイプ(21)を排気浄化装置(20)に接続される接続部近傍のインタークーラホース(17,18)のリヤ部分を交差させて配置し、前記インタークーラホースと前記エキゾーストパイプ(21)が干渉しないように保持する保持手段(23)を備えてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上要するに、請求項1記載の本発明によれば、オイルクーラの2本のホースのうち、一方側のホースが他方側のホースよりも低くなるよう配置することで、操縦座席の取り付け位置も従来より下方にすることができ、操縦部をコンパクト化することができる。 請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加えて、排気浄化装置に接続されるエキゾーストパイプをエンジンファンが存在する位置と重ならないよう屈曲形成することで、エキゾーストパイプの表面温度低下を防止することができる。
【0012】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、インタークーラホースとエキゾーストパイプが干渉しないように保持する保持部材を設けることで、インタークーラホースの温度上昇を防止し、インタークーラホースのリヤ部分とエキゾーストパイプの接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明における実施の形態の汎用コンバインの正面図
【
図2】本発明における実施の形態の汎用コンバインのエンジンルーム内要部の正面図
【
図4】本発明における実施の形態の汎用コンバインのエキゾーストパイプのエンジンファン外形を回避した形状の側面図
【
図5】本発明における実施の形態の汎用コンバインのエキゾーストパイプの屈曲状態を示す側面図
【
図6】本発明における実施の形態の汎用コンバインのエンジンルーム内要部の正面図
【
図7】本発明における実施の形態の汎用コンバインのホースとエキゾーストパイプの干渉防止手段を設けた要部の側面図
【
図8】本発明における実施の形態の汎用コンバインの内側吸気カバーの側面図
【
図9】本発明における実施の形態の汎用コンバインの吸気カバーの斜視図
【
図10】本発明における実施の形態の汎用コンバインのコンバイン要部の正面図
【
図11】本発明における実施の形態の汎用コンバインのオイルタンクの要部の側面図
【
図12】本発明における実施の形態の汎用コンバインの動力伝達経路のブロック回路図
【
図13】本発明における実施の形態の汎用コンバインのオイルタンク、HST、ギヤポンプの配置側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、作業車両の1例として刈取穀稈を全稈投入して脱穀処理する汎用コンバインを示すものであり、圃場に立毛する稲麦や菜種等の作物茎稈を自走しながら刈り取って収穫するようになっている。
【0016】
機体下部に左右一対の走行クローラ2,2を備えた車体1の前側には、作物茎稈を後方に掻き込む掻込タイン3を備えた掻込リール4と、掻込後の茎稈を切断するバリカン式の刈刃装置5と刈取後の茎稈をテーブル6上に掻き込む掻込オーガ7等からなる刈取前処理部8を備えている。
【0017】
刈取前処理部8の左側から後方にわたって装備されたフィーダハウス10内のフィードコンベアによって、刈取前処理部8からの作物茎稈を受け継いで後方上方に揚上搬送して脱穀部9内に全稈投入するようになっている。
【0018】
フィーダハウス10の右側には、エンジンルームER上のエンジンカバーに操縦座席12、その前側の操作ボックス13等からなる運転操縦部が装備され、その後方には収穫物を一時的に貯留するグレンタンク14が設置されている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、エンジンEを塔載するエンジンルームER内において、オイルクーラと、このオイルクーラと接続されるオイル貯留部(オイルタンク)を備える。また、エンジンEに吸入する空気を冷却する冷却装置16を有し、これには往路側と復路側の2本のインタークーラホース(ホース)17と18が備えられ、2本のホースは、一方側のホース17が他方側のホース18よりも正面視(
図3参照)で下方に低く配置される構成になっている。復路側のインタークーラホース17は、高温である往路側のインタークーラホース18よりも低温であるため、エンジンE側に配置されている。
【0020】
従って、上記のような構成によると、冷却措置16の2本のホース17,18のうち、一方側のホースが他方側のホースよりも低くなるよう配置することで、操縦座席12の取り付け位置も従来より下方にすることができ、操縦部をコンパクト化することができる。
【0021】
また、
図4及び
図5に示ように、エンジンEと、エンジンEを冷却するエンジンファン(ラジエータファン)19が備えられ、排気浄化装置(DPF)20に接続されるエキゾーストパイプ21が機体側面視において前記エンジンファン19が存在する位置と重ならないように屈曲形状となるよう保持手段22で(
図5参照)保持する構成としている。これによれば、排気浄化装置20に接続されるエキゾーストパイプ21をエンジンファン19が存在する位置と重ならないよう屈曲形成することで、エキゾーストパイプ21の表面温度低下を防止することができる。
【0022】
更に、
図6及び
図7に示すように、ホースが振動で高温部のエキゾーストパイプ21に干渉しないように排気浄化装置20に接続される接続部近傍(附近)のインタークーラホースのリヤ部分を交差させて配置し、前記インタークーラホースと前記エキゾーストパイプ21が干渉しないように保持する保持部材23でもってフレームリヤから支持するようにしている。これによると、インタークーラホースの温度上昇を防止でき、インタークーラホースのリヤ部分とエキゾーストパイプ21の接触を防止することができる。
【0023】
なお、
図2、
図3中において、エンジンEの外側にラジエータ24が設置され、その内側にエンジンファン19の軸であるエンジンファン軸19Qが架設されている。
図3中、25はラジエータホースを示す。
【0024】
次に、別の実施例について説明すると、
図8及び
図9に示すように、ラジエータ24の外側に吸気カバー26を設置したものにおいて、内側吸気カバー26iの四角形吸気口27の上半分と下半分とに対面する外側吸気カバー26u側の上下に分割する防塵網28a,28bの上下分割ラインYをエンジンファン軸19Q(
図2参照)と略同じ高さに設定することで、外側吸気カバーからの吸引外気をスムースにエンジン上方とエンジン下方に分散通風させ、オーバーヒートを回避することができる。
【0025】
図10に示すように、エンジンの上側を覆うエンジンカバー29と、エンジンカバーの上部に設置する操縦座席12と、ラジエータの外側に設置する吸気カバー26は、下端の前後方向の回動軸30を中心として外側方へ一体的に揺動開閉するようになっており、オープン時には、エンジン上方が大きく開放され、インタークーラホース17,18やラジエータホース25がむき出しになり、メンテナンスが極めて容易にできる。
【0026】
なお、正面視断面で内側吸気カバーの上部を階段状に形成しておくと、外気をエンジンファン風だけでなく、エンジンルーム上方にも流し、熱気の滞留を防止できる。つまり、操縦座席とエンジン上スペースにホース類を集中配置しても機体高さを低くしてインタークーラホースの周辺を冷却できる。
【0027】
また、操縦座席をエンジンカバー29ではなく、吸気カバーの内面中央で支持し、吸気カバー、操縦座席が一体で前後方向の回動軸回りに揺動開閉し、エンジンカバー29は横軸芯回りに後方へ揺動開閉し、エンジン上方を開放するようにすることもできる。
【0028】
図11に示す別実施例において、オイル貯留部であるオイルタンク31内には、インタンク方式のオイルフィルタ(サクションフィルタまたはオイルストレーナ)32を内装し、油圧経路の抵抗を低減させ、HST33やギヤポンプ35の破損を防止するようにしている。要するに、オイルタンク31内のサクションストレーナ34は機体中心附近に配置し、重心より下げた位置に搭載することで、機体が左右前後に傾斜しても常にオイル油面位下に配置され、油の安定供給が可能となる。なお、足元のステップを外し、その下のオイルタンク蓋を開けるとサクションストレーナはむき出しになり、分解簡単で、清掃、交換が容易である。
【0029】
なお、
図12は動力伝達経路のブロック回路図を示すものであるが、オイルタンク31内のサクションフィルタ32、HST33やギヤポンプ35などが開示されている。
【0030】
走行フレームの左サイドビーム内側にエンジンドレン・エンジンLLC(Long Life Coolant)ドレンを平行に配置することで、同じ工具で廃油作業が可能となった。また、エンジンLLCドレンの真上にラジエータLLCドレンを配置することで、LLCの集中廃油が可能となり、同じ工具で作業が容易に行える。
【0031】
また、平行配置した2つのドレンは、左サイドビームと右クローラ右端のスペースに配置すれば、廃油が他部品に当たらない配置とすることができる。
【0032】
上記のように、オイルタンク31内に、インタンク方式のオイルストレーナ32を内装し、油圧経路の抵抗を低減させ、HST33やギヤポンプ35の破損を防止するようにした構成において、
図13に示すように、オイルタンク31の左側面底部に配置したフィルタ付き分岐パイプ36を設け、ギヤポンプ35はHST33とオイルタンク31の間に正面視・側面視で配置することで、外付けフィルタのメンテナンス削除による工数削減や、経路簡素化による軽量化、コストダウン、油漏れなどが防止できる。分岐パイプからの油を最短でギヤポンプ・HSTに送ることで正能が向上する。
【0033】
また、オイルタンク31内に、インタンク方式のオイルストレーナ32を内装し、油圧経路の抵抗を低減させ、HST33やギヤポンプ35の破損を防止するようにした構成において、オイルストレーナ32は左に配置したHST33下面より下に配置することで、脱着容易化とフィルタ大型化が可能となる。
【符号の説明】
【0034】
E エンジン
16 冷却装置(オイルクーラ)
17 インタークーラホース(ホース)
18 インタークーラホース(ホース)
19 エンジンファン
20 排気浄化装置
21 エキゾーストパイプ
22 保持手段
23 保持部材