特開 2022-183936 ベルトコンベヤ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022183936

(43)【公開日】2022-12-13

(54)【発明の名称】ベルトコンベヤ

(51)【国際特許分類】

   B65G 21/04 20060101AFI20221206BHJP

【ＦＩ】

B65G21/04

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021091489

(22)【出願日】2021-05-31

(71)【出願人】

【識別番号】505328085

【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100103850

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼

(74)【代理人】

【識別番号】100105854

【弁理士】

【氏名又は名称】廣瀬 一

(74)【代理人】

【識別番号】100066980

【弁理士】

【氏名又は名称】森 哲也

(72)【発明者】

【氏名】片股 博美

(72)【発明者】

【氏名】北澤 剛

(72)【発明者】

【氏名】横幕 歩

(57)【要約】

【課題】横風に耐え得る懸架式のベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】ベルトコンベヤ１００は、荷の搬送方向に沿って張設された複数のケーブル２０，３０で支持されるコンベア本体４０と、コンベア本体４０の複数のローラに搬送方向に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルト９０と、コンベア本体４０の配設箇所のうちの少なくとも一箇所に一端が連結されるとともに他端が垂下されて地表に固定される振れ止めワイヤ８０と、を備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

荷の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで支持されるコンベア本体と、
前記コンベア本体の複数のローラに前記搬送方向に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルトと、
前記コンベア本体の配設箇所のうちの少なくとも一箇所に一端が連結されるとともに他端が垂下されて地表に固定される振れ止めワイヤと、
を備えることを特徴とするベルトコンベヤ。

【請求項2】

少なくとも２本の主塔と、
前記２本の主塔間に前記搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して架け渡されてカテナリ曲線を描くように張設される一対のメインケーブルと、
前記一対のメインケーブルのそれぞれから前記幅員方向で対向する位置で垂下される複数対のハンガワイヤと、
前記複数対のハンガワイヤによって前記搬送方向の途中部分が支持される前記コンベア本体と、
を備える請求項１に記載のベルトコンベヤ。

【請求項3】

前記コンベア本体は、
前記複数対のハンガワイヤの各対にて前記幅員方向に沿って水平に支持される複数の横桁と、
前記複数の横桁の両側部相互にそれぞれ掛け渡される一対の縦桁と、
前記一対の縦桁間の前記幅員方向で対向する位置に設けられて前記複数のローラのうち往路を構成するキャリアローラ組と、
前記横桁上に設けられて前記複数のローラのうち復路を構成するリターンローラ組と、
を備える請求項２に記載のベルトコンベヤ。

【請求項4】

前記振れ止めワイヤは、前記複数のハンガワイヤの配設箇所に備えられている請求項２または３に記載のベルトコンベヤ。

【請求項5】

前記振れ止めワイヤは、前記複数のハンガワイヤの配設箇所のうち、複数箇所に一か所の割合で備えられている請求項４に記載のベルトコンベヤ。

【請求項6】

少なくとも２本の主塔と、
前記２本の主塔間に前記搬送方向に沿って架け渡されて前記搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して対をなすメインケーブルと、
前記対をなすメインケーブルによってカテナリ曲線を描くように支持される前記コンベヤ本体と、
を備える請求項１に記載のベルトコンベヤ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、搬送方向に沿って張設されたケーブルで支持される懸架式のベルトコンベヤに関する。

【背景技術】

【0002】

この種のベルトコンベヤとして、例えば特許文献１に記載の技術が知られている。
同文献記載のベルトコンベヤは、少なくとも一対の支柱を備え、コンベヤフレームが、一対の支柱間にカテナリ曲線を描くように張り渡された上方２箇所のケーブルと下方２箇所のケーブルとによって搬送方向に沿って支持される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】ＥＰ１９５８８９６Ｂ１（ＦＩＧ５）

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかし、同文献記載のベルトコンベヤのような、剛体フレームを備えない懸架式のベルトコンベヤは横風に弱いという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、横風に耐え得る懸架式のベルトコンベヤを提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るベルトコンベヤは、荷の搬送方向に沿って張設された複数のケーブルで支持されるコンベア本体と、前記コンベア本体の複数のローラに前記搬送方向に沿って無限循環可能に掛け回される無端状のコンベヤベルトと、前記コンベア本体の配設箇所のうちの少なくとも一箇所に一端が連結されるとともに他端が垂下されて地表に固定される振れ止めワイヤと、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係るベルトコンベヤによれば、コンベア本体の配設箇所のうち、少なくとも一箇所に一端が連結されるとともに他端が地表に垂下して固定される振れ止めワイヤを備えるので、コンベア本体が横風に耐える構造となる。

【発明の効果】

【0006】

上述のように、本発明によれば、横風に耐え得る懸架式のベルトコンベヤを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本発明に係る懸架式のベルトコンベヤの一実施形態を示す模式的説明図である。

【図2】図１のベルトコンベヤの要部拡大図である。

【図3】図２のベルトコンベヤの要部を拡大して示す斜視図である。

【図4】図３の要部の模式的拡大図であり、同図（ａ）はＡ矢視の部分図、同図（ｂ）はＢ矢視の部分図である。

【図5】本発明に係る懸架式のベルトコンベヤの他の実施形態を示す模式的説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。

【0009】

図１に示すように、本実施形態のベルトコンベヤ１００は、懸架式のベルトコンベヤであって、荷の搬送方向に沿って張設された一対のメインケーブル２０と、一対のメインケーブル２０のそれぞれから幅員方向で対向する位置で垂下される複数対のハンガワイヤ３０と、を有する。ベルトコンベヤ１００のコンベヤ本体４０は、搬送経路の途中部分において、複数対のハンガワイヤ３０によって搬送方向に沿って支持される。

【0010】

コンベヤ本体４０は、搬送経路の先端に配置される円筒状のヘッダローラ４１と、尾端に配置される円筒状のフッタローラ４２と、を有する。コンベヤベルト９０は、搬送経路に沿って無限循環可能なようにヘッダローラ４１およびフッタローラ４２間に掛け回される。コンベヤベルト９０は、ヘッダローラ４１の近傍とフッタローラ４２の近傍では、平坦に広げられた状態でコンベヤ本体４０に巻回される。

【0011】

ヘッダローラ４１には、駆動装置４３が近傍に付設されている。また、ヘッダローラ４１の側方には、掘削土砂等の荷を投下できるようにホッパ４４が設けられている。フッタローラ４２側には、掘削土砂等の荷をコンベヤベルト９０上に投入する投入装置４５が配置されている。また、フッタローラ４２側には、以下不図示の、コンベヤベルト９０の張設機構、カウンタウエイトおよび洗浄装置等の設備が配置される。

【0012】

本実施形態のベルトコンベヤ１００は、複数本の主塔１０を備える。各主塔１０は、幅員方向に離隔して基礎の上に鋼や鉄筋コンクリートにより構築される。なお、基礎が水中に位置するような場合、主塔１０は、ケーソンを水中に沈めてコンクリートを流し込み基礎を構築できる。両端に位置する主塔１０の両端にはアンカ１１が構築される。アンカ１１は、懸架式のベルトコンベヤ１００の両端に構築されるコンクリートブロックであり、メインケーブル２０を繋ぎ止める碇として機能する。地形的制約や強固な岩盤などがある場合は地山の支持力も利用できる。

【0013】

本実施形態のベルトコンベヤ１００では、図２に拡大図示するように、少なくとも隣接する２本の主塔間にメインケーブル２０が張設される。メインケーブル２０は、図３に斜視図を示すように、搬送方向とは直交する幅員方向に離隔してカテナリ曲線を描くように一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒから構成される。以下、一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒ相互を特に区別しないときは、単に「メインケーブル２０」とも呼称する。
メインケーブル２０には、通常、複数の鋼製ワイヤ（ピアノ線）を並行に束ねたものが用いられる。メインケーブル２０は腐食（錆）防止のためにゴムや塗装による表面処理を施すことができる。

【0014】

本実施形態では、一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒが、図１に示す、各主塔１０とアンカ１１との間、及び隣接する一対の主塔１０間に架け渡される。メインケーブル２０は、各主塔１０の頂部サドル１０ｓに架けられ、ハンガワイヤ３０を通じてコンベヤ本体４０を搬送方向に沿って吊り下げている。
一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒそれぞれの適所から幅員方向で対向する位置で複数対のハンガワイヤ３０Ｌ、３０Ｒが垂下される。なお、「メインケーブル２０」同様に、以下、対をなすハンガワイヤ３０Ｌ、３０Ｒを特に区別しないときは、単に「ハンガワイヤ３０」とも呼称する。

【0015】

本実施形態では、ハンガワイヤ３０は、図２に示すように、複数のローラブラケット６０の並び姿勢が略水平になるように、懸垂線を描くメインケーブル２０とローラブラケット６０とを結ぶために、搬送方向での配置位置により異なる長さに設定される。
ハンガワイヤ３０には撚ワイヤが用いられる。複数のハンガワイヤ３０は、メインケーブル２０から垂下されてコンベヤ本体４０を略水平に支えている。ハンガワイヤ３０は、メインケーブル２０から所定の間隔に垂下される。

【0016】

本実施形態では、図３に示すように、各ハンガワイヤ３０Ｌ、３０Ｒは、各ハンガワイヤ３０Ｌ、３０Ｒの上端部が、ケーブルバンド３３で対応するメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒにそれぞれ連結され、一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒからそれぞれハンガワイヤ３０Ｌ及びハンガワイヤ３０Ｒが所定の間隔に垂下される。
また、本実施形態では、図３および図４に示すように、ハンガワイヤ３０の下端部３２は、横桁５０の上面に固定されている。横桁５０の上面には、複数の案内ローラのうち復路を構成するリターンローラ組６２が設けられている。複数の横桁５０の両側部相互にそれぞれ一対の縦桁７２が掛け渡されている。

【0017】

一対の縦桁７２のうち、内側の縦桁７２間の幅員方向で対向する位置にローラブラケット６０が設けられ各ローラブラケット６０によりキャリアローラ組６１が支持されている。キャリアローラ組６１は、複数の案内ローラのうち往路を構成している。
詳しくは、本実施形態のコンベア本体４０では、図３に示すように、搬送経路の途中部分の複数の案内ローラとして、上部の複数のキャリアローラ組６１と、下部の複数のリターンローラ組６２とを有する。各キャリアローラ組６１およびリターンローラ組６２は、円筒状をなす複数の案内ローラを有して構成され、各案内ローラは、両端部が自身軸回りに回転自在に支持される。

【0018】

本実施形態では、上部のキャリアローラ組６１は、門型のローラブラケット６０に設けられる。本実施形態のキャリアローラ組６１は、ローラブラケット６０に装備され、各ローラブラケット６０は、風の影響を受けにくいように細い角柱部材により門型形状にされている。ローラブラケット６０の左右の支柱６０ｈは、それぞれの下端部が一対の内側の縦桁７２の内側面にそれぞれ固定されている。
上部のキャリアローラ組６１は、ローラブラケット６０に連結されたローラ支持ワイヤ６１ｗで、例えば５つの案内ローラ（キャリアローラ）を数珠状に連結することで上方にＵ字状をなすように支持しつつ、各案内ローラをその軸回りに回転自在に保持している。本実施形態では、ローラ支持ワイヤ６１ｗの両端は、ローラブラケット６０の固定部６１ｊに固定され、これにより、複数の案内ローラを転動自在に支えている。

【0019】

また、下部のリターンローラ組６２は、例えば２つの案内ローラ（リターンローラ）を、支持用ブラケット６２ｂによって略平坦に近いＶ字状に支持しつつ、各案内ローラをその軸回りに回転自在に保持している。
これにより、本実施形態では、ローラブラケット６０に設けられた上部の複数のキャリアローラ組６１それぞれは、往路において、コンベヤベルト９０を上方に開放する横断面が略Ｕ字状をなす半円弧状の支持状態で搬送し、復路では、下部の複数のリターンローラ組６２によりコンベヤベルト９０を略平坦とした状態で搬送するようになっている。

【0020】

ここで、本実施形態では、図４に示すように、搬送方向で隣接するキャリアローラ組６１による往路での往路案内ピッチＰｃと、搬送方向で隣接するリターンローラ組６２による復路での復路案内ピッチＰｒとを、往路案内ピッチＰｃが復路案内ピッチＰｒよりも小さくなるように構成している（Ｐｃ＜Ｐｒ）。本実施形態の例では、往路案内ピッチＰｃは、復路案内ピッチＰｒの１／２（つまり、２×Ｐｃ＝Ｐｒ）とされている。
これにより、本実施形態のベルトコンベヤ１００は、荷の負荷を大きく受ける往路でのキャリアローラ組６１の配置数を多くするとともに、荷の負荷を受けない復路でのリターンローラ組６２の配置数を可及的に少なくし、安定した搬送能力を維持しつつ、コンベヤ設備全体を簡素に構成している。

【0021】

ここで、本実施形態では、図３に示すように、ベルトコンベヤ１００のコンベヤ本体４０は、複数の横桁５０のうち隣り合う少なくとも一箇所に、縦桁７２によって連結されないことで、相互間に堅固な結合をもたない絶縁構造ＤＳを有する。なお、同図は、一の縦桁７２の前後が、搬送方向で隣接する他の縦桁７２とは離隔されている一の絶縁単位を示している。
なお、床板７０および縦桁７２は、搬送方向において適宜の箇所で分割構造若しくは接合構造とすることができる。この分割構造若しくは接合構造は、横桁５０の箇所または隣接する横桁５０の間の箇所に設けることができる。上記絶縁構造ＤＳを設ける箇所にて床板７０および縦桁７２の分割構造部分を配置することは好ましい。特に、本実施形態では、横桁５０の箇所にて床板７０および縦桁７２の分割構造部分を配置する。

【0022】

さらに、本実施形態では、作業者が歩行可能なように、ベルトコンベヤ１００のコンベヤ本体４０には、側方で隣接する二つの縦桁７２の上面に、パンチングメタル等の床板７０が載置固定され、作業通路Ｗとなる歩廊が設けられている。作業通路Ｗとなる歩廊は、搬送方向に沿って配設されて複数のローラブラケット６０の左右の支柱６０ｈよりも幅員方向の側方に張り出している。
さらに、本実施形態では、幅員方向に離隔して、二本の振れ止めワイヤ８０Ｌ、８０Ｒが、コンベヤ本体４０の全ての横桁５０の下面に対して設けられている。換言すれば、各振れ止めワイヤ８０Ｌ、８０Ｒは、複数のハンガワイヤ３０Ｌ、３０Ｒの配設箇所にそれぞれ備えられている。以下、二本の振れ止めワイヤ８０Ｌ、８０Ｒを特に区別しないときは、単に「振れ止めワイヤ８０」とも呼称する。

【0023】

本実施形態では、当該ベルトコンベヤ１００の配設箇所のうち、コンベヤ本体４０の搬送経路の途中部分の少なくとも一箇所に、一端が連結されるとともに他端が垂下されて地表に固定される振れ止めワイヤ８０を備える。
なお、振れ止めワイヤ８０は、全てのハンガワイヤ３０の配設箇所に備える構成に限定されず、複数のハンガワイヤ３０の配設箇所のうち、複数箇所に一か所の割合で備えることができる（例えば、一箇所おきや二箇所おきに配置できる）。
各振れ止めワイヤ８０の上端８３は、横桁５０の下面に固定され、振れ止めワイヤ８０の下端のアンカ８２は、地表に埋入されて強固に固定されている。本実施形態では、全ての横桁５０の下面に対して振れ止めワイヤ８０が同様の構成によって設けられている。

【0024】

次に、本実施形態のベルトコンベヤ１００の動作および作用効果について説明する。
本実施形態のベルトコンベヤ１００は、駆動装置４３でヘッダローラ４１が駆動されると、コンベヤベルト９０が、先頭のヘッダローラ４１と最後尾のフッタローラ４２との間で無限循環を開始する。コンベヤベルト９０は、円筒状のヘッダローラ４１の近傍と円筒状のフッタローラ４２の近傍では、平坦に広げられた状態で巻回される。
また、搬送経路の途中部分において、上部の往路では、ローラブラケット６０の複数のキャリアローラ組６１により、コンベヤベルト９０を上方に開放する横断面が略Ｕ字状をなす半円弧状の支持状態で搬送される。さらに、下部の復路では、複数のリターンローラ組６２により略平坦とされた状態で搬送される。

【0025】

これにより、本実施形態のベルトコンベヤ１００によれば、無端状のコンベヤベルト９０が、往路では略Ｕ字状をなす支持状態で周回される。そのため、搬送中の荷こぼれを防止できる。また、往路側では略平坦とされた状態で搬送されるため、コンベヤ本体４０の高さをコンパクトに構成できる。そのため、コンベヤ設備全体を簡素に構成する上で好適である。なお、上記実施形態では図示を省略したが、ローラブラケット６０の上方を屋根やカバーによって覆うことは好ましい。

【0026】

ここで、例えば特許文献１に記載の懸架式のベルトコンベヤでは、横風に弱いという問題がある。これに対し、本実施形態のベルトコンベヤ１００によれば、上述したように、コンベヤ本体４０の搬送経路の途中部分の少なくとも一箇所に、一端が連結されるとともに他端が地表に垂下して固定される振れ止めワイヤ８０を有するので、コンベヤ本体４０の横揺れが大幅に低減される。
つまり、吊コンベヤは、風や加重によって揺れやすいという欠点も持つところ、振れ止めワイヤ８０は、コンベヤ本体４０を下方に引っ張り、メインケーブル２０およびハンガワイヤ３０はコンベヤ本体４０を上方に引っ張るので、コンベヤ本体４０が横から風を受けても容易に動かなくなり、ベルトコンベヤ１００の横揺れが大幅に低減できる。

【0027】

ここで、特許文献１に記載の懸架式のベルトコンベヤは、いわば「カテナリ式コンベヤ」であるのに対し、本実施形態の懸架式のベルトコンベヤ１００は、いわば「サスペンション式コンベア」である。
すなわち、本実施形態のベルトコンベヤ１００によれば、コンベア本体４０が、一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒから垂下される複数対のハンガワイヤ３０で搬送方向に沿って支持される。そのため、コンベア本体４０による搬送経路を水平になるように配設した場合であっても、一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒの張力を可及的に小さくすることが可能となり、ベルトコンベヤ１００を構成するコンベヤ設備全体を簡素に構成できる。

【0028】

特に、本実施形態のベルトコンベヤ１００によれば、コンベヤ本体４０は、複数の横桁５０のうち隣り合う少なくとも一箇所に、相互間に堅固な結合をもたない絶縁構造ＤＳを有するので、コンベア本体４０による搬送経路を水平に配設した場合であっても、一対のメインケーブル２０Ｌ、２０Ｒの張力を可及的に小さくし、コンベヤ設備全体を簡素に構成する上で好適である。
さらに、本実施形態のベルトコンベヤ１００によれば、コンベヤ本体４０は、搬送方向に沿って配設されてコンベヤベルト９０よりも幅員方向の側方に張り出すとともに作業者が歩行可能な歩廊となる作業通路Ｗを有するので、コンベヤ設備全体を簡素に構成しつつメンテナンス性に優れている。

【0029】

以上説明したように、本実施形態のベルトコンベヤ１００によれば、コンベヤ本体４０の搬送経路の途中部分の少なくとも一箇所に一端が連結されるとともに他端が地表に垂下して固定される振れ止めワイヤ８０を備えるので、横風に耐えることができる。
なお、本発明に係るベルトコンベヤは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。

【0030】

例えば、上記実施形態では、横桁５０をハンガワイヤ３０で支持する構成例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、横桁５０を設けずに、キャリアローラ組６１およびリターンローラ組６２をハンガワイヤ３０で直接的に支持する構成とすることができる。
このような構成であっても、コンベヤ本体４０による搬送経路を水平に配設した場合であっても、一対のメインケーブル２０の張力を可及的に小さくしつつ、コンベヤ設備全体を簡素に構成できる。

【0031】

また、例えば上記実施形態では、懸架式のベルトコンベヤの例として、「サスペンション式コンベア」を例に説明したが、振れ止めワイヤを備える構成はこれに限定されず、例えば、「カテナリ式コンベヤ」に対して振れ止めワイヤを備える構成としてもよい。
つまり、図５に示すように、このカテナリ式コンベヤ１００Ｂは、少なくとも２本の主塔１０Ｂと、２本の主塔１０Ｂ間に搬送方向に沿って架け渡されて搬送方向とは直交する幅員方向に離隔して対をなすメインケーブル２０Ｂ、２０Ｂと、対をなすメインケーブル２０Ｂ、２０Ｂによってカテナリ曲線を描くように支持されるコンベヤ本体４０Ｂと、コンベヤ本体４０Ｂで支持されたローラに搬送方向に沿って掛け回される無端状のコンベヤベルト９０Ｂと、を備える。

【0032】

同図の例では、振れ止めワイヤ８０は、コンベヤ本体４０Ｂを構成するコンベヤフレーム４０ｆの任意の箇所から地表ＧＬに垂下されて固定されている。このように、本発明は、同図に示すような「カテナリ式コンベヤ」に対しても、コンベヤ本体４０Ｂの搬送経路の途中部分の少なくとも一箇所に一端が連結されるとともに他端が地表に垂下して固定される振れ止めワイヤ８０を備えることができる。

【符号の説明】

【0033】

１０ 主塔
１１ アンカ
２０ メインケーブル
３０ ハンガワイヤ
４０ コンベヤ本体
４１ ヘッダローラ
４２ フッタローラ
４３ 駆動装置
４４ ホッパ
４５ 投入装置
５０ 横桁
６０ ローラブラケット
６１ キャリアローラ組
６２ リターンローラ組
７０ 床板
７１ 柵
７２ 縦桁
８０ 振れ止めワイヤ
９０ コンベヤベルト
１００ ベルトコンベヤ
ＤＳ 絶縁構造
Ｗ 作業通路（歩廊）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】